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第82号 発行 平成30年9月 公益社団法人 鳥取県栄養士会 http://www.apionet.or.jp/~toriei/ 鳥取県が、今年度から6年間の健康づくりや食 育を推進するための指針として策定した「健康づ くり文化創造プラン(第三次)」と「食のみやことっ とり~食育プラン(第3次)~」についてご紹介 します。 「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」 「健康づくり文化」の定着と「健康寿命」の延 伸を目的として一次予防対策、生活習慣病対策、 社会環境の整備の3項目を柱とし、10の分野ごと に目標や重点取組をまとめています。 このうち、栄養・食生活分野では、1日の食塩 摂取量8g未満(男女とも)、野菜摂取量350g以 上や、主食、主菜、副菜を組み合わせたバランス よい食習慣の定着を目標に推進していくこととし ています。 「食のみやことっとり~食育プラン~(第3次)」 県民みんなで実践する5つの重点目標と14の目 標を定め、県や関係者の役割や取組をまとめてい ます。この度、新たに食品ロス等食の循環や環境 を意識した活動の実践についても目標に盛り込み、 活動の環を広げながら、食を通じて健やかに「生 きる力」を育み、心身ともに充実した生活の実現 を目指すこととしています。 今後も、管理栄養士・栄養士の皆様には、専門 的知識や活動経験を活かし、本県の栄養改善及び 食育の推進に御協力くださいますようよろしくお 願いいたします。 ●参考:とりネット● https://www.pref.tottori.lg.jp/plan/ https://www.pref.tottori.lg.jp/shokuiku 「げんきトリピー」 鳥取県健康づくり文化創造シンボルキャラクター ご紹介します! 「鳥取県健康づくり文化創造プラン (第三次)」 ~「健康づくり文化」の定着と「健康寿命」の延伸を目指して~ 「食のみやことっとり ~食育プラン(第3次)~ ~食を通じて健やかに「生きる力」を育むために~ 鳥取県福祉保健部健康医療局健康政策課 〈5つの重点目標と 14 の目標〉 ライフステージに応じた健全な食習慣を実践する 1日3食、規則正しく食事をする 主食・主菜・副菜を揃えた食事をする 家庭や地域で家族や友人と楽しく食卓を囲む 食に対する感謝の心を養う 食事のあいさつを実践する 食事づくりや準備に関わる 体験活動を通して食と農林水産業の関わりを理解する 食の循環や環境を意識した活動を実践する 余剰食品等を有効に活用する 食べきり運動等による食べ残しの削減を行う 豊かな食文化を継承する とっとりの食を情報発信する 地域の郷土料理を学び、継承する 地元のおいしい食材の良さを学び活用する 食に関する正しい知識を持つ 食生活と生活習慣病の関わりを学ぶ 食品表示を参考に食品を選択する 食の安全について正しく理解する

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Page 1: 「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」toriei/kikanshi82.pdf伸を目的として一次予防対策、生活習慣病対策、 社会環境の整備の3項目を柱とし、10の分野ごと

第82号発行 平成30年9月

公益社団法人

鳥取県栄養士会http://www.apionet.or.jp/~toriei/

 鳥取県が、今年度から6年間の健康づくりや食

育を推進するための指針として策定した「健康づ

くり文化創造プラン(第三次)」と「食のみやことっ

とり~食育プラン(第3次)~」についてご紹介

します。

「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」 「健康づくり文化」の定着と「健康寿命」の延

伸を目的として一次予防対策、生活習慣病対策、

社会環境の整備の3項目を柱とし、10の分野ごと

に目標や重点取組をまとめています。

 このうち、栄養・食生活分野では、1日の食塩

摂取量8g未満(男女とも)、野菜摂取量350g以

上や、主食、主菜、副菜を組み合わせたバランス

よい食習慣の定着を目標に推進していくこととし

ています。

「食のみやことっとり~食育プラン~(第3次)」 県民みんなで実践する5つの重点目標と14の目

標を定め、県や関係者の役割や取組をまとめてい

ます。この度、新たに食品ロス等食の循環や環境

を意識した活動の実践についても目標に盛り込み、

活動の環を広げながら、食を通じて健やかに「生

きる力」を育み、心身ともに充実した生活の実現

を目指すこととしています。

 今後も、管理栄養士・栄養士の皆様には、専門

的知識や活動経験を活かし、本県の栄養改善及び

食育の推進に御協力くださいますようよろしくお

願いいたします。

●参考:とりネット● https://www.pref.tottori.lg.jp/plan/ https://www.pref.tottori.lg.jp/shokuiku

