r!se activity in japan 2014 (jpn)

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共有価値(レジリエントな社会と持続的成長)を創造する 災害リスク配慮型投資の普及・促進の意義 ~ 日本におけるR!SEコラボレーション活動実績報告 ~ PwC Japan あらた監査法人 SPA ビジネスレジリエンスアドバイザリー担当 パートナー 宮村 和谷 2015312

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共有価値(レジリエントな社会と持続的成長)を創造する災害リスク配慮型投資の普及・促進の意義~ 日本におけるR!SEコラボレーション活動実績報告 ~

PwC Japan あらた監査法人 SPAビジネスレジリエンスアドバイザリー担当

パートナー 宮村和谷

2015年3月12日

Contents1. R!SEの目指す「Risk-Resilient Society」

レジリエンスとは

災害リスク配慮型投資とは

共有価値とは

2. 日本とアジア諸国の現状と課題 日本とアジア諸国の現状と課題

R!SE参画の意義

日本に期待される取組

①日本の経験・知見をグローバルで共有するには?②日本のリスク配慮型内外投資を普及・促進するには?

日本におけるR!SEコラボレーション活動実績

3. 日本において想定されるR!SEコラボレーションの取組

PwC

R!SEの目指す「Risk-Resilient Society」

3

R!SEの目指す「Risk-Resilient Society」 - レジリエンスとは

4

レジリエンスとは、リスク事象に対する物理的な復旧・復興力のみならず、急激な内外環境変化や不確実性に対するソフト、ハード両面での対応力を意味します。

※ピクチャーはWillis Wireサイトより転載。

R!SEの目指す「Risk-Resilient Society」 - 災害リスク配慮型投資とは

5

災害リスク配慮型投資とは、あらゆる投資や事業活動において、災害リスクに配慮して意思決定し実行する経営行動であり、様々な変化や不確実性に対する対応力(レジリエンス)を高めることを目的としています。

【リスク配慮型投資と国のレジリエンスの関係に関するイメージ図】※JICA プロジェクト研究「防災の主流化」報告書より

組織や社会の持続的な成長・発展を実現するためには、あらゆる主体におけるリスク配慮型投資が不可欠です。

R!SEの目指す「Risk-Resilient Society」 -共有価値とは

6

利害や目的の異なる個人や組織、インフラ、サプライチェーンなどの関係性によって成り立っている社会において、各々の主体が期待するレジリエンスと現状のギャップを埋めることは社会の共有価値となります。

本スライドにおける共有価値とは、複数の構成者の利益となる三方良し(※)の投資や、戦略的共助・協力を生むような投資、攻めと守り双方の効果を得られる投資から得られる共有価値を意図しています。

ResilientSociety

will be realized throughRisk Sensitive Investment

Gap

Gap

Gap

(※)三方良し: 「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売である

ということ。企業も社会の一員であり、良き企業・市民として社会と共生し、事業活動を通じて社会の期待に応えていくことで、その持続可能性を保つことができるという考え方

*ギャップは、共有価値を生むことができるスペースです。

PwC

日本とアジア諸国の現状と課題

7

日本とアジア諸国の現状と課題 - 日本とアジア諸国の現状

8

Swiss Reの調査結果によると、日本、及びアジア諸国は、世界の中でも自然災害の想定被害規模が大きい地域と

して挙げられています。日本、アジア諸国ともに持続的成長していくには、そのレジリエンスをより一層向上高め、これを証明すべく、対内外のリスク配慮型投資を喚起していくことが望まれます。

中長期的な視点からも、日本をより魅力的なマーケットとするためには?(リスク配慮型対内投資喚起)

アジア諸国と共に日本が持続的に成長していくためには?(リスク配慮型対外投資喚起)

【自然災害による想定被害規模】

※ Swiss Re, Mind the risk より

※Global Risk Report 2013より

<参考>

海外から日本国のレジリエンスは、地政学的な観点及び財務的な観点から、高いとは見られていない。

<参考>

アジア諸国の成長率はスローダウンすると見られているものの、一定程度の成長が続くと見られている。

※ IMF WORLD ECONOMICOUTLOOK 2014 より

R!SEコラボレーションへの参画意義 ~日本の戦略に整合したグローバルイニシアティブ~

9

R!SEは、日本が進めている戦略にも整合する国連主導のイニシアティブです。

リスク配慮型投資を推進するマルチセクター連携やイノベーションを支援することで、国内外各地、各種企業・団体のレジリエンス向上と、持続的成長の実現に寄与します。

持続

的成

長(ビジネスケース)

