在宅医療・介護推進プロジェクト...hiv感染症・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業(エイズ患者等の在宅療養環境整備)...

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在宅医療・介護推進プロジェクト 資料3

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Page 1: 在宅医療・介護推進プロジェクト...HIV感染症・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業(エイズ患者等の在宅療養環境整備) 在宅での医療用麻薬使用推進モデル事業(地域単位での麻薬在庫管理システム等の開発)

在宅医療・介護推進プロジェクト

資料3

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施設中心の医療・介護から、可能な限り、住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す。

○ 国民の60%以上が自宅での療養を望んでおり、そのための在宅医療・介護の推進は、「民主党マニフェスト」や「一体改革成案」にも掲げられた、現政権として取り組むべき最重要の課題。

○ 死亡者数は、2030年にかけて今よりも約40万人増加。国民の希望に応える療養の場および看取りの場の確保 は、喫緊の問題。

2 実施拠点となる基盤の整備

3 個別の疾患等に対応したサービスの充実・支援

住み慣れた場で、自分らしい生活を実現

《在宅医療・介護の主要課題》

在宅医療・介護推進プロジェクト ~住み慣れた場で自分らしく暮らしていくために~

○ 在宅医療・介護は、個別的なケア、多職種の連携、地域資源の活用といった点で、入院医療・施設介護とはノウハウが全く異なる。

→ 「在宅医療・介護の推進」に重点的に予算を配分し、ヒト・モノ・技術の獲得を強力に推進。

・予算での対応 本プロジェクトでの対応 ・制度的対応 法律改正や医療計画等での 位置づけ等を検討 ・診療報酬・介護報酬 24年度同時改定に向けた検討

1 在宅チーム医療を 担う人材の育成

○ 我が国は国民皆保険のもと、女性の平均寿命86歳(世界1位)、男性80歳(同2位)を実現するなど、世界でも類を見ない高水準の医療・介護制度を確立。

○ しかし、入院医療・施設介護が中心であり、平均入院期間はアメリカの5倍、ドイツの3倍。また自宅で死亡する人の割合は、 1950年の80%から2010年は12%にまで低下。

《課題対処に向け施策を総動員》

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○ 在宅チーム医療の推進のための研修(在宅医療を担う職能別の研修) ○ 多職種協働による在宅医療を担う人材育成(多職種協働によるサービス調整等の研修)

在宅医療・介護推進プロジェクト 【24年度要望額 127億円】

今後、医療計画に盛り込むことを検討している「在宅医療体制構築に関する指針(案)」に沿って、各地域で在宅医療(薬局も含む)、栄養ケア、 介護の連携を図り、在宅医療・介護を推進。 ○ 在宅医療連携拠点事業(多職種協働による在宅医療連携体制の推進) ○ 在宅医療提供拠点薬局整備事業(地域の在宅医療を提供する拠点薬局の整備) ○ 栄養ケア活動支援整備事業(関係機関と連携した栄養ケア活動を行う取組の促進) ○ 在宅サービス拠点の充実(複合型サービス事業所、定期巡回・随時対応サービス及び訪問看護ステーションの普及) ○ 低所得高齢者の住まい対策

(1) サービスの充実・支援に向けた取組 ○ 国立高度専門医療研究センター(5ヵ所)を中心とした在宅医療推進のための研究事業 (疾患の特性に応じた在宅医療の提供体制のあり方を含めた研究推進) ○ 在宅医療推進のための医療機器承認促進事業(未承認医療機器に関するニーズ調査等) ○ 在宅医療推進のための看護業務の安全性等検証事業(在宅医療分野における看護業務の安全性を検証) (2) 個別の疾患等に対応した取組 ○ 在宅介護者への歯科口腔保健推進事業(歯科口腔保健の普及啓発のための口腔保健支援センター整備) ○ 在宅緩和ケア地域連携事業(がん患者に対する地域連携における在宅緩和ケアの推進) ○ 難病患者の在宅医療・在宅介護の充実・強化事業(ALS等の難病患者への包括的支援体制) ○ HIV感染症・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業(エイズ患者等の在宅療養環境整備) ○ 在宅での医療用麻薬使用推進モデル事業(地域単位での麻薬在庫管理システム等の開発) ○ 薬物依存者の治療と社会復帰のための支援事業(依存者・家族への薬物乱用離脱支援)

2 実施拠点となる基盤の整備

3 個別の疾患等に対応したサービスの充実・支援

1 在宅チーム医療を担う人材の育成

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■ 在宅チーム医療を担う人材育成

■事業の必要性 ○ 在宅療養中の患者は、多様なニーズを持ち、年齢や疾患が多岐に渡ることから、在宅医療を担う医師、看護師等の医療関係

職種においては職能別の研修を実施し、専門的知識・技術の習得及び、専門性の向上を図る必要がある。

○ 在宅医療においては、医師・薬剤師・看護師・管理栄養士・ケアマネージャー等の多職種が各々の専門知識を生かし、積極的な意見交換や情報共有を通じて、チームとして患者・家族の質の高い生活を支えていく必要がある。

■ 在宅医療を担う専門職種の人材育成 【委託事業】 (5.5億円)

■ 多職種協働による在宅チーム医療を担う人材育成 【委託事業】 (3.2億円)

在宅医療に関する高い専門性を有する機関(職能団体、学会等)が、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士などの在宅医療・介護を担う多職種に対して、在宅で療養する患者の多様なニーズに対応するための特有の知識や技術を習得するための研修を行う。

●都道府県リーダー研修 各都道府県における在宅チーム医療推進リーダーとして選抜された方(行政担当者、各都道府県内の在宅チーム医療において中心的役割を担っている方等)に対し、国が在宅チーム医療についての研修を行った後、それぞれの都道府県内で地域リーダー研修の指導者としての役割を担ってもらう。

●地域リーダー研修 地域リーダーとして市町村単位で選抜された医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャー等の在宅医療従事者に対して、都道府県リーダーが多職種協働による在宅チーム医療についての研修を行う。修了後、地域リーダーは、それぞれの市町村内で、地域の在宅医療従事者に対する研修を展開する。

要望額 8.7億円

■事業内容

■事業の効果

在宅医療に従事するプロフェッショナルが育成される 3

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【事業内容】 在宅がん患者等が必要とする無菌性の高い注射剤や輸液などを身近な薬局で提供可能にするために、 都道府県が地域の薬局に無菌調剤室を設置し、共同利用体制を構築する。

■事業の効果

【24年度要求額 :1804百万円 】

病院

情報共有・連携

退院支援のサポート

24時間連携体制 チーム医療提供

【事業内容】 在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションなどが連携拠点となり、医療と介護の双方に詳しい人材を配置し、地域横断的に活動することで、 地域における多職種協働による医療と介護の連携体制の構築を行う。 (モデル事業:全国94カ所で実施)

複合型サービス 事業所等

■ 実施拠点となる基盤の整備 要望額 89億円

■事業内容

【事業内容】 都道府県栄養士会、栄養ケア・ステーション等が、潜在管理栄養士・栄養士の人材確保、栄養ケアに関する先駆的な活動を実施するNPO等民間の取組の促進、支援。

【事業内容】 社会福祉法人等が、看護と介護を一体的に提供する拠点を整備し、医療ニーズの高い要介護者への支援の拡充を図る。 (複合型サービス事業所、定期巡回・随時対応サービス等)

■事業の必要性 ○ 在宅医療を推進するには、医療と介護のサービスが包括的かつ継続的に提供されることが重要であり、そのためには、在宅

医療を提供する病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどの医療・福祉機関やそこに従事する多職種が連携する必要がある。

