有限要素法を用いた溶接変形解析...x y z torch 1 2 33 z y welding pass order...

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大阪府立大学 大学院 柴原 正和 [email protected] http://www.marine.osakafu-u.ac.jp/~lab03/index.htm 有限要素法を用いた溶接変形解析 -産学連携ツールとしての有限要素法の活用- '14.09.29 第1回 関西ものづくり技術シーズ発表会

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大阪府立大学 大学院

柴原 正和 [email protected]

http://www.marine.osakafu-u.ac.jp/~lab03/index.htm

有限要素法を用いた溶接変形解析

-産学連携ツールとしての有限要素法の活用-

'14.09.29 第1回 関西ものづくり技術シーズ発表会

大阪府立大学柴原研究室では、有限要素法を駆

使し、溶接組立時の変形問題、溶接残留応力・割

れ問題、溶接プロセス問題、最適構造/溶接継手設

計を対象として年間20件以上の共同研究を実施し

ている。本日は、その取り組みの一例について紹介

する。

従来手法 (静的陰解法FEM)

解析規模

数万要素程度 溶接継手

GPU並列化理想化陽解法FEM

解析規模

数十万要素程度

多層溶接移動熱源熱弾塑性解析

2010/4

理想化陽解法FEM

解析規模

十数万要素程度 小規模構造物

2009/9

反復サブストラクチャー法(ISM)を適用したGPU並列化

理想化陽解法FEM

解析規模

数百万要素以上 大規模構造物 2011/4

ISM静的陰解法FEM

GPU並列化理想化陽解法FEM

ISM理想化陽解法FEM

24万自由度解析モデル

GPUを利用した理想化陽解法FEMは静的陰解法FEMと比較して650倍高速

本手法(GPU並列化ISM理想化陽解法FEM)

0.0E+00

1.0E+04

2.0E+04

3.0E+04

4.0E+04

5.0E+04

6.0E+04

7.0E+04

8.0E+04

0 100000 200000 300000 400000

80,000

60,000

40,000

20,000

0

10,000

30,000

50,000

70,000

Com

puti

ng T

ime

(s)

0 100,000 200,000 300,000 400,000 Degree of Freedom

静的陰解法FEM

理想化陽解法FEM

x y

z

torch

12

33

z

y

Welding pass order

多層溶接の全パス3次元解析

• 412,400要素 • 427,735節点 • 1,283,205自由度 • 33パス移動熱源問題 • 56,320荷重ステップ

解析規模

幅方向応力 σy

A

理想化陽解法FEMにより43万節点・33パスの 多層溶接残留応力解析が可能

A A’

A’

計算時間:108h

ミーゼス応力

幅方向応力 σy

解析事例2 10パス 相当応力分布履歴

100パス以上の溶接全パスを解析可能

適用範囲が飛躍的に拡大

円筒多層溶接継手に生じる残留応力に関する検討

7

解析モデルおよび条件(X開先) 8

解析モデル

• 1,125,360節点、1,078,920要素、3,376,074自由度、23層、108パス、69,961温度ステップ • 溶接パスグルーピング解析と全パス溶接解析の比較 • 固有ひずみ法による測定結果と残留応力解析結果の比較

解析条件

• 母材 :SUS316、SFVQ1A • クラッド溶接部 :SUS308 • 溶接金属 :ALLOY132

基準モデルの詳細

z

y

x

Welding torch~ Group number

~ Pass number

Base metal 1

(SUSF316)

z

y

x

Base metal 2

(SFVQ1A)

Cladding (SUS308)

Weld metal (ALLOY132)

1

2

3

4

5

6

A

A’

1 6

z = 0.0

14

79

12

1915

23

2831

35

40

4549

54

5863

68

7682

88

93

100108

75

1 108

解析結果 溶接開始位置から180度の断面における軸方向応力分布のパスごとの履歴 (全パス溶接モデル)

600.0

480.0

360.0

240.0

120.0

0.0

-120.0

-240.0

-360.0

-480.0

-600.0

z

y

x

(MPa)

9

測定結果との比較 溶接開始位置から180度の断面における残留応力分布の計測値との比較

• 残留応力分布は軸方向、周方向ともに測定結果 と良好に一致

10

-400

-200

0

200

400

0 10 20 30 40 50 60 70 80

理想化陽解法FEMσz

理想化陽解法FEMσθ

実験σz

実験σθ

応力

(M

Pa)

表面からの距離 (mm)

~ Group number

~ Pass number

Base metal 1

(SUSF316)

z

y

x

Base metal 2

(SFVQ1A)