レジリエンス向

対外投資喚起 対内投資喚起

インフラシステム輸出戦略

諸外国の成長戦略

諸外国のレジリエンス強化計画

日本再興戦略(成長戦略)

企業の中長期戦略

グローバル・マルチセクターコラボレーション・イノベーション

- R!SE -

世界各国の課題(ギャップ)と、プラクティス・ソリューションの紐づけを行い、その展開・共有価値創造を支援します。

R!SE参画の意義【共

有価

値】

【投資対象】

:ギャップやプラクティス・ソリューション、【凡例】 :連携

国土強靭化計画

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R!SE参画の意義R!SEコラボレーションへの参画意義 ~何をめあてとして、何に貢献し、何の達成を目指すか?~

R!SEコラボレーションは、日本及び日本企業にとって、対内、対外の双方の投資に関連する参画意義があります。

AS1:災害リスクマネジメント戦略

課題解決と共有価値創造につながる要素

中長期成長戦略と経営判断基軸

リスク認識と市場細分化

境界を越えたコラボレーションと、オープンイノベーション

グローバル基準化、競争環境における価値評価

責任投資

R!SEで推進するActivity Stream

AS2:災害リスク評価指標

AS3:業界基準や認証制度

AS5:災害リスク配慮型投資プロセスの普及

AS6:都市における官民連携

官民連携

官 民

◎ ◎

○ ◎

◎ ◎

◎ ◎

○ ◎

AS4:災害リスク管理の高等教育と地域展開

◎ ○

【対内投資促進】

日本及び日本企業のレジリエンス向上、及び

グローバルマーケットからのレジリエンスレベルの

適切な認識/評価

【対外投資促進】

日本及び日本企業の

プラクティスやソリューションのグローバルマーケットへの展開推進

国連のスーパーバイスのもと連携活動を推進し、国連のレビューの上でベタ―プラクティス・ソリューションを各国へ展開

日本及び日本企業のR!SEへの参画意義

人材育成と対象地域への影響

AS7:災害リスク対応保険スキームの高度化高度な保険 ○ ◎

【対内外投資促進】

日本企業のグローバルサプライチェーンのレジリエンス向上

モデル化、ツール化、標準

化、

プログラム・プ

ロジェクト化を通じたグローバル展

展開

リスク配慮型対内投資喚起

リスク配慮型対外投資喚起

課題

【対外投資】

アジアと日本がともに持続的成長するために、人、知識、資金各面において、何を目当に、どのような分野に、どのようにして対外投資を進めていくべきか?

参考>内閣官房 インフラシステム輸出戦略

【対内投資】

日本が魅力あるマーケットとして、人、知識、資金の各面において、海外からの対内直接投資や、国内向け民間投資を拡大していくには?

参考>内閣官房 日本再興戦略

<参考>日本の現状と課題 - 日本がアジアとともに、レジリエンスを高めつつ持続的成長してくために

11

日本、及び日本企業が、アジア諸国とともに、レジリエンスを高めつつ持続的に成長するためには、何に対し、どのように対内外の投資を行い、どのような共有価値を創造していくか?を検討し、これを推進していくことが求められています。

ドライバー 環境 成功要因(CSF)

・労働人口減少(少子高齢化)・東日本大震災の影響・気候災害の増加・マネーサプライ増(金融政策)・大企業の業績回復とキャッシュリッチ化・中小企業の持続的な資金難・対内直接投資は逓増するも他国比低・国土強靭化計画の推進(財政政策)・日本再興戦略による成長推進(民間投資喚起)・日本企業の国内投資の増加(2011年~2014年)・電力等の規制緩和や、税制改革・グローバルメガイベントの誘致成功と開催準備 等

