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お問合せ先 茨城大学学術企画部学術情報課(図書館) 情報支援係 http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ) Title 小・中学校におけるいじめ対策に関する研究の現状と展 望 : 発達的視点から Author(s) 三輪, 壽二; 小林, 英二; 渡部, 玲二郎 Citation 茨城大学教育学部紀要. 教育科学, 63: 341-353 Issue Date 2014 URL http://hdl.handle.net/10109/8803 Rights このリポジトリに収録されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作権者に帰属 します。引用、転載、複製等される場合は、著作権法を遵守してください。

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お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html

ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ)

Title 小・中学校におけるいじめ対策に関する研究の現状と展望 : 発達的視点から

Author(s) 三輪, 壽二; 小林, 英二; 渡部, 玲二郎

Citation 茨城大学教育学部紀要. 教育科学, 63: 341-353

Issue Date 2014

URL http://hdl.handle.net/10109/8803

Rights

このリポジトリに収録されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作権者に帰属します。引用、転載、複製等される場合は、著作権法を遵守してください。

茨城大学教育学部紀要(教育科学)63 号(2014)341 - 353

小・中学校におけるいじめ対策に関する研究の現状と展望~発達的視点から~

三輪壽二 *・小林英二 **・渡部玲二郎 ***

(2013 年 11 月 26 日受理)

Comments on Studies about the Measures of Bullying in Primary and Junior School: From A view of Child Development

Syuji MIWA *,Eiji KOBAYASHI **,Reijirou WATANABE ***

(Received November 26, 2013)

はじめに

 いじめが学校で問題になってからすでに久しい。最近では,2011 年に滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ―自殺事件は記憶に新しく,それに続いて,2013 年6月に「いじめ防止対策推進法」が公布された。ここでは,「いじめ」を「児童生徒に対して,当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等,当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義し,学校が講ずべき基本的施策として,「(1)道徳教育等の充実,(2)早期発見のための措置,(3)相談体制の整備,(4)インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進」,国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策として「(5)いじめの防止等の対策に従事する人材の確保等,(6)調査研究の推進,(7)啓発活動」を定めた。また,その措置を実効的に行うため,「複数の教職員,心理,福祉等の専門家その他の関係者により構成される組織を置くこと」が求められることになった。その上で,個別のいじめに対して学校が講ずべき措置として,「(1)いじめの事実確認,(2)いじめを受けた児童生徒又はその保護者に対する支援,(3)いじめを行った児童生徒に対する指導又はその保護者に対する助言について定めるとともに,いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときの所轄警察署との連携について」言及されている。 対策推進法については,紙幅の関係で検討しないが,一見しても,(1)いじめは“子どものみの”問題として提起されたこと(つまり,大人の世界にはいじめは該当しない),(2)教師以外の“専

茨城大学教育学部(〒 310 - 8512 水戸市文京 2 - 1 - 1)郡山学院ケイセンビジネス公務員カレッジ(〒 963-8813 福島県郡山市芳賀 2 - 3 - 5)茨城大学教育学部(〒 310 - 8512 水戸市文京 2 - 1 - 1)

***

***

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門家ばかり”を含む組織の設置の要請(つまり,いじめ防止の実行には保護者は不要と考えている),(3)深刻ないじめに対する警察導入を定めた以外は,方法論も支援・指導内容も特段の指摘なし,という印象である。しかし,法制化は,いじめを新たに定義するものでも個別の具体的対策を提起するものでもない。したがって,いま,ここで起きているいじめに具体的にどのように対応していくか,いじめを減少させるための方法論は何か,については,やはり個々の現場に任されてくる。 本研究の目的は,いじめに関するこれまでの諸研究を概観しながら,いじめ対策のありかたについて検討することである。小林・三輪(2013)は,日本の中核的な心理学会の学会誌を文献探索し,いじめ対策を捉える新しい枠組みとして,「予防」,「介入」,「再生」という考え方を提起した。この新しい枠組みは,心理学におけるいじめ研究の今後についていくらかの示唆を与えた。しかし,具体的・実践的ないじめ対策のあり方を考えるには,この枠組みだけでは不十分である。 そこで,本研究では,「予防」,「介入」,「再生」という枠組みに,児童生徒の発達的観点を導入して , いじめ対策を整理し直し , 具体的ないじめの対策実践について考察する。発達的観点の導入は,ある意味で自然な発想であろう。たとえば,小学校低学年の児童生徒と中学生では,子どもの発達状況は明らかに異なっている。発達状況の違いに応じて,いじめに対する子どもたちの認識もいじめの様態も同じではありえない。そして,様態が異なれば,対応や対策のあり方も違ってくるはずである。いじめ対策はこうしたきめ細やかな視点から考えていかなければならない時期に入っているのではないだろうか。とはいえ,本研究は,おもに心理学の周辺領域の諸論文や諸文献をもとにした文献的研究である。それゆえ,対策の提言も試論の段階にとどまるが,発達的観点を視野に入れた対応策の論点整理を行うことを目的としたい。

