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1 ケース会議の進め方………………………………………………………1

2 こんな時のためのQ&A 学習意欲を引き出すためには,  どのような工夫が必要ですか?…………………………………6

分かりやすい板書にするためには, どのような工夫が必要ですか?…………………………………8

理解しやすい発問をするためには, どのような工夫が必要ですか?………………………………10

学習環境の整備を進めるに当たって, どのようなポイントがありますか?………………………………12

問題状況の捉え方には, どのようなポイントがありますか?………………………………14

級友との関係を築いていくためには, どのような工夫が必要ですか? ………………………………16

将来の進路に向けた支援の進め方には, どのような工夫が必要ですか?………………………………18

「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を 活用するに当たって,どのようなポイントがありますか?                            ………………………………20 校内研修会を充実させるためには, どのようなポイントがありますか?………………………………22

関係機関と連携するに当たって, どのようなポイントがありますか?………………………………24

3 さらに詳しく知るために…………………………………………………26

Q2

Q3

Q4

Q5

Q6

Q7

Q8

Q9

Q10

Q1

目 次

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ケース会議の進め方

1

1情報の収集及びケース会議資料1の作成

 特別支援教育コーディネーターは,生徒の様々な情報を収集しケース会議資料1を作成します。(以下,「資料1」,ケース会議資料2については「資料2」とする。) 情報をまとめることによって対象生徒の姿がはっきり見え,ケース会議の柱が明確になります。例えば,担任が作成するのがよいのであれば,作成しても差し支えありません。 その際,作成に当たり特別支援教育コーディネーター等は,担任のバックアップに心がけましょう。

2 ケース会議の日時・参加者の決定

 特別支援教育コーディネーターは,教頭や教務主任等と相談をしケース会議の参加者が集まりやすい日時を決定します。 その際,司会や記録といった役割分担も決めておきましょう。

3 ケース会議の実施と内容・検証の報告

 特別支援教育コーディネーターは,参加者に資料1,2を配付し,ケース会議を実施します。 実施するに当たって,会議の目的を明確にし,効率のよい話し合いができるようにしましょう。また,会議資料の取り扱いや個人情報の流出などにも注意しましょう。 実施後は,速やかに会議の内容と検証の結果について,全職員で共通理解を図り,適切な指導・支援を実践しましょう。

1

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2

ケース会議の進め方(例)

 司会は,時間配分を提示し,効率よく会議を進めることに心がけましょう。ア 会議の開会

 事例提示者は,資料1をもとに対象生徒の状況が分かるように発表しましょう。イ 事例提示者の発表(10分)

 参加者は,問題解決に必要な情報を事例提示者から聞き取りましょう。また,参加者が把握している情報も積極的に提供しましょう。

ウ 質疑応答(20分)

 司会は,会議資料の取り扱いや個人情報の流出等について注意喚起を促しましょう。キ 会議の閉会

 会議の内容と検証の結果を職員会議等で報告し,その内容等について全職員が共通理解を図り,今後の支援について協力を得られるようにしましょう。

ク 会議の内容・検証の報告

 参加者から,この会議で学んだことや感想・意見を述べてもらい,参加者全員でそれを共有し,学校全体で適切な支援が行えるようにしましょう。

カ 参加者からの感想・意見(10分)

 ケース会議に学識経験者などの助言者が参加されている時には,今までの話し合いの内容を含めてアドバイスをもらいましょう。 助言者は,第三者の立場から実態や課題を的確に捉え,「どのように支援していくのがよいのか。」を明らかにし,「そうだったのか。」,「それならできる。」などの具体的な手立てを提示してくれます。

オ 助 言(20分)

 資料1と質疑応答で得た情報を資料2にまとめ,「困っているのは誰か?」,「問題が起きる時はどんな時か?」,「問題が起こっていない時はどんな時か?」などを整理しましょう。 整理後,問題が起きる時と起こらない時を比較し,その課題について検証しましょう。

エ 問題の明確化(20分)○ 問題の分析

 話し合いのポイントを絞りながら,今後の支援方針や支援目標を立てましょう。  それが決まったら,「誰が?」,「いつ?」,「どのような支援をどのように行うか?」など,支援の手立てを具体的に考えましょう。  その際,担任が一人で課題を抱え込まないように,役割分担を明確にするなどしてチームで支援できるようにしましょう。

○ 今後の支援目標や内容,役割分担,期限等

※ 時間については,ケースの内容や学校の実状に応じて設定する。

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3

検査名 検査日

交友関係

よいところ

家族構成

事例提示者名 期日

主訴(インシデント)

インテーク(相談初回の内容)

〈期日:     〉

氏名(仮名) 性別 学年 年齢

生 活 面健 康 面

相談者名(事例との関係)

他機関での支 援 等

授業中に集中力がなくなることと注意を受けると突然切れるところを改善したい。

□□□□ H23. △. △

Aは授業中に私語など勝手な行動が多く,注意すると反抗して暴力的になり他の生徒がおびえている。そのことにより学級全体に落ち着きがなくなっている。注意しても何度も同じことを繰り返すのでどう対応してよいか分からない。つかみかかられたことがある。自分の指導力不足なのか悩んでいる。

夜更かしをしていることが多く,寝坊して遅刻することがある。

これまでの支 援 内 容

欠席が3日続いた時は家庭訪問をするようにしている。夕方家庭訪問をすると母親は留守で,本人が弟と妹の面倒を見ていた。

おとなしい生徒に対して命令口調。同年代の友達は少ない。

家庭環境母子家庭。家の手伝いをよくしている。

○○○○(担任)

学 習 面漢字の読み書きが苦手。計算問題が得意。LDの疑い。

中学校からの情報

自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍していた。いじめを受けたこともある。

体育が得意。クラスマッチで3種目に出場し優勝した。時々困っている生徒を何気なく助けている。(荷物を持ってあげたり,消しゴムを忘れた人に貸してあげたりしている。)

問題の状況服装や言葉遣いなど生活全般にわたって注意されることが多い。反省するが同じことを繰り返して注意を受け,教員に対する暴言や暴力で,特別指導を受けたことがある。生徒指導部や進路指導部とともに今後の学校生活の送り方について話し合いをもった。

現在の状況等注意されると興奮して暴れることが多くなり,教員に対する暴言や暴力等で特別指導をこれまでに2回受けている。今度特別指導を受けたら,さらに重い特別指導もあり得る。遅刻も多くなり(週3日程度),そのまま休むことも増えてきた。(週1日程度)

初めは起きていたが,5分もしないうちに机に伏せる。ノートはとらない。言葉かけをすると面倒そうなしぐさをする。

授業参観5時限目:公民

母(44),弟(5),妹(3)

A 男 1学年 15歳

特になし。

田中ビネーWISC-ⅢK-ABC

その他(観察等)

対象生徒の概要

   過

アセスメント

ケース会議資料1 (書式案記入例)

※記入に当たっては,個人名,地名,施設・機関等の固有名詞をふせるなど個人情報に配慮する。

検査結果

※過去に検査を実施した記録があれば 記載します。

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4

ケース会議資料2(情報の整理 当日記録用) (書式案記入例)

困っているのは誰か

誰か どんなふうに

授業中に集中力がなくなることと注意を受けると突然切れるところを改善したい。

本人 集中して授業を受けたいのに集中できない。

見立て(考えられる要因)

問題 前後の状況 見立て(考えられる要因)

夜更かしのため眠い。

居眠り 5時限目はほぼ眠っている。注意すると興奮する。

昼食後で眠くなっている。苦手な科目。

自分勝手な行動 国語の時間は極端に私語が多くなる。準備物や提出物を忘れることが多い。

学習内容が分からない。ADHD(注意欠陥)傾向か。

時間(教科等) 状況 見立て(考えられる要因)

2時限目 苦手な教科でも2時限目はわりと落ち着いている。

目が覚めている。

夜更かしのため眠い→生活リズムの改善→支援方法を協議ADHD傾向か→観察,検査等→専門的な支援内容,方法を協議LD傾向か→観察,検査等→専門的な支援内容,方法を協議

体育の時間 張り切っていて,目立とうとする。

自己アピール。唯一自分の力を出せる教科。

教科担任(国語) 私語が多く授業が妨害されるので注意すると興奮する。

ADHD(多動)傾向か。

クラスメート 興奮されると怖い。問題が起きる時はどんな時か

問題が起きていない時はどんな時か

→対応

・漢字の読み書きが苦手。・いじめられた経験がある。・注意を受ける→イライラ→暴言・暴力 →特別指導

・兄弟の面倒をみる。・家の手伝いをする。・夜更かしをする。

 国語の時間,私語が多い。

問題改善に向け,利用できる機関はないか?

