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ANNUAL REPORT 2008 2008 3 月期 Our Success Story Continues VALUE CREATION FROM PERFORMANCE AND INNOVATION

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  • ANNUAL REPORT 2008

    2008年3月期

    〒105-8322 東京都港区東新橋一丁目9番3号TEL:03-6251-1111URL:http://www.nittsu.co.jp/

    1515

    Printed in Japan

    日本通運株式会社

    日本通運株式会社  

    AN

    NU

    AL R

    EPO

    RT 2008

    Our Success Story ContinuesV A L U E C R E A T I O N F R O M P E R F O R M A N C E A N D I N N O V A T I O N

    日通和文AR_表紙観音_再.indd 1 08.9.11 4:08:34 PM

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  • ANNUAL REPORT 2008

    2008年3月期

    付加価値を高めたサービスを拡大し、業界日本No.1企業から世界のトップ企業へと成長を加速しています。

    日本通運株式会社

    日本通運株式会社  

    AN

    NU

    AL R

    EPO

    RT 2008

    M a r k e t L e a d e r s h i p i n J a pa n

    N o . 1 i n T h e J a pa n e s e M a r k e t ,Our Success Story ContinuesV A L U E C R E A T I O N F R O M P E R F O R M A N C E A N D I N N O V A T I O N

    CONTENTS

    財務ハイライト社長インタビュー特集 1: グローバル事業 2: 3PL事業 3: 国内差別化事業 4: 宅配便の事業統合海外所在地別セグメントの概況 米州 欧州 アジア・オセアニア

    2

    4

    10

    12

    14

    16

    18

    20

    22

    CSR & 企業理念コーポレート・ガバナンス危機管理・コンプライアンス・個人情報保護取締役・執行役員・監査役環境保護活動・社会貢献活動財務セクショングローバルネットワーク会社情報株式情報

    26

    27

    28

    29

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    33

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    61

    日本通運は1937年10月1日、鉄道貨物のターミナルとお客様の間を結ぶ通運会社として発足し、以来70年にわたって日本の経済発展を物流面から支えてきました。そして今では、陸上・海上・航空のあらゆる輸送モードを用意する日本最大規模の物流企業グループに成長。質の高い輸送サービスはもとより、倉庫等を含めた物流ニーズに一貫して応える3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)や、現金・貴重品を安全に運ぶ警備輸送、プラント等の輸送から設置までを担う重機建設など、より付加価値の高いサービスを提供してお客様から厚い信頼をいただいています。 また、事業のフィールドも日本国内だけにとどまらず、世界37カ国に381拠点のネットワークを築き、国際間のフォワーディングや地域内における物流業務を積極的に展開しています。すでに売上高の3割近くを海外関連の事業が占める「グローバル・ロジスティクス企業」となった日本通運は、これからも世界を視野に物流の未来を切り拓き、さらにスケールの大きな成長を目指します。

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  • 1950年以前 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代

    発足・海外へ

    歴史に残る仕事

    先進的なサービス・活動

    2007年(平成19年)日本通運創立70周年インド日通、ロシア日通、中東日通を設立

    M&Aにて台湾日通に海運部門追加

    2008年(平成20年)日本通運海外進出50周年

    A H i s tory of S us ta i n e d G r ow t h a n d

    1937年(昭和12年)日本通運株式会社創立

    1949年(昭和24年)海運事業に本格進出

    1941~45年(昭和16~20年)全国の小運送業者の日本通運統合推進

    1872年(明治5年)陸運元会社を設立

    1875年(明治8年)内国通運会社に改称

    1928年(昭和3年)国際通運株式会社として発足

    1951年(昭和26年)日本通運式コンテナの登場

    1955年(昭和30年)観光業務、国内航空貨物混載業務を開始

    1957年(昭和32年)国際航空貨物混載業務を開始

    1958年(昭和33年)ニューヨーク初代駐在員を派遣「通運史料室」(現在の「物流博物館」)を創設

    1962年(昭和37年)米国日本通運を設立

    1965年(昭和40年)警備輸送部門が発足

    1981年(昭和56年)英国日通、ドイツ日通を設立

    1999年(平成11年)「民衆を導く自由の女神」を運ぶ

    1981年(昭和56年)ペリカン便に改称

    1982年(昭和57年)海外ペリカン便を発売

    1983年(昭和58年)ゴルフペリカン便・スキーペリカン便発売

    1984年(昭和59年)VANシステムスタート

    1986年(昭和61年)着払ペリカン便発売

    1987年(昭和62年)代引ペリカン便発売

    1989年(平成元年)クールペリカン便発売

    1984年(昭和59年)欧州日通旅行、マレーシア日通を設立

    1983年(昭和58年)ベルギー日通、カナダ日通を設立

    1992年(平成4年)海外拠点200を突破

    1997年(平成9年)リサイクル輸送事業開始グローバル物流情報システム「N-SHATLE」を開発引越「プロコンポ」を発売エコビジネス部設置

    2005年(平成17年)ペリカン便送り状発行システム e-発行サービス開始日通ファミリーコンサート20周年

    2006年(平成18年)機密書類「エコリサイクル便」「エコリサイクルBOX」を発売「えころじこんぽ」がエコプロダクツ大賞で国土交通大臣賞を受賞

    1993年(平成5年)引越反復資材を開発

    1996年(平成8年)統一事務処理システム全面稼動

    2001年(平成13年)海外従業員10,000人を突破

    1994年(平成6年)上海通運、日通深圳を設立

    1995年(平成7年)フィリピン日通を設立

    1996年(平成8年)ハノイ、ホーチミンに駐在員事務所を設置ヨハネスブルグ駐在員事務所再開創立当時の株券

    日本橋室町にあった当時の本社社屋

    燃料不足により馬車を使用することもあった当時の輸送の様子

    コンテナを使用した引越の様子第一金鋼丸

    1950年(昭和25年)日本通運株を上場、民間会社として再出発

    1990年(平成2年)ニュージーランド日通を設立

    1970年(昭和45年)日本万国博(大阪)を運ぶ

    1985年(昭和60年)つくば万博を輸送

    1998年(平成10年)パリ「自由の女神」像を運ぶ「物流博物館」を創設

    2000年(平成12年)省庁再編移転作業を実施

    2000年(平成12年)環境報告書を発行クールペリカン便(冷凍)発売

    2002年(平成14年)サッカーワールドカップ関連輸送を実施

    1971年(昭和46年)東京~苫小牧間定期海上輸送航路を開設

    10フィート型5トンコンテナによる輸送を開始

    1977年(昭和52年)ペリカンBOX簡単便を発売

    1970年(昭和45年)シンガポール、ホノルル、ロンドンに駐在員事務所を設置

    1985年(昭和60年)オーストラリア日通、フランス日通、米国日通旅行を設立

    1972年(昭和47年)札幌冬季オリンピックを運ぶ

    1973年(昭和48年)シンガポール日通を設立

    1974年(昭和49年)「モナ・リザ」を運ぶ

    1977年(昭和52年)オランダ日通を設立

    1964年(昭和39年)東京オリンピックを運ぶ「ミロのヴィーナス」を運ぶ

    1951年(昭和26年)「日本古美術展」を取り扱う美術品業務の皮切り

    1964年(昭和39年)東京~室蘭に「第一天日丸」就航

    3トンコンテナによる海上輸送を開始

    1966年(昭和41年)デュッセルドルフ、アムステルダム、ローマに駐在員事務所を設置

    1967年(昭和42年)台北、シドニーに駐在員事務所を設置

    1968年(昭和43年)パリ、バンコクに駐在員事務所を設置

    1963年(昭和38年)ソウル駐在員事務所を設置

    1978年(昭和53年)ハワイ日通を設立

    1979年(昭和54年)香港日通、ブラジル日通を設立

    2003年(平成15年)引越「えころじこんぽ」を発売コンプライアンス部門が発足

    1986年(昭和61年)イタリア日通を設立

    1987年(昭和62年)スイス日通を設立

    1988年(昭和63年)スペイン日通を設立

    1989年(平成1年)タイ日通を設立

    1978年(昭和53年)成田空港の移転作業を実施

    1990年(平成2年)花と緑の万国博を運ぶ

    1991年(平成3年)東京都庁移転作業を実施

    1991年(平成3年)「環境問題対策委員会」を設置スーパーペリカン便発売在庫管理システム「REWARDS」運用開始

    1982年(昭和57年)イースター島の「モアイ」像を運ぶ

    1992年(平成4年)電気自動車を導入

    1997年(平成9年)珠海日通、チリ日通、日通インドネシア物流を設立

    1998年(平成10年)ブダペストに駐在員事務所を設置

    1999年(平成11年)海外従業員8,000人を突破

    2002年(平成14年)低公害車導入台数1,000台突破

    2004年(平成16年)新ITシステム運用開始

    2006年(平成18年)サンクト・ペテルブルグ日通を設立

    2005年(平成17年)愛知万博「愛・地球博」を運ぶ

    2006年(平成18年)岡本太郎氏作の巨大壁画「明日の神話」を運ぶ

    70周年記念「安全シンボル」

    CSR報告書2007

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  • S t e a dy E x pan s io n Ov e r s e as

