「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化...

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12020 年 5 月 28 日 株式会社JTB(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 髙橋広行)および株式会社JTB総合研究 所(東京都港区 代表取締役社長執行役員 野澤肇)は、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らし や心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」の調査結果を共同でまとめました。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19/以下新型コロナ)は、2019 12 月末に中国武漢市で、「原 因不明のウイルス性肺炎」として初めて発症事例が報告され、翌 2020 1 15 日に日本国内で最初の 感染者の報告がありました。その後、世界中に感染が広がり、日本国内でも緊急事態宣言が発令され、出や店舗営業の自粛、渡航制限など、過去に経験したことのない生活を送ることとなりました。 本レポートは、両社の 2 つの調査に基づき、2 月の感染拡大から緊急事態宣言の発令、解除の見 通しが立つまでの間の人々の意識や行動の変化、旅行意向を追いながら、今後の足元の旅行回復の 動きと、未来の旅行・観光のあり方への影響について旅行者の側から探っていきます。 【調査概要】 ※各アンケート実施時の社会状況や感染者数の推移については、調査結果の後に掲載 ああ <JTB調査> <JTB総合研究所 定点調査> 2月調査 3月調査 4月調査 5月調査 調査実施期間 2020 4 2729 2 21~ 27 3 14~20 4 10~14 5 12~ 16 調査 対象者 事前調査 全国に居住する 1579 才の男女 *人口構成比に合わせて割付 全国に居住する 20 才以上の男女 *性年代での均等割付 本調査 事前調査のうち「過去 1 年間に 1 回以 上国内旅行または海外旅行に行った」 と回答した人を抽出 事前調査のうち、「2020 年中に国内・海外旅行のいずれか、ま たは両方を予定・検討している」と回答した人の中から抽出 *性年代での均等割付 サンプ ル数 事前調査 20,000 6,557 6,471 6,488 6,464 本調査 2,060 1,030 1,018 1,002 1,020 調査方法 インターネットアンケート調査 インターネットアンケート調査 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」 ■旅行意向は高いものの、旅行再開は慎重に。国内は夏休みと 9 月の連休時期、海外は秋以降に行きたい 「すぐ行きたい」の割合が高いのは、「知人訪問」、「自然が多い」、「帰省」、「居住都道府県内の旅行」 ■国内旅行に「早く行きたい」と考えているのは、男女 29 才以下の若者。性別では男性が高い 女性 60 才以上は、旅行意向はあるが、どの旅行も「しばらく行きたくない」が他より高い ■旅行の再開には、新型コロナ自体の解決を待つ気持ちが強い。「治療薬やワクチンが完成し効果が出 る(45.6%)」、「全国の緊急事態宣言の解除(43.8%)」、「WHOの終息宣言(33.9%)」 マスク着用・消毒などの衛生管理、3 密回避は 8 割が継続したいと考え、旅行先でも重視される ■旅行の計画を阻む理由は感染症への不安以外に、「世間体が悪い」、「旅行先の情報が少ない」が増加 ■外出自粛で考え方が変化したと感じた 1 位は「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」 若い人ほどリアルなコミュニケーションを大切と感じる割合が高いが、同時に、会議やショッピングなど はオンラインで十分と考える割合も高い。デジタルを前提としたリアルの体験価値向上が重要になる ■自粛期間に多く利用されたサービスは「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」 や「デリバリーサービス(38.9%)」 「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題」は継続意向も 75.2%と高い

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Page 1: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

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2020年 5月 28日

株式会社JTB(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 髙橋広行)および株式会社JTB総合研究

所(東京都港区 代表取締役社長執行役員 野澤肇)は、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らし

や心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」の調査結果を共同でまとめました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19/以下新型コロナ)は、2019 年 12 月末に中国武漢市で、「原