特性・苦手

本人

兄弟の面倒をみる,家の手伝いをする他に,何をして過ごしているのか?

・計算問題が得意。・体育は得意。張り切る。

・準備物,提出物を忘れる。

好きなもの,得意なことは?嫌いなもの,苦手なことは?将来の夢は?今,悩んでいることは?

なぜ苦手なのか?苦手な部分を補う方法は?

 達成感,自己肯定感が得られる。

学 習

主  訴

自己理解

心理・社会

関係機関

家庭生活

問題の整理

問題の整理

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5

誰が支援目標 いつ どのような支援をどのように行うか

国語科担任

国語の授業に落ち着いて参加できる。

○自己肯定感を高める。 ・よいところに目を向け,ほめる。 ・活躍できる場面を意図的につくる。○発達障害の疑いがあることに関しては,特別な配慮をさりげなく行う。

自己コントロールする力を身に付ける。

授業 ふりがなつきプリントを用意して解答を選択式にする。

※ケース会議の参加者の中に,助言者がいる場合は,助言 をもらいます。

コーディネーター 放課後12月

面接や心理検査を実施し,得意分野不得意分野についての情報を得る。

他の教科担任 授業

副担任 1回目副担任 2回目担任 3回目担任 4回目

ふりがなつきプリントを用意して解答を選択式にする。

部活動顧問 部活動 コントロールできた場面を見つけて,意図的に人前でほめる。

他の教職員 学校生活全般 朝会等でよい行動を報告し,機会を見つけてほめる。(まずは学年から)

学級担任 LHR4回

グループエンカウンター等を実施。※SSTプログラムも取り入れる。

家庭(学級)

家庭(学級担任)

手伝いをしていることを認めてほめる。家族が難しい場合は,学級担任がほめる。

・悪いところばかりを見ていたが,よいところを見つけて認めてあげようと思った。・問題を整理することによって,不適切な行動をとる時の前後の状況に,パターンがあることに気づ くことができた。

国語の授業に落ち着いて参加できる

自己コントロールする力を身に付ける

プランニング

参加者から

支援目標

支援方針

   言

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こんな時のためのQ&A

Q1

A1

2学習意欲を引き出すためには,どのような工夫が必要ですか?

○ポジティブな学習観 (学習に対する態度 )の育成が必要です。

○学習差のある集団への配慮が必要です。

○実態に応じた評価が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

ポジティブな学習観の育成では,

配慮が必要な生徒によっては,これまでの経験から「やってもできない。」と初めから諦めてしまう傾向があります。そのため,努力すれば取り組むことができるような目標を設定し,やればできるという成功体験を積み重ねることが大切です。

達成感を得るための目標設定には様々なものがあります。例えば,●学習目標や生活目標を少しずつ上げ,できることを増やしながら,できたことをほめて,意欲を高めていくことが大切です。

●学校独自の検定や記録会を行うなどして,自分の力を発揮し,活躍する機会を増やすことが大切です。また,外部機関の様々な資格取得の機会を設け,目標をもてるように支援することも大切です。

などが考えられます。その他,留意点として,実態に即した学習をする場所や時間を設けるなど,状況に応じた場を設定することが大切です。

具体的には,・・・

学習差のある集団への配慮では,

配慮が必要な生徒に対する学習上の配慮の仕方によっては,配慮した生徒がかえって孤立してしまうことがあります。そのため,特定の生徒への支援ではなく,支援が必要な生徒全体につながる支援を心がけることが大切です。また周囲の生徒が誤解や偏見を抱いてしまうことがないよう,クラス全体で達成感を得ることができるようにすることが大切です。

クラス全体で達成感を得ることができるように配慮する工夫には様々なものがあります。例えば,●書くことに時間がかかる生徒には,板書を写す負担を軽減できるプリントを活用することが大切です。●言葉による説明が伝わりにくい生徒には,見本などの視覚的情報を提示することで,「何をすればよいのか。」を明確にし,課題に取り組みやすい環境を整えることが大切です。

●学習内容の難易度は,授業だけでなく宿題などで補いクラス全員が満足できるようにすることが大切です。

などの工夫が考えられます。

具体的には,・・・

実態に応じた評価では,

配慮が必要な生徒によっては,自分は「どのくらい努力したか。」,あるいは「どのくらい取り組んだか。」など,生徒自身が成果を振り返ることで達成感が一層得られます。そのため,生徒自身が取り組んだ成果を確認できる工夫を授業に取り入れることが大切です。

生徒自身が取り組んだ成果を生徒自身が確認する取組には様々なものがあります。例えば,●授業の取組や努力の成果を自ら評価できるような自己評価票を作成し,生徒と教員が互いに確認することが大切です。

●学習した知識が十分に発揮できるように,小テストや課題プリントなどで確認することが大切です。. 書くことが苦手な生徒の場合などは,口頭で解答できるようにすることが大切です。

などの取組をとおして,学習したことをどれぐらい達成できたかを確認することが考えられます。

自己評価票 教科名:

理科 生徒名/水戸 花子

例:自分から,積極的に

手をあげ発表した。

項 目

評 価A:できたB:まあまあ

できた

C:できなかった

◇◇◇を調べた結果,興

味をもちましたか。 A

どうして○○になるの

か考えましたか。 B

手順通りに実験するこ

とができましたか。 A

今日習った△△△が分

かりましたか。 B

工夫したところ

例:大事なところを,赤ペン

を使い,ノートに分かりやすく

書いた。

努力したところ

6 7

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こんな時のためのQ&A

Q1

A1

2学習意欲を引き出すためには,どのような工夫が必要ですか?

○ポジティブな学習観 (学習に対する態度 )の育成が必要です。

○学習差のある集団への配慮が必要です。

○実態に応じた評価が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

ポジティブな学習観の育成では,

配慮が必要な生徒によっては,これまでの経験から「やってもできない。」と初めから諦めてしまう傾向があります。そのため,努力すれば取り組むことができるような目標を設定し,やればできるという成功体験を積み重ねることが大切です。

達成感を得るための目標設定には様々なものがあります。例えば,●学習目標や生活目標を少しずつ上げ,できることを増やしながら,できたことをほめて,意欲を高めていくことが大切です。

●学校独自の検定や記録会を行うなどして,自分の力を発揮し,活躍する機会を増やすことが大切です。また,外部機関の様々な資格取得の機会を設け,目標をもてるように支援することも大切です。

などが考えられます。その他,留意点として,実態に即した学習をする場所や時間を設けるなど,状況に応じた場を設定することが大切です。

具体的には,・・・

学習差のある集団への配慮では,

配慮が必要な生徒に対する学習上の配慮の仕方によっては,配慮した生徒がかえって孤立してしまうことがあります。そのため,特定の生徒への支援ではなく,支援が必要な生徒全体につながる支援を心がけることが大切です。また周囲の生徒が誤解や偏見を抱いてしまうことがないよう,クラス全体で達成感を得ることができるようにすることが大切です。

クラス全体で達成感を得ることができるように配慮する工夫には様々なものがあります。例えば,●書くことに時間がかかる生徒には,板書を写す負担を軽減できるプリントを活用することが大切です。●言葉による説明が伝わりにくい生徒には,見本などの視覚的情報を提示することで,「何をすればよいのか。」を明確にし,課題に取り組みやすい環境を整えることが大切です。