    カ国

    都市

    拠点

    日本通運グループの国内・海外子会社、関連会社

    合計

    海外国内292

    68

    360

    日本通運グループは、日本通運と子会社292社(連結子会社267社、持分法適用子会社1社)および関連会社67社(うち持分法適用関連会社21社)で構成されています。

    21.025.743.038.9

    %

    %

    %

    %

    37210381

    日本通運グループ拠点 (2008年3月末)

    日本国内シェア (2008年3月末、JAFA、JR FREIGHT、MLIT発表)

    国際航空貨物

    国内航空貨物

    鉄道輸送

    倉庫21社統計

    アジアNo.1、世界でも第2位の航空貨物フォワーダーとして、日本発着のみならず、37カ国に広がるネットワークを通じて、中国・アジアから欧米への輸送をはじめとする三国間輸送にも注力し、ビジネスを拡大しています。

    特定信書輸送(BSP)や、個人情報輸送などの高付加価値の商品や、BtoB貨物を中心としたハイスピードのロジスティクスサービスを提供しています。

    地球温暖化の抑制のため、トラック中心の輸送を鉄道・船舶などに切り替える「モーダルシフト」に注目が集まる中、発着一貫サービスを行える日本通運ならではの対応力を活かし、大型コンテナを中心に鉄道の利用を促進していきます。

    物流業者に配送・保管・仕分け作業などを一括して委託する3PLのニーズは近年ますます高まっており、日本通運は利便性の高い大都市周辺での倉庫建設を積極化して旺盛な需要に応えています。

    1

  • 1,500,000

    1,000,000

    500,000

    2,000,000

    0’08’04 ’05 ’06 ’07

    400,000

    200,000

    600,000

    0’08’04 ’05 ’06 ’07

    40,000

    20,000

    60,000

    0’08’04 ’05 ’06 ’07

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    1,500,000

    0’08’04 ’05 ’06 ’07

    30,000

    20,000

    10,000

    40,000

    0’08’04 ’05 ’06 ’07

    30

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    10

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    0’08’04 ’05 ’06 ’07

    総資産純資産 1株当たり当期純利益

    財務ハイライト

    (百万円) (百万円) (円)  

    売上高 営業利益 当期純利益(百万円) (百万円) (百万円)

    百万円 千米ドル※1

    2008 2007 2006 2008会計年度: 売上高 ¥1,901,433 ¥1,866,267 ¥1,793,925 $18,978,280

    事業の種類別売上高※2   運送事業 1,597,284 1,580,546 1,522,325 15,942,554  販売事業 291,923 279,080 266,908 2,913,702  その他の事業 12,225 6,640 4,690 122,025所在地別売上高※2   日本 1,682,699 1,666,887 1,631,402 16,795,087  米州 48,009 45,126 38,495 479,182  欧州 69,146 59,422 49,333 690,155  アジア・オセアニア 101,578 94,831 74,693 1,013,857営業利益 48,502 50,325 43,187 484,100当期純利益 36,439 33,208 18,663 363,701

    会計年度末: 純資産※3 520,823 517,516 488,205 5,198,353総資産 1,297,406 1,360,694 1,315,599 12,949,462

    1株当たり: 当期純利益 34.94 31.84 17.71 0.35(円・米ドル) 配当金 10.00 8.00 8.00 1.00

    ※1 米ドルの記載は参考情報です。2008年3月31日のレートである1米ドル=100.19円を換算レートとして採用し、千米ドル単位未満を切り捨てて表示してあります。※2 上記の事業の種類別売上高、所在地別売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を除き表示してあります。※3 純資産額の算定にあたり、2007年3月期連結会計年度から「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(企業会計基準委員会 企業会計基準第5号 2005年12月9日)および「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」(企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第8号 2005年12月9日)を適用しています。

    2

  • 合計

    1,901,433(百万円)

    販売事業15.4%

    運送事業84.0%

    その他の事業0.6%

    米州 2.5%

    アジア・オセアニア5.4%

    欧州 3.6%

    日本88.5%

    合計

    1,901,433(百万円)

    合計

    1,312,125(百万円)

    鉄道取扱

    7.4%

    自動車

    40.1%

    重量品・建設

    3.9%

    航空

    15.8%

    付帯事業他

    16.2%

    倉庫

    5.7%海運

    10.9%

    事業の種類別セグメント売上高(連結)

    所在地別セグメント売上高(連結)

    事業別売上内訳(単体)

    3

  • 代表取締役社長川合 正矩

    4

  • 社長インタビュー

    世界的な経済環境としては、サブプライムローン問題をきっかけとして米国経済の減速懸念が膨らみ、一部に景気の停滞があったものの、新興国をはじめ海外の多くの地域は設備投資も順調で、全体としてはおおむね堅調に推移したと感じています。 当社が事業を行う物流業界においても、国際貨物の需要は引き続き増加傾向にありました。ただ、日本から北米へ向けた薄型テレビなどの電気製品・電子部品の航空輸出に落ち込みがあり、これも米国の景気減速が大きな理由になったのではないかと思います。特に年を越えてからの落ち込みが顕著で、当期以降の動向が懸念されるところです。 一方、日本国内の市場は、当社グループの日通総研の調べで8年続けて総輸送量が減少する厳しい環境が続きました。加えて燃油費の高騰に起因するコストの上昇や、建築基準法の改正による建設関連需要の一時的な停滞、また経理上でも税制改正に伴う償却金の増加などがあり、経営の舵取りが非常に難しい1年になりました。 そうした中にあって、当社は中期経営計画「パワーアップ3カ年計画」の推進に努め、グローバル関連事業ではおおむね計画に沿った成果をあげることができました。国内についても、注力する3PL事業や警備輸送事業などが伸び、物流に付随する商事部門も順調でした。 これらの結果2008年3月期の業績は、売上高1兆9,014億円(前期比1.9%増)、営業利益485億円(同3.6%減)、経常利益559億円(同2.6%減)、当期純利益364億円(同9.7%増)と、売上高および当期純利益で過去最高を更新することができました。当期は

    まず、2008年3月期の事業を取り巻く環境と、業績についてお聞かせください。Question 1

    Growing Stronger on All Fronts

    当社では現在、より大きく、より強い日本通運グループとなるための中期経営計画「パワーアップ3カ年計画̶改革への挑戦、お客様とともに̶」を推し進めており、2008年3月期はその計画期間の2年目にあたります。過去最高の売上高・当期純利益を達成した前年度の実績をさらに伸ばすべく、営業面での様々な挑戦と、経営体質の強化を図る諸々の施策を実行してまいりました。そして、その結果2008年3月期も当社は、過去最高を更新する売上高と当期純利益を上げることができました。

    5

  • 「パワーアップ3カ年計画」は、“もう一回り大きく、強い日本通運グループを創り、さらなる躍進を期す”ことを基本目標に、2007年3月期からスタートさせた中期経営計画です。最終年度となる2009年3月期の到達目標として、売上高2兆円、営業利益545億円、経常利益600億円、当期純利益353億円という経営数値を掲げていますが、おおむね目標に向け進んでいるのではないかと思います。 まず、注力事業の1つのグローバル事業は、米州、欧州、アジア・オセアニアとも好調で、連結総売上高に占めるグローバル事業の比率は前期より0.2ポイント上昇して28.4%に達しました。海外関連はこれまでフォワーディング事業が中心になってきましたが、これに加え各地域で域内物流が順調に伸びており、フォワーディングだけに頼らない、より強固な事業体制を築きつつあります。 地域別に見ると、アジアでは中国で、華南地区に大規模な自動車部品向け物流センターを開設し、中国全土への配送体制を強化しました。自動車部品の配送のニーズは年々高まっており、今後の当社の大きな強みになると思います。米国でもシカゴとロサンゼルスに、欧州でもチェコとポーランドに大型の物流拠点を新しく設け、域内物流の拡大に向け準備を整えています。 また、新興国への進出も着実に進めており、インドでは2007年4月に現地の物流企業の買収により迅速に事業基盤を築き、ロシアでもロシア日通を設立して体制を強化、さらにアラブ首長国連邦にも中東日通を設立し成長市場への布石を打っています。 3PL事業については、この1年で国内全体の営業倉庫面積を10万m2ほど広げました。総合的な物流サービスを提供する3PLではどうしても起点となる物流拠点が必要で、当社は一昨年から集中的に倉庫への投資を行ってきました。それらが順次竣工し稼働を始めたことが、売上の伸びに表れています。この数年、分散していた倉庫を1カ所にまとめて集中管理したいというお客様が増えており、今後も倉庫への投資は継続し、3PL事業の拡大につなげる考えです。 この他、国内で注力している差別化事業についても、警備輸送はビジネスモデル特許をとった「CSD (キャッシュ・セイフティ・デリバリー)」サービス、引越サービスでは環境負荷の少ない「えころじこんぽ」がいずれも好評で、重機建設事業、鉄道輸送事業も当社の強みが発揮できる分野として順調に拡大しています。

    税制改正に伴う償却金の34億円増、燃油費高騰による27億円のコスト増などがあり、これらの特殊要因を差し引けば営業利益、経常利益についても実質的には増益を達成できたと言えます。