「げんきトリピー」鳥取県健康づくり文化創造シンボルキャラクター

ご紹介します!「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」�~「健康づくり文化」の定着と「健康寿命」の延伸を目指して~

「食のみやことっとり~食育プラン(第3次)~」� ~食を通じて健やかに「生きる力」を育むために~

� 鳥取県福祉保健部健康医療局健康政策課

〈5つの重点目標と 14の目標〉

ライフステージに応じた健全な食習慣を実践する1日3食、規則正しく食事をする主食・主菜・副菜を揃えた食事をする家庭や地域で家族や友人と楽しく食卓を囲む

食に対する感謝の心を養う食事のあいさつを実践する食事づくりや準備に関わる体験活動を通して食と農林水産業の関わりを理解する

食の循環や環境を意識した活動を実践する余剰食品等を有効に活用する食べきり運動等による食べ残しの削減を行う

豊かな食文化を継承するとっとりの食を情報発信する地域の郷土料理を学び、継承する地元のおいしい食材の良さを学び活用する

食に関する正しい知識を持つ食生活と生活習慣病の関わりを学ぶ食品表示を参考に食品を選択する食の安全について正しく理解する

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 2018(平成30)年5月26日(土)とりぎん文化会館において公益社団法人鳥取県栄養士会第6回定時総会並びに県民公開講座が開催されました。

公益社団法人鳥取県栄養士会

第6回定時総会並びに県民公開講座開催

 定時総会に先立ち、公益社団法人鳥取県栄養士会 福田節子会長より、公益法人として

6年目となり、責任ある団体として活動していくことの重要性などのあいさつがありました。

講演 「グローバル化と食の安全・安心」講師 鳥取大学国際交流センター 教授 安 藤 孝 之 氏

 来賓挨拶では鳥取県福祉保健部健康医療局健康政策課長 植木芳美氏から、「県民の健康を維持していくためにも栄養士会の活動は必要であり、栄養士会のますますの発展を期待します。」とお言葉をいただきました。 また、平成 30 年春の叙勲、公衆衛生功労により旭日双光章を受章された前公益社団法人鳥取県栄養士会会長(現:顧問)鍛治木いつ子氏の紹介がありました。� (文責 奥田)

 世界の食や世界の中の日本の食、日本の食を取り巻く様々な環境についての興味深いご講演でした。 鳥取県にはなじみの深い「イカ」について、栄養学的特徴や流通している種類についてのお話がありました。日本で流通しているのは「スルメイカ」が知られていますが、近年「アメリカオオアカイカ通称:アメアカ」の利用が増えているということでした。世界で最も多くとられている世界最大の食用イカで体重 50kg、胴体1mを越えるそうです。ロールイカやイカリングフライとして日本にも多く流通しています。ゲソもシーフードカップ麺などに利用されています。 そのほか「アマランサス(ヒユ科ヒユ属の植物)」(起源地は中南米でもっとも古い作物の一つといわれている)についての説明がありました。1972 年、アマランサスの種子に必須アミノ酸リジンの含有量が非常に高いたんぱく質が 16%含まれることが発見され、注目を集めたそうです。アマランサスの葉もたんぱく質、ミネラル、ビタミンが豊富で、ホウレンソウやフダンソウのように多くの国で消費されています。アマランサスの種子を使ったメキシコのお菓子を皆で試食させていただきました。 日本の食は世界と繋がり、日本食ブームにより、日本の食は世界へと広がっています。「食」を扱う私たち栄養士はグローバルな視点が重要であると強く感じました。� (文責 野津)

定時総会

県民公開講座

会長 福田節子

栄 養 と っ と り 第82号( )2

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栄養管理セミナー及び県民公開講座報告�  主催:医療事業部

実践的栄養管理セミナー日にち:7月21日(土)会 場:ヴィレステひえづ 第1会議室『栄養管理にこんなに役立つ!� フィジカルアセスメントの極意』  川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科�  市川和子 氏

 栄養管理に必要なスキル習得、並びに知識の向上の為に、医療・介護現場に限らず、在宅でも栄養状態の評価に活用できるフィジカルアセスメントについて学びました。特定保健指導をはじめ高齢者等への日常の指導で役立ち参考になりま�した。