• 日本のマーケットの高いレジリエンスの向上と証明

• リスク配慮の上での規制緩和等による対内投資の喚起

• グローバルメガイベントのマイルストーンとしての活用

• 投資対象たるアジア諸国のマーケットのレジリエンス確保

• アジア諸国現地の情報インフラ整備

• アジア諸国現地における投資原資調達手段(金融)の確保

・気候災害の増加・収益率の高い対外直接投資へのシフト推進

・対外直接投資の収益率向上にむけた企業買収の積極活用とサービス業への進出推進

・日本再興戦略・インフラシステム輸出戦略の推進・ODA等を利用したアジア諸国における投資環境及び情報インフラの整備推進

・EPA締結等による経済ルール調和施策や、CMS関連規制に拘わる課題解決等、国際事業環境整備の推進

・アジア諸国での投資原資の円滑な調達に向けての現地通貨建て間接金融手段確保、及び現地直接金融制度整備の促進 等

2011年3月11日に起こった東日本大震災。その後の日本を取り巻く環境は、以下のような状況

キーポイントレジリエンス向上と持続的成長を目的としたCSF

目的達成のためのキーポイント

日本や日本企業のレジリエンス向上・持続的成長のためのドライバー

• 対内外リスク配慮型投資喚起

• 共有価値創造

• マルチセクターコラボレーション

• アジアのレジリエンス向上を担う人材・組織・団体の育成

• リスクレジリエントな社会・マーケット・組織の創造・評価・開示

• 現地での投資原資調達

• グローバルネットワーキング、グローバル基準整備

AS1:災害リスクマネジメント戦略の明確化

リスク配慮型投資に必要な要素

Strategy/Decision Model

Risk Assessment/Market Segmentation

Cross Boundary/Collaboration/Open innovation

Competition/Measurement/Standardization

Responsible investment

R!SEで推進する活動例

AS2:災害リスク評価指標の利便性向上

AS3:業界基準や認証制度の開発・普及

AS5:災害リスク配慮型投資プロセスの普及

AS6:都市におけるパブリック・プライベート間連携の促進

AS4:災害リスク管理の高等教育と地域展開Education/Regional influence

AS7:災害リスク対応保険スキームの高度化Sophisticated Insurance Scheme

<参考> レジリエンスと持続的成長にむけて、R!SEコラボレーションが有効である理由

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R!SEでは、国連のスーパーバイズのもと、災害リスク配慮型の対内外投資を喚起するための活動を促進・支援し

ています。 日本、及び日本企業のレジリエンス向上と持続的成長に向けたコラボレーション活動の場として、有効活用していただくことが可能です。

アジアと日本、日本企業のレジリエンス向上や持続的成長を

目的とした仮説のポイント

•対内外リスク配慮型投資喚起

•共有価値創造

•マルチセクターコラボレーション

•アジアのレジリエンス向上を担う人材・組織・団体の育成

•リスクレジリエントな社会・マーケット・組織の創造・評価・開示

•現地での投資原資調達

•グローバルネットワーキング、グローバル基準整備

キーポイント

日本に期待される取組

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日本からのR!SEコラボレーション活動に期待される取組は、①日本の経験・知見の共有、及び②日本による災害リスク配慮型対内外投資の普及・促進に向けての取組であると言えます。

【経験や知見等の共有】

日本の豊富かつ実践的な経験や知見等を共有することで、レジリエンス新興国との認識・対応レベルのギャップを埋めることに貢献する。

【災害リスク配慮型内外投資の普及・促進】

経済先進国であり、かつ経験と知見を豊富に持つ日本が、リーダーシップをもって災害リスク配慮型内外投資を普及・促進することで、日本及びレジリエンス新興国のレジリエンスレベル向上及び持続的成長に貢献する。

日本に期待される取組①日本の経験・知見をグローバルで共有するには?

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日本の企業・団体の経験・知見をグローバルで共有するために、共有価値を生むことができた要因を特定し、価値の内容を明確化、これを複数のセクター間で共有し、普及させるために必要な活動をスタートさせることが望まれます。

また、レジリエンス向上と共有価値創造に向けて、望まれるマルチセクターコラボレーションとは?について討議し、今後求められる活動につなげることが望まれます。

シンポジウムアジェンダ<1>

・生むことができた共有価値は?またそれができた要因は?・望まれるマルチセクターコラボレーション活動は?・共有価値を生んでいくためにR!SEを活用して取り組むべき活動は?

レジリエンスの低い地域における社会/マーケット/企業のレジリエンスレベル

Gap

名だたる日本企業の国内における地震・風水害リスクに対するレジリエンスレベル

Gap

何によって?

何によって?