因不明のウイルス性肺炎」として初めて発症事例が報告され、翌 2020 年 1 月 15 日に日本国内で最初の

感染者の報告がありました。その後、世界中に感染が広がり、日本国内でも緊急事態宣言が発令され、外

出や店舗営業の自粛、渡航制限など、過去に経験したことのない生活を送ることとなりました。

本レポートは、両社の 2 つの調査に基づき、2 月の感染拡大から緊急事態宣言の発令、解除の見

通しが立つまでの間の人々の意識や行動の変化、旅行意向を追いながら、今後の足元の旅行回復の

動きと、未来の旅行・観光のあり方への影響について旅行者の側から探っていきます。

【調査概要】 ※各アンケート実施時の社会状況や感染者数の推移については、調査結果の後に掲載

ああ <JTB調査>

<JTB総合研究所 定点調査>

2月調査 3月調査 4月調査 5月調査

調査実施期間 2020 年 4 月 27~29 日 2月 21~ 27日 3 月 14~20 日 4 月 10~14 日 5 月 12~ 16 日

調査

対象者

事前調査 全国に居住する 15~79 才の男女

*人口構成比に合わせて割付

全国に居住する 20 才以上の男女

*性年代での均等割付

本調査 事前調査のうち「過去 1 年間に 1 回以

上国内旅行または海外旅行に行った」

と回答した人を抽出

事前調査のうち、「2020 年中に国内・海外旅行のいずれか、ま

たは両方を予定・検討している」と回答した人の中から抽出

*性年代での均等割付

サンプ

ル数

事前調査 20,000 6,557 6,471 6,488 6,464

本調査 2,060 1,030 1,018 1,002 1,020

調査方法 インターネットアンケート調査 インターネットアンケート調査

「新型コロナウイルス感染拡大による、

暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」

■旅行意向は高いものの、旅行再開は慎重に。国内は夏休みと 9 月の連休時期、海外は秋以降に行きたい

「すぐ行きたい」の割合が高いのは、「知人訪問」、「自然が多い」、「帰省」、「居住都道府県内の旅行」

■国内旅行に「早く行きたい」と考えているのは、男女 29 才以下の若者。性別では男性が高い

女性 60 才以上は、旅行意向はあるが、どの旅行も「しばらく行きたくない」が他より高い

■旅行の再開には、新型コロナ自体の解決を待つ気持ちが強い。「治療薬やワクチンが完成し効果が出

る(45.6%)」、「全国の緊急事態宣言の解除(43.8%)」、「WHOの終息宣言(33.9%)」

マスク着用・消毒などの衛生管理、3 密回避は 8 割が継続したいと考え、旅行先でも重視される

■旅行の計画を阻む理由は感染症への不安以外に、「世間体が悪い」、「旅行先の情報が少ない」が増加

■外出自粛で考え方が変化したと感じた 1 位は「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」

若い人ほどリアルなコミュニケーションを大切と感じる割合が高いが、同時に、会議やショッピングなど

はオンラインで十分と考える割合も高い。デジタルを前提としたリアルの体験価値向上が重要になる

■自粛期間に多く利用されたサービスは「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」

や「デリバリーサービス(38.9%)」

「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題」は継続意向も 75.2%と高い

Page 2: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

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【調査結果】

<全国の緊急事態宣言下の暮らしや意識全般について(JTB調査)>

全国に緊急事態宣言が発令され、外出自粛や店舗の営業自粛が続いた状況下での、人々の暮らしや意

識全般について、全国2万人の15才~79才の人に対して聞きました(性年齢は人口構成比に合わせて抽出)。

1.「新型コロナの影響で給与が減りそうだ」は就業者全体の 31.2%。女性 30~40 代が特に高い

「新型コロナの影響で会社の業績が落ちている」は就業者全体の 29.5%

「いつもより生活費を節約している」は全体で 33.3%、女性 30~40 代が高い。「特に節約していな

い」は男女共に 60 才以上が高い。働く世代の方が、シニア層より家計への影響を感じている

最初に調査時点(4 月末)での暮らしや景況感を聞きました。就業者に働き方を聞いたところ、「毎日

職場に通勤している」割合は就業者全体の 42.4%でしたが、男性 30 代~50 代、女性 40 代・50 代が 45%

以上と比較的高い傾向でした。テレワークに関しては、「毎日実施している」は 8.9%、「曜日を決めて実

施している」は 12.1%あり、いずれも男性 20 代~50 代に多い傾向でした。「新型コロナの影響で給与が

減りそうだ」は全体で 31.2%ですが、女性 30 代・40 代が平均より高い結果となりました。また、「新型

コロナの影響で会社の業績が落ちている」は 29.5%でした(図 1)。

家計や消費への影響については年代による違いがはっきりと表れました。「いつもより生活費を節約し

ている」は、全体で、33.3%で、特に女性 30 代・40 代が 38.6%と高くなりました。逆に「特に生活費

は節約していない」は全体で 24.0%でしたが、男女 60 才以上は 36.6%、39.7%と他の年代より大幅に高

い結果となりました。一方、若くなるほど、趣味や娯楽のための出費は控えるものの、「在宅生活を快適

に過ごすために(嗜好品、本、ゲームなど)お金を使うようになった」が多い結果となりました(図 2)。

新型コロナの感染拡大が始まり、緊急事態宣言の見通しが立つまでの約 4 か月、家計への影響を感じた

のは働く世代と言えるでしょう。

(図 1)新型コロナによる働き方への影響 (複数回答)

42.4

12.1 8.9 7.5 7.1

31.2 29.5 21.4

0

10

20

30

40

50

60

毎日職場に

通勤している

職場からの指示で

曜日を決めて

テレワークを

している

職場からの指示で

毎日テレワーク

をしている

仕事についているが

休業中(有給)

仕事についているが

休業中(無給)

コロナの影響で給与

が減りそうだ

コロナの影響で会社の

業績が落ちている

今夏のボーナス

は減りそうだ

現在のあなたの生活の様子について【働き方や収入への影響】*就業者のみ

男性 29才以下(924) 男性 30代(1484) 男性 40代(1754) 男性 50代(1429)

男性 60才以上(1725) 女性 29才以下(802) 女性 30代(1016) 女性 40代(1228)

女性 50代(974) 女性 60才以上(944) 全体(12280)

JTB

(%)

働き方への影響 収入への影響

Page 3: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-3-

(図 2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

33.3 29.5

24.0 19.1

13.3 11.1 7.7

0

10

20

30

40

50

いつもより生活費

を節約している

趣味や娯楽の

ために使うお金

を控えている

特に生活費は

節約していない

家計に余裕

がなくなった

在宅生活を快適

に過ごすために

お金を使う

ようになった

買いだめをして

しまっている

株や資産運用

について考える

ようになった

現在のあなたの生活の様子について【家計や消費への影響】

男性 29才以下(1880) 男性 30代(1578) 男性 40代(1857) 男性 50代(1541)

男性 60才以上(3039) 女性 29才以下(1801) 女性 30代(1545) 女性 40代(1827)

女性 50代(1551) 女性 60才以上(3381) 全体(20000)

JTB

(%)

家計への影響 消費への影響

2.外出自粛や渡航制限の解除で、やりたいこと上位 3 つは、「国内旅行」、「外食」、「友人知人に会う」

過去 1 年間の旅行経験者は、1 位「国内旅行(53.3%)」。未経験者は「国内旅行」より「買い物」

次に、外出自粛要請や渡航制限が解除され、自由に外出や旅行ができるようになったら、何をまずや

りたいか、上位 3 つを選んでもらいました。結果は「国内旅行(40.9%)」、「外食(40.5%)」、「友人知

人に会う(39.1%)」の順でいずれも小差でした。これを過去 1 年間に 1 回以上、国内外の旅行を経験し

た人、しない人とで比較したところ、「国内旅行」は経験者が 53.3%、未経験者は 20.8%と大きな差があ

ることが分かりました。全体的には、過去 1 年間の旅行経験者の方が、「旅行」、「友人知人に会う」、「離

れている家族に会う(帰省含む)」、「パーティーや飲み会など集まりに参加する」など、交流が期待でき

る「コト」への意向が高い傾向があるようです。一方、過去 1 年間の旅行未経験者は、「デパートや店舗

での買い物」や「特にない」が、経験者より高い結果となりました(図 3)。

(図 3)外出自粛や渡航制限が解除になったらやりたいこと(上位 3 つを合算) (複数回答)

40.9 40.5 39.1

27.6

19.9 17.7

14.8 12.5

9.9 9.5 9.2 8.5 3.5

21.5

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

国内旅行に行く

外食

友人知人に会う

デパートや店舗での

買い物

離れて暮らす家族に

会う(帰省を含む)

パーティーや飲み会

などの集まり

コンサートやライブ

イベントに行く

コロナの影響で止めて

いた趣味を再開する

コロナの影響前と

同じように仕事・

学校に行く

屋外でのスポーツや

キャンプ,

登山など

アウトドアの活動

海外旅行に行く

ジムでのトレーニング

その他

特にない

外出自粛要請が解除された場合にやりたいこと

1年以内旅行経験者(N=12356) 1年以内旅行未経験者(N=7644) 全体(N=20000)

(%)

JTB

Page 4: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

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3.新型コロナ感染拡大の前後で、考え方が変化したと感じることは、

