qc 七つ道具1/23 2017年 5月18日 フェニテック セミコンダクター 株式会社...

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1/23 2017518フェニテック セミコンダクター 株式会社 [email protected] QC 七つ道具 1. データとバラツキ 2 ~ 4 /23 2. 工程能力 ( CpCpk ) 5~ 6 /23 3. ヒストグラム 7~ 11 /23 4. 管理図 12~ 19 /23 5. パレート図 20~ 21 /23 6. 散布図 22 /23 7. チェックシート 23 /23 Go to Home Page

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2017年 5月18日

フェニテック セミコンダクター 株式会社

[email protected]

QC 七つ道具

1. データとバラツキ 2 ~ 4 /23

2. 工程能力 ( Cp、Cpk ) 5~ 6 /23

3. ヒストグラム 7~ 11 /23

4. 管理図 12~ 19 /23

5. パレート図 20~ 21 /23

6. 散布図 22 /23

7. チェックシート 23 /23

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1.データとバラツキ

1.バラツキということ

はじめにバラツキのことからお話ししましょう。

ある日、キャンディーを1袋買ってきました。このキャンディーの1個づつの重さを

測定してみたところ、次のようでした。

表1:キャンディーの重さ (単位 [g])

No データ No データ No データ No データ No データ

1 5.35 6 5.60 11 5.75 16 5.40 21 5.75

2 5.20 7 5.50 12 5.65 17 5.80 22 5.50

3 5.45 8 5.60 13 5.55 18 5.30 23 5.40

4 5.50 9 5.70 14 5.15 19 5.30 24 5.20

5 5.60 10 5.85 15 5.40 20 5.50 25 5.60

私達の身の回りには、工場でも事務所や家庭でもこのようにデータと呼ばれるものが

たくさん考えられます。そこで、このようなデータの取り扱い方を勉強して、データ

が私達に教えてくれるものを出来るだけ多く知ろうと思います。

2.データの見方

表1でわかるように、買って来たキャンディーの重さは『だいたい 5.60[g]である』

と予測出来ます。

ここでは、もう一歩踏み込んで、これらのデータを処理してみましょう。

データのうち、最小値は 5.15[g]で最大値は 5.85[g]ですから、0.1[g]単位に区切

ってその間にあるキャンディーの重さの様子を調べてみると次のようになります。

データ データ区切りの幅 の個数 区切りの幅 の個数

 5.10 g ~ 5.20 g の間に  5.50 g ~ 5.60 g の間に

 あるもの(5.10g を含む) 1個  あるもの(5.50g を含む) 5個

 5.20 g ~ 5.30 g の間に  5.60 g ~ 5.70 g の間に

 あるもの(5.20g を含む) 2個  あるもの(5.60g を含む) 5個

 5.30 g ~ 5.40 g の間に  5.70 g ~ 5.80 g の間に

 あるもの(5.30g を含む) 3個  あるもの(5.70g を含む) 3個

 5.40 g ~ 5.50 g の間に  5.80 g ~ 5.90 g の間に

 あるもの(5.40g を含む) 4個  あるもの(5.80g を含む) 2個

これを図にすると、次のようになります。

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ヒストグラム

6

5数 4

度 3

2

1

0

5.0

0

5.1

0

5.2

0

5.3

0

5.4

0

5.5

0

5.6

0

5.7

0

5.8

0

5.9

0