第1章 発達的観点からのいじめの様態

第1節 発達的観点の必要性  冒頭でも触れたが,発達的観点を導入する理由は大きく二つある。一つは,発達状況の違いに応じて,いじめに対する子どもたちの認識や,いじめの様態が異なると予想されるからである。二つ目は,様態が異なれば,対応や対策のあり方が違ってくるからである。 たとえば,幼児期では,一対一関係の中で友達を叩くことを,いじめと理解していない場合が多い。そのためこの時期では,いじめという言葉を使って自分のしたことを内省させるよりも,「人を叩いてはいけない」と,具体的な行動そのものを取り上げて指導するほうが効果的であろう。しかし,中学生ならば,自分のしたことをいじめとして認識させて内省してもらうことが必要で,具体的な行動のレベルだけで指導することは不十分であろう。このように,発達状況によって,子どもたちのいじめに対する認識も異なれば,対応の中で子どもたちに求める中身も違うはずである。 そこで,次節では,まず,いじめの様態について先行研究を概観しよう。なぜなら,対策や対応は,いじめの様態が発達状況によってどのように異なってくるかを明確にしなければ検討できないからである。

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第2節 文科省報告におけるいじめの様態

 本節では,平成 24 年9月の文科省の年次報告「平成 23 年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」から,いじめの様態などについて抜き出してみる。 まず,発生数について。文科省の発生数に関する統計量は認知件数なので,実態そのものを反映しているわけではないが,一定の判断材料にはなるであろう。小学校では中学年(3,4 年生)までは,学年が上がるにつれていじめの認知件数が増え,中学年以降は横ばい状態となる。中学校では,学年が上がるにつれて件数が減少する。中学校の件数の変化は,おそらく部活動などの上級生・下級生関係という小学生とは異なる生徒間の関係によって生じると推測される。 次に,いじめの様態について。文科省が準備した項目にそって調査がなされるため,小学校も中学校も同じ言葉(項目内容)で記述されている。様態については,小学校・中学校のいずれも,冷やかし,からかい,悪口,脅し文句などが最も多い(66 ~ 67%)。これらを「言葉による直接的攻撃」とカテゴリー化しておく。次に,軽くぶつかる,遊ぶふりをして叩く・蹴るなどが続く(20 ~24%)。これらをまとめて「行動による直接攻撃」とカテゴリー化しておく。そして,仲間はずれ,集団による無視などの行為が挙げられている(18 ~ 23%)。これらは,「行動による間接的攻撃」と言えるだろう。これら3つのカテゴリーがいじめの様態として,文科省の統計から読み取れる。しかし,文科省報告は学年別の分類をしていないため,発達的な違いがわかりにくいし,他にもいじめの様態があるかもしれない。

第3節 発達的観点からいじめの様態を捉える

 第2節で文科省の報告を見たが,そこでは発達状況の違いを考慮に入れた様態のまとめがなされていないため,さらに先行研究や文献を概観することが必要である。 本節では,①いじめの様態について,先述した3つのいじめの様態カテゴリー(「言葉による直接的攻撃」,「行動による直接的攻撃」,「行動による間接的攻撃」)以外の様態があるかどうか,②3つの様態カテゴリーの中で文科省の指摘する以外の具体的な様態(いじめの具体的行動)があるかどうか,③いじめがどのような構造で起きているか,④3つの様態カテゴリーがいつ頃から発生するか(発生時期),などの点について先行研究にあたりながら検討する。また,発達的観点は,小学校低学年,小学校中学年,小学校高学年,中学生の4つに分け,それぞれについてまとめてみる。

