ru1 2. 光ファイバ接続型受動監視システム(octpass) 信号...
TRANSCRIPT
-
このため,2 局の受信局(RU1,5)についてアンテナ位置を変更し,このエリアに対する良好な
見通しを確保するとともに,さらに冗長性を持た
せるために 2局の受信局を追加した。 また,南ウイングエプロンエリア奥側に配置さ
れた受信局(RU13)について,マルチパス対策として無指向性アンテナから前方にビームを絞
った指向性アンテナに変更した。そして,アンテ
ナ後方に位置する基準送信局の信号を検出する
ための指向性アンテナを上段に追加して,合成器
で航空機および基準送信局の信号を合成した。
3.3 改善策を適用した評価試験結果
図 8 に改善策適用後の車両走行航跡記録例を示す。また,以下に各エリアの再評価結果を示す。
(1) B滑走路&誘導路エリア
再評価結果について,表 2に改善策適用前と比較して示す。改善策の適用により位置精度は
6.3m と向上し,滑走路・誘導路に対しては,性能要件を満たすことが確認できた。
(2) 貨物地区&南ウイングエプロンエリア
表 3 に再評価結果を改善策の適用前後で比較して示す。再評価の結果,貨物地区では全てのエ
リアで性能要件を満たす事が確認できた。
南ウイングエプロンエリアでは,38 番スポットより奥に位置する一部のエリアを除いて性能
要件を満たす事が確認できた。
性能要件が満たされていないエリアについて
は,四方が建造物に囲まれているためマルチパス
による信号検出ロスが多発して,期待した信号検
出率が得られなかったことが原因と考えられる。
4. まとめ
関西国際空港におけるマルチラテレーション
導入評価では,リモート局の配置について,管制
塔を中心軸として空港全体を囲む最小限の局数
で評価試験を行った。初期評価で必要な性能が得
られなかったエリアに対しては,アンテナ設置位
置の変更や,リモート局の追加などの改善策を適
用して再評価を実施した。
再評価の結果,一部のエリアを除いて性能要件
を満たしていることが確認できた。また,性能要
件が満たされていない一部のエリアに対しては,
実運用装置ではリモート局を追加配置すること
で更なる性能向上が期待できることから,関西国
際空港におけるマルチラテレーションの導入に
対する見通しを得ることができた。
最後に,本評価を実施するにあたり,国土交通
省大阪航空局,関西空港事務所,関西国際空港株
式会社,航空保安大学校,およびご協力頂いた各
航空会社の関係各位に感謝の意を表します。
参考文献
[1]宮崎,二瓶,松久保,古賀,青山:“東京国際空港におけるマルチラテレーション監視シス
テムの評価結果”,第 7回電子航法研究所研究発表会講演概要,平成 19年 6月
[2]林,二瓶,宮崎,上田,角張,古賀,青山,山田:“成田国際空港におけるマルチラテレ
ーション監視システムの導入評価”,第 9 回電子航法研究所研究発表会講演概要,平成
21年 6月 [3]ICAO: Aeronautical Telecommunications
ANNEX 10 Volume4, July 2007
[4]EUROCAE:ED-117,Minimum Operation Performance Specification for Mode-S Multilateration System for
Use in Advanced Surface Movement Guidance and
Control System, November 2003
表 2 滑走路・誘導路における性能値
表 3 エプロンエリアにおける性能値
エリア位置精度
(95%信頼性レベル)検出率
適用前 適用後 適用前 適用後エプロン誘導路
46.9m 43m 100% 99%
スポット34 21.4m 11m 100% 100%スポット41 50m 57.1m 100% 40.7%スポット201 32m 5.9m 100% 100%スポット110 42.8m 6.7m 100% 100%
性能要件
エプロン誘導路12m以下
エプロン誘導路98%以上(2秒)
スポット20m以下
スポット99.9%(5秒)
エリア
位置精度(95%信頼性レベル)
検出率(2秒間隔)
適用前 適用後 適用前 適用後B滑走路 9.2m 6.3m 100% 100%J3&J4誘導路(貨物地区)
14.6m 7.2m 100% 100%
性能要件 7.5m以下 99.9%以上
SS SSR (Secondary
Surveillance Rader) S
3 S
[1]
OCTPASS )
[2] OCTPASS
OCTPASS
OCTPASS
S 3(Time Difference Of
Arrival: TDOA)
1 OCTPASS
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
2. 光ファイバ接続型受動監視システム (OCTPASS) 信号処理装置の試作 ・ 評価
− 11 −
-
GPS(Global Positioning System)2
3
OCTPASS
1 OCTPASS
OCTPASS
RF 1RF
RF (Radio over Fiber: RoF)
2
OCTPASS RF1
RoF
OCTPASS
OCTPASS
OCTPASS
OCTPASS RF1
32
SA/D
FPGA (Field Programmable Gate Array)
S
PCLAN
4 ch 200 MHz A/D 16 bit 500
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
− 12 −
-
SS
3 4 8 μs (PPM)
56 μs 112 μsS