このようにデータを観察する為に、度数分布表を作って図(ヒストグラムという)に

書いてみると、「データというものは、必ずバラツキを持っている」ことがよくわか

ると思います。

そしてこのバラツキの仕方にはバラツキの幅と、「あるデータのあらわれ方が、他

のデータのあらわれ方よりも際立って多い」というような中心的な傾向を持っている

ことに気がつくでしょう。

このようにデータがバラツキの幅と中心的な傾向を持ってバラツイていることを「あ

る分布をしているデータ」といいます。

3.データの種類とその分布

3.1. データの種類

データの種類は、大きく分けると2種類あります。

「計量値」 ..... 測定して得られるデータ (例) 長さ・重さ・時間

「計数値」 ..... 数えて得られるデータ (例) 不良数・欠点数

1.00 1

3.2. 「数量値」と「計数値」の分布 2.00 1.2

3.00 1.8

4.00 3

5.00 5

「計量値」 6.00 5

(連続型分布) 7.00 3

8.00 1.8

9.00 1.2

10 1X

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「計数値」

(離散型分布) 1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6

7

8

計数値の分布には、この他に「二項分布」があります。 9

10

11

12

13

14

15

ポアソン分布

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 工程能力とは、工程のもつ品質に関する能力を言う。工程のバラツキである6σと規格幅を比較

したもの「Cp」である。「Cpk」とは、X(平均値)が規格の中心値よりどれだけずれているかを考慮

したものである。

1.工程能力指数

 工程能力指数(Cp、Cpk)は、工程の質的能力を示す尺度の一つであり、以下の式に

よって計算されます。

USL : 上限規格値

LSL : 下限規格値

σ : 標準偏差

X : 工程平均値

2.判断基準

Cp、Cpkも同様であり、Cp値で工程能力を次の様に評価する。

工程能力指数 判断基準

Cp/Cpk≧1.67 工程能力は十分すぎる

1.67>Cp/Cpk≧1.33 工程能力は十分である

1.33>Cp/Cpk≧1.00 工程能力はほぼ良好である

1.00>Cp/Cpk≧0.67 工程能力は不足している

0.67>Cp/Cpk 工程能力は非常に不足している

(参考) Cp/Cpk≧1.33    フェニテックの目標

2.工程能力(Cp,Cpk)

規格

両側規格値

Cp

USL-LSL

Cpk

  Cpk=Cp(1-K)

K=1/2×規格幅

|規格中心値-工程平均値|(USL,LSL) 6σ

Cp

CpX-LSL

3σ

下限規格値

(LSL)

上限規格値

(USL)

USL-X

3σ

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(注意) 1.両側規格の場合は、Cpが1.33以上でも分布の平均値 Xが

規格の中心値(ネライ値)に管理されないと規格外品が発生する為、

必ずCpとCpkの両方で判断すること。

2.Cpkについても、同じ判断基準を用いる。

両側規格 片側規格

(上限規格)

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3.ヒストグラム

1.ヒストグラムとは

同じ原料、同じ機械、同じ作業者が、作業標準どおりの正しい仕事をしても、出来

あがった製品の品質を測定したデータ(品質特性値)は同じ値にならず、バラツキが

ある。バラツキを持つデータの全体の姿をつかむのが度数表やヒストグラムである。

(1)度 数 表

度数表とは、「測定した計量値のデータを、あらかじめ特性値を区間分けしておき、

データが得られる度にマークして分布の姿が見られるようにした表」である。

次の表1は、自動車部品に用いる鋼線1,200本を切断(切断長さの規格は255±4)