●学習内容の難易度は,授業だけでなく宿題などで補いクラス全員が満足できるようにすることが大切です。

などの工夫が考えられます。

具体的には,・・・

実態に応じた評価では,

配慮が必要な生徒によっては,自分は「どのくらい努力したか。」,あるいは「どのくらい取り組んだか。」など,生徒自身が成果を振り返ることで達成感が一層得られます。そのため,生徒自身が取り組んだ成果を確認できる工夫を授業に取り入れることが大切です。

生徒自身が取り組んだ成果を生徒自身が確認する取組には様々なものがあります。例えば,●授業の取組や努力の成果を自ら評価できるような自己評価票を作成し,生徒と教員が互いに確認することが大切です。

●学習した知識が十分に発揮できるように,小テストや課題プリントなどで確認することが大切です。. 書くことが苦手な生徒の場合などは,口頭で解答できるようにすることが大切です。

などの取組をとおして,学習したことをどれぐらい達成できたかを確認することが考えられます。

自己評価票 教科名:

理科 生徒名/水戸 花子

例:自分から,積極的に

手をあげ発表した。

項 目

評 価A:できたB:まあまあ

できた

C:できなかった

◇◇◇を調べた結果,興

味をもちましたか。 A

どうして○○になるの

か考えましたか。 B

手順通りに実験するこ

とができましたか。 A

今日習った△△△が分

かりましたか。 B

工夫したところ

例:大事なところを,赤ペン

を使い,ノートに分かりやすく

書いた。

努力したところ

6 7

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Q2

A2

分かりやすい板書にするためには,どのような工夫が必要ですか?

○授業の流れの提示が必要です。

○枠やアンダーラインの活用が必要です。

○色の使い方の統一が必要です。

具体的には,・・・

枠やアンダーラインの活用では,

配慮が必要な生徒によっては,板書した中から重要な内容や文言等を確認することについて困難が生じる場合があります。そのため,重要な箇所を四角の枠で囲んだり,アンダーラインを引いたりするなどして,分かりやすくすることが大切です。

重要な内容や文言等について分かりやすくする工夫には様々なものがあります。 例えば, ●公式や基本文を枠で囲み,注目しやすくすることが大切です。●新出の漢字や単語にアンダーラインを引き,意識できるようにすることが大切です。●定期試験などでは,試験日程や科目など特に伝えたいことを枠で囲むことが大切です。

などの工夫が考えられます。その他,板書の留意点としては,板書の量が多いと,書くことに時間を取られてしまう

ことから,書く内容を精選し,説明を聞く時間などを確保することも大切です。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,授業によりチョークの色の使い分けが異なると,混乱をまねくことがあります。そのため,チョークの色の使い分けの仕方を可能な限り校内で統一を図ることが大切です。

多くの色を使うと色を探すのに時間が費やされたり,何が重要かが分かりにくくなることがあります。そのため,使用する色を3色程度にし,学習そのものに集中できるようにすることが大切です。例えば,3色の使い分けでは,鉛筆で書く内容は白チョークを,穴埋め課題の解答は赤

チョークを,試験に出るような語句については黄チョークを使用するなどして見て分かるようにすることが大切です。

色の使い方の統一では,

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,導入の段階で学習内容の口頭による説明では,聞き取れなかったり,記憶が困難であったりすることがあります。そのため,黒板に学習活動の内容を明記するなどして,見通しをもたせる授業を展開していくことが大切です。

黒板に学習活動の内容を明記する工夫には様々なものがあります。例えば, ●学習の流れや目標等を板書する場所を決めておき,必要な時に見られるようにしておくことが大切です。 ●「本日の学習」:①~        ②~         ③~ と示して,見通しがもてるようにすることが大切です。●また,期日や教科書のページなどを記し,いつ,どのページを学習したか分かるようにすることも大切です。

などの工夫が考えられます。

授業の流れの提示では,

8 9

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Q2

A2

分かりやすい板書にするためには,どのような工夫が必要ですか?

○授業の流れの提示が必要です。

○枠やアンダーラインの活用が必要です。

○色の使い方の統一が必要です。

具体的には,・・・

枠やアンダーラインの活用では,

配慮が必要な生徒によっては,板書した中から重要な内容や文言等を確認することについて困難が生じる場合があります。そのため,重要な箇所を四角の枠で囲んだり,アンダーラインを引いたりするなどして,分かりやすくすることが大切です。

重要な内容や文言等について分かりやすくする工夫には様々なものがあります。 例えば, ●公式や基本文を枠で囲み,注目しやすくすることが大切です。●新出の漢字や単語にアンダーラインを引き,意識できるようにすることが大切です。●定期試験などでは,試験日程や科目など特に伝えたいことを枠で囲むことが大切です。

などの工夫が考えられます。その他,板書の留意点としては,板書の量が多いと,書くことに時間を取られてしまう

ことから,書く内容を精選し,説明を聞く時間などを確保することも大切です。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,授業によりチョークの色の使い分けが異なると,混乱をまねくことがあります。そのため,チョークの色の使い分けの仕方を可能な限り校内で統一を図ることが大切です。

多くの色を使うと色を探すのに時間が費やされたり,何が重要かが分かりにくくなることがあります。そのため,使用する色を3色程度にし,学習そのものに集中できるようにすることが大切です。例えば,3色の使い分けでは,鉛筆で書く内容は白チョークを,穴埋め課題の解答は赤

チョークを,試験に出るような語句については黄チョークを使用するなどして見て分かるようにすることが大切です。

色の使い方の統一では,

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,導入の段階で学習内容の口頭による説明では,聞き取れなかったり,記憶が困難であったりすることがあります。そのため,黒板に学習活動の内容を明記するなどして,見通しをもたせる授業を展開していくことが大切です。

黒板に学習活動の内容を明記する工夫には様々なものがあります。例えば, ●学習の流れや目標等を板書する場所を決めておき,必要な時に見られるようにしておくことが大切です。 ●「本日の学習」:①~        ②~         ③~ と示して,見通しがもてるようにすることが大切です。●また,期日や教科書のページなどを記し,いつ,どのページを学習したか分かるようにすることも大切です。

などの工夫が考えられます。

授業の流れの提示では,

8 9

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Q3

A3

理解しやすい発問をするためには,どのような工夫が必要ですか?

○実態に合った発問の仕方が必要です。 

○視覚的情報の活用が必要です。

○順序と系統性を考える内容が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,発問に対し発表者として指名された時,周りからの視線や模

範的な解答を意識して緊張しやすくなります。発問に対する聞き間違いや使われている言葉の

意味の理解が困難な場合もあります。そのため,状況に応じ,その実態を見極め,分かりやすい

発問を心がけることが大切です。

実態に合った発問の仕方の工夫には様々なものがあります。

例えば,

●生活に沿ったものや興味関心を示すものに結び付けることが大切です。

●後方からの発問は極力避け,正面から視線を合わせて,聞き取りやすい速さにするこ

とが大切です。

●指示代名詞,抽象的表現等の曖昧な言葉は極力避け,具体的で簡潔な言葉にすること

が大切です。

などの工夫が考えられます。

実態に合った発問の仕方では,

具体的には,・・・

視覚的情報の活用では,

配慮が必要な生徒によっては,言語のみによる発問では内容を理解したり考えたりすること

が苦手な場合があります。そのため,見て分かるものを提示し,発問を理解しやすくしたり,解

答をイメージしやすくしたりすることが大切です。

視覚的情報の活用の工夫には様々なものがあります。

例えば,

●発問と同時に,文字,絵,図,実物などを一緒に提示することが大切です。

●問題や手がかりになる部分を指しながら発問することが大切です。

●2~3の選択肢を準備し,その中から解答できるようにすることが大切です。

などの工夫が考えられます。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,授業中の展開の変化に混乱をまねく場合があり,それにより

教員の話が変わったことに気づかないことがあります。そのため,前後の話とつながりのない発

問は極力避け,学習の流れに沿った発問をすることが大切です。

生徒は,興味関心のある言葉に注意がいきやすいため,「いま,授業で何を学習するこ

とが大切か。」などについての理解に困難が生じる場合があります。そのため,授業の展開

の中で5W1Hといった発問方法を活用しながら,学習すべき最重要ポイントで発問した

り,学習の最後に板書されている内容について発問したりするなど,校内で発問パターン

を決定しておくことも大切です。

順序と系統性を考える内容では ,

10 11

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Q3

A3

理解しやすい発問をするためには,どのような工夫が必要ですか?

