乳がん領域の外来化学療法レジメンurayaku/sp/area_connection/...グラニセトロン+デキサート注9.9mg...

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市大センター病院・薬局間地域連携ワーキングセミナー 乳がん領域の外来化学療法レジメン 横浜市立大学附属市民総合医療センター 薬剤部 徳丸 隼平 平成30年9月26日 ヨッチー

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市大センター病院・薬局間地域連携ワーキングセミナー

乳がん領域の外来化学療法レジメン

横浜市立大学附属市民総合医療センター

薬剤部

徳丸 隼平

平成30年9月26日

ヨッチー

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乳がんの治療の流れ

がん情報サービス「乳がん」より抜粋

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病型別の薬物療法

病型(サブタイプ)免疫染色 推奨される薬物療法

Luminal Aホルモン陽性、HER2陰性、

low Ki67

ホルモン療法単独

(原則として化学療法は行わない)

Luminal Bホルモン陽性、HER2陰性、

high Ki67ホルモン療法±化学療法

Luminal-HER2 ホルモン陽性、HER2陽性 ホルモン療法+抗HER2療法+化学療法

HER2 ホルモン陰性、HER2陽性 抗HER2療法+化学療法

Triple negative ホルモン陰性、HER2陰性 化学療法

St Gallen 2011

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EC / dose dense EC / TC / DOC / weekly PTX / nab-PTX /

AVA-PTX / D(E)TP / T-DM1 / Eribulin / VNR / GEM / CPT-11

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位置づけ

術前術後補助化学療法

進行再発乳癌(ECのみ)

レジメン

エピルビシン 90 mg/㎡

エンドキサン 600 mg/㎡

21日(dosedenseは14日)毎

※周術期は4コース

※進行再発使用では積極的に減量

支持療法

アロキシ+デキサート注 9.9mg day1イメンド(125) 1C分1 day1イメンド(80) 1C分1 day2-3ファモチジン(20) 1T分1 day1-5ノバミン 1T/回 5回分

吐き気時酸化マグネシウム(330) 3T分3

5日分 自己調節可レボフロキサシン(500) 1T分1

38度以上発熱時

※dose denseのみジプレキサザイディス(5) 1T分1 眠前ロキレバ 1T/回 5回分 痛いとき

EC / dose dense EC

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主な副作用悪心嘔吐(高度)、便秘、骨髄抑制、口内炎、脱毛、倦怠感、血管炎

心機能障害(必ず投与前に心エコー検査で左室駆出率確認)、出血性膀胱炎

注意事項、モニタリングポイントday2以降のデカドロン錠は削除.ただし吐き気、倦怠感があれば再開

CINVリスクが高い方にはジプレキサ(5) day1-4眠前追加

day1のジプレキサ内服前に症状が出る場合は点滴前日投与にすることも

赤色尿と出血性膀胱炎の区別

アンスラサイクリンの累積投与量に注意(とくに他院治療歴)

(dose dense EC療法の場合)

リンパ球数 500/μL未満に落ちた場合、ニューモシスチス肺炎予防にST合剤

ジーラスタ投与が必須→腰痛に屯用のロキソプロフェン使用

Hb、Pltはジーラスタによって補填されないため注意深くモニタリング

→輸血や鉄剤対応

EC / dose dense EC

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ペグフィルグラスチム

血清中ペグフィルグラスチム濃度及び好中球数の中央値

2014年11月薬価収載の持続型G-CSF製剤(106,660円/回)

効能効果

がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制

推奨投与時期

がん化学療法終了後24時間~72時間

投与対象者

FN発症率が20%を超えるレジメン、もしくはFN発症率が10-20%の

レジメンでFN発症のリスク因子を有する患者

乳腺での投与対象(希望制)

dose dense ECは必須

EC,TC,DOCは必要に応じて

腰背部痛に注意

ジーラスタ®適正使用ガイドより一部抜粋

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G-CSF適正使用ガイドライン 2013年版 一般社団法人 日本癌治療学会編