ADS-B (Automatic Dependent Surveillance
-Broadcast )S
RTCA(Minimum Operational
Performance Standards: MOPS)[3]Enhanced Reception Techniques
MOPS
4(0, 1, 3.5, 4.5 μs) 0.05 μs
Minimum Triggering Level: MTL
SMOPS
10 MHz
200 MHz
S
S
DAC (Delay Attenuate and Compare)
DAC 4
2 OCTPASS
3 S
4 DAC
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
− 13 −
-
200 MHz
5 ns DAC1
S
56 bit 112 bit
10 MHz
RTCA MOPS (DO-260B)Multi-Sample Technique With Full Table
Lookup 1 (1 μs) 10
2
( 5. )
LANFPGA
CPU500
10 ms 5UDP
S
A/D
216 4 ch
S
(Tektronix AFG-3102)2ch
ns
Tektronix TDS-5104
2ch
700mVp-p 2s 1ms 4150
LAN
10ms 51ms
5 Multi-Sample Technique
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
− 14 −
-
500
2 ch2
2
S
DACDAC
5 ns DAC5 ns
2 700mVp-p2.7 10.5 22.3 ns
6
5 ns
DAC 1 2 ns
OCTPASSS
B
31
12m 2 6 m
310 m
PC 12
RF 3
1 11090MHz S
200W
6 DAC
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
− 15 −
-
B
DAC
7GPS 3
Point A Point
BPoint B
Point A
RF
Point A 2 3
Point BRF
OCTPASS
OCTPASS
7
広域マルチラテレーションの基礎実験結果
宮崎 裕己,上田 栄輔,角張 泰之,二瓶 子朗(通信・航法・監視領域)
古賀 禎(機上等技術領域) 1. まえがき
東京国際空港や成田国際空港では,滑走路の
増設や延伸,新たな誘導路やターミナルビルの
整備が進められており,空港容量が拡張される
計画である。そして,空港容量の拡張により交
通量が増大した場合においても,安全かつ円滑
な運航を確保するために,拡張後に対応した管
制を支援するシステムの整備も進められてい
る。このうち空港面監視に関しては,マルチラ
テレーション(MLAT: Multilateration)装置が導入された。 一方,空港容量を拡張するために高度な運用
方式も導入される計画であり,離発着のタイミ
ングが滑走路間で依存し合う「井桁運用」や,
平行滑走路の同時進入・出発等が実施される。 これらの運用方式を実現するためには,空港
面のみならず空港周辺を飛行する航空機に対
しても高精度かつ高頻度で監視することが求
められる。現在,空港周辺を飛行する航空機に
対しては,ターミナルレーダー(ASR: Airport Surveillance Radar)を利用して監視が行われている。しかしながらASRは,更新頻度が低いことや空港近傍が覆域の対象外であることな
どの課題を持つ。このため,ターミナルエリア
やアプローチエリアを監視対象とした広域マ
ルチラテレーション(WAM: Wide Area Multilateration)技術の開発・評価が国際的に進められている。我が国の混雑空港周辺では空
域や飛行ルートに制限が多く,航空機は狭く限
られた経路を航行している。この状況において,
前述した高度な運用方式の導入と,これに伴う
交通量の増加を考慮すると,より高性能な監視
装置が必要になると想定される。 このような背景から,当研究所は空港周辺の
空域を高精度・高頻度で監視できるWAM技術を開発する研究を進めている。本研究の目的は,
WAM評価用装置(以下,評価用装置とする)
を製作して,高性能化を重点に機能および性能
の評価試験を行い,我が国におけるWAM技術を確立することである。 本稿では,初めにWAMの測位原理や性能について述べる。次に評価用装置の構成や各装置
の機能を説明して,東京国際空港周辺を対象に
実施した基礎実験の結果を示す。基礎実験の目
的は、高性能化を図るために適用した技術の事
前検証である。そして,最後にまとめを述べる。
2. WAMの概要
2.1 測位原理
図1に測位原理の概念図を示す。WAMでは,航空機に搭載されたトランスポンダが送信する
航 空 機 衝 突 防 止 装 置 ( ACAS: Airborne Collision Avoidance System)のスキッタや二次監視レーダー(SSR: Secondary Surveillance Radar)の応答(1)を複数の受信局で検出して到達時刻を測定する。次に,測定した到達時刻から
受信局間の到達時刻差を求めて,航空機と各受
信局との距離差に変換する。そして,距離差が
一定との条件からなる楕円双曲面同士の交点を
求めることで航空機の位置を算出する。空港面
監視用のMLATと異なり,高さも含めた3次元で測位するためには,最低4局の受信局で信号を検出することが必要である。
図1 測位原理の概念図
A
B
C
D
TB-TA
TC-TA
TD-TA受信局
電子航法研究所研究発表会(第 10 回平成 22 年 6 月)
− 16 −