し、その切断した鋼線の長さを調べるためランダムに100本抜き取って、その長さを

測定して度数表を作成した例である。度数表はチェックシートでもあることを正しく理解

して作成することが必要である。

表 1 鋼線切断長さの度数表

No 区 間 区間の中心値 度数マーク 度 数

1 250.5 ~ 251.5 251 1

2 251.5 ~ 252.5 252 3

3 252.5 ~ 253.5 253 15

4 253.5 ~ 254.5 254 19

5 254.5 ~ 255.5 255 24

6 255.5 ~ 256.5 256 14

7 256.5 ~ 257.5 257 12

8 257.5 ~ 258.5 258 7

9 258.5 ~ 259.5 259 3

10 259.5 ~ 260.5 260 2

合 計   100

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(2)ヒストグラム

ヒストグラムとは、「データの存在する範囲を一定の幅でいくつかの区間に分け、

各区間にはいるデータの数を数えて度数表をつくり、各区間を底辺として度数に比例

する高さの柱(長方形)を並べた図」である。

表1の度数表から、図1のヒストグラムを作成した。このヒストグラムを見ると、規格上限を

はずれているものが2個(2%)あることがわかる。

① 規格を満足させるためには「ばらつき」を小さくする必要がある。

② ヒストグラムの中心値と規格の中心値はほぼ等しいので、中心値(X)を変更

する必要はない。

③ 小集団活動では「ばらつき」を小さくし工程品質能力を向上する活動が必要

である。

といったことがわかる。

このようにヒストグラムの作成と活用は、小集団活動では非常に重要である。

しかし、小集団活動を導入したときから活用することはむずかしい。2~3年経過した

時期から勉強し、上司やスタッフの指導・助言を受けて活用できるテーマを選定する

ことが必要である。

規格中心

図1 鋼線切断長さのヒストグラム

規格下限

n=100

規格上限

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

250 252 254 256 258 260

度 数

鋼線切断長さ(mm)

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2.ヒストグラムの使い方

(1)特性値(品質)の全体の姿を見る

ヒストグラムを見るときは、小さな凹凸は無視して全体の姿を見る。見るときには

次の点に注意する。

1) 全体としてどのようにバラツイているか。

2) 全体の中心(平均値)はどのくらいか。

3) バラツキの大きさはどのくらいか。

工程が安定していれば(バラツキの原因がよく管理されていれば)、ヒストグラム

は中心に山が1つあり、左右に裾を引くなめらかな形になる。

(2)規格や目標値と比較する

(3)ヒストグラムの姿をみることにより工程の異常をつかむ

ヒストグラムの姿に絶壁型、山が2つあるもの、飛び離れたデータをとるものなど

があれば、そのデータの間に異質なものがあることを示している。これはバラツキの

原因に異常があった   工程の異常   を示している。

(4)改善の前後の特性値(品質)の比較ができる

特性値(品質)の特性値やバラツキを改善した場合、改善前のヒストグラムと改善

後のヒストグラムを比較してみると、改善の効果が具体的につかめる。

改 善 前 改 善 後

図2 ヒストグラムによる成果の確認

0 10 20 300 10 20

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   ステップ1:データを集める

(50個から100個程度)

   ステップ2:レンジ(R)を計算する

レンジ(R)=最大値-最小値

   ステップ3:級の数(k)を決める

級の数(k)はデータの数をルートで開いた数と覚えておくとよい

例えばデータ数が50個の場合

√50= 約7 つまり7本の柱ができる

   ステップ4:級の幅(h)を決める

級の幅(h)はレンジの級を数(h)で割った答えに近い測定単位の整数倍

にする

レンジ(R) 測定単位×1=回答(ロ)

級の数(k) 測定単位×2=回答(ハ)

測定単位×3=回答(ニ)

測定単位×4=回答(ホ)

回答(イ)にもっとも近いもので、なおかつ回答(イ)より大きいものを、

回答(ロ)、回答(ハ)、回答(ニ)、回答(ホ)....の中から選んで級の

幅(h)にする

   ステップ5:級の限界(級の区間、級の境界)を決める

級の境界の出発点=最小値-(測定単位×1/2)

出発点を決めたら順番に級の幅をたして、最大値を含む級まで決めて、度数

表の級の限界(級の区間、級の境界)の欄に記入する

   ステップ6:度数表の各級に入るデータをチェックする

   ステップ7:度数表をもとにヒストグラムを書く

(図にタイトル・規格・平均・σを入れる)

   ステップ8:ヒストグラムから読み取った事柄を記入する

※ 必ずデータの履歴や、作成年月日、作成者、読み取った事柄を記入する

=回答(イ)

