r75/5のハンドル振れcrimeca.jp/box/232.pdf1 r75/5のハンドル振れ...
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R75/5のハンドル振れ ウレタン部品の崩壊1969年にリリースされた/5シリーズには当時の世界標準であった摩擦式ダンパーが装備されていました。国産車でもホンダ・CB450、スズキ・GT750、カワサキ・W1-W3、ヤマハ・XS-1など重量車やミドルクラスに付いていました。信頼性の高い小型軽量油圧ダンパーが開発されたのはもう少しあとの時代です。
BMWも先行モデルのフラッグシップR69Sには高級な油圧ダンパーが装着されていましたが標準モデルのR50の摩擦式からの発展型なので設計に無理があるためか、関節(可動部)が多く、新車時ならいざ知らず距離が伸びるに従いガタが大きくなり機能しなくなる傾向にありました。そのためか新モデル/5には実績の高い摩擦式(フリクション・ダンパー)を採用しました。新設計なので従来型のウィークポイントを克服する機構を多く採用しています。
摩擦プレート:従来型のクラッチやブレーキなどと同じ摩擦材をリベット止めしたタイプから摩擦材を使わないダイレクト式(ブレーキで言えば鉄板ブレーキ)にしました。大きな抵抗を作る必要が無く、回転運動ではないため発熱もしない構造ならではの発想です。副産物としてはプレートの厚みが時間を経ても変わらないので摩擦プレートのスライド機能が不要となり固定がM6ボルト1本で可能となりました。(ハンドルストッパー移設も関係)緩み止め機構:従来型はスチールボールを使ったチェックボール式で90度ごとにノッチがある構造でした。これでは90度単位にしか調整できないことになります。他社高級車ではノブの刻み目にバネを当て緩み止めにしているものもあります。ボルト・ナットのようにしっかり締め込む部品でないため脱落防止で割りピンを刺しているものが多いです。/5では微調整可能機構と脱落防止の目的からナイロンナットを採用しました。機能向上とコストダウンを合わせて可能とした設計です。
素晴らしいアイデアで素晴らしい働きをしています。最下部のアンカープレートにカシメ加工でナイロンナットを固定したため位置決めの段付き加工をウレタン・ブッシュ(ダンパー・リング)挿入に置き換え対応しています。ウレタン・ブッシュの寿命が20年ぐらいでしょうか? ブッシュの劣化で脆くなり、知らないうちに砕けてしまいます。多少磨耗して古く硬くなったフロント・タイヤでもノブを軽く締めておけばハンドル振れは起きませんがブッシュ崩壊で機能不全になっているとノブを強めに締めこんでも減速時にウォブルなどが発生しやすくなります。ハンドルが振れやすい場合は下記3の部品をチェックして機能していないようなら交換します。
/5 パーツリスト 3 はダンパー・リング /5用 フリクションダンパー装着仕様ステアリングステム
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R50 チェックボールが2個見える 穴にボールが嵌り90度毎に固定される カワサキH1/2用 バネ固定式
R50 摩擦盤リベット固定 R50 フリクションダンパー装着例 ハンドルストッパー機能も
R50 レジスタンスプレート ハンドルストッパー機能も アンカープレート ステムパイプに入り位置決めされる
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/5用ダンパー構成部品 ザ・簡素 微調整可能/脱落防止の2役を可能にしたナイロンナット式 反転して装着
ナイロンナットがカシメて固定させている このウレタン・ブッシュが古くなるとボロボロに
/5用のレジスタンスプレート 薄い鉄板製 軽量・簡素 ブッシュがないとセンタリングできないのであそぶ