「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」が最も高く、若い年代の割合がより高い

「働く場所にはこだわらなくてよい(18.0%)」は、男性 30 代は 27.9%、男性 29 才以下は 26.5%

「自分の考え方に変化はない(29.9%)」は、上の年代かつ男性の方が高く、男性 60 才以上で 39.4%

新型コロナによる外出自粛は、人々の生活スタイルを一変することになりました。多くの店舗や施設

が営業自粛になる一方で、学校休校に伴うオンライン授業や、テレワークなどデジタルツールの活用が、

急速に普及したことも注目されました。このような状況は、人々にどんな心の変化をもたらしたのでし

ょうか。新型コロナ前と今を比較して、自分の考え方がどんな点で変化したと感じているか、選択肢か

ら選んでもらいました。

全体で最も多かったのは「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」で、「外出自粛が長

引き、国内旅行をしたいという意識が以前より高まった(23.2%)」が続きました。1 位の「対面や直接

のコミュニケーションは大切だ」は若いほど多く、女性 29 才以下は 40.4%、男性 29 才以下も男性の中

では最高の 31.7%ありました。一方で、若い世代は、ネットショッピングやオンライン会議、オンライ

ンセミナーなどデジタルで済むことも多いと感じている割合が上の年代より高いことも分かりました。

旅行に関しては、女性 29 才以下は、国内旅行、海外旅行ともに、「旅行に行きたい気持ちが高まった」

が全体平均より 10 ポイント以上高くなりました。対照的に、女性 60 才以上は国内旅行、海外旅行とも

に「外出自粛が長引き、旅行に対する関心が薄れた」が他より高い結果となりました。

働き方に関しては、「働く場所にはこだわらなくてよい」は全体では 18.0%でしたが、男性 40 代以下

の年代と女性 29 才以下が比較的高い結果となり(男性:29 才以下 26.5%、30 代 27.9%、40 代 24.7%、

女性:29 才以下 20.5%)、前述のテレワークの多い年代と重なります。

「自分の考え方に変化はない」と答えた人は、全体で 29.9%。これには、社会やデジタルの進化によ

り変化を既に感じていた人もいれば、新型コロナでも生活が大きく変わらず、感じる機会がなかったと

いう人もいると考えられます。傾向としては、年代が上がるほど「変化がない」と答える人が多く、男

性に高い傾向が見られました(男性 50 代 37.0%、男性 60 才以上 39.4%)(図 4)。

(図 4)新型コロナ影響前と比較した、自分の考え方の変化 (複数回答)

23.2

9.4 7.5 7.5 6.4

18.0 16.2

5.3

29.8

18.1

11.6 8.0

29.9

0

15

30

45

国内旅行したいという

意識が以前より高まった

危機管理ができた国や

地域に行きたいと思った

国内旅行に対する

関心が薄れた

海外旅行したいという

意識が以前より高まった

海外旅行に対する

関心が薄れた

働く場所にこだわら

なくてもよい

テレワーク、テレビ会議で

済ませられる仕事は多い

家と会社以外で、自宅から

近いワーキングスペースが

必要

対面や直接のコミュニケー

ションは大切だと思う

買い物はネットショッピング

などで済ますことが増えた

遠隔授業・オンラインセミナー

でも学ぶことができる

出かけなくてもデジタルに

よる体験で済ませる場合も

増えそうだ

自分の考え方に

変化はない

新型コロナ影響前と比較した、自分の考え方の変化(性年齢別)

男性 29才以下(N=1880) 男性 30代(N=1578) 男性 40代(N=1857) 男性 50代(N=1541)

男性 60才以上(N=3039) 女性 29才以下(N=1801) 女性 30代(N=1545) 女性 40代(N=1827)

女性 50代(N=1551) 女性 60才以上(N=3381) 全体(N=20000)

JTB

(%)

旅行 生活の価値観働き方 変化なし

Page 5: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

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<過去 1 年間の旅行経験者の旅行再開の考え方について(JTB調査)>

前項までのアンケート対象者 2 万人のうち、過去 1 年間に国内外の旅行(出張は除き、帰省は含む)

を 1 回以上経験した人を 2,060 人抽出し、今後の旅行について聞きました。

4.旅行を再開するきっかけは、「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」、

「全国の緊急事態宣言が解除になる(43.8%)」「周囲からとがめられなくなったら(26.8%)」

「自治体が来訪自粛要請をやめたら(23.0%)」

どのような状況になったら旅行や外出を再開するかを聞いたところ、「治療薬やワクチンが完成し効果

が出る(45.6%)」、「全国の緊急事態宣言が解除になる(43.8%)」、「WHOが全世界の新型コロナの終息

宣言をしたら(33.9%)」が上位でした。新型コロナの感染拡大が収まり、治療や感染防止のしくみがワ

クチンの開発などで確立すること、全国の緊急事態宣言の解除が待たれているようです。女性はワクチ

ンの開発やWHOの終息宣言と答える割合が高く、男性は、全国や居住地の緊急事態宣言の解除が高い

傾向でした。

また、「周囲からとがめられなくなったら(26.8%)」、「自治体が来訪自粛要請をやめたら(23.0%)」

については、前者は比較的女性の割合が高く、後者は男性が高い傾向でした。「周囲の人が旅行を始めた

ら(7.8%)」は全体平均では高くはありませんが、若い世代は平均より 5 ポイントほど高い結果となり

ました。このように周囲や旅行先の意向を気にする割合も決して低くはない結果となりました。

「国際線、国内線の航空機の運航や鉄道の運行本数が正常に戻ったら(13.8%)」、「ふっこう割など旅

行に行くための支援が始まったら(12.9%)」は他より低く、現状ではまだ新型コロナ自体の影響が大き

いようです。従来の災害からの観光復興の手法だけではない取り組みの重要性が読み取れます(図 5)。

(図 5) どのような状況になれば旅行や外出をするか (複数回答)

5.「すぐ行きたい」の割合が高いのは、「知人訪問」、「自然が多い」、「帰省」、「居住都道府県内の旅行」

「しばらく行きたくない」は「大都市圏への旅行」が 55.5%、「海外旅行」は 48.1%

次に、外出自粛や渡航制限の解除後、「すぐ行きたい」と考える旅行や外出とは何か、旅行の種別

ごとに心境を聞きました。全体的には「すぐ行きたい」はどの旅行も割合は高くなく、少し時間を

おいてからと考えている人が多いようです。「すぐ行きたい」の割合が高いのは、上位から「友人・

45.6

33.9

43.8

23.0 20.5

27.2 26.8

14.4

7.8

13.8 12.9

0.7 5.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

治療薬やワクチンが完成し、

効果を発揮し始めたら

WH

O

が全世界のコロナウィルス

感染症の終息宣言をしたら

全国の緊急事態宣言が

解かれたら

地域の自治体が「来訪自粛の

お願い」をしなくなったら

居住地の緊急事態宣言が

解かれたら

旅行に行きたい

という気分になったら

旅行に行っても周囲から

とがめられない状況になったら

仕事が安定し、経済の先行き

が見通せると感じたら

自分の周りの人が

旅行を始めたら

航空機の運航や鉄道の

運行本数が正常に戻ったら

ふっこう割など旅行に

行くための支援が始まったら

その他

旅行への関心が下がり、

今は具体的に考えていない

どのような状況になれば旅行や外出をするか

男性 29才以下(N=174) 男性 30代(N=127) 男性 40代(N=163) 男性 50代(N=132)

男性 60才以上(N=374) 女性 29才以下(N=200) 女性 30代(N=170) 女性 40代(N=175)

女性 50代(N=148) 女性 60才以上(N=397) 全体(N=2060)

JTB

(%)

新型コロナ 行政の対応 周囲・自分の気持ち 旅行環境未検討

その他

Page 6: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

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知人訪問(24.4%)」、「自然が多い地域への旅行(19.3%)」、「帰省(18.0%)」、「居住している都道

