地域公共交通の活性化及び再生について ·...

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地域公共交通の活性化及び再生について 平成19105国土交通省 総合政策局 交通計画課

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Page 1: 地域公共交通の活性化及び再生について · (1)地域住民・来訪者の移動手段の確保 ①コミュニティバスの導入 コミュニティバスは、全国の市区町村(2,216(H17.10.1現在))中、約4割の914市区町村で運行されている。コミュニティバスの運行実態について

地域公共交通の活性化及び再生について

平成19年10月5日国土交通省

総合政策局

交通計画課

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目次11234566788889

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◆地域による地域のための公共交通の活性化・再生を目指して1.地域公共交通の現状と課題バス事業を巡る現状バス事業者の経営努力に限界(バス事業者の疲弊)鉄軌道を巡る現状鉄軌道の廃止状況

2.地域公共交通に関する施策展開の目標(1)地域住民・来訪者の移動手段の確保(2)安全・安心で質の高い輸送サービスの提供(3)まちづくりとの連携(4)交流促進事業・観光事業との連携(5)福祉分野・教育分野との連携(6)地球温暖化対策としての公共交通の利用促進

3.地域公共交通の活性化・再生に向けた今後の取組みのあり方

◆地域公共交通の活性化及び再生に関する法律

◆地域公共交通活性化・再生総合事業

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地域による地域のための公共交通の活性化・再生を目指して交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会報告書(平成19年7月5日)

地域による地域のための公共交通の活性化・再生を目指して交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会報告書(平成19年7月5日)

1.地域公共交通の現状と課題

・自家用乗用車の普及等により、日常生活における自家用乗用車への依存が高まっており、長期的に公共交通の利用者は減少傾向

公共交通からマイカーへシフト

・地方鉄軌道事業者の約8割が赤字・乗合バス事業者の約7割が赤字・一般旅客定期航路事業者の約7割が赤字 (平成17年度)

交通事業者の大半が赤字

・地方都市、過疎地域における交通空白地帯の出現・都市部における交通渋滞等によるバスの走行環境の悪化 等

公共交通サービスの低下

地域公共交通の危機的状況

○多数のバス路線の廃止・撤退○乗合バス事業の法的整理が続出

○全国的に地方鉄軌道の路線廃止が進んでいる

地域の活力維持に支障が生じる

○高齢者・通学者等の交通弱者の移動手段の確保が困難○自家用車への依存を高め、交通渋滞・環境問題等が発生

悪循環を断ち切り、地域公共交通の活性化・再生するための施策が不可欠

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バス事業を巡る現状バス事業を巡る現状

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90000

バス路線廃止キロ平成8年度以降の累計

平成8 14 15 16 179 10 11 12 131615105平元6055昭50

輸送人員の推移(三大都市圏以外)

4795

1653

(百万人)

(㎞)

○宮城交通による路線バス廃止申出

地方バス廃止に関する事例

・平成17年12月、宮城交通(株)及び地域子会社から、運行している系統の1/4にあたる107系統の廃止申出

・平成18年6月から9月に107系統について廃止届が出され、このうち7系統は運行継続、34系統は今後引き続き協議、66系統は廃止(うち51系統は自治体のコミュニティバス等に転換)

○いわさきグループによる路線バス廃止

・平成18年5月、いわさきグループ5社から、運行している763系統の4割強にあたる208区間、323系統の廃止の申し出

・平成18年11月、廃止の申し出がなされた323系統のうち、

・20系統 運行継続・143系統 市町村・県等が補助を行い系統維持

(コミバス、廃止代替バス等に転換)・160系統 廃止

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・乗合バス事業の法的整理が続出・保有車両30両以上の乗合バス事業者において民間事業者の67%、公営事業者は100%事業者が赤字

バス事業者の経営努力に限界(バス事業者の疲弊)バス事業者の経営努力に限界(バス事業者の疲弊)