○実態に合った発問の仕方が必要です。 

○視覚的情報の活用が必要です。

○順序と系統性を考える内容が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,発問に対し発表者として指名された時,周りからの視線や模

範的な解答を意識して緊張しやすくなります。発問に対する聞き間違いや使われている言葉の

意味の理解が困難な場合もあります。そのため,状況に応じ,その実態を見極め,分かりやすい

発問を心がけることが大切です。

実態に合った発問の仕方の工夫には様々なものがあります。

例えば,

●生活に沿ったものや興味関心を示すものに結び付けることが大切です。

●後方からの発問は極力避け,正面から視線を合わせて,聞き取りやすい速さにするこ

とが大切です。

●指示代名詞,抽象的表現等の曖昧な言葉は極力避け,具体的で簡潔な言葉にすること

が大切です。

などの工夫が考えられます。

実態に合った発問の仕方では,

具体的には,・・・

視覚的情報の活用では,

配慮が必要な生徒によっては,言語のみによる発問では内容を理解したり考えたりすること

が苦手な場合があります。そのため,見て分かるものを提示し,発問を理解しやすくしたり,解

答をイメージしやすくしたりすることが大切です。

視覚的情報の活用の工夫には様々なものがあります。

例えば,

●発問と同時に,文字,絵,図,実物などを一緒に提示することが大切です。

●問題や手がかりになる部分を指しながら発問することが大切です。

●2~3の選択肢を準備し,その中から解答できるようにすることが大切です。

などの工夫が考えられます。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,授業中の展開の変化に混乱をまねく場合があり,それにより

教員の話が変わったことに気づかないことがあります。そのため,前後の話とつながりのない発

問は極力避け,学習の流れに沿った発問をすることが大切です。

生徒は,興味関心のある言葉に注意がいきやすいため,「いま,授業で何を学習するこ

とが大切か。」などについての理解に困難が生じる場合があります。そのため,授業の展開

の中で5W1Hといった発問方法を活用しながら,学習すべき最重要ポイントで発問した

り,学習の最後に板書されている内容について発問したりするなど,校内で発問パターン

を決定しておくことも大切です。

順序と系統性を考える内容では ,

10 11

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Q4

A4

学習環境の整備を進めるに当たって,どのようなポイントがありますか?

○座席の配置が大切です。

○掲示物の整理が大切です。

○教室内の整理整頓が大切です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,感覚の過敏さから,授業に集中しにくい場面があります。そ

のため,どのような刺激に過敏に反応するのかを理解し,環境を整えることが大切です。

光の反射により黒板が見えにくかったり,座席の場所によって話が聞き取りにくかった

りすることがあると,集中して学習に取り組むことが困難になることがあります。そのため,

このような課題を解決するには座席の配置も大切です。

また,斜め前列や左右に優れた学習態度で取り組む生徒が着席していることで,手本と

なる態度が育成され,活動内容等に見通しをもちやすくします。

さらに,教員が,本人の表情を確認しやすいような位置に座席を配置することも大切で

す。

授業中に,授業にあまり関係のない話をよくする友達との座席の位置については,2席

以上離れた同列後方に配置することも賢明な場合があります。

座席の配置では ,

具体的には,・・・

掲示物の整理では ,

配慮が必要な生徒によっては,多くの掲示物から必要な情報を取り出すことに困難を生じる

場合があります。そのため,校内において掲示板の使い方や掲示物の配置の統一を図るなどして,

知りたい情報をさがしやすくし,混乱をまねかないようにすることが大切です。

繁雑な掲示は,情報が混同し,生徒に不安や迷いを生じさせます。そのため,古い情報

は外すなど必要性の高い掲示物を分かりやすいようにすることが大切です。

また,重要な情報は,全教室同じ位置に掲示したり,掲示物に見出しを付けカテゴリー

ごとに掲示したりするなどして,掲示方法の統一を図ることが大切です。

さらに,コミュニケーション能力を高めるため,話題性の高い情報を掲示し,教員生徒

間又は生徒間のコミュニケーションツールとして活用することも大切です。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,外部からの様々な刺激で気が散りやすくなります。そのため,

身の周りや教室内を整理し集中して学習活動に取り組める環境を整備することが大切です。

教室内に,私物やペットボトルなどが散乱していることで,生徒が,落ち着いて学習に

取り組むことに困難を生じる場合があります。そのため,自分たちの荷物を置く場所を決め,

自ら片付けられるようにしたり,座席をそろえ,すっきりした教室にしたり,さらには,ゴ

ミを分別して,指定されたゴミ箱に捨てることを徹底したりするなどして,常に,教室内

の整理整頓に努めることが大切です。

教室内の整理整頓では ,

12 13

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Q4

A4

学習環境の整備を進めるに当たって,どのようなポイントがありますか?

○座席の配置が大切です。

○掲示物の整理が大切です。

○教室内の整理整頓が大切です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,感覚の過敏さから,授業に集中しにくい場面があります。そ

のため,どのような刺激に過敏に反応するのかを理解し,環境を整えることが大切です。

光の反射により黒板が見えにくかったり,座席の場所によって話が聞き取りにくかった

りすることがあると,集中して学習に取り組むことが困難になることがあります。そのため,

このような課題を解決するには座席の配置も大切です。

また,斜め前列や左右に優れた学習態度で取り組む生徒が着席していることで,手本と

なる態度が育成され,活動内容等に見通しをもちやすくします。

さらに,教員が,本人の表情を確認しやすいような位置に座席を配置することも大切で

す。

授業中に,授業にあまり関係のない話をよくする友達との座席の位置については,2席

以上離れた同列後方に配置することも賢明な場合があります。

座席の配置では ,

具体的には,・・・

掲示物の整理では ,

配慮が必要な生徒によっては,多くの掲示物から必要な情報を取り出すことに困難を生じる

場合があります。そのため,校内において掲示板の使い方や掲示物の配置の統一を図るなどして,

知りたい情報をさがしやすくし,混乱をまねかないようにすることが大切です。

繁雑な掲示は,情報が混同し,生徒に不安や迷いを生じさせます。そのため,古い情報

は外すなど必要性の高い掲示物を分かりやすいようにすることが大切です。

また,重要な情報は,全教室同じ位置に掲示したり,掲示物に見出しを付けカテゴリー

ごとに掲示したりするなどして,掲示方法の統一を図ることが大切です。

さらに,コミュニケーション能力を高めるため,話題性の高い情報を掲示し,教員生徒

間又は生徒間のコミュニケーションツールとして活用することも大切です。

具体的には,・・・

配慮が必要な生徒によっては,外部からの様々な刺激で気が散りやすくなります。そのため,

身の周りや教室内を整理し集中して学習活動に取り組める環境を整備することが大切です。

教室内に,私物やペットボトルなどが散乱していることで,生徒が,落ち着いて学習に

取り組むことに困難を生じる場合があります。そのため,自分たちの荷物を置く場所を決め,

自ら片付けられるようにしたり,座席をそろえ,すっきりした教室にしたり,さらには,ゴ

ミを分別して,指定されたゴミ箱に捨てることを徹底したりするなどして,常に,教室内

の整理整頓に努めることが大切です。

教室内の整理整頓では ,

12 13

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Q5

A5

問題状況の捉え方には,どのようなポイントがありますか?

