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Newsletter vol. 3 平成 21年 3月

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 Newsletter vol. 3

平成 21年 3月

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目 次

ページ

【巻頭言】

「ユーザーが教えてくれるもの、教えてくれないもの」

国際高等研究所 フェロー・大阪大学 特任教授 高尾正敏 1

【研究室紹介】

東北大学 金属材料研究所 前川研究室 3

東北大学 金属材料研究所 高梨研究室 5

大阪大学 基礎工学研究科 鈴木研究室 7

【研究紹介】

「異常ホール効果とスピンホール効果の理論的研究」

東京大学 工学系研究科 永長 直人 9

「磁気渦の共振運動における電流磁界の効果」

電気通信大学 情報工学科 仲谷栄伸 11

「高スピン偏極材料のナノ構造解析とスピン偏極率測定」

物質・材料研究機構 高橋有紀子 古林孝夫 宝野和博 13

「イコール・パートナーシップを築くために」

産業技術総合研究所 ナノ電子デバイス研究センター 秋永広幸

筑波大学 数理物質科学研究科 末益崇 15

【ニュース】

「祝受賞! 日本 IBM 科学賞:小野輝男氏(京大)

サー・マーティン・ウッド賞:小野輝男氏(京大)齊藤英治氏(慶應大)」 17

【会議報告】

特定領域「スピン流の創出と制御」2008 年度成果報告会 18

【研究組織】 25

【お知らせ】

ホームページ、メーリングリスト等 29

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巻頭言

ユーザーが教えてくれるもの、教えてくれないもの

国際高等研究所 フェロー・大阪大学 特任教授 高尾正敏

研究開発での評価項目の中でアウトカム・アウトプット論が盛んです。私自身最近、

切っ掛けはよくわからないのですが、競争的資金の事前・最中・事後評価に呼ばれること

が多くなりました。会社にいたときには後半のほとんどを技術関連の事業企画・開発企画

の仕事をしていましたので、評価対象が多少異なるだけでほとんど活動自体はほとんど変

わらず、違和感なくさせていただいています。そのときに産業界の視点でのご意見をとい

うのがほとんどです。しかしこれが一番困る注文です。会社でも技術企画をするときに将

来何に役にたつのかということが議論の対象になります。会社ではこれが直接的成果でア

ウトプットになります。そのためにユーザーの意見を聞きなさいということになります。

ここで問題になるのはユーザーの意見なるものです。技術部門で議論するのはエレクトロ

ニクス業界では本当に最先端技術を用いようという商品開発をしているのですから、世間

一般のユーザーは最先端のことは知らないので、意見を言いようがありません。従ってユ

ーザーの意見というものは存在しないのです。ユーザーも聞けば何らかの意見を言ってく

れますが、大概は無責任で聞くに堪えないものです。それならどうするか、結局開発に携

わっている技術者の想いが一番重要になります。他人がやっているから、他社がやってい

るから、さらにはユーザーが求めているからというのは、生き馬の目を抜く直近の商品開

発は別として、本当にオリジナリティのある商品を生み出すことには繋がりません。勿論

会社は生き残りのために直近の商品開発をおろそかにすることはできないことはいうまで

もありません。しかし持続的に会社が存続するためには、技術者ひとりひとりの想いの詰

まった新しい多様性のある技術の蓄積が必要となります。

翻って、アカデミアではどうかというと、同様の議論がアウトカム論の中で出てきま

す。厄介なことに役にたちそうなことをアウトカムとして提案書に書かなければなりませ

ん。最近は経済産業省がロードマップ*)を作ってくれていますので、その中から選べばかな

りのことはいえるようになり、便利になりました。それでもすべての予測がロードマップ

に載っているわけではありません。むしろ基礎科学分野では載っていないアウトプットを

見いだすのが大切です。これが国家が持続的に継続する知的資産の蓄積に繋がります。で

はアウトカムをどうするかというと、これは産業界に任せるのが得策です。産業界もバカ

ではありませんので、アカデミアが、アウトプットで、何が新奇か、面白いか、研究者の

想いはどうなのかをわかりやすく、翻訳的に説明していただければ、十分に租借して身に

つけてアウトカムに繋げる実力をもっています。一番大事なのは、ええ格好せずに本音の

コミュニケーションがアカデミアと産業界の間でなされることです。先生方には想いを込

めて研究を大いに楽しまれて、たくさんのアウトプットを出していただきたいと思ってい

ます。

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巻頭言

結論は、アカデミアの期待(?)に反し、産業界を含むユーザーは何も教えてくれな

いということです。自らの見識・想いを大切にして、セクター間で互いに尊敬し合って、

本音のコミュニケーションに努める「餅は餅屋で」方式に則り、将来の科学技術・産業を

創っていくというというのが産官学連携の基本です。

*)http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/kenkyu_kaihatu/str-top.html