○ そのため、多職種が連携できるための体制の構築と実施拠点となる基盤の整備を行う。

在宅において安心して療養できる場が提供される

【事業内容】 社会福祉法人等が、家事援助、安否確認、生活相談等を受けられるような低所得高齢者のための 住まいの整備を行う。

介護施設

小規模な養護老人ホーム等

看護、介護サービス

在宅

地域の診療所、薬局 訪問看護ステーション

地域包括支援センター

医療と介護の協働

情報共有・連携

情報共有・連携

在宅医療連携拠点

■在宅サービス拠点の充実 【交付金】 (34.5億円の内数) ■在宅医療連携拠点 【委託事業】 (31億円)

■低所得高齢者の住まい対策 【交付金】 (34.5億円の内数)

■栄養ケア活動支援【 補助事業】(2.7億円)

■拠点薬局の整備 【補助事業】(20.3億円)

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■事業の効果

■個別の疾患等に対応したサービスの充実・支援 要望額 29億円

■事業の必要性

○ 在宅医療は、地域の実情、医療資源の状況などにより、取り組む課題は異なっていることから、サービスの充実・支援に向けた取組や個別の疾患等に対応した取組を行う必要がある。

■事業内容

【事業内容】 国立長寿医療研究センターなどが、在宅医療を支援するための先端機器の開発や、臨床応用を行うための基盤を整備する。

【事業内容】 医療スタッフ、関係学会、医療機器業界等の委員で構成された、在宅医療機器ニーズを把握するための検討会を実施し、改善・改良、必要なガイドラインの作成、企業への要請を行うことで、現場に速やかにフィードバックしていく。

【事業内容】 厚生労働省が指定する施設において、患者・家族が希望する 在宅医療を広く実現するため、専門的な臨床実践能力を有する 看護師が医師の包括的な指示を受けて看護業務を実施できる仕組みの構築に向けた業務の安全性や効果の検証を行う。

サービスの充実・支援に向けた取組

■在宅医療推進のための医療機器 承認促進事業【委託事業】(0.14億円)

■在宅医療推進のための看護業務の安全性等検証事業【委託事業】(0.9億円)

■国立高度専門医療研究センターを 中心とした在宅医療推進のための 研究事業【運営費交付金】(16億円)

様々な地域で様々な疾患を持った患者が等しく在宅医療の提供を享受できる

【事業内容】 都道府県が、口腔保健支援センターにおいて、在宅介護者に対する歯科口腔保健に関する知識等の普及に係る講習会等を実施するための基盤の整備を行う。

【事業内容】 がん診療連携拠点病院と都道府県が連携し、在宅におけるがんの緩和ケアに関する知識と技術の研修等を行う在宅緩和ケア地域連携体制を構築する。

【事業内容】 都道府県や日本神経学会等が主体となり、在宅難病患者に対して、日常生活支援や災害時の緊急対応(搬送・受入体制)にも備えた包括的な支援体制をつくる。

【事業内容】 HIV中核拠点病院等が、医療・介護従事者のHIVに対する知識・技術不足や差別・偏見を解消するための実地研修や講習会等を実施し、安心して在宅医療・介護が受けられる環境の整備を行う。

【事業内容】 薬局間において、厳正な管理のもと麻薬の融通を円滑に行うことで、患者のニーズに合った薬物療法を提供し、患者が自宅で安心して医療が受けられる環境づくりを行う。

【事業内容】 薬物依存者のスムーズな社会復帰を支援するため、国、都道府県、地域の関係者が連携して、継続した依存症治療を提供できる環境づくりや薬物依存者への生活支援を行う。

■在宅介護者への歯科口腔保健 推進事業【補助事業】(4.6億円)

■難病患者の在宅医療・在宅介護の 充実・強化事業【補助事業】(1.5億円)

■在宅での医療用麻薬使用推進モデル 事業【委託事業】(0.6億円)

■在宅緩和ケア地域連携事業 【補助事業】(3.6億円)

■HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・ 介護の環境整備事業【委託事業】(1.3億円)

■薬物依存者の治療と社会復帰のための 支援事業【委託事業】 (0.6億円)

個別の疾患に対応した取組

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参 考 資 料 (在宅医療推進の必要性と課題)

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100

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70

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90

100

2005年(実績) 2030年 2055年

75歳~ 1,164( 9%)

65~74歳 1,412(11%)

20~64歳 7,783(61%)

~19歳 2,418(19%)

総人口 1億2,777万人

総人口 1億1,522万人

総人口 8,993万人

75歳~ 2,266(20%)

75歳~ 2,387(27%)

65~74歳 1,401(12%)

65~74歳 1,260(14%)

20~64歳 6,305(55%)

20~64歳 4,290(48%)

~19歳 1,550(13%)

~19歳 1,057(12%)

万人 万人 万人

歳 歳 歳

2010年~ 生まれ

2010年~ 生まれ

65歳~人口

20~64歳人口

1人 3.0人

今後の出生率の 動向により変化

今後の出生率の 動向により変化

1人 1.7人

1人 1.2人

注:2005年は国勢調査結果(年齢不詳按分人口)。

○ 我が国の人口構造の変化を見ると、現在1人の高齢者を3人で支えている社会構造になっており、 少子高齢化が一層進行する2055年には1人の高齢者を1.2人で支える社会構造になると想定される。

人口ピラミッドの変化(2005,2030,2055)- 平成18年中位推計 -

出典)国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」 (出生中位・死亡中位) 7

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0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

26 30 40 50 60 元 5 15 25 35 45 55 6567

(千人)

実績値

推計値

平成52年(2040年)

166万人

出典)平成21年までは厚生労働省 「人口動態統計」

平成22年以降は国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」(出生中位・死亡中位)

平成 昭和

死亡数の年次推移

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※1994年までは老人ホームでの死亡は、自宅に含まれている 出典)厚生労働省 「人口動態統計」

死亡場所の推移

9.1%

78.4%(病院)

2.6%

0.1% 1.1%(老健) 1.5%

3.2%(老人ホーム)

82.5%

12.4%(自宅)

5.9% 2.4%(診療所)

0%

20%

40%

60%

80%

1951 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009

病院 診療所 介護老人保健施設 老人ホーム 自宅 その他

2.4%(その他)

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在宅医療に関する国民のニーズ

11.8

9.6

8.8

20.7

22.9

18.4

20.4

21.6

23

28.3

26.7

29.4

9

10.5

10.9

4.4

3.2

2.5

2.5

2.6

4.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成10年

平成15年

平成20年

なるべく今まで通った(または現在入院中の)医療機関に入院したい なるべく早く緩和ケア病棟に入院したい

自宅で療養して、必要になればそれまでの医療機関に入院したい 自宅で療養して、必要になれば緩和ケア病棟に入院したい

自宅で最後まで療養したい 専門的医療機関(がんセンターなど)で積極的に治療が受けたい

老人ホームに入所したい その他

分からない 無回答

■終末期の療養場所に関する希望

○ 自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したいと回答した者の割合を合わせると、60%以上の国民が「自宅で療養したい」と回答した(上図)。

○ また要介護状態になっても、自宅や子供・親族の家での介護を希望する人が4割を超えた(下図)。 ○ 住み慣れた環境でできるだけ長く過ごせるよう、また望む人は自宅での看取りも選択肢になるよう、在宅医療を推進していく必要がある。

高齢者の健康に関する意識調査(平成19年度内閣府)

41.7%

2.3% 0.5%

18.6% 11.5% 17.1%

2.2% 0.4%

5.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 自宅で介護してほしい 子どもの家で介護してほしい 親族の家で介護してほしい