○問題状況の背景の理解が大切です。

○問題状況の分析が大切です。

○指導や支援の在り方の見直しが大切です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒の気になる言動には理由があり,それに応じて対応も変わります。そのため,

「なぜそのような行動をするのか。」などについて,その背景を検証した上で,周囲が理解するこ

とが大切です。

気になる言動は,個人とその周囲との相互作用で起こります。そのため,認知面や行動

面の苦手さなど個人の要因と,その言動の直前や直後の状況など周囲の要因を踏まえて理

解しなければなりません。

例えば,個人の要因においては,「注意の持続が困難である。」,「決まりごとの意味の理

解が困難である。」などが考えられます。

また,周囲の要因においては,「窓側の席で外部からの刺激が多く,授業を聞く環境が整っ

ていない。」,「課題が難しい。」などが考えられます。

問題状況の背景の理解では,

具体的には,・・・

問題状況の分析では,

配慮が必要な生徒の気になる言動は,同じような状況の中で起こることが多いです。そのため,

きっかけや言動の結果がもたらした直後の対応などを分析し,予防的な配慮や手立てにつなげ

ることが大切です。

気になる言動は,誤って身に付けたコミュニケーションのひとつの手段かもしれないこ

とから,要求,注目,逃避など言動の要因を分析することが大切です。

例えば,「周囲の刺激が多い。」,「指示が曖昧である。」,「見通しがもてない。」などがきっ

かけとなって起こることが多いです。また,「教師が注意をする。」,「級友が注目する。」こ

とで,執拗に人とのかかわりをもとうとしたり,あるいは嫌な課題から逃避しようとした

りすることがあります。

いずれの場合でも,きっかけとなる状況を整理し,言動をエスカレートさせないための

予防的な配慮を施すことが大切です。

具体的には,・・・

これまで実践してきた生活指導等を見直したり工夫したりすることで,気になる言動が解決

されることがあります。そのため,適切な言動の具体例を踏まえながら分かりやすく指導や支援

をすることが大切です。

気になる言動を解決していくためには,授業中のルールを決めたり,周囲の環境を調整

したりすることが大切です。

例えば,「分からない時は,挙手をして教員に援助やヒントを求める。」など授業中の質

問のルールを決めるなどして,これについては,適切な行動であることを伝えます。

また,「座席を前にする。」,「課題の難易度や量を調整する。」など,周囲の環境を調整す

ることで気になる言動の解決にもつながります。

指導や支援の在り方の見直しでは,

14 15

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Q5

A5

問題状況の捉え方には,どのようなポイントがありますか?

○問題状況の背景の理解が大切です。

○問題状況の分析が大切です。

○指導や支援の在り方の見直しが大切です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒の気になる言動には理由があり,それに応じて対応も変わります。そのため,

「なぜそのような行動をするのか。」などについて,その背景を検証した上で,周囲が理解するこ

とが大切です。

気になる言動は,個人とその周囲との相互作用で起こります。そのため,認知面や行動

面の苦手さなど個人の要因と,その言動の直前や直後の状況など周囲の要因を踏まえて理

解しなければなりません。

例えば,個人の要因においては,「注意の持続が困難である。」,「決まりごとの意味の理

解が困難である。」などが考えられます。

また,周囲の要因においては,「窓側の席で外部からの刺激が多く,授業を聞く環境が整っ

ていない。」,「課題が難しい。」などが考えられます。

問題状況の背景の理解では,

具体的には,・・・

問題状況の分析では,

配慮が必要な生徒の気になる言動は,同じような状況の中で起こることが多いです。そのため,

きっかけや言動の結果がもたらした直後の対応などを分析し,予防的な配慮や手立てにつなげ

ることが大切です。

気になる言動は,誤って身に付けたコミュニケーションのひとつの手段かもしれないこ

とから,要求,注目,逃避など言動の要因を分析することが大切です。

例えば,「周囲の刺激が多い。」,「指示が曖昧である。」,「見通しがもてない。」などがきっ

かけとなって起こることが多いです。また,「教師が注意をする。」,「級友が注目する。」こ

とで,執拗に人とのかかわりをもとうとしたり,あるいは嫌な課題から逃避しようとした

りすることがあります。

いずれの場合でも,きっかけとなる状況を整理し,言動をエスカレートさせないための

予防的な配慮を施すことが大切です。

具体的には,・・・

これまで実践してきた生活指導等を見直したり工夫したりすることで,気になる言動が解決

されることがあります。そのため,適切な言動の具体例を踏まえながら分かりやすく指導や支援

をすることが大切です。

気になる言動を解決していくためには,授業中のルールを決めたり,周囲の環境を調整

したりすることが大切です。

例えば,「分からない時は,挙手をして教員に援助やヒントを求める。」など授業中の質

問のルールを決めるなどして,これについては,適切な行動であることを伝えます。

また,「座席を前にする。」,「課題の難易度や量を調整する。」など,周囲の環境を調整す

ることで気になる言動の解決にもつながります。

指導や支援の在り方の見直しでは,

14 15

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Q6

A6

級友との関係を築いていくためには,どのような工夫が必要ですか?

○相談しやすい環境づくりが必要です。 

○具体的な場面の設定が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,抱えている交友関係の課題の困難さから劣等感や無力感等を

感じやすくなっていることもあります。そのため,交友関係での悩みが生じたら,速やかに相談

にのることが大切です。

人の気持ちを想像したり,集団の一員としてのルールを把握したりすることが苦手な生

徒には,友人との気持ちや感覚の違い,社会常識の認識の違いなどに気づかせ,どのよう

に対応すればよいか教えることが大切です。

例えば,生徒の様子に違和感が感じられたら,早期に話を聞き,一人で考え込まないよ

うにアドバイスをしたり,あるいは生徒間のトラブルでは,複雑化する前に教員が間に立

ち問題状況の整理をし,解決策を生徒とともに考えたりするなどして,生徒との信頼関係

を築きながら相談しやすい環境づくりに努めることが大切です。

相談しやすい環境づくりでは,

具体的には,・・・

具体的な場面の設定では,

配慮が必要な生徒によっては,交友関係がうまく構築できるか不安を感じていることもあり

ます。そのため,一緒に活動できる場面や互いに共有できる題材を設定するなどして,少しず

つ交友関係が構築できるようにしていくことが大切です。

特定の異性に関心をもちながら,その異性との交友関係が円滑に築くことに困難が生じ

る場合など,生徒の抱える課題は様々です。そのため,自分の気持ちの伝え方や伝えた後

の対応について一緒に考える場を設定するとともに,課題解決に向けて話し合うことが大

切です。

また,その時の話し合いの留意点として,

●友人との距離の取り方,視線の向け方,話題提供の仕方,ふるまいなどについてしっ

かりと教えることが大切です。

●相手に告白をして,例えば「友達からね。」と言われ,その言葉が交際を断るために使

われた場合など,相手の気づかいのある言葉の深い意味を納得できるまで教え,適切

な行動がとれるように支援することが大切です。

●トラブルを起こした時などの場面を,4コマ漫画や吹き出しの付いた絵等を活用し,

「何が善いか,何が悪いのか?」を振り返り,場に適した行動や態度を教えることも大

切です。

などが考えられます。

吹き出し付き漫画絵の作成のポイント①自分や相手が,「何を言ったのか。」,「何を思ったのか。」,「次に何が起きたのか。」など, 場面ごとに漫画絵

を作成しましょう。

②特に,絵を手がかりに,トラブルの前後の流れは,しっかりと明らかにしましょう。

③流れが明らかになったら,「これまでの自分の発言や行動を相手がどう感じたか。」,「相手はどんな気持ち

になったのか。」,「同じような場面では, 今後どのようにふるまうべきか。」など, 一つ一つ焦点をしぼり論

理的な指導を展開しましょう。

※指導するに当たっては,よいところをしっかりと賞賛しながら,誤った行動を改善するよう説明しましょう。

 トラブルが発生した時こそ,冷静な話し合いの場を設定し,じっくり話し合うことが大切です。

16 17

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Q6

A6

級友との関係を築いていくためには,どのような工夫が必要ですか?