県民公開講座 生活習慣病予防「朝食にも野菜を!」

「朝食にも野菜を!」日にち:7月21日(土)会 場:ヴィレステひえづ 第1会議室『野菜の食べ方を変えることで得られる健康効果』� 鳥取大学医学部附属病院 牧山嘉見 氏� 尾﨑病院 河原千明 氏

 ベジタブル・ファースト、朝食に野菜を食べること、食後高血糖予防について、野菜料理を実際に食べながら野菜摂取のコツやポイントを学びました。日本食文化の変遷、科学的な根拠、自分に合った野菜の適量を知る「手ばかり法」だけでなく、実際に先生が実践されている野菜の取り入れ方、時短術の紹介もありました。

 「栄養ワンダー 2018」が、7月から8月にかけて全国各地で開催され、鳥取県内でも東部・中部・西部の大型スーパーマーケットや倉吉未来中心、病院、福祉施設、短期大学など各地でイベントが行われました。8月4日(土)の「栄養の日」には、米子、鳥取、倉吉の3会場において同時開催となりました。鳥取県栄養士会の会員が「栄養・食生活」の大切さをアピールするとともに、望ましい食生活のあり方を県民の皆様に提案しました。このイベントは昨年に引き続き2年目となります。複数の企業様にも協賛していただき「キウイフルーツ」「ヨーグルト」「100%野菜ジュース」のサンプル品を無料配布しました。多くの方々に立ち寄っていただき、親子連れなどで終日にぎわっていました。

(公社)日本栄養士会のオリジナルイベント『栄養ワンダー2018』を開催しました

「栄養の日・栄養週間」とは? 8月4日を「栄養の日」、「栄養週間」を8月1日から7日までの一週間を「栄養週間」とし、管理栄養士・栄養士が活動している病院、福祉施設、社員食堂等の給食施設等で喫食者向けに、また、各都道府県栄養士会が、各地でイベント等を開催することです。

 西部では、毎月実施している「栄養ケアステーション事業」も同時開催し、栄養相談も行いました。 中部では、鳥取県栄養士会の協賛企業様によるブースの出展があり、「タブレットを使ったお絵かきコーナー」や「腸内細菌クイズ」など子どもと大人が一緒に楽しみました。 東部では、野菜の缶バッチづくりや鳥取県栄養士会の「オリジナルかるた」で遊べるコーナーも設置しました。 これからも管理栄養士・栄養士の私たちは、多くの人たちに “ 栄養 ” に親しんでもらい望ましい食生活のあり方や “ 栄養 ” の大切さを発信していきたいと感じました。� (文責 野津)

栄 養 と っ と り第82号 ( )3

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三朝町役場観光課   次 長 松浦さん

“大山町 町おこし”「甲川(きのえがわ)うどん」を提供されている、自主組織「きばらいや上中山」活動部の奥田幸子さんにお話を伺いました。

※このプロジェクトを始めたきっかけは何ですか? �� 旧中山町にあった上中山保育園の児童数が減り、平成24年に閉園したことから始めました。その後も続くようにガソリンスタンドや小売店も閉鎖され、このままでは地域の賑わいがなくなってしまうのではないかという住民の声が上がりました。 �� そこで皆で協力し合い、自主組織「きばらいや上中山」を立ち上げました。使われなくなった保育園を「学びの里 甲川(きのえがわ)」と名付け、地域の人が集う場所として平成26年9月21日に発足しました。「甲川」とは大山の隣「甲ヶ山」から流れる川で、この地域の田んぼや畑を潤しています。 �� 現在活動している組織は10グループあります。私が活動している女性の会では毎週木曜日11:30 ~14:00に甲川で、うどんを提供しています。それが「甲川うどん」です。

※こだわりは何ですか? �� 麺は仕入れていますが、だし汁は4種類(カツオ、むろあじ、いりこ、昆布)の材料を使い濃縮して作っています。具は地元で採

れた野菜の天ぷらです。春には野草、秋には山菜も出しています。その他、はでかけ米(天日干ししたお米)を使用したおにぎりや、月に1回数量限定で弁当も販売しています。また大山がとにかく綺麗です。ここでしか見られない大山の顔を見ることができます。

※‌‌この取り組みをしてよかったことは何ですか? �� ここに来てくれるお客様が、食事やお話しで元気になっていくことです。平日営業なので主に高齢者の方が多いです。近くで働く若い人達も来てくれています。ケーブルTVの大山チャンネルで放送してくれたこともあり、少しずつ来る人も増えています。※今後の抱負を教えてください �� 60 ~ 80歳代のメンバーで活動しています。背伸びせず、続けていきたいです。今後は次世代の人達にこの活動を継続してもらえたらと思っています。� (取材:米田)