介護老人福祉施設に入所したい 介護老人保健施設を利用したい 病院などの医療機関に入院したい

民間有料老人ホーム等を利用したい その他 わからない

■療養に関する希望

出典:終末期医療に関する調査(各年)

○調査対象及び客体 ・全国の市区町村に居住する満20歳 以上の男女から5,000人を層化二段 無作為抽出法により抽出 ・150国勢調査区の住民基本台帳から 客体を無作為に抽出 ○調査の方法 郵送法 ○回収数 2,527人(回収率50.5%)

○調査対象 全国の55歳以上の男女5,000人 ○調査の方法 調査員による面接聴取法 ○標本抽出方法 層化二段無作為抽出法 ○回収数 3,157人(回収率63.1%)

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在宅医療推進にあたっての課題

■在宅医療推進にあたっての課題

■在宅療養移行や継続の阻害要因

○ 在宅医療を必要とする者は2025年には29万人と推計され、約12万人増えることが見込まれる。 ○ 急性期治療を終えた慢性期・回復期患者の受け皿として、終末期ケアも含む生活の質を重視した医療としての在宅医療のニーズは高まっている。

○ 在宅医療推進の課題として、1)在宅医療サービス供給量の拡充、2)家族支援、3)在宅療養者の後方ベッドの確保、4)24時間在宅医療提供体制の構築、5)在宅医療の質の向上・効率化、医療・介護の連携、が挙げられる。

0% 20% 40% 60% 80%

100%

往診してくれる

医師がいない

訪問看護体制が

整っていない

訪問介護体制が

整っていない

介護してくれる家

族に負担がかかる

症状急変時すぐに

入院できるか不安

24時間相談にのっ

てくれるところが

ない

症状が急変したと

きの対応に不安

介護してくれる

家族がいない

平成15年 平成20年

出典:終末期医療に関する調査(各年)

在宅医療サービス供給量の拡充

24時間在宅医療提供体制の構築

在宅医療の質の向上・効率化 / 医療介護の連携

家族支援

在宅療養者の後方ベッドの確保

○調査対象及び客体 ・全国の市区町村に居住する満20歳 以上の男女から5,000人を層化二段 無作為抽出法により抽出 ・150国勢調査区の住民基本台帳から 客体を無作為に抽出 ○調査の方法 郵送法 ○回収数 2,527人(回収率50.5%)

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各 事 業 の 概 要

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Ⅰ.在宅チーム医療を担う人材育成

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■人材育成の展開

①専門職種別研修プログラムの作成 ・研修プログラムの検討委員会の設置 ・研修プログラムの開発

③専門的な技術修得のための実技研修 ・在宅医療提供に必要な 専門技術の取得

②E-ラーニングシステム構築 ・E-ラーニン グシステムにより、研 修プログラムの全国展開

家や職場で 専門知識を修得

・①・②・③の事業はそれぞれの組み合わせの選択を可とする ・事業終了後は研修内容についての報告書を提出し、今後の事業展開や政策立案に役立てる

■職能ごとの研修システム構築の目的 ○Inter Professional Work(IPW:多職種協働)とは、「患者のために」独立した個が理解し合い、協力し合うチーム医療の形であり、 チームメンバーの職能と個性を生かすことが前提である。 ○本事業(職能別人材育成)の目的は、在宅医療を担う職能別の研修を展開し、それぞれの専門性知識・技術の習得および専門 性の向上を図ることである。

■職能ごとの研修の概要

職 種 人材育成事業により習得する専門性知識・技術

医 師 定期的・計画的な診療による在宅患者の病状管理に必要な知識・技術の習得

歯科医師 多職種在宅チーム医療で必要な専門的知識や在宅歯科診療の実践的技術の習得

薬剤師 処方されている薬剤の正しい服薬法等について指導助言するための知識・技術の習得

看護師 定期的・計画的な訪問による在宅患者の医療的な処置、ケアを行うための知識・技術の習得

歯科衛生士 多職種在宅チーム医療で必要な専門的知識や在宅患者の口腔機能管理等に係る実践的技術の習得

職 種 人材育成事業により習得する専門性知識・技術

管理栄養士・栄養士 定期的・計画的な訪問による在宅患者の療養上必要な栄養・食事について個々の食生活の状況を踏まえた助言指導するための知識・技術の習得

理学療法士 定期的・計画的に在宅患者を訪問し、必要なリハビリテーションを提供するための知識・技術の習得 (単なる機能訓練に留まらず、在宅生活を維持しQOLを向上することを重視する)

作業療法士

言語聴覚士

社会福祉士 (医療ソーシャルワーカー)

在宅患者の受診・受療支援、制度の活用支援、経済的問題の解決支援、家族支援、社会復帰等を行うための知識・技術の習得 精神保健福祉士

□ ①在宅チーム医療を担う人材育成事業 要望額 5.5億円

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■地域リーダー研修(国が、47都道府県に委託して実施) ○各都道府県リーダーは、各都道府県で約150人の地域リーダーを 養成(医師・歯科医師・薬剤師・看護師・ケアマネージャー等の職能別に 市町村単位で選抜される) -プログラム策定方法に関する研修 -教育展開の手法に関する研修

医師 看護師

薬剤師 歯科 医師

ケアマネ MSW

医師 看護師

薬剤師 歯科 医師 ケアマ

ネ MSW

医師 看護師

薬剤師 歯科 医師 ケアマ

ネ MSW

地域のリーダー

市区町村単位でリーダーを養成

地域のリーダー

都道府県リーダー研修 都道府県の行政担当者、在宅療養支援

診療所連絡会等 都道府県がロジスティクスをサポート!

■地域リーダーによる地域の多職種に対する研修 ○地域指導者は、各地域の実情や教育ニーズに合ったプログラム を策定 ○策定されたプログラムに沿って、市区町村の多職種 を対象に研修を実施

■本事業の目的 ○在宅医療においては、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネージャー、介護士などの医療福祉従事者がお互いの 専門的な知識を活かしながらチームとなって患者・家族をサポートしていく体制を構築することが重要である ○国が、都道府県リーダーに対して、在宅医療を担う多職種がチームとして協働するための講習を行う(都道府県リーダー 研修) ○都道府県リーダーが、地域リーダーに対して、各地域の実情やニーズにあった研修プログラムの策定を念頭に置いた講 習を行う(地域リーダー研修) ○地域リーダーは、各地域の実情や教育ニーズに合ったプログラムを策定し、それに沿って各市区町村で地域の多職種へ の研修を行う。これらを通して、患者が何処にいても医療と介護が連携したサポートを受けることができる体制構築を目指す

【24年度要望枠 :313百万円】

※WHO(世界保健機関)は、「多職種協働のためには、多職種の研修が重要である。」と推奨している。(2002年)

保健所がロジスティクスをサポート!

