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大型構造物を高速に透視するための 原子核乾板要素技術の開発

R&D of Nuclear Emulsion Technology for the cosmic-ray radiography of large-scale structures

名古屋大学 エコトピア科学研究所 教授 中村 光廣

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従来技術とその問題点 原子核乾板を使って、自然界に降り注ぐ宇宙線をとらえ、10mスケール以上の厚みのある物体の内部構造を見るミューオンラジオグラフィーは、火山などに応用され成果をあげてきた。 さらなる性能向上の要請として ・ 時間分解能向上 １ヶ月⇒数日 ・ 空間分解能向上 60m＠1km ⇒ 数ｍ＠1km ・ 三次元構造解明 がある。 しかし宇宙線の流量は一定⇒原子核乾板の面積を増やす事で対応せざるをえない⇒原子核乾板の高速な読み出しが必要。

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投影

宇宙線ミューオンラジオグラフィ

放射線検出器

ミューオンの3次元角度情報の検出

観測対象

宇宙線μ粒子 原子核乾板をもちいるメリット １）1枚で高精度：角度・位置分解能

（0.1度、1ミクロン） ２）電源不要で設置場所自在 ３）低コスト ～1万円／㎡

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• 原子核乾板読み出しの高速化（従来比約１００倍）を実現

• 高速化読み出しに適した高感度原子核乳剤を開発 高感度＝高効率 （従来 ８０％ ⇒>９８％）

新技術の特徴・従来技術との比較

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超広視野顕微鏡 対物レンズ 5mm角

並列飛跡認識 72視野並列処理

高速精密ステージ １０Hzで移動（5mmStep）

開発中の世界最高速読出装置 HTS

読み出し装置関連技術

毎時 1平方メートルの世界最高読出装置 ７２視野分割読だし

6 6 500nm

35nm crystal 70nm crystal 100nm crystal 200nm crystal

原子核乾板 本体関連技術

フィルム型原子核乾板 世界最高感度 超微粒子X線フィルム 用途に応じたフィルム化

独自の乳剤製造装置による開発・製造

用途に最適化した原子核乳剤 ハロゲン化銀微結晶（多層化、不純物操作他、）、現像処方開発

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想定される用途 • X線、ガンマー線や中性子線では内部を探れない大型構造

物の内部探査。 （ちなみに原子核乾板は上記全ての放射線を高精度・高精細にとらえることが出来ます。X線像のサブミクロン分解能化、

中性子線の飛来方向・エネルギー検出などユニークな可能性を持っています。）

• 開発した超高速の三次元読み出し装置は、高速自動読みだ

し顕微鏡としての用途もあるかもしれません。高速の画像認識アルゴリズムの適用により、医療用途として１００ｃｃ程度の血液中の血球の全数形状検査などもできると考えています。

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活火山 世界に1500 日本に150 溶鉱炉 世界に800 日本に30

橋（>15ｍ）～14万 内50年経過 ～8000 ダム（国交省管轄）～500 内50年経過 ～50

老朽大型人工構造物

本開発の用途 /市場 資源探査

減災 温暖化防止

細いボーリング孔へ設置可能

寿命診断

空洞化調査

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本開発の波及用途

寿命診断

核融合炉等の中性子モニター トモグラフィー

重粒子・陽子線治療粒子線モニター

飛跡識別型フィルムバッチ 高速三次元走査光学顕微鏡 細胞の全数形状検査 ミクロン精度のラジオグラフィー

基礎研究

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実用化に向けた課題 • 高速読み出し装置は、現在最終目標の約十分の一の速度で

実用運転を行っており、今年の末には目標の半分の速度での試運転を開始する。今後高速駆動ステージの制振手法を開発して目標値を達成できる見込み。

• 原子核乳剤に関しては、高感度化は達成。経時特性については常温一ヶ月程度の用途には問題ないが、多様な使用環境に対応するためにその改良を行っている。まだ試行錯誤を必要とする段階。

• 実用に向けては、原子核乳剤をフィルム化する必要があるが、実験室レベルでは10㎡/週程度の対応。最終的には年間1000㎡オーダーの量産技術が必要。

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企業への期待 １）我々が開発した原子核乳剤のフィルム化に

関して、感光材料などの塗布の技術をもつ企業との共同研究を希望する。（100㎡級の小規模からの対応を期待。）

２）また、本技術の用途開発に興味を持つ企業との、用途検討・市場調査・試験照射などの導入的共同研究も希望する。

３）宇宙線の飛跡以外の顕微鏡画像の自動認識に関しての共同研究を希望する。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 ： 飛跡認識装置及び飛跡認識方法 • 特許番号 ： ５０９９６４１号 • 出願人 ： 名古屋大学 • 発明者 ： 丹羽公雄、中野敏行

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産学連携の経歴 • １９８４年-１９９６年 浜松ホトニクス社と共同研究 マイクロストライプ型半導体放射線検出器の開発 高感度イメージインテンシファイヤーの開発 • 1990年-１９９６年 クラレ社と共同研究 蛍光ファイバーシート放射線検出器の開発 • １９９８年-200４年 富士フイルム社と共同研究 高精度原子核乾板の開発と量産 • 20１１年-20１４年 JST研究成果展開事業（要素技術開発）

に採択

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お問い合わせ先 名古屋大学

産学官連携コーディネーター 押谷 克己 ＴＥＬ ０５２－７８８ － ６１５０

ＦＡＸ ０５２－７８８ － ６００２

e-mail oshitani@sangaku.nagoya-u.ac.jp

基本粒子研究室（F研） 中村 光廣 ＴＥＬ ０５２－７８９ － ３５３２

ＦＡＸ ０５２－７８９ － ２８６４

e-mail nakamura＠flab.phys.nagoya-u.ac.jp