「甲川うどん」

新入会員

理事の変更がありました

板持 陽子(西部・勤労)   刈田 朱音(中部・医療)    森本美由紀(中部・公衆)林本加奈枝(中部・地域)   山畠恵美子(中部・福祉)   香田 早苗(東部・医療)坂根 良和(東部・医療)   田中 美奈(東部・公衆)   西田茉璃乃(東部・福祉)五十嵐美咲(東部・勤労)   荻原 三鈴(東部・医療)   川本  萌(中部・勤労)

【旧理事】長田 苑子(西部・公衆衛生)林  美穂(東部・医療)渡部 治奈(西部・福祉)

大変お世話になりありがとうございました。 新理事

堀部 朝子西部・公衆衛生

学術部長米子市健康対策課

新理事河原 千明東部・医療

医療部長・調査研究部長尾﨑病院

新理事岡田とよ子西部・福祉

健康支援部長介護老人福祉施設はまなす

〇お詫びと訂正 平成30年1月発行の栄養とっとり80号6ページに誤りがありました。深くお詫び申し上げます。  (誤)松本由紀子⇒(正)松田由紀子(東部、地域、健康支援部)

栄 養 と っ と り 第82号( )4

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〇栄養士の日々の業務 �� 給食業務では献立作成、発注業務、臨床分野では栄養指導、回診などを行っています。〇職場で力を入れていること �� 生協病院では SDH(健康の社会的決定要因)という取り組みに力を入れています。SDHは患者さんの生活環境が疾病や健康に作用するという考え方です。 �� 自分も患者さんの経済状況、家族状況・友人知人とのつながりなど病院内の状態だけでなく、退院後の生活環境などにより添った介入ができる様に日々勉強中です。〇心がけていること �� 食事療法はとにかく覚えることが多く、手間がかかって大変というイメージが強いので、食事療法が少しでも実践・継続できるような工夫をわかりやすく伝えることができる様心がけています。

〇嬉しかったこと �� 患者さんに今日の食事はおいしかった、食事が入院中の一番の楽しみなど声をかけられた際、自分が食事を作っているわけではないのにとてもうれしく思います。 �� 献立をより良い物にしようと思う原動力になります。〇今後の抱負 �� 現在は病院内での業務が中心ですが、退院後の患者さんの生活により添えるような仕事ができる様日々勉強中です。� (取材:徳田)

現場レポート さまざまな分野で活躍する栄養士を取材するコーナーです。今回は、鳥取生協病院 能勢 司さんを紹介します。

平成30年度 第1回 (公社)鳥取県栄養士会理事会報告日 時:平成30年4月29日(日)場 所:北栄町中央公民館大栄分館出席者:理事15名、監事2名議題1:会務報告議題2:各事業部報告

議題3:平成29年度会員状況について議題4:平成29年度事業報告について議題5:平成29年度決算報告について議題6:入会について 賛助会員

平成30年度 第2回 (公社)鳥取県栄養士会理事会報告(定時総会)日 時:平成30年5月26日(土)場 所:とりぎん文化会館

議 題:選任新理事の役割分担について

平成30年度 第3回 (公社)鳥取県栄養士会理事会報告日 時:平成30年7月14日(土)場 所:北栄町中央公民館大栄分館出席者:理事15名、監事2名議題1:会務報告議題2:各事業部報告

議題3:平成30年度会員状況について議題4:平成30年度事業計画について(一部済)議題5:平成31年度予算について議題6:その他

県民公開講座のご案内� (主催:災害事業部)

日 時:平成30年12月2日(日) 10:15 ~ 16:10会 場:倉吉市上灘公民館視聴覚室講 演:「多職種との連携による災害対応~中部地震に学ぶこと~」      倉吉市保健センター 所長  竹 中 啓 子 氏      (一社)鳥取県薬剤師会    小 林 康 治 氏(倉吉市・小林薬局)

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鳥取県民の塩味調味料の使用・摂取状況を調査して(公社)鳥取県栄養士会 調査研究部○三嶋  碧 林  美穂 舩原千恵子 熊谷麻依子 井田 優也 田中 絢奈