ヒストグラムの簡単な作り方

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ヒストグラムの見方のポイント

1. チェックポイント

(1) 分布の中心はどの位置か

(2) 平均値はどの辺か

(3) バラツキはどの位あるか

(4) 分布は右か左にひずんでいないか

(5) 異常に尖ったり、平らになっていないか

(6) 二山や離れ小島になっていないか

(7) 分布の一方(または両方)が切り取られた断崖になっていないか

(8) 歯抜けが一つおき位いに連続していないか

(9) データを層別してみる必要がないか

(10) 規格値や標準値から外れているものはないか、余裕がどの程度あるか

2. 安定した工程のヒストグラムの型は正常型(一般型)になると考えてよいでしょう。

3. 不良のデータがなくても、分布が規格値いっぱいまで広がっているときは、

不良品の出る可能性があると考えます。

ヒストグラムの各部の名称

重要ポイント

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1.管理図とは

管理図は品質特性値(データ)のバラツキを

① 偶然原因によるバラツキ........................避けることが出来ない

② 見逃せない原因(異常原因)によるバラツキ......避けることが出来る

の2つに区別する。工程の中で異常原因によるバラツキを除き、偶然原因によるバラツキ

 だけにする。この状態を安定な状態または管理状態という。

管理図とは、「工程が安定な状態にあるかどうかを調べるため、または、工程を安定な

 状態に維持するために用いる図である」と定義されている。

管理図には、管理限界を示す一対の線を引いておき、これに品質または工程の条件

などを表わす点を打っていき、点が管理限界線の中にあり、点の並び方に癖(クセ)がなけれ

ば工程は安定な状態にあり、管理限界線の外に出たり点の並び方に癖が現れれば、見

のがせない原因があったことを示す。見逃せない原因があったことがわかれば、その原因

を調べ、工程に対して再び起こらないような処置を講ずることにより、工程を安定な状態に

保持することが出来る。

図1は化粧品の内容量(g)のX-R (平均値と範囲)管理図、図2は化粧品のラベル不良

のpn (不良個数)管理図である。

管理図は、管理図を使う目的によって次のように分けられている。

① 解析用管理図:過去のデータが同じ条件で取られたものかを調べる時に用いる

管理図

② 管理用管理図:工程を管理状態に保つために用いる管理図

管理図の種類

また管理図には次に示すような種類の管理図がある。

① 計数値の管理図:計数値の管理図は1つ2つと数えて得られるデータで作成

する管理図で、「pn 管理図;不良個数管理図」「p 管理図;不良率

管理図」「c 管理図」「u 管理図」などがある。

② 計量値の管理図:計量値の管理図は、計って得られるデータで作成する管理

図で、長さ、重さ、時間といった計量的に得られるデータを使う管理図 には

「X-R 管理図;平均値と範囲の管理図」「X-R 管理図;エック ス・メジアン管理

図という」「X管理図;得られたデータをそのまま使う管理図」といった種類の管理

図がある。

4.管 理 図

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次の図1は化粧品の内容量(g)のX-R 管理図(平均値と範囲)の例で、

 QCサークルで活用した実例である。(他社) 

