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Oracleホワイト・ペーパー 2012年12月 Oracle Exadata Database Machineおよび Oracle Exadata Storage Serverの技術概要

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Oracleホワイト・ペーパー 2012年12月

Oracle Exadata Database MachineおよびOracle Exadata Storage Serverの技術概要

Oracleホワイト・ペーパー— Oracle Exadata Database Machineおよび Oracle Exadata Storage Serverの技術概要

0

はじめに .............................................................................................................................. 1

Exadata製品ファミリー ..................................................................................................... 2

Exadataエンジニアド・システム .................................................................................. 2

Exadata Database Machine .......................................................................................... 4

Exadata Storage Server ................................................................................................ 9

Exadata Storage Expansion Rack ............................................................................... 12

Exadata Database Machineのアーキテクチャ ................................................................. 15

データベース・サーバー・ソフトウェア .................................................................... 18

Exadata Storage Server Software ............................................................................... 21

ExadataのSmart Scan処理 .......................................................................................... 22

Hybrid Columnar Compression ................................................................................... 25

Exadata Smart Flash Cacheの機能 ............................................................................. 26

ExadataによるI/Oリソース管理 .................................................................................. 27

Exadataを使用したサービス品質(QoS)管理 .......................................................... 28

Exadataのストレージ管理とデータ保護 ..................................................................... 30

結論 ................................................................................................................................... 34

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はじめに

Oracle Exadata Database MachineはOracle Databaseを実行するための専用の製品です。最高のパフォーマンスを発揮できるように設計されており、Oracle Databaseの実行プラットフォームとしてもっとも多く利用されています。Sunが提供する業界標準のハードウェアにオラクルのインテリジェント・データベースとストレージ・ソフトウェアを組み合わせて構築されたExadata Database Machineは、オンライン・トランザクション処理(OLTP)やデータウェアハウス(DW)、そして複合ワークロードの統合など、あらゆるタイプのデータベース・ワークロードに対して、卓越したパフォーマンスをもたらします。Exadata Database Machineは、簡単に配置でき、Oracle Databaseの実行に必要となるハードウェアがすべて搭載されたシステムです。データベース・サーバー、ストレージ・サーバー、ネットワークの構成、チューニング、テストについては、オラクルで事前に実施されています。すべてのExadata Database Machineが同じ構成であるため、自社のミッション・クリティカルなアプリケーションにExadata Database Machineを配置している多数のユーザーの経験を取り入れることができます。Oracle Exadata Database Machineでは標準のOracle Databaseが実行されます。そのため、現在Oracle Databaseとともに実行するアプリケーションはすべて、変更を加えずにExadata Database Machineにシームレスに移行できます。 Exadata Database Machineのスケールアウト・アーキテクチャは、高いパフォーマンスとスケーラビリティを提供するだけではなく、データ集約的なSQL操作をOracle Exadata Storage Serverにオフロードする独自のテクノロジーも備えています。これは、SQL処理をExadata Storage Serverにプッシュすることで、ディスクから読み取ったデータのフィルタリングと処理を、すべてのストレージ・サーバー間で並列して瞬時に実行するものです。Exadataストレージへのオフロード機能は、データベース・サーバーのCPU消費量を減らし、ストレージとデータベース・サーバー間のデータ移動量も大幅に削減します。Exadata Smart Flash Cacheは、I/O操作の高速化によってOracle Databaseの処理時間を大幅に短縮します。このフラッシュは、データベース・オブジェクトをインテリジェントにキャッシュして、物理的なI/O操作を避け、データベース・ロギングを高速化します。ExadataストレージにはHybrid Columnar Compression(HCC)と呼ばれる高度な圧縮テクノロジーが搭載されています。HCCでは典型的なケースであればデータ圧縮率が10倍以上となり、データ転送速度も桁違いに効率化されます。Oracle Exadata Database Machineは世界屈指のセキュリティを備えるデータベース・マシンです。Oracle Databaseの高度なセキュリティ機能を基にしたExadataストレージでは、完全に暗号化されたデータベースへの問合せを数百GB/秒というゼロに近いオーバーヘッドで実行できます。これらを含むさまざまな製品機能の組合せが、Exadata Database Machineのきわめて高いパフォーマンスの基礎になっています。

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Exadata Storage Expansion Rackを使用すると、Exadataストレージの容量やExadata Database Machineの帯域幅を拡張できます。Exadata Database Machineに格納できる容量を超えるほどの非常に大規模なデータを必要とするデータベース配置環境に対応するように設計されています。標準的なExadata Storage Serverとそれを支えるインフラストラクチャがExadata Storage Expansion Rackにまとめてパッケージ化されていることで、Exadata Database Machine内のExadataストレージ構成を容易に拡張できます。Exadata Storage Expansion Rackを利用すれば、Exadataストレージが持つあらゆる利点や機能を利用し実現できます。 Exadata Database Machineは、Oracle Exalogic Elastic Cloudと連携することも、単独で機能することもできます。Exalogic Elastic Cloudは、Oracle Fusion MiddlewareとOracle Fusion Applicationを実行するための最適なプラットフォームです。ExadataとExalogicの組合せは、Oracle E-Business Suite、Siebel、PeopleSoftアプリケーションを含むすべてのエンタープライズ・アプリケーションに高パフォーマンスをもたらす、完全なハードウェア/ソフトウェア・エンジニアド・ソリューションとなります。 Oracle SPARC SuperClusterには、Oracle Databaseのパフォーマンスを改善するためのExadataストレージ・テクノロジーが組み込まれています。SPARC SuperClusterは、Fusion Middleware、Fusion Application、汎用アプリケーション、Oracle Databaseをホストするために使用できるSPARCサーバーをベースとした高パフォーマンス統合プラットフォームです。SPARC SuperClusterは、Oracleソフトウェア・ソリューション・スタック全体をホストすることを目的としたエンジニアド・システムです。SPARC SuperClusterに組み込まれたExadata Storage Serverに加えて、Exadata Storage Expansion Rackも、システムに容量と帯域幅を追加するために使用できます。

Exadata製品ファミリー

Exadata製品ファミリーの基盤となる製品は、Oracle Exadata Database Machine(Database Machine)です。Database Machineは、エンタープライズ・データベースを迅速かつ簡単に配置するコンポーネントをすべて備えた統合型のデータベース・システムで、最良のパフォーマンスと可用性を実現します。Exadata Storage Server(ExadataストレージまたはExadataセル)は、Database Machine内のOracle Database用のストレージとして使用されます。Exadata Storage Serverで実行されるExadata Storage Server Softwareは、Smart Scan、Smart Flash Cache、Smart Flash Logging、IO Resource Manager、Storage Index、Hybrid Columnar Compressionなどの強力な独自のExadataテクノロジーを提供します。 Exadata Storage Expansion Rackは、Exadataのストレージ容量および既存のDatabase MachineやSPARC SuperCluster配置環境の帯域幅を高速かつ容易に拡張するために使用できます。

Exadataエンジニアド・システム

Oracle Exadataエンジニアド・システムは、最高のパフォーマンスを発揮できるように設計および構築されており、Oracle Databaseの実行プラットフォームとしてもっとも多く利用されています。Oracle Databaseの実行に使用していた従来のカスタム・システムでは、エンジニアド・システムほどのパフォーマンスと可用性を提供できません。カスタム・データベース・システムに使用される

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コンポーネントはバランスが悪く、構成上の誤りによって全体的なシステム・パフォーマンスの低下につながるボトルネックが生み出されることも少なくありません。Exadataシステムのエンド・ツー・エンドの設計と最適化により、最適なパフォーマンスが提供されます。エンジニアド・システムに含まれるハードウェア・コンポーネント、データベース・ソフトウェアおよびライブラリ、オペレーティング・システム、デバイス・ドライバ、ファームウェア、ネットワーク構成などのすべてのコンポーネントが、連携して動作するように最適化されています。Exadataエンジニアド・システムには何年にもわたる調整が施されており、最高のパフォーマンスを実現するOracle Databaseの実行プラットフォームとなっています。

カスタム・データベース・システムでは、Exadataシステムほどの可用性やアップタイムは実現できません。カスタム・データベース・システムでは、複雑なコンポーネント間の障害モードの検証は行われず、コンポーネントが一体として設計されていません。一方、Exadataシステムは、ノード障害、リンク障害、ストレージ障害、スイッチ障害など、起こりうるすべての障害モードに対処します。そのため、配置や運用のリスクを抑えながら、システムの全体的なアップタイムを高めることができます。

Exadata Database Machineは、配置したその日からすぐに使用できる事前構成済みのシステムであるため、データベース配置プロセスの統合作業、コスト、時間を大幅に削減できます。Exadataシステムは、組立てとデバッグが完了してあり、すぐに稼働できる状態で提供されます。Exadataシステムはすべて同一で、独自構成による問題はないため、Exadataの全ユーザーが共通プラットフォームの高度な支援を受けることができます。Oracle SupportはExadataシステムが同一構成であることから問題解決をスタートできるため、データベース配置に関する最高レベルのサポートを提供できます。カスタム・プラットフォームを構築し運用するには、トップレベルの人材が必要です。ExadataはIT担当者をコンポーネントの統合やテストから解放し、企業のビジネス・ニーズへの対応に集中できるようにします。単一のベンダーによるエンド・ツー・エンドのサポートと、すべてのコンポーネントに対するエンド・ツー・エンドの統合監視によって、Exadataシステムを使用するITスタッフの負担を軽減します。

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Exadataシステムでは、既存のすべてのOLTPアプリケーションやDWアプリケーションを実行し、開発してから30年を経たOracle Databaseが標準で利用できます。Exadataシステムに配置されたアプリケーション・データベースには、認定は必要ありません。Exadataシステムでは、Oracle Databaseエコシステム全体のITスキル、人材、パートナーおよびテクノロジーを活用できます。Exadataシステムは、Oracle E-Business Suite、PeopleSoft、Siebel、SAPなどのもっとも複雑なアプリケーションや社内で構築されたカスタム・アプリケーションに対しても、最高の機能、パフォーマンス、可用性を透過的に実現します。

Exadata Database Machine

Exadata Database Machineには2つのバージョンがあります。Exadata Database Machine X3-2は、2台の16コア・データベース・サーバー(サーバー合計512GBのメモリと3台のExadata Storage Serverを搭載)から、8台の16コア・データベース・サーバー(サーバー合計2TBのメモリと14台のExadata Storage Serverを搭載)まで拡張可能で、すべて1ラックで提供されています。Exadata Database Machine X3-8は、2台の80コア・データベース・サーバー(各サーバーに4TBのメモリと14台のExadata Storage Serverを搭載)で構成され、これらのサーバーも1ラックで提供されています。X3-2は、1ラックでの最大規模の拡張性を備えたExadata Database Machineファミリーの手頃なエントリ・ポイントとなっています。X3-8は、必要とするメモリ容量が多い大規模配置環境や、複数のデータベースを1つのシステムに統合するための環境に対応しています。両方のバージョンで、Oracle Database 11g Release 2データベース・ソフトウェアを実行します。