発熱性好中球減少症(FN)発症のリスク因子

初回治療前のFNのリスクの評価

ASCO NCCN EORTC

• 高齢者(65 歳以上)• PS†不良• FN の既往歴††

• 広範囲放射線照射などの強い前治療

• 化学放射線療法• 腫瘍の骨髄浸潤による血球

減少• 栄養状態不良• 開放創や活動性感染の存在• 進行がん• 重篤な合併症

• 高齢者(65 歳以上)• PS†不良• 化学療法施行歴• 放射線治療歴• 治療前好中球減少• 腫瘍の骨髄浸潤• 感染や開放創• 最近の手術歴• 腎障害• 肝障害(ビリルビン高値)

• 高齢者(65 歳以上)• 進行がん• FN の既往歴††

† performance Status(PS)とは全身症状の指標であり,Eastern Cooperative Oncology Group によって分類される。0:無症状,1:軽度の症状があり,2:日中の50%以上は起居,3:日中の50%以上は就床,4:終日就床

††レジメンの異なる先行化学療法におけるFNの既往歴

G-CSF適正使用ガイドライン 2013年版 Ver.2 一般社団法人 日本癌治療学会編

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TC

位置づけ

術後補助化学療法(luminal)

レジメン

ドセタキセル 75 mg/㎡

エンドキサン 600 mg/㎡

21日毎 4コース

支持療法

アロキシ+デキサート注 9.9mg day1デカドロン(4) 2T分1 day2-3ランソプラゾール(15) 1T分1 day1-5酸化マグネシウム(330) 3T分3

5日分 自己調節可ビーソフテンクリーム 50g 1日3回

手足を中心に乾燥気味な部位の保湿レボフロキサシン(500) 1T分1

38度以上発熱時ロキレバ 1T/回 10回分 痛いとき

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主な副作用(発現時期、発現率)過敏症、悪心嘔吐(中等度)、便秘、骨髄抑制、 口内炎、脱毛、

関節・筋肉痛、浮腫、出血性膀胱炎、皮膚障害、間質性肺炎

注意事項、モニタリングポイントday3のデカドロン終了翌日に倦怠感が増悪するケースが多い

day4-7に倦怠感、関節痛、皮膚障害が集中する

1コース目のday4付近は家で静かに過ごすことを勧める

関節痛発現した場合は3,4日症状が継続するため、屯用指示のロキソプロフェン

の定時内服をお勧めし無効であればトラムセット

皮膚障害は一時的で軽度なケースが多いため主科によるステロイド軟膏で対応

中等度催吐リスクでイメンドは含まれないため、症状発現時にはイメンド追加

DOCの間質性肺炎に注意

TC

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DOCによる浮腫

DOCの総投与量が300-400mg/㎡で発現しやすい(用量依存性)

下肢浮腫から発症し、全身浮腫へ移行、重篤な例では胸水、腹水が貯留する

血栓との鑑別に留意(浮腫は両側性)

DOCセット処方

デカドロン錠(4mg)2錠分2 day2-3

浮腫予防に対するコルチコステロイドの有用性

JCO September 1997 vol. 15 3149-3155

倦怠感が強い場合にはデカドロンの延長も考慮

浮腫が強い場合は利尿薬(フロセミド 20mg分1)を検討

→下肢浮腫のチェックをお願いします

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DOC / weekly PTX / nab-PTX / AVA-PAC

支持療法DOCグラニセトロン+デキサート注 9.9mg day1デカドロン(4) 2T分1 day2-3ランソプラゾール(15) 1T分1 day1-5酸化マグネシウム(330) 3T分3

3日分 自己調節可ビーソフテンクリーム 50g 1日3回

手足を中心に乾燥気味な部位の保湿ロキレバ 1T/回 10回分 痛いとき

wPTXデキサート注 6.6mg(毎週漸減)