 また、図2は図1で示した同じ化粧品の製造工程で「ラベル不良」の pn管理図(不良個数)である。

計量値の管理図と計数値の管理図を活用して工程管理を行った事例である。

 図2  化粧品の組立工程でのトラブル不良のpn管理図

図1 化粧品の内容量のX-R管理図

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2.管理図の使い方

(1) 工程が安定な状態にあるかどうかを調べる

図1 をみると群番号19のXの値が管理限界をはずれている。また群番号7~9は管理限界

近くに3点中2点ある。これから、図1 の工程は安定な状態とは言えない。図2 は、pnの値が

中心線を中心にバラツキ、管理限界を外れた点も無 い。安定な状態にあると言える。

(2) 工程を安定な状態に維持する

工程が安定な状態にあれば、管理線(中心線・管理限界線)を延長し、そこに工程 から得

られたデータから、X、R、 またはpn などを打点する。

打点された点が管理限界内にあれば、工程は安定な状態にあると判断する。

もし、打点された点が管理限界の外に出れば、これは見逃せない原因によるバラツキであり、

異常なことが発生したと判断して異常原因を探し出して処置をとる。このような処置により、

工程を安定な状態に維持する。

(3) 長期にわたる工程の変化をつかむ

管理図を使うことによって、工程改善の効果、工程能力の向上の程度など、工程の変化を

長期間にわたって確実に掴むことが出来る。

   図3 管理図による成果の確認

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管理図による工程に対する判定

(a) 点が管理限界線の内にあり、点の並び方にクセがない時、工程は、

○ 偶然原因による変動の範囲内にあり、

○ 管理(安定)状態にある。

(b) 点が管理限界線の外に出たり、点の並び方にクセがある時、工程は、

○ 異常原因による変動が発生し、

○ 管理(安定)状態にない。

管理図の種類

(a) データの種類による分類

データの種類 管理図の名称 記 号

平均値と範囲の管理図 X-R (エックスバー・アール)管理図

計 量 値 個々の測定値の管理図 X(エックス)管理図

不良率管理図 P (ピー)管理図

不良個数管理図 Pn (ピー・エヌ)管理図

計 数 値 欠点数管理図 C (シー)管理図

単位当り欠点数管理図 U (ユー)管理図

(b) 用途による分類

① 解析用管理図

ある期間の予備データをとり、工程が管理状態にあるかどうかを調べる

ための管理図。管理状態になければ、その原因を追求して処置をとります。

② 管理用管理図

管理状態を示す解析用管理図を延長し、毎日のデータを打点し、工程の

よい状態を維持、管理していくための管理図。

管理図の選定

計量値 データは計量値 計数値

か計数値か

群の大きさ n    データは不良率・ 欠点数

  n≧2 は2以上か    n=1    不良個数か欠点数か

不良率・不良個数

群の大きさ 群の大きさ

は一定か は一定か

一定 一定でない 一定        一定でない

    X-R X     pn P       C    u

管理図選定のためのフロー・チャート

重要ポイント

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X-R管理図

1. 管理線の計算式と係数表

X管理図:C L=X

UCL=X + A 2R

LCL=X - A 2R

R 管理図:C L=R

UCL=D 4R

LCL=D 3R

管理図の管理線を求める係数表

X管理図 R 管理図

群の大きさn A 2 D 3 D 4

2 1.880 3.267

3 1.023 2.575

4 0.729 2.282

5 0.577 2.115

6 0.483 2.004

7 0.419 0.076 1.924

8 0.373 0.136 1.864

2. 管理図に記入する項目

(1) 管理図の右上に“ 群の大きさn ”を記入し、“ UCL・CL・LCL

の値 ”をそれぞれの管理線の右端に記入します。

(2) データの経歴をあらわす事項として、製品名称・品質特性・規格値・

測定方法・サンプリング方法・工程名・作業者などを余白に記入欄を

作って記入します。

X管理図

X管理図は、X-R 管理図のように群分けしないで、個々のデータを1点

づつ打点していく管理図です。この管理図は、1日に1個とか、1ケ月に1

個というように、データの得られる間隔が長く、群分けしてデータをまとめ

るよりは1点づつ打点した方が変化が掴(ツカ)みやすく、従ってアクションが

とり易い場合に有効です。

重要ポイント

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P管理図

1. P 管理図は、品質を不良率で管理する場合に用います。この管理図の特徴

は、群の大きさが一定でなくてもよく、また不良率に限らず良品率・品切れ率

・出勤率などにも使われます。この場合、群の大きさが一定ならば、Pn 管理図