Exadata Database Machine X3-8

Exadata Database Machine X3-2

Exadata Database Machine X3-2には、配置するデータベースのサイズ、パフォーマンス、I/O要件に応じて、フル・ラック、ハーフ・ラック、クォーター・ラック、1/8ラックの4つのバージョンがあります。バージョンのアップグレードはオンラインで実行できるため、処理要件の拡大にあわせたスムーズなアップグレード・パスを確保できます。さらに、Exadata X3-2は、2,304個のCPUコアと9PBのRAWストレージを備える18個のラック・グリッドにまで容易に拡張できます。X3-2 Database Machineの全バージョンに共通する仕様は、次のとおりです。

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• 業界標準のデータベース・サーバーの事前構成コンポーネント:Intel® Xeon® E5-2690プロセッサ(2.9GHzで動作)、256GBのメモリ、4台の300GB 10,000RPMディスク、2つの40ギガビット/秒InfiniBandポート、2つの10ギガビット・イーサネット・ポート、4つの10/1ギガビット・イーサネット・ポート、ホットスワップ対応のデュアル冗長電源。データベース・サーバーにはOracle Linux 5 Update 8(Unbreakable Enterprise Kernel版またはRed Hat Compatible Kernel版)およびSolaris 11が事前インストールされます。システムの配置時に、Database Machineで使用するオペレーティング・システムを選択できます。

• Exadata Storage Serverの事前構成コンポーネント:Intel Xeon E5-2630Lプロセッサ(2.0GHzで動作)、64GBのメモリ、1.6TBのExadata Smart Flash Cache、12台のディスク(512MBのバッテリ・バックアップ式キャッシュを搭載したストレージ・コントローラに接続)、デュアル・ポートInfiniBand接続、内蔵のIntegrated Lights Out Manager(ILOM)、ホットスワップ対応のデュアル冗長電源。Exadata Storage Serverでは、600GB、15,000RPMの高パフォーマンス・ディスクか、3TB、7,200RPMの大容量ディスクのいずれかを選択できます。すべてのExadata Storage Server SoftwareがExadataセルに事前インストールされます。

• データベース・サーバーからExadata Storage Serverへの通信とOracle RACノード間の通信に必要な40ギガビット/秒のInfiniBandファブリックを構成するSun Quad Data Rate(QDR)InfiniBandスイッチおよびケーブル

• Database Machineのリモートでの管理と監視に使用するイーサネット・スイッチ

• これらのコンポーネントはすべて、システム用の配電盤(PDU)を搭載したカスタムの42Uラック内にパッケージ化されます。

各コンポーネントの割合は、すべてのデータベース・アプリケーションのパフォーマンスを最大化し、高可用性システムを実現し、CPU対I/O能力のバランスを最適に保つように選択されています。Exadata Database Machine X3-2の各バージョンのハードウェア・コンポーネントを次の表に示します。

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6

Exadata

Database

Machine X3-2

フル・ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

ハーフ・ラック

Exadata Database

Machine X3-2

クォーター・ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

1/8ラック1

データベース・サーバー

• データベース処理用のCPUコア数

• メモリ容量(GB)

8

128

2,048

4

64

1,024

2

32

512

2

16

512

Exadata Storage Server

• SQL処理用のCPUコア数

• Exadata Smart Flash Cache容量(TB)

• データベース・ストレージ用のディスク数

14

168

22.4

168

7

84

11.2

84

3

36

4.8

36

3

18

2.4

18

InfiniBandスイッチ数 3 3 2 2

1 1/8ラック内のハードウェアは物理的にはクォーター・ラックと同じですが、半数のコンポーネント(データベース処理CPUコア、

SQL処理CPUコア、フラッシュ、ディスク)のみが有効化されます。1/8ラックからクォーター・ラックへのアップグレードは、ソフ

トウェアを使用したハードウェアのアクティブ化により実行されます。

Database Machine X3-2ハードウェア

Exadata Database Machine X3-8

Exadata Database Machine X3-8は、大規模なSMPデータベース・サーバーとExadataストレージ・グリッドを搭載したグリッド・インフラストラクチャによって、きわめて優れたスケールアップ・アーキテクチャとスケールアウト・アーキテクチャが組み合わされています。これまでは、大規模なSMPではそれ自体でフル・ラック規模の機器が必要であり、スケールアウトは容易ではありませんでした。Exadata X3-8では、非常にコンパクトなSunのIntelベースの80コア・サーバー2台を使用して、高パフォーマンスと高可用性を兼ね揃えたデータベース・グリッドを作り出しています。各サーバーに2TBのメモリ、40ギガビット/秒のInfiniBand(内部接続用)、10ギガビット・イーサネット(データセンターへの接続用)が搭載されています。X3-8のストレージ・グリッド・アーキテクチャはX3-2と同様に、14台のExadata Storage Serverを備え、インテリジェントな問合せのオフロード、10倍のデータ圧縮、504TBのRAWストレージ、最大150万回/秒のI/Oを、Exadataストレージの22.4TBの高パフォーマンスPCIフラッシュに提供します。Exadata X3-8は、1,280個のCPUコアと4PBのRAWストレージを備える8個のラック・グリッドにまで容易に拡張できます。この新しいExadata X3-8は、すべてのビジネス・アプリケーションに対して卓越したパフォーマンスをもたらし、大規模なデータベース統合を可能にします。

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Exadata Database Machine X3-8はフル・ラック構成で提供され、Oracle Database 11g Release 2を実行します。Exadata Database Machine X3-8の仕様は次のとおりです。

• 2台の業界標準のデータベース・サーバーの事前構成コンポーネント(各サーバーあたり):Intel® Xeon® E7-8870プロセッサ(2.40GHzで動作)、2TBのメモリ、8台の300GB、10,000RPMディスク、8つの40ギガビット/秒InfiniBandポート、8つの10ギガビット・イーサネット・ポート、8つの1ギガビット・イーサネット・ポート、ホットスワップ対応のデュアル冗長電源。データベース・サーバーにはOracle Linux 5 Update 8(Unbreakable Enterprise Kernel版)が事前インストールされます。

• 14台のExadata Storage Serverの事前構成コンポーネント:Intel Xeon E5-2630Lプロセッサ(2.0GHzで動作)、64GBのメモリ、1.6TBのExadata Smart Flash Cache、512MBのバッテリ・バッ

クアップ式キャッシュを搭載したストレージ・コントローラに接続された12台のディスク(600MB、15,000RPMの高パフォーマンス・ディスクまたは3TB、7,200RPMの大容量ディスクか

ら選択)、デュアル・ポートInfiniBand接続、内蔵のIntegrated Lights Out Manager(ILOM)、ホットスワップ対応のデュアル冗長電源。すべてのExadata Storage Server SoftwareがExadataセルに事前インストールされます。

• データベース・サーバーからExadata Storage Serverへの通信とOracle RACノード間の通信に必要な40ギガビット/秒のInfiniBandファブリックを構成する3つのSun Quad Data Rate(QDR)InfiniBandスイッチおよびケーブル

• Database Machineのリモートからの管理と監視に使用するイーサネット・スイッチ

• これらのコンポーネントはすべて、システム用の配電盤(PDU)を搭載したカスタムの42Uラック内にパッケージ化されます。

X3-2と同様に、各コンポーネントの割合は、すべてのデータベース・アプリケーションのパフォーマンスを最大化し、高可用性システムを実現し、CPU対I/O能力のバランスを最適に保つように選択されています。

Exadata Database Machine

X3-8

データベース・サーバー

• データベース処理用のCPUコア数

• メモリ容量(GB)

2

160

4,096

Exadata Storage Server

• SQL処理用のCPUコア数

• Exadata Smart Flash Cache容量(TB)

• データベース・ストレージ用のディスク数

14

168

22.4

168

InfiniBandスイッチ数 3

Database Machine X3-8ハードウェア

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Database Machineのアップグレード性

Database Machine X3-2の各モデルは、処理要件の拡大にあわせて容量と能力を拡張でき、スムーズなアップグレード・パスを確保しています。1/8ラックからの(クォーター・ラック、ハーフ・ラック、フル・ラックへの)オンライン・フィールド・アップグレードはオラクルの担当者により容易に実施できます。

Database Machine X3-2のアップグレード

これらの各アップグレードには、アップグレード・キットを利用できます。1/8ラック内のハードウェアは物理的にはクォーター・ラックと同じですが、半数の主要コンポーネント(データベース処理CPUコア、SQL処理CPUコア、フラッシュ、ディスク)のみが有効化されます。1/8ラックからクォーター・ラックへのアップグレードは、ソフトウェアを使用して、アクティブではないハードウェアをアクティブ化することにより実行されます。クォーター・ラックからハーフ・ラックへのアップグレード、およびハーフ・ラックからフル・ラックへのアップグレードには、システムを1段階大きな構成にするためのコンポーネントが必要となり、これらのコンポーネントはOracle Supportによって取り付けられます。

1台のExadata Database Machineでも非常に強力なシステムですが、Exadata Database Machineをあらゆるサイズに拡張できるようなビルディング・ブロック方式が採用されています。複数のDatabase Machine X3-2システムをシステム内でInfiniBandファブリックを使用して接続し、より大規模な1つのシステム・イメージ構成を作り出すことができます。複数のExadata Database Machine X3-8のラックでも同じように接続できます。これは、ラック間でInfiniBandケーブルを接続することで実現します。すべてのInfiniBandインフラストラクチャ(スイッチとポート・ケーブル)がこの拡張オプションを利用できるように設計されています。InfiniBandケーブルを単純に接続して、最大18個のラックを接続できます。さらに大規模な構成も、外部InfiniBandスイッチを追加することで構築可能です。X3-2フル・ラックとハーフ・ラックを任意に組み合わせて接続できます。クォーター・ラックと他のラックとの相互接続は、2つのクォーター・ラックを相互接続する場合と、1つのクォーター・ラックをフル・ラックとハーフ・ラックの構成に接続する場合が考えられます。Exadata Database Machineが本来備える拡張機能によって、アプリケーションが必要とする最大規模のデータベースに対応できます。

さらに、Exalogic Elastic Cloudも同じInfiniBandファブリックを使用して、同じようにExadata Database Machineに接続されます。ExalogicシステムとExadataシステムを搭載した最大18個のフル・ラックを、外部スイッチをまったく使用せずに接続できます。

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相互接続された8台のExadata Database Machine X3-8ラックが1つのシステムを形成

Exadata Database Machineでは、新しい世代のプロセッサとExadataストレージを既存のExadata Database Machineにシームレスに配置できることにより、これまでの投資が保護されます。また、新しいソフトウェア・リリースには過去のExadata Database Machineとの互換性があります。Exadata Database Machineの複数の世代にわたるアップグレードと拡張の例について、次に示します。

V2クォーター・ラックをX2-2サーバー搭載のハーフ・ラックにアップグレート後、X3-2サーバー搭載のフル・ラックにアップグレード

Exadata Storage Server

Exadata Storage ServerではExadata Storage Server Softwareを実行して、Smart Scan、Smart Flash Cache、Smart Flash Logging、IO Resource Manager、Storage Index、Hybrid Columnar Compressionなどの、Database Machineの強力な独自のExadataソフトウェア・テクノロジーを提供します。