【小学校低学年におけるいじめの様態】 小学校低学年のいじめの様態として,「叩くなどの暴力」,「物かくし」が指摘されている(甲本・熊谷,2008)。物かくしは,様態カテゴリーとしては「行動による間接的攻撃」である。しかし,同じカテゴリーの無視やシカトが,①本人の明確な苦痛を目的とする点,②加害者が特定できるという構造の点では異なっている。物かくしは,被害者の困惑を目的としているし,学年が上がれば加害者が匿名性を帯びてくると推測できる。それは,画鋲を椅子に置いたり,靴にゴミを入れたりする行為と近似的なものと言えよう。 また,小学校低学年のいじめの構造については,1 対 1 の関係から攻撃が始まり(楠,1997;丸山,

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2000),それを見た周囲の子どもたちが興味本位で被害者への攻撃に加担するとの報告がある(丸山,2000)。

【小学校中学年におけるいじめの様態】 小学校中学年のいじめの様態として,丸山(2000)は「言葉による攻撃」,「身体的暴力」,「教室全体を巻き込んで異質な者を排除する」を挙げている。そして,この時期から,無視,シカトなどの「行動による間接的攻撃」が登場する,と指摘している。異質な者の排除は,方法としては,無視もあればいわゆる「バイ菌扱い」もあるだろうから,様態カテゴリー的には,3つの様態カテゴリーのいずれにも入る可能性があろう。それゆえ,具体的な新しい様態として取り上げる必要はないであろう。 次に,いじめの構造としては,この異質な者の排除がクラスという大きな集団,すなわち,大きな集団対1人という構造で生じることもこの時期の特徴である。

【小学校高学年におけるいじめの様態】 小学校高学年のいじめの特徴として,中学年までのいじめの様態以外に,飯田・加藤(1990)は,「グループ内部での仲間はずし」(特に,女子グループ内)を指摘している。これは,普段つきあっているグループ内での仲間はずしで,中学年のクラス全体対1人という構造とは異なっている。つまり,中学年では,クラスや大きな集団が,自分たちの外側に一人の犠牲者をつくるという構造であるが,高学年では,グループという自分たちの内側の者に対して排除が起き,グループの外部の者には見えにくいのが特徴である。もっとも,高学年におけるいじめは,いずれの様態も複雑で捉えづらいものになる。 飯田・加藤(1990)は,この時期の女子のグループの特徴として,「一人ではいられず,授業中以外すべての行動をともにする」,「自分自身で意志決定を行なうことができず,常にグループに相談し,グループの意志・行動に同化し,心の中で違う意見を持っていても,グループの中では絶対にそれを出さない」,「グループの内部で,まるで順番のように,次々に仲間はずしが起こる」ことなどを指摘している。 この思春期周辺の時期における仲間はずしについて,保坂(2000)は同質性を強く求めて仲間圧力が強くなるチャムグループやギャンググループ内の現象はいじめとして捉えるよりも,対人関係の発達過程における訓練の場として捉えられる側面があることを指摘するとともに,近年はギャンググループの消失に伴い,集団維持のためのスケープゴートとしての仲間はずしが目立つようになっていることを述べている。

【中学生におけるいじめの様態】 中学生については,小学校高学年の様態を含みつつも,その特徴として,甲本・山本(2008)は次のような様態を指摘している。すなわち,「からかい」,「シカト」,「嫌がらせ」,「使い走り」,「金銭強要」である。あえてカテゴリー化すれば,からかいは「言葉による直接的攻撃」,使い走りは「行動的な直接的攻撃」,金銭強要は「行動的な間接的攻撃」に属することになろう。ちょっとしたからかい(あだ名など)から,犯罪的いじめ(金銭強要,万引きの強要,性的いやがらせなど)まで幅