    当期で「パワーアップ3カ年計画」の2年目を終えました。計画の進捗状況はいかがでしょうか。

    Question 2

    2007年10月に、日本郵政との間で宅配便事業の統合に関して基本的な合意に至り、2008年4月25日に正式に統合基本合意書を締結しました。さらに6月2日に「JPエクスプレス」という新会社を設立しており、今後この会社を中心に統合へ向けた様々な手続きを進めていきます。資本金や、配送ネットワークなどについて詳細な検討を行って8月末までに両社間の株主間契約を締結し、2009年4月から統合会社として本格的に宅配便事業をスタートさせる予定です。

    宅配便事業の改革についても、日本郵政との事業統合を決めるという前進がありました。

    Question 3

    社長インタビュー

    6

  •  宅配便事業は装置産業的性格を持ち、貨物が集まるほど効率が高まります。当社「ペリカン便」と日本郵便の「ゆうパック」を合わせればほぼ倍の規模になるので、これまでに比べ効率化が図れるのは間違いありません。規模が倍になるからといって人員や設備も倍のままでは意味がないわけですが、当社からは宅配便事業に携わっている従業員のほとんどが新会社へ出向し、それに日本郵便からの人員が加わる形になると思います。また、情報システムや大規模ターミナル拠点なども基本的には当社のものを活用し、集配拠点については全国津々浦 に々広がる日本郵政グループのネットワークを利用してシナジー効果を出していこうと思っています。 いずれにしても2009年4月の本格スタートに向け、競争力のある、品質の高い宅配便事業会社となるよう準備を進めてまいります。

    すでに発表した2009年3月期の業績見通しは、売上高1兆9,450億円(前期比2.3%増)、営業利益520億円(同7.2%増)、経常利益580億円(同3.6%増)、当期純利益323億円(同11.4%減)と、中期経営計画の目標には若干届かない数字になっていますが、計画策定時に予想し得なかった環境変化の影響を差し引けば、実質的には中期経営計画の目標にほぼ近いものだと思っています。なお、2009年3月期業績には宅配便事業統合による直接の影響はないと考えています。 各事業の見通しについては、グローバル事業は、2008年に入ってから米国で輸入の落ち込みが見られたものの、域内物流が好調で、ドル安により米国からの輸出が増えることも期待されます。欧州も東欧やロシアを中心に成長の可能性は高く、前期前半に苦戦した英国も後半から持ち直しています。アジアも新興地域を主として拡大が続くと期待され、第4四半期には中国の天宇客貨運輸を現在の持分法適用関連会社から連結子会社に変える予定です。 心配されるのは、燃油費の高騰によるコスト上昇や、景気動向・消費動向に不透明な部分が多い日本国内ですが、3PL関連事業や差別化商品により業績向上への努力を続けていきます。

    2009年3月期についてはどのような見通しでしょうか。Question 4

    中長期的には、とくに国内事業は競争の厳しさが増す中にあっても確実に利益を出せる、筋肉質の体質を備えたいと思っています。B to C、C to Cの宅配便事業を新会社へ切り出したことで、今後、当社の国内事業はB to Bに傾注した体制をあらためて構築していくことになります。その再編の過程で事業の効率化を進め、体質の強化を図りたいと考えています。 一方、大きな成長が期待できるのは海外市場です。現在力を注いでいる域内物流を広げていけば無限の可能性があります。当社は日本国内だけの運送業務で約1兆円の売上を上げていますが、日本の何倍もの国土や人口を持つアメリカや中国で、当社が持つ物流のノウハウを活かして事業を広げていけば、さらなる成長を続けることができる。そうなると、その国のお客様を相手に、その国の人たちが事業を運営するようにならなければいけません。今後、真のグローバル企業を目指す上で、大きな課題の1つになるのが人材の問題です。しかし、それを乗り越え、各国・各地域の日通がそれぞれ大きな物流企業になり、世界の物流を結びつける。それが将来の日本通運グループの姿ではないかと思っています。

    さらにその先の中長期的な展望についてもお聞きしたいのですが。Question 5

    7

  • 09/3(想定値)

    06/3 07/3 08/30

    300

    200

    100

    400

    (億円)

    当期利益(連結) 当期利益(単体)配当性向(連結) 配当性向(単体)

    0

    30

    60

    90

    120

    (%)

    配当について

    日本通運グループの企業価値を高め、株主の皆様の真の利益になる買収であれば、我々も決してそれを排除するつもりはありません。しかし、特定の買収者が現れたとき、その中身を十分に検討して結論を出すためには一定の時間が必要だと考え、事前警告型の買収

    防衛策を導入させていただきました。 現在、当社は日本郵便との宅配便事業の統合など、持続的な成長を実現し、株主価値を高め続けていくために様々な改革を推し進めています。すでに動き始めた大きな流れを特定の意図を持った買収者によって阻害されることは株主共通の利益に反すると考えられます。 この買収防衛策では、当社の株式を20%を超えて持とうとする場合、当方から必要な情報の提出を求め、その内容を社外の方たちで構成する独立委員会に判断していただいた上で、取締役会において決議するものとしています。また、現在の改革の取り組みが軌道に乗るまでの時間を考え、3年の期間を定めました。

    2007年10月に創立70周年を迎えたのを記念し、これまでの株主の皆様のご支援にお応えすべく、2008年3月期の配当は通常の中間・期末各4円にそれぞれ1円を加え、年間10円とさせていただきました。今後は、普通配当10円を基本とし、引き続き財務体質の強化を図りながら、株主の皆様のご支援にお応えしてまいりたいと考えております。 物流事業は、急に大きな儲けが出るようなビジネスではありません。しかし社会に欠かせない存在であり、着実に事業を行えば確実に利益を生むビジネスでもあります。当社は、現在、国内・海外で積極的な事業拡大の取り組みを続けており、収益の増大を株主の皆様への利益還元にも結びつけてまいります。株主・投資家の皆様には、安定的かつ持続的な成長を実現する企業グループとして信頼と期待をいただき、今後とも当社をご支援いただきますようお願い申し上げます。

    (インタビュー 2008年6月)

    2008年6月の株主総会で承認を得て、買収防衛策を導入しました。導入の理由を教えてください。

    株主・投資家の皆様に向けて、利益還元の方針とメッセージをお願いします。

    Question 6

    Question 7

    社長インタビュー

    あり

    買付者などの出現

    意向表明書、本必要情報の提出

    ・取締役会評価期間 (原則60日、もしくは90日)・取締役会による評価、 意見形成、代替案立案等・独立委員会による検討

    手続き不順守の買付期間不遵守

    なし

    対抗措置の発動(取締役会にて発動を決議)

    対抗措置の不発動(取締役会にて不発動を決議)

    独立委員会による発動の勧告独立委員会による不発動の勧告勧告を最大限尊重

    勧告を最大限尊重

    事前警告型・独立委員会設置型買収防衛策

    代表取締役社長

    8

  • Going Further Every Minute of Every Day

    特 集

    10

    14

    16

    12

    グローバル事業Spe c i a l Topic 1

    国内差別化事業Spe c i a l Topic 3

    宅配便の事業統合Spe c i a l Topic 4

    3PL事業Spe c i a l Topic 2

    9

  • 地図中の数字は、それぞれの国における現地法人のランキングです。全世界エアーフォワーダーランキングでは2位、アジア・パシフィックエリアでは1位でした。

    【TAPA認証取得】 米国日通:ニューヨーク航空貨物支店、シカゴ航空貨物支店、アトランタ支店、サンフランシスコ航空・海運貨物支店、ボストン支店/英国日通:本社(ロンドン)/スペイン日通:バルセロナ支店/フランス日通:シャルルドゴール空港貨物地区倉庫/イタリア日通:本社(ミラノ)/ドイツ日通:フランクフルト支店/シンガポール日通:本社/フィリピン日通:航空貨物支店/ マレーシア日通:クアラルンプール空港支店、ペナン支店/インドネシア日通:ロジスティクスセンター/NEXグローバル韓国:始華倉庫/日本通運:成田空港、関西空港 【C-TPAT認証取得】 米国日通 【AEO (Authorized Economic Operator) 認証取得】 日本通運、オランダ日通

    08/305/3 06/3 07/30

    3,000

    2,500

    2,000

    1,500

    1,000

    500

    3,500

    (億円)

    海外セグメント 日本発着グローバル事業売上高比率

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    (%)

    単体での海外関連売上、海外セグメントの売上推移とその連結総売上に占める割合

    G LOBA L I ZAT ION

    日本通運は、米国にニューヨーク駐在員事務所を開設した1958年から海外進出を開始し、1970年代には欧州、1980年代

    からはアジア地域でも拠点網の拡充を進めてきました。今や世界37カ国に210都市・381拠点(2008年3月末現在)を展開する世界有数のグローバル・ロジスティクス企業となり、連結売上高の28.4%(2008年3月期)をグローバル事業(単体の海外関連売上高と海外セグメント:米州、欧州、アジア・オセアニアの売上高の合計)が占めるまでになっています。  そして経済のグローバル化がますます加速する中、当社は充実した海外ネットワークを基盤に、競争力の強化や新興国への事業展開も積極化し、グローバル事業をより一層広げていくことを成長戦略の1つとしています。 グローバル事業の核となるフォワーディング事業では、強みを持った他の企業と手を組むことで迅速かつ効果的な競争力強化