会社更生法○京都交通㈱○水間鉄道㈱

○九州産業交通㈱○関東自動車㈱○宮崎交通㈱

○北海道旅客鉄道㈱(JR北海道バス㈱)○箱根登山鉄道㈱○いわさきコーポレーション○立山黒部貫光㈱○国際興業㈱○日立電鉄㈱ 他4者

産業活力再生特別措置法関係

○那覇交通㈱○北都交通㈱○富士交通㈱○琉球バス㈱

民事再生法

○大分バス㈱(私的整理)○茨城交通㈱(私的整理)○常磐交通自動車㈱(特別清算予定)○中国バス㈱(私的整理)

その他

平成11年以降に法的整理に至った主な(再生)事例

産業再生機構支援

収支状況(平成17年度、保有車両30両以上の254者)

民営 公営 計

収入(億円) 5,834 1,836 7,670

支出(億円) 6,081 2.165 8,247

損益(億円) △247 △329 △577

経常収支率 95.9% 84.8% 93.0%

赤字事業者の比率 66.8% 100% 70.5% 3

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鉄軌道を巡る現状鉄軌道を巡る現状

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200

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400

500

・地方民鉄において、旅客輸送人員は昭和50年の約65%まで低下しており、低下傾向にある。

旅客輸送量の推移(※地方民鉄)

昭和50 55 60 平成元 5 10 15

鉄軌道廃止延長

平成12年度以降の累計

・平成12年度以降、地方路線を中心に路線廃止が続いており、廃止延長は約480kmに上る。(鹿島鉄道、くりはら田園鉄道、西日本鉄道宮地岳線:

平成19年4月廃止)

平成12 13 14 15 16 17 18

480

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

(百万人)

419

268

昭和50 55 60 平成元 5 10 15 16

(社)日本民営鉄道協会加盟73社のうち、大手民鉄16社、大都市高速鉄道7社等を除く46社((社)日本民営鉄道協会「地方民鉄の活性化と再生を求めて」平成17年3月)

※ ※ 貨物営業路線、他事業者主体への譲渡、代替路線開業による廃止路線を除く。

※ 平成12年度~17年度は鉄道要覧(平成13~18年度版)より算出。

※ 平成18年度は運輸局資料による。

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北海道ちほく高原鉄道(平成18年4月)

下北交通(平成13年4月)

南部縦貫鉄道(平成14年8月)

くりはら田園鉄道(平成19年4月)

日立電鉄(平成17年4月)

鹿島鉄道(平成19年4月)

長野電鉄河東線(一部)(平成14年4月)

神岡鉄道(平成18年12月)

京福電気鉄道永平寺線(平成14年10月)

有田鉄道(平成15年1月)

JR西日本可部線一部(平成15年12月)

西日本鉄道宮地岳線一部(平成19年4月)

のと鉄道七尾線一部(平成13年4月)能登線(平成17年4月)

桃花台新交通(平成18年10月)

高千穂鉄道(一部)【休止中】(平成19年9月)

名古屋鉄道竹鼻線・八百津線・揖斐線一部・谷汲線(平成13年10月)三河線一部(平成16年4月)揖斐線(平成17年4月)

南海電気鉄道和歌山港線(一部)(平成14年5月)

名古屋鉄道岐阜市内線・美濃町線・田神線(平成17年4月)

鉄道

鉄道(予定)

軌道

◆平成12年度以降の地方部の鉄軌道の廃止路線(廃止予定路線※を含む)

島原鉄道一部(予定)(平成20年4月)

三木鉄道(予定)(平成20年8月)

(注)鉄道の廃止予定路線については、国土交通省に鉄道事業の廃止を届け出て、現在まで後継事業者が確定していない路線を記載している。なお、廃止予定年月は鉄道事業廃止届出に記載されている年月を記載している。

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2.地域公共交通に関する施策展開の目標

(1)地域住民・来訪者の移動手段の確保①コミュニティバスの導入

コミュニティバスは、全国の市区町村(2,216(H17.10.1現在))中、約4割の914市区町村で運行されている。コミュニティバスの運行実態について(平成17年10月1日現在の実態調査)

※(参考) 平成18年1月1日現在の市町村数は、2,052 市町村となっている。

コミュニティバス・乗合タクシー運行の事例

【コミュニティバスの運行目的】〔1〕4条路線の廃止代替 31%〔2〕交通空白地帯の解消 27%〔3〕市街地活性化 19%〔4〕その他(例) 18%・買い物・通院支援対策・交通弱者支援