24年度はここまで

□ ②多職種協働による 在宅チーム医療を担う人材育成事業

要望額 3.2億円

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■都道府県リーダー研修 (国が、在宅医療に関する高い専門性を有する機関に委託して実施) ○国が、各都道府県で中心的な役割を担う人(都道府県の行政担当者、地域の在 宅医療関係者)に対して、リーダー講習を行うための研修を実施

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Ⅱ.実施拠点となる基盤の整備

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・人材育成に関して積極的な役割を担う ・医療福祉従事者及び住民に対する普及啓発を行う

■本事業の目的 ○高齢者の増加、価値観の多様化に伴い、病気を持ちつつも可能な限り住み慣れた場所で自分らしく過ごす「生活の質」を重視する医療が求められている。 ○このため、在宅医療を提供する機関等を連携拠点として、多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し、医療と介護が連携した地域における包括的かつ 継続的な在宅医療の提供を目指す。

在宅医療連携拠点事業のイメージ

【24年度要求額 :1804百万円 】

在宅医療連携拠点 (在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所・訪問看護ステーション等)

24時間連携体制、チーム医療提供

連携拠点に配置されたケアマネージャーの資格を持つ看護師とMSW等が地域の医療・介護を横断的にサポートすることで、病気を持ちながらも住み慣れた地域で自分らしく過ごすことが可能となる

事業報告書の作成 ・多職種連携の検討会において 抽出された課題と解決策 ・24時間体制やチーム医療体 制の実現方法や課題 ・効率的な医療提供のためのア ウトリーチや活動内容 ・連携拠点を担う医療機関の医 師の役割や機能 ・ITを利用した多職種間の情報 共有のあり方 等

事業終了後

・データ収集・分析を通じて、在宅医療連携拠点が地域において必要な役割を果たすための条件を見出していくことにつなげる ・好事例の情報を広く関係者に提供し、在宅医療の取組みの全国的な向上を図る

□ ①在宅医療連携拠点事業 要望額 31億円(平成23年度 1.1億円)

情報共有・連携

情報共有・連携

情報共有・連携 地域の診療所、薬局、訪問看護

ステーション、等

退院支援のサポート

地域包括支援センター

複合型サービス 事業所等

医療と介護の協働

保健所

情報共有・連携

人材の育成・普及啓発 看護、介護サービス

病院(急性期、亜急性期、回復期)

○平成23年度は、全国10カ所において医療と介護が連携する際の課題を抽出するための事業展開を行っている。平成24年度については、全国の様々な地域

において地域特性等に応じた事業を行うことにより抽出された課題の解決策を見出すとともに、その成果を全国に広げていくことを目的とするため増額を行う。

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【23年度概算要求額 138,314千円 ( 0千円)】

【在宅療養支援診療所モデル】 訪問診療を行い、自宅での療養をサポートする 在宅療養支援診療所が連携拠点となる(有床 診においては、在宅療養支援のための病床運 営のあり方を含め検討)

【在宅療養支援病院モデル】 診療所と同様に在宅医療の担い手となっている 在宅療養支援病院が連携拠点となる(在宅療養支援のための病床運営のあり方を含め検討)

【訪問看護ステーションモデル】 医療と介護の要として機能している訪問看護ステーションが連携拠点となる

【市町村主導モデル】 患者の日常圏域における行政をつかさどる市町村が地域の医療福祉従事者を結びつける役割を担う

【精神疾患モデル】 統合失調症患者やうつ病患者も医療的・福祉的支援を受けながら地域で療養できる体制についての検討を行う

【過疎地域モデル】 山間地域等での医療と介護の連携のあり方についての対応策を検討する

【がん患者モデル】 痛みや苦痛症状を緩和しながら自分らしい生活を送ることができるよう必要なサポート体制についての検討を行う

【小児患者モデル】 NICU退院者等のサポート体制など、子どもが在宅で生活する上での必要な対応策を検討する

【障害患者モデル】 障害者が可能な限り住み慣れた場所で生活できるよう必要なサポート体制についての検討を行う

【難病・疾病患者モデル】 難病患者が可能な限り住み慣れた場所で生活できるよう必要なサポート体制についての検討を行う

【認知症患者モデル】 認知症患者が可能な限り住み慣れた場所で生活できるよう必要なサポート体制についての検討を行う

【医師会主導モデル】 地域において医療機関等を束ねる医師会が主体となって、地域の医療福祉従事者を結びつける役割を担う

○データ収集・分析を通じて、在宅医療連携拠点が地域において必要な役割を果たすための条件を見出していくことにつなげる。

○好事例の情報を広く関係者に提供し、在宅医療の取組みの全国的な向上を図る。

○この事業から得られた各種データや好事例の情報については、下記のような地域特性、連携拠点となる主体、対象疾患等によ

る各種モデルごとに整理・分析を行い活用する。

■地域特性による実施例 【都市型モデル】 都市部での医療と介護の連携のあり方についての対応策を検討する ■連携拠点となる主体による実施例

■対象疾患等による実施例

【保健所主導モデル】 保健所が行政と地域の医療福祉従事者を結びつける役割を担いながら、在宅医療連携拠点となる

□ 在宅医療連携拠点事業の展開(94カ所)

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【事業概要】 がん患者等の在宅医療を推進するため、高い無菌性が求められる注射薬や輸液などを身近な薬局で調剤できるよう、地域拠点薬局の無菌調剤室の共同利用体制を構築し、在宅医療を推進する。 【背景】 薬局における在宅医療が進まない原因の一つとして、在宅のがん患者等に必要な無菌性が高い注射剤や輸液などを調剤できる設備を整えた薬局が少ないことがあげられる。 (高い無菌性が求められる製剤の例) ・疼痛緩和のための持続点滴による麻薬等の注射剤 ・口から栄養を取ることが困難な高齢者及び小児を対象とした高カロリー輸液 等

薬局における在宅医療を推進するため無菌調剤室を設置 共同利用 薬局(無菌調剤室なし)

病院 診療所

連 携

病院 診療所

連 携

薬局における在宅医療の推進

地域薬剤師会 会営薬局

高い無菌性が求められる注射剤や輸液等を調剤

□ ②在宅医療提供拠点薬局整備事業 要望額 20.3億円

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社会保障・税一体改革成案に在宅医療の充実、医療と介護の連携強化について方向性が示されている。

○在宅療養者・居宅介護者が増加し、これらの者に対 する栄養ケアサービスの需要も増大。

○現行、栄養ケアの担い手である医療機関、介護保険 施設等の管理栄養士・栄養士の数は、約3万6千名 であり、現状のままで栄養ケアの需要増大に対応不 可能。

○この大規模需要に対応するには、潜在管理栄養士・ 栄養士の活用が不可欠。大規模需要に向けた新たな 仕組みづくりを国が積極支援していく必要がある。

都道府県栄養士会 栄養ケア・ステーション NPO法人など 【補助内容】 (人材登録、紹介、活動評価等 の事業への支援)

在宅療養者 29万人 居宅介護者 510万人(2025年)

潜在 管理栄養士

栄養士 (推計80万人)

栄養ケア

国の支援:公益法人等向け(公募方式)

増大する在宅療養者に対する食事・栄養支援を行う人材が圧倒的に不足していることから、潜在管理栄養士・栄養士の人材確保、関係機関・関係職種と連携した栄養ケアの先駆的活動を行うNPO等の民間の取組の促進・整備を行う。

在宅療養者の予想推移 (社会保障審議会医療部会資料より)

17

29

0

10

20

30

40

2011年 2025年

万人

335

510

0

200

400

600

2011年 2025年

万人

居宅介護者の予想推移 (社会保障審議会医療部会資料より)

・飲み込みにくい ・治療食の作り方が わからない ・食欲がなく 低栄養が心配など

個別対応 できる!