○相談しやすい環境づくりが必要です。 

○具体的な場面の設定が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,抱えている交友関係の課題の困難さから劣等感や無力感等を

感じやすくなっていることもあります。そのため,交友関係での悩みが生じたら,速やかに相談

にのることが大切です。

人の気持ちを想像したり,集団の一員としてのルールを把握したりすることが苦手な生

徒には,友人との気持ちや感覚の違い,社会常識の認識の違いなどに気づかせ,どのよう

に対応すればよいか教えることが大切です。

例えば,生徒の様子に違和感が感じられたら,早期に話を聞き,一人で考え込まないよ

うにアドバイスをしたり,あるいは生徒間のトラブルでは,複雑化する前に教員が間に立

ち問題状況の整理をし,解決策を生徒とともに考えたりするなどして,生徒との信頼関係

を築きながら相談しやすい環境づくりに努めることが大切です。

相談しやすい環境づくりでは,

具体的には,・・・

具体的な場面の設定では,

配慮が必要な生徒によっては,交友関係がうまく構築できるか不安を感じていることもあり

ます。そのため,一緒に活動できる場面や互いに共有できる題材を設定するなどして,少しず

つ交友関係が構築できるようにしていくことが大切です。

特定の異性に関心をもちながら,その異性との交友関係が円滑に築くことに困難が生じ

る場合など,生徒の抱える課題は様々です。そのため,自分の気持ちの伝え方や伝えた後

の対応について一緒に考える場を設定するとともに,課題解決に向けて話し合うことが大

切です。

また,その時の話し合いの留意点として,

●友人との距離の取り方,視線の向け方,話題提供の仕方,ふるまいなどについてしっ

かりと教えることが大切です。

●相手に告白をして,例えば「友達からね。」と言われ,その言葉が交際を断るために使

われた場合など,相手の気づかいのある言葉の深い意味を納得できるまで教え,適切

な行動がとれるように支援することが大切です。

●トラブルを起こした時などの場面を,4コマ漫画や吹き出しの付いた絵等を活用し,

「何が善いか,何が悪いのか?」を振り返り,場に適した行動や態度を教えることも大

切です。

などが考えられます。

吹き出し付き漫画絵の作成のポイント①自分や相手が,「何を言ったのか。」,「何を思ったのか。」,「次に何が起きたのか。」など, 場面ごとに漫画絵

を作成しましょう。

②特に,絵を手がかりに,トラブルの前後の流れは,しっかりと明らかにしましょう。

③流れが明らかになったら,「これまでの自分の発言や行動を相手がどう感じたか。」,「相手はどんな気持ち

になったのか。」,「同じような場面では, 今後どのようにふるまうべきか。」など, 一つ一つ焦点をしぼり論

理的な指導を展開しましょう。

※指導するに当たっては,よいところをしっかりと賞賛しながら,誤った行動を改善するよう説明しましょう。

 トラブルが発生した時こそ,冷静な話し合いの場を設定し,じっくり話し合うことが大切です。

16 17

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Q7

A7

将来の進路に向けた支援の進め方には,どのような工夫が必要ですか?

○実態に応じたキャリア教育の推進が必要です。

○特性に合わせた支援が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,高校や大学等から就労への移行が円滑に進まなかったり,職

場への不適応により短期間で離職したりするケースがあります。そのため,職業的自立に向け,

就業体験(インターンシップ)やボランティア活動等に取り組むことが大切です。

就業体験やボランティア活動等の取組により,職種についての理解が深まり,就きたい

職業や自分の適性にあった職業を選択する力が養われます。また,就労や社会貢献の意義

など職業的自立の基盤も培われます。これにより,豊かな人間性とともにキャリア発達が

促進されます。

実習先での意欲や適応力を高めるために,本人の希望や考えを尊重しつつ,能力や適性

に合った体験場所等を選択することも大切です。

実態に応じたキャリア教育の推進では,

具体的には,・・・

特性に合わせた支援では,

配慮が必要な生徒によっては,自分の特性を理解し,周りに合わせて活動することが難しい

ことがあります。そのため,体験活動等の成果を高めるために,事業主との密接な連携が大切

です。

生徒が,「得意なこと。」,「苦手なこと。」の情報を事業主等に提供をし,苦手な部分につ

いては,それを補うための具体的な方法を伝え,得意な部分については,その能力を活用

してもらうよう伝えることが大切です。

また,

学校での事前指導で工夫することは,

●事前に,体験先等の様子を写真やイラスト等で視覚的に伝えたり,職場等の下見をし

たりするなどして,少しでも体験先での不安を解消しておくことが大切です。

●指示をメモに取る習慣を身に付けたり,分からない時は自分で判断せず質問したり支

援を求めたりする態度を養うことが大切です。

などが考えられます。

事業主等に配慮していただくことは,

●活動に集中できるよう,業務等を短時間に設定することです。

●指示は短く,1回に一つにするなど分かりやすく示すことです。

●間違いがあった場合は,具体的な指示を出し生徒自身が修正することです。

●手本を見せるなど視覚的な補助手段を示すことです。

●時間や内容の変更は,事前に連絡し混乱を避けることです。

●業務の役割分担を明確にし,周囲の協力を得ることです。

などが考えられます。

18 19

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Q7

A7

将来の進路に向けた支援の進め方には,どのような工夫が必要ですか?

○実態に応じたキャリア教育の推進が必要です。

○特性に合わせた支援が必要です。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

配慮が必要な生徒によっては,高校や大学等から就労への移行が円滑に進まなかったり,職

場への不適応により短期間で離職したりするケースがあります。そのため,職業的自立に向け,

就業体験(インターンシップ)やボランティア活動等に取り組むことが大切です。

就業体験やボランティア活動等の取組により,職種についての理解が深まり,就きたい

職業や自分の適性にあった職業を選択する力が養われます。また,就労や社会貢献の意義

など職業的自立の基盤も培われます。これにより,豊かな人間性とともにキャリア発達が

促進されます。

実習先での意欲や適応力を高めるために,本人の希望や考えを尊重しつつ,能力や適性

に合った体験場所等を選択することも大切です。

実態に応じたキャリア教育の推進では,

具体的には,・・・

特性に合わせた支援では,

配慮が必要な生徒によっては,自分の特性を理解し,周りに合わせて活動することが難しい

ことがあります。そのため,体験活動等の成果を高めるために,事業主との密接な連携が大切

です。

生徒が,「得意なこと。」,「苦手なこと。」の情報を事業主等に提供をし,苦手な部分につ

いては,それを補うための具体的な方法を伝え,得意な部分については,その能力を活用

してもらうよう伝えることが大切です。

また,

学校での事前指導で工夫することは,

●事前に,体験先等の様子を写真やイラスト等で視覚的に伝えたり,職場等の下見をし

たりするなどして,少しでも体験先での不安を解消しておくことが大切です。

●指示をメモに取る習慣を身に付けたり,分からない時は自分で判断せず質問したり支

援を求めたりする態度を養うことが大切です。

などが考えられます。

事業主等に配慮していただくことは,

●活動に集中できるよう,業務等を短時間に設定することです。

●指示は短く,1回に一つにするなど分かりやすく示すことです。

●間違いがあった場合は,具体的な指示を出し生徒自身が修正することです。

●手本を見せるなど視覚的な補助手段を示すことです。

●時間や内容の変更は,事前に連絡し混乱を避けることです。

●業務の役割分担を明確にし,周囲の協力を得ることです。

などが考えられます。

18 19

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Q8

A8

「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を活用するに当たって,どのようなポイントがありますか?

○PDCAサイクルの積み重ねが大切です。

○情報共有と引き継ぎが大切です。

具体的には,・・・

情報共有と引き継ぎでは,

配慮が必要な生徒には,担任を含め教科担当や養護教諭など複数の関係者がかかわります。

そのため,必要な情報を共有し,一人一人に応じた一貫性のある指導や支援を行うことが大切

です。

また,成長に伴い,生徒にかかわる関係者・関係機関が変わることから,必要な情報を引き

継ぎ連携を図りながら,継続した指導や支援を行うことが大切です。

適切な生活指導や学習指導を実践するために,校内委員会や学年会を活用し,生徒の特

性や実態について教員間で共通理解を図ることが大切です。

また,進学先や転学先,就職先の理解や支援継続のために,生徒の特徴や今までどのよ

うな指導・支援を行ってきたかなど,その後の支援に必要な資料を引き継ぐことが大切です。

いずれの場合でも,学校,保護者,関係機関が個人情報の利用・保護について取り決め

を行う必要があります。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

個別の教育支援計画や個別の指導計画は,作成が目的ではなく一人一人に応じた一貫性のあ

る継続した指導や支援を実現するためにあります。そのため,計画→実施→評価→改善を積み

重ね,効果的に機能させることが大切です。

また,生徒の生活・学習状況やニーズは変化するので,評価の方法や工夫についても,学校

全体で考えていくことも大切です。

PDCAサイクルの積み重ねでは,

校内委員会や事例検討会などで,生徒の生活面や学習面,社会面の変容と,それぞれの

指導や支援の手立ての有効性を検討し,さらに保護者や関係機関等の意見を踏まえた上で,

次の計画に反映することが大切です。

また,学期末,年度末など年間計画の中に,評価の方法や工夫についても学校全体で検

討する場を設けるなどして,生徒の変化に対応し考えることも大切です。

20 21

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Q8

A8

「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を活用するに当たって,どのようなポイントがありますか?