②交通空白地帯の解消27%

①廃止代替31%

⑤不明5%

④その他18%

③市街地活性化19%

平成18年5月の道路運送法の一部改正により、デマンドバスや乗合タクシーといった定期定路線以外の乗合旅客の運送についても「乗合事業」の許可でサービス提供が可能に(平成18年10月1日施行済)

①「ムーバス」(東京都武蔵野市)交通空白不便地域の解消、バス利用の促進及び吉祥寺駅周辺の交通渋滞の緩和等のため、武蔵野市が関東バス㈱、小田急バス㈱に委託して平成7年から運行。運賃は100円均一。車いす対応。

②「生活バスよっかいち」(三重県四日市市)NPO法人が、地元企業からの協賛金及び四日市市からの財政支援により、三重交通に運行委託を行い、平成15年より運行。

③ おだかe-まちタクシー(福島県南相馬市(旧小高町H18.1.1合併))小高町商工会が中心商店街の活性化を目的として乗合タクシー導入。時刻表に基づいて運行するが、需要の少ない区間は電話予約があるときのみ運行。

②福祉有償運送

長野県中川村の事例同村では、学生や一般客を対象にする村営巡回バス、高齢者等を対象にする過疎地有償運送、障害者・要介護者等を対象にした福祉有償運送を、地域住民、NPO法人、社会福祉協議会、村が連携・協働して展開している。

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(2)安全・安心で質の高い輸送サービスの提供

①安全・安心な輸送サービスの提供

②シームレスな輸送サービスの提供

水陸両用バスの導入本年6月16日~6月30日の間、大阪の観光活性化を目的に、NPO法人、交通事業者、観光事業者が連携し、なんばパークスから毛馬桜之宮公園までは陸路、そこから大川に入り水域を周遊し同じコースを戻る(約20km)日本初の水陸両用バスの営業運行を実施。

鉄道とバス路線の近接を図った例広島電鉄平良駅(現:廿日市市役所前駅、広島県廿日市市)は、平成18年に駅の改良とバスロータリーの設置が行われ、段差なしに対面で鉄道とバスの乗り継ぎが可能となった。併せて、廿日市市が運行しているコミュニティバス「さくらバス」の経路を乗り継ぎが便利となるよう変更した。

③速達性・定時性の確保・向上

BRTの例(神奈川中央交通)平成17年3月に導入。連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バスロケーションシステムの導入やバス停の整備、フィーダー(支線)バスの運行を行い、駅前の混雑緩和、定時性・高速性の確保を図り、本格的BRTを目指している。

LRTの例(富山ライトレール)平成18年4月に開業。JR富山港線(全長8km)を富山駅付近の1.1kmは道路敷内に軌道を新設してLRT化(全長7.6km)し、LRT化と併せて新駅の設置、運行ダイヤの増発などのサービスレベルの向上を図っている。

海上運送における速達性向上の例(津エアポートライン)平成17年2月より、津~中部国際空港間を直結する航路が開設された。陸上交通に比べ、大幅な時間短縮等が図られ、通勤に利用する乗客も発生するなど、利便性の大幅な向上が図られている。

④乗りたくなるサービスの提供

割安な1日乗車券の導入(名古屋市交通局)平成18年4月より通常の1日乗車券と比較して安価な、土・日・休日、毎月8日(名古屋市環境保全の日)等のみ利用可能である「ドニチエコきっぷ」を導入。この乗車券の提示による沿線施設の割引も実施され、平成18年度には当初の予測を大幅に上回る1日あたり18,500枚、全241万枚を発売した。

車両の改善(和歌山電鐵貴志川線)貴志川特産のいちごをテーマに著名なデザイナーの手により従来の車両を大胆にリニューアルした「いちご電車」を導入しており、今後も「おもちゃ電車」の導入を予定するなど、利用者が乗りたくなるサービスの提供に努めている。

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(3)まちづくりとの連携

金沢市の事例「金沢市における歩けるまちづくりの推進に関する条例」、「金沢市における駐車場の適正な配置に関する条例」、「金沢市における公共交通の利用の促進に関する条例」の3本の条例を制定し、公共交通・歩行者優先のまちづくりを推進してい