各地のリスクレベルに応じた、本来達成すべき合理的レジリエンスレベル

各地のリスクレベルに応じたインフラの合理的レジリエントレベル

日本のインフラのレジリエンスレベル

Gap

Gap

レジリエンスの低い地域におけるインフラのレジリエンスレベル

<参考>日本とアジア諸国の現状と課題 -“常識”や“無意識”となっている価値

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名だたる日本企業のレジリエンスについて事例研究を行った結果、顧客要望変化やサービス品質にかかわるリスク対応とあわせて、地震や風水害といったリスクへも対応可能なオペレーションモデルを、常識的にあるいは無意識に構築・運営しているケースが見受けられました。 このように常識や無意識となっている価値を識別し、これをR!SEを通じて、他の地域やマーケット、企業等と共有することで、日本とアジア諸国のレジリエンス向上と共有価値創造につなげていく取組が期待されています。

※上図はあくまでもイメージを示したものです。

*自分にとってはさほど大したものではなかったが、他者にとってはとても価値あるものであることもあります。

日本に期待される取組②日本によるリスク配慮型対内外投資を普及・促進するには?

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日本の企業・団体によるリスク配慮型対内外投資を普及・促進するために、リスク配慮型投資を意思決定できた要素や理由を明らかにし、これを複数のセクター間で共有し、普及させるために必要な活動をスタートさせることが望まれます。

シンポジウムアジェンダ<2>

・リスク配慮型投資を意思決定できた要素や理由は?・リスク配慮型投資を普及・促進していくためにR!SEを活用して取り組むべき活動は?

日本におけるR!SEコラボレーション活動実績- 日本のR!SEコラボレーション活動実績

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日本のR!SEコラボレーション活動では、R!SEが取り組む2つのテーマについて、活動に参加する名だたる企業・団体の事例研究を通じて、その普及・推進のための要素と、求められる活動について検討を進めてきました。

目的

R!SEの推進する“災害リスク配慮投資(その意思決定)”、及び“共有される価値(ビジネスケース)の創造”という2つの

テーマに関して、これを実現するための要素、及びその普及促進に資する活動について検討するためのインプットとなるノウハウや課題の抽出・整理。

プラクティス・ソリューションの抽出

なぜ意思決定ができたのか、何が価値として得られたのか、官民連携の役立ちポイントは何か、といった観点からインタビューとディスカッションを実施

各企業のプラクティス・ソリューションをDRM-Fをベースに抽出

インタビューとディスカッション

インタビューやディスカッションにおいて抽出したノウハウ・課題について整理

ノウハウ・課題の抽出と整理

各企業のプラクティス・ソリューションから抽出・整理されたノウハウや課題について取りまとめ、Symposiumのインプットとする

本イベントに

向けてのアウトプット

アプローチ

R!SE案内活動

日本におけるR!SEコラボレーション活動実績- 日本のR!SEコラボレーション活動実績

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日本のR!SEコラボレーション活動では、名だたる企業等の成功事例を研究し、共有価値の創造、及びリスク配慮型投資の意思決定に資する要素の検討を進めています。

参加企業・団体

日本電信電話東日本電信電話日産自動車日立製作所7&i ホールディングス三井住友信託銀行大成建設国際航業日刊建設工業新聞三菱商事インシュアランス

国土交通省環境省PwC Japan あらた監査法人

あらたR!SEコラ

ボレーションオフィス設置2014年9月

“Workingtogether to

reduce disasterrisk”への参加

2012年

参加企業・団体

東日本電信電話日立製作所PwC Japan あらた監査法人

事例研究活動

R!SEJapan

協働委員会活動

第5回会合2015年2月18日

第4回会合2015年1月22日

第3回会合2014年

11月20日

第2回会合2014年

9月24日

第1回会合2014年

8月20日

Japan Launch、Symposium

日本におけるR!SEコラボレーション活動実績- 日本のR!SEコラボレーションオフィス活動における事例研究の結果(案)

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事例研究の結果、共有価値の創造につながる要素として、以下の6つが見受けられました。

共有されたリスク・ギャップ認識(スタンダード)

