夜勤・交代制勤務改善のための マネジメントを考え...
TRANSCRIPT
夜勤・交代制勤務改善のためのマネジメントを考える
ーガイドライン活用と今後の課題ー
夜勤・交代制勤務改善のためのマネジメントを考える
ーガイドライン活用と今後の課題ー
聖マリアンナ医科大学病院
看護部長 高橋 恵
当院の二交代制勤務の経緯当院の二交代制勤務の経緯
・1999年(H11年) 11病棟(28病棟中)で試行
※夜勤14時間・日勤8時間・
ロング日勤12時間の組み合わせ
・2001年(H13年) 19病棟で試行
・2002年(H14年) 21病棟で試行
・2003年(H15年) 26病棟で試行
・2006年(H18年) 28病棟全てに導入
・2008年(H20年) 全病棟夜勤16時間・
日勤8時間の二交代制勤務へ2
二交替導入の目的二交替導入の目的
1.夜間の出・退勤リスクの削減
2.勤務間隔をあける
3.夜間の継続ケアの提供
4.夜勤の出・退勤時の交通費(タクシー代)の削減
5.夜勤の超過勤務の削減
3
休憩・仮眠取得状況調査休憩・仮眠取得状況調査三交代勤務
二交替勤務
平成13年
平成13年
平成24年6月 平成25年2月
休憩+仮眠
休憩+仮眠
休憩時間(規定60分)
平均
36.7分 36.5分 51分
平均149.5分
大210分
小15分
48.5分
平均156.5分
大270分
小10分
大60分 129分 90分 120分
小0分 0分 0分 0分
仮眠時間(規定120分)
平均
103.2分 98.5分 108.5分
大120分 180分 210分
小42分 0分 0分
4
「夜勤・交代制勤務ガイドライン」の実施状況―神奈川県保健福祉局保健医療部保健人材課調査より―
「夜勤・交代制勤務ガイドライン」の実施状況―神奈川県保健福祉局保健医療部保健人材課調査より―
項目 日本看護協会 ガイドライン基準 実施 未実施 検討中 未回答
1 勤務と勤務の間隔は11時間以上 82.7 10.5 4.8 2.0
2 勤務の拘束時間は13時間以内 26.9 57.1 14.3 1.7
3夜勤回数は、3交代制勤務は月8回以内、それ以外の交代勤務は労働時間などに応じた回数
68.4 18.4 10.5 2.7
4 夜勤の連続回数は、2連続(2回)まで 88.4 6.8 2.0 2.7
5 連続勤務日数は5日以内 85.4 9.5 3.4 1.7
6 休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上、 92.2 2.7 3.1 2.0
7 夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定 79.3 13.3 4.8 2.7
8夜勤後の休息について、2回連続勤務後に概ね48時間以上を確保する。1回の夜勤後についても概ね24時間以上を確保
73.1 15.6 9.5 1.7
9少なくとも1ヶ月に1回は土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる
65.0 20.1 13.6 1.4
10 交代の方向は正循環の交代周期とする 61.6 22.4 9.9 6.1
11夜勤・交代制勤務の早出の始業時刻は7時より前を避ける
98.8 3.4 1.0 5.8
(%)
5
「夜勤・交代制勤務ガイドライン」の実施状況―神奈川県と当院の比較―
「夜勤・交代制勤務ガイドライン」の実施状況―神奈川県と当院の比較―
項目 日本看護協会 ガイドライン基準 県実施 当院実施
1 勤務と勤務の間隔は11時間以上 82.7 100
2 勤務の拘束時間は13時間以内 26.9 17.4
3夜勤回数は、3交代制勤務は月8回以内、それ以外の交代勤務は労働時間などに応じた回数とする
68.4 88.6
4 夜勤の連続回数は、2連続(2回)まで 88.4 99.7
5 連続勤務日数は5日以内 85.4 90.2
6 休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上、 92.2 100
7 夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定 79.3 100