る。横安江町商店街においては、トランジットモールを実施している。

富山市の事例公共交通中心のコンパクトなまちづくりを推進する観点から、LRTの整備やJR高山本線の増便による活性化に代表される幹線交通としての鉄軌道整備と、フィーダー交通としてのバス路線等の整備を行うことで、利便性の高い輸送サービスの実現と各モードが機能的に連携する公共交通ネットワークの整備を通じた市全体の活性化を目指している。

(4)交流促進事業・観光事業との連携

車両や輸送サービス自体が観光資源の例(坊っちゃん列車)伊予鉄道が平成13年から、松山市内(松山市駅・松山駅前・道後温泉駅等)を、夏目漱石著「坊っちゃん」にも登場した蒸気機関車を模したディーゼル機関車牽引の列車を運行しており、観光の目玉の1つとなっている。

観光地における自動車流入規制の例(石見銀山)平成19年4月より、交通渋滞の緩和等のため、車両の種類による進入・駐停車可能区域の区分、無料駐車場の整備、行先別に赤・緑のマークで区分されたバスや1日乗車券の発行によるパークアンドライド(P&R)の実施等によるマイカーの流入規制、公共交通利用促進策を実施している。

(5)福祉分野・教育分野との連携

子育てタクシータクシーのドア・ツー・ドアの利便性・機動性といった特性を活かした、子ども連れなどの輸送ニーズに対応した子育て世代の利用者が利用しやすい新たなタクシーサービスである「子育てタクシー」の取組みが、花園タクシー(香川県高松市)等で行われている。

バスの出前授業山梨交通では、将来の利用者開拓を目的として、路線バスの乗り方や車両の構造説明、車内機器操作の実演、新旧バスの乗り比べ、「エコドライブ」や「アイドリングストップ」など環境保全に取り組む公共交通が社会へ果たす役割等を、学校に出向き無料で説明する「バスの出前授業」を実施。

(6)地球温暖化対策としての公共交通の利用促進

埼玉県三郷市・八潮市の事例平成17年から環境的に持続可能な交通(EST)モデル事業を実施。鉄道開業に伴うバス交通ネットワークの再編、バス共通ICカードの導入、鉄道・バス相互の情報提供システム整備、サイクルアンドライド(C&R)の促進、モビリティ・マネジメント(MM)等、公共交通利用促進策を展開。 8

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3.地域公共交通の活性化・再生に向けた今後の取組みのあり方

地域公共交通活性化・再生策の実施にあたって

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地域公共交通活性化・再生策の実施にあたっては多くの困難が伴う

【事情・背景(例示)】

○費用負担の問題

○地方公共団体の地域公共交通対策担当部局の体制・要員の不足

○ノウハウ・事例等の情報不足

○利用者・住民等のニーズの把握が困難

○交通事業者、利用者・住民等、商業施設・事務所・病院・学校等多岐に渡る利害関係者の調整が困難

○地域のニーズは多種多様であり、市町村を中心に、公共交通事業者、地域住民等地域の関係者が地域

公共交通について総合的に検討し、当該地域にとって最適な公共交通のあり方について合意形成を図り、合意に基づき各主体が責任を持って推進することが重要。

○国は、公共交通を積極的に活用していく取組みを、国民運動となるよう総合的に支援。

施策展開の基本的方向性

打開策は?

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○利用者のニーズを踏まえた必要かつ適切なサービスの提供○利用者に対する情報提供

○地域公共交通のあり方の検討への積極的参加

交通事業者

○市町村への支援(情報提供・助言・人材育成や財政支援等)○地域の関係者間の調整

都道府県

多様な主体の連携・協働

「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を活用して、

地域の関係者による合意形成やこれに基づく取組みを推進

○制度・支援措置の充実

○人材育成○情報提供○技術開発の推進

「地域のニーズに応じた効率的な乗合旅客輸送サービス導入・促進マニュアル」

(中国運輸局)

○地域公共交通を支える担い手としての取組み

商業施設・事務所・病院・学校等

商業施設の協力によるパーク・アンド・ライド(香川県三木町)

