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PMBOK ガイ改定(第 4 版→第 5 版) から見るスク管理 (前篇) 株式社クスィ

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Page 1: PMBOKガイド改定(第4版→第5版) から見る ... イドは、あくまでもガイドであり、マニュアルやルヸルではなく、強 制されるものではありません。もちろん、遵守しなくとも罰則などはないですし、

PMBOK ガイド改定(第 4 版→第 5 版)

から見るステークホルダー管理

(前篇)

株式会社クロスフィールド

中川 吉人

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All rights reserved Crossfields Co., Ltd. ©, 2014

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目次目次目次目次

はじめにはじめにはじめにはじめに ........................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................ 3333

第第第第 1111 章章章章 PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドの概要ガイドの概要ガイドの概要ガイドの概要 .................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................... 4444

(1)(1)(1)(1) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドとは?ガイドとは?ガイドとは?ガイドとは? .................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................... 4444

(2)(2)(2)(2) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドの目的ガイドの目的ガイドの目的ガイドの目的 .................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................... 4444

(3)(3)(3)(3) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドの内容ガイドの内容ガイドの内容ガイドの内容 .................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................... 5555

第第第第 2222 章章章章 PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイド改定内容ガイド改定内容ガイド改定内容ガイド改定内容((((第第第第 4444 版→第版→第版→第版→第 5555 版版版版)))) ........................................................................................................................................................................ 7777

(1)(1)(1)(1) 変更概要変更概要変更概要変更概要 ........................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................ 7777

(2)(2)(2)(2) プロセス「計画プロセス」の追加プロセス「計画プロセス」の追加プロセス「計画プロセス」の追加プロセス「計画プロセス」の追加 ................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................ 7777

(3)(3)(3)(3) 知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加 ........................................................................................................................................ 8888

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ははははじめにじめにじめにじめに

近年、「PMBOK ガイド」は、プロジェクト管理の手法として広く認知されており、その

考え方や用語は実際のプロジェクトでも用いられ、共通言語として利用されつつあります。

その一方で、この PMBOK ガイドは、最新のプロジェクト成功事例や、現場のプロジェ

クトマネージャーからのアドバイスを基に、定期的に改定され、その内容は逐次更新され

ています(現在、最新版は第 5 版として、2012 年 10 月に改定(日本語版は2013年

改定))。これは言い方を変えれば、PMBOK ガイドの改定を見れば、現在のプロジェクト

でどのようなことが重要視されているのか?を理解することに繋がります。

そこで、前篇・後篇の 2 回に分けて、PMBOK ガイドの第 5 版改定内容を整理・解説し

たいと思います。まず前篇(今回)では PMBOK ガイドの概要を整理するとともに、第 5

版改定に伴う主な変更点を解説します。そして後篇(次回)では、今回の改定の中のポイ

ントの一つであるステークホルダー管理について焦点を当てて、お送りする予定です。

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第第第第1111章章章章 PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドガイドガイドガイドの概要の概要の概要の概要

本章では、改めて「PMBOK ガイド」の目的や概念について整理・解説します。

(1)(1)(1)(1) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドとは?ガイドとは?ガイドとは?ガイドとは?

� 名称名称名称名称・略称・略称・略称・略称

正式名称は「A Guide to the Project Management Body Of Knowledge」

で、日本語では「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」となります。

略称は、頭文字をとって「PMBOK(ピンボック)ガイド」と呼ばれています。

� 歴史歴史歴史歴史

1960 年代、政府や企業は、「プロジェクト」という単位で仕事をすることに優

位性(組織を超えてコミュニケーションを取ることの重要性)を見出し、ワーク

スタイルが見直されつつありました。その後、大陸横断鉄道等の政府系大規模プ

ロジェクトなどを通じ、その管理手法が発展していきました。

その中で、「様々な異なる業界でも、プロジェクトには共通点が存在するのではな

いか?」、「プロジェクト管理の手法を標準化できるのではないか?」との視点か

ら、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発足しました。そして、1987

年にホワイトペーパーとして発表されたのが、PMBOK(第 1 版)です。

それまでは、各業界または各企業にて暗黙的かつ独自的・属人的に発展していた

プロジェクト管理手法が、共通概念化・文書化されたのです。

(2)(2)(2)(2) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドの目的ガイドの目的ガイドの目的ガイドの目的