共有可能な目標としてリスクやギャップ認識を関係者間で共有することが共有価値創造の第一歩である。

• 官民連携の会合や枠組みを構築・運営することで、レジリエンス上の共有課題を官民で共有し、これを解決するようなアイデアの提案につなげている。

• 国や自治体の戦略・計画が明確化され、公開されていることで、国や地域として重視するリスク・ギャップに応じたアイデアの提案につながっている。

• 本来求められるレベルの有事の対応計画をガイドライン化し、グループ内で共有することで、必要な対応をグローバルでグループワイドに適用している。

• マルチステークホルダーダイアログを開催することで、リスク認識の共有と、個人的なつながりにレバレッジをかけて連携・ネットワーキングを加速させている。

クロスバウンダリーでの戦略的共助・協力

セクターや組織等の境界を越えて、計画的に共助・協力を行うことが、共有価値の創造につながる。

• サプライヤーや競合他社と戦略的に協力・情報交換することで、取引先を含めてのサプライチェーンBCPを構築している。

• 複数のメーカーで、同一の自社(リテール)商品を生産するモデルを構築・運営していることで、有事における急激な需要増に対しても、複数メーカーの協力と負担分散により、必要な供給を継続できている。

• ライフラインの担い手である複数セクターの企業間で情報交換を行う場を持つことで、連携しての有事への対応策を検討している。

• 海外新興国メディアとの連携を構築することで、クロスボーダーで情報を収集する基盤を構築している。

三方良しとDual Purposeを念頭においたイノベーションやビジネスモデル作り

売り手、買い手、社会の三方にとっての共有価値、共有可能な副次的効果の達成を念頭におくことで、共有価値の創造に必要なイノベーションやビジネスモデル作りにつながる。

• リテールビジネスにおいて、日常的にカスタマーセントリックな個品単位・現場主義でのデマンドベースのサプライチェーンモデルを機動的に運営・維持していることが、有事におけるサプライチェーンレジリエンスに寄与している。

• 移動手段としての車だけでなく、移動型電源として活用可能な自動車のコンセプトと製品を開発することで、エコロジーや災害対策にも貢献している。

• ミッションクリティカルな役割を担うクライアント等に対しては、優先的な災害時対応につき合意することで、売り手と買い手双方にとって安心かつ強固なリレーションを構築している。

ブランディング、企業価値向上、人材育成との紐づけ

投資を、関与組織のブランディングや企業価値向上、人材育成といった効果に紐づけて検討することで、共有価値の創造につなげやすくなる。

• 災害リスクに取り組んでいるインフラを担う企業ブランドが、クライアントがクリティカルな業務を依頼するにあたってのサービスクオリティに関する信頼につながっており、さらにはそのクライアントからの期待がサービスレジリエンスの維持に寄与している。

• 災害リスク管理の国際的取組に積極的に参画することで、それに関連する自社業務に係る人員の業務意義の認識向上によるモチベーションアップ、及び国際人材育成の機会としている。

• マルチステークホルダーダイアログの成果を社内訓練等で共有することで、社員の意識向上につなげている。

経験と教訓の参照(歴史に学ぶ)

歴史から、過去の経験や教訓を、投資において参照することで、共有価値の創造を目的とした活動が進めやすくなる。

• 震災の教訓を活かし、公共団体との有事の協定を結ぶことで、有事におけるサプライチェーンの確保を図っている。

• 発生した災害から得られた教訓・求められる共有価値の要求事項をもとに、それに対応すべく災害リスク配慮の投資を実行し、サービスレジリエンスの向上、及び地域社会のレジリエンス向上に貢献している。

• 災害の経験を通じて、自社内のレジリエンスを高めるべく、各種研究センターの拡充をおこなった。

• 震災により被災した建物については、その被災経験から、ビルドバックベタ―で耐震確保を実現することができた。

機会へのアクセシビリティ

共有価値創造につながる機会への参加障壁を取り除くことで、共有価値の創造を目的とした投資が進めやすくなる。

• 自治体から指定をうけることで、有事においても自治体や複数業者の間で混乱せずスムースにサプライチェーンを確保し、食糧を被災地域に提供する。

• 自治体の防災会議に参加することで、都市のレジリエンス強化に必要とされる対策を把握、対応を行っている。

• 災害対応ソリューションを提供している企業間のコラボレーションの枠組みを構築、参画することで、新興国で求められている災害対応のニーズを把握している。

<共有価値の創造につながる6つの要素>

日本におけるR!SEコラボレーション活動実績- 日本のR!SEコラボレーションオフィス活動における事例研究の結果(案)