    Spe c i a l Topic 1 グローバル事業

    ※円の大きさは取扱額の大きさです。

    2006年 IATA(国際航空運送協会)ランキング ※円の大きさは取扱額の大きさです。

    6

    9 1

    7 2 1

    10

    12

    20

    22 9

    45

    18 19

    米国

    メキシコ

    スペインフランス

    英国

    ブラジル

    ベルギー

    オランダドイツ

    タイ

    シンガポール

    マレーシア

    フィリピン

    香港

    インドネシア

    10

  • を図っており、2007年9月には中国の大手船会社である中国海運と「CNJワールドロジスティクス」を設立しました。これにより、グローバルビッドを勝ち抜く競争力のある運賃提示と安定した船舶スペースの確保が可能になりました。  また航空貨物では2008年4月、全日本空輸殿および近鉄エクスプレス殿と共同で「オールエクスプレス株式会社」を設立し、7月から営業を開始しました。近年、アジア地域におけるサプライチェーンはますます高度化が進んでおり、新会社では日本発-香港・上海向けエクスプレス商品の販売からスタートしました。2009年秋には沖縄の那覇空港のハブ運用以降に対象地域を広げていく予定です。  こうした国際フォワーディングの強化とともに、当社は近年、海外における域内物流の拡充にも力を注いできました。2007年4月には米国・シカゴ~カナダ・トロント間、2008年5月に米国・ラレド~メキ

    シコ・モンテレー間のシャトルトラックサービスの定期運行を開始。アジアでは、2007年9月から中国国内で、華北~華東~華南間の定期往復混載トラック便サービス、2008年4月よりベトナム・ハノイ~タイ・バンコク間のトラック輸送サービスもスタートさせています。  この他、事業拡大に寄与する各種認可の取得にも積極的に取り組み、2008年4月にはオランダ日通が日系企業として初めて、関税手続きで優遇措置が与えられるAEO(Authorized Economic Operator:認可事業者)の認可を取得しました。これに先立つ同年1月には日本でも、日本版AEO「特定保税承認制度」の認可を得ています。また、物流施設の警備・安全面などを評価するTAPA(TRANSPORTED ASSET PROTECTION ASSOCIATION(輸送資産保護協会)」基準の認定取得も進めており、2007年8月にはシンガポール日通の物流施設が、当社グループでは18番目となるTAPA認定を得ました。

    クロスボーダー輸送

    域内ミルクラン

    J I T配送

    航空

    海運

    ベンダーA

    A国ベンダー

    B国ベンダー

    生産

    販売

    C国ベンダー

    ベンダーB ベンダーC

    陸送

    ロジスティクスセンター

    域内物流事業の拡大

    主要なロジスティクスセンターのオープンシカゴロサンゼルスピルゼン(チェコ)トルン(ポーランド)モスクワ(ロシア)シンガポール広州ハノイ

    2008年 1月2009年11月2006年 1月2008年11月2009年 1月2006年12月2008年 3月2008年12月

    米州

    欧州

    アジア・オセアニア

    14,400m2

    8,230m2

    16,000m2

    15,700m2

    24,000m2

    27,600m2

    16,600m2

    10,000m2

    11

  • LOGIST IC S

    08/305/3 06/3 07/30

    600

    400

    200

    800

    (億円)

    倉庫 付帯‒保管庫「建物」投資額

    単体での倉庫関連売上と「建物」投資実績(3PL事業拡大への布石)

    製造業・販売業など企業のお客様の間で、中核的な業務への集中による事業の効率化や、サプライチェーン・マネ

    ジメントの高度化・複雑化が進む中、物流に関わる業務を社外に委託する「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」のニーズがますます高まってきました。一方、より質の高い3PLサービスのためには、調達物流・工場間物流・販売物流(在庫管理・輸配送管理)・静脈物流(産業廃棄物、返品、修理品)までを一貫して提供できる総合力が必要となり、日本通運は自社の強みを発揮できる分野として3PL事業の拡大に力を注いでいます。 さらに近年、お客様のニーズは物流拠点の集中化へと向かっており、3PL事業でも大型倉庫の整備がより重要になってきました。こうしたニーズの変化をいち早くとらえ、当社はこの数年、特に需要の高い都市部周辺で、大規模かつ設備の整った物流拠点の建設を進めています。

    Spe c i a l Topic 2 3PL事業

    12

  • 商・物流システムの管理・運用

    商・物流オペレーションを日本通運グループで完結

    日本通運グループの人材、資産

    (国内・海外拠点、設備)、資金、情報システムで管理・運用

    商流オペレーション 物流オペレーション

    受発注調達

    輸出入代行在庫管理販売

    梱包倉庫管理

    フォワーディング輸送

    JIT納入

    商・物流システムの提案・構築

    お客さまの商・物流形態にカスタマイズした情報・運用システムを提案・構築

    ソフト ハード

    3PL事業相関図

     2007年度には石川(金沢・専光寺第2)、東京(北砂)、大阪(北港)、長野、北海道(札幌第2)、愛知(愛西)など、国内の各地域で大型の物流センターが竣工。この1年間で営業倉庫面積は約10万m2増え、前年度より約4%増加しました。各物流拠点とも順調に稼働しており、今後も需要を見極めながら大型倉庫への積極的な投資を続けていく予定です。 当社の持続的な成長に向けた重点施策の1つとして推し進め、順調に成果を収めつつある3PL事業ですが、その展開は国内だけにはとどまりません。グローバル事業の中でも3PLサービスの提供は重要な位置を占めるようになっており、海外でも大型物流拠点の整備を積極化しています。2007年5月のチェコ(ピルゼン)、10月のポーランド(トルン)の稼働開始で中東欧における物流拠点の拡充を進め、2008年1月には中国・華南地区に自動車生産用部品

    の国際・国内物流の中核物流拠点として「広州マルチロジスティクスセンター」および「花都サテライトロジスティクスセンター」を開設しました。また米国でも2008年2月、シカゴ・オヘア国際空港の隣接地に大型物流拠点を開設し、この一年間で海外現地法人の倉庫面積は約19万m2増加しています。 当社では、このような物流施設の拡充に加え、子会社の日通商事による商流管理機能、2006年10月に設立した金融子会社・日通キャピタルによるファイナンス機能を組み合わせることで、3PL事業のさらなる競争力強化を図っています。

    主要な投資案件場所 使途 延べ床面積(m2) 完成(予定)東京

    金沢

    大阪

    東京

    横浜

    名古屋

    京都

    東京(借用)

    東京(借用)

    トランクルーム

    営業倉庫

    営業倉庫

    営業倉庫

    研究施設

    物流センター

    物流センター

    営業倉庫

    ターミナル

    22,089

    19,156

    48,226

    16,199

    10,860

    25,973

    16,292

    56,710

    24,000

    2007年 4月

    2007年 5月

    2007年 6月

    2007年 6月

    2007年 7月

    2007年11月

    2008年 4月

    2007年12月

    2008年 7月

    北港ロジスティクスセンターが大阪サステナブル建築賞特別賞を受賞

    2007年6月に竣工した大阪西支店北港ロジスティクスセンターが「第1回大阪サステナブル建築賞」の特別賞を受賞しました。この賞は、大阪府温暖化の防止等に関する条例に基づき、環境保全に対する意識高揚を図るために始まったもので、北港ロジスティクスセンターは積層型倉庫でありながら搬送エレベータを使わず、自然の採光や通風により省エネルギー化を図ったことなどが評価され今回の受賞につながりました。

    13

  • DI FFE RE NT IAT ION

    0

    3,000

    2,500

    2,000

    1,500

    1,000

    500

    3,500

    (億円)

    鉄道 引越警備輸送 重機建設

    08/305/3 06/3 07/3

    差別化商品の拡販の実績 成長から成熟の時代に入り、物流業界の競争環境も厳しさが増す日本国内では、日本通運自らが強みを持つ「鉄道

    輸送」「重機建設」「警備輸送」「引越サービス」の4つの分野に力を注ぐことで他社との差別化を図り、持続的な成長につなげる戦略を推し進めています。 「鉄道輸送」はもともと国内No.1のシェアを持つ分野ですが、国内物流の中心となっているトラックと比較してCO2の排出量が1/6、エネルギー消費量は1/4と環境優位性が高く、地球温暖化の防止など環境意識の高まりもあって、鉄道輸送の活用にあらためて注目が集まってきました。しかし、鉄道輸送は集荷先・配達先と貨物駅を結ぶトラック輸送との円滑な組み合わせがなければ機能しません。当社は全国に張り巡らした物流ネットワークと、陸・海・空のすべての輸送モードに対応する総合力を武器に鉄道貨物の取扱いを伸ば