� 「世界標準」として「世界標準」として「世界標準」として「世界標準」として

米国が発端の PMBOK ガイドですが、初版以降、さまざまな国々のさまざまな業

界でのプロジェクト実務事例や管理テクニック等のアドバイスを受け、改定され

続けています。即ち、世界中のプロジェクト管理のノウハウが集約された文書な

のです。

そして、単にプロジェクト成功事例を纏めただけではなく、概念化・標準化とい

った観点で整理されているため、実際のプロジェクトの現場で適用しやすいもの

となっています。

また、この概念化・標準化では、ISO 9000、ISO21500 等の他のマネジメン

ト標準とも同じ考え方(インプット→ツール・テクニック→アウトプットという

一連のプロセスベースの体系)を取っており、一貫性が保たれています。

こういったことから、PMBOK ガイドは、プロジェクトマジメントの世界標準と

して認知されています。

� 「ガイド」として「ガイド」として「ガイド」として「ガイド」として

PMBOK ガイドは、あくまでもガイドであり、マニュアルやルールではなく、強

制されるものではありません。もちろん、遵守しなくとも罰則などはないですし、

自分のプロジェクトに適用できるもののみ取捨選択することも自由です。

プロジェクトの開始前、または実行中において、「どう進めたらよいか?」、「こう

いった場合どう対応するべきか?」といった際に、活用するための参考文書、と

捉えて下さい。

特に、プロジェクトには各々の特色・独自性があり、それは千差万別です。PMBOK

ガイドはその全てに対応しているわけではありませんが、多くのプロジェクトに

て重要な示唆を与えてくれることが多いです。

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また、建設業等の業界向けには、その専用のガイドとして、PMBOK ガイド拡張

版が用意されています。

� 「プロフェッショナル資格」「プロフェッショナル資格」「プロフェッショナル資格」「プロフェッショナル資格」としてとしてとしてとして

PMBOK ガイドは、プロジェクト管理において極めて有益なもの、と世界で認め

られた結果、プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル資格(通称 PMP)

における基本文書として採用されています。

なお、この PMP 資格は、日本において一部の公的機関の発注要件になる等、そ

の重要性が高まっている資格となっています。

(3)(3)(3)(3) PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドの内容ガイドの内容ガイドの内容ガイドの内容

� 10個の「知識エリア」10個の「知識エリア」10個の「知識エリア」10個の「知識エリア」

「知識エリア」は聞きなれない言葉ですが、「プロジェクトを管理する上で重要な

観点」と思って下さい。

昔からプロジェクトでは「QCD(品質・コスト・納期)」の 3 つが重要だ、と言

われてきていますが、PMBOK ガイドでは、この3つに留まらず、10 個の観点

が重要だとしています。

表1:表1:表1:表1:10101010 個の知識エリア個の知識エリア個の知識エリア個の知識エリア

知識エリア知識エリア知識エリア知識エリア 説明説明説明説明(目的)(目的)(目的)(目的)

1111 統合

各種プロセスとプロジェクトマネジメント活動の特定・定義・

統合・調整などを行うため

2222 スコープ プロジェクトの達成に必要な作業と成果物を確定させるため

3333 時間 プロジェクトを達成すべきスケジュール内で完了するため

4444 コスト プロジェクトを予算内に達成するため

5555 品質 プロジェクトが達成するべき品質を持ち、管理するため

6666 人的資源 プロジェクトチームを編成・育成・管理し、目標達成するため

7777 コミュニケーション 情報伝達や円滑なコミュニケーションを図るため

8888 リスク リスクの特定・分析・対応・監視するため

9999 調達

プロジェクト実施に必要な製品やサービスを、調達計画・実

行・管理・終結させるため

10101010 ステークホルダー ステークホルダーの特定とその要求の把握、利害の調整のため

このうち、10 個目の「ステークホルダー」が、第 5 版で新たに追加され、それ

まで9個だった知識エリアが 10 個となりました(改定内容の詳細は第 2 章にて)。

� 5個のプロセス群5個のプロセス群5個のプロセス群5個のプロセス群

10 個の知識エリアの分類だけでは、時系列が分かりづらいため、5つのプロセ

ス群を定めています。

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表2:5 個のプロセス群

知識エリア知識エリア知識エリア知識エリア 説明(目的)説明(目的)説明(目的)説明(目的)

1111 立ち上げ

プロジェクトまたはプロジェクトの新しいフェーズを明確に

定め、それらを開始する許可を得るプロセス

2222 計画

作業全体のスコープを確定し、目標の定義と洗練を行い、目標

を達成するのに必要な一連の行動の流れを規定するプロセス

3333 実行

プロジェクト目標を達成する上で、プロジェクトマメジメント

計画書において規定された作業を実行するプロセス

4444 監視・コントロール

プロジェクトの進捗やパフォーマンスの追跡、レビュー、統制、

計画の変更が必要な分野の特定、およびそれらの変更を開始す

るプロセス

5555 終結

プロジェクトやフェーズを公式に終了するための、全プロジェ

クトマネジメント、プロセス群内の全アクティビティを終了す

るプロセス

� 10101010 個の知識エリア個の知識エリア個の知識エリア個の知識エリア ×××× 5個のプロセス群5個のプロセス群5個のプロセス群5個のプロセス群

PMBOK ガイドでは、10 個の知識エリアと 5 個のプロセス群のマトリックス(全

50 個)の枠の中に、プロジェクト管理に必要な 47 個の具体的なプロセスが分

類されています。

例えば、「スケジュール作成」というプロセスは、知識エリア「3.時間」のプロ

セス群「2.計画」に配置されています。

� プロセス定義プロセス定義プロセス定義プロセス定義

PMBOK ガイドでは、これらの 47 個のプロセスのそれぞれに対し、「インプッ

ト」、「ツールと技法」、「アウトプット」について定義し、説明されています。

これを正しく理解することで、プロジェクトの各フェーズにおいて「いつどこで

何をすべきか?」、「どうやって進めればよいか?」を解決する手助けとなります。

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第第第第2222章章章章 PMBOKPMBOKPMBOKPMBOK ガイドガイドガイドガイド改定改定改定改定内容内容内容内容((((第第第第 4444 版→第版→第版→第版→第 5555 版版版版))))