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が広がることからも,中学生はいじめの様態の拡大が特徴と言えよう。 また,中学生の場合,同級生などの横の関係だけでなく,先輩・後輩という縦の関係においてもいじめが起きるようになること,「携帯電話やパソコンなどメディアを使う」こと(甲本・山本,2008)はいじめ構造の特徴と言えるだろう。 このように見てくると,やはり,発達にともなって,いじめの様態には変化が生じてくると捉えるべきであろう。対策も,そのいじめの違いに応じて立てられなければならない。

第 2章「予防」,「介入」,「再生」と発達的観点からのいじめ対策  まず,いじめ対策を考える際の,新しい枠組みとしての「予防」,「介入」,「再生」について簡単に説明しておく。「予防」は,「いじめが起こらないように未然に防ぐこと」を目的とし,「介入」は,いじめが起きた後,すなわち事後的な対応となるので,「いじめの『早期発見・早期解決』」を目的としており,「 再生 」 は「『心の傷の回復方法』」を目的としていると言えるだろう。(小林・三輪,2013)。

第1節「予防」の発達的観点からの検討  「予防」の研究は,「加害者・被害者の特性や傾向に関する研究」,「いじめの背景因や抑止条件を集団レベルで探索する研究」,「いじめが起きないように事前に手段を講じる純粋な予防研究」の3つに分類されている(小林・三輪,2013)。 「予防」研究では,圧倒的に「加害者・被害者の特性や傾向に関する研究」が多い(神原・河井,1985;森ら,1986;竹村・高木,1988;松田ら,1992;向井・神村,1998;岡安・高山,2000;畠山・山﨑,2003;本間,2003;松本・山本・速水,2009;黒川,2010;竹内・金山,2010 他)。しかし,予防対策として実際的に応用できる研究はわずかである。 たとえば,「道徳性・共感性の認知」(本間,2003)がいじめ抑制に効果があることは,複数の研究者にも支持されているが(大西,2007;熊谷・杉山,2005 他),「自尊感情の育成」は,松本ら(2009)の研究によれば,高校生については,いじめ抑制の効果を検証できなかった。したがって,「道徳性・共感性の認知」が,道徳の授業の充実やクラス運営の中で意識されねばならない。 本間は中学生を対象として研究しているが,発達的に応用するならば,小学校低学年からの道徳教育の充実がまず考えられるだろう。この場合,道徳教育というのは,松尾(2002)のレビューにもあるように,いじめへの否定的な意識づけを意味している。意識づけは,決まり事・約束事の徹底など,クラス運営(学級経営)によっても可能となるので,低学年レベルから実施を考えることが出来る。共感性の認知については,発達的観点から考えて,中学年からの教育活動で強化していくべきであろうが,その育成方法は課題である。 一方,「自尊感情の育成」については,いじめ抑制の効果が検証できなかったが,自尊感情と関係するクラスの中での自分の役割感(居場所・位置づけ)や安心感といった要因は,いじめ抑制に影響している。それは,学業上の不調や教師との関係の悪さがいじめと関連しているという,岡安ら

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(2000)の研究(中学生対象)や,「学校への関心」の弱さ・「級友との関係」の悪さ・「進路への見通し」の低さなどの学校への不適応がいじめ行為に結びついていることを指摘した森(2003)の研究(中学生対象)からも示唆される。 このように考えると,予防対策については,「いじめの背景因や抑止条件を集団レベルで探索する研究」が重要であることが理解できる。たとえば,大西・黒川・吉田(2009)は,生徒が教師を「受容・親近・自信・客観といった態度」を持つ人と認知することがいじめの抑制に効果があることを指摘している。また,清水ら(1998)の小・中学生を対象とした研究によれば,いじめを予防するためには,「先生がひいきをせず,みんなに公平に接する」,「いじめを発見したら先生が必ずやめさせる」,

「いじめの問題について校長や生徒指導の先生が話しをする」などが教師に要望として出されている。これらは,教師に対する特別に高い要求というわけではなく,ごく当たり前の対応と各教師の個性にそった子どもへの関係性が求められているということであろう。 発達的には,こうした教師への認知は,小学校低学年における教師の態度がどのようなものであるかが中学年以降の教師認知に影響を及ぼすと考えられるため,低学年の担任の態度が重要であると言えるだろう。 この「いじめの背景因に関する研究」の射程は,当然,良好なクラス運営と関係し,「いじめが起きないようにする予防研究」と関係してくることは明らかであろう。 クラス運営については,ソーシャルスキルトレーニング(SST),構成的グループエンカウンター