    Spe c i a l Topic 3 国内差別化事業

    14

  • 日本通運物流管理機能物流

    日通商事商品流通管理機能

    日通キャピタル金融機能

    バイヤーベンダー

    物流

    融資

    発注計画・物流作業指示

    発注計画・発注

    発注計画

    入出荷・在庫情報

    発注計画・発注

    融資融資

    日通キャピタル金融サービス

    しています。お客様のニーズに合わせた商品開発にも努め、2006年11月からトヨタ自動車殿の生産用部品輸送の専用列車「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」(名古屋~盛岡)の運行を開始し、2007年10月には1日2便に増便。また、鉄道と船舶で日本各地と中国、韓国を結ぶ国際複合一貫輸送、SSE(上海スーパーエクスプレス)(博多・上海間)を利用したSea&Raiサービス、「Rail-Sea-Railサービス」(韓国)なども好評を得ています。 「重機建設」は、発電所や石油化学プラントなどの大型設備、大型産業機械といった各種重量品について、輸送から据付工事までの作業を一貫して請負う事業で、2005年に重機建設事業部を設立して体制を強化したこともあり、着実に収益を生み出す事業として育ってきました。最近では、半導体製造装置のクリーンルームへの搬入・据付といった業務も増加しております。

     「警備輸送」では、販売・飲食業など多くの現金を扱うお客様先に売上金を収納する機器(SD機)を設置し、警備輸送車で定期的に訪問して回収するとともに両替金の配送も行うCSD(キャッシュ・セイフティ・デリバリー)が安定的に伸びています。さらに、金融機関の本支店間の現金等の輸送業務に加えて、量販店などのお客様の集配金業務、銀行ATMへの現金装填業務も契約を増やしています。 また「引越サービス」については、繰り返し利用できる梱包資材を使い廃棄物を減らした「えころじこんぽ」を全国展開し、販売を推進。環境意識の高まりとともにお客様の利用も広がっており、荷造りから開梱、家具・家電類の設置、片付けまでのすべてを代行するフルパックのほか、ハーフパックやセルフパック、単身パックなど価格と内容でお客様に選んでいただけるよう商品の幅を広げ販売拡大を目指しています。

    差別化商品の国内シェアシェア(%) 順位 出典

    鉄道取扱

    引越

    現金輸送

    43.0

    17.8

    45.9

    1

    1

    1

    JR貨物(2008年3月期)

    各社発表

    各社発表

    15

  • PART N E RSH I P

    Spe c i a l Topic 4 宅配便の事業統合

    日本通運が「ペリカン便」として展開している宅配便事業は、規模の拡大によって競争力がより強化されるビジネス

    でもあります。このスケールメリットを求め、当社では近年、宅配便事業の構造的な改革を重要な経営戦略の1つと位置づけてきました。そして様 な々角度から検討を重ねた結果、他の有力企業との宅配便事業の統合を決断。2007年10月5日、日本郵政グループの郵便事業株式会社殿との間で、同社の「ゆうパック」と「ペリカン便」を統合し、新たな宅配便事業会社を設立する基本合意に達しました。2008年6月2日にはこの基本合意書に基づき両社の折半出資による「JPエクスプレス株式会社」を設立し、2008年8月末までに株主間契約を締結し、統合新会社の事業計画などを定めた後、2009年4月から事業を本格的にスタートさせる予定です。

    新会社で使用

    ターミナル(約70拠点) 集配センター(約710拠点)

    ・新会社に賃貸・新会社に分割

    新会社で不使用・売却(返却)・物流以外への活用(賃貸オフィス・住宅等)・物流で活用

    日本郵政取締役兼代表執行役社長西川 善文

    宅配便事業切出しに伴う拠点資産の移動イメージ

    日本通運代表取締役社長川合 正矩

    16

  • 50%を出資(当初) 50%を出資(当初)

    日本通運

    (2008年6月2日設立、当初資本金3億円)宅配便事業を専門に行う新会社。宅配便事業統合後は日本郵便過半出資

    JPエクスプレス株式会社

    日本郵政グループ

    宅配便事業統合新会社について

     今回の宅配便事業統合に際し、当社では2007年11月に「宅配便事業統合推進本部」を発足させて準備に着手し、新会社へ移管する人員や施設、出資金額などの検討を進めてきました。詳細は現在も検討中ですが、最大で宅配便事業の全従事者にあたる5,000名規模の人員を出向・派遣し、ポイントとなる集配ターミナルについては当社の拠点を活用。貨物情報の管理や請求・回収業務などを処理するITシステムおよび、貨物輸送に関わる幹線運行・ターミナルの運営方法などは当社のノウハウを新会社に移行する予定です。 また、宅配便貨物は日本の国土の10%に70%の貨物量が集中するという偏在性が強いため、集積度の高い地域では両社の資産を活かして最適な集配ネットワークを新たに構築し、集積度の低い地域では日本郵政グループの既存ネットワークをベースに集配

    体制を築くことで、サービス力を高めつつ効率性にも優れた事業運営体制とする考えです。 宅配便の事業統合が具体化したことにより、ペリカン便の規格サイズ・重量等を超える貨物を運ぶ混載便トラック輸送「アロー便」についても体制の再構築に向け動き出すことになります。今後、当社では統合新会社の詳細を詰める作業と並行して、B to Bに特化した、より競争力に優れたものとすべくアロー便の効率化と高度化に取り組んでいきます。

    17

  • サブプライムローン問題に端を発する金融不安の影響は経済全体へと広がり、米国の2007年の経済成長率は、前年より0.7ポイント悪化の2.2%となりました。

    原油や穀物価格の上昇が景気停滞に追い打ちをかけ、さらにドル安の進行もあって貨物の輸入量が減る中、輸出の拡大がこれを補い米国全体の増収確保に寄与しています。また生産活動が活発化するメキシコでも貨物の取扱いを大きく伸ばしました。この結果、米州では当期、売上高598.7億円(前期比5.4%増)、営業利益36.6億円(同10.5%増)の増収増益を達成しました。 2009年3月期は、ワンストップで物流サービスが提供できる体制の構築や、M&Aも視野に入れた域内輸送力の強化、新興市場への集中投資などにより事業拡大を目指します。

    海外所在地別セグメントの概況(米州)

    08/305/3 06/3 07/30

    40

    20

    60

    2022

    33

    (億円) (億円)

    米州 欧州 アジア・オセアニア日本(右軸)

    0

    200

    400

    600

    36

    営業利益の推移

    カナダカルガリーフォートエリーモントリオールトロントバンクーバーウィンザーケンブリッジ

    ブラジルカンピナスマナウスリオデジャネイロサントスサンパウロ

    メキシコアグアスカリエンテスグアダラハラマンサニヨメキシコシティーモンテレーティフアナ

    チリサンティアゴ

    アンカレッジアトランタオースティンボストンシャーロットシカゴシンシナティクリーブランドコロンバスダラスデンバーデトロイトエルパソホノルルヒューストンインディアナポリスラレードレキシントンロサンゼルスマッカレンメンフィスマイアミミルウォーキー

    ミネアポリスナッシュビルニューヨーク(&ニュージャージー)ニューポートニューズオマハフィラデルフィアフェニックスピッツバーグポートランドローリーロチェスターソルトレークシティーサンアントニオサンディエゴサンフランシスコサンファン(プエルト・リコ)サバナシアトルセントルイストロイワシントン

    米国

    The Americas

    は2008年3月期新規開設の拠点です。

    18

  • シカゴ~トロント間で定期シャトルトラック便の運行を開始米国日通のシカゴ航空貨物支店は、カナダ日通と共同で2007年4月から、シカゴ~トロント間を結ぶシャトルトラックサービスの定期運行を開始しました。同支店ではすでに、シカゴ・オヘア国際空港に到着した貨物を翌日までに米国中西部の各都市へトラックで運ぶ「MTA(Midwest Time Advantage)」サービスを運行していますが、トロント便はその8番目の路線となります。 近年カナダのトロントへは、日本から電子製品や自動車部品の輸送が急速に増えており、直行便のキャパシティ不足が目立ち始めていました。それを補うのがこのシャトルトラックサービスで、米加国境ではカナダ日通が24時間体制で輸入通関業務を行い、お客様に直行便と遜色のない利便性の高い物流サービスを提供します。なお、他のMTA路線がデイリー運行なのに対し、トロント便は、当面週3回の定曜日運行でスタートしましたが、今後の需要を見ながら運行便数の拡大をしてまいります。 この他にも同社では、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨークを起点に北米をカバーするトラック輸送網を整備しており、空・海のフォワーディングに陸のトラック輸送を組み合わせることで、ニーズに最適な物流サービスを提供しています。

    シカゴ・オヘア空港の隣接地に中核拠点を開設米国の中西部は、関連部品メーカーを含む自動車産業の集積地としてあらためて注目が高まっていますが、その航空貨物のゲートウェイの役割を担っているのがシカゴ・オヘア国際空港です。米国日通にとっても、中西部の各拠点やカナダのトロントとを結ぶ定期シャトルトラックサービス「MTA」の起点になるなどオヘア空港の重要性は高く、2008年2月に同空港の隣接地に大型の自社拠点を開設しました。 新拠点は、米国内の輸送や海上貨物を含むDC業務など総合物流事業のさらなる拡大を視野に入れ、上屋面積を従来の施設より35%広げるなど規模を拡大。また、貨物施設の世界的なセキュリティー基準であるTAPAで最もレベルの高いクラスAに準拠した設計を行い、今後の認証取得を目指しています。