○PDCAサイクルの積み重ねが大切です。

○情報共有と引き継ぎが大切です。

具体的には,・・・

情報共有と引き継ぎでは,

配慮が必要な生徒には,担任を含め教科担当や養護教諭など複数の関係者がかかわります。

そのため,必要な情報を共有し,一人一人に応じた一貫性のある指導や支援を行うことが大切

です。

また,成長に伴い,生徒にかかわる関係者・関係機関が変わることから,必要な情報を引き

継ぎ連携を図りながら,継続した指導や支援を行うことが大切です。

適切な生活指導や学習指導を実践するために,校内委員会や学年会を活用し,生徒の特

性や実態について教員間で共通理解を図ることが大切です。

また,進学先や転学先,就職先の理解や支援継続のために,生徒の特徴や今までどのよ

うな指導・支援を行ってきたかなど,その後の支援に必要な資料を引き継ぐことが大切です。

いずれの場合でも,学校,保護者,関係機関が個人情報の利用・保護について取り決め

を行う必要があります。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

個別の教育支援計画や個別の指導計画は,作成が目的ではなく一人一人に応じた一貫性のあ

る継続した指導や支援を実現するためにあります。そのため,計画→実施→評価→改善を積み

重ね,効果的に機能させることが大切です。

また,生徒の生活・学習状況やニーズは変化するので,評価の方法や工夫についても,学校

全体で考えていくことも大切です。

PDCAサイクルの積み重ねでは,

校内委員会や事例検討会などで,生徒の生活面や学習面,社会面の変容と,それぞれの

指導や支援の手立ての有効性を検討し,さらに保護者や関係機関等の意見を踏まえた上で,

次の計画に反映することが大切です。

また,学期末,年度末など年間計画の中に,評価の方法や工夫についても学校全体で検

討する場を設けるなどして,生徒の変化に対応し考えることも大切です。

20 21

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Q9

A9

校内研修会を充実させるためには,どのようなポイントがありますか?

具体的には,・・・

学校の実状に即した研修内容の設定では,

校内研修会は,特別支援教育への理解推進を図る貴重な機会です。教員が「取り組んでみよう!」と意欲がでる内容にするために,教員が「何を学びたいか?」,「何を必要としているか?」などについて意識している内容を設定することが大切です。

「特別支援教育の必要性」,「学力向上との関連性」,「発達障害等への理解」,「特別支援教育への意識や考え方」,「校内委員会の校務分掌上の位置付け」などを研修内容や題材とした上で,現在,学校が取り組んでいることを踏まえつつ「困っていること」,「検討しなければならないこと」などの課題や実態を明確にし,校内のニーズを把握していくことが大切です。 また,そのニーズを把握した後,特別支援教育の理解,校内支援体制の推進等の目的をさらに明確にし,生徒理解の視点に立った支援方法やケース会議の進め方などの内容を,長期的な見通しをもって計画することが大切です。

具体的には,・・・

目的に即した適切な研修形態の選択では,

校内研修会の充実のためには,設定した目的,内容等が明らかになり,職員全体でそれについて共通理解を図ることが必要です。そのため,学校の実状に合致した研修形態を選択することが大切です。

研修の形態には様々なものがあります。 例えば,大学や特別支援学校等に講師派遣を依頼し,専門的な視点で一人一人の教育

的ニーズに応じた助言をいただき,その後の校内における特別支援教育のさらなる充実を図る形態があります。また,校内における成功事例や課題事例を特別支援教育コーディネーターが中心となり,実践報告会や事例検討会を開催するなどして,敏速に対応した研修形態もあります。 どのような形態の場合でも,知識が実践につながるように,学び合う体制を学校全体で構築する必要があります。そのため,校内の人材を育成し継続的に,かつ計画的に校内研修に取り組んでいくことが大切です。

その理由は,・・・

特別な支援を必要とする生徒を支えるためには,特別支援教育に関する委員会等が組織的に運用されることが必要です。そのため,校長のリーダーシップのもと,学校全体による校内支援体制の充実が図られた上で,教員の専門性を向上する校内研修会が開催されることが大切です。

校内支援体制の充実では,

特別支援教育に関する委員会では,生徒一人一人の教育的ニーズを踏まえた支援策の検討などを,管理職や生徒指導主事,特別支援教育コーディネーター等が中心となり進めて行くことが大切です。また,特別支援教育を推進するに当たって,必要な研修を企画運営したり,個に応じた課題解決に向けた事例検討会等を開催したりすることも大切です。

○校内支援体制の充実が大切です。

○学校の実状に即した研修内容の設定が大切です。

○目的に即した適切な研修形態の選択が大切です。

具体的には,・・・

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Q9

A9

校内研修会を充実させるためには,どのようなポイントがありますか?

具体的には,・・・

学校の実状に即した研修内容の設定では,

校内研修会は,特別支援教育への理解推進を図る貴重な機会です。教員が「取り組んでみよう!」と意欲がでる内容にするために,教員が「何を学びたいか?」,「何を必要としているか?」などについて意識している内容を設定することが大切です。

「特別支援教育の必要性」,「学力向上との関連性」,「発達障害等への理解」,「特別支援教育への意識や考え方」,「校内委員会の校務分掌上の位置付け」などを研修内容や題材とした上で,現在,学校が取り組んでいることを踏まえつつ「困っていること」,「検討しなければならないこと」などの課題や実態を明確にし,校内のニーズを把握していくことが大切です。 また,そのニーズを把握した後,特別支援教育の理解,校内支援体制の推進等の目的をさらに明確にし,生徒理解の視点に立った支援方法やケース会議の進め方などの内容を,長期的な見通しをもって計画することが大切です。

具体的には,・・・

目的に即した適切な研修形態の選択では,

校内研修会の充実のためには,設定した目的,内容等が明らかになり,職員全体でそれについて共通理解を図ることが必要です。そのため,学校の実状に合致した研修形態を選択することが大切です。

研修の形態には様々なものがあります。 例えば,大学や特別支援学校等に講師派遣を依頼し,専門的な視点で一人一人の教育

的ニーズに応じた助言をいただき,その後の校内における特別支援教育のさらなる充実を図る形態があります。また,校内における成功事例や課題事例を特別支援教育コーディネーターが中心となり,実践報告会や事例検討会を開催するなどして,敏速に対応した研修形態もあります。 どのような形態の場合でも,知識が実践につながるように,学び合う体制を学校全体で構築する必要があります。そのため,校内の人材を育成し継続的に,かつ計画的に校内研修に取り組んでいくことが大切です。

その理由は,・・・

特別な支援を必要とする生徒を支えるためには,特別支援教育に関する委員会等が組織的に運用されることが必要です。そのため,校長のリーダーシップのもと,学校全体による校内支援体制の充実が図られた上で,教員の専門性を向上する校内研修会が開催されることが大切です。

校内支援体制の充実では,

特別支援教育に関する委員会では,生徒一人一人の教育的ニーズを踏まえた支援策の検討などを,管理職や生徒指導主事,特別支援教育コーディネーター等が中心となり進めて行くことが大切です。また,特別支援教育を推進するに当たって,必要な研修を企画運営したり,個に応じた課題解決に向けた事例検討会等を開催したりすることも大切です。

○校内支援体制の充実が大切です。

○学校の実状に即した研修内容の設定が大切です。

○目的に即した適切な研修形態の選択が大切です。

具体的には,・・・

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Q10

A10

関係機関と連携するに当たって,どのようなポイントがありますか?