本章では、2012 年 10 月に改定(日本語版は2013年改定)された内容について解

説します。

(1)(1)(1)(1) 変更概要変更概要変更概要変更概要

第 5 版における変更点を表に纏めました。

表3:PMBOK ガイド第 5 版における主な変更点

主な変更点主な変更点主な変更点主な変更点 内容内容内容内容

プロセスに「計画プロセス」

の追加

「スコープ・マネジメント」、「タイム・マネジメント」、

「コスト・マネジメント」に、新たにマネジメント計

画プロセスが追加

知識エリアに「ステークホル

ダー・マネジメント」の追加

これまで「コミュニケーション・マネジメント」の中

で記載されていた「ステークホルダー・マネジメント」

が新しい知識エリアとして独立

3 DIKW データモデルの利用

実行プロセスにおけるデータについて、ナレッジマネ

ジメントで利用されている DIKW モデル(※)を採用

※DIKW とは、Data(データ)、Information(情報)、

Knowledge(知識)、Wisdom(知恵)というデータ

の加工度合いを分類したもの

4

3 章(プロジェクト・マネジ

メント・プロセス群)の追加

関連するプロセスの説明を巻末付録に移動

5 表現統一/一貫性確保

ISO21500 や PMI 文書等との整合性確保のため、表

現を見直し

表3を見て分かる通り、3~5は表現の見直しが主であり、それほど大きな変更

ではありません。1、2 の2つが、今回の改定のポイントとなります。

(2)(2)(2)(2) プロセスプロセスプロセスプロセス「計画プロセス」の追加「計画プロセス」の追加「計画プロセス」の追加「計画プロセス」の追加

「スコープ・マネジメント」、「タイム・マネジメント」、「コスト・マネジメント」

に、新たに「マネジメント計画プロセス」が、それぞれ追加となりました。

これまでは、各章の冒頭に「“マネジメント計画プロセス”は統合マネジメントに

て決めましょう」といったあいまいな表現で記載されていたのですが(具体的に

どう決めるか明記はない)、これがプロセスとしてきちんと定義されました。

これにより、計画プロセス群では、すべての知識エリアでマネジメント計画が作

成されることになりました。即ち、全ての知識エリアで、計画 → 実行 → 監視・

コントロールというシンプルなスタイルに統一されました。

なお、今回追加となったマネジメント計画プロセスの各インプット、ツール・技

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法・アウトプットは以下表4~6の通りです。

表4:スコープ・マネジメント計画

表5:スケジュール・マネジメント計画

表6:コスト・マネジメント計画

(3)(3)(3)(3) 知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」の追加

これまでは「コミュニケーション・マネジメント」という知識エリアに記載され

ていた「ステークホルダー・マネジメント」が独立し、知識エリアが9個→10

個となりました。

以前から、プロジェクトマネジメントにおけるステークホルダーの考え方は、

PMBOK ガイドでは重要視されており、「プロジェクト・マネジメント・フレー

ムワーク」という章で、丁寧に説明されておりましたが、今回、新たな知識エリ

アとして独立することで、より重要視されるものとなりました。

これについては、後篇にて少し詳しく解説します。

1. プロジェクトマネジメ

ント計画書

2. プロジェクト憲章

3. 組織体の環境要因

4. 組織のプロセス資産

1. 専門家の判断

2. 分析技法

3. 会議

1. スケジュール・マネジ

メント計画書

インプット ツール・技法 アウトプット

1. プロジェクトマネジメ

ント計画書

2. プロジェクト憲章

3. 組織体の環境要因

4. 組織のプロセス資産

1. 専門家の判断

2. 会議

1. スコープ・マネジメン

ト計画書

2. 要求事項マネジメント

計画書

インプット ツール・技法 アウトプット

1. プロジェクトマネジメ

ント計画書

2. プロジェクト憲章

3. 組織体の環境要因

4. 組織のプロセス資産

1. 専門家の判断

2. 分析技法

3. 会議

1. コスト・マネジメント

計画書

インプット ツール・技法 アウトプット

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<参考文献>

「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK ガイド)第4版」(Project

Management Institute, Inc./Project Management Institute, Inc.)

「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK ガイド)第5版」(Project

Management Institute, Inc./Project Management Institute, Inc.)

「よくわかる最新 PMBOK 第5版の基本」(鈴木安而/秀和システム)