Exadata Storage Serverのハードウェア・コンポーネント(別名Exadataセル)は、高パフォーマンスのデータベース処理のニーズを満たすため、慎重に選択されています。Exadataソフトウェアは、ハードウェア・コンポーネントとOracle Databaseを最大限に活用できるように最適化されます。各Exadataセルによって、データベースのI/Oパフォーマンスはきわめて高くなり帯域幅は広くなります。Exadata Storage ServerのCPUコアは、Exadataストレージで実行されるSmart Scan SQL処理などの機能の提供に充てられます。

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これまでのOracle Databaseの高度なセキュリティ機能を基にしたExadataストレージでは、完全に暗号化されたデータベースへの問合せを数百GB/秒というゼロに近いオーバーヘッドで実行できます。これは、復号化処理をソフトウェアからExadata Storage Serverハードウェアに移行することで実現されます。Exadata Storage Serverで使用されるOracleソフトウェアとIntelプロセッサがAdvanced Encryption Standard(AES)をサポートすることで、これを可能にしています。

Exadata Storage Server(Exadataセル)

Exadata Smart Flash Cache

Exadataシステムでは、フラッシュ・ディスクではなく最新のPCIフラッシュ・テクノロジーを採用しています。低速のディスク・コントローラやディスク・ディレクタの背後ではなく、高速PCIバスに直接フラッシュを配置することで、PCIフラッシュのパフォーマンスが大幅に向上します。Exadata Storage Serverには、4つのPCIフラッシュ・カードが搭載されており、フラッシュ・メモリの総容量は1.6TBです。また、フル・ラックのExadata Database Machineには56個のPCIフラッシュ・カードが搭載されており、そのフラッシュ・メモリは22.4TBです。Exadata X3に使用されるフラッシュ・モジュールは、標準的なデータベースのデータを使用する場合に、10年以上の耐久性が期待されます。このソリッド・ステート・ストレージは、Exadataストレージのパフォーマンスを大幅に向上します。データベースの読取りと書込みを自動的にキャッシュし、フル・ラックのX3データベース・マシンにおいて、100万回/秒の8Kフラッシュ書込みと150万回/秒の8Kフラッシュ読取りを実行できます。

Exadataのきわめて高いパフォーマンスを実現する重要な要素の1つがExadata Smart Flash Cacheハードウェアであり、Oracle Exadata Storage Server Softwareのインテリジェント機能がこれを支えています。Exadata Storage Server SoftwareのExadata Smart Flash Cache機能はデータベース・オブジェクトをフラッシュ・メモリにインテリジェントな方法でキャッシュすることによって、パフォーマンスの低い機械的なディスクI/O処理から高速なフラッシュ・メモリ処理への転換を実現します。Exadata Storage Server Softwareは、データベース・ログのI/Oを高速化するExadata Smart Flash Logging機能も提供しています。Exadata Smart Flash Cacheは、Oracle Exadata Database Machineの中核をなすテクノロジーです。Oracle Exadata Database Machineは、1秒あたりのランダム8K I/O処理数(IOPS)で最大150万を実現するとともに、Exadataストレージ内のデータを最大100GB/秒でスキャンします。

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Exadataストレージの容量、パフォーマンス、帯域幅、IOPS

Oracle Exadata Storage Serverには、600GB、15,000RPMの高パフォーマンス・ディスク(12台)か、3TB、7,200RPMの大容量ディスク(12台)のいずれかが搭載されています。高パフォーマンス・ディスク・ベースのExadata Storage Serverは、最大3.25TBの非圧縮の利用可能容量と、最大1.8GB/秒のRAWデータ帯域幅を備えています。大容量ディスク・ベースのExadata Storage Serverは、最大16TBの非圧縮の利用可能容量と、最大1.3 GB/秒のRAWデータ帯域幅を備えています。圧縮形式で保存する場合、各セルで提供されるユーザー・データ容量とデータの帯域幅は大幅に増加します。

Database Machineの各モデルのストレージ容量を次の表に示します。

Exadata

Database

Machine

X3-8/X3-2フル・

ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

ハーフ・ラック

Exadata Database

Machine X3-2

クォーター・ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

1/8ラック

Exadata Smart Flash Cache 22.4TB 11.2TB 4.8TB 2.4TB

RAWディスク容量

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク

100TB

504TB

50TB

252TB

21.6TB

108TB

10.8TB

54TB

利用可能容量

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

45TB

224TB

最大

22.5TB

112TB

最大

9.5TB

48TB

最大

4.5TB

23TB

Database Machineのストレージ容量

注:RAWディスク容量を計算すると、1TB(1兆バイト)です。フォーマット後の実際の容量はこれよりも少なくなります。データベース向けの利用可能容量は、ミラー化(ASMの標準レベルの冗長化)およびディスク障害への自動対応に必要な空きディスク1台を設定した後に計算されます。

Exadata Smart Flash Cacheによって、各セルで非常に高いパフォーマンスを実現できます。Exadataソフトウェアではフラッシュとディスクから同時にスキャンを行い、帯域幅を最大化できます。フラッシュ内の自動キャッシュ機能により、各Exadataセルで非圧縮データへのアクセス時に最大5.4GB/秒の帯域幅と125,000のデータベースIOPSが可能になります。データを圧縮形式で保存する場合には、ユーザー・データ容量、データの帯域幅、およびIOPSは、多くの場合最大で10倍またはそれ以上まで増加します。これは、Oracle Databaseと従来のストレージ・デバイスを使用する場合に比べ、大幅に増加することを示しています。

Database Machineの各モデルのパフォーマンス特性を次の表に示します。

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Exadata

Database

Machine X3-8

およびX3-2フル・

ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

ハーフ・ラック

Exadata Database

Machine X3-2

クォーター・ラック

Exadata

Database

Machine X3-2

1/8ラック

RAWディスク・データ帯域幅

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

25GB/秒

18GB/秒

最大

12.5GB/秒

9.0GB/秒

最大

5.4GB/秒

4.0GB/秒

最大

2.7GB/秒

2.0GB/秒

データベース・ディスクIOPS1

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク

最大

50,000

28,000

最大

25,000

14,000

最大

10,800

6,000

最大

5,400

3,000

RAWフラッシュ・データ帯域幅

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

100GB/秒

93GB/秒

最大

50GB/秒

46.3GB/秒

最大

21.5GB/秒

20GB/秒

最大

10.7GB/秒

10GB/秒

データベース・フラッシュ読取りIOPS1 最大1,500,000 最大750,000 最大375,000 最大187,000

データベース・フラッシュ書込みIOPS1 最大1,000,000 最大500,000 最大250,000 最大125,000

1 SQLを実行する8K IO要求に基づく数値

Database MachineのI/Oパフォーマンス

Exadata Storage Expansion Rack

Oracle Exadata Storage Expansion Rack X3-2は、もっとも容易で高速かつ堅牢にExadata Database MachineまたはSPARC SuperClusterにストレージ容量を追加できるように設計されています。Exadata Database Machineを拡張したExadata Storage Expansion Rackを使用すれば、ミッション・クリティカルな最大級のデータベースに格納されたビッグ・データの要件に対応できます。

Exadata Storage Expansion Rackは、履歴データやアーカイブ・データ、Exadata Database Machineデータのバックアップとアーカイブ、ドキュメント、画像、ファイル、XMLデータ、LOB、および大きな非構造化データといった、大量のデータを要するデータベース配置環境向けの製品です。構成が非常に容易で、LUNやマウント・ポイントの構成は不要です。ストレージの構成とデータベースへの追加は、いくつかの単純なコマンドを実行すれば数分で完了します。

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Exadata Database Machineのパフォーマンスを改善する独自テクノロジーとして、Oracle Exadata Storage Serverとそのソフトウェアがあります。データベース処理をExadata Storage Serverにプッシュすることで、すべてのディスクを並列実行できるようになり、データベース・サーバーのCPU消費量が減り、さらにストレージとデータベース・サーバー間でのデータ移動に使用する帯域幅も削減されます。Exadata Storage Expansion Rackは標準的なExadata Storage ServerとInfiniBandスイッチで構成されており、既存のExadata Database Machineとシームレスに統合されます。Exadata Storage Expansion Rackは高パフォーマンス、大容量、高帯域幅のスケールアウト・ストレージ・ソリューションで、ミラー化された非圧縮の利用可能容量は最大288TBになり、それによって既存のExadata Database Machine配置環境のI/O帯域幅を改善します。

Exadata Storage Expansion Rackには3つのバージョンがあります。それぞれ、18台のExadata Storage Serverを搭載したフル・ラック構成、9台のExadata Storage Serverを搭載したハーフ・ラック構成、4台のExadata Storage Serverを搭載したクォーター・ラック・システムであり、あらゆるアプリケーションに適応する構成が用意されています。バージョンのアップグレードはオンラインで実行できるため、処理要件の拡大に従ってスムーズなアップグレード・パスを確保できます。Expansion Rackの3つのバージョンのすべてに、Exadata Database Machineで使用される同じExadata Storage Server、600GBの高パフォーマンス・ディスクまたは3TBの大容量ディスク、Exadata Smart Flash Cacheが搭載されています。

Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

フル・ラック

Exadata Storage

Expansion Rack

X3-2ハーフ・ラック

Exadata Storage Expansion

Rack X3-2クォーター・ラック

Exadata Storage Server

• SQL処理用のCPUコア数

• Exadata Smart Flash Cache容量(TB)

• データベース・ストレージ用のディスク数

18

216

28.8

216

9

108

14.4

108

4

48

6.4

48

InfiniBandスイッチ数 3 3 2

Exadata Storage Expansion Rackハードウェア

小規模Exadata Storage Expansion Rackから大規模Exadata Storage Expansion Rackへのアップグレードに加えて、Exadata Storage Expansion RackをExadata Database Machineに接続する、統合されたInfiniBandファブリックを使用したビルディング・ブロック方式が採用されており、システムをあらゆるサイズに容易に拡張できます。Exadata Storage Expansionフル・ラック、ハーフ・ラック、クォーター・ラックは、Exadata Database Machineフル・ラック、ハーフ・ラック、クォーター・ラックのシステムと、あらゆる組合せで連結できます。InfiniBandケーブルを介して、最大18個のExadata Database MachineラックとExadata Storage Expansion Rackを容易に接続できます。1つのExadata Database Machineフル・ラックX3-2と17個のExadata Storage Expansionフル・ラックを搭載した合計18個のラックによるX3-2構成は、11,520TBのRAWディスク容量と、SQL処理専用の3,840個のCPUコアを備えています。さらに大規模な構成も、InfiniBandスイッチを追加することで構築可能です。

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Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

フル・ラック

Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

ハーフ・ラック

Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

クォーター・ラック

Exadata Smart Flash Cache 28.8TB 14.4TB 6.4TB

ディスク容量

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク

128TB

648TB

64TB

324TB

28TB

144TB

利用可能容量

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

58TB

288TB

最大

29TB

144TB

最大

13TB

64TB

Exadata Storage Expansion Rackの容量

Exadata Storage Expansion Rackのビッグ・データにおける強みの1つは、Exadata Database Machineのバックアップ先として使用するときに発揮されます。データベースの全体バックアップの場合、Exadata Storage Expansion Rackのミラー化されたディスクに書き込まれている非圧縮データのバックアップは、最大27TB/時の速度で作成できます。また、データベースの増分バックアップの場合は数百TB/時、Hybrid Columnar Compressionで圧縮されたデータの増分バックアップの場合は数PB/時でのバックアップが可能です。Exadata Storage Expansion Rackでのディスク・バックアップは、リストアを実行せずに直接利用でき、パフォーマンスを低下させません。これは、Exadata Storage Expansion Rackに対してバックアップする場合にのみ利用できる独自のバックアップ機能です。これにより、Oracle Exadata Database Machineのバックアップとリカバリがはるかに高速で容易になります。