【背景・目的】 鳥取県民の塩分摂取量は男女とも減少傾向を示しているが、「健康づくり文化創造プラン」(鳥取県)の1日の塩分摂取量の目標値である男性10g 未満、女性8g未満を達成できていない(H28県民健康栄養調査)。国民健康・栄養調査(H26)で成人の平均塩分摂取量の約7割が調味料由来の塩分であったことから、今後の減塩指導に活かすため、県民の調味料の使用状況を調査した。【方 法】 平成29年11月に20歳以上の鳥取県民を対象としてアンケート調査を実施した。調査項目は、塩味調味料の付加摂取状況や即席調味料の使用状況等である。同意を得て回収した2,737人の調査票を Excelで分析した。【結 果】 普段家庭で食べている食事の味の濃さは外食と比較してどうかを聞いたところ「どちらかというと薄い」が最も多かった(図1)。そのうち、自分で調理する者の方が調味料を付加せず摂取する傾向にあった。家庭の味が「どちらかというと薄い」あるいは「薄い」(以下、薄味)と答えた70%が、調理後に調味料はほぼ加えないと回答し、「濃い」あるいは「どちらかというと濃い」(以下、濃味)の者48%よりも、減塩に気をつけている傾向が認められた(図2)。 市販の即席調味料の使用状況を調べたところ、「カレールウ」が最も多く、家庭の味が濃味の群は、薄味の群に比べてレシピ以上に味を濃くして調理する傾向が認められた(図3)。【考察・まとめ】 5割以上の県民は、家庭での味の濃さが外食と比較し薄味であると思っているが、目標の塩分量より多い、と認識できていないことが伺える。過去実施のアンケートでも「調味料をかけ過ぎないこと」が塩分を控える取り組みと多数が認識しており、食事中にどれくらい塩分が含まれるのか気づける指導が必要である。調味料中の塩分は、目に見えない事もあり減塩に繋げにくい。平成32年度には加工食品等への「食塩相当量」が表示義務化されることから、啓発の取り組みを実施していきたい。

図 1 外食と比較した時の家庭の味付けの濃さ

濃い2%

どちらかとい

うと濃い11%

同じくらい34%

どちらかというと

薄い42%

薄い10%

未記入1%

15%

2%

18%

7%

15%

8%

21%

13%

3%

4%

7%

5%

7%

7%

11%

10%

11%

10%

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15%

48%

70%

33%

50%

1%

0%

0%

1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

自分で調理(濃味)

自分で調理(薄味)

自分以外(濃味)

自分以外(薄味)

図2 家庭の味付けの濃さと付加調味料の使用頻度

ほぼ毎食 1日1回 2日に1回 週2~3回 月に数回 ほぼ加えない 未回答

56%

36%

24%

4%

17%

54%

3%

6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

濃い&どちらかというと濃い

薄い&どちらかというと薄い

図3 家庭での味の濃さと即席調味料の調味について

レシピ通り 濃く作る 薄く作る その他

n=2737

n=225

n=750

n=207

n=666

n=151

n=1074

図 1 外食と比較した時の家庭の味付けの濃さ

濃い2%

どちらかとい

うと濃い11%

同じくらい34%

どちらかというと

薄い42%

薄い10%

未記入1%

15%

2%

18%

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自分で調理(濃味)

自分で調理(薄味)

自分以外(濃味)

自分以外(薄味)

図2 家庭の味付けの濃さと付加調味料の使用頻度

ほぼ毎食 1日1回 2日に1回 週2~3回 月に数回 ほぼ加えない 未回答

56%

36%

24%

4%

17%

54%

3%

6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

濃い&どちらかというと濃い

薄い&どちらかというと薄い

図3 家庭での味の濃さと即席調味料の調味について

レシピ通り 濃く作る 薄く作る その他

n=2737

n=225

n=750

n=207

n=666

n=151

n=1074

図 1 外食と比較した時の家庭の味付けの濃さ

濃い2%

どちらかとい

うと濃い11%

同じくらい34%

どちらかというと

薄い42%

薄い10%

未記入1%

15%

2%

18%

7%

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自分で調理(濃味)

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自分以外(濃味)

自分以外(薄味)