20

リスク配慮型投資の意思決定につながる、組織やコミュニティに求められる要素として、以下6つが見受けられました。

経営理念・ミッション・戦略等における災害リスク管理の考慮と、災害リスク管理の文化を醸成する。

• 創業より重んじられている品質管理に関する企業文化・経営理念が、リスク配慮型事業投資・活動における意思決定に寄与している

• ライフラインの担い手としての企業ミッションが、リスク配慮型投資に関する意思決定に寄与している

• グループ全体として災害リスクそのものをビジネスケースとして認識しており、災害リスクリテラシーが高いことから、案件化投資の意思決定がしやすい

• イノベーションの担当役員が、強いリーダーシップにより災害リスク配慮型サービスの開発を推進している

ステークホルダーとの対話や有効なガバナンスが、投資や事業運営におけるリスク配慮を促進する。

• 環境配慮を含めた多様なステークホルダーとのエンゲージメントにより、災害リスクに配慮した対策を継続的に行っている

• 日常的なパブリックセクターとのリレーションから災害対策上の課題・要望を適切に把握・社内共有することで、同基盤の開発案件化に向けての投資を行い、その受注と、災害対策基盤構築を実現することができた

• 被災時のがれき処理等、広域かつ広範囲に関係者調整をしつつ迅速に対応すべき事項につき、業界団体の整理のもとに対応を進めることで、迅速かつスムースな対応が可能となっている

人材育成や組織開発、モチベーションアップをリスク配慮型投資を通じて促進する。

• 日常業務では、その社会的インパクトへのつながりを意識することが難しいため、災害リスク対応の官民連携活動に社員が参加することで、自社ミッションを再認識し、そのモチベーションアップと企業価値向上を図っている

• 東日本大震災の復興支援を積極的かつ継続的に実施し、この支援を社員のなかから有志をつのって取り組むことで、社員や組織力の向上にもつなげている

• マルチステークホルダーダイアログの成果を社内訓練等で共有することで、社員の意識向上につなげている

リスク配慮型投資を行うための、資金や人材、ナレッジといった活用できるリソースを確保する。

• かねてより災害リスク管理上の課題として認識していた耐震補強を常にリスク管理部門で継続管理することで、投資余力が生まれた機会に、対応投資の意思決定を行い、補強を実現した

• 長年行ってきた企業のリスクレジリエンス向上支援の経験とノウハウ、及びネットワークを活用し、グローバルな官民連携の活動の促進に貢献している

• 被災時における緊急かつ多数の内外関係者の動員においても、日常的な大規模開発プロジェクトでの広範かつ末端までの指示命令系統の強さが生きている

投資においてリスクに配慮するような機会やプロセスを組織内に設定する。

• 災害対応ソリューション開発の際に、平時における副次的効果についても検討することで、平時と有事双方考慮した投資が可能となっている

• かねてより課題として認識していた耐震強化の施策を、適時に起案することができる、組織的な仕組みが構築されていることで、当該リスク配慮型投資案件の意思決定の実行と対策を行うことができたことから、東日本震災時にも、建物倒壊とそれによる従業員の傷害を防ぐことができた

• 震災により被災した建物については、その被災経験から、ビルドバックベタ―で耐震確保を実現することができた

重大なリスクの認識や、事象の発生、レギュレーション等とのギャップといった、深刻度合を明らかにする。

• 災害の教訓から、必要となる施策については、適宜投資を行っている

• 新興国におけるリスクリテラシーは日本に比較するとまだ低い状況であることから、レジリエンス向上の施策を進めていくには、啓発事業が必要となるため、その展開が行われている

• 災害発生事後においては、対応のための要求事項が明確となり、リスク配慮型投資が拡大する

• 自社の他に対応できる企業があまり存在しない災害リスク管理上の課題が判明し、それに関する社会的要請が高まると、対応投資の意思決定が行いやすくなる

リーダーシップと文化 ステークホルダーエンゲージメントとガバナンス 組織力向上のニーズ

利用可能なリソース 機会とプロセス 深刻度合

<リスク配慮型投資の意思決定につながる6つの要素>

<参考> R!SEイニシアティブが目指すもの- 共有価値を創造する災害リスク配慮型投資の普及・促進の意義

21

社会を構成するステークホルダー(企業、各国団体や市民等)間で共有されるべき、災害リスクと持続的成長という課題に対し、期待されるレジリエンスレベルのギャップは、見方を変えると、共有価値を生むスペースでもあります。

もし、このギャップを埋めることが出来る仕組み(法制度等)やビジネスモデル、ソリューションが開発/普及すれば、社会のレジリエンスを高めると同時に、ステークホルダーと社会に持続的な成長をもたらすことが期待されます。