の方が使いやすいです。

2. 管理限界線の簡易計算法:P 管理図では、群の大きさに対して管理限界

を別々に計算する必要がありますが、群の大きさの変化が少ない場合は、簡

便なやり方があります。

それはn の変化がn の平均n に対してだいたい±50%以下のときは、

平均を使って共通の限界線を使ってもよいです。ただし点が限界線の近くに

来た場合は、本当のn を使って限界線を求めて判定する必要があります。

Pn管理図

1. Pn 管理図は、品質を不良個数で管理する場合に用います。この場合、群

の大きさnは一定でなければなりません。

2. P、Pn 管理図の管理限界は、平均不良率P をもった工程から抜き取っ

たn 個のサンプルの偶然変動の最大値と最小値を示しています。従って、同

じ平均不良率でも群の大きさn によって管理限界の幅が変わり、n が小さ

すぎると管理限界の幅が広くなりすぎ逆にnが大き過ぎると幅が狭くなって

使い難くなるので、n の大きさを頭に入れて点の動きを見る必要があります。

C管理図

C 管理図は、品質を一定の単位中に現れる欠点数によって管理する場合に

用います。この場合は群の大きさは一定でなければなりません。例えば、織

物の一定面積中のキズの数、ラジオセットのハンダ付不良個所の数などを

対象とする場合や、また事故件数などを管理する場合にも使われます。

u管理図

1. u 管理図は、管理の項目としてキズ・ムラのような欠点を対象として、調

べるサンプルの面積や長さなどが一定でない場合に使用します。もし群の数

が一定ならばC 管理図の方が便利です。

2. 単位の数というのは、工程から4m2 とか6m2 の織物が作られる時、欠点

数を1m2 当たりに換算すれば欠点数の管理がしやすいです。

このとき作られる織物の面積を“ 単位の数 ”とよび、n=4、n=6と表

わします。

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Page 18: QC 七つ道具1/23 2017年 5月18日 フェニテック セミコンダクター 株式会社 info@phenitec.co.jp QC 七つ道具 1. データとバラツキ 2 ~ 4 /23 2. 工程能力

管理限界線の意味

管理限界線の計算は、(平均値±3シグマ)として求められているので、工程

が管理状態にあれば管理図に打たれた点が管理限界外れ(アウト・オブ

・コントロール)になることは、めったに起こりません(1000回に3回程度)。

従って、点が管理限界を外れたら、何か見逃すことの出来ない異常

が工程中に起きたものと判定して、直ちにその原因を探求しなければなりま

せん。

点の並び方による異常発生の場合の判定基準

点が管理限界内に入っていても、点の並び方、散らばり方で特異な状況を

示す場合は、次の基準により工程に異常原因が起こっていると判定します。

(1) 点が中心線の片側に連続して出る場合

中心線の片側に連続して7点以上続いた場合、また連続11点中10点以

上、連続14点中12点以上、連続17点中14点以上が中心線の一方の側

に表れる場合(点が中心線の一方の側に並んだ状態を“連<れん>”と言い

並んでいる点の数を“連の長さ”と言います)。

(2) 点が上昇または下降の傾向を示す場合

点が連続して上昇または下降している傾向が出た場合は、明確な異常判定

基準はありませんが、これが続くと管理外れになったり、異常とみられる連

が見出されることが多いです。

長さ4の連

LCL

CL

UCL

長さ7の連=異常

LCL

CL

X 連続6点 …

連続6点 上昇傾向

重要ポイント

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(3) 点が管理限界に接近して現れる場合

中心線と管理限界線の幅を3等分して、その一番外側の帯の中に連続3点

中2点が入った場合。

(4) 点が中心線の近くにすべて集まる場合

中心線と管理限界線を3等分した線の中央の2つの帯の中に、大部分の点

が入る場合。群分けの仕方が悪く群内に異質のデータが含まれるためです。

(5) 点の動きに周期性のある場合

同じ間隔で点が山や谷の形を繰り返す場合

2/3 12.5

UCL CL

LCL

-12

1/3

2/3

UCL

CL

LCL

LCL

CL

UCL

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1.改善の重要項目を掴む

 問題の原因となっている要因の分布状態を見る時に、パレート図を使うと便利である。

例えば、工程の不良率を改善したい時に、発生している不良データを不良現象別に

層別して分析する事により、重点的に改善すべき不良項目をつかむことが出来る。

問題の絞り込み、改めどころを決定する事が出来る。

 パレート図は、層別分析の代表的な手法であり、解決したい問題の優先順位づけ、改善

目標の決定、ABC分析などその用途は広い。作図法も、折れ線グラフと棒グラフを組み合

わせたもので、少し練習すればすぐに実践に応用出来る。

2.パレート図の使い方(用途)