府県内の旅行(15.7%)」でした。「少し時間がたってから行きたい」は「(長距離移動を含む)国内

旅行(57.8%)」、「人が少ない地方都市への旅行(53.8%)」、「自然が多い地域への旅行(53.4%)」、

でした。「しばらく行きたくない」は「大都市圏への旅行(55.5%)」、「海外旅行(48.1%)」でした(図6)。

性年代別では、「すぐ行きたい」は「帰省」や「友人・知人訪問」を除くと、どちらかというと男

性の割合が高く、また男女とも 29 才以下が高い結果でした。国内旅行の「すぐ行きたい(14.8%)」

は、男女 29 才以下がそれぞれ 23.0%、19.5%でした。一方、女性 60 才以上の海外旅行は、「二度

といきたくない(8.1%)」が 14.6%で、全体的に若い女性が旅行に意欲的なのに対して、女性 60

才以上はすぐ旅行することには慎重な傾向がみられました(図 7)。

今後 1 年間の旅行支出は、「支出を増やしたい」が 9.6%と昨年から 14.5 ポイントも大幅に減少し、

「支出を減らしたい」は 34.3%と 16.2 ポイント増加しました(表 1)。グラフは省略しましたが、

性年代別で比較すると、今年は男女 29 才以下が、「支出を増やしたい」、「支出は同程度で回数を増

やしたい」が、高い結果となりました。ここでも若者の旅行意欲の高さが現れました。

(図 6)渡航や外出自粛が緩和された場合、どんな旅行にいつ頃行きたい気分か(単数回答)

3.3

14.8

11.6

19.3

5.2

15.7

18.0

24.4

20.1

57.8

53.8

53.4

27.9

49.3

34.5

45.0

48.1

22.9

22.5

16.7

55.5

20.6

15.6

16.1

8.1

0.3

0.5

0.7

1.8

0.6

1.7

1.0

20.4

4.2

11.6

10.0

9.6

13.8

30.2

13.6

海外旅行

国内旅行(飛行機や鉄道、マイカー等を

利用した長距離移動を伴うもの)

人が少ない地方都市への旅行

自然が多い地域への旅行

大都市圏への旅行

居住している都道府県内での旅行

帰省

友人・知人を訪ねる

渡航や外出自粛が緩和された場合、どんな旅行にいつ頃行きたい気分か(N=2060)

すぐに行きたい 少し時間がたってから行きたい しばらくは行きたくない 二度と行きたくない わからない

JTB

(%)

(図 7)国内旅行/海外旅行にいつ頃行きたいか (単数回答)

国内旅行

JTB 国内旅行/海外旅行 にいつ頃行きたいか

14.8%

23.0%

12.6%

17.8%

15.9%

16.0%

19.5%

13.5%

12.0%

12.2%

9.6%

57.8%

52.3%

59.1%

57.1%

62.1%

60.2%

60.0%

59.4%

60.6%

56.8%

53.7%

22.9%

16.7%

21.3%

22.1%

16.7%

19.0%

17.0%

25.9%

22.9%

27.7%

32.2%

0.5%

0.3%

4.2%

6.9%

7.1%

3.1%

5.3%

4.3%

3.5%

1.2%

4.0%

2.7%

4.3%

1.1%

0.3%男性 29才以下(N=174)

男性 30代(N=127)

男性 40代(N=163)

男性 50代(N=132)

女性 30代(N=170)

女性 40代(N=175)

女性 29才以下(N=200)

男性 60才以上(N=374)

0.7%女性 50代(N=148)

0.6%

女性 60才以上(N=397)

全体(N=2060) 3.3%

6.9%

4.7%

4.3%

4.5%

2.4%

4.0%

5.3%

2.3%

0.7%

1.8%

20.1%

22.4%

19.7%

17.8%

14.4%

19.0%

32.5%

15.9%

22.9%

18.2%

18.1%

48.1%

47.1%

46.5%

44.2%

50.8%

44.9%

44.5%

52.4%

52.0%

50.7%

49.9%

11.7%

9.1%

14.6%

20.4%

19.5%

24.4%

22.1%

25.8%

24.6%

15.0%

21.2%

17.1%

24.3%

15.6%

4.7%

4.0%

8.1%

4.5%

5.7%

6.1%

4.0%

5.3%

すぐに行きたい 二度と行きたくない少し時間がたってから行きたい しばらくは行きたくない わからない

海外旅行

Page 7: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-7-

(表 1)今後 1 年くらいの旅行支出について (単一回答)

単位:% n=2060

2019年3月

支出を増やしたい 9.6 (▲14.5) 24.1

支出は同程度 56.1 (▲1.8) 57.9

単価減らし回数増やす 8.3 (▲5.7) 14.0

単価増やし回数減らす 9.6 (+0.4) 9.2

単価も回数も同程度 38.2 (+3.5) 34.7

支出を減らしたい 34.3 (+16.2) 18.1

*(  )は前年差

2020年4月

<感染拡大から現在までの旅行に対する意識の変化と年内の旅行について(JTB総合研究所調査)>

ここからは、新型コロナの感染が広がり、緊急事態宣言が発令されてから解除の見通しが立つまでの

約 4 か月間の旅行に対する意識の変化や2020年中の旅行意向の変化について、2 月から 5 月までの

毎月の定点調査結果に沿い述べていきます。

6. 2020年中の旅行意向は、緊急事態宣言が発令された 4 月以降に大きく減少

まず、無作為に抽出した全国の 20 才以上の男女 6,500 人前後を対象に、2020 年中の旅行(観光・レ

ジャーや出張などの目的は問わず)の予定について聞きました。結果は「2020 年中の旅行を予定・検討

している」の合計が、2 月調査(48.1%)と 3 月調査(44.1%)では微減となりましたが、緊急事態宣言

が発令された後の 4 月調査では 31.9%と 10 ポイント以上減少し、5 月調査は前月と同程度(32.2%)と

なりました。特に「国内旅行を予定・検討している」の割合は、2 月調査(35.2%)から 5 月調査(23.7%)

の間で大きく減少しました。事態の深刻さが増すと共に、外出や移動を控える意識が高まったことと、

外出自粛が長引き、先の見通しが立たない中で、旅行の計画をたてることができない様子がうかがえま

す(図 8)。

(図 8)2020年中の旅行の予定(2~5 月調査) (単一回答)

52.0% 55.9%

68.0% 67.9%

7.0%6.4%

5.2% 4.5%

5.9%5.7%

35.2% 32.0%22.8% 23.7%

5月調査(5/12~16)

海外旅行を予定・検討している

国内・海外旅行の両方を予定・検討している

2月調査(2/21~27)

国内旅行を予定・検討している

3月調査(3/14~20)

旅行は予定・検討していない

4月調査(4/10~14)