この実現のためには、リスク配慮型投資の普及・促進を進めていくことが、重要となります。

RiskResilientSociety/Market

Business

Investors

InsuranceCivil

Society

Education

PublicSector

PwC

日本において想定されるR!SEコラボレーションの取組

322

日本において想定されるR!SEコラボレーションの取組今後想定されるR!SE Japanの活動案

23

今後期待される取組の例として、これまでの事例研究を継続しつつ、国や自治体を巻き込んでのマルチセクターコラボレーションの検討、及び海外先進事例の調査をすすめていくことで、より具体的な共有価値創造に向けての展開を行っていくことが期待されます。これに加え、R!SEのVision、目的に応じて、参加企業・団体等が、自ら主体的に起案、リードする活動への展開が期待されます。

【マルチセクターコラボレーション活動】

レジリエントシティスコアカードを活用した、国や自治体を巻き込んでのマルチセクターコラボレーションによる成功事例と課題の検討

【事例調査とその成果の共有活動】

リスク配慮型投資と共有価値創造のために求められる要素の洗い出しと共有

参加者主導の具体的活動の実行・ビジネスケースの展開

ノウハウ・知見のグローバル展開(標準化、モデル化、プログラム化等)

<リスク配慮型投資普及に向けた今後の活動> <期待される共有価値創造に向けての展開>

本邦における他の活動との密接な連携

新規

継続

新規 R!SEのVisionや目的に即した、参加者主導の具体的プロジェクトの立ち上げ・実行・ビジネスケースの展開

【先進事例調査とその成果の共有活動】

他国のレジリエンス先進事例を調査し、その成果を共有

新規

* 実際の活動内容については、今後のR!SEコラボレーションオフィスの共有Mtg参加企業・団体様と、継続検討し確定する予定です。

日本において想定されるR!SEコラボレーションの取組今後想定されるマルチセクターコラボレーション活動案

24

パブリックセクターを巻き込んでの取組としては、以下に示したレジリエンスシティスコアカードを用いた成功事例と課題の検討が想定されます。

10 Essentials Subject/Issue

1 対話、理解の共有及び調整 1.1 組織と調整1.2 スキルと経験1.3 災害レジリエンスに関する他のイニシアティブとの統合

2 資金調達とインセンティブ 2.1 財政計画と予算2.2 偶発的な調達2.3 インセンティブと資金調達

3 ハザード、可能性及び影響の認識と理解

3.1 リスク評価3.2 アップデートプロセス

4 災害に強い重要インフラの構築

4.1 防護インフラ4.2 コミュニケーション4.3 電力4.4 水、衛生設備4.5 ガス(該当あれば)4.6 交通4.7 法と秩序、初期対応者4.8 事務処理4.9 コンピュータシステムとデータ

5 災害に強い教育と医療インフラの構築

5.1 教育施設5.2 医療

6 リスク認識のある計画、土地利用及び建築基準の適用

6.1 エクスポージャーの増大を防ぐ土地利用区分の有効性6.2 建築基準

7 一般の認識と能力の向上 7.1 教育と認識7.2 トレーニング7.3 言語

8 生態系サービスの強化と保護 8.1 生態系サービス(cf調整機能・保全機能)9 警報システムの構築と準備

のリハーサル9.1 早期警報9.2 イベントへの対応計画9.3 人員/対応者のニーズ9.4 機材と救助用具のニーズ9.5 食料、シェルター、必需品及び燃料の供給9.5 運用能力と各機関の互換性9.6 訓練

10 学習とよりよい復興 10.1 事後復興計画

【AS6:都市における官民連携】 において提供されるResilient city scorecardの構成

既に常識化している対策の識別

発生頻度の高いリスクへの対応策の識別

包括的リスクアセスメント

サプライチェーンリスクに対する民間連携対策の識別*

想定される対応上のポイント

災害リスク管理ソリューション・プラクティスに拘わる基準の識別*

* DRM-Fに基づくインベントリ活動で識別され

たプラクティスやソリューションとマッピングも可能であると考えます。

企業拠点誘致(企業にとってのマーケットとレジリエンス)目線での検証

本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、(明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、京都監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。

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宮村 和谷| PwC Japan あらた監査法人, SPA, ビジネスレジリエンスアドバイザリー担当パートナー

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