図2 家庭の味付けの濃さと付加調味料の使用頻度

ほぼ毎食 1日1回 2日に1回 週2~3回 月に数回 ほぼ加えない 未回答

56%

36%

24%

4%

17%

54%

3%

6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

濃い&どちらかというと濃い

薄い&どちらかというと薄い

図3 家庭での味の濃さと即席調味料の調味について

レシピ通り 濃く作る 薄く作る その他

n=2737

n=225

n=750

n=207

n=666

n=151

n=1074

第 61 回鳥取県公衆衛生学会で、(公社)鳥取県栄養士会が実施した調査を発表しました。

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鳥取県中部地震における「給食施設における被害と対応」�に関する調査報告~食事提供マニュアルの現状と施設別備蓄状況の課題~

○(公社)鳥取県栄養士会  林  美穂  鳥取大学医学部保健学科 上田 悦子  藤田 宏美

【目 的】 平成28年10月21日(金)に発生した鳥取県中部地震において、現在まで本地震に係る給食施設の個々の被害状況や施設利用者へ提供する栄養や食支援に関する詳細な調査は十分に行われていない。そこで、鳥取県中部地震における「給食施設の被害と対応」に関するアンケート調査研究を行い、今後の要配慮者の災害時における食支援に配慮すべき基礎資料を得ることにした。【方 法】 鳥取県中部地区の「特定給食施設」あるいは「その他の給食施設」の責任者で、本研究への同意が得られた方から回収したアンケートについて、地震発生時の給食の実態や被害施設の復旧状況、また給食施設における備蓄品を分析した。なお本調査は、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得て平成29年10月~ 12月に実施した。�【結 果】 回収率は配布数81に対して回収数69(回収率�85.2%)であった。 「災害時の食事提供マニュアル」があったか、の問いに「有り」と回答したのは69施設中17施設(23%)であった(図1)。そのうち発生時にマニュアルを「計画通り実施できた」あるいは「どちらかというと実施できた」と回答したのは17施設中13施設で、全体の19%であった(図2)。 震災1年後に食料備蓄「有り」と回答した施設を施設種別にみると、学校0%、病院86%、老人福祉施設100%、児童福祉施設73%であった(表1)。また震災後のその充足率を調べたところ、主食では3日分を超える施設もあったが平均1~2日分で、その他の備蓄(食容器類含む)率�は、病院以外は1日未満が大半であった。自由記述回答により、備蓄食の必要性は感じているものの設備的な課題や賞味期限がある事等から、その導入に踏み切れない施設が多いことが明らかとなった。【考 察】 マニュアルを作成していても、ライフラインの被災状況によっては影響を受け、マニュアル通りにはいかない事も多い。しかし、今回の調査で「マニュアル有り」と回答した施設の76%がおおむねマニュアル通りに実施できたと回答していることから、マニュアルの存在意義は大きいと考えられる。そこで鳥取県栄養士会として、各施設のマニュアル作成を支援することを目的とした研修会の開催や、実業務に活かせる事業に取り組むことの必要性を確認した。さらに今後は鳥取県とも連携し、要配慮者の食支援に取り組んでいきたい。

図1 食事提供マニュアルの有無(%) 図2 食事提供マニュアルの運用(%)

表1 災害後 備蓄準備有施設数と割合(%)

全体

(n=69)

学校給食

(n=6)

病院

(n=7)

老人福祉

(n=14)

児童福祉

(n=37)

福祉その

他(n=5)

51

74%

0

0%

6

86%

14

100%

27

73%

4

80%

マニュアル有

23%

マニュアル無

74%

無回答

3%

n=69

計画通り実施

29%

どちらかというと

計画通り実施

47%

どちらかとい

うと計画通り

できなかった

18%

計画通りできなかった

6%

n=17(マニュアル有と回答)

第 61 回鳥取県公衆衛生学会で、(公社)鳥取県栄養士会が実施した調査を発表しました。

栄 養 と っ と り第82号 ( )7

Page 8: 「鳥取県健康づくり文化創造プラン(第三次)」toriei/kikanshi82.pdf伸を目的として一次予防対策、生活習慣病対策、 社会環境の整備の3項目を柱とし、10の分野ごと

編 集 後 記

 今年は日本各地で自然災害が続けて起こっています。県内でも被害に遭われた地域があります。災害時の備えの重要性をひしひしと感じた平成最後の夏でした。ご多忙の中寄稿くださった皆さま、ありがとうございました。� (文責 徳田)

事務局だより※‌‌管理栄養士免許取得・氏名、住所、職域、地域などの変更や県外に転出、県外から転入時にはすぐに変更届の提出をお願いします。(様式は栄養士会ホームページにあります)

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鳥取県栄養士会

栄 養 と っ と り 第82号( )8