医療施設

約2万3千名 (医療施設調査・病院報告、より)

在宅療養者・居宅介護者の増加 栄養ケアサービスの担い手数の限界(管理栄養士・栄養士数)

介護保険施設等

約1万3千名 (介護サービス施設・ 事業所調査結果より)

潜在管理栄養士・栄養士の発掘、活用

対応 不可能

対応 不可能

29万人

510万人

診療所等

事業目的

要望枠として要求する理由

事業内容

□ ③栄養ケア活動支援整備事業 要望額 2.7億円

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(複合型サービス事業所、定期巡回・随時対応サービス及び訪問看護ステーションの普及)

通い

泊まり

看護 介護

複合型サービス事業所

利用者ニーズに応じた柔軟な対応

改正介護保険法における新たなサービスの普及

小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複数のサービスを組み合わせた「複合型サービス事業所」を整備し、看護と介護サービスの一体的な提供により、医療ニーズの高い要介護者への支援の充実を図る。

定期巡回・随時対応サービス

(看護と介護サービスの一体的な提供)

重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が密接に連携しながら、定期巡回型訪問と随時の対応を行う。

訪問看護ステーションの普及

オペレーター

随時対応

通報

定期巡回型訪問

複合型サービス事業所

(現状)

(事業内容)

訪問看護ステーションは、比較的小規模な事業所が多く、効率的なサービスが提供されていない。 ・訪問看護(予防含む)の利用者数:約27.3万人 ・訪問看護事業所数:約5,600ヵ所 (H22.4)

○大規模化 事業所の統合による大規模化を推進することによ り、従来負担となっていたサービス提供の向上が見 込まれる。 ・看護師1人当たりの訪問件数の増加 ・夜間・深夜・早朝訪問件数の増加 等

○サテライト事業所の設置 また、大規模化を推進するにあたり、指定訪問看 護事業所において支所的な機能を持つサテライト型 事業所を設置することにより、地域内の訪問看護 ステーションの連携が促進される。 ・請求事務の省力化 ・地域住民への効率的な相談対応 等

サテライト事業所

大規模事業所

利用者・家族

住民

□ ④在宅サービス拠点の充実 要望額 34.5億円の内数

サービス事業所整備数20ヵ所 1ヵ所あたり@20,000千円 サービス拠点整備数50ヵ所 1ヵ所あたり@5,000千円

対象経費:開設に必要な備品購入費等 30事業所、@3,000千円

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<社会福祉法人等が複合型サービス事業所等を整備する事 業に対する交付金事業>

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今後、高齢者が増加する中、要介護度は低いものの、低所得であり、また、身体上の理由から居宅での生活が困難な高齢者が増加していくことが予測されることから、これらの高齢者も将来にわたり住み慣れた地域で自立した生活を続けられるよう、必要な整備を図る。

サービス付き高齢者向け住宅への入居が困難な低所得の高齢者も、食事の提供や清掃・洗濯等の家事援助、安否 確認、生活相談等を受けられ、安心した生活を送れるよう、養護老人ホームや軽費老人ホームの整備を図る。

居宅での生活が困難になった低所得高齢者も、必要なサービスを受けながら暮らし続ける

サービス付き高齢者向け住宅 (国土交通省・厚生労働省共管)

→高齢者住まい法改正により創設

住み慣れた環境で必要なサービスを受けながら暮らし続ける

小規模な養護老人ホーム(定員29人以下)

都市型軽費老人ホーム

・ 比較的設置が容易な「小規模な養護老 人ホーム」の整備促進 20ヵ所、約400人分、1床当たり@2,000千円 ・ 近い将来、介護が必要な状態なっても、 引き続き居住できるよう、個室化や介護 に適した浴室等の整備を図る。 約1,500床分、1床当たり@850千円 ・ 新たに小規模な養護老人ホームを整備 するために必要な開設準備経費を支援 (説明会経費、職員訓練期間中の雇上費等) 約20施設分、定員1人当たり@300千円

・新たに都市型軽費老人ホームを整備するために必要な開設準備経費を支援 (説明会経費、職員訓練期間中の雇上費等) 約15施設分、定員1人当たり@300千円 ※整備費については、既存予算で対応中

□ ⑤低所得高齢者の住まい対策 要望額 34.5億円の内数

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<社会福祉法人等が養護老人ホーム等を整備する事業に対する交付金事業>

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○ 緊急ショートステイ整備事業:虐待のほか、要介護者の急な疾病等に対応するための緊急ショートステイ用個室を 整備するために交付金を交付。

○ 市町村提案型事業:市町村から提案された全国的に見て先進的な事業を支援するために交付金を交付。

市町村(特別区を含む。)は、 ① 市区町村全域を単位として、②毎年度、③市町村が関与して実施する都市型軽費老人ホームの整備や 介護関連施設における施設内保育施設の整備等の先進的な事業を行うための基盤整備を明らかにした 「先進的事業等整備計画」を策定することができる。

【交付対象事業】

算定方法

先進的事業整備計画記載の事業について、右の区分 ごとの交付基準単価に基づいて算定した額を交付。

事業区分 単位 配分基礎単価

都市型軽費老人ホーム整備事業 整備床数 1,500千円

施設内保育施設整備事業 施設数 10,000千円の範囲内で 厚生労働大臣の認めた額

緊急ショートステイの整備事業 整備床数 1,000千円

市町村提案事業 施設数 30,000千円の範囲内で 厚生労働大臣の認めた額

○ 都市型軽費老人ホーム整備事業:要介護度は低いものの、見守り等が必要なため居宅において生活が 困難な高齢者に対応するため、都市型軽費老人ホームを整備するため に交付金を交付。

○ 施設内保育施設整備事業:介護関連施設等において施設内保育施設を整備するために交付金を交付。

地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金及び地域介護・福祉空間整備推進交付金の概要

地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(ハード交付金) 50億円

地域介護・福祉空間整備推進交付金(ソフト交付金) 13億円

平成23年度予算

地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(先進的事業整備計画分)

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地域介護・福祉空間整備推進交付金

地域密着型サービス等の導入や先進的事業支援特例交付金による先進的事業の実施のため、特に必要と認め られる場合、設備やシステムに要する経費を助成するために交付金を交付。 【交付対象】 次に掲げる事業に必要な設備の整備等に要する経費

・ 夜間対応型訪問介護の実施のために必要な事業 ・ 高齢者と障害者や子供との共生型サービスを行う事業 ・ 「高齢者活力創造」地域再生プロジェクトの推進のための、地域に おける包括的なサービスを推進する事業 ・ 地域のサービス資源と高齢者の住まいとの連携を推進する事業 ・ その他高齢者が居宅において自立した生活を営むことができるよ う支援する事業

交付金の交付の流れ

市 町 村 ① 市町村整備計画を策定 ・日常生活圏域を単位として、事業の面的な配置構想を基に「面的整備計画」を策定 ・市区町村全域を単位として、都市型軽費老人ホームの整備等に係る「先進的事業等整備計画」を策定

② 計画を国に提出(都道府県を経由)

③ 次の採択指標をもとに評価を行い、予算の範囲内で評価の高い順に計画を採択。

客観的指標

政策的指標

・・・・高齢者の将来増加率、圏域における施設整備の状況 等

・・・・既存の社会資源を活用しているか、元気な高齢者や地域住民が参加する「共生型」のコミュニティづくり を目指したものであるか 等

④ 配分基礎単価により、交付金を算定の上、各市町村へ交付。

市 町 村 (注)交付に当たって、市区町村の制度的負担は求めない。

事業区分 配分基礎単価

● 夜間対応型訪問介護の事業のために必要な事業 30,000千円

● 高齢者と障害者や子どもとの共生型サービスを行う 事業

3,000千円

● 「高齢者活力創造」地域再生プロジェクトの推進のた めの、地域における包括的なサービスを推進する事業

3,000千円

● 地域のサービス資源と高齢者の住まいとの連携を推 進する事業

3,000千円

● その他高齢者が居宅において自立した生活を営むこと ができるよう支援する事業

3,000千円

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Ⅲ.個別の疾患等に対応した サービスの充実・支援

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国立高度専門医療研究センターを中心とした在宅医療推進のための研究事業(国立病院課)