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研究室紹介

東北大学 金属材料研究所

金属物性論研究部門 前川研究室

前川研究室のある金属材料研究所は、仙台

駅や繁華街へのアクセスに優れた仙台市の中

心部に位置しています。近くには市内をゆっ

たりと流れる広瀬川を望み、杜の都仙台の名

の通り、緑豊かな自然環境にあります。ご近

所には本特定領域代表の高梨教授の研究室を

はじめ多くの実験グループが存在し、国内外

からのビジターも頻繁に滞在され、日々活発

な研究討論が交わされています。現在の研究

室メンバーは、前川教授をはじめとして、教

員 4 名、研究員 4 名、博士課程学生 1 名、修

士課程学生 3名、秘書 3名(!)という構成です。 本研究室では、固体中の電子が織り成す量

子現象を理論的に研究しています。物質を構

成する原子の組み合わせを選ぶことにより、

あるいは物質を微細加工することにより量子

現象が様々な様相を呈します。銅酸化物や金

属・合金に現われる超伝導現象はその代表例

です。また、ナノスケールの磁性体や遷移金

属酸化物に現われる異常物性もそのひとつで

す。これらの量子現象の理解を通して物質科

学に新しい地平を切り開き、革新的な機能性

デバイスに至る様々なルートの提供を行って

います。以下、最近の成果をご紹介します。

1.超伝導・強磁性ハイブリッド構造におけ

る新現象の提案

固体中の量子現象の典型である超伝導と強

磁性を組み合わせることで、まったく新しい

現象が発現することを示しました[JPSJ 2008 (editor’s choice)]。強磁性ジョセフソン共鳴と

名付けられたこの現象は、スピン波を精密測

定する新しい実験法や超伝導流の整流素子の

開発への道を開くと共に、超伝導をベースと

金属物性論研究部門のメンバー。写真は、昨年 10 月に広瀬川にて行われた芋煮会の後で。

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研究室紹介

した量子ビットの開発にも新たな指針を与え

るものと期待されます。 2.ナノスケール磁性体におけるファラデー

の法則の拡張

スピンエレクトロニクスでは、電子の電荷

とともに磁性のもとであるスピンの個性を最

大限に引き出し、従来技術にブレークスルー

をもたらすことを目指しています。私たちは、

スピンエレクトロニクスの舞台となるナノス

ケールの磁性体では、電磁気学の基本である

ファラデーの法則が修正を受けることを明ら

かにしました[PRL 2007]。この発見は、物理

の基本法則に係る点で大きな波及効果を持ち、

磁気メモリなどへの応用[APL 2006]を提案し

ています。現在、本特定領域の実験グループ

(A05 班田中 G 、A04 班小野 G、齊藤 G)と

共同で、更なる実証を行っています。 3.電気と磁気の相互変換の実証

電気と磁気の相互変換は、スピンエレクト

ロニクスにおいて欠くことのできない基本ツ

ールのひとつです。白金や金といったスピン

軌道相互作用の大きな物質の内部で生じるス

ピンホール効果という現象を用いることで、

電気と磁気の流れが相互に変換できることを

A02 班大谷 G、新田 G、A01 班高梨 G と共同

で実証しました[PRL 2007, Nature Materials 2008]。現在、A03 班の永長 G と共同で、高い

変換効率を実現するメカニズムの理論的解明

に取り組んでいます[PRL 2009 (in press)]。 4.数値シミュレーションによる新材料・新

機能の探索

超伝導や強磁性の特性は電子間の相互作用

により導かれるため、本質的に量子多体問題

であり、その研究には数値シミュレーション

が有効です。私たちの多体電子状態計算プロ

グラムは世界的にもトップクラスの計算性能

を有しており、JST のプロジェクト(CREST)に連続して採択されて新材料・新機能の探索

を推進しています。 この他、本特定領域の協賛の下、国際ワー

クショップを主催し、国際的な研究協力体制

の構築を目指すとともに、我が国のスピン流

に関する研究成果を海外に向けて積極的に発

信していく取り組みも実施しています。

毎月一回、その月に誕生日を迎えるメンバー&ビジ

ターを研究室の皆でお祝いしています。バースデー

ケーキは前川先生からのプレゼント。(ごちそうさ

まです!)この月は、研究打ち合わせで滞在中の、

東京大学田中先生とファム ナム ハイさん、マイア

ミ大学バーンズ先生の歓迎会も共同開催でした。