+ガスター注+ポララミン注nab-PTXデキサート注 6.6mgデカドロン(4) 1T分1 day2-4ロキレバ 1T/回 15回分 痛いとき

AVA-PACデキサート注 8.25mg(毎週漸減)

+ガスター注+ポララミン注

位置づけ

術前術後補助化学療法(3M)

進行再発乳癌

レジメン

・ドセタキセル 75 mg/㎡

21日毎 ※周術期は4コース

・パクリタキセル 80 mg/㎡

7日毎(12連続/3投1休)

・アブラキサン 260 mg/㎡

21日毎 ※周術期は4コース

・パクリタキセル 90 mg/㎡

+アバスチン 10mg/kg

28日毎 ※周術期は4コース

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タキサン系による末梢神経障害

一回投与量、総投与量が多い程出現しやすい蓄積毒性

頻度

nab-PTX(63.7%)>wPTX(60%)>DOC(20%)

支持療法薬

十分なエビデンスのある治療は現状存在しない

弱い推奨 サインバルタ

考慮してもよい リリカ、牛車腎気丸、メコバラミン等

対応

生活に支障のあるしびれ(Grade3以上)を認めた場合

には休薬・減量が原則となる

当科では指標としてボタンの開け閉め、リモコン操作、

箸の操作に影響があるかないかを判断基準としている

足の痺れによる転倒に注意が必要

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主な副作用の違い

注意事項、モニタリングポイント副作用の希望で薬剤選択(TNはnabPTX、EC無効はAVA-PACの傾向)

副作用に不耐であればクール途中からでも他のタキサンへ変更もある

DOC / weekly PTX / nab-PTX / AVA-PAC

DOC wPTX nab-PTX AVA-PAC

骨髄抑制 強 弱 中 中

悪心嘔吐 弱 弱 弱 弱

倦怠感 強 弱 弱 弱

関節痛 強 弱 強 弱

末梢神経障害 弱 中 強 中

皮膚障害 強 弱 弱 弱

アレルギー 強 強 弱 強

たんぱく尿 - - - 強

間質性肺炎 ○ △ ○ △

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D(E)TP

進行再発乳癌 1st line(HER2)

近々adjuvantも承認予定

レジメン

ドセタキセル or ハラヴェン

+ハーセプチン 8(6) mg/kg + パージェタ 840(420) mg/body

21日毎

D(E)TP / T-DM1

支持療法カロナール(200) 3T/回 点滴30分前

T-DM1

進行再発乳癌 2nd line(HER2)

レジメン

カドサイラ 3.6 mg/kg 21日毎

支持療法カロナール(200) 3T/回 点滴30分前グラニセトロン+デキサート注 3.3mg day1

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主な副作用(DOC、Eribulinは各論参照)TP:下痢、インフュージョンリアクション、心機能障害

T-DM1:血小板減少、倦怠感、悪心、下痢、肝機能障害、心機能障害

注意事項、モニタリングポイントTP:

心機能で投与規定あり(LVEF<40% or 40-50%でベースから10%低下)

定期的(12週毎)な心エコー検査と問診を行うこと

投与間隔6週間以内は継続用量で使用可能

DOC6コース > Eribulin継続

T-DM1:

チューブリン阻害薬が結合しておりHER抗体だが殺細胞的な副作用に注意

1コース目day8の血小板が最も低値(nadir)を示す

TPの後に投与するがインフュージョンリアクションが起こる

肝機能障害に注意

D(E)TP / T-DM1

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薬剤性の心毒性

ドキソルビシンやエピルビシン等のアンスラサイクリン系抗がん剤は累積投与量により不可逆的な心筋障害を引き起こす

トラスツズマブによる心毒性は可逆的であり中止により改善する

投与前及び治療開始後も定期的に心機能評価(心エコー)を実施

左室駆出率45-50%以下で投与中止する

初期症状

手足のむくみ、体重増加、労作時呼吸困難、息切れ

5%の心毒性が出現する累積投与量

ドキソルビシン 500 mg/㎡

エピルビシン 900 mg/㎡

岡元るみ子 監修「がん化学療法副作用対策ハンドブック」より抜粋

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Eribulin / VNR / GEM / CPT-11