政策立案・普及啓発へ

■背景 終末期ケアも含む生活の質を重視した医療として、在宅医療のニーズは高まっており、多岐にわたる疾患に即した医療体制整備のあり方を提示する

とともに、在宅療養を含む医療・介護サービスのコストや質などについて、さらなるデータ収集が必要。

■事業内容 ○国立高度専門医療研究センターにおいて、各疾患の特性に応じた在宅医療等の医療提供体制の在り方を含めた研究を実施する。

・在宅医療の対象となる患者や疾患は多岐にわたることから、各疾患について豊富な症例数を有する国立高度専門医療研究センターが、それぞれの特性に応じた在宅医療や終末期医療システム等について研究を実施する。

○国立長寿医療研究センターと地域の医療機関が連携し、医療と介護の連携に関するエビデンスを構築する。 ・国立長寿医療研究センター等の入院患者の転帰を追跡する研究により、医療や介護サービスのコストや質(疾患毎の治療の経緯、療養場所の変遷、受けた医療・介護サービス、受けたケアの質、必要な費用)等について検証し、政策立案に資するエビデンスを構築する。

・地域に根差した医療機関が、在宅医療を含めた地域における「医療・介護・福祉の連携」を模索し、問題点などを分析することで、医療・介護・福祉の連携について、あるべき姿を検証する。

○国立長寿医療研究センターにおいて、在宅医療を支援するための先端機器の開発や、臨床応用を行うための基盤を整備する。 ・高齢者の長寿を支えるため、着用型移動介助ロボット、コミュニケーション介助ロボット、見守りロボットなど、移動補助や視覚、認知機能を支援する先端機器の開発や臨床応用のための基盤整備を行う。

(事業イメージ)

退院患者対象調査

・疾患ごとの治療の経緯 ・療養場所の変遷 ・受けた医療・介護サービス ・受けたケアの質 ・かかった費用 など

医療と介護の連携に関するエビデンスの構築

地域医療には何が必要か? / 医療と介護の現状はどうか? など

医療・介護・福祉連携の実践

・医療、介護、福祉の連携支援 ・在宅患者支援 (後方ベッドの確保 等) ・多職種協働の促進 など

各NCの特性に応じた在宅医療等の 医療提供体制の在り方を研究

国立がん研究センター:がん患者 国立循環器病研究センター:補助人工心臓装着患者 国立精神・神経医療研究センター:神経難病患者 国立成育医療研究センター:超重症児 国立長寿医療研究センター:認知症等

〔平成24年度要望枠:6億円〕

□ ①国立高度専門医療研究センターを中心とした 在宅医療推進のための研究事業

要望額 16億円

先端機器の開発や、臨床応用を行うための基盤整備 着用型移動介助ロボットなどの開発 アルツハイマー病等の先制医療薬による革新的な予防 法の確立

国立長寿医療研究センター等

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要望額 0.2億円

在宅支援診療所・薬局等

24時間地域巡回型 訪問サービス (訪問看護を含む)

地域医療支援病院 老健・介護施設等

在宅医療施設等

在宅医療機器に関する 個別具体的なニーズ把握 ・停電時対応は? ・高齢者に使いやすく ・通信技術の活用は?

在宅医療における医療スタッフ等からの 在宅用医療機器に係るニーズアンケート調査

在宅医療の充実に必要なニーズを改良・改善した医療機器の承認により具現化

在宅医療の関係者のニーズ把握 ニーズ実現施策の検討

検討会 在宅医療機器のニーズ

承認!

現場への速やかなフィードバック

○ どのような改善・改良 を行うべきか? ○ 開発・審査にあたって 必要なガイドライン? ○ 具体的な開発企業へ の要請

(医療スタッフ、関係学会、医療機器業界等からの委員から構成。関係部局、PMDAと連携。)

□ ②在宅医療推進のための 医療機器承認促進事業

要望額 0.14億円

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□ ③在宅医療推進のための 看護業務の安全性等検証事業

○ 患者・家族が希望する在宅医療を広く実現するため、専門的な臨床実践能力を有する看護師*

が医師の 包括的指示を受け、看護業務を実施できる仕組みの構築に向け、業務の安全性や効果の検証を行う。 *厚生労働省はチーム医療を推進し、患者の状況に的確に対応した医療を提供するため、看護師特定能力認証制度の導入を検討。

事業の目的

内容

看護業務の安全性等の検証

○ 看護師特定能力認証候補者の従事する施設 (厚生労働省が指定)から業務の実施状況等 に関する情報の報告を受け業務の安全性等 を検証。

医師の包括的指示の下、報告・連携し実施

全身症状の把握・評価 ・疼痛・苦痛症状の有無 や程度の観察 等

緩和ケア計画作成・説明

日常的に実施するケア ◆合併症の早期発見 ◆感染徴候の観察 ◆栄養管理 ◆排泄・疼痛コントロール ◆褥瘡予防ケア ◆患者や家族の心理的ケア

(例)

・患者の状態や症状の経過の十分な理解に よる、適時・適切な処置→患者の苦痛を 軽減 ・患者・家族の希望する在宅医療が実現 可能となり在宅医療の推進

効果

看護師特定能力認証候補者の従事施設

水分や栄養補給

苦痛の緩和

【死因が想定可能な場合の対応】

【在宅療養環境の調整】

必要に応じた処置・治療の判断

家族間の意向等の調整

終末期患者

連携

死亡の確認

多職種 と連携

看取り後の処置

家族の悲しみに対するケア

業務のイメージ

要望額 0.9億円

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□ ④在宅介護者への歯科口腔保健推進事業 要望額 4.6億円

【事業の目的】

○ 高齢者や障害者の健康の保持・向上には、日常生活での歯科疾患の予防に向けた取組等による口腔の 健康の保持(歯科口腔保健)が重要。特に在宅療養者の健康の保持・向上には、歯科口腔保健について、 在宅 療養者を介護する家族等(在宅介護者)の理解が必要である。 ○ 当事業では、平成23年8月10日に公布された「歯科口腔保健の推進に関する法律」を踏まえ、歯科口腔保 健に関する知識等の普及に係る講習会等を口腔保健支援センターで実施し、歯科口腔保健について、在宅 介護者の理解と意識の向上を図る。

【事業の内容】

○ 在宅介護者に対する歯科口腔保健に関する知識等の普及に係る講習会等を実施するための基盤整備と して、各都道府県に口腔保健支援センターを整備する。

口腔保健支援センター

○ 既存建物の利用 【改修整備】

地方公共団体、歯科関係団体所有建物 口腔保健センター(※) 主な業務:休日・夜間歯科診療、 心身障害者歯科診療、臨床実習 施設数:321箇所 (自治体140 歯科医師会151 その他30)

【在宅介護者向けの事業】 ・歯科疾患の予防に関する講習会 ・歯や口腔の健康保持に関する知識や情報等の普及に係る講習会 等

・在宅介護者の歯や口腔の健康の保持に対する意識向上 ・在宅患者の健康の維持・向上

【効果】

【事業の実施計画】 (※ 口腔保健支援センター(50人規模の講習会スペース)の確保 138箇所)

24年度 • 口腔保健支援センターの設置開始(47都道府県)

25年度 • 口腔保健支援センターの設置 (34保健所設置市+13特別区)

26年度 • 口腔保健支援センターの設置完了(34保健所設置市+10特別区)

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• 口腔の健康の保持が 国民が質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割 • 国民の日常生活での歯科疾患予防に向けた取組みが口腔の健康の保持に極めて有効

• <口腔の健康の保持(歯科口腔保健)の総合的な推進のため>

• 基本理念、責務(国、地方公共団体、国民)、施策を規定

• 国民保健の向上に寄与

• 【施策】 1 歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等 (法律第7条)

