日本赤十字社における ヘモビジランス 2017 - mhlw18.4% (106) 4.9% (11)...

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日本赤十字社における ヘモビジランス 2017 平成30年7月18日開催 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会安全技術調査会資料 1 資料5 平成30年度第1回血液事業部会安全技術調査会

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日本赤十字社におけるヘモビジランス 2017

平 成 3 0 年 7 月 1 8 日 開 催

薬 事 ・ 食 品 衛 生 審 議 会

血液事業部会安全技術調査会資料

1

資料5平成30年度第1回血液事業部会安全技術調査会

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1,479

1,476

1,533

1,451

1,515

1,595

1,597

1,579

1,541

1,554

74

80

93

81

125

131

96

98

98

149

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

非溶血性副作用 溶血性副作用 GVHD疑い 感染症疑い

2

副作用・感染症報告の推移

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非溶血性副作用

3

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4

蕁麻疹等477件(32.3%)

発熱174件(11.8%)アナフィラキシ-ショック

256件(17.3%)

アナフィラキシー148件(10.0%)

血圧低下77件(5.2%)

呼吸困難195件(13.2%)

その他152件10.3%

症状別

赤血球製剤*

577件(39.0%)

血小板製剤*

561件(37.9%)

血漿製剤224件(15.1%)

複数の輸血用血液製剤117件(7.9%)

合計1,479件

製剤別

医療機関から報告された非溶血性副作用(2017)

合計1,479件

*洗浄製剤含む

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5

44.2%

(99)

40.8%

(229)

19.9%

(115)

1.3%

(3)

7.1%

(40)

22.2%

(128)

26.8%

(60)

19.8%

(111)

8.5%

(49)

10.3%

(23)

13.4%

(75)

7.5%

(43)

6.3%

(14)

3.0%

(17)

7.1%

(41)

6.3%

(14)

8.6%

(48)

18.4%

(106)

4.9%

(11)

7.3%

(41)

16.5%

(95)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

血漿製剤

血小板製剤

赤血球製剤

蕁麻疹等 発熱 アナフィラキシーショック アナフィラキシー 血圧低下 呼吸困難 その他

(n=577)

(n=561)

(n=224)

*洗浄製剤含む

*

*

製剤別・副作用症状別報告件数(2017)

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6

TRALI評価

TRALI:5件

TRALIではないと考えられる:118件

その他:42件

副作用感染症記録、呼吸困難調査票浸潤影、胸部X線写真等

TRALI/TACO症例評価結果(2017)

9件(7.1%)

TRALI疑い症例(127件)TRALI評価は、担当医師がTRALIを疑った症例及び日赤で副作用の症状から評価が必要と判断した症例について実施した。

p-TRALI:4件

心原性肺水腫?

76件

YES

NO

TACO疑い症例(13件)TACO評価は、担当医師がTACOを疑った症例及び日赤でTRALI評価の結果、心原性肺水腫が疑われた症例について実施した。

TACOI評価(89件)

TACO:47件(43件・4件)

その他:42件(33件・9件)

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7

2819

4531

1624

9 146 9 2 7 4 5

1211

21

14

1614

15 10

410

76

3 4

26

29 44

63

4547

14

17

2830

47 48

44

3533

38

40 35

0

50

100

150

200

0

20

40

60

80

100

120

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

TRALI p-TRALI TACO 心原性肺水腫 評価件数

TRALI・TACO評価状況 2004-2017

(2)

(2)(1)

(4)

(1)

(1)

(1)

(1)

(1)

(2)

(1)

(1)*

TRALI,TACOの評価件数

( )内、死亡例18例*1人の患者で2回発生(2005)

(件) (件)

(年)

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8

照射洗浄血小板製剤の副作用(2017年)

報告件数:8件(重篤症例1件)

アナフィラキシー 1蕁麻疹等の皮膚症状 4発熱など 3

患者原疾患

白血病 3

骨髄異形成症候群 5

血小板製剤824,201本

血小板製剤単独での非溶血性輸血副作用報告件数:560件⇒報告頻度:約1/1,500

照射洗浄血小板製剤(HLA除く)10,956本

報告頻度:約1/1,400

供給本数

【照射洗浄血小板製剤の適応患者】• アナフィラキシーショック等の重篤な副作用を1度でも認めた患者• 種々の薬剤の前投与の処置等で予防できない、蕁麻疹、発熱、呼吸困難、

血圧低下等の副作用が2回以上観察された患者

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輸血後感染症

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10

病原体別報告件数の推移

6145 36 40 50 52

2714 18 20

38

2627 29

40 32

2635 28 21

46

2328 21

3025

17 2520 21

4

4 7 6

1116

1119

14 12

0

20

40

60

80

100

120

140

160

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

HBV HCV 細菌 その他(件)

(年)

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病原体別解析結果(2017)

病原体 報告件数 特定対象外

輸血前から陽性

輸血前後陰性

HBV 20 1 4 0

HCV 21 0 1 3

細菌 21 3(1) 0 0

CMV 6 0 1* 0

HEV 5 4(1) 0 0

EBV 1 0 0 0

計 74 8 6 3

( )は死亡症例 *母乳からの感染

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12

12

78

7

11 11

98

4 4

1 11 12

1 1

0

3

6

9

12

15

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

HBV HCV HIV

採血年別輸血後感染症の推移(HBV・HCV・HIV)

(件)

個別NAT導入

HBc抗体判定基準変更

NAT・感染症検査システムの変更(高感度化)