50.0%

4.0%3.9%

6,557 6,471 6,488 6,464

JTB総合研究所

2020年中の旅行意向<2月~5月調査>

Page 8: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-8-

7. 国内旅行の出発時期は、7~8 月の夏休み時期や 9~10 月の意向が高い

行き先は「まずは自分の住んでいる地方から」の動きがみられる

以降は、前項のアンケート対象者 6,500 人前後のうち、「2020 年中に国内・海外旅行のいずれか、ま

たは両方を予定・検討している」と回答した 1,000 人前後に、予定する旅行の具体的な内容などについ

て聞きました。まずは、国内旅行の時期や行き先についてみていきます。

国内旅行の時期については、2 月・3 月調査では「4~5 月(GWなど)」が最も高く(2 月:35.5%、

3 月:34.4%)、4 月調査は「7~8 月(夏休みなど)(32.1%)」、5 月調査では「9~10 月(シルバー

ウィークなど)(34.4%)」が最も高くなりました。新型コロナの影響が長引くことで、旅行の時期も

夏以降に後ろ倒しになっていく様子がわかります(図 9)。一方、各県が 6 月以降、段階的に県外から

の来訪者受け入れ開始の発表をしており、今後、消費喚起プロモーションの展開も予想されることから、

夏休み期間の旅行意向が高まるかもしれません。

旅行の行き先は、4 月調査では関東や関西など都市圏が減少し、北海道や東北などの地方部が増加し

ましたが、5 月調査では都市圏が再び増加しました(図 10)。また、居住地別に5月の調査結果をみる

と、旅行先を居住地と同じ地方とする比率が高く、「まずは自分の住んでいる地方で旅行をする」とい

う意向が高いことが分かりました(図 11)。

(図 9)2020年中に予定・検討している国内旅行の出発時期(2~5 月調査)(単一回答)

(図 10)2020年中に予定・検討している国内旅行の行き先(2~5 月調査) (単一回答)

JTB総合研究所

13.5%13.7%

東北

14.0%

九州

15.3%

関東 関西中部

7.5%

中国・四国 沖縄

22.1%

10.3% 9.5%

16.8%

12.2%

7.7% 8.2%

12.5%

6.0%

8.9%

26.6%

10.8%

27.6%

24.6%

12.6%

9.8%

12.1%

北海道

9.3%11.5%

8.4%

11.3%

15.7%

7.5%6.9%

8.0%8.9%

10.7%

2月調査(2/21~27)(N=922) 3月調査(3/14~20)(N=919) 4月調査(4/10~14)(N=907) 5月調査(5/12~16)(N=899)

国内旅行の行き先<2~5月調査>

*2月調査では「2-3月(春休み)」、3月調査は「3月(春休み)」とし、4月調査以降では選択肢から削除したため、3月調査結果を掲載

*4月調査では「4~5月(GWなど)」、5月調査では「5月」とした

32.1%

11~12月(冬休みなど)

2~3月(春休みなど)*

4~5月(GWなど)*

5.6%

11.8%

16.2%

9~10月

(シルバーウィークなど)

7~8月(夏休みなど)

35.5% 34.4%

22.9%19.5%

9.8%10.6% 13.6%

11.3%

32.5%

10.1%

15.3%

22.5%25.1%

34.4%

2.7%5.1%

10.3%

6月

19.0%

+9.3%

2月調査(2/21~27)(N=922) 3月調査(3/14~20)(N=919) 4月調査(4/10~14)(N=907) 5月調査(5/12~16)(N=899)

JTB総合研究所

国内旅行の出発時期<2~5月調査>

Page 9: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-9-

(図 11) 居住地別 2020年中に予定・検討している国内旅行の行き先(5 月調査) (単一回答)

JTB総合研究所

46.0

3.0

13.0

7.0

12.0

8.0

13.0

北海道(N=39)

中国・四国地方(N=65)

東北地方(N=40)

近畿地方(N=181)

関東地方(N=387)

中部地方(東海・甲信越・北陸)

(N=133)

九州地方(含む沖縄)

(N=54)

40.0

11.1

6.8

4.4

4.6

1.9

0.0 17.9

35.0

32.3

23.3

17.1

4.6

18.5

10.3

10.0

11.1

32.3

13.3

6.2

1.9

5.1

2.5

9.0

15.0

24.9

20.0

9.3

7.7

2.5

4.9

3.8

9.9

30.8

1.9

10.3

2.5

9.6

4.5

8.8

18.5

38.9

2.6

5.0

9.3

7.5

9.9

7.7

14.8

国内旅行の行き先

居住地域

沖縄北海道 東北 関東 中部 関西 中国・四国 九州5月調査(N=899)

(単位:%)

居住地域別 国内旅行の行き先<5月調査>

8. 海外旅行の出発時期は、9~11 月や 11~12 月の冬休み時期の意向が高い

行き先は「ハワイ」、「東南アジア」、「台湾」が人気

次に、2020 年中に海外旅行を予定・検討している人の時期や行き先をみていきます。

出発時期は、5 月調査で「9 月~11 月(シルバーウィークなど)(28.7%)」、「11~12 月(冬休み

など)(25.5%)」が高くなりました。前回調査と比較して、新型コロナの対策が世界的にある程度進

むと期待される年末時期の伸びが最も大きくなり、出発時期は国内旅行以上に先となる傾向がみられました(図12)。

行き先の上位は、ハワイ、東南アジア、台湾などでした。新型コロナが収束している台湾は 4 月調査

から増加に転じています(図 13)。一方で、旅行会社の海外旅行ツアーは既に 7 月までの催行中止を発

表しており、航空便の大幅な減便や運航中止も継続しています。海外旅行に行きたいという気持ちはあ

るものの、この状況が長引けば、さらに旅行時期が先延ばしになる可能性も考えられます。しかしなが

ら、7月のスペインの観光客受け入れ再開など、徐々に回復に向けた動きもあり、今後に期待したいところです。

(図 12)2020年中に予定・検討している海外旅行の出発時期(2~5 月調査)(単一回答)

6月2~3月(春休みなど)*

4~5月(GWなど)*

11~12月(冬休みなど)

7~8月(夏休みなど)

28.7%

9~10月

(シルバーウィークなど)

21.9%

5.2%

13.5%

19.0%19.8%

4.4%7.3%

20.4%

13.1% 13.1%

27.7%

15.5% 17.2%14.2%

23.8%27.4%

30.3%

24.4%

4.6%

25.5%23.1%

-5.9%+5.1%

2月調査(2/21~27)(N=260) 5月調査(5/12~16)(N=275)3月調査(3/14~20)(N=252) 4月調査(4/10~14)(N=274)

JTB総合研究所*2月調査では「2-3月(春休み)」、3月調査は「3月(春休み)」とし、4月調査以降では選択肢から削除したため、3月調査結果を掲載

* 4月調査では「4~5月(GWなど)」、5月調査では「5月」とした

海外旅行の出発時期<2~5月調査>

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-10-

(図 13)2020年中に予定・検討している海外旅行の行き先(2~5 月調査) (単一回答)

ハワイ

東南アジア

3.8%

24.8%

7.7%

ヨーロッパ

台湾

14.6%

2.3%

8.4%

米国本土・カナダ

オーストラリア

ニュージーランド

2.8%

韓国

グアム・サイパン

中国本土

5.1%

香港・マカオ

1.6%2.5%

5.5%

その他

22.3%

1.8%

24.6%

14.5%

19.4%

4.8%

10.5%

4.8%7.7% 8.4%

8.7%8.1%

8.3%

23.7%

4.2%

7.3%

4.7%3.2%

6.0%5.0%

2.2%1.2%

8.0%

2.8%

2.5%2.2%1.1%

2.6%

23.1%

12.4%

21.8%

1.5%

2月調査(2/21~27)(N=260) 3月調査(3/14~20)(N=252) <参考値>5月調査(5/12~16)(N=161)4月調査(4/10~14)(N=274)