 パレート図はデータ集約(層別)のための手法である。不良件数、クレーム件数、ミス件数、

提案件数などについて、現象的、品種別、工程別、原因別などに分類し、各項目を大きさの

順に並べる事によって、不具合の総件数(金額)、各項目の寄与率、寄与率を改善すること

によって期待される効果などの情報を得ることが出来る。以下に用途の例を示す。

 ①問題機種(品種)や不良項目などについて、その影響の大きさを知りたい時

 ②改善項目を設定したい時

 ③同種作業をしている他部門や協力工場の不良構成を比較したい時

 ④工程改善の効果を評価したい時

 ⑤棚卸し資産(在庫、仕掛りなど)を削減したい時

 ⑥在庫量などのABC分析をしたい時

3.パレート図の作り方

手 順 例 示

①パレート図にまとめる為の 「製品不良」

 データを収集する

②集めたデータを層別し、 不良項目 不良数 累積数 累積%

 不良個数の大きい物を 外径不良 30 30 41

 上から記入する 材料不良 18 48 66

ねじ不良 10 58 79

キズ不良 5 63 86

その他 10 73 100

合計 73 73 100

5.パレート図

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③層別した記録やデータの

 大きさ順に棒グラフで書く ↑

④各項目の不良個数を左から

 順に加えた値の全体に対する ↑

 %を折れ線グラフで記入し、 不

 その目盛りを右側の軸へ 良

 つけてパレート図完成 数

その他

キズ

ねじ

材料

外径

30

18

10

5

10

その他

キズ

ねじ

材料

外径

30

18

10

5

10

100

50

0

累積パーセント

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散布図とは

 散布図は、2つの変数の対になったデータを用いて、それぞれの変数を軸にとりサンプルを

プロットしたグラフです。これは、次の変数間の関係を見る時などに適しています。

 ①品質特性とその変動要因の関係

 ②ある製品特性と他の品質要因の関係

また散布図では次の様な点に注意します。

 ①外れ値の有無の検討:外れ値

 ②層別の必要性:層別散布図(層ごとの散布図)

 ③XとYの関係:相関関係(相関係数)、回帰直線、同時分布と周辺分布

■様々なオプションを利用することでデータ解析の幅が広がります

 「回帰線、信頼区間、周辺分布、確率楕円、データ番号」の各オプションを指定した例

■層別散布図では、層ごとの分布や回帰傾向を比較する事が出来ます

6.散布図

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チェックシートとは

 チェックシートとはチェック項目ごとに、チェックマークを付けつことで簡単に結果が

わかるように作られた表です。項目の重複や漏れを防ぐ為に使われます。

 チェックシートには記録用と点検用があり、記録用は問題解決に必要なデータの

収集に、点検用はチェックすべき項目の漏れを防ぐのに使われます。

■チェックシート(記録用)

例)商品の年齢別販売個数

年齢(才) チェック 個数

~19 5

20~29 12

30~39 23

40~49 10

50~59 8

60~ 2

■チェックシート(点検用)

例)洗濯機の日常点検

点検項目 日付 4/1 4/2 /

□ □ □

□ □ □

□ □ □

□ □ □

□ □ □

□ □ □

点検時間 HH:MM

担当者 ○○

7.チェックシート

1.本体が傾いていないか

2.本体から漏電していないか

3.運転中に異臭や異常音が出ていないか

4.ホースや本体下部から水漏れはないか

5.脱水槽が止まりにくい事はないか

6.排水の時間がいつもより長くはないか

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