• 2 定期的に歯科検診を受けること等の勧奨等 (法律第8条)

• 3 障害者等が定期的に歯科検診を受けること等のための施策等 (法律第9条)

• 4 歯科疾患の予防のための措置等 (法律第10条)

• 5 口腔の健康に関する調査及び研究の推進等 (法律第11条)

• 施策実施のため、基本的事項の策定等を行うとともに口腔保健支援センターの設置が可能 • (法律第15条)

歯科口腔保健の推進に関する法律 (H23.8.10 公布)

• 都道府県、保健所を設置する市及び特別区は口腔保健支援センターを設けることができる。

• 口腔保健支援センターは法律第7条から第11条までに規定する施策の実施のため、歯科医療等業務に従事する者等に対する情報の提供、研修の実施その他の支援を行う機関とする。

口腔保健支援センター(法律第15条)

歯科口腔保健の推進に関する法律(概要)

(参考資料)

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○がん対策基本法は「がん患者の意向を十分尊重したがん医療提供体制の整備」を理念とし、がん対策推進基本計画に「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」を目標としている。

○このことから、いつでも、どこでも、切れ目のない質の高い緩和ケアを受けられることが大切である。

○痛みを伴う末期状態のがん患者が希望する療養場所は、自宅が63%となっている。

病院での治療を終え、がん患者自身が住み慣れた地域(自宅)での療養生活を希望する等のニーズに応じた医療を提供するため、がん診療連携拠点病院と地域の診療機関が連携し、切れ目のない質の高い緩和ケアを提供できる体制整備を図る必要がある。

○社会保障・税一体改革成案(平成23年7月1日閣議報告)において、医療・介護等の個別分野における改革項目として、地域の実情に応じたサービスの提供体制の効率化・重点化と機能強化を図ることとされており、在宅医療の充実等もその一つとされていることから、住み慣れた場で、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す。

○がん対策推進基本計画では「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」を目標とされており、がん診療に携わる医療関係者に緩和ケアの研修等を実施してきたが、いつでも、どこでも、切れ目のない質の高い緩和ケアを受けられることが大切であることから、がん患者に対し地域連携に基づく在宅緩和ケアを推進し、住み慣れた場で、患者の希望に応じた緩和ケアの提供体制を構築する。

がん診療連携拠点病院において都道府県と連携し、二次医療圏内の在宅療養支援診療所の協力リスト

を作成し、医療圏内の在宅緩和ケアを専門とする医師等と協力し、在宅療養支援診療所の医師に対し、がん緩和ケアに関する知識と技術の研修を行う在宅緩和ケア地域連携体制を構築

○医療圏内の在宅療養支援診療所リストの作成 ○がん緩和ケア研修の実施 等

がん診療連携拠点病院 (地域がん診療連携拠点病院

304カ所)

在宅緩和ケアを専門とする医師

在宅療養を支援する診療所

①在宅療養支援診療所のリスト作成

②緩和研修会や合同 カンファレンスへの参加

○自宅において切れ目のない質の高い緩和ケア(がん性疼痛等)の受療

在宅がん患者

二次医療圏

技術的サポート (医療用麻薬の使

用方法等)

②緩和研修会や合同カンファレンスへの参加

在宅療養支援診療所 平成21年度 11,955カ所

③症状緩和に係る地域連携クリティカルパスの運用

要望枠として要求する理由

事業内容 背景と課題

□ ⑤在宅緩和ケア地域連携事業 要望額 3.6億円

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出典:平成22年度 がん対策評価・分析事業

緩和ケアに対するがん患者の意識

緩和ケア病棟

自宅

今まで通った病院

がんセンター

<希望する療養場所> <希望する看取りの場>

緩和ケア病棟

自宅

今まで通った病院

がんセンター

18%

63%

3%

47%

11%

32% 23%

29%

「痛みを伴う末期状態(余命が半年以下)」の場合 一般集団2,527人(2008年)

9%

・ホームドクター的、地域に根付いた医師が緩和ケアについて、ある程度の知識を持てるよう教育機関が働きかけてほしいと思う。 ・医師の緩和ケアに関する意識にばらつきがあり、外来診療でもその心を持って接してほしい。 ・医療用麻薬の適正使用や緩和ケアについて、知らない医師が多すぎる。 ・麻薬の取扱に関することや誤解は医療者の方が強いと感じる。

死亡の場所別死亡率

病 院 78.4% 88.9% 診療所 2.4% 2.0% 在 宅 16.7% 8.6% (内自宅) (12.4%) (7.4%) その他 2.4% 0.4%

全 死 亡 悪性新生物

出典:平成21年人口動態統計

■医療用麻薬各国消費量の比較 <100万人1日あたりモルヒネ消費量換算(g)>

■麻薬施用者 ・麻薬施用者とは、都道府県知事の免許を受けて、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用し、若しくは施用のために交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付する者です。 ・申請資格 :医師、歯科医師、獣医師 ・必要な書類 申請書(その他の麻薬取扱者免許申請と共通の様式です。) 申請書の下段に記載する住所と氏名は、申請者本人の現住所及び氏名となりますのでご注意ください。

診断書(精神障害、麻薬または覚せい剤の中毒について診断したもので、発行後1ヶ月以内のもの。) 医師、歯科医師、獣医師免許証(申請窓口での提示のみ)

出典:国際麻薬統制委員会(INCB)報告 (国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスより抜粋)

患者が希望する療養場所について(希望する療養場所は変化する)

日本におけるがん性疼痛治療(医療用麻薬の使用状況)

(参考資料)

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在宅での医療・介護を必要とする難病患者に対して、①日常生活支援、②災害時の緊急対応(搬送・受入体制)にも備えた包括的な支 援体制をつくり、在宅医療・在宅介護に対して安心・安全な生活が営めるよう充実・強化を図る。

1.重症神経難病患者災害情報ネットワークの構築 (実施主体:日本神経学会) →ALS等の重症神経難病患者が災害時に円滑に受入体制が分かるよう、専門医・専門病院間の情報ネットワークを構築。

3.在宅医療・在宅介護難病患者見守りシステムの 構築(実施主体:都道府県) →24時間難病患者を見守るシステムを検討。

5.在宅医療・在宅介護難病患者データーベースの 構築(実施主体:都道府県) →特定疾患医療受給者証を持っている患者のうち、患者情報を登録することを承諾した者のみをデータベース化して、タブレットを配備して災害時等に迅速な対応を図る。

2.難病患者を対象とする医療・介護従事者研修の支援 (実施主体:都道府県) →特定疾患治療研究事業の対象疾患患者の受入促進のため、地域包括支援センター等の従事者研修会を実施。

4.都道府県難病相談・支援センター間のネットワーク支援 (実施主体:難病医学研究財団) →難病に関する情報センターである「難病情報センター」と各県の難病相談・支援センターとをネットワークで結び越県等広域対応となった難病患者を支援する。

6.難病患者搬送用非常用バッテリーの整備 (実施主体:都道府県) →難病患者を緊急搬送する際に備え、都道府県に約3日間程度使用が可能な非常用バッテリーを拠点整備する。

社会保障・税一体改革成案に方向性が示されている、「Ⅱ医療・介護等の在宅医療等」のうち、在宅療養中の難病患者(全難病患者 の約1/4)の特性に基づく事案や課題(人工呼吸器の不具合等により生命を脅かすような事態)について、本事業の実施を通じて社会保 障の充実を図る。 現行の難病対策は難病医療費に係る自治体の超過負担、研究の対象疾患が限られている等多くの課題を抱えており、新たな難治性 疾患対策の在り方チーム(厚生労働副大臣座長)等での検討を踏まえ、平成25年度を目途に制度見直し(研究、医療、福祉等)を行うこ ととしており、本事業を「制度見直しにつなげるための橋渡し」として、平成24年度から実施し、難病患者へのきめ細かい在宅医療の充 実・強化を図る。 (なお、社会保障・税一体改革成案では難病対策について、「難病医療費の支援のあり方について引き続き制度横断的に検討」と記載)