○地域公共交通のあり方を自ら主体的に検討

○地域公共交通を支える継続的な取組み

利用者・住民等

住民主導で導入したやぐちおもいやりタクシー(広島県広島市)

○地域の関係者の取組みをサポート

学識経験者・コンサルタント等

バス110番(岩手県立大・元田教授、名大・加藤准教授ほか)

○交通のプロデューサーとしての主体的な、地域全体におけるモード横断的な観点からの計画的検討○地域公共交通の維持・運営の取組み○地域の関係者との連携、リーダーシップの発揮

市町村

きくちあいのりタクシー(熊本県菊池市)

上限200円バス(京都府京丹後市)

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活力ある都市活動、観光振興

地域公共交通の活性化・再生の必要性

住民の足の確保、ユニバーサル社会の実現 環境問題等への対応

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)-主体的に創意工夫して頑張る地域を総合的に支援--主体的に創意工夫して頑張る地域を総合的に支援-

基本方針 (国のガイドライン)

関連交通事業法の事業許可等の手続きの合理化等

1.計画の作成・実施

2.新たな形態による輸送サービスの導入円滑化

スキーム概要

市町村 公共交通事業者 ※ 道路管理者 住民*

協議会

主務大臣(国土交通大臣・総務大臣)は、地域公共交通の活性化及び再生に関する基本方針を策定

注1 LRT(Light Rail Transit)低床・バリアフリー設計の新車の投入、屋根付きの快

適な停留所、高速・定時性の確保等を組み合わせた機能を備えた次世代型路面電車システム

注2 BRT(Bus Rapid Transit)輸送力の大きなノンステップバスの投入、バス専用

レーン、公共車両優先システム等を組み合わせた高次の機能を備えたバスシステム

港湾管理者 公安委員会* ※鉄道、軌道、バス、タクシー、旅客船等

IMTS(インテリジェント マルチモード トランジット) 水陸両用車

DMV(デュアル モード ビークル)・軌道と道路の両方の走行が可能な車両

・磁気誘導による専用道路部分と一般道路の両方を走行する車両

※国家公安委員会、環境大臣に協議

・協議会の参加要請応諾義務(*公安委員会、住民は除く)

・計画策定時のパブリックコメント実施・計画作成等の提案制度・協議会参加者の協議結果の尊重義務

地域公共交通総合連携計画

乗合タクシーやコミュニティバス

鉄道活性化 乗継円滑化 海上運送高度化

LRT整備

BRT整備

・計画策定経費支援・関係予算を可能な限り重点配分、配慮

・地方債の配慮・情報、ノウハウの提供・人材育成 等

予 算 等

法律上の特例措置・LRT整備に関する軌道事業の上下分離制度の導入・LRT車両購入費、BRTの車両購入費、オムニバスタウン計画に基づく施設整備事業等について自治体助成部分の起債対象化・鉄道再生実施計画作成のための廃止予定日の延期・関連交通事業法の事業許可等の手続きの合理化 等

地域の関係者が地域公共交通について総合的に検討し、地域のバス交通の活性化や地方鉄道の活性化など地域住民の移動手段の確保、都市部におけるLRTやBRTの導入や、バスの定時性・速達性の向上、乗継の改善等、地域公共交通のあらゆる課題について、当該地域にとって最適な公共交通のあり方について合意形成を図り、合意に基づき各主体が責任を持って推進。国は、これを総合的に支援。

【地域公共交通特定事業】・LRTの整備 ・BRTの整備、オムニバスタウンの推進・海上運送サービスの改善 ・乗継の改善 ・地方鉄道の再生

平成19年10月1日施行

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LRTシステム整備費補助

補助率 国1/4自治体1/4事業者1/2

起債対象化

・LRTに係る車両購入費等に対する支援

地域公共交通活性化・再生事業

補助率 国1/3自治体1/3協議会1/3

交付税措置

・ 「地域公共交通総合連携計画」の策定に対する支援

「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく地方公共団体に対する財政的支援について

自動車運送事業の安全・円滑化等総合対策事業

補助率 国1/4自治体1/4事業者1/2

○交通システム対策事業

起債対象化

・BRTに係る車両購入費等に対する支援

○オムニバスタウン整備総合対策事業補助率 国1/3

自治体1/3事業者1/3

起債対象化

・オムニバスタウン計画に基づく調査、施設整備事業等に対する支援

※上記の支援措置のほか、オムニバスタウン、BRTについては、地方バス路線確保に係る既存の交付税措置を活用して支援を行う。

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地域公共交通活性化・再生法の趣旨に基づき、関係自治体、交通事業者、住民その他地域の関係者が連携して、自主的・積極的に取り組む地域を重点的に支援する。

