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「アルカリシリカ反応をどこまで抑制すべきか」 に関するシンポジウム JCI ASR診断の現状とあるべき姿研究委員会 委員長 山田一夫(国立環境研究所) 2012/12/3 JCI-ASRシンポ 1

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「アルカリシリカ反応をどこまで抑制すべきか」に関するシンポジウム

JCI ASR診断の現状とあるべき姿研究委員会

委員長 山田一夫(国立環境研究所)

2012/12/3 JCI-ASRシンポ 1

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2012/12/3 JCI-ASRシンポ 2

防波堤 亀甲状のひび割れ 最大 10-20mm 問題ない? 充填しても止まらない

ダムの水門 少しの膨張で開かなくなる. 膨張量は少なくとも大問題

PC梁 緊張材にそうひび割れ PC鋼材防食に問題?

鉄筋破断 変形挙動に影響?

梁 最大ひび割れ~ 10 mm

ASRの古典的事例

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抑制対策の限界

遅延膨張性骨材の事例 ・モルタルバー法無害 ・アルカリ総量<3.0kg/m3

オパール含有安山岩の例 ・数年で劣化 ・アルカリ総量2.2kg/m3

2012/12/3 JCI-ASRシンポ 3

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細骨材での膨張 ・石灰石粗骨材 ・チャートを含む海砂 ・除塩なし?

2012/12/3 JCI-ASRシンポ 4

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これまで何を主張してきたか?

• JCI-TC062A「作用機構を考慮したアルカリ骨材反応の抑制対策と診断に関する委員会」2006-2007

• 従来の抑制対策(化学法、モルタルバー法をすり抜ける骨材例、アルカリ総量規制以下での劣化事例、ポゾランの限界)は完全ではないことを示す事例の列挙と理由。

• 海外の動向。化学法+モルタルバー法からの脱却とASTM C1260への移行。

• 無視されてきたASR劣化の存在。ひび割れなんてそう簡単に原因特定できない=ASR診断の重要性。

• 岩石学的特長の考慮の重要性。

• アルカリ総量規制の限界とポゾラン使用の重要性。

2012/12/3 JCI-ASRシンポ 5

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ASRをめぐる思い

• 誰でもできる試験(不完全) vs. 岩石学的手法(より本質的) ⇒反応性評価も診断も • ルール(基準に従順)と自己責任(よりよいもの) • 継続性を求める権威 vs. 先端技術による修正 • 施工者の気持ち(ひび割れ抑制) vs. 本当に問題なのかという疑問 • 定量予測できないジレンマ(判定はON/OFF) • 抜本劣化対策を開発できない技術者としての悩み

2012/12/3 JCI-ASRシンポ 6

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頭の整理(CSA A23.2 27A-09)

• 全体像の提示:どのように岩石学を使うか

• 骨材の膨張性:甲乙丙(カナダ法&コンクリートプリズム)

• 構造物の条件ごとのリスクレベル:部材厚と水分供給

• 種々の対策レベル:リスクレベルと供用期間

• 対策:5段階

• 抑制効果のある混和材の能力区分

(詳細はシンポジウムにて紹介)

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当然と思えることの再認識と共有

現状の対策に限界があることを前提として・・・

• きわめて重要な構造物と重要度が低い構造物の対策が同じなのはおかしいだろう。

• セメントのアルカリ量が低下し、ASRリスクは確実に減ったが、例外はある。 – どれくらいの構造物で劣化しているのか?

– なぜ、抑制対策が機能しなかったのか?

– 今後、どのように対応するのか?

• RCに少しくらいひびが入っても良いではないか?

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ASRをどこまで抑制すべきか?

• 専門家の間では、技術論はかなり尽くされて来た。

• 現状認識に関するアンケートも実施した。

• リスクゼロが暗黙の了解であったが、そうではないことを認識したとき、従来の方法論からコストをかけて新しい方法を受け入れるのか?

• コストをかけて岩石学的手法で診断できるのか?

• 構造物のそれぞれ発注者、管理者、使用者、および学識経験者の意見を聞いてみたい。

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