(以下,SGE),ストレスマネジメント,ロールプレイなどのプログラムの利用が多くの研究者から主張されている(松尾,2002;門野ら,2003;畠山・山﨑,2003;岡安・高山,2004;飯田,2008 他)。発達的には,これらの方法は小学校中学年あたりからが適用で,小学校低学年に効果はあまり望めない。また,これらの心理学的なテクニックには大きく2つの課題が残る。第一に,いずれの方法も継続的な効果は検証されていないので,毎年実施する必要があるが,学校では年間活動に組み込む時間的余裕がないことである。第二に,これらの方法は,生徒全員が必ずしも積極的に取り組むとは限らず,モチベーションについてかなり個人差が大きく,効用が限定されることである。 また,クラス運営を含んで,学校全体の取り組みといった視野からの「いじめが起きないようにする予防研究」がある(森田・清永,1994;渡部,2000;山崎,1996;中嶋,2006;岡安・高山,2004;ダン=オルウェーズ,1995;戸田,1996)。 森田・清永(1994)の有名ないじめの四層構造論によれば,傍観者が,いじめに対して冷やかな反応を示すことで,いじめを抑止する存在となるとしている。傍観者について,いずれも小・中学生を対象とした研究だが,山崎(1996)は,「自分には関係ないから」とか「ほかの人がなんとかするから」という意識が働いていること,渡部(2000)は,「女子は,いじめを止めに入ることで,逆に自分がいじめられるのではという不安がより強い」という結果を得ている。また,戸田(1996)は,加害者には自分の行為が暗黙の支持を受けているという認知があることを指摘している。 これらの傍観者研究と加害者研究を考え合わせると,加害者の問題は2点あると言えるだろう。一つめは,自分の行為は発見されないと思っていることである。たとえば,江原・木村(2010)によると,教師介在場面では,加害者はいじめをせず仲の良いフリや知らぬフリをし,被害者も「何もないフリ」や「加害者に同調(例:「友人のフリ」)」をするという回答が多い。つまり,誰も訴えないので,加害者は見つからないと思ってしまう。もう一つは,いじめを継続しているうちに自分

