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流れの制御によるタイヤ温度低減
STAR Japanese Conference 2016
9-10 June 2016
名塩博史
東洋ゴム工業株式会社
タイヤ先行技術開発部
CAEグループ
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発表コンテンツ1. イントロダクション
• 弊社紹介
• 背景,目的
2. タイヤ空冷効果の予測手法開発
• 計算モデル
• 空冷のための形状探索
3. 風洞試験による空冷効果の検証
• 試験方法
• 結果および考察
4. まとめ
5. 今後の予定
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1. 弊社紹介 – 概要
社名 : 東洋ゴム工業株式会社
本社 : 大阪市西区江戸堀1丁目17番18号
設立 : 1945年8月1日
代表者 : 取締役社長 清水隆史
資本金 : 304億8,400万円
従業員数: (連結)11,333名
売上高 : 4077億8900万円
主な事業 : タイヤ事業,ダイバーテック事業
(2016年3月現在)
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1. 弊社紹介 – タイヤ事業
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1. イントロダクション
タイヤにおける熱流体問題 熱(温度):耐久性能,転がり抵抗,操安性能等に影響大
流体(空力):抗力,揚力といった車両空力特性に影響大
熱流体特性の予測・評価手法が必要
STAR-CCM+導入
形状測定器 ころがり抵抗試験機 無響室 フラットベルト式タイヤ特性試験機 氷盤試験機
音響インテンシティ試験機 大型タイヤ特性試験機
静的バネ試験機 摩擦エネルギー試験機 高速耐久試験機
振動試験機 レイングルーブ試験機
接地性試験機 摩耗試験機
静特性
形状 燃費性能
摩耗性能
運動性能 氷上性能振動・騒音性能
耐久性能
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1. イントロダクション
ランフラットタイヤの耐久性能 内圧0条件下のランフラットタイヤでは,補強ゴムが屈曲を繰り返すことで高温とな
り,故障が促進される.
補強ゴムの温度を低減することは,補強ゴムの故障を抑制し,ランフラット耐久性の向上に効果的である.
一般タイヤ ランフラットタイヤ
内圧:0kPa
内圧:0kPa
補強ゴム
高温 ⇒ 破壊
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流れの制御による温度低減技術 タイヤ周囲の流れを制御することで,タイヤからの放熱を促進できる.
流れを制御する手段の検討には,CFD(Computer Fluid Dynamics:数値流体力学)を用いた検証が効果的である.
CFDによる回転円板の計算例
1. イントロダクション
他社空冷技術 引用元:特許広報(特開2012-131254)
引用元:特許広報(WO07/032405)
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実施内容 CFDによるタイヤ空冷効果の予測技術の開発
効果的な空冷のための最適形状の探索
風洞試験装置による空冷効果の検証
1. イントロダクション
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2. タイヤ空冷効果の予測手法開発
解析モデルおよび計算手法 回転するタイヤとその周囲の空気をモデル化
回転速度は車両速度80km/hを想定した値とする(Re≒5.0x105)
形状は単純化し,ハーフモデルとする(対称条件)
空気(静止)
タイヤ(回転)
パッド(発熱領域)
トレッド
ビード
サイド(形状変更部)
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メッシング, 物理モデル物理モデル(流体領域)• 定常解析• K-ε乱流(Realizable K-ε2層)• 分離型流体温度• 理想気体
物理モデル(固体領域)• 定常解析• 分離型固体エネルギー• 密度一定
メッシュモデル• サーフェスリメッシャー• ポリヘドラルメッシャー• プリズムレイヤーメッシャー
セル数• 約1M~3M
2. タイヤ空冷効果の予測手法開発
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2. タイヤ空冷効果の予測手法開発
境界条件etc
圧力出口
圧力出口
対称面
壁面
インターフェース境界
タイヤ代表長さ:d
15d
15d
3d
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計算結果例 (サイド形状 : 平滑)
流線および表面温度 タイヤ内部温度分布
2. タイヤ空冷効果の予測手法開発
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2. 空冷のための形状探索
冷却手段の検討 平行平板における境界層の発達現象
先端 境界層
LaminarSub-LayerUn
Un
層流 遷移領域 乱流
境界層が非常に薄くなる
速度の空間勾配が増大する
放熱が促進される
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2. 空冷のための形状探索
タイヤへの適用 タイヤサイドに配置した突起により流れを分断する
突起上面において速度勾配が増大し,放熱が促進される
凹部分については速度勾配upは望めないため,乱流促進効果により放熱を促進する
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2. 空冷のための形状探索
形状検討 (たたき台として)初期3次元形状を考案
先行他社の提案形状による計算結果を目標値に設定
計算⇒形状修正を繰り返し形状を作りこみ
初期の形状案 初期形状についての計算結果
流線&表面温度
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分断速度勾配が増大
2. 空冷のための形状探索
最終提案形状 突起により流れを2方向に分断する
突起上面を凸形状とし先端での剥離を抑制
乱流促進による冷却
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2. 計算結果
流れが分断されるとともに速度勾配が増大している
流線および表面温度
0
1
2
3
4
5
0 5 10 15 20
wall
dis
tance [m
m]
velocity [m/s]
without projections with projections
速度プロファイル
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提案形状による顕著な空冷効果が予測された
突起有り突起無し
表面温度分布 タイヤ内部最高温度
2. 計算結果
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3. 風洞試験による空冷効果の検証
流路寸法
長さ 3000mm
幅 300mm
高さ 300mm
最高流速 40km/h
観測窓
土台
流れ
形状サンプル
フィルムヒーター
サーモカメラ
試験方法 稼動状態でサンプル表面温度を測定する.
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突起無し 突起有り
風洞試験タイヤモデル
• スケーリング ( x 1.74 )• 配置変換(円状 ⇒ 直線)
形状サンプル 形状サンプルはタイヤモデルにおける流れを再現できるようにした
3. 風洞試験による空冷効果の検証
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3. 計測結果
突起による温度低減効果を実測により確認した.
20
30
40
50
60
70
0 20 40 60 80 100
tem
pera
ture
[℃
]
[mm]
without projections with projections突起有り突起無し
表面温度分布
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3. 数値計算結果との比較
実測結果とCFD結果は定性的に同様の傾向を示した.
Test ResultCFD Result
20
30
40
50
60
70
0 20 40 60 80 100
tem
pe
ratu
re[℃
]
[mm]
without p with p
20
30
40
50
60
70
0 20 40 60 80 100
tem
pe
ratu
re[℃
]
[mm]
without p with p
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4. まとめ
CFDによる空冷効果の予測技術を構築した.
タイヤにおける新しい空冷手段を考案し,具体的な形状を示した.
提案した形状について,風洞試験により温度低減効果を確認した.
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5. 今後の予定
最終的には空冷形状を備えたタイヤの製品化を目指す
予測技術の改善より実現象に近づける (路面, 車両, etc.)
実タイヤでの検証耐久性
ご清聴ありがとうございました