新しいExadata Storage Expansion RackをExadata Database Machineに接続すると、システムのストレージ容量とパフォーマンスが増強されます。システムを単一システム・イメージ・モードで実行することも、複数のデータベースを統合するために論理的にパーティション化することもできます。Exadata Database MachineとExadata Storage Expansion Rackを使用すればスケールアウトも簡単です。Automatic Storage Management(ASM)によって、複数のExadata Storage Serverのデータが動的かつ自動的に分散されるため、複数のラック間でI/Oの負荷をオンラインかつ均等に拡散し、すべてのハードウェアを最大限に利用し、Expansion Rackをその構成に容易に統合できます。さらに、I/O Resource Managerを使用することで、I/O帯域幅をシステムの各データベースやユーザーに分配し、ビジネスのサービス・レベル目標を達成できます。

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Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

フル・ラック

Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

ハーフ・ラック

Exadata Storage

Expansion Rack X3-2

クォーター・ラック

RAWディスク・データ帯域幅

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

32GB/秒

23GB/秒

最大

16GB/秒

11.5GB/秒

最大

7.2GB/秒

5GB/秒

データベース・ディスクIOPS1

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク

最大

64,000

36,000

最大

32,000

18,000

最大

14,400

8,000

RAWフラッシュ・データ帯域幅

• 高パフォーマンス・ディスク

• 大容量ディスク(データ圧縮なし)

最大

130GB/秒

121GB/秒

最大

65GB/秒

60.5GB/秒

最大

29GB/秒

27GB/秒

データベース・フラッシュ読取りIOPS1 最大1,900,000 最大950,000 最大425,000

データベース・フラッシュ書込みIOPS1 最大1,350,000 最大675,000 最大300,000

1 SQLを実行する8K IO要求に基づく数値

Database MachineのI/Oパフォーマンス

Exadata Database Machineのアーキテクチャ

次の図は、典型的なDatabase Machineハーフ・ラック配置の概略図です。この図では2つのOracle Databaseがあり、そのうち1つはReal Application Clusters(RAC)データベース(3台のデータベース・サーバーに対して配置)で、もう1つは単一インスタンス・データベース(ハーフ・ラック内の残る1つのデータベース・サーバーに配置)です(言うまでもなく、ハーフ・ラックで最高のパフォーマンスと可用性を実現するために、これら4台のデータベース・サーバーのすべてを1つの4ノードRACクラスタ用に使用することもできます)。RACデータベースは本番用データベース、単一インスタンス・データベースはテスト/開発用データベースという選択肢もあるでしょう。両方のデータベースがハーフ・ラック内の7つのExadataセルを共有していますが、ソフトウェアの独立性を維持するために、それぞれのデータベースに別のOracleホームを設定します。この構成の全コンポーネント

(データベース・サーバー、Exadataセル、InfiniBandスイッチなどのサポート・ハードウェア)がこのDatabase Machineラック内に収まります。

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Database Machineハーフ・ラックの配置

Database Machineでは、サーバーとストレージとの間に最先端のInfiniBandインターコネクトが使用されます。各データベース・サーバーとExadataセルには、高可用性を実現するデュアル・ポートQuad Data Rate(QDR)InfiniBand接続が備わっています。各InfiniBandリンクでは、従来のストレージやサーバー・ネットワークよりもはるかに高速の40ギガビットの帯域幅が提供されます。さらに、オラクルのインターコネクト・プロトコルでは、直接データ配置(DMA:ダイレクト・メモリ・アクセス)を使用して、余分なデータ・コピーを作成せずにデータを回線からデータベース・バッファに直接移動することで、CPUのオーバーヘッドを大幅に削減しています。InfiniBandネットワークには、LANネットワークの柔軟性に加え、SANの効率性が備わっています。オラクルでは、InfiniBandネットワークを使用することによって、ネットワークがパフォーマンスのボトルネックにならないようにしています。このInfiniBandネットワークでは、Oracle Database Real Application Clusters

(Oracle RAC)ノード用の高パフォーマンスのクラスタ・インターコネクトも提供されます。

Oracle Exadataは、任意のパフォーマンス・レベルに合わせてスケールアウトできるように設計されています。パフォーマンスとストレージ容量を増強する場合は、構成にデータベース・サーバーとExadataセルを追加します(例:ハーフ・ラックからフル・ラックへのアップグレード)。構成へのExadataセルの追加数にほぼ比例して、ストレージ容量とI/Oパフォーマンスが増強されます。セル間の通信は行われず、またこの通信はExadata構成には必要ありません。

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Exadataソリューションのアーキテクチャには、データベース・サーバーのコンポーネントとExadataセル内のコンポーネントが含まれています。クォーター・ラック構成のソフトウェア・アーキテクチャを次の図に示します。

Exadataソフトウェアのアーキテクチャ

Exadataを使用すると、SQL処理の多くはデータベース・サーバーからExadataセルにオフロードされます。Exadataでは、従来のブロック処理サービスを提供しつつ、データベース・インスタンスから基盤となるストレージに機能を移動できます。従来のストレージと比較した際のExadataストレージ独自の機能として、データベース問合せに対し、表全体ではなく行と列のみを返す機能があります。Exadataでは、SQL処理がデータ(またはディスク)のできるだけ近くにプッシュされるため、全ディスクでの並列処理が可能となっています。そのため、データベース・サーバーのCPU消費量が減り、データベース・サーバーとストレージ・サーバー間のデータ移動時の帯域幅が大幅に削減されて、表全体ではなく問合せの結果セットが返されます。データ転送とデータベース・サーバーのワークロードを削減することによって、従来は帯域幅とCPUにより制約を受けていたデータウェアハウスへの問合せに大きなメリットをもたらします。また、データ転送の削減は、大規模なバッチ処理とレポート処理操作を行うことが多いオンライン・トランザクション(OLTP)処理システムにも大きなメリットをもたらします。

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Exadataは、データベースを使用するアプリケーションに対して完全に透過的です。Database Machineで稼働するOracle Database 11g Release 2は従来のシステムで稼働するものとまったく同じですが、Database Machineではその処理が高速化します。Exadataストレージを使用すれば、既存のSQL文が非定型であっても、パッケージ・アプリケーションやカスタム・アプリケーション内にあっても、影響を受けることはなく、変更する必要もありません。このソリューションのオフロード処理と帯域幅の利点は、アプリケーションを一切変更することなく享受できます。さらに、Exadataでは、Oracle Databaseの全機能が完全にサポートされています。Exadataは、Oracle Databaseの単一インスタンスまたはOracle Real Application Clustersの配置環境と同等に機能します。Oracle Data Guard、Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)、Oracle GoldenGate、およびそのほかのデータベース・ツールの機能は、Exadataを使用しているかどうかに関係なく同様に管理されます。ユーザーとデータベース管理者は、Exadataストレージ以外の従来のストレージを使用している場合と同様に作業できるため、使い慣れたツールや知識をそのまま利用できます。

従来のシステムと同じOracle Databaseおよび機能がDatabase Machineに搭載されるため、Database Machineを管理するITスタッフには、Database Machineで管理するソフトウェアに関する同様の知識が必要です。Database Machineの管理には、Oracle Databaseの管理、バックアップとリカバリ、Oracle RACとOracle Enterprise Linuxの経験が必要になります。

データベース・サーバー・ソフトウェア

Oracle Database 11g Release 2は、Exadataストレージの利点を活用できるように大幅に拡張されています。Exadataソフトウェアは、データベース・サーバーとExadataセルとの間で最適に分配されます。データベース・サーバーとExadata Storage Server Softwareは、iDB(Intelligent Databaseプロトコル)を使用して通信を行います。iDBはデータベース・カーネルに実装され、データベース操作をExadata拡張操作に透過的にマッピングします。iDBでは、データベースの従来のデータ・ブロック送信機能に加えて、送信アーキテクチャが実装されます。iDBは、ExadataセルへのSQL操作の送信と、データベース・カーネルへの問合せ結果セットの返信に使用されます。Exadataセルでは、データベース・ブロックではなく、SQL問合せの条件を満たす行と列のみが返されます。既存のI/Oプロトコルと同様に、iDBではバイト範囲の読取り/書込みをディスク間で直接行うことができるため、オフロード処理を実行できない場合、ExadataはOracle Databaseに対して従来のストレージ・デバイスと同じように動作します。オフロード処理を実行できる場合は、データベース・カーネルのインテリジェンスによって、たとえば表スキャンがExadata Storage Serverで実行され、要求されたデータのみがデータベース・サーバーに返されます。

iDBは、オープン・スタンダードのReliable Datagram Sockets(RDS)プロトコルに基づいて構築されており、InfiniBand上で動作します。RDSのゼロコピー実装であるZDP(Zero-loss Zero-copy Datagram Protocol)は、ブロックの不要なコピーを削減するために使用されます。データベース・サーバーとExadataセルでは、複数のネットワーク・インタフェースを使用できます。このプロトコルは非常に高速で待機時間が短いため、I/O操作に必要なデータ・コピー数を最小限に抑えることができます。

Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)は、Exadataのファイル・システムとボリューム・マネージャとして使用されます。Oracle ASMは、ストレージ・リソースを仮想化し、Exadataの高度なボリューム管理機能とファイル・システム機能を提供します。データベース・ファイルが使用可能なExadataセルやディスク間で均等にストライプ化されるため、全ストレージ・ハードウェア間でI/Oの負荷が均一化されます。リソースの割当て/再割当てをスムーズに実行するOracle ASMの機能は、Exadata環境の共有グリッド・ストレージ機能の鍵となる機能です。Oracle ASMのディスクのミラー化機能と、ホットスワップ対応のExadataディスクによって、個々のディスク・ドライバに障害が発生した場合にもデータベースの動作が保証されます。データは複数のセルでミラー化されるため、1つのセルに障害が発生しても、データが失われたり、データ・アクセスが妨げられたりすることはありません。こうした超並列アーキ

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テクチャによって、制限のないスケーラビリティと高可用性が実現します。

Oracle DatabaseのOracle Database Resource Manager(Oracle DBRM)の機能は、Exadataで使用できるように拡張されています。Oracle DBRMを使用すれば、ユーザーは、CPU、UNDO、並列度、アクティブ・セッション、およびそのほかの管理リソースに加え、データベース内とデータベース間のI/O帯域幅を定義して管理できます。そのため、複数のデータベース間でストレージを共有している場合、1つのデータベースがI/O帯域幅を独占したり、ストレージを共有しているほかのデータベースのパフォーマンスに影響を与えたりするおそれがありません。コンシューマ・グループに使用可能なI/O帯域幅(%)が割り当てられ、Oracle DBRMでこの割当て目標が維持されます。この機能は、関連するデータベースやコンシューマ・グループにI/Oをタグ付けするデータベースによって実装されます。これにより、I/Oスタック全体のI/Oの優先順位を確認できる完全なビューがデータベースに提供されます。データベース内のコンシューマ・グループへのI/Oの割当ては、データベース・サーバーで定義および管理されます。データベース間のI/Oの割当ては、Exadataセルのソフトウェアで定義され、I/O Resource Manager(IORM)で管理されます。このExadataセルのソフトウェアは、データベース間のI/Oリソースを管理し、データベース内とデータベース間での適切な割当てを行います。全体的には、Oracle DBRMによって各データベースに指定量のI/Oリソースの割当てが確保され、ユーザー定義のSLAが達成されます。