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の行為をいじめとして認識しづらくなることである。これは,遊び型のいじめ行為は「いじめである」という認識が低いという谷口(2010)の研究からも推測できることである。したがって,傍観者教育の課題とは,ただ単にいじめ行動を止めに入るというようなことだけでなく,これら2つの加害者の問題を解決するために周囲がどう振る舞うか,ということになろう。すなわち,加害者に,①いじめをすれば必ず露見すると思わせ,②自分の行為はいじめであると気づかせる人間関係が周囲にあればよい。それが,四層構造論における傍観者や観衆を減少させることにつながるであろう。 中嶋(2006)は,いじめゼロを実現した公立中学校の取り組み「君を守り隊」を紹介している。これは,生徒会が有志をつのって校内パトロールを行い,「いじめをしない,させない,許さない,そして君を守りたい」というスローガンのもと,生徒一人ひとりが「守り隊」の隊員となっていじめられている仲間がいないか見張ったものである。この活動のポイントは,いじめの傍観者にあたる人たちが,チームを作り,加害者との力関係を逆転することであるが,同時に,前述の①と②の課題を解決しているわけである。このピア・サポートシステムはかなり有効であることが予想されるが,発達的には小学校高学年以上の生徒が対象となろう。しかし,傍観者教育そのものは,ピア・サポート以外の方法によって,小学校中学年でも対応ができるだろう。具体的には,いじめを見たら,知らない振りをせずに,教師や親に話したり,伝えたりすることを生徒に指導することを考えればよい。文科省の報告にも記載されているアンケート調査,個人面接,個人ノートや生活ノートなどの日常的な取り組みがいじめとの関係でも行われるということが生徒に伝わるようにすることが考えられる。それにより,いじめは露見するという認識を生徒たちが持つことが抑止につながるであろう。 さらに,学校全体で取り組むプログラムについても紹介,検討しておく。 ダン=オルウェーズ(Olweus,D)(1995)はノルウェーにおいて,大規模ないじめ防止プログラムを行い,大きな成果をあげてきた。いじめ防止プログラムでは,主に学校レベルでの対策(全校会議,校庭での監督と魅力ある校庭づくり,いじめホットライン,PTA 会合,全校的体制づくりのための教師のグループ,親の勉強会),クラスレベルでの対策(クラスのルールづくり,ホームルーム,共同学習,クラス全員での楽しい活動,クラスの PTA 会合),個人レベルでの対策(いじめている生徒やいじめられている生徒との話し合い,両親との話し合い,いじめている生徒の親・いじめられている生徒の親は何ができるか,想像力を駆使する,専門家が指導するグループへの参加,クラス替えと転校)について行われた。この取り組みは,学校全体のみならず,保護者まで巻き込んでおり,生徒の発達状況の違いを越えて取り組まれているものである。 また,岡安・高山(2004)は,オーストラリアで開発され効果を上げている「ピース・パック」(Slee,1997)というプログラムを参考に,中学校においていじめ予防の実践研究をした。これは,教師だけでなく保護者や生徒のいじめに関する問題意識を高めるための啓発活動を中心としたいじめの予防的プログラムであるが,学校全体で約1年間にわたって実践した結果,いじめ防止に関して全般的には予測したほどの効果は得られなかった。これは啓発活動が中心であるため,小学校高学年にならないと実施と効果が難しいであろう。 いずれにせよ,いじめ防止プログラムの効果を高めるためには,一時的な取り組みではなく長期にわたって実践する必要があること,学校全体で取り組むこと,教師だけでなく保護者もいじめについて高い問題意識をもち真剣に取り組むことなどが重要である,と指摘されている(オルウェーズ,1995:森田,1998)。

348 茨城大学教育学部紀要(教育科学)63 号(2014)

第2節 「介入」の発達的観点からの検討  介入の要点は,早期発見の方策と対応の方法である。これらのうち,対応の方法についての研究や指摘はいくつかあるが(上地,1999;松原,1996;渡邊,1996;前堂,2003;向山,2007 他),早期発見に関連する研究は少ない(松原,1996;酒井,1995)。しかし,なぜ早期発見が難しいかの研究があり(邑本,1997;吉岡,1999;武蔵・河村,2007;佐藤・若島・長谷川,2000),これらは本来早期発見につながる研究のはずであるが,実践的に応用しづらいものが多い。 早期発見について,松原(1996)は,被害者の発見法と対処法について 50 人のカウンセラーの助言を集め整理した。その発見法(SOS 信号)として,学校内では,①成績が急に低下する,②ひとりでぼんやりしている,③オドオドしている,④どんな遊びでも誘われるとすぐに従う,⑤広い場所をひとりで掃除している,⑥遠足や校外見学をいやがる,などを挙げている。また,家庭内では,①下校後ぐったり座り込む,②持ち物や学用品類がなくなったりこわされたりしている,③他の子のいじめの被害を話題にする,④お金をこっそり持ち出す,などが発見法として挙げられている。 また,松原は,被害者自身の対処法として,①ひとりで悩まないで誰かに相談する,②電話で相談,③いじめの証人や証拠を持つこと,などを挙げたうえで,周囲の人は被害者本人に対して,④学校を休むことは勇気ある行為であると話す,⑤訴える勇気を持つように話す,⑥みんな君の味方であると話す,などを挙げている。 早期発見の要点は,①実践的には,早期発見をする人やツール(方法)を増やすこと,②研究的には,いじめの発達論的類型化の探求であろう。そして,①には2つの方向性があると考えられる。一つは,被害者が誰かに相談しやすい状況づくりを進めることである。つまり,被害者本人が自分から訴えることができれば早期発見が可能となる。もう一つは,いじめを発見する人を増やすことである。とりわけ,これについて有効な方法は,加害者の親からの相談が起きることであろう。吉岡(1999)は,親の意識を調査し,「我が子が傍観者であることはよくない」という意識はあるが,直接の関わりがなければ,「いじめの問題は学校・担任・いじめの当事者が解決すべき問題である」という親の