8夜勤後の休息について、2回連続勤務後に概ね48時間以上を確保する。1回の夜勤後についても概ね24時間以上を確保
73.1 97.0
9少なくとも1ヶ月に1回は土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる
65.0 46.2
10 交代の方向は正循環の交代周期とする 61.6 100
11夜勤・交代制勤務の早出の始業時刻は7時より前を避ける
98.8 100
※金曜明けで土日休暇・平日休暇希望が多い
※希望の3連休を付ける場合、6日勤務の時がある
(%)
※夜勤できない遅出・半夜勤を行っている割合
6
過去の二交替ロング日勤体験から過去の二交替ロング日勤体験から1.日勤が長いのは辛い
・勤務時間では終わらない
(勤務の中で一番業務量が多く、残業になる)
・勤務の中で山場が複数回あり、疲労感が強い
・夕方の休憩が取れない
・集中力が欠ける
・申し送りを夜勤で2回(日勤者から受け、夜勤者への送り)
・ロング日勤だと思うと気分が落ち込む・モチベーションが下がる
2.交代勤務できる人に負担がかかる
(夜勤・ロング日勤・遅出・早出など夜勤ができる看護
職が様々な変則勤務に対応することになる)
3.研修に参加できる人が少なくなる
4.勤務表作成が難しい
7
長時間(16時間)夜勤を希望している理由長時間(16時間)夜勤を希望している理由
1.夜間に出・退勤する不安がない
2.夜勤明けから次の勤務までの時間が十分に取れる
3.連続休暇が取りやすい
4.休息時間が取れる
5.疲労感が少ない
6.継続的に患者を観れる
7.患者と関わる時間が増えた
8.時間配分し易い
9.夜勤後のタクシー代が削減
10.勤務表を作成し易い
8
1.忙しい時には休息が取れない
2.3人夜勤だと仮眠を取っている間は2人夜勤
となるためリスク
3.子育て中だと勤務しづらい
4.長時間勤務は疲れる
5.集中力が欠ける
長時間(16時間)夜勤で不満なこと長時間(16時間)夜勤で不満なこと
9
職位別 満足度促進要因・阻害要因職位別 満足度促進要因・阻害要因
役 職 促進要因 阻害要因
師 長 人間関係 勤務体制患者との関わり
人間関係 勤務体制 職場環境
副師長 人間関係 勤務体制患者との関わり
勤務体制 人間関係 業務
主 任 勤務体制 人間関係 職場環境 人間関係 勤務体制 業務
スタッフ 人間関係 勤務体制患者との関わり
勤務体制 人間関係 業務
10
長時間夜勤における業務負担軽減の工夫長時間夜勤における業務負担軽減の工夫
1.仮眠時間の確実な確保
⇒ ①夜勤助手の採用・配置
②休憩・仮眠時間調査による状況把握・個別指導
③仮眠場所の確保
④業務量に応じてリリーフ対応
2.福利厚生の充実
⇒ ①夜勤手当増額
②希望に応じた夜勤食内容の変更
③売店の営業時間延長
11
長時間夜勤における業務負担軽減の工夫長時間夜勤における業務負担軽減の工夫
3.夜勤業務量の削減・夜勤前後の超過勤務の削減
⇒ ①夜勤者数の増員
②半夜勤勤務の導入(16:30~20:30)
③遅出・早出等多様な勤務形態の活用
④短時間パート・アルバイトの採用
⑤検査技師による朝の採血支援
⑥メッセンジャー業務の拡大・夜間人員増員
⑦注射薬カートの導入
⑧経管栄養剤の充填用バックの採用
⑨水分出納締め時間の変更 ・・・等
12
当院における退職理由(自分自身の状況に関する)当院における退職理由(自分自身の状況に関する)
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
H22
H23
H24
13
0
5
10
15
20
25
30
35
40
H22
H23
H24
当院における退職理由(職場環境に関する)当院における退職理由(職場環境に関する)
14
今後の課題今後の課題
ーガイドラインに近づくためにー
1.看護職の増員・夜勤配置人数の増員
2.夜勤助手の増員・配置
3.多様な勤務形態の採用
4.管理者の勤務表作成能力の向上
5.休暇の確実な取得
6.勤務表作成システムの効果的な活用
7.職務満足度・看護質評価・休憩仮眠状況等、
定期調査による実態把握
15