Oracle Database File System(Oracle DBFS)はOracle Database 11g Release 2で導入された機能で、Oracle Databaseに保管されたファイルに対する高パフォーマンスのファイル・システム・アクセスを実現します。Oracle DBFSは、Oracle Database 11g Release 1で導入されたSecureFilesの後継となる機能です。SecureFilesは、Oracle Databaseに保管されたファイルに対する高パフォーマンスのSQLアクセスおよびプログラムからのアクセスを実現します。Oracle DBFSとSecureFilesは、データベース内にファイルをそのメタデータを含めて保管するアプリケーションとともに使用する場合に非常に効率的であり、特にOracle DBFSではファイルベースのツールとユーティリティを使用して、データベースに保管されたファイルに対する処理を実行できます。

Oracle DBFSはExadata Database Machineとともに使用するために最適化されており、ハイエンド・ストレージ・アレイに匹敵するような非常に優れたファイルのスループットを発揮し、また、データウェアハウスのETL(抽出、変換、ロード)ステージングを直接Exadataシステム上に実装できます。Oracle DBFSでは、Exadataシステムに配置されたすべてのデータベースで共有できるアプリケーション・ファイル用の領域も提供されます。ほかのベンダーのデータウェアハウス製品を使用する場合は、これらの機能を配置して実行を管理するために、個別のストレージ・アレイを購入する必要があり、コストが余計にかかります。しかし、Oracle DBFSをExadataで使用することで、自社のデータウェアハウス環境を簡素化しながらパフォーマンスを改善できます。

Exadata Database Machineでのみ提供されるOracle Databaseの機能として、Oracle Database Quality of Service(QoS)ManagementとOracle Database QoS Management Memory Guardという2つの機能があります。QoS Managementは、システム管理者がOracle Exadata Database Machineにホストされるアプリケーションのサービス ・レベルを直接管理できるようにする機能です。QoS Managementはポリシー・ベースのアーキテクチャを使用して、実行時の正確なパフォーマンスとリソース・メトリックを関連づけ、このデータを専門システムで分析してボトルネックを特定し、推奨されるリソース調整方法を示すことで、動的な負荷状況でパフォーマンス目標を達成しそれを維持します。リソースが不足している場合は、QoSではビジネスにとって重要性が低い目標を犠牲にして、重要性の高い目標を維持します。QoS ManagementのMemory GuardはCluster Health Monitorと組み合わせることで、メモリのオーバーコミットによる障害の発生リスクのあるノードを検出します。この場合に、新しい接続を自動的に防止して既存のワークロードを保護する対応を行い、十分なメモリを再び確保できれば接続を回復します。

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Exadata Database MachineでのEnterprise Managerのサポート

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cを使用すれば、監視から管理までの包括的なライフ・サイクル管理と、エンジニアド・システム全体の継続的なメンテナンスによって、Exadata Database Machineを全体的に管理できます。

統合システム監視

Oracle Enterprise Managerが提供する包括的な監視および通知機能を利用すると、管理者はOracle Exadata Database Machineとそのソフトウェアおよびハードウェア・コンポーネントに付随する問題を事前に検出し、対応できるようになります。管理者は、それぞれのデータセンター環境の要件に合わせて、容易にこれらの監視設定を調整できます。アラートが通知されると、管理者は、InfiniBandポートのネットワーク・パフォーマンスやExadataストレージ・セルのディスク・アクティビティなどの、問題のコンポーネントに関連するパフォーマンス・メトリックとアラートの履歴を簡単に表示し、問題の根本原因を特定できます。Oracle Enterprise ManagerはExadataのハードウェア・コンポーネントに直接接続されているため、ハードウェア関連の障害を管理者に警告した上で、Oracle Automatic Service Requests(Oracle ASR)との統合を介して自動的にサービス・リクエストを登録し、Oracle Supportによる素早いレビューが可能となります。

従来のシステムでは、データベース管理者、システム管理者、ストレージ管理者が協力して検出する必要のあった問題が、Exadata Database Machine全体に対応した統合システム監視機能によって、数分で診断されるようになりました。

一元管理

Oracle Enterprise ManagerはOracle Exadataのハードウェアとソフトウェアに対する統合ビューを提供します。このビューを利用すると、データベース・サーバー、InfiniBandスイッチ、Exadataストレージ・セル、Oracleデータベース、Oracle ASMをはじめとする、あらゆるコンポーネントの状態とパフォーマンスを確認できます。

Enterprise Manager Cloud Control 12cを使用したExadataの監視

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Oracleデータベースは、何の変更を加えなくてもOracle Exadata Database Machine上で透過的に実行できます。しかし、パフォーマンス・ボトルネックやハードウェア障害を特定および診断するために、DBAがデータベースからストレージ・システムにドリルダウンする必要が生じる場合もあります。Enterprise Managerが提供するExadataのハードウェアおよびソフトウェアの統合ビューを利用すると、問題の原因がハードウェア・コンポーネントにあっても、同じストレージ・サブシステム上で稼働している別のデータベースにあっても、DBAはデータベース・パフォーマンスのページから関連するExadataストレージ・サーバーにシームレスにナビゲートし、問題を分離できます。SQL実行のパフォーマンスをリアルタイムで分析するSQL監視機能はExadataを認識することができるため、Exadataストレージ・サーバーにオフロードされている実行計画の計画操作を特定できます。その結果として、DBAはSQL文の効率を把握できます。

Enterprise ManagerのExadata管理機能は、管理されている特定のコンポーネントの状態およびパフォーマンス特性に準じて提供されます。たとえば、Enterprise Managerでポートのパフォーマンス低下が検出された場合、管理者はInfiniBandネットワークのパフォーマンスを監視できるだけでなく、ポート設定を変更することもできます。特定のデータベースが過剰なI/Oリソースを消費することで、同じストレージ・セルのセット上にあるその他のデータベースのパフォーマンスに影響が出ている場合、管理者はEnterprise Manager内で、Exadataストレージ・セルのIO Resource Managerの計画を設定し、有効化できます。

統合計画

Oracle Exadataインフラストラクチャ上に異種データベースを統合しようとする企業が増えています。Oracle Enterprise ManagerのConsolidation Plannerを使用すると、さまざまなExadata構成に対する最適な統合戦略を決定できます。実際のハードウェア構成とEnterprise Managerに保管されているサーバーのワークロード履歴を使用することで、Consolidation Plannerはソース・システムのワークロードを分析し、ターゲットExadataシステムでの統合計画に対して期待される使用率を算出します。豊富なハードウェア構成ライブラリを備えたConsolidation Plannerは、X3-2からX3-8までの各種バージョンにおよぶExadataサーバーに対しても、管理者が統合シナリオを定義できるようにガイドします。Consolidation Plannerを使用すると、企業のデータベース統合要件に適したExadataの厳密な構成を、より賢明かつ最適に決定できます。

Oracle Exadata Database Machineでは、管理機能がハードウェアおよびソフトウェアと併せて設計されているため、優れたパフォーマンスと可用性が得られるだけでなく、管理と統合が容易になります。

Exadata Storage Server Software

あらゆるストレージ・デバイスと同じく、Exadata Storage Serverは、CPU、メモリ、バス、ディスク、NICに加え、サーバーに通常搭載されているそのほかのコンポーネントで構成されたコンピュータです。また、オペレーティング・システム(OS)も実装されており、Exadataの場合はOracle Linuxが 実 装 さ れ て い ま す 。 Exadata セ ル 内 の Exadata Storage Server Software は 、 Oracle Linux

(Unbreakable Enterprise Kernel版)上で実行されます。管理者は、Oracle Linuxに制限モードでアクセスして、Exadataセルを管理します。

CELLSRV(セル・サービス)は、セルで実行されるExadataソフトウェアの主要コンポーネントで、Exadataストレージ・サービスの大部分を提供します。CELLSRVは、データベース・サーバー上のデータベース・インスタンスと通信するマルチスレッドのソフトウェアで、iDBプロトコルに基づいてデータベースにブロックを提供します。このソフトウェアによって高度なSQLオフロード機能が提供され、SQLオフロード処理を実行できない場合は、Oracleブロックが提供されます。また、I/Oを発行する各種データベースやコンシューマ・グループにI/O帯域幅を割り当てるOracle DBRMのI/Oリソース管理機能が実装されます。

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そのほかに、セルで実行されるOracleソフトウェアのコンポーネントには、Management Server(MS)とRestart Server(RS)の2つがあります。MSは管理者向けのプライマリ・インタフェースで、Exadataセルのステータスの管理と問合せに使用します。MSはExadataセルのコマンドライン・インタフェース(CLI)とOracle Enterprise ManagerのExadataプラグインと連携して機能するため、Exadataセル単体での管理と構成が可能になります。たとえば、セルからは、ストレージの構成、I/O統計の問合せ、セルの再起動を実行するCLIコマンドが発行されます。また、分散型CLIが提供されるため、複数のセルにコマンドを送信して、セル全体を簡単に管理できます。Restart Server(RS)は、Exadataソフトウェアとサービスの継続的な機能を維持します。RSは、Exadataソフトウェアの更新に使用されます。また、ストレージ・サービスの起動や実行に加え、必要に応じてサービスの再起動を行います。

ExadataのSmart Scan処理

iDB認識型ではない従来のストレージでは、データベース・インテリジェンスはすべてサーバー上のデータベース・ソフトウェア内にあります。次の図に示す表スキャンの例は、このアーキテクチャでSQL処理がどのように実行されるかを説明しています。

従来のデータベースでのI/OおよびSQL処理モデル

❶クライアントで、対象行のみをフィルタリングして返すという条件を記述したSELECT文を発行します。❷データベース・カーネルで、スキャン対象の表が含まれるファイルとエクステントに、このリクエストをマッピングします。❸データベース・カーネルで、ブロックを読み込むI/Oを発行します。❹問合せ対象の表の全ブロックが、メモリに読み込まれます。❺SQL処理がRAWブロックに対して行われ、条件を満たす行が検索されます。❻行がクライアントに返されます。

大規模な問合せの場合にはよくあることですが、読み込まれた行のほとんどは条件に一致しないものとして除外されます。それでも、表の全ブロックを読み込んで、ストレージ・ネットワーク経由で転送し、メモリにコピーする必要があります。要求されたSQL操作の実行に必要な行よりもはるかに多くの行が、メモリに読み込まれます。そのため、大量のデータ転送が発生し、帯域幅が消費されるため、アプリケーションのスループットと応答時間に影響が出ます。

データベース機能をデータベース・スタックのストレージ・レイヤー内に統合すれば、問合せを始めとしたデータベース操作をはるかに効率的に実行できます。Exadataの場合は、ディスク・レベルでデータベース機能をハードウェアのできるだけ近くに実装するため、データベース操作の速度とシステムのスループットが飛躍的に向上します。

