propensity scoreの図解まとめ

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日常診療で治療の割り 付けはランダムか?

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Page 1: Propensity scoreの図解まとめ

日常診療で治療の割り付けはランダムか?

Kazuki YOSHIDA
Propensity Score 図解まとめ
Kazuki YOSHIDA
“MIT白熱教室 これからの因果推論を考えよう”の後半部分を切り出したものです。
Page 2: Propensity scoreの図解まとめ

医師がよく考えて治療を決めている。(はず)

Page 3: Propensity scoreの図解まとめ

http://www.slideshare.net/kaz_yos/20130921-talktojapanesescientists20130921a

Causal Diagramの説明はこちらを参考

Page 4: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

年齢

Yes/No Yes/No病気の改善?

性別重症度

統計学的な関連は直接薬剤の効果を意味しないAssociation ≠ Causation

相関 ≠ 因果相関 = 因果関係による相関 + 交絡による相関

よく考えて治療を決めた結果...

Page 5: Propensity scoreの図解まとめ

そのまま比較できない

Page 6: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

年齢

Yes/No Yes/No病気の改善?

性別

制限 (重症度、性別、年齢で絞り込む)

層別化 (いくつかのグループに分けてグループ内で比較)

統計学的な調節(原理的には層別化)

重症度

Restriction

Stratification

Adjustment

Page 7: Propensity scoreの図解まとめ

Propensity score

Page 8: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

年齢

Yes/No Yes/No病気の改善?

性別

これらを一つにまとめる

重症度

Page 9: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

PS

Yes/No Yes/No病気の改善?

Propensity score

複数の交絡因子がPropensity scoreとして一つにまとめられた。

注) 影響の強い交絡因子はすべて観測されている必要がある。

Page 10: Propensity scoreの図解まとめ

解釈: 同じような被験者が次に来たときに医師が治療を選ぶ確率

e.g., PS=0.25: このような被験者のうち25%が治療を受ける

Page 11: Propensity scoreの図解まとめ

以降の図解は有名なSwan-

Ganz cathのデータより

Dr. Frank Harrell. Right heart catheterization datasethttp://biostat.mc.vanderbilt.edu/twiki/bin/view/Main/DataSets

Page 12: Propensity scoreの図解まとめ

治療じゃない!

治療戦略の一環ということで..

Page 13: Propensity scoreの図解まとめ

PS分布

治療群無治療群

PS: 確率なので0から1

合計

Propensity scoreの分布

注)グラフは描き方の関係で足が出ています

Page 14: Propensity scoreの図解まとめ

Propensity scoreの分布(左右に展開)

治療群

無治療群

縦軸がPS

Page 15: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群縦軸がPS

PS=0.50

PS=0.25

PS=0.75 75%が治療群25%が無治療群

25%が治療群75%が無治療群

Page 16: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

PS

Yes/No Yes/No病気の改善?

Propensity score

PS→薬剤投与の矢印がじゃま。PSを共通原因にしている。

じゃま

Page 17: Propensity scoreの図解まとめ

じゃまな矢印をなんとかしたい

! 両群のPSが同じところ同士に限定して比べる

! 両群のPS分布の形態をそろえて全体を比べる

Page 18: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群PS 層別化

層1

層2

層3

層5

層4

その層内で比較

Page 19: Propensity scoreの図解まとめ

PS層別化! 利点

! 分かりやすい

! 好きな効果量を測定(リスク比やリスク差)

! 層ごとに治療効果が異なるか評価できる

! 欠点

! いくつにわけるのか?幅が広すぎないか?

! 一番下と一番上の層は群間のバランスが悪い

Page 20: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群PS 調節

基本的にはモデルを使う層別化。無限に細かい階層内で無治療群、治療群を比較する。

Page 21: Propensity scoreの図解まとめ

PS調節! 利点

! ソフトウェアでやるのが楽

! 欠点

! 基本的にオッズ比しか出せない

! PSとアウトカムの関係を正しくモデル化する必要性

! PSの違いによる効果の違いをどうモデル化するか?

Page 22: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

PS

Yes/No Yes/No病気の改善?

これらはPSが同じ患者同士しか比べない

PSが同じ患者同士では治療の選択はランダムに起こっていると解釈できる。PSが同じ人の中ではPSは治療選択を予測しない。(定数は相関しない)

Page 23: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群PSマッチング

PS=0.50

PS=0.25

PS=0.75

同じぐらいのPSの治療群と無治療群の被験者を対にしていく。つまり、相方がいないところを切りすてる。

Page 24: Propensity scoreの図解まとめ

PSマッチング! 利点

! 分かりやすく一番人気。

! Marginal effect (RCTのような解釈)

! 好きな効果量を測定(リスク比やリスク差)

! PSの違いによる効果の違いは無視してもよいし、検討しても良い

! 欠点

! 一部の対象者のデータを捨てることになる

Page 25: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群PS 重みづけ(IPTW) 同じ形になるように対象

者をふくらます。自分のグループの割当確率の逆

数を掛ける。

75%が治療群。1/0.75倍すると全体の大きさ(1)になる。 1人が1.33

人になる。

25%が無治療群。1/0.25倍すると全体の大きさ(1)になる。1人が4

人になる。

25%が治療群。1/0.25

倍すると全体の大きさ(1)になる。 1人が4人

になる。

75%が無治療群。1/0.75倍すると全体の大きさ(1)になる。1人が1.33人になる。

Inverse probability of treatment weight (IPTW)

Page 26: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群

同じ形になるように対象者をふくらます。自分のグループの割当確率の逆数を掛ける。その後、それぞれの群が元の人数になるように圧縮する。治療群には治療群の元々の割合、無治療群には無治療群の元々の割合をかける。

Stabilized inverse probability of treatment

weight (Stabilized IPTW)

PS=0.50

PS=0.25

PS=0.75

PS 重みづけ(S-IPTW)

Page 27: Propensity scoreの図解まとめ

PS重みづけ(IPTW)! 利点

! Marginal effect (RCTのような解釈)

! コホート全体を治療した時の効果(IPTW)

! 欠点

! 対象者のインフレ。端の方の人が大きくなる

! “コホート全体を治療した場合”というシナリオは有効?

Page 28: Propensity scoreの図解まとめ

治療群無治療群PS 重みづけ(SMRW)

治療群はそのまま残す(重み1)。無治療群は1/(1-PS)をかけて全体の大きさまでふくらます。さらにPSをかけて、治療群の大きさにそろえる。

Standardized mortality ratio weighting (SMRW)

PS=0.50

PS=0.25

PS=0.75

Page 29: Propensity scoreの図解まとめ

PS重みづけ(SMRW)! 利点

! Marginal effect (RCTのような解釈)

! 治療群を治療した時の効果(SMRW)

! 欠点

! 対象者のインフレ。無治療群の上端の方の人が大きくなる

Page 30: Propensity scoreの図解まとめ

薬剤投与

PS

Yes/No Yes/No病気の改善?

これらはPSと薬剤投与の関連を断ち切る

これらの手法によるMatched cohortやPseudo-populationの中ではPSと治療選択の相関がなくなっている。

矢印無し

Page 31: Propensity scoreの図解まとめ

まとめ! 因果推論は比較することで行われる。

! Counterfactualを比較する。

! 一番理想的なのはランダム化比較試験。

! 観察研究の場合はいろいろ工夫が必要。

Page 32: Propensity scoreの図解まとめ

スライド: http://www.slideshare.net/kaz_yos/

コード: http://rpubs.com/kaz_yos/ps-rhc