    ティファナ日通モンテレー営業所を開設モンテレーはメキシコ北部の米国国境に近い、メキシコ第3の工業都市として、日系自動車関連を中心としたメーカーが多数進出し、同地区の取り扱いの拡大も著しいものがあります。 米国日通は、2006年、メキシコ・ティファナ地区にティファナ日通を設立し、2007年にサービスIMMEX制度※に登録し、日本やアジア発を中心とした原材料・部品の輸入や製品・半製品の保管・流通加工を中心としたサービスを提供しています。今回、モンテレー地区に営業所を開設、サービスIMMEX制度を利用して、米国国境ラレドから同地区へ当社による保税一貫輸送体制を構築、週2便のシャトルトラック便を開始しました。同地区向け輸送についても、これにより、従来米国側国境で終了していたものが改善され、リードタイムも大幅に短縮されました。 モンテレーの自社倉庫は同制度を利用することで長期保管にも対応でき、当社の倉庫管理情報システム「REWARDS」を導入し、VMI、JITなどの高品質な物流サービスをお客様に提供していきます。

    ※ サービスIMMEX制度: メキシコにて製品を生産・輸出することを前提に、海外から免税扱いにて輸入する原材料・部材を対象とした輸送、倉庫保管サービスを提供する制度

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  • 2007年のユーロ圏の経済成長率は2.7%と、6年ぶりに米国を上回りました。しかし、米国の景気減速の影響はヨーロッパにもおよび、とくに年の後半から

    北米向け輸出の鈍化や、原油価格・穀物価格の高止まりによる個人消費の落ち込みなどがあり、各国とも環境の厳しさが増しました。そうした中、新興市場の中東欧やロシアにおける事業が高い伸びを見せ、全体での売上高は775.2億円(前期比16.7%増)と増収を達成した一方、英国での倉庫立上げ時の一時的なコスト増、燃油費の高騰やユーロ高などにより営業利益は30.8億円(同10.3%減)と減益の結果となりました。 2009年3月期は、環境悪化も予想されますが、域内物流の積極的な取り込みや、アジアの新興国に向けた輸出貨物の獲得などにより利益確保に努めます。

    海外所在地別セグメントの概況(欧州)

    Europe

    ポーランドブロツラフトルンワルシャワ

    ロシアモスクワサンクト・ペテルブルグ

    トルコイスタンブール

    南アフリカヨハネスブルク

    アラブ首長国連邦ドバイ

    ポルトガルリスボンオポルト

    オーストリアウィーン

    スイスジュネーブチューリッヒ

    チェコプラハピルゼン

    ルクセンブルグルクセンブルグ

    英国ダービー(イーストミッドランド)グラスゴーレスターロンドンマンチェスターニューカッスルスウィンドン

    アイルランドコークダブリン

    フィンランドヘルシンキ

    ベルギーアントワープブリュッセル

    オランダアムステルダムロッテルダムフィンライ

    ドイツケルンデュッセルドルフフランクフルトハンブルクハノーバーミュンヘンニュルンベルクシュトゥットガルト

    フランスリヨンミュルーズパリ

    イタリアフィレンツェミラノローマトリノ

    ハンガリーブダペスト

    スペインバルセロナビルバオマドリッドマラガ

    08/305/3 06/3 07/30

    40

    20

    60

    (億円) (億円)

    米州 欧州 アジア・オセアニア日本(右軸)

    0

    200

    400

    600

    24

    3234

    30

    営業利益の推移

    は2008年3月期新規開設の拠点です。

    20

  • チェコ、ポーランドなど中東欧での拠点整備を積極化2004年5月にEUに新規加盟したチェコやポーランドは、近年、自動車やエレクトロニクス関連産業の大型投資が広がり、西欧向けなども含んで物流が急速に活発化しています。こうした環境変化をとらえ、ドイツ日通は中東欧地域での拠点整備を積極化しており、2007年5月にはチェコのボア市に「ピルゼン・ロジスティクス・センター」を開設しました。同センターは、日本から欧州各地に向けた電子製品などの配送センターとして機能している他、欧州のゲートウェイであるフランクフルト空港に近い利点を活かし、中東欧向け貨物などのハブ拠点として利用が広がることも期待されます。 さらにドイツ日通は同年10月にポーランドのトルン市でも「トルン・ロジスティクス・センター」の稼働を開始。同センターでは主に日系家電メーカーの薄型テレビなどの生産を支援すべく、ジャストインタイム方式による物流サービス体制の整備を目指しています。

    ロシア日通を設立し、モスクワに支店開設および大型倉庫建設ロシアについて、日本通運では、その発展の可能性を見込み、2005年にモスクワ駐在員事務所を開設して情報収集・市場調査を開始し、2006年にはサンクト・ペテルブルグ日通を発足させて、ビジネスの開拓に取り組んできました。同社はサンクト・ペテルブルグ港を経由する自動車関連の輸送を核に順調に業容を拡大しており、さらにロシアの経済発展も大きく進んだことから2007年7月、同国における営業体制の一層の拡充を図りました。 今回実施したのは従来のサンクト・ペテルブルグ日通の改編で、新たにロシア日通へと社名変更し、ロシアを管轄する現地法人としての位置づけを明確にしました。同時に、同社の拠点としてモスクワ支店を開設し、体制の強化を進めています。新たに開設したモスクワ支店は、3PL事業や空・海のフォワーディング業務、海外引越業務など幅広い対応力で、ロシアにおけるビジネス拡大の一翼を担います。 さらに、シェレメチェボ空港から程近いモスクワ市郊外に大型倉庫を開設し、2009年1月から業務を開始する予定です。

    アラブ首長国連邦ドバイ首長国に中東日通設立アラブ首長国連邦のドバイは、将来の原油資源枯渇を見越し、近年はサービス産業の整備にも力を入れており、特に物流インフラに関してはドバイに大規模空港の建設が開始されるなど、中東地域のみならずアジア、CIS諸国、東アフリカ・ヨーロッパ大陸間の一大物流中継拠点として、今後も大きな発展が期待されております。 その様な環境のもと、アラブ首長国連邦のドバイに「中東日本通運合同会社」を設立し、2007年2月より営業を開始しました。 すでに2005年より、駐在員事務所を開設し、同地に進出していましたが、今回の会社設立により、日系および欧米系企業の物流ニーズに対応した高品質な輸送とカスタマーサービスにより、陸・海・空の総合物流サービスを提供していきます。

    21

  • 2007年のアジア地域の経済成長率は、中国で11.4%、NIEs(韓国、台湾、香港、シンガポール)で5.5%、ASEAN4(インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ)

    で6.1%と、いずれも5%を超える成長を維持しました。中国は米国の景気減速により輸出がやや鈍ったものの、北京オリンピックなどへの期待感から、減速は最小限にとどまっています。NIEsは欧州・新興国向けの輸出が好調で、ASEAN4は一次産品の世界的な価格上昇が好影響となり内需が拡大しました。利益率の高い航空貨物の減少などがありましたが、当期のアジア・オセアニア地域は、売上高1,096.4億円(前期比5.8%増)、営業利益50.9億円(同12.6%増)の増収増益の結果となりました。 2009年3月期は拡大する域内物流の強化や、中国以外のアジア地域に広がる生産シフトへの対応などにより業容の拡大を目指します。

    海外所在地別セグメントの概況(アジア・オセアニア)

    Asia & Oceania

    襄樊武漢長沙成都重慶昆明ウルムチ

    台湾新竹高雄台中台南台北桃園基隆

    韓国インチョンマサンプサンソウルシフン

    オーストラリアシドニーメルボルン

    ニュージーランドオークランド

    中国ハルビン長春瀋陽大連北京天津煙台青島常熟張家港南通南京上海蘇州無錫嘉興杭州寧波福州厦門恵州東莞広州深圳中山江門香港珠海西安

    インドバンガロールニューデリーチェンナイムンバイコルカタプーネコチンハイデラバードトリヴァンドラム

    フィリピンアンヘレスビニャンカブヤオセブラプラプリパーマカティマルヴァールマニラパラニャケロサリオスービックパッシグ

    タイアユタヤバンコクチエンマイチョンブリー

    プランチンブリラヨーンソンクラーレムチャバン

    シンガポールシンガポール

    ベトナムハノイホー・チ・ミンハイズン

    インドネシアバリバンドンバタムジャカルタスラバヤメラック

    マレーシアイポージョホールバルクアラルンプールクチンマラッカペナン

    08/305/3 06/3 07/30

    40

    20

    60

    (億円) (億円)

    米州 欧州 アジア・オセアニア日本(右軸)