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Exadataストレージを使用すれば、データベース操作がよりいっそう効果的に処理されます。表スキャンを実行する問合せは、データベース・サーバーに返す必要のあるデータのサブセットのみを使用して、Exadataストレージ内で処理できます。行フィルタリングや列フィルタリングに加え、(ほかの機能との)一部の結合処理は、Exadataストレージ・セル内で実行されます。そのため、関係のある必要なデータのみがデータベース・サーバーに返されます。

次の図は、表スキャンがExadataストレージ内でどのように処理されるかを示しています。

Smart Scanのオフロード処理

❶クライアントで、対象行のみをフィルタリングして返すという条件を記述したSELECT文を発行します。❷データベース・カーネルで、Exadataストレージが利用できることを確認し、発行されたSQLコマンドを表すiDBコマンドを作成して、Exadataストレージに送信します。❸ExadataソフトウェアのCELLSRVコンポーネントでデータ・ブロックをスキャンして、発行されたSQLコマンドの条件を満たす行と列を特定します。❹条件を満たす行と要求された列のみが、メモリに読み込まれます。❺データベース・カーネルで、複数のExadataセルからの結果セットを1つに統合します。❻行がクライアントに返されます。

Smart Scanはアプリケーションに対して透過的なため、アプリケーションやSQLを変更する必要はありません。SQL EXPLAIN PLANで、ExadataのSmart Scanがいつ使用されるかが示されます。返されるデータには完全な一貫性とトランザクション性があり、Oracle Databaseの読取り一貫性機能と動作に厳密に対応しています。Smart Scanの実行中にセルに障害が発生した場合、Smart Scanの未完了部分は別のセルに透過的にルーティングされて実行されます。Smart Scanは、Oracle Databaseの複雑な内部メカニズムに適切に対応しています。この内部メカニズムには、未コミット・データやロック行、連鎖行、圧縮表、言語処理、日付計算、正規表現検索、マテリアライズド・ビュー、パーティション化された表などがあります。

Oracle DatabaseとExadataサーバーでは、さまざまなSQL文が連携的に実行されます。SQL処理をデータベース・サーバーから移行することにより、サーバーのCPUサイクルが開放され、帯域幅の消費量が大幅に減るため、ほかの要求によりよいサービスを提供できます。I/O帯域幅の競合が緩和されるため、SQL操作が高速化され、より多くのSQL操作を同時実行できます。それではここから、Exadataの使用が有効であるさまざまなSQL操作について見ていきます。

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Smart Scanの条件フィルタリング

Exadataでは、表スキャンで条件フィルタリングを実行できます。データベース・サーバーには、表のすべての行が返されるのではなく、要求された行のみが返されます。たとえば、以下のSQL文が発行されると、従業員の雇用日が指定された日付よりもあとの日付の行のみが、Exadataからデータベース・インスタンスに送信されます。

SELECT * FROM employee_table WHERE hire_date > ‘1-Jan-2003’;

この機能では、関連する行のみがサーバーに返されるため、データベースのパフォーマンスが大幅に向上します。こうしたパフォーマンスの向上は、より複雑な問合せにも当てはまるため、副問合せを含む複雑な問合せでも同様の利点を享受できます。

Smart Scanの列フィルタリング

さらに、Exadataでは、表スキャンで列フィルタリング(別名:列射影)を実行できます。データベース・サーバーには、表のすべての列が返されるのではなく、要求された列のみが返されます。たとえば、以下のSQL文が発行されると、employee_name列とemployee_number列のみが、Exadataからデータベース・カーネルに返されます。

SELECT employee_name, employee_number FROM employee_table;

多数の列が含まれる表や、LOB(ラージ・オブジェクト)が含まれる列では、I/O帯域幅を大幅に削減できます。条件フィルタリングと列フィルタリングを一緒に使用すれば、パフォーマンスが飛躍的に向上し、I/O帯域幅の消費量を大幅に削減できます。さらに、列フィルタリングを索引で実行すると、問合せのパフォーマンスをよりいっそう向上できます。

Smart Scanの結合処理

Exadataでは、大型の表と小型のルックアップ表との結合処理を実行します。これは、スター・スキーマ採用のデータウェアハウスではごく一般的なシナリオです。結合処理は、Bloomフィルタを使用して実装されます。このフィルタは、非常に効率的な確立論的手法に基づいて、行が目的の結果セットに含まれるかどうかを判定します。

暗号化された表領域と列のSmart Scan処理

Exadataストレージでは、暗号化表領域(TSE)と暗号化列(TDE)のSmart Scanのオフロード処理がサポートされます。この機能によって、企業内の機密データにアクセスする際のパフォーマンスが向上します。

ストレージ索引

ストレージ索引は、Exadataストレージ内で提供される非常に強力な機能で、I/O操作を回避します。Exadata Storage Server Softwareによって、Exadataセル内にストレージ索引(データベース・オブジェクトに関するメタデータ)が作成され、保存されます。ストレージ索引は、そのセルに保存されている表の列の最小値と最大値を追跡します。I/Oが実行される前に問合せでWHERE句が指定されると、Exadataソフトウェアによって列の値とストレージ索引内の最小値と最大値とが比較され、セル内に指定された列の値をもつ行が存在するかどうかの調査が行われます。列の値が最小/最大範囲外の場合は、問合せのスキャンI/Oが回避されます。多数のI/O操作がいくつかの検索に自動的に置換されるため、SQL操作の多くで実行速度が大幅に向上します。操作におけるオーバーヘッドを最小限に抑えるため、Exadata Storage Server Softwareではストレージ索引が透過的かつ自動的に作成され、保存されます。

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データ・マイニング・モデルのスコアリングのオフロード

データ・マイニング・モデルのスコアリングがExadataにオフロードされます。この機能によって、Database Machineへのデータウェアハウスの配置がよりいっそう適切なものとなり、データ分析プラットフォームとしてのパフォーマンスが向上します。データ・マイニング・スコアリング機能

(prediction_probabilityなど)はすべて、Exadataにオフロードされて処理されます。そのため、ウェアハウス分析が高速化されるだけでなく、データベース・サーバーのCPU消費量に加え、データベース・サーバーとExadataストレージ間のI/Oの負荷が削減されます。

ExadataのそのほかのSmart Scan処理

Exadataにオフロードされるそのほかのデータベース操作としては、データベースの増分バックアップと表領域の作成の2つがあります。データベースの増分バックアップの速度と効率は、Exadataによって大幅に向上しています。データベース内の変更追跡の粒度は、Exadataストレージを使用するとよりいっそう細かくなります。Exadataでは、複数のブロックから成る大規模グループ単位ではなく、個々のOracleブロック単位で変更が追跡されます。その結果、バックアップで消費されるI/O帯域幅が減り、バックアップの実行速度が向上します。

Exadataでは、ファイル作成操作もはるかに効率的に実行されます。たとえば、Create Tablespaceコマンドを発行する場合、新しい表領域の各ブロックをサーバー・メモリでフォーマットしてストレージに書き込む操作が同期実行されるのではなく、表領域の作成とブロックのフォーマットを指示するiDBコマンドがExadataに送信されます。そのため、ホストのメモリ使用量が減り、表領域ブロックの作成とフォーマットに関連づけられているI/Oがオフロードされます。これらの操作で使用されるI/O帯域幅が削減されることで、ビジネスにとって重要性の高いそのほかの作業に使用できる帯域幅が増加します。

Hybrid Columnar Compression

データの圧縮によって、大規模なデータベースで消費されるストレージを大幅に削減できます。Exadataは、Hybrid Columnar Compression(HCC)という非常に高度な圧縮機能を提供しています。Hybrid Columnar Compressionは、最高水準のデータ圧縮を可能にすることで、I/Oを削減し、飛躍的なコスト削減とパフォーマンス向上を実現します。ストレージの削減は、使用されるHCCによって異なりますが、平均で10~15倍に及びます。平均の削減値を10倍とした場合、新たにストレージを購入する必要性が大幅に低下し、多くの場合、今後数年間の追加購入は必要なくなります。たとえば、100TBのデータベースで10倍のストレージ削減が達成された場合、物理的に使用されるストレージはわずか10TBとなります。これにより、90TBのストレージが新たに利用可能になるため、長期に渡ってストレージ購入を先延ばしできます。

HCCは、データベース・ブロック内にデータを編成するための新しい手法です。名前から想像できるとおり、このテクノロジーでは、行を使用した手法と列を使用した手法を組み合わせてデータを格納します。両方の長所を併せ持ったこの混成アプローチは、列形式の格納方法による圧縮メリットを実現しながら、同時に、純粋な列形式によるパフォーマンス低下を回避します。Hybrid Columnar Compressionでは、圧縮単位と呼ばれる論理的な構成体を使用して一連の行が格納されます。データがロードされると、行セットから列値が切り離され、順序付けとグループ化が行われてから圧縮されます。行セットの列データは、圧縮されてから圧縮単位に格納されます。

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HCCデータのSmart Scan処理が行われ、列フィルタリング(列射影)がExadata内で実行されます。Hybrid Columnar Compressionで圧縮されたデータに対しては、問合せを直接実行できるため、データの圧縮を解除する必要はありません。問合せ条件を満たすために必要なデータの圧縮解除は必要なく、クライアントに返される列と行のみがメモリ内で圧縮解除されます。この圧縮解除処理は、パフォーマンスを最大化し、データベース・サーバーから処理をオフロードするため、Exadataセル上で実行されます。通常、Hybrid Columnar Compressed Tableではデータが10倍に圧縮されるため、非圧縮データに比べてI/Oレートが10倍に向上します。

Exadata Smart Flash Cacheの機能

Oracle Exadata Storage Serverにはスマート・フラッシュ・キャッシュが直接実装されています。Exadata Smart Flash Cacheでは、頻繁にアクセスされるデータは非常に高速なフラッシュ・ストレージに格納されますが、大部分のデータは非常にコスト効率の高いディスク・ストレージに格納されます。この処理は、ユーザーの手を煩わすことなく自動的に実行されます。Oracle Flash Cacheは、再利用されることのないデータやキャッシュに適さないデータを巧みに見分けてキャッシングを回避します。また、Oracle DatabaseとExadataストレージではオプションで、データベースの表や索引、またはセグメントのレベルで特定のデータをフラッシュに保持するよう、ユーザーが指定することもできます。表はフラッシュ内で保持でき、従来のストレージやフラッシュ・ディスクのように、別の表領域やファイル、またはLUNに表を移動させる必要はありません。

Exadata Smart Flash Cacheソフトウェア(11.2.2.3.2)はデータベースの読取り/書込みの自動キャッシュを実装しており、書込みIOPSが20倍、データ帯域幅が33%向上します。このソフトウェアは、X3 Database Machineフル・ラックで100万回/秒の8K SQLフラッシュ書込みIOPSを実現します。22.4TBのフラッシュ容量とともに、この新しい書込みキャッシュ・テクノロジーによって、もっとも要求の厳しいOLTPデータベースでも超高速パフォーマンスを確保できます。この新しいExadata Smart Flash Cacheソフトウェアには以前までの世代のDatabase Machineとの下位互換性があり、以前までの世代のシステムに対する書込みキャッシュが可能です。X2およびV2のDatabase Machineでは最大50万回/秒の8K SQLフラッシュ書込みを実行でき、既存のユーザーに対してパフォーマンスの向上を透過的にもたらします。さらに、Exadata Smart Flash CacheはExadata Storage Serverが再起動された後も持続し、ウォームアップ期間は必要ありません。