Cladding (SUS308)

Weld metal (ALLOY132)

1

2

3

4

5

6

A

A’

1 6

z = 0.0

14

79

12

1915

23

2831

35

40

4549

54

5863

68

7682

88

93

100108

75

1 108

人工バリアオーバーパック蓋部の残留応力解析

11

人工バリアオーバーパック蓋部の残留応力解析 12

経済産業省 資源エネルギー庁 放射性廃棄物等対策室 HPより

高レベル放射性廃棄物の最終処分方案

人工バリアオーバーパック蓋部の多層溶接試験体

50 m

m

Welding torch

x

y

z

解析モデル全体図

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

x

y

zA

A’

• 1,039,915節点 • 1,006,368要素 • 3,117,390自由度 • 12溶接パス • 14,964荷重ステップ

解析の概要 溶接部の詳細

解析条件 13

350.0

315.0

280.0

245.0

210.0

175.0

140.0

105.0

70.0

35.0

0.0

(MPa)

x y

z

相当応力分布履歴

大規模溶接残留応力解析が可能

周方向応力分布(180度断面) 14

580.0

490.0

400.0

310.0

220.0

130.0

40.0

-50.0

-140.0

-230.0

-320.0

(MPa)

x

y

z

(a) 1st pass

(b) 2nd pass

(c) 3rd pass

(d) 4th pass

(e) 5th pass

(f) 6th pass

(g) 7th pass

(h) 8th pass

(i) 9th pass

(j) 10th pass

(k) 11th pass

(l) 12th pass

径方向応力分布(180度断面) 15

500.0

410.0

320.0

230.0

140.0

50.0

-40.0

-130.0

-220.0

-310.0

-400.0

(MPa)

x

y

z

(a) 1st pass

(b) 2nd pass

(c) 3rd pass

(d) 4th pass

(e) 5th pass

(f) 6th pass

(g) 7th pass

(h) 8th pass

(i) 9th pass

(j) 10th pass

(k) 11th pass

(l) 12th pass

計測結果・参考との比較 16

0.0

100.0

200.0

300.0

400.0

500.0

600.0

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0

ISMIEFEM

IHI_ABAQUS

IHI_exp

Str

ess σ

x(M

Pa)

A

A’

x

z A

A’

y

IEFEM using ISM

ABAQUS (30゜model)

Experiment

Distance from the top surface (mm)

-600.0

-400.0

-200.0

0.0

200.0

400.0

600.0

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0

ISMIEFEM

IHI_ABAQUS

IHI_exp

Distance from the top surface (mm)

Str

ess σ

z(M

Pa)

A

A’

IEFEM using ISM

ABAQUS (30゜model)

Experiment

x

z A

A’

y

Distance from center (mm)

Dis

pla

cem

ent

(mm

)

-4.0

-3.5

-3.0

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 350.0 400.0

ISMIEFEM deg0

IHI ABAQUS

B’IEFEM using ISM

ABAQUS (30゜model)

x

y

z

B

B’

B

30°

ABAQUSでは

30°カットモデル

を解析

その他の解析事例について

17

・ 自動車部品のスポット溶接解析

・ 4電極サブマージアーク溶接時

における凝固割れ解析

・ 橋梁構造の溶接変形解析

・ 船体の建造シミュレーション

・ 溶接時の座屈問題解析

・ 仮付けの影響についての検討

von Mieses相当応力分布

自動車部品の多点スポット溶接解析

電極

要素数 935,904 節点数 803,500

計算時間 1点あたり約25時間 計 約13日

5cycle 10cycle 15cycle 18cycle 1530

1377

1224

1071

918

765

612

459

306

153

0

1530

1377

1224

1071

918

765

612

459

306

153

0

1点目溶接後 2点目溶接後 3点目溶接後 Y

Z X

片ハット部材

解析結果(3点目まで)

・溶接の進行とともにビードが生成 ・多電極熱源を再現

多電極熱源のモデルの開発

BTR塑性ひずみ増分を用いた凝固割れ評価

が可能

船舶の建造シミュレーション • 船体二重底ブロックを模擬したモデル • パーツ数:42 • 溶接線:69本 • 総節点数:550万(1650万自由度) • 総要素数:440万 • 総荷重ステップ数:20万

1650万自由度の 溶接組立解析が可能

変形解析結果

過渡応力分布

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

0 200 400 600 800 1000角変形 (deg)

Y方向(溶接線垂直方向)座標 [mm]