位置づけ

進行再発乳癌 late line

レジメン

・ハラヴェン 1.4 mg/㎡

21日毎(2投1休)

・ロゼウス 25 mg/㎡

21日毎(2投1休)

・ゲムシタビン 1250 mg/㎡

21日毎(2投1休)

・イリノテカン 100 mg/㎡

35日毎(3-4投2休)

支持療法Eribulinデキサート注 3.3 mg day1

VNRデキサート注 3.3 mg day1(VNR後)

GEMデキサート注 3.3 mg day1

CPT-11アロキシ+デキサート注 6.6 mg

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Eribulin / VNR / GEM / CPT-11

主な副作用いずれも好中球減少が注意事項で副作用の負担は少ない.

late lineで使用されるため度重なる前治療の影響で骨髄抑制が重篤化しやすい.

減量・延期を前提とした治療設計

Eribulin:好中球減少、神経障害

VNR:好中球減少、静脈炎

GEM:好中球減少、血管痛、間質性肺炎

CPT-11:好中球減少、下痢、悪心、間質性肺炎

注意事項、モニタリングポイント

Eribulin:肝機能障害があると好中球減少が重篤化する.他3剤への優越性あり

VNR:肝機能で用量調節.遅発性の血管炎に注意

GEM:重度の肝腎機能障害でも使用可能.

CPT-11:脱毛あり.腸管循環→イレウス、多量腹水禁忌、遺伝子多型確認

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S-1 / Capecitabine / Lapatinib / Everolimus+Exemestane /

Palbociclib / Abemaciclib / Olaparib

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S-1 / Capecitabine

位置づけ

進行再発乳癌

HER2陰性術後補助化学療法(Capeのみ B法8コース)

レジメン

S-1 80 mg/㎡/日 1日2回 朝・夕食後

21日毎(2投1休または4投2休)

ゼローダ

A法 825 mg/㎡/回 1日2回 朝・夕食後

28日毎(3投1休)

B法 1250 mg/㎡/回 1日2回 朝・夕食後

21日毎(2投1休)

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S-1 / Capecitabine

主な副作用S-1:骨髄抑制、悪心、下痢(腸炎)、口内炎、色素沈着、流涙

Capecitabine:骨髄抑制、悪心、下痢、口内炎、手足症候群

注意事項、モニタリングポイントS-1:

120→100→80→60→50→40 mg/dayで減量する

Ccr < 50 ml/minで減量検討(ギメラシルの増加)

空腹時投与で効果減弱の可能性

色素沈着の予防は気にされる方ははやめの予防を

霞目・視力障害ははやめに眼科受診推奨

Capecitabine:

Ccr < 45 ml/minで減量検討(30 ml/min未満で原則禁忌)

体重変動による投与量変更に留意する

内服困難なケースには簡易懸濁法をおすすめ

HFSの予防策の指導が重要 炎症が起きれば部位に応じたステロイド軟膏

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Lapatinib+Capecitabine

位置づけ

HER2陽性進行再発乳癌

レジメン

タイケルブ 1250 mg/body/日 1日1回 食事の前後1時間あけて

ゼローダ C法 1000 mg/㎡/回 1日2回 朝・夕食後

21日毎(Capeは2投1休)

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Lapatinib+Capecitabine

主な副作用骨髄抑制、下痢、悪心、口内炎、手足症候群、倦怠感、

心機能障害、間質性肺炎

注意事項、モニタリングポイントLapatinibは食事の影響を受けやすいため食間内服

下痢が続く場合は真水よりは電解質を含むスポーツ飲料などを勧める.