Exadata Smart Flash Cacheは、ログ書込みI/Oの待機時間を短縮するためにも使用でき、データベースのロギングにより発生する可能性のあるパフォーマンス・ボトルネックを解消します。ユーザー・トランザクションのコミット時間は、ログ書込みの待機時間に大きく影響を受けます。また、領域管理や索引分割などのパフォーマンス・クリティカルなデータベース・アルゴリズムの多くもログ書込みの待機時間に大きく影響を受けます。今日のExadataストレージは、ディスク・コントローラでバッテリ・バックアップ式DRAMキャッシュを使用することでログ書込みを高速化します。通常、ディスク・コントローラ・キャッシュへの書込みは非常に高速ですが、ディスクI/Oが多い期間は低速になることがあります。Smart Flash LoggingでExadataストレージのフラッシュ・メモリを利用することで、ログ書込みが高速化されます。

フラッシュ・メモリにおける書込み待機時間の平均値は非常に良好ですが、この平均よりも1~2桁も速度が低下するような遅延の異常値がたびたび発生します。Exadata Smart Loggingの考え方は、REDO書込みをフラッシュ・メモリとディスク・コントローラ・キャッシュの両方に対して同期的に実行し、その2つのいずれかが最初に完了した時点で書込みを完了するというものです。これによって文字どおり、Exadataにこの2つのうち良い方が取り入れられます。Smart Flash Loggingによりパフォーマンス・クリティカルなデータベース・アルゴリズムを高速化することで、ユーザー・トランザクションの応答時間を削減し、さらにI/O集中型ワークロードの全体的なデータベース・スループットも改善します。

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Exadata Smart Flash Cacheに対するデータベースの書込みとロギングは透過的に処理されます。データベースとExadataストレージ・ソフトウェアがクラッシュ・シナリオとリカバリ・シナリオのすべてを処理するため、通常のデータベースのリカバリに必要になる作業以外の追加作業や特別な管理者の介入の必要はありません。DBAの視点からは、システムは完全に透過的に動作しており、フラッシュがデータファイルやREDOの一時保存領域として使用されていることをDBAが考慮する必要はありません。動作上の違いは、データベース書込みの待機時間が常に短くなることだけです。

ExadataによるI/Oリソース管理

従来のストレージでは、ストレージ・サブシステムからI/O帯域幅を消費するさまざまなジョブやユーザーの作業の優先順位付けを行う機能がないため、共有ストレージ・グリッドの作成が妨げられます。これは、複数のデータベースでストレージ・サブシステムを共有する場合にも同様に当てはまります。Oracle DBRMとExadataストレージのI/Oリソース管理機能を使用すれば、1つの作業種類やデータベースによるディスク・リソースや帯域幅の独占を防止できるため、Exadataストレージ使用時にユーザー定義のSLAを達成できます。Oracle DBRMでは、データベース間や、さまざまなユーザーと作業種類との間で消費されるI/O帯域幅の調整と優先順位付けを行うことができます。Exadataでは、データベースをストレージ環境と緊密に統合することによって、作業種類やI/O帯域幅の消費量が認識されます。そのため、ユーザーは、Exadataシステムでさまざまなワークロードを識別してワークロードの優先順位付けを行い、もっとも重要なワークロードを最優先で処理できます。

データウェアハウスや複合ワークロード環境では、データベース内でさまざまなユーザーとタスクに正しい割合でI/Oリソースを割り当てる必要があります。たとえば、I/Oリソースの70%をシステム上のインタラクティブ・ユーザーに割り当て、30%をバッチ・レポート・ジョブに割り当てる必要があるとします。これは、Oracle DBRMとExadataストレージのI/Oリソース管理機能を使用して簡単に実行できます。

Exadata管理者は、I/Oリクエストの優先順位付け方法を指定するリソース・プランを作成できます。これは、各種作業をコンシューマ・グループと呼ばれるサービス・グループに組み入れることによって実行されます。コンシューマ・グループは、ユーザー名、クライアント・プログラム名、関数、問合せ実行時間などのさまざまな属性によって定義できます。コンシューマ・グループを定義したら、ユーザーは、I/Oリソースを取得するコンシューマ・グループの優先順位と、各コンシューマ・グループに割り当てられるI/Oリソースの量を決定する階層を設定できます。I/Oリソースの優先順位付けを行うこの階層は、データベース内操作(データベース内で発生する操作)とデータベース間操作(データベース間で発生する操作)の両方に同時に適用できます。

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Exadataストレージが複数のデータベース間で共有されている場合でも、各データベースに割り当てるI/Oリソースの優先順位付けを行うことができるため、1つのデータベースにディスク・リソースや帯域幅が独占されるのを防止して、ユーザー定義のSLAを達成できます。たとえば、2つのデータベースでExadataストレージを共有できます。ビジネス目標は、これらの各データベースが組織にとって相対的な価値と重要性をもつことです。データベースAには全I/Oリソースの33%を割り当て、データベースBには67%を割り当てることを決定したとします。各データベース内のさまざまなユーザーとタスクに正しい割合でI/Oリソースを割り当てるために、次のようなさまざまなコンシューマ・グループが定義されます。

• データベースAに対しては、次の2つのコンシューマ・グループが定義されます。

• I/Oリソースの60%をインタラクティブなマーケティング活動用に確保する

• I/Oリソースの40%をバッチ処理のマーケティング活動用に確保する

• データベースBに対しては、次の3つのコンシューマ・グループが定義されます。

• I/Oリソースの60%をインタラクティブな販売活動用に確保する

• I/Oリソースの30%をバッチ処理の販売活動用に確保する

• I/Oリソースの10%を大口顧客への販売活動用に確保する

これらのコンシューマ・グループにI/Oリソースを割り当てる割合は、各データベースに割り当てられる全I/Oリソースに対する割合となります。

1つのExadata Database Machineへの複数のデータベースの統合は、コスト削減につながるソリューションです。Exadata Storage Server Software 11.2.2.3以降では、Exadata I/O Resource Managerを使用して、Database Machineで稼働するそれぞれのデータベースについて、フラッシュの使用を有効または無効に切り替えることができます。この機能によって、もっともパフォーマンス・クリティカル性の高いデータベース向けのフラッシュを予約できます。Exadata Storage Server Software 11.2.3.1以降には、上で説明した割合ベースのポリシーに加えて共有ベースのポリシーを使用して、Exadataストレージを共有する異なるデータベースにリソースを割り当てるオプションがあります。このメカニズムにより、多数のデータベースをExadataシステムに統合する際のリソース管理が容易になります。

要するに、Exadata I/O Resource Managerは、従来のテクノロジーでは解決できなかった課題を解決しました。その課題とは、ストレージ・サブシステムを共有する複数のデータベースとユーザーの作業のバランスを取って優先順位を付ける機能を持つ共有グリッド・ストレージ環境を作成することです。ExadataのI/Oリソース管理によって、Exadataストレージを共有する複数のデータベースで、ユーザー定義のSLAを達成できます。そのため、各データベースやユーザーに共有するディスク帯域幅が正しく割り当てられ、ビジネス目標が達成されます。

Exadataを使用したサービス品質(QoS)管理

Oracle Exadata QoS Managementは、システム全体のワークロード・リクエストを監視する、自動化されたポリシー・ベースの製品です。複数のアプリケーションで共有されるリソースを管理し、ビジネスに必要とされるパフォーマンス・レベルでアプリケーションを実行し続けられるようにシステム構成を調整します。この製品はシステム構成や需要の変化に正しく対応するため、アプリケーションのパフォーマンス・レベルにおいて変動が加わる状況を防止できます。

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Oracle Exadata QoS Managementは、ターゲット・システムでの各作業リクエストのパフォーマンスを監視します。作業リクエストがデータベース・サービスを使用してデータベースへの接続を要求した時点から、その作業リクエストの追跡が開始されます。作業リクエストの完了までに必要となる時間もしくは応答時間(エンド・ツー・エンドの応答時間またはラウンドトリップ時間とも呼ばれる)は、データのリクエストが開始されてからの時間と、データのリクエストが完了した時点からの時間を表します。応答時間のこの2つの要素(リソース利用にかかる時間とリソース利用の待機にかかる時間)を正確に測定することで、QoS Managementではシステム内のボトルネックを迅速に検出できます。次に、リソースの再割当てによってボトルネックを解消するための推奨項目を示して、サービス・レベルの維持や回復を行います。システム管理者は、この再割当ての必要性に関するアラートを受け取ります。QoS Managementダッシュボードのボタンを単純にクリックするだけで、この再割当てが実行されます。また、このアクションに対するクラスタ全体のパフォーマンスの影響の推定値について、非常に詳細な情報も示されます。さらに、すべてのアクションとポリシーの変更に関する監査ログも、システム・パフォーマンスの履歴に関するグラフとともに保管されます。

Oracle Exadata QoS Managementは、次の目的でシステム上のリソースを管理します。

• 要求に対応するための十分なリソースがある場合に、ワークロードが変化してもビジネスレベルのアプリケーション・パフォーマンス要件を満たすこと

• 要求に対応するための十分なリソースがない場合に、Oracle Exadata QoS Managementで重要性の低いパフォーマンス要件を犠牲にして、より重要性の高いビジネスのパフォーマンス要件に対応すること

• 負荷状況が性能をはるかに上回る場合にも、リソースを利用できる状態を維持すること

Oracle Exadata QoS Managementを使用する利点

一般的な企業で、アプリケーションの応答時間が許容レベルを下回る場合に、問題解決に非常に時間がかかることがあります。管理者が最初に持つ疑問は次のようなものです。

「システムは正しく構成したか。問題を修正するためのパラメータ変更方法はあるか。ハードウェアの追加が必要か。」しかし、これらの質問に正確な答えを出すのは非常に難しく、非生産的でストレスの多い実験に数時間を費やすことになります。

Oracle Exadata QoS Managementには次のような利点があります。

• Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)リソースを管理するシステム管理者の作業時間と必要な専門知識を削減する

• パフォーマンスの問題を削減する

• アプリケーションのパフォーマンスを制限する問題やパフォーマンスを低下させる問題の解決に必要となる時間を短縮する

• ワークロードの変化に伴うシステムのスケーラビリティを確保する

• サーバーの追加や削除をアプリケーションに対して透過的に実行する

• サーバー障害によるシステムへの影響を少なくする

• 品質保証契約(SLA)を確実に満たすよう支援する

• より効率的なハードウェア・リソース共有を可能にする

• メモリの過負荷によるサーバー障害から既存のワークロードを保護する

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• Exadataストレージを仮想化する

• Exadataで洗練された強力なストレージ管理仮想化の豊富な機能セットを提供し、Oracle Database、Exadataソフトウェア、Exadataハードウェアの強みを活かせるようにする