在宅難病患者への日常生活支援及び緊急時対応も可能とする包括的支援体制の構築

要望枠として要求する理由

事業内容

事業目的

□ ⑥難病患者の在宅医療・在宅介護の充実・強化事業 要望額 1.5億円

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1.重症神経難病患者災害情報ネットワークの構築

○難病患者の在宅医療・在宅介護の充実・強化事業の概要について

4.都道府県難病相談・支援センター間のネットワーク支援

専門医・専門病院間の情報ネットワークを図り円滑な災害時の受入体制を図る

2.難病患者を対象とする医療・介護従事者研修の支援

6.難病患者広域搬送用バッテリーの整備

医療機関以外の施設職員に対する難病に関する従事者研修の実施

3.在宅医療・在宅介護難病患者の見守りシステムの構築

管理・サポートセンター

難病情報センター

都道府県難病相談・支援センター

【在宅難病患者】

5.在宅医療・在宅介護難病患者データベースの構築

難病情報センターを活用したセンター間のクローズドシステムの構築

厚生労働省 都道府県・市町村

災害時における相談・支援体制の強化

電力復旧までの約3日間程度使用可能な非常用バッテリー整備

(社)日本神経学会 専

門病院

必要な在宅サービスを提供

(参考資料)

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○ HIV感染者・エイズ患者は、HIV治療の進歩により長期存命が可能となったため、新たに、高齢化に伴う慢性疾患や歯科の治療・介護等が必要に なっているが、診療所や訪問介護事業所等のHIV医療知識・技術の不足やエイズに対する差別・偏見により、感染者・患者が在宅医療・介護を受 けられない。 → HIV感染者/エイズ患者の安心・安全社会の実現のために、感染者・患者に対する在宅医療・介護の環境整備が 喫緊の課題 (参考) ・HIV感染者/エイズ患者の累計報告(約2万件)のうち、入院患者は1~2% ・エイズ患者に占める50歳以上の割合の推移 平成3年(20年前):約8% → 平成8年(15年前):約20% →平成22年(現在):約30%

①実地研修事業(実施主体:委託事業(公募方式)) ○ 訪問看護師や訪問介護員等を中核拠点病院に派遣し、実地研修 を行う。

③HIV医療講習会(実施主体:委託事業(公募方式)) ○ 訪問診療を行うかかりつけ医や、地域の歯科医に対する講習会の 開催。

②支援チーム派遣事業(実施主体:委託事業(公募方式)) ○ 在宅療養・介護における対応困難な事例に対し、必要に応じて中 核拠点病院から支援チーム (医師、看護師、相談員等)を派遣する。

④療養・介護従事者等向けDVD作成 (実施主体:委託事業(公募方式)) ○ HIV/エイズの正しい知識や感染者へのケアにおける注意点の教育、 差別・偏見解消を目的とする大臣によるメッセージ等を内容とするDVD を作成し、訪問看護事業所や老健施設等に配布する。

○ 現在進められている「エイズ予防指針」(大臣告示)の見直しの中でも、在宅療養サービスの向上の重要性が指摘され、また、HIV訴訟原告団(薬 害エイズ患者)からも、介護・在宅医療の体制整備や療養施設での差別・偏見の解消が強く要望されている。 ○ HIV在宅医療・介護は今日的課題であり、今後、更なる増大が見込まれるHIV在宅医療・介護に対応するため、在宅療養環境の整備に取り組む ことが急務である。 ○ 社会保障・税一体改革成案に方向性が示されている、「Ⅱ医療と介護 在宅医療の充実」のうち、在宅HIV感染者・エイズ患者特有の事例や課題 について、本事業の実施を通じて社会保障の充実を図る。 (参考) ・ 従前のエイズ医療対策は、ACCや中核拠点病院等による急性期医療体制の構築に重点が置かれ、在宅医療・介護サービスの提供体制の整備は図られて いない状況である。

事業目的

要望枠として要求する理由

事業内容

□ ⑦HIV感染者・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業 要望額 1.3億円

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Page 37: 在宅医療・介護推進プロジェクト...HIV感染症・エイズ患者の在宅医療・介護の環境整備事業(エイズ患者等の在宅療養環境整備) 在宅での医療用麻薬使用推進モデル事業(地域単位での麻薬在庫管理システム等の開発)

【目的】 在宅医療での疼痛緩和で用いられる麻薬について、薬局間での融通などを厳正な管理の下で円滑に行い、患者のニーズに合った薬物療法を遅滞なく提供できるよう、地域単位での在庫管理システムを活用したモデル事業を実施するとともに、在宅での医療用麻薬適正使用推進についての情報提供を行う。

① 地域医療機関・薬局(麻薬小売業者)間

オンライン在庫管理システムの開発

地域の薬局における医療用麻薬在庫の有効活用及び適正管理を推進する観点から、地域医療機関・薬局が、薬局における医療用麻薬の在庫状況を共有するためのオンラインシステムを開発し、在宅がん疼痛緩和の進展、及び麻薬の適正管理を推進する。

② 医療機関、薬局等のネットワークを形成した

麻薬処方のモデル事業の実施

在宅患者に迅速かつ適切に医療用麻薬を提供するため、オンラインシステムを活用して地域医療機関からの麻薬処方せんの交付や薬局間の麻薬の融通を円滑に行うモデル事業を実施する。

③ 在宅での医療用麻薬提供推進に関する

情報提供

在宅における医療用麻薬の使用推進を図るためのパンフレット等の作成、及び医療関係者向けの情報提供を行う。

(事業イメージ)

【概要】

□ ⑧在宅での医療用麻薬使用推進モデル事業 要望額 0.6億円

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□ ⑨薬物依存者の治療と社会復帰のための支援事業 要望額 0.6億円

目的 薬物依存者が円滑に社会復帰できるよう、国、都道府県、地域の関係者が連携して、継続した治療ができる環境づくりや生活支援を行うことにより、依存者の薬物乱用にかかる再犯を防止し、薬物乱用の根絶を図る。

概要 ①薬物乱用離脱治療・指導に係わる関係機関 間の 連携のためのモデル事業 国、都道府県、医療機関が連携して、プ ログラムに基づき、薬物乱用から離脱す るための治療を行うモデル事業を実施す る。 ②薬物依存者の家族間における情報交換・連 携強化のためのネットワーク形成 薬物乱用防止に関するフォーラム等の開 催や、ホームページの開設により、家族 同士の情報交換を推進する。 ③相談機関における社会復帰支援・指導マ ニュアルの整備 薬物依存者の社会復帰支援・指導マニュ アルを作成し、都道府県の薬物に関する 相談機関等に整備する。

薬物乱用離脱 プログラムの 提供・指導

情報交換 連携強化

都道府県等 厚生労働省 (社会復帰支援・指導マニュアル作成)

連携

国立精神・神経医療研究センター

技術支援

連携モデルの確立

依存者

協議会の実施

生活支援 医療支援

(事業イメージ)

保護司

ダルク 民生委員

麻薬中毒相談員

社会復帰のための包括的支援 (薬物相談・医療・住居・職)

医療機関

家族

継続的な フォローアップ

認知行動療法による継続的な治療

生活相談