海外旅行の行き先<2~5月調査>

JTB総合研究所*5月調査よりヨーロッパの選択肢を変更したため、5月調査は参考値。また、ヨーロッパは4月調査までを掲載

9. 年内に旅行予定があるものの、まだ予約をしていない、あるいは予約した旅行の変更・

キャンセルを検討している理由は、「新型コロナの不安がある」が際立って高い

時間の経過とともに「世間体が悪い」、「旅行先の正確な情報が足りない」が増加傾向

年内に旅行したいと思ってはいるものの、具体的に予約や検討をしない理由は何なのでしょうか。ま

だ旅行の予約をしていない、あるいはすでに予約している旅行の変更やキャンセルを検討している人に

対して、その理由を聞きました(3 月調査からの設問)。結果はいずれの調査月も「新型コロナの不安

がある」が最も多く、4 月調査で急増し、その後は減少しました(国内旅行:3 月 33.5%→4 月 54.3%→5

月 50.6%、海外旅行:同 39.4%→同 53.1%→同 41.5%)。4 月に緊急事態宣言が発令され、不要不急

の外出を控えるなど、新型コロナへの不安が一気に広まりましたが、5 月に入り一部地域で宣言が解除

されるなど、不安意識が若干落ち着いた様子が読み取れます。

新型コロナ以外の理由をみてみると、国内旅行意向者は、月を追うごとに「これからの先の具体的な

予定がまだわからない」が減少し、状況が把握できてきたことが推察できます(3 月:30.1%→5月:24.9%)。

一方、3 月には少なかった「今旅行したり、計画をたてたりするのは世間体が悪い(同:5.5%→同:12.0%)」

や「旅行先の正確な情報が足りない(同:7.7%→同:11.5%)」が増え続けました。

海外旅行意向者は、スケジュールに関すること以外は国内より回答率が高く、より慎重であることが

分かります。国内と同様に、「今旅行したり、計画をたてたりするのは世間体が悪い(3 月:5.9%→5

月:16.2%)」が増加し、また、5 月調査では「旅行先の正確な情報が足りないと感じる」が 17.8%と、

国内旅行以上に情報不足を感じている割合が高い結果となっています(図 14)。

Page 11: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-11-

(図 14)旅行意向者がまだ予約を確定していない理由(国内/海外旅行別)(3~5 月調査)(複数回答)

12.5%

33.5%27.2%

19.0%

54.3%

24.9%

50.6%

11.5%

5.5%

30.1%

11.2%

28.2%

21.0%

11.6% 10.1%16.8% 17.7% 14.2% 14.6% 8.7%

16.2%

12.0%10.8%

14.0%14.4% 10.7%

7.7% 7.6%12.2%

10.2%

4月調査(4/10~14)(N=805)3月調査(3/14~20)(N=687) 5月調査(5/12~16)(N=792)

JTB総合研究所2020年中に旅行を予定・検討している人が、まだ旅行予約を確定していない理由(国内/海外旅行別)<3月~5月調査>

これから先の具体的な

予定がまだわからない

行動制限がかかり、

自由に移動できなく

なるのが不安

具体的な旅行内容が

まだ決められていない

15.3%

旅行の目的にしていることが

できない可能性がある

(

イベントの中止・延期、

テーマパークの休園等)

いま旅行をしたり

旅行計画をするのは

世間体が悪いと感じる

いつでも行くことが

できるから

キャンセル料が

かからないよう

直前に予約するつもり

17.8%

検討・予定している

旅行先の正確な情報が

足りないと感じる

いまは旅行のことを

考える気持ちになれない

39.4%

53.1%

41.5%

23.7% 22.1%

5.4%

19.7%16.3%

新型コロナウイルスの

不安がある

16.3%18.2% 22.9% 22.5%

16.2%9.9%

12.2% 15.0% 14.2%19.7% 18.6%

12.2%

8.9%12.7%

9.4% 8.2%

16.3%

12.2% 12.3%

5.9%

3月調査(3/14~20)(N=203) 4月調査(4/10~14)(N=245) 5月調査(5/12~16)(N=253)

国内旅行

海外旅行

<新型コロナ感染拡大による消費者の意識や行動変容(JTB総合研究所調査)>

今回のような感染症拡大、災害、経済危機などはこれまでも社会のあり方や価値観を変え、また旅行

や観光にも影響を与えてきました。現時点で未来の観光像の断定は難しいですが、将来どのような変化

が考えられるか探っていくために、新型コロナの感染が拡大した 3 月から 5 月の間におきた生活や心の

変化、また、外出自粛生活の中で話題となった具体的なサービスやしくみなどについて聞きました。

10.「スマートフォンやテレビを見る時間が増えた」は 3 割以上に。「時間をもてあましている」も 2 割

時間はあるものの、「新しいことへのチャレンジに時間を使う」は増加しなかった

「AIやロボットより人からサービスを受けたい」は微減傾向。対面サービスにおける感染リスク

意識が根付く

気持ちや行動の変化について項目別に聞いたところ、3 月から 5 月にかけて大きく増加したのは、「ス

マートフォンをみる時間が増えた(3 月:28.0%→5 月:35.3%)」、「テレビを見る時間が増えた(同

21.6%→同:33.3%)」、「時間をもてあましている(同:9.9%→同:18.1%)」でした。しかし、「時

間が出来たので何か新しいことをはじめたい」は、3 月から 4 月にかけて伸長したものの(3 月:10.8%

→4 月 14.2%)、その後は伸びていません(5 月:14.2%)。新しいことへのチャレンジに時間を使うと

いうより、自粛疲れからか、漠然と時間を過ごしてしまう人も多い様子がうかがえます。

一方、「AIやロボットより、人からサービスを受けたい」は、3 月から 5 月まで、微減傾向でした

(3 月:11.7%→4 月:8.5%→5 月:6.5%)。対面でサービスを受けることは感染リスクを伴うという

意識が高まったと同時に、AI内蔵のチャットなど、デジタルツールを活用したサービスも高度になり、

デジタルで済めば合理的でよいという意識が広がってきた背景があると考えられます(図 15)。

Page 12: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-12-

(図 15)ここ最近の気持ちや行動の変化(3~5 月調査) (複数回答)

ここ最近の気持ちや行動の変化<3~5月調査>

35.333.3

19.8 20.7

12.210.2

34.0

11.3

30.6

14.2 13.1

5.2

12.311.1

8.9

0

10

20

30

40

6.5

日頃から健康に気を配っている

クラウドファンディングなどで

寄付やサービス・商品の購入をしている

スマホを見る時間が増えた

6.1

外食よりも宅配サービスを利用する

ことが増えた

28.3

ルールは守り、正しいことをするべきだ

テレビを見る時間が増えた

18.1

AI

やロボットより、人から

サービスを受けたい

家族や友人とはSN

S

などで

常につながっていたい

人とのコミュニケーションは

オンラインでも十分だと感じる

16.5

情報は、発信源や正確さで

選ぶようにしている

やりたいことがあっても、

周囲の目を気にして諦めることがある

時間をもてあましている

時間ができたので、なにか

新しいことを始めたい

お店で買うよりネットショッピングを

利用することが増えた

自分のスキルアップのための学習や

自己啓発に力をいれている

1年前と比べて、自分自身の働き方は

あまり変化していない

18.4

家族や友人など身近な人と

将来について話をしている

少し価格が高くても、サポートや保証

がしっかりした商品やサービスを選ぶ

近所の店を積極的に利用している

無駄な出費は控えるようにしている

ボランティアなど社会や人の

ためになる活動に参加している

3月調査(3/14~20) (N=1018) 5月調査(5/12~16) (N=1020)4月調査(4/10~14) (N=1002)