「学校まかせ・人まかせ」の意識が浮かび上がってきたと指摘している。つまり,傍観者の立場にいる自分の子どもをなじりながら親も傍観者になるわけだから,自分の子どもがいじめられれば学校に訴えるとしても,逆の立場の場合,黙っている可能性が高い。そして,残念なことにこれは経験的にも真実である。これがいじめの早期発見を遅らせる一つの原因になっている。小林・三輪の地区共同主観的定義の形成過程(2013)はこの問題を解決できる可能性を内包している。 早期発見の要点の,②いじめの類型的認識について。迫田(2000)は,発達時期には言及していないが,加害者に着目したいじめ集団類型について検討し,いじめ始動者のメカニズムとして,「教師始動型いじめ」と「生徒始動型いじめ」に分けることができ,「生徒始動型いじめ」は「リーダータイプ始動のいじめ」と「問題児タイプ始動のいじめ」に分けられると指摘している。また,前述の保坂(2000)は,前思春期以降には発達特徴的な仲間はずしが起きることを指摘している。いじめを発達時期の観点からタイプ化できれば,「いつ頃,どんなタイプのいじめが起きやすいか」が理解される。この理解は,各発達の時期におけるいじめの着目点を明確にするだけでなく,タイプ化することで解決策も見えてくると期待してよいだろう。今後は,こうした解決までを意識した発達的観点からのいじめの類型化の研究が求められる。

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 さて,もう一つ,介入における重要な問題は,対応の方法である。この対応の方法も,誰が対応するのか,という点で,2つに分かれる。一つは第三者(教師や親など)という場合,もう一つは被害者本人という場合である。第三者の介入については,文科省が指摘する方法(たとえば,教員による事情聴取,保護者への報告,謝罪等の和解のための介入など)は標準的なものであろうし,向山(2007)のように,もっと積極的な姿勢もある。しかし,第三者の介入というのは,積極的とかスピーディーとかの形式的な違いはあっても,何をするかという内容面ではほとんど異ならないから,現状指摘されている対応方法以外に画期的なものが出てくるとは考えづらい。 それに対して,いじめられた状況に対して,被害者本人がどういう対処をとるのか,あるいは取りやすいのかはまだ十分な研究がなされていない。誰かに相談できればよいが,そういかない場合はいじめが深刻化することも考えられるだろう。これについては,わずかに上地(1999)の研究があるが,発達状況を考慮に入れた研究となると皆無と言ってよいだろう。ここでは,上地の研究を紹介しておく。 上地は,中学生を対象に,いじめの対処法について調査し,いじめの対処法を,「危機介入依頼志向」(先生にいじめられたことを話すなど),「積極的自力克服志向」(自分の趣味に熱中するなど),「無抵抗・服従志向」(いじめっ子の機嫌をとるなど)の3因子にまとめた上で,各因子の学年差を調べている。「危機介入依頼志向」は1年生が最も得点が高く,3年生が最も低い結果となっている。しかし,この結果の背景こそが重要なのであり,その背景が変化させられるものであるかどうかを検討せねばならないが,こうした方向性の後続の研究はない。 すなわち,介入の研究では,早期発見が叫ばれるわりには,その研究や指摘は不十分であるし,実践的にもかなり遅れていることが見えてきたと言えるだろう。また,介入の方法については,被害者本人が訴えることのできる状況づくりは喫緊の課題であるが,同時に発達差を反映しながら本人自身でしのぐ(乗り越えていく)方策の検討が必要であり,いずれの方向からもアプローチする必要があると言えるだろう。