下痢への基本対応は整腸剤提示内服+ロペラミド 1 mg/回 屯用

late lineでは心機能障害、間質性肺炎のリスクも高くなるため注意

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Everolimus+Exemestane

位置づけ

ホルモン陽性進行再発乳癌

レジメン

アフィニトール 10mg/日 1日1回 連日投与

アロマシン 25mg/日 1日1回 連日投与

支持療法アズノールうがい液デカドロンエリキシル 1回10mL 1日4回

2分間口に含んで吐き出す

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Everolimus+Exemestane

主な副作用口内炎、間質性肺炎、感染症、皮疹

注意事項、モニタリングポイント口内炎は投与開始2ヶ月間でピークを迎えるため、導入初期はデカドロンエリ

キシルによる予防を実施

デカドロンエリキシルはアズノール含嗽の後に実施し、飲み込まないよう注意

間質性肺炎は発症率が高いが軽症例が多く、早期発見できれば治療再開も可能

元来免疫抑制剤であり、細菌、ウイルス、真菌感染症に注意

高脂血症、高血糖に注意(とくに既往ありの症例)

Child-pugh分類A以上で減量を検討

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Palbociclib / Abemaciclib

位置づけ

ホルモン陽性HER2陰性進行再発乳癌

レジメン

イブランス 125 mg/日 1日1回 28日毎(3投1休)

+フェソロデックス or レトロゾールPALOMA-2:全身治療歴なし/閉経後→レトロゾール併用

PALOMA-3:ホルモン抵抗/閉経後(前ならLH-RH使用)→フルベストラント併用

ベージニオ 150 mg/回 1日2回 28日毎(休薬なし)

+フェソロデックス or 非ステロイド性アロマターゼ阻害剤MONARCH-2:ホルモン抵抗/閉経後→フルベストラント併用

MONARCH-3:全身治療歴なし/閉経後→非ステロイド性アロマターゼ阻害剤併用

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Palbociclib / Abemaciclib

主な副作用Palbociclib:骨髄抑制、脱毛(軽度)

Abemaciclib:下痢(81%)、骨髄抑制、倦怠感、悪心、嘔吐、脱毛(軽度)

注意事項、モニタリングポイントホルモン単独で開始と、CDK4/6併用で開始でどちらが良いかは不明瞭

Palbociclib:

125mg カプセル大きく飲みづらい

約半数が1-2コースで減量投与

骨髄抑制のみで他は問題にならない印象

OSに有意差はなく、現位置づけは「抗がん剤治療を短くする薬」

Abemaciclib:

製造販売承認済、12月頃発売予定

下痢が必発

イブランスとの使い分けは今後の課題

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Olaparib

位置づけ

BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の進行再発乳癌

レジメン

オラパリブ 300mg/回 1日2回

支持療法カイトリル or メトクロプラミド 吐き気時

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Olaparib

主な副作用骨髄抑制(とくに貧血)、悪心嘔吐、間質性肺炎、疲労

注意事項、モニタリングポイント減量段階は、600mg→500mg→400mg→300mg/day

CCr<50 ml/minでは400mg/dayから開始

CYPの相互作用が多く、とくに他院処方との併用に注意が必要

悪心嘔吐リスクはmoderate→カイトリル、メトクロプラミド等

生殖細胞系列の遺伝子変異の証左となるため、個人情報の取り扱いに注意!

本人だけでなく家族も含めた遺伝カウンセリング制度が整備されつつある

PARP阻害薬は貧血が問題となりやすい

PBPMを使った規格変更は行わないこと(体内動態が同等ではない)

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Take home message

いつも電話やレポートで貴重な情報をありがとうございます.

今後も相互連携を深めながら、地域の化学療法の質と安全性を高めていきましょう.

当院と地域薬局との連携(電話,FAX)の件数推移