情報 商品・サービス 環境 自己啓発 コミュニケーション

JTB総合研究所

(%)

11.今後の生活でも継続したいことの上位は、「キャッシュレス決済(83.8%)」、「社会貢献をしてい

る企業の商品やサービスを意識して選ぶ(82.3%)」、「オンラインショッピング(82.2%)」

自粛期間に多く利用されたサービスは「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」

や「デリバリーサービス(38.9%)」。サブスクリプション(定期購入)サービスは継続意向も高い

新型コロナの感染拡大で、私たちの生活は大きく変わることになりました。感染防止として、衛生管

理の徹底やソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)の確保、外出自粛により、テレワーク

やオンラインセミナー、オンライン診療など、初めて意識したり、経験したりすることも多かったと思

われます。こういった数々の経験は、収束後も続くことになるのでしょうか。今後の意向について、日

常生活における様々な体験と、より具体的なサービスとに分けて聞きました(5 月調査のみ)。

今後の日常生活でも継続したいことは、いずれも高い割合でしたが、「キャッシュレス決済(83.8%)」、

「社会貢献をしている企業の商品やサービスを意識して選ぶ(82.3%)」、「オンラインショッピング

(82.2%)」、「マスク着用、消毒など衛生管理(81.8%)」、「3 密回避・ソーシャルディスタンス確

保(80.7%)」が僅差で 8 割以上となりました。キャッシュレス決済やオンラインショッピングは便利

なうえに、感染防止にもなることが改めて評価されたと考えられます。詳細は触れませんでしたが、前

述のJTBの調査では、これからの旅行の目的や行き先を選ぶ基準として「安全安心に旅行ができるこ

と」や「3 密を避けられること」が多くあがりました。「安心安全」は、今後の旅行をする上での前提

条件になりそうです。社会貢献に関しては、今後企業は、これまで以上に「社会の公器」であることが

求められそうです。他と比べて継続意向が低かったことは、「自宅から離れた場所にも住まいや仕事場

を持つこと(63.0%)」、「オンラインでの集まり(飲み会、会合など)(64.3%)」でしたが、それで

も半数以上が継続したいという結果となりました(図 16)。

外出自粛生活の中で話題となった具体的なサービスやしくみの利用率をみると、「月額制の動画、漫

画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」や「デリバリーサービス(38.9%)」が上位となりました。

また、その中で継続利用が高かったのは、「動画や書籍の見放題・読み放題(75.2%)」や「通販の定

期便(69.1%)」など、サブスクリプションモデルでした。一方、これまで利用したことはないが、今

後利用してみたいとの回答が多かったのは「ちょっと贅沢なお取り寄せ(56.5%)」、「宿泊施設や飲

食店などの前売り券を購入(52.9%)」でした。お気に入りのお店や施設、地域を助けたいという「応

Page 13: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-13-

援消費」は、これからのスタンダードになるかもしれませんが、緊急時だけでなく、平時から顧客との

特別な関係を築き、ファンを増やしていけるかがキーポイントになっていくでしょう(図 17)。

(図 16)今後の生活で利用を継続したい/減らしたいこと(5 月調査) (単一回答)

*「あてはまるものはない」を除いて集計

17.8%

618

減らしたい、控えたい

17.7%

549721

83.8% 82.3%

マスク着用、消毒など

衛生管理

社会貢献をしている

企業の商品やサービス

を意識して選ぶ

82.2%74.7%

オンラインショッピング

自宅から離れた場所にも

住まいや仕事場を持つこと

64.3%

81.8%

468

23.2%18.2%

テレワーク

24.4%

80.7%

近隣の商業施設の利用

(商店街など)

オンライン教育(オンライン

授業やオンライン講義、

セミナー)

19.3%

3密回避・ソーシャル

ディスタンスの確保

916

78.0%

22.0%

541

オンラインでの医療

相談や診療

545

78.0%

22.8%22.0%

75.6%

時差出勤

飲食店のテイクアウトの利用

77.2% 76.8%63.0%

75.1%

24.9%

オンラインでの仕事

(会議や商談など)

16.2%

35.7%

50%

オンラインでの集まり

(飲み会、会合など)

37.0%

545657

25.3%

キャッシュレス決済

871 854 877 804 555

継続したい、増やしたい、

新しく取り入れたい

JTB総合研究所

今後の生活で利用を継続したい/減らしたいこと<5月調査>

(図 17)各種サービスの利用率と今後の利用意向(利用者・非利用者別)(5 月調査) (単一回答)

59.2%

54.6%

56.4%

47.8%

51.5%

75.2%

69.1%

48.5%

45.5%

61.2%

64.1%

64.1%

53.8%

57.8%

55.5%

58.4%

51.5%

51.4%

40.8%

45.4%

43.6%

52.2%

48.5%

24.8%

30.9%

51.5%

54.5%

38.8%

35.9%

35.9%

46.2%

42.2%

44.5%

41.6%

48.5%

48.6%

303

今後も利用を続ける

372

229

緊急事態宣言解除後は減らす・やめると思う

191

50%

289

284

273

249

544

194

397

340

382

299

245

296

239

208

680

45.4%

32.0%

46.3%

31.6%

42.4%

21.3%

32.4%

24.2%

35.0%

24.8%

721

48.6%

24.6%

41.5%

812

56.5%

22.2%

52.9%

771

31.2%

623

731

736

747

717

791

476

648

826

829

638

781

775

724

41.5%

体験系サービス

サブスクモデル

サービス

日常生活の代替

サービス

ゲーム系サービス

今後の利用意向

JTB総合研究所

各種サービスの利用率と今後の利用意向(利用者・非利用者別)<5月調査>

24.4%

リアルタイムで店舗スタッフと繋がり、ショッピング 28.3%

26.8%

36.5%

27.8%

リアルタイムで現地ガイドや参加者と繋がり旅行を体験

音楽や舞台などのオンラインライブビューイング

22.5%

国内外の絶景などの映像を見て旅行気分を楽しむ

美術館や博物館などの展示をオンラインで見る

53.3%

23.4%

月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題

ちょっと贅沢なお取寄せ、特産品のオンライン販売

通販の定期便

19.0%月額制の洋服・ファッション雑貨などのレンタル

18.7%月額利用のホテル仮住まいサービス

29.0%

29.3%

38.9%デリバリーサービス

37.5%食料品などの宅配サービス

オンラインスポーツ

33.3%

ドライブスルーでの日用品の買い物

29.7%宿泊施設や飲食店等を応援するための前売券購入

24.0%オンライン料理教室やワークショップ、体験学習

オンラインで集まれるゲーム

20.4%eスポーツへの参加・観戦

利用率

今後利用してみたい現在、利用している

(N=1,020)