第3節「再生」の発達的観点からの検討  いじめは,被害者に死を選択させるほど深刻な問題であり(森田・清永,1994),いじめの被害経験者は,成人になっても自己評価が低く(オルウェーズ,1995),精神的健康に悪影響を及ぼす(岡安・高山,2000)という指摘もなされている。そのため,「いじめによって受けた心の傷を回復させること」が必要となり,それを「再生」と定義した。 いじめられた子どもの「心の傷の回復方法」や「治療実践」に関する研究は,2000 年代に多い(松原ら,1997;香取,1999;野田・上地 ,1999;細澤,2004;土本・中谷,2001;鈴木・鈴木,2006;野口,2007;鈴木・鈴木,2008;亀田・相良,2011;伊東,2009;高尾・坂中,2007;中島,2007)。 再生研究は当然事例研究が多くなるが,いじめの事例研究というのは,いじめ体験をもつ人の事例研究であって,純粋にいじめだけがその事例の問題であると判断してよいかどうか,難しい問題である。その意味では,いじめの事例研究から得られる成果は評価が難しいと言わざるを得ないだろう。そのため,発達状況別に,「再生」のための方策を立てることはさらに難しい。 しかし,被害者のいじめ体験に焦点を当てて,その体験から自分を立て直す経験は主観的である

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にせよ存在するだろう。香取(1999)は,いじめられた体験の克服には,①人から頼りにされるなどの「信頼感の回復」,②いじめられた体験を活かそうとするなどの「プラス思考」,③話し合うなどしての「心の整理」が,効果があることを指摘している。このような克服のための要因研究は参考になるだろう。さらに,こういった要因がどのような時間経過の中でどのような順序で起きてくるかを明確にする研究が必要である。 また,いじめに対する精神的安定には友人のサポートが効果的であるとする指摘がなされている

(土本・中谷,2001;高尾・坂中 , 2007)。松原ら(1997)は,家族のサポートとして,「暖かく声をかけ,慰め励ます」,「話を聞いて辛さを理解する」,「具体的な対策を一緒に考える」を挙げている。こうした友人や家族の言語的サポートは小学校中学年以降に利用されるものであろう。 「再生」に関する研究は,当然のことだが,いじめの体験を言語化しなければならないため,中学生あたりがもっとも早い時期の研究となる。それゆえ,遊戯療法などの非言語的アプローチ,カウンセリングなどの「再生」のための方法は,小学校高学年あたりを分かれ目としながらもその被害者の個性にそって選ばれなければならないだろう。 また,小学校高学年以降の被害者に対しては,いじめられた体験から立ち直っていくのに,どれくらいの時間がかかり,どんな経過を辿りやすいのか,を伝えることができるとよいだろう。そうしたことを明らかにする研究が求められると言えよう。

第3章 まとめと課題  本研究では,「予防」,「介入」,「再生」という枠組みに発達的観点を導入し,いじめ対策に関する先行研究を検討してきたが,発達的観点を生かしきれていないし,具体的な教育方法や関わり方について,十分な知見を展開できていないが,以下の4点については検討ができた。

(1) いじめの予防のためには,小学校低学年から「道徳性の認知」を伝える教育を,小学校中学年からは「共感性の認知」を養う教育を,それぞれ考案していくこと。児童生徒の発達状況に言及されていないが,この点は文科省の推進法とも一致する。また,SGE や SST などの技法は,効用の限界を念頭に入れながら活用すること。

(2) いじめ予防のための傍観者教育は小学校低学年からでも可能であるが,本格的な実践は小学校高学年から行うことが望ましい。とりわけ,ピア・サポート体制は有効であるが,中学生にならないと実行が難しいこと。

(3) いじめの早期発見のためには,「加害者側の親」からの訴えが可能となる体制を整えること,発達的観点からのいじめの類型化の研究が必要であること。また,被害者が自分で苦境をしのぐための方法に関する研究が必要であること。

(4) 再生の方法は,非言語的アプローチを含んでカウンセリング的な対応が考えられるが,いじめ体験から立ち直っていくための要因や経過などを明確にする研究が求められていること。

 また,本研究では,触れるにとどめて詳細に論じなかったが,いじめの地区共同主観的定義(小林・三輪,2013)は,保護者,児童生徒を巻き込んで学校全体でいじめについて定義を行い,対処していく実践であり,上述の諸課題を取り込んだ試論である。ただし,方法論としては,まだ検討が不

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十分であるので,今後の課題としたい。 今後は,これらの諸点を意識しながら,発達的観点を導入したいじめ対策のあり方をさらに研究し,具体的実践の方法を考案していくことが課題となるであろう。

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