Exadataのストレージ管理とデータ保護

すでに説明したように、Exadataセルは、Oracle LinuxとOracle Exadata Storage Server Softwareを実行するサーバーです。最初に、セルをほかのコンピュータと同様にExadataストレージ処理モードで起動します。最初の2台のディスク・ドライブにはシステム領域と呼ばれる約30GBの小さいLogical Unit Number(LUN)スライスがあり、Oracle Linuxオペレーティング・システム、Exadataソフトウェア、および構成メタデータ用に確保されています。このシステム領域には、Oracle Databaseの自動診断リポジトリ(ADR)のデータに加え、Exadataセルに関するそのほかのメタデータが保存されます。システム領域LUNは自動的に作成されるため、管理者による管理は不要です。LUNのコンテンツは、ドライブの障害から保護するために複数の物理ディスクに自動的にミラー化され、ディスクのホットスワップが可能となります。2台のディスク・ドライブにあるほかの部分は、ユーザー・データ用に使用できます。

Exadataユーザー・ストレージの仮想化

Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)は、Exadataセル内のストレージの管理に使用されます。Oracle ASMのボリューム管理、ストライプ化、データ保護サービスによって、ボリューム管理に最適な選択が行われます。Oracle ASMによって、ドライブやセルの障害に対するデータ保護、最高のパフォーマンス、きわめて柔軟性の高い構成/再構成オプションが提供されます。

セル・ディスクは、物理ディスクからシステム領域LUN(存在する場合)を差し引いた部分を仮想表示したもので、管理者がExadataセル内で管理する主要ディスク・オブジェクトの1つです。セル・ディスクは単一のLUNで表示され、物理ディスク検出時にExadataソフトウェアによって自動的に作成され、管理されます。

セル・ディスクをさらに仮想化して、1つまたは複数のグリッド・ディスクにすることができます。グリッド・ディスクはOracle ASMにASMディスクとして割り当てられるディスク・エンティティで、データベースの代わりにユーザー・データを管理します。もっとも簡単な例は、セル・ディスク全体を1つのグリッド・ディスクにすることです。ただし、セル・ディスクを分割して複数のグリッド・ディスク・スライスにすることもできます。セル・ディスク上に複数のグリッド・ディスクを配置すると、管理者は、パフォーマンスや可用性の要件が異なる複数のプールにストレージを分離できます。グリッド・ディスク・スライスは、セル・ディスクへの"ホット"、"ウォーム"、"コールド"割当てや、Exadataディスクを共有しているデータベースの分離に使用できます。たとえば、セル・ディスクのパーティション化は次のようにして行います。1つのグリッド・ディスクを物理ディスクの高パフォーマンス部分に配置して三重にミラー化されるように設定し、もう1つのグリッド・ディスクを物理ディスクの低パフォーマンス部分に配置して、ミラー化は設定せずに、データのアーカイブやバックアップに使用します。グリッド・ディスク機能を使用して、情報ライフ・サイクル管理(ILM)戦略を実装することもできます。

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グリッド・ディスクの仮想化

次の例では、より包括的なExadataストレージ・グリッドでのセル・ディスクとグリッド・ディスクの関係について説明します。

セル・ディスクとグリッド・ディスクが構成されると、Exadata構成全体でASMディスク・グループが定義されます。2つのASMディスク・グループが定義され、1つは"ホット"グリッド・ディスクに、もう1つは"コールド"グリッド・ディスクに対応します。"ホット"グリッド・ディスクはすべて1つのASMディスク・グループに配置され、"コールド"グリッド・ディスクはすべて別のASMディスク・グループに配置されます。データがデータベースにロードされると、Oracle ASMによってデータとI/Oが複数のディスク・グループに均等に分配されます。これらのディスク・グループでOracle ASMのミラー化機能を有効にすれば、ディスク・グループにおけるディスク障害に備えてデータを保護できます。ミラー化機能は、各ディスク・グループで個別に有効/無効に設定できます。

ASMディスク・グループとミラー化の例

最後に、Exadataセル全体の障害からデータを保護するため、ASM障害グループが定義されます。障害グループによって、ミラー化されたASMエクステントが別のExadataセルに配置されます。

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Oracle ASMによるミラー化とASM障害グループの例

ExadataでOracle ASMを使用すると、次のことを実現できます。

• セル・ディスクの構成(LUN作成)が、Exadataソフトウェアによって自動的に実行されます。

• オプションとして、複数のグリッド・ディスクを物理ディスク上に共存させて、データベース・アプリケーションの要件に合わせてパフォーマンスを調整したり、ExadataでILM戦略を構築したりすることができます。

• Oracle ASMによって、Exadataディスクとセル全体のデータベース・データが自動的にストライプ化されるため、I/Oのロードバランシングとパフォーマンスの最適化が実現します。

• Oracle ASMの動的な追加/削除機能によって、セルやディスクの割当て、割当て解除、再割当てをスムーズに行うことができます。

• Oracle ASMのミラー化機能とExadataセルのホットスワップ機能によって、ディスク障害が発生してもデータが透過的に保護され、アクセスが保証されます。

• Oracle ASMでは二重または三重のミラー化が可能なため、データの重要度に合わせて保護レベルを調整できます。

• ASM障害グループがExadataで自動的に作成されるため、セルに障害が発生してもデータが透過的に保護され、アクセスが保護されます。

• Oracle ASMではグリッド・ディスクが自動的に利用可能になり、きわめて容易に構成できます。従来のストレージのようにマウント・ポイントやLUNを作成する必要はありません。これらはすべて自動的に実行されます。

Exadataストレージへの移行

データをDatabase Machineに移行する方法はいくつかあります。まず、Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)を使用して、従来のストレージからデータのバックアップを作成し、Exadataにリス

トアできます。また、Oracle Data Guardを使用すれば、移行が迅速化されます。そのためには、まず、Exadataストレージをベースにしたスタンバイ・データベースを作成します。これで、スタンバイ・データベースはExadataストレージを使用でき、本番データベースは従来のストレージを使用できます。高速スイッチオーバーを実行すれば、わずか数秒で、スタンバイ・データベースを本番データベースに変換できます。この方法で組込みのセーフティ・ネットが提供されるため、想定外の問題が発生した場合は移行を取り消して元の状態に戻すことができます。透過的な表領域とData PumpをExadataへの移行に使用することもできます。Oracle Database間でのデータ移行に使用するあらゆる方法をExadataにおいても使用可能です。

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Exadataでのデータ保護

Exadataは、顧客がオラクル製品に期待する高可用性(HA)の基準に沿うように設計されています。Exadata使用時にも、データベース機能とツールは、すべてExadata以外の従来のストレージ使用時と同様に機能します。そのため、ユーザーとデータベース管理者は、使い慣れたツールを使用して、Oracle Databaseに関する既存の知識と手順を活用できます。Exadataのアーキテクチャでは、シングル・ポイント障害がすべて排除されています。データの継続的な可用性と保護を実現するため、Exadataには、ミラー化、障害分離、ドライブやセルの障害からの保護などの使い慣れた機能が組み込まれています。Exadataサーバー内での高可用性を確保するそのほかの機能については、次に説明します。Exadata Database Machineで利用する際のこれらのテクノロジーやベスト・プラクティスの詳細については、Exadata Maximum Availability Architectureのベスト・プラクティスに関するホワ イ ト ・ ペ ー パ ー

(http://www.oracle.com/technetwork/database/features/availability/exadata-maa-best-practices- 155385.html)を参照してください。

Hardware Assisted Resilient Data(HARD)機能のExadataへの組込み

オラクルのHardware Assisted Resilient Data(HARD)イニシアチブは、データ破損を未然に防止する包括的なプログラムです。データ破損が起こることはごくまれですが、いったん発生すると、データベース、ひいては企業に壊滅的な影響を与えるおそれがあります。Exadataには拡張HARD機能が組み込まれているため、データがよりいっそう高いレベルで保護され、エンド・ツー・エンドのデータ検証が実施されます。Exadataでは、格納データの広範な検証が実施されます。この検証には、チェックサム、ブロック位置、マジック・ナンバー、ヘッド・チェックとテール・チェック、配置エラーなどが含まれます。これらのデータ検証アルゴリズムをExadata内に実装すると、破損したデータが永続ストレージに書き込まれることを防止できます。また、HARDを従来のストレージで使用した場合にもこれらのチェックと保護は実施されるため、手動で実行する必要はありません。

Oracle Data Guard

Oracle Data Guardは、Oracle Databaseのソフトウェア機能で、データベースを故障、障害、エラー、データ破損から保護するために、1つまたは複数のスタンバイ・データベースを作成、保守、および監視します。ExadataでもOracle Data Guardの機能は変わらず、本番データベースとスタンバイ・データベースの両方に使用できます。ExadataストレージでOracle Active Data Guardを使用すれば、問合せやレポートを本番データベースからスタンバイ・データベースにきわめて高速にオフロードできるため、本番データベースでの重要な作業に影響を与えることなく障害からの保護を実現できます。

Oracle Flashback

Exadataには、Oracle Flashbackテクノロジーを活用して、過去にさかのぼってデータの表示やリストアを行う機能が搭載されています。このOracle Flashback機能は、ExadataでもExadata以外の環境と同様に機能します。このOracle Flashback機能によって、データベースをオンラインにしたままで、履歴データの問合せ、変更分析の実行、セルフサービスの修復を行い、論理的な破損からリカバリできます。つまり、Exadataに組み込まれたOracle Flashbackの機能を使用することで、ユーザーはスナップショットのような機能を使用して、エラーが発生する前の状態にデータベースをリストアできます。

Oracle Recovery ManagerおよびOracle Secure Backup

Exadataでは、Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)と連携して、Oracle Databaseのバックアップとリカバリが効率的に実行されます。既存のRMANスクリプトはすべて、Exadata環境で変更することなく使用できます。Oracle RMANは、サーバーと緊密に連動するように設計されており、バックアップおよびリストアの際にブロック・レベルの破損を検出する機能が備わっています。Oracle RMANは、ファイルの多重化やバックアップ・セットの圧縮によってバックアップ時のパフォーマン

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スと使用領域の最適化を行い、さらに、Oracle Secure Backupとテープ・バックアップ用のサード・パーティ製のメディア管理製品との統合を行います。

結論

今日の企業では、1つの共通インフラストラクチャにすべてのアプリケーションを統合配置できる統合データベース・プラットフォームに対するニーズが次第に高まっています。共通インフラストラクチャは、OLTP、DW、複合ワークロードのすべてにおいて、データセンターに必要な効率性と再利用性を提供し、社内でグリッド・コンピューティングを実現します。さまざまなアプリケーションに合わせて特殊用途のカスタム・システムを構築したり、使用したりするのは、無駄が多くコストもかさみます。企業のIT予算が縮小される中で、処理が必要なデータの量は日増しに増加しています。ITソフトウェアとハードウェアの総所有コスト(TCO)を調査することは、すべてのアプリケーションを配置できる高パフォーマンスの共通インフラストラクチャの選択につながります。ExadataベースのDatabase MachineをITインフラストラクチャに組み込むことで、企業には次のような利点があります。

• データベースのパフォーマンスが向上し、時間あたりの処理量が大幅に増加します。

• 共通インフラストラクチャに配置を統合することで、変更や成長にスケーラブルかつ段階的に対応できます。

• ミッションクリティカルなデータの可用性と保護が確保されます。

Oracle Exadata Database Machine およびOracle Exadata Storage Serverの 技術概要 2012年12月 著者:Ronald Weiss Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 海外からのお問い合わせ窓口: 電話:+1.650.506.7000 ファクシミリ: +1.650.506.7200 www.oracle.com

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