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博全社 スタッフ 紹介 Vol. 2 「毎日が真剣勝負。でも燃え尽 きないようにリラックスすること も忘れません」と江野澤光さん。 熟練のエンバーマー、デビッド・ハ フマン。化粧をほどこす際も、そ の方らしさを大切にします。 一日のはじまりは、 お預かりした故人様 に手を合わせます。 これは社員全員が 行っています。 湯灌スタッフ エンバーミングスタッフ 19 18 19932 姿綿でつくったスタッフ手作りの花。納棺の際に は花がまだ入らないので、せめてもの気持ちで 手向けています。 綿姿かん 日本に古くからある葬儀の前の儀式 で、水を張ったたらいに湯を入れ(逆さ 水)ぬるま湯にし、亡くなった方を清める ことを言います。生前の煩悩を洗い清め るという意味もあり、戦前までは家族の 手で行われました。 博全社ではお体を拭き清める「 古式 湯灌」と専用の浴槽でお体を洗い流す 「湯灌」の2種類があり、どちらもお化粧 をしたり、髭や髪を整えたりします。 エンバーミング エンバーミングとは故人様のお体を 衛 生 的に長く保 全する技 術のことで す。長い闘病生活や事故によるお身 体の変化に対処し、元気だった頃のお 姿に近づけます。感染症の心配がなく、 また、時間を気にすることなくゆっくりお 別れすることもできます。 アメリカやカナダでは90%以上がこ の方法を行い、安全にゆとりを持ってお 別れをしています。 葬祭ディレクターからご家族の要望、またお借りしたお 写真を受け取り、エンバーミングの準備を整えます。

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Page 1: ol. 2 エンバーミングと湯灌によるお別れ博全社 スタッフ 紹介 の ol. 2 「毎日が真剣勝負。でも燃え尽 きないようにリラックスすること

博全社スタッフ紹 介

Vol.2

「毎日が真剣勝負。でも燃え尽きないようにリラックスすることも忘れません」と江野澤光さん。

熟練のエンバーマー、デビッド・ハフマン。化粧をほどこす際も、その方らしさを大切にします。

一日のはじまりは、お預かりした故人様に手を合わせます。これは社員全員が行っています。

湯灌スタッフ エンバーミングスタッフ

19 18

博全社では、1993年からエンバー

ミングという技術を取り入れました。

現在はカナダで葬祭ディレクターの資格

も持つ、経験豊かなデビッド・ハフマン

とともに、女性エンバーマーも活躍。今

回は看護師の経歴を持つ江野澤光さん

に話を聞きました。

看護師から

エンバーマーに転身

江野澤さんがエンバーマーになった

きっかけとはなんでしょうか。

「看護師の仕事を通じて亡くなった

方からの感染の危険性を知りました。

いろいろと勉強をするうちにエンバーミ

ングという技術があり、感染を防ぎ、

ご遺族からの手紙が

仕事の励みに

ご遺族と直接話をするのは葬祭ディレ

クターで、エンバーマーが接する機会は

エンバーミングと湯灌によるお別れ

「悲しみを和らげるために」心を込める

深い悲しみが少しでも癒されるように、博全社ではグリーフサポートに力を入れています。

グリーフサポートとは死別の悲しみ(グリーフ)の深い方を、様々な側面から支えることです。

当社ではお別れの気持ちを整理していただけるよう、エンバーミングと湯ゆ

灌かん

を導入しています。

心安らかなお別れが、ご遺族の新たなスタートの糧となるように…

エンバーミング、湯灌でのお別れについて、スタッフの声とともにご紹介します。

長期間の保全が可能なこともわかりま

した。それで興味を持ち、技術を学ぶ

ことにしたのです」

専門学校で2年間の勉強を経て、エ

ンバーマーの道に進んだ江野澤さん。

「長い闘病生活や不慮の事故でお元

気だったころのおもかげをなくしたお

姿を前にすると、ご本人の尊厳を保

ち、ご家族の心の痛みを少しでも和ら

げたいと仕事に力が入ります。衛生面

に優れていることがこの仕事に入るきっ

かけでしたが、今はご家族の悲しみを

和らげるためにという気持ちが強くな

りました。衛生的に長くお身体を保て

ることで、故人様とふれあい、ゆっくり

とお別れができる。それがご家族にとっ

てのグリーフサポートにつながっていく

綿でつくったスタッフ手作りの花。納棺の際には花がまだ入らないので、せめてもの気持ちで手向けています。

日本で昔から行われてきた湯灌によ

るお別れもご紹介します。スタッフが

各式場などに出向き、ご遺族と一緒に

故人様のお体を清めるケアです。湯灌

スタッフに話を聞きました。

「例えば長い入院生活で大好きな

お風呂に入れなかった故人様のお体

を最後にご遺族が洗って差し上げる

ことで、葬儀までの限られた時間のな

かでも故人様と向き合い、お別れを

することができるのです。

ご家族と一緒に、家族同様の気持

ちでお世話させていただきたいと思っ

ています」

湯灌の儀式は必ずしも悲しく沈ん

でばかりではありません。ときには和

やかな雰囲気のなかで、亡くなられ

た方の話をするのもグリーフサポート

につながると考えています。

「納棺の際、私たちが綿で作ったちい

さなお花をお顔のまわりに手向けさせ

ていただくのですが、そんなとき『あ

ら、おじいちゃんかわいくなっちゃって』

などとご遺族から笑みがこぼれること

もあります。穏やかなお別れをしてい

ただけたとき、この仕事をしていてよ

かったと思います」

エンバーミングと湯灌、そのときど

きによって、必要とされるケアは変わっ

てきます。ただ、スタッフに共通した想

いは、「ご遺族の悲しみを和らげたい」

ということ。悲しみと向き合うとき、

おそばで、または技術を通じて、支え

ることができればとスタッフ一同願って

います。

湯灌はご遺族とともに寄り添う仕事

の顔を見ながらみんなでゆっくりと会話

ができたこと、事故の前と変わらぬ姿を

心に焼き付けて見送れたことを感謝す

る手紙でした。お手紙を読んで、もっと

技術を磨いて頑張ろうという気持ちが

湯ゆ

灌か ん

日本に古くからある葬儀の前の儀式で、水を張ったたらいに湯を入れ(逆さ水)ぬるま湯にし、亡くなった方を清めることを言います。生前の煩悩を洗い清めるという意味もあり、戦前までは家族の手で行われました。博全社ではお体を拭き清める「古式

湯灌」と専用の浴槽でお体を洗い流す「湯灌」の2種類があり、どちらもお化粧をしたり、髭や髪を整えたりします。

エンバーミングエンバーミングとは故人様のお体を衛生的に長く保全する技術のことです。長い闘病生活や事故によるお身体の変化に対処し、元気だった頃のお姿に近づけます。感染症の心配がなく、また、時間を気にすることなくゆっくりお別れすることもできます。アメリカやカナダでは90%以上がこの方法を行い、安全にゆとりを持ってお別れをしています。

ことに気がつきました。私どもを信頼

して大切なご家族を預けていただいて

いるのですから、自分だったらどうして

ほしいかということを想像しながら取

り組んでいます」

高まりました」

お別れの際のお顔は心にいつまでも刻

まれているものです。エンバーミングは

大切な方との想い出を穏やかにするサ

ポートと考えています。

ほとんどありませんが、お礼の手紙を受

け取ることもあるそうです。

「交通事故で息子さんを亡くされた

お父様からでした。息子さんのお友達

がたくさん駆けつけてくれて、息子さん

葬祭ディレクターからご家族の要望、またお借りしたお写真を受け取り、エンバーミングの準備を整えます。