20P-NAT導入

※同一献血血液由来症例数は除外

(年)

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13

輸血後HBV感染症例(2017)献血者のスクリーニングNAT陽転に伴う遡及調査により判明した症例【献血者発】

献血者40代・男性

2006/10/29 2017/5/21 2017/6/10

HBV-DNA 陽性(Genotype:C, Subtype: ayr)

受血者70代・男性血液腫瘍

2017/5/23 2017/7/7

HBV-DNA 陽性

採血日 ID-NAT HBsAg HBcAb HBsAb ウイルス濃度

陽転② 17/7/2 + + - - NT

陽転① 17/6/10 + - - - 26 IU/mL

当該① 17/5/21 - - - - NT

スクリーニング検査:「適」

(ウイルス量:26IU/mL)

バラクルード投与

死亡(原疾患)

20pNAT:「適」

個別NAT:「適」

2017/7/2

HBV-DNA 陽性HBsAg 陽性

2017/12/9

~ ~

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14

3.2 2.7 2.6

1.5

0.7

0.6

3.04.7

0.30.5

0

2

4

6

8

10

ウインドウ期

ID NAT+

ウインドウ期

ID NAT-

感染既往

ID NAT+

感染既往

ID NAT-

20P-NAT(旧システム)4年間

(2004.8~2008.7)

20P-NAT(新システム)4年1カ月

(2008.8~2012.8)

HBc判定基準変更後1年1カ月

(2012.9~2014.7)

個別NAT導入後3年5カ月

(2014.8~2017.12)

(件)

検査システム別1年間あたりの輸血後HBV感染症例数

8.0件8.6件

2.6件

0.6件

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輸血後HEV感染症例の推移

15

1※ 1 1

3

2 2

31※

1 1

0

2

1

0 0

3

1

1

1※ 1

1

0

1

2

3

4

5

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

自発 遡及(件)

(年)

※ genotype 4型

n=27

試行的HEV-NAT開始(北海道地域)

IgA抗体測定試薬保険収載

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患 者 輸血用血液

原疾患等 処置等 転帰ウイルス量(IU/mL)

原因製剤

Gt

自発報告

60代・

男性

骨髄異形成症候群、骨髄線維症

(化学療法)

輸血14日後RNA(+)ALT最高値341(40日後)

内服等加療なし回復 3.84E+04 PC 3

60代・

女性

急性骨髄性白血病(化学療法)

輸血105日後RNA(+)ALT最高値589(178日後)

内服等加療なし軽快 6.10E+05 PC 3

80代・

女性

多発性骨髄腫

(化学療法)

輸血79日後RNA(+)ALT最高値679(73日後)

強ミノ、ウルソ投与により軽快(ALT 46、89日後)

抗がん剤再開後ALT再度上昇

死亡 4.72E+04 RBC 3

遡及調査

70代・

女性骨髄異形成症候群、

血液透析

輸血191日後RNA(+)ALT最高値36(135日後)

内服等加療なし回復 4.83E+03 PC 3

輸血後HEV感染症例(2017)

16

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17

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18

輸血後細菌感染症例(2017)患 者 血小板製剤

原疾患等 症 状 転帰 細菌名 日数

180代・

男性MDSの転化

輸血開始5時間で悪寒戦慄、発熱(39.8℃)、嘔吐、血圧変動(sBP104→141→71)、酸素飽和度低下(92%)当日実施の血培:ラクトコッカス属陽性 回復

2日後

Lactococcusgarvieae

210未満・女性

AML再発、

骨髄移植後

輸血開始20分で振戦、輸血中止再開15分後、嘔吐、顔面蒼白、水様便あり輸血中止。その後発熱(40℃以上)、頻脈(max190/分)、酸素飽和度低下(88%)翌日 エンドトキシン陽性4日目 容態急変、血培実施(E.coli陽性)、その後敗血症性ショックにて心停止(蘇生)

死亡

37日後E.coli 4

330代・

女性

AML再発、CMT待ち

輸血開始15分でルート内浮遊物あり輸血中止中止15分後(開始30分後)、振戦。中止25分後~嘔吐、酸素飽和度低下(92%)、発熱(40℃以上)、血圧低下(sBP 72)翌日実施の血培:Klebsiella pneumoniae陽性

軽快

15日後Klebsiella

pneumoniae4

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20

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輸血関連急性肺障害(TRALI)については、評価対象127件のうち、TRALIまたはp-TRALIと評価した症例は9件であった。

照射洗浄血小板製剤による非溶血性副作用は、年間8件報告された。このうち、1件はアナフィラキシーであった。

HBc抗体判定基準の厳格化、個別NATの導入後、個別NAT陰性の血液(血小板製剤)を輸血された受血者2名にHBV感染が認められた。

輸血後E型肝炎症例は4件確認され、いずれもGenotype3による感染であった。このうち1名の受血者は、原疾患の治療等による複合的要因もあるが、劇症肝炎で死亡した。そのため、国の通知に基づき、医療機関へは肝炎ウイルス感染リスク等に関する注意事項について情報提供を実施した。また、献血者へはHEVの感染源と受血者への感染リスクを周知し、問診の重要性について再確認を徹底した。

血小板製剤による細菌感染症例は3件確認され、このうち1名の受血者は、初流血除去等の安全対策導入後初めての死亡事例であった。そのため、国の通知に基づき、医療機関には当該症例並びに添付文書にある「使用上の注意」等の周知を実施した。また、日赤では細菌混入防止対策を徹底した。

まとめ