    0

    200

    400

    600

    2933

    45

    50

    営業利益の推移

    は2008年3月期新規開設の拠点です。

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  • ベトナム-タイ間を結ぶ陸送サービス「メコン・ランド・ブリッジ・エクスプレス」をスタート2008年4月からハノイ(ベトナム)とバンコク(タイ)を結ぶ陸送ルートを新たに開発し、「メコン・ランド・ブリッジ・エクスプレス」としてサービスの提供を開始しました。 従来、この間の物流は航空または海上輸送が主で、海上輸送のドア・ツー・ドア・サービスの場合、発送から到着まで14日間を要していました。今回の新しいサービスでは、第2メコン橋の完成により利便性の高まったダナン(ベトナム)-モーラミャイン(ミャンマー)間の「東西回廊」を利用して、ハノイ-バンコクを3日間で輸送します。また、海上コンテナと同じ規格のコンテナを使用することで大量輸送のニーズにも応えるサービスを用意する他、2008年夏からは小口貨物にも対応する混載輸送サービスも開始する予定です。 日本通運は「SS7000」の名称で、上海-シンガポール間7,000kmを陸路で結ぶルートの開発に取り組んでおり、すでに両端の中国国内ルート「上海–華南ルート」、華南–ハノイ間「スターナイト・エクスプレス」、シンガポール–バンコク間「オリエンタル・ランド・ブリッジ・エクスプレス」の3ルートの運行を行っていました。今回、この両ルートをつなぐ「メコン・ランド・ブリッジ・エクスプレス」が加わり、6カ国の国境をまたぐ「SS7000」も完成したことになります。

    中国・広州市に大型物流拠点を開設香港日通は2008年1月、中国・華南地区の広州市に「広州マルチロジスティクスセンター」(永和区)と、「花都サテライトロジスティクスセンター」(花都区)の、2つの自動車生産用部品向け物流拠点を開設しました。 2004年に中国国内での自動車生産用部品の輸送を開始して以来、ネットワークの拡充に努め、現在は36都市に101拠点を展開するまでになりました。中国における自動車生産は順調に拡大し輸送量も伸びていますが、今後は他の地域への輸出や東南アジアの生産拠点への域内輸送も増えることが予想され、そうした物流の拡大と高度化に対応するのが今回の2つの拠点です。 広州のセンターは施設面積16,600m2、花都は同6,300m2と、ともに大規模なもので、両施設ともトラックドックと海上コンテナドックを兼ね備え、国内物流と国際物流(輸出入)の両方に対応が可能です。さらに、香港日通では2008年度中の竣工を目指し、自動車関連産業が集積する中国の南沙区にも1万m2規模の倉庫の建設を進めており、これら拠点の拡充を「輸送確実性の向上」「リードタイムの短縮」「在庫削減」などサービス品質の向上に結びつけていきます。

    現地企業のM&Aによりインド日通を設立BRICsの一員として注目を集め、近年、本格的な経済成長が始まっているインドですが、当社はこの成長市場でいち早く充実した事業体制を構築するため、インドの航空・海運業務代理店「J I Logistics Private Limited」(JIPL)の発行済株式の51%を取得するM&Aを実施し、2007年4月に同社をインド日通としました。 2000年以降、ニューデリー、バンガロールの2都市に駐在員事務所を設け、現地の代理店を通して航空・海運業務を行ってきましたが、日系自動車関連企業の進出などによりインドの物流量は急速に伸び、さらに拡大が続くと予想されることからJIPLのM&Aを決めました。 今回の現地企業の買収により、自社で通関業務ができる体制を備えるとともに、インド10都市に拠点を展開し300人規模の従業員を擁する、同国最大の日系物流企業となりました。

    23

  • 中国No.1の海運企業と合弁会社を設立生産拠点のみならず、消費市場としても存在感が高まる中国での海上輸送サービスの強化のために、2007年9月、同国の大手船会社である中国海運との合弁により「CNJワールドロジスティクス」を設立しました。 中国海運は中国政府が直接管理している国有中核企業の1つで、外航コンテナ保有船腹数は中国第1位、世界でも第6位に入る規模を誇り、今回は同社が100%出資する日本法人・中国海運日本との折半出資により新会社の設立に至りました。 新たに誕生したCNJワールドロジスティクスでは、日本通運グループの世界的なネットワークおよび陸・海・空の輸送モードに対応する総合力と、中国海運の海上輸送力を活かして貨物取扱いの拡大を目指しています。日中間はもとより、三国間輸送でも、新たな顧客層の開拓や、独自のビジネスモデルの開発に取り組んでいきます。

    輸送品質に優れるULDサービスを中国向けで拡大空港に隣接した自社施設で、航空機搭載用の機器(ULD:ユニット・ロード・デバイス)に自ら貨物を積み付けて送り出し、到着後も自社の施設で取り卸しを行うULDインタクトサービスは、より安全・確実に貨物を空輸でき、貨物引渡しまでの時間も短縮できるサービスとしてお客様の利用も広がっています。 近年は特に、半導体や電子機器などデリケートな扱いが求められる貨物の航空輸送が増えていることもあり、日本通運は成田・関西・中部の各国際空港の自社保税上屋にULDハンドリングシステムを導入し、これらの輸送ニーズに積極的に対応してきました。仕向地についても香港および中国本土4都市向けにULDサービスを提供してきました。2008年2月には、オリンピックの開催も近づき需要の高まる北京・天津向けにも、ULDサービスを開始し、対応力の強化を図っています。

    羽田から中国への航空便サービスをスタート中国への航空貨物輸送のさらなるスピードアップを図るため、2007年12月から、新たに就航した羽田–虹橋(上海)空港間の定期チャーター便を利用した新サービス「快速!虹橋(ホンチャオ)」の提供を開始しました。 このサービスでは、首都圏で夕方までに集荷した貨物を翌日には上海のお届け先へ配送。通常の成田–浦東空港を利用するルートに比べ、約20時間の時間短縮が可能になります。 首都圏–上海間の航空輸送サービスとしては、すでに羽田・関空–浦東空港間の深夜便を利用する「超級速遞(超速!上海)」を提供しています。「快速!虹橋」はこれに次ぐ高速輸送サービスで、時間やコストなど、お客様のニーズに合わせてサービスを選んでいただけるよう、商品ラインアップの拡充に努めています。

    ベトナム・ハノイに保税倉庫を建設ベトナム日通は2008年12月の竣工を目指し、ハノイ市郊外のミンクアン工業団地内に自社保税倉庫の建設を進めています。 質の高い労働力が確保できることなどに加え、WTOへの加盟で国際的な信用力も高まったベトナムは日系企業の進出が以前にも増して活発化しており、同国経済の中心都市であるハノイには、電気・精密機器メーカーなど約250社が拠点を構えるまでになっています。こうした進出企業の増加とともに高まってきたのが倉庫の需要で、これに対応するのが今回の保税倉庫です。 また、ハノイは上海とシンガポールを結ぶ陸上輸送サービス「SS7000」のルート上にあり、新倉庫はその中継基地の役割も担います。

    海外所在地別セグメントの概況(アジア・オセアニア)

    Asia & Oceania24

  • Doing More for Society and for Our World

    C S R

    CSR & 企業理念

    コーポレート・ガバナンス

    危機管理・コンプライアンス・個人情報保護

    取締役・執行役員・監査役

    環境保護活動・社会貢献活動

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  • CSR経営の実践「グローバル・ロジスティクス企業」として経済活動の基盤となる物流事業を世界規模で展開している日本通運は、

    その社会的使命の重さを認識し、CSR(企業の社会的責任)活動の強化・徹底に常に力を注いできました。2006~2008年度を期間とする現在の中期経営計画「パワーアップ3カ年計画」でも、

    重要なテーマの1つに「CSR実践のパワーアップ」を掲げ、●コンプライアンス経営の徹底/●危機管理・安全管理の徹底/●環境経営の推進の3つを柱に、社会からの信頼により確かに応えるための取り組みを続けています。

    さらに、2007年10月に迎えた創立70周年の記念事業の中でも、●企業理念の制定/●環境保護を中心とした継続的な社会貢献活動の実施/●『安全の誓い』を刻んだモニュメントの

    設置というCSR活動の強化に関わる取り組みを加え、その浸透と進化に努めています。

    企業理念の制定日本通運は1958年、すべての社員の心構えとして「われらのことば」を制定しました。

     以来、この「われらのことば」を、あらゆる事業活動と従業員の行動の拠り所としてきましたが、創立70周年を迎えた2007年、「われらのことば」の精神を受け継ぎつつ、これからの日本通運グループが目指す方向や、常に大切にすべきもの、

    社会への貢献の在り方などをもう一度見直し、新たに企業理念を制定しました。

    CSR & 企業理念

    日本通運グループ企業理念

    私たちの使命それは社会発展の原動力であること

    私たちの挑戦それは物流から新たな価値を創ること

    私たちの誇りそれは信頼される存在であること

    私たち日本通運グループは、創業以来、ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきました。

    この変わらぬ使命を果たすため、社会の変化をとらえ、自らを進化させ続けます。

    安全に徹し、環境に配慮し、世界を舞台にすべての力を結集して、物流から新たな価値の創造に挑戦していきます。

    いつの時代にも、社会から求められ、信頼されることを誇りに行動します。

    すべては、物流を通して社会に貢献し、豊かな未来を創る、日本通運グループであるために。

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  • コーポレート・ガバナンスの状況コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方日本通運は、コーポレート・ガバナンスの充実・強化、コンプライアンスの徹底、経営の透明性確保が重要であるとの認識に立ち、「迅速な意思決定によるスピード経営の実現」と「責任体制の明確化」を基本方針としています。これらを実現するために、経営上の組織体制を整備し、必要な施策を実施していくことを、最も重要な課題の1つと位置づけています。