20年度要求額3,000百万円(新規)

<内 容>地域公共交通活性化・再生法は、本年10月より施行される予定であり、地域における合意形成、合意に基づく取組みの確実な実施のための環境整備が図られる。この法律を活用し、地域の多様なニーズに応えるため、鉄道・バス・旅客船等の事業をパッケージで地域の協議会に対し一括支援する柔軟な制度を新たに設けることにより、地域の創意工夫ある自主的な取組みを促進する。

<うち、重点施策推進要望2,000百万円>

市町村 公共交通事業者 道路管理者 住民協議会

港湾管理者 公安委員会 等

・協議会の参加要請応諾義務・計画策定時のパブリックコメント実施・計画作成等の提案制度・協議会参加者の協議結果の尊重義務

地域公共交通総合連携計画

地域公共交通の活性化及び再生を総合的かつ一体的に推進するための計画

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年10月1日施行)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成1919年年1010月月11日施行)日施行)

地域公共交通総合連携計画に位置付けられた事業のうち協議会が実施する事業 新支援制度による支援

【計画的取組の実現】・計画に対する補助で、計画的な事業実施が可能

【協議会の裁量確保】・事業をパッケージで一括支援・メニュー間、年度間における柔軟な事業の実施

【地域の実情に応じた支援の実現】・地域の実情に応じた協調負担の実現

【事業評価の徹底】・成果を事後評価し、効率的・効果的な事業実施を確保

※補助率 1/2、1/3 等

(例)・公共交通の利用促進活動(レンタサイクル、イベント、広報、乗継割引運賃・周遊切符等のシステム設計等)・鉄道の増便・ダイヤ変更等の実証運行・コミュニティバス・乗合タクシーの導入・旅客船の航路再編・増便・ダイヤ変更の実証運航

地域公共交通活性化・再生総合事業地域公共交通活性化・再生総合事業

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Page 16: 地域公共交通の活性化及び再生について · (1)地域住民・来訪者の移動手段の確保 ①コミュニティバスの導入 コミュニティバスは、全国の市区町村(2,216(H17.10.1現在))中、約4割の914市区町村で運行されている。コミュニティバスの運行実態について

企業の事業所等におけるモビリティ・マネジメントについて

・ 1人1人のモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも望ましい方向(過度な自動車利用から公共交通等を適切に利用する、等)に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策

・ 1人1人のモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも望ましい方向(過度な自動車利用から公共交通等を適切に利用する、等)に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策

モビリティ・マネジメント(MM) とは

企業の事業所等におけるモビリティ・マネジメントの概要

自家用通勤自動車に

よる道路渋滞の発生

通勤バス

・周辺環境の悪化

・交通事故

取組前 取組後

・自社単独、あるいは近隣の事業所と共同で通勤バスを導入

自宅・社宅・寮 等

社宅・寮 等

・従業員に、通勤手段の転換等を呼びかけ

鉄道駅 等

企業 等企業 等

期待される効果

①公共交通機関の利用促進, ②交通問題の緩和(渋滞・環境問題), ③地域の活性化, 等

今後の展望

今後、国としても積極的に推進していく。

予算補助等の支援も検討中。

※京都議定書目標達成計画において

85万トンのCO2排出削減が義務づけられている

・自転車通勤のための「社有自転車」を購入

・従業員駐車場の削減

・相乗り制度の導入

・通勤手当ての見直しにより、車以外の手段への転換を促進

・従業員の通勤実態を調査

・従業員への電車やバスの時刻表・路線図等情報提供

・バス事業者等へ路線拡充、運行頻度増加の働きかけ

相乗り

自転車

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