A. Fert 先生(前列向って左から 2 人目)をはじめとする国際ワークショップ Spin Currents の出席者。

本特定領域からも多数のご参加を頂き、活発な議論が繰り広げられました。2008 年 2 月 19 日撮影。

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研究室紹介

東北大学 金属材料研究所 高梨研究室

東北大学金属材料研究所は片平キャンパス

最北にあり、その1号館に高梨研究室があり

ます。仙台駅からも飲食店街からも近く、さ

らに近くを広瀬川が流れており、研究・会議

開催・レクリエーションのすべての面におい

てたいへん良い立地条件にあります。金属材

料研究所は、本多光太郎以来の歴史と伝統を

有する金属材料研究の中心地であり、中でも

磁性合金の物理と材料開発には顕著な業績を

誇っています。そのような伝統を受け継いで

高梨研究室では、金属人工格子の創製と物性

開拓、グラニュラー構造薄膜の創製と磁気物

性、高磁気異方性合金のナノ組織・物性制御

などの研究を行ってきました。Fe や Co 等の

単純な磁性金属から、希土類合金や多元系化

合物まで種々の物質を扱い、その人工的なナ

ノ構造の創製と構造評価を行っています。ま

た、基礎から応用までをターゲットにした研

究を行っているため、評価する物性も基礎的

な磁化過程、ソフトおよびハード磁気特性、

GMR、TMR、単一電子トンネリング、磁気

光学効果など多岐にわたっています。このよ

うな広範な研究活動のために、学内外との共

同研究も盛んであり、金属人工格子の圧力効

果やブリルアン散乱・磁気光学効果といった

共同研究ならではの成果もあります。金属人

工格子の研究は前任の藤森啓安教授(現東北

大学名誉教授)の頃に始めた研究であり、藤

森教授は 1990-1993 年に、本特定研との関連

が深く、その源流の一つといえる科学研究費

重点領域研究「金属人工格子」の代表者を務

められていました。当研究室では、人工格子

研究の究極として、単原子積層法による人工

規則合金の創製に関する研究を推進しており、

それに関して世界をリードしています。また、

そその磁性ナノ構造創製技術は、最近のスピ

ン依存伝導やスピン流に関する研究の基礎と

なっており、ナノ粒子のスピン緩和時間の増

大や金の巨大スピンホール効果の発見につな

がっています。

研究室の人員構成(通常時)は、教授・高

梨以下、准教授1、助教2、ポスドク若干名、

単原子積層制御やハーフメタル材料の研究に用いる分子線エピタキシー装置と

超高真空対応多元スパッタ装置

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研究室紹介

事務・研究補佐員若干名、大学院学生10名

強となっており、学部学生を受け入れていな

いため比較的少人数の構成となっています。

大学院生は工学研究科マテリアル・開発系か

ら受け入れており、そこには東北大学以外か

らの編入生や外国からの留学生も含まれてい

ます。高梨研発足当時のからのスタッフは全

員新天地を見つけ、嶋敏之助手が 2004 年度

に東北学院大学の准教授に、薬師寺啓助手が

2006 年度に産業技術総合研究所に、三谷誠司

准教授が昨年9月末に物質・材料研究機構に

転出しました。その一方で、水口将輝助教が

2007 年度に、桜庭裕弥助教が 2008 年度に新

戦力として加わりました。最近のポスドクと

しては、エルヌフランク博士がフランス・グ

ルノーブルから加わり現在はキャノンアネル

バに異動、関剛斎博士が高梨研で学位取得後

1年半の研究期間を経て大阪大学に異動しま

した。現在は、ヨーロッパでの研究経験もあ

る王海博士が活躍しています。このように人

材の流動性が高く、そのことが活性化や新規

テーマの設定にも寄与しています。

本特定領域研究の代表者として現在重点的

に取り組んでいるテーマは、金属系の巨大ス

ピンホール効果、ハーフメタル材料による高

効率スピン源の創製、ナノ粒子におけるスピ

ン依存伝導と磁化のダイナミクス等であり、

日々精力的に研究を推進しています。その進

捗状況は随時研究会等でご報告しております

が、特定研のメンバーの皆様には、いつでも

気軽に訪問していただければと思っています。

各種レクリエーションも活発に行っており、

温泉での忘年会と広瀬川での芋煮は恒例のイ

ベントとなっています。

お花見や芋煮会での一コマ

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研究室紹介

図 1 研究室の集合写真。(平成 20 年 4 月撮影)