    会社の機関の内容当社は、監査役会設置会社です。また、取締役会、監査役会に加え、迅速な意思決定および業務執行を目的として執行役員制を導入しています。  取締役会は、取締役15名(2008年6月27日)で構成され、原則として毎月1回および必要に応じて随時開催しており、経営上の重要な事項の決定、業務執行の監督を行っています。取締役の任期は1年とし、取締役の各事業年度の経営に対する責任の明確化を図っています。 監査役会は、社外監査役3名を含む監査役4名(2008年6月27日)で構成され、原則として3カ月に1回および必要に応じて随時開催しています。監査役は、取締役会をはじめとする重要な会議へ出席し、経営全般並びに個別案件に関して客観的かつ公平に意見を述べ、また、適法性や内部統制の状況を調査することなどによって、

    取締役の職務の執行を監査しています。さらに、重要な書類などの閲覧、主要な事業所への往査、子会社の調査を通じた監査を行い、これらの結果を監査役会および取締役会に報告しており、業務執行部門の職務の執行を監査しています。 執行役員会は、取締役兼務者14名を含む執行役員26名(2008年6月27日)で構成され、原則として毎月1回および必要に応じて随時開催しており、取締役会での決定事項の伝達・指示を行うと同時に、業務執行状況の報告、重要事項の協議を行っています。執行役員の任期は、取締役と同様に1年としています。

    内部統制システムの強化と日本版SOX法への対応新たに制定された「会社法」の施行に伴い、日本通運は2006年5月、取締役会において「内部統制システムの整備に関する基本方針」を決議・制定しました。 さらに「金融商品取引法」(日本版SOX法)に基づく内部統制の対応についても、2006年8月に「内部統制推進プロジェクト」を発足させて財務報告に関する内部統制の評価および監査の仕組みづくりを進め、2009年3月期からの同法の適用に備えています。 また、2008年3月には情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際標準規格の「ISO/IEC 27001:2005」および、国内規格「JIS Q 27001:2006」の認証を取得し、情報管理体制の信頼性についても第三者機関から確かな評価を得ています。

    コーポレート・ガバナンス

    監査役会 取締役会

    執行役員会顧問弁護士 コンプライアンス委員会

    危機管理委員会

    監査部門

    会計監査人

    選任・解任

    連携

    報告

    報告報告

    監査

    監査

    監督

    選任

    会計監査

    選任・解任 選任・解任

    執行部門本社各本部、本社各部、各地域総括(国内・海外)、

    各事業部、各支店、グループ各社

    業務執行監査

    社長

    株主総会

    コーポレート・ガバナンス体制

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  • 危機管理体制日本通運が担っている物流事業は社会が正常に機能する上で欠かせないものであり、当社は大規模な自然災害や事件などが発生した際にも混乱を最小限にとどめるべく、危機管理体制の整備・強化に努めています。基本的な体制としては、2000年1月に「危機管理規程」を制定するとともに、本社に「危機管理委員会」を設置し、万が一の危機発生時における組織的な準備を整えました。 さらに自然災害については、2001年10月に「日通グループ災害対策規程」を制定して災害発生時の具体的な動きを定めている他、イントラネット上に「災害管理システム」サイトを開設し、「災害等報告要領」に則って本社~支店、支店間で適切な報告・情報共有が行えるよう体制を整えています。なお災害発生時には電話回線が不通になることも想定されるため、本社関係部署や主要な支店には衛星携帯電話を用意しています。

    コンプライアンス経営の推進当社ではコンプライアンス強化のため、2003年6月に「コンプライアンス部」を新設し、同年10月に「コンプライアンス規程」を制定して基本的な体制を整えました。さらに全社的な推進体制としては、本社に社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を置き、コンプライアンス部が事務局となって各種施策を立案・実行、コンプライアンス本社推進グループや、統括支店・支店のコンプライアンス責任者・推進者等が職場レベルでの展開を進めています。

     また、コンプライアンスに反する行為を早期に発見して是正するため、内部通報制度「ニッツウ・スピークアップ」を運用しているほか、社内調査チームも設けています。

    個人情報保護個人情報保護法の施行など情報管理の厳格化が求められる中、当社は2005年2月、それまでコンプライアンス部で担っていた個人情報保護に関する業務を専門に担当する「個人情報管理部」を新設し体制を強化しました。 同部では、当社の個人情報保護に対する取り組み姿勢を示す「個人情報保護方針」および「個人情報保護規程」を制定するとともに、個人情報管理者・管理担当者の配置などの組織整備を進めてきました。さらに、全従業員に対する教育・啓蒙活動を行い、個人情報保護に対する全社的な意識向上を図っています。なお当社は、(財)日本情報処理開発協会による厳格な書類審査・現地審査を受け、2007年3月23日からプライバシーマークの使用が認められています。

    危機管理・コンプライアンス・個人情報保護

    コンプライアンス委員会

    コンプライアンス本社推進グループ社内調査チーム

    1.

    2.

    3.

    委員長副委員長顧問

    社長副社長(コンプライアンス部所管)顧問弁護士、公認会計士、税理士等

    内部通報・相談 受付・調査(社内受付窓口)(当社顧問弁護士受付窓口)

    内部通報・相談 外部受付

    地域総括監査部門

    事務局コンプライアンス部

    総括支店・支店

    コンプライアンス責任者

    コンプライアンス推進者

    企画・教育・指導監査部

    コンプライアンス経営推進体制

    プライバシーマーク使用許諾証

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  • 取締役・執行役員・監査役

    岡部 正彦

    川合 正矩

    中谷 桂一

    瀬川 光藏

    大前 隆一

    横山 敬一郎

    萩尾 計二

    丸本 智運

    釣  洋一郎宮原 敏竹内 努千田 賢了植松 榮守屋 正太郎長田 行生石井 吉明中野 正俊南里 賢一郎兒嶋 周史

    橋本 良一安部 修武渡  善治郎 

    藤田 讓

    泉川 正

    渡邉 健二

    大原 孝雄

    伊藤 康生

    中村 次郎

    佐野 弘明

    細越 雅雄

    三井田 實

    常務執行役員

    執行役員

    常勤監査役

    監査役

    代表取締役会長

    代表取締役社長 社長執行役員

    代表取締役副社長 副社長執行役員

    取締役 専務執行役員

    取締役 常務執行役員

    取締役 執行役員

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  • 創立70周年記念事業日本通運は2007年10月1日、創立70周年を迎えました。これを機に、さらに将来にわたる持続的な成長のために、当社では環境問題への対応により大きな力を注ぐこととし、創立70周年記念事業の中でも環境に関わる各種の取り組みを盛り込んでいます。

    ●「子供の森」クリック募金子供たち自身に学校の敷地やその周辺で苗木を育ててもらい、自然を愛する心や緑を大切にする気持ちを育む。財団法人オイスカが推進するこの「子供の森」計画に賛同し、当社のホームページにクリック募金のページを設けました。ページ内のボタンをクリックすれば、当社がその方に代わって「子供の森」計画に1円を寄付します。

    ●森林育成計画当社は山形県飯

    い い で

    豊町と2006年度からグリーンツーリズムを通じた交流を続けています。2007年度には創立70周年記念事業の1つとして、同町中津川地区の森林育成事業の支援も開始しました。事業資金の一部を援助するほか、実際の整備活動にも社員がボランティアで参加しています。

    モーダルシフトの促進CO2(二酸化炭素)排出削減などの面から、自動車中心の輸送手段を鉄道や船舶に移すモーダルシフトへの注目が高まる中、当社

    もその促進のため様々な取り組みを進めています。鉄道では東京~大阪間を結ぶ「スーパーグリーン・シャトル列車」の運行を2006年から開始し、船舶では商船三井フェリー殿との共同運航船を含め9隻の大型船を擁し、東京~北海道など3つの定期航路で貨物輸送を行っています。

    環境関連の認証取得を積極化当社では環境保全に対する取り組みをより強化するため、環境関連の認証取得も積極的に進めています。環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001については、1998年の原木地区(千葉県市川市)3拠点での取得に始まり、2008年3月までに航空部門を中心とした12拠点で認証を取得しています。 また、中小トラック事業者向けの簡易版環境認証として始まったグリーン経営認証(認証機関/交通エコロジー・モビリティ財団<国土交通省所管>)についても、認可事業所ごとに取り組めることから、トラックと倉庫の拠点を中心に認証取得を進めています。

    環境保護活動・社会貢献活動

    定時制、高速性に優れる大量一括輸送が可能CO2排出量が少ない

    鉄道

    荷傷みがなく安全性に優れる大量貨物を長距離輸送

    ローコスト

    内航船舶トラック

    VS. VS.

    特性を活かしながらベストな組み合わせを

    選択

    確実でクリーンな輸送ルートを構築

    鉄道

    内航船舶

    航空

    営業用大型トラック

    0 500

    90

    21

    38

    1,480

    1,000 1,500 2,000(g-CO2/トンキロ※)

    輸送手段の特性比較 輸送機関別CO2排出