①フランジ : 有

冶具 : 有

③フランジ : 無 冶具 : 有

②フランジ : 有 冶具 : 無

④フランジ : 無

冶具 : 無

冶具等の影響について検討可能

上フランジ 42パス

下フランジ 45パス

ウェブ 9パス

実験結果と解析結果が 定量的に一致

20万要素・全95パスの移動熱源 熱弾塑性解析を約6日で計算可能

橋梁構造の溶接変形解析

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0 100 200 300 400 500 600

ダイヤルゲージ測定結果理想化陽解法FEMによる解析結果

角変

形量

(deg)

溶接線方向座標 x (mm)

-4

-3.5

-3

-2.5

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0 100 200 300 400 500 600

ノギスによる測定結果理想化陽解法FEMによる解析結果

横収

縮量

(m

m)

溶接線方向座標 x (mm)

理想化陽解法FEMにより 解析を実施

B-B’ A-A’

0

1

2

3

4

5

6

7

8

0 200 400 600 800 1000

Transverse shrinkage (mm)

X軸(溶接線方向)座標 [mm]

②フランジ : 有 冶具 : 無

①フランジ : 有 冶具 : 有

④フランジ : 無

冶具 : 無

③フランジ : 無

冶具 : 有

A B

要素数:192,332 節点数:209,601

溶接方法の選択により 面外変形量が大きく変化

薄板防撓構造

板厚: 6 m m

0

10

20

30

40

50

0 100 200 300 400 500 600 700 800

大変形(陰解法)大変形(理想化陽解法)微小変形

たわみ量

(mm)

入熱量 (J/mm)

たわみ量 ={(A+B)点のz座標} – {(C+D)点のz座標}

-10

0

10

20

30

40

0 500 1000 1500

Q=100(J/mm)Q=300(J/mm)Q=500(J/mm)Q=600(J/mm)Q=700(J/mm)

z方

向変

位[mm]

x方向座標[mm](y=1500)

B A

0

5

10

15

20

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

両側連続片側連続断続並列千鳥

z方

向変

位[mm]

y方向座標[mm](x=0)

F E

理想化陽解法FEMによる固有ひずみを用いた溶接変形解析

固有ひずみの付与箇所

大変形解析を実施

理想化陽解法FEMと陰解法FEMの 解析結果が良好に一致

板厚・仮付け間隔が初パス溶接変形に及ぼす影響は大きい

溶接部

母材

仮付け

t=6mm t=24mm t=40mm

800 mm (100div)

300 mm (46div)

仮付け間隔: 800mm

ビードオンプレート

仮付け間隔: 400mm

仮付け間隔: 200mm

仮付け間隔: 100mm

初パス溶接時の変形について検討する

仮付けを考慮した突合せ溶接時の変形解析

横収縮におよぼす仮付け間隔の影響

-1.2

-1.0

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0.0

0 10 20 30 40 50 60 70

仮付け間隔:800mm仮付け間隔:400mm仮付け間隔:200mm仮付け間隔:100mm連続仮付け(0mm)

横収

縮 (m

m)

板厚 (mm)

-0.20

-0.15

-0.10

-0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0 10 20 30 40 50 60 70

仮付け間隔:800mm仮付け間隔:400mm仮付け間隔:200mm仮付け間隔:100mm連続仮付け(0mm)

横収

縮 (

mm

)

板厚 (mm)

低速溶接 100mm/min

高速溶接 900mm/min

高速溶接 900mm/min

低速溶接 100mm/min

1970 1980 1990 2000 2010Year

102

103

104

106

105

107

108A

nal

ysis

sca

le (

Deg

ree

of

Free

do

m)

1.E+02

1.E+03

1.E+04

1.E+05

1.E+06

1.E+07

1.E+08

1970 1980 1990 2000 2010

本研究: 1650万自由度

Ueda, et al.

Murakawa, et al. 3D analysis

x102

x10 Murakawa, et al. ISM

KIM Juwan, et al.

L.-E. Lindgren, et al. I. Tsuji, et al.

B. L. Josefson, et al.

YUAN Min-Gang, et al.

Under 30,000 elements

2012年現在、1億要素程度の解析が可能

ま と め

本講演では、大阪府立大学柴原研究室

における産学協同研究事例について紹

介した。有限要素法を駆使することで、溶

接組立時に発生する変形の事前予測が

可能であり、また、産学連携研究ツールと

して有限要素法が有用であることを示し

た。

柴原正和:[email protected]

柴原研究室:http://www.marine.osakafu-u.ac.jp/%7Elab03/index.htm