○連携の目的の明確化が大切です。

○目的に即した関係機関との連携が大切です。具体的には,・・・

目的に即した関係機関との連携では,

関係機関には,教育,医療,福祉,労働等の機関があります。それぞれの機関では役割や業

務内容が異なるので,どの機関が,その課題解決に向けて適切かを検討することが必要です。

そのため,迅速な対応をしていくために,日頃より,地域にどのような関係機関があるのかを確

認し,相談ができる体制を構築しておくことが大切です。

県内全域には様々な相談関係機関があります。

例えば,

●教育関係については,県教育研修センターや県立特別支援学校など

●医療関係については,県立こころの医療センターや地域の病院など

●福祉関係については,市町村の福祉担当課又は児童相談所など

●労働関係については,障害者職業センター,ハローワークなどがあります。

このような機関の場所や相談時間をしっかりと校内で把握しておくことが大切です。

特に地域の県立特別支援学校では,発達検査などによる困難な状況等の把握や支援方

法についての助言,さらには個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成の支援をしたり,

必要に応じ校内研修会の支援をしたりするなど,地域における特別支援教育の充実のため

のバックアップ体制を整備しております。このため,校内の実状に即した関係機関の紹介

や連絡調整についても対応しております。           

ただし,保護者への説明責任や承諾が必要な場合がありますので,その点については十

分に留意しなければなりません。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

効果的な連携を図るためには,校内において生徒の特性や実態を把握し課題を整理した上で,

どの課題をどの関係機関と連携するのがより適切かを検討することが大切です。

連携の目的の明確化では,

事例検討会等で,学校や生徒の状況について職員が共通理解を図り,関係機関からどの

ような助言や支援を受けることが必要かを検討することが大切です。

また,「困難なケースへの支援方法」,「発達障害等を含めた特別な支援を必要とする生

徒への指導上のアドバイス」,「医療的な配慮事項とその対応」,「福祉的支援の情報」など,

何を必要としているのかを具現化していくことも大切です。

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Q10

A10

関係機関と連携するに当たって,どのようなポイントがありますか?

○連携の目的の明確化が大切です。

○目的に即した関係機関との連携が大切です。具体的には,・・・

目的に即した関係機関との連携では,

関係機関には,教育,医療,福祉,労働等の機関があります。それぞれの機関では役割や業

務内容が異なるので,どの機関が,その課題解決に向けて適切かを検討することが必要です。

そのため,迅速な対応をしていくために,日頃より,地域にどのような関係機関があるのかを確

認し,相談ができる体制を構築しておくことが大切です。

県内全域には様々な相談関係機関があります。

例えば,

●教育関係については,県教育研修センターや県立特別支援学校など

●医療関係については,県立こころの医療センターや地域の病院など

●福祉関係については,市町村の福祉担当課又は児童相談所など

●労働関係については,障害者職業センター,ハローワークなどがあります。

このような機関の場所や相談時間をしっかりと校内で把握しておくことが大切です。

特に地域の県立特別支援学校では,発達検査などによる困難な状況等の把握や支援方

法についての助言,さらには個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成の支援をしたり,

必要に応じ校内研修会の支援をしたりするなど,地域における特別支援教育の充実のため

のバックアップ体制を整備しております。このため,校内の実状に即した関係機関の紹介

や連絡調整についても対応しております。           

ただし,保護者への説明責任や承諾が必要な場合がありますので,その点については十

分に留意しなければなりません。

具体的には,・・・

その理由は,・・・

効果的な連携を図るためには,校内において生徒の特性や実態を把握し課題を整理した上で,

どの課題をどの関係機関と連携するのがより適切かを検討することが大切です。

連携の目的の明確化では,

事例検討会等で,学校や生徒の状況について職員が共通理解を図り,関係機関からどの

ような助言や支援を受けることが必要かを検討することが大切です。

また,「困難なケースへの支援方法」,「発達障害等を含めた特別な支援を必要とする生

徒への指導上のアドバイス」,「医療的な配慮事項とその対応」,「福祉的支援の情報」など,

何を必要としているのかを具現化していくことも大切です。

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さらに詳しく知るために3

茨城県教育研修センター 

個に応じた指導専門員 (作成者 )

監 修  筑波大学附属学校教育局 教授 石隈 利紀

県立水戸飯富養護学校教諭 根本  かおり (平成22年度) 県立水戸高等養護学校教諭 中田  弘美 (平成22・23年度) 県立友部養護学校教諭 内田  幸枝 (平成22・23年度)県立勝田養護学校教諭 菊間  みゆき (平成23年度) 県立鹿島養護学校教諭 石上  智子 (平成23年度) 県立美浦養護学校教諭 加来  慎也 (平成23年度) 県立つくば養護学校教諭 江幡  範子 (平成22年度) 県立下妻養護学校教諭 大木   勉 (平成23年度)

平成23年度高等学校個に応じた指導専門員派遣事業事例集検討委員会事務局

県教育庁特別支援教育課長          飯塚  裕治 県教育庁特別支援教育課総括課長補佐     田口  克弥 県教育庁特別支援教育課指導担当課長補佐   岡部 しのぶ 県教育庁特別支援教育課指導担当主任指導主事 十河  克次県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   宮山  敬子 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   中村  千秋 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   廣木  恒夫県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   渡部  史惠 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   森   正貴 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事   堤   祐二

茨城県教育研修センター及び国立特別支援教育総合研究所発達障害教育情報センターのホームページをご覧ください。  

茨城県教育研修センターHPへのアクセス方法

国立特別支援教育総合研究所発達障害教育情報センターHPへのアクセス方法 

研修資料等    特別支援教育課

支援・指導 学校における支援指導

研修講義

国立特別支援教育総合研究所発達障害教育情報センター 

文部科学省委託特別支援教育総合推進事業高等学校発達障害児支援専門員派遣事業(高等学校個に応じた指導専門員派遣事業 )

高等学校における特別支援教育みんなで取り組もう

~特別な支援を必要とする生徒への支援のための手引き (応用編 )~

平成 24 年3月 発行

  発行者茨城県教育委員会

〒310-8588 水戸市笠原町 978 番 6電話 029-301-5298

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個に応じた指導専門員 (作成者 )

監 修  筑波大学附属学校教育局 教授 石隈 利紀

県立水戸飯富養護学校教諭 根本  かおり (平成22年度) 県立水戸高等養護学校教諭 中田  弘美 (平成22・23年度) 県立友部養護学校教諭 内田  幸枝 (平成22・23年度)県立勝田養護学校教諭 菊間  みゆき (平成23年度) 県立鹿島養護学校教諭 石上  智子 (平成23年度) 県立美浦養護学校教諭 加来  慎也 (平成23年度) 県立つくば養護学校教諭 江幡  範子 (平成22年度) 県立下妻養護学校教諭 大木   勉 (平成23年度)

平成23年度高等学校個に応じた指導専門員派遣事業事例集検討委員会事務局

県教育庁特別支援教育課長 飯塚  裕治 県教育庁特別支援教育課総括課長補佐 田口  克弥 県教育庁特別支援教育課指導担当課長補佐 岡部 しのぶ 県教育庁特別支援教育課指導担当主任指導主事 十河  克次県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 宮山  敬子 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 中村  千秋 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 廣木  恒夫県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 渡部  史惠 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 森   正貴 県教育庁特別支援教育課指導担当指導主事 堤   祐二

文部科学省委託特別支援教育総合推進事業高等学校発達障害児支援専門員派遣事業(高等学校個に応じた指導専門員派遣事業 )

高等学校における特別支援教育みんなで取り組もう

~特別な支援を必要とする生徒への支援のための手引き (応用編 )~

平成 24 年3月 発行

  発行者茨城県教育委員会

〒310-8588 水戸市笠原町 978 番 6電話 029-301-5298

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