非利用者利用者

Page 14: 「新型コロナウイルス感染拡大による、 暮らしや心の変化 ...…±20200528:新型...-3- (図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)

-14-

まとめ

■国内旅行は身近な居住圏内からの動きを予想。引き続き若者の旅行意欲が高い

緊急事態宣言は解除されましたが、当面、都道府県をまたぐ移動に関しては自粛要請が続いています。

家計や経済に関しては、新型コロナの影響で給与が減りそう、節約している、という回答が3割を超え、

今後の悪化も懸念されます。このような状況の中で、旅行・観光の回復は、国内旅行からで、まずは身

近な域内での観光や友人・知人訪問、帰省などからの動きが多くなりそうです。既にいくつかの地域で

は県内居住者を対象とした宿泊プランを用意するなど、地域の消費喚起施策が始まっています。地元の

人が地元の魅力を再認識、再評価し、SNSなどで発信も期待できる良い機会と考えられます。また、

今回浸透してきたテレワークをベースに、ノマドワーク、ワーケーションなど、「暮らす・働く」と

「旅行する」の融合が加速するのではないでしょうか。少しずつ変化がみられていた Z 世代やミレニ

アル世代を中心とした旅行のあり方にも今後注目です。

海外旅行に関しては、過去の旅行者動向をみると、比較的、景気の影響を受けにくい傾向です。また

ここ数年、活発に海外旅行をしていた若者は引き続き旅行意向が高い結果でした。スペインのように、

観光客受け入れ再開の見通しを伝える国が出てくる一方で、7 月までの海外ツアーの催行中止が決定さ

れ、調査時よりさらに海外旅行の回復は遅れそうです。新型コロナの影響が長引き、雇用環境や経済状

況の回復が遅れた場合には、徐々に旅行意向も減少する可能性はあります。また、60 才以上の女性では、

海外旅行に「二度と行きたくない」という回答も少なくないことから、海外旅行者の世代交代も進む可

能性があるかもしれません。

■デジタルの便利さを享受しつつも、欠かせないアナログの価値

この状況下で、生活のデジタル化(テレワークやキャッシュレス決済、オンラインサービスなど)が

大きく浸透しました。一度利便性を体感した消費者が、元の生活に戻るとは考え難く、デジタル化は加

速度的に進むと考えられます。あらゆるサービスがデジタルを前提としたものとなる一方、デジタル(バ

ーチャル)の良さを知ったからこそ感じられる「アナログ(リアル)」の価値(人と会う、旅行をする)

に気づく面もあります。デジタルとアナログを切り分けて考えるのではなく、デジタルの中に、どのよ

うにアナログを融合させていくかが、新しい魅力的な商品やサービスを生むために重要ではないでしょ

うか。

■新しい生活様式(ニューノーマル)時代の観光をつくり、発信する

デジタル化に加え、3 密の回避などの新しい生活様式(ニューノーマル)も広がりました。本調査で

も消毒やマスク着用といった衛生管理や 3 密の回避は 8 割以上が継続すると答えています。こういった

中、観光においても、新しい生活様式に基づいたあり方の確立が求められます。旅行者も地域社会も「衛

生管理は旅のマナー」として、「ポジティブに」進めていくことが必要と思われます。ハワイ政府観光

局の戦略で話題となった「レスポンシブル・ツーリズム」は、単に地域が持続可能である観光を目指す

だけではなく、旅行者にも責任がある、という考え方です。旅行者がその土地の人々の考え方や行動を

共有し、尊重することで、持続可能、かつ、住民と旅行者双方にとって満足度の高い体験が可能となる

のです。こういった取り組みにより、観光地(業界・企業)と旅行者と住民との関係性も変ってくると

考えられます。持続可能な社会をつくるために「社会貢献をしている企業の商品やサービスを意識して

選ぶようになった」と回答した人の割合は 8 割を超えました。真のファンをつくるためにも、お互いを

尊重しあう関係性を構築していくことが重要です。

2020 年に旅行を検討している人が、行くかどうか迷っている理由に、「旅行先の正確な情報が足りな

いと感じる」、「世間体が悪いと感じる」という回答が時間の経過とともに多くなっていきました。旅

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-15-

先での感染症が疑われた場合の対応や、緊急時の相談、旅先で自分は歓迎されるのかなど不安が多く、

決めかねている状況とも受け取れます。ニューノーマル時代の観光とは何か、地域にとって観光の位置

づけを再認識すること、また、適切な情報と、歓迎の気持ちを発信し、旅行者へきちんと伝えていくこ

とが、旅行者の不安を払拭し、旅行へ誘うことにつながると思われます。

<参考>感染者数(累積)の推移(世界・日本)と本レポート調査期間

0

2,500

500

2,000

5,000

1,000

3,000

1,500

3,500

4,000

4,500

Brazil

Italy

USA

France

Spain

UK

Russia

China

other

20

15

0

5

10

3月

15日

2月

15日

3月

1日

2月

1日

4月

1日

4月

15日

5月

1日

5月

15日

5月

20日

Japan

出所:Our World in Data Coronavirus Source Dataを元にJTB総合研究所 作成

JTB総研2月調査2/21~27

JTB調査

4/27~29(千人)

3/12 WHO パンデミックと表明

2/26政府 2週間の大規模イベント自粛を要請

2/28• 文科省 全国小中高一斉

休校を要請• 北海道 緊急事態宣言• TDR,USJが休園発表

世界(含む日本)

日本

3/24東京五輪・パラ延期をIOCが承認

3/29志村けんさん逝去

2/3 ミクロネシア日本を汚染地域・国として14日ルールの適用を開始

2/13感染者死亡国内で初

4/8 中国武漢市が封鎖解除

2/13 スペイン

世界最大級の携帯通信関連イベント「MWC」が中止を決定

2/11 中国死者1000人を超える

3/9 NYダウ史上最大の下げ幅取引が一時停止

3/13改正インフルエンザ等対策特別措置法が成立

4/3 世界感染者が100万人を超え、死者は5万人に

4/87都府県で緊急事態宣言 発令

4/16緊急事態宣言が全国に拡大

2/22 イタリア感染者死亡 欧州で初

3/25

都知事 週末の不要不急の外出自粛を要請

3/27 アメリカ

感染数が中国をぬき世界最多に

3/10イベント自粛を延長

3/17 EU

第三国からの渡航を30日間、原則禁止

JTB総研3月調査3/14~20

JTB総研4月調査4/10~14

JTB総研5月調査5/12~16

5/1439県で緊急事態宣言を解除

5/4緊急事態宣言5月末まで延長

4/21 NY原油先物史上初のマイナス価格

4/29 アメリカ感染者数が100万人超

5/11 イギリスロックダウンを一部緩和

5/1 ロシア感染が拡大 10万人超

<報道関係の方からのお問い合わせ先>

(株)JTB 広報室 03-5796-5833

(株)JTB 総合研究所 03-6722-0759

<調査結果・データに関するお問い合わせ先>

(株)JTB 総合研究所 企画調査部

03-6722-0759

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