大阪大学大学院基礎工学研究科 鈴木義茂研究室

大阪大学大学院基礎工学研究科の物性物理

工学領域に所属する鈴木義茂研究室では、

「ナノスピントロニクスグループ」という講

座名で金属磁性体やカーボン・有機材料を用

いたスピン依存物性およびスピンデバイスの

研究を行っています。研究室のメンバーは、

鈴木義茂(教授)、白石誠司(准教授)、野崎

隆行(助教)の常勤スタッフをはじめ、関剛

斎(研究員)、Ashwin Tulapurkar(研究員)、

前原大樹(研究員・Canon ANELVA)、長谷川

理江(秘書)、杉村忠廣(技術補佐員)、そし

て博士課程学生 3 名、修士課程学生 12 名、学

部 4 年生 5 名(平成 21 年 1 月現在)です(図

1 は平成 20 年 4 月の集合写真)。また、招聘

教授として新庄輝也(京都大学名誉教授)、湯

浅新治(産業技術総合研究所グループリーダ

ー)両氏に御指導頂いております。 我々の研究テーマは、「金属スピントロニ

クス」および「分子スピントロニクス」の 2つに大別することが出来ます。さらに「金属

スピントロニクス」グループは、①スピンダ

イナミクスと②スピンデバイスの 2 班にわか

れており、一方「分子スピントロニクス」は

③カーボン材料(特にグラフェン)と④有機

材料の 2 班にわかれて研究を進めています。 スピンダイナミクスグループでは、強磁性

トンネル接合や巨大磁気抵抗素子におけるス

ピン注入磁化反転のダイナミクスの解明やス

ピントルクによる高周波発振・ダイオード効

果の研究などを行っており、これまでに MgOトンネル接合素子を用いることによる高周波

発振の高出力化(Nature Phys. 2008、産総研・

キヤノンアネルバとの共同研究)などを報告

してきました。 スピンデバイスグループでは、スピントル

クやスピン流が織りなす多彩な現象を利用し

た新しいスピンデバイスの創成を試みており、

金属磁性体を用いたスピントランジスタの実

現などに向けて日々努力を続けています。最

近では電圧印加による Fe 超薄膜の磁気異方

性の制御にも成功しており(Nature Nanotech. 2009、東北大と共同)、萌芽的な研究課題にも

積極的に取り組んでおります。 カーボン材料を用いた分子スピントロニク

スグループは、フラーレンやカーボンナノチ

ューブ、最近ではグラフェンにおけるスピン

依存伝導の研究を中心におこなっております。

我々はグラフェンにおける室温でのスピン依

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研究室紹介

存伝導には一早く成功しており(Jpn. J. Appl. Phys. 2007)、現在でも精力的に研究を進めて

います。 有機材料を用いた分子スピントロニクスグ

ループでは、ルブレンやペンタセン、Cu フタ

ロシアニンなどの有機分子材料におけるスピ

ンの振る舞いの解明および制御を目指してお

ります。強磁性金属とのグラニュラー構造に

おけるスピン依存トンネル現象の観測や、電

界効果型電子スピン共鳴測定などをおこなっ

ており、ルブレン-Co ナノコンポジットにお

ける MR 効果の増大なども発見しました。 「金属」と「分子」を扱う分野の異なる二

つのグループがバランス良く一研究室に共存

し、それが有機的に交わることができれば、

既存技術の課題に対するブレイクスルーや新

分野の開拓などに繋がるものと期待し、日々

研究を行っています。また、研究室でのゼミ

において一つの分野にとらわれない内容を学

ぶことで、学生にも広い知識と多分野への興

味を得てもらえるのではないか、と期待して

おります。 さて、我々の研究室が担当する本特定領域

研究における研究課題は「スピン流高周波・

熱デバイス」です。これまでに培ってきた高

周波測定技術やスピン流・スピントルクに関

する知見を発揮し、研究目標を達成できるよ

う研究室一丸となって頑張りたいと思います。

我々の研究室も発足後 5 年が経過し、発足当

初と比較すると試料作製装置や測定装置など

の設備をだいぶ揃えることができました(図

2)。しかしながら、まだまだ充分とは言えな

いのが現状です。特定領域研究を行う最大の

魅力は、他グループとの密接な議論や共同研

究にあると思います。皆様の御協力宜しくお

願い申し上げます。

大阪大学大学院基礎工学研究科は豊中市の

待兼山にあり、伊丹空港からモノレールで 2

駅というアクセスの良さが売りです。お近く

にお越しの際には是非お立ち寄り頂き、御議

論等頂ければと思います。

研究室 HP: http://www.suzukiylab.mp.es.

osaka-u.ac.jp/index.html

文責:鈴木義茂、関剛斎

図 2 (a) 高周波測定用プローバーと計測機

器、(b)電子線リソグラフィー、(c)分子線エピタ

クシー装置

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研究紹介

異常ホール効果とスピンホール効果の理論的研究

東京大学工学系研究科 永長 直人

はじめに

「何かが流れる」ことは物性物理学の最も

基本的な現象です。「何か」を運ぶのは通常電

子であることがほとんどで、電子の持つ電荷、

スピン、エネルギーなどが、それぞれ電流、

スピン流、熱流などとして物性に現れるわけ

です。一方、電子は量子力学的実体として、

波動性と粒子性を併せ持つもので、特に固体

中ではブロッホ波動関数で記述される波動と

して振る舞います。それが、粒子のように記

述できるのは、「波束」という概念が有効にな

るからで、ちょうど光学で本来はマックスウ

ェル方程式で記述される電磁波である光波が、

波長の短い極限で幾何光学によって精度良く

近似できる事情と対応しています。しかし、

回折現象のように、波長が有限であることか

ら生じる重要な現象もあります。電子の場合

は、トンネル効果がその代表例ですが、最近

注目されているのが「ベリー位相」に起因す

る効果です。これは、結晶中のバンド構造に

よって、波動関数がバンドごとのヒルベルト

空間に制限されることによる効果で、このヒ

ルベルト部分空間が「曲っている」ことによ

る曲率が、電子の運動に影響を与えるという

ものです。電子波が結晶場によって「ねじら

れている」とわけです。曲率という言葉が示

すように、これは幾何学的な起源をもちます。

この幾何学によって駆動される電子の運動は、

電場などの力による加速運動とは一味違って

いて、熱の発生、つまり散逸を伴わずに流れ

ることすら出来るのです。その代表例が、強

磁性金属における異常ホール効果と、磁性を

持たない半導体や金属におけるスピンホール

効果です。それぞれについて以下に紹介しま

す。

異常ホール効果

強磁性体においては、外部磁場がなくとも自

発磁化によってホール効果が発生します。こ

れは、ローレンツ力による通常のホール効果

と違って、スピン軌道相互作用によって生じ

ます。この効果については、バンド構造のベ

リー位相による内因性機構が主なのか、不純

物散乱による外因性機構が主なのか、長年

図1縦伝導度の関数としての異常ホール伝導

度。赤い線が理論計算。3つの領域が見て取

れる。 の論争が行われて来ました。この問題に対し

新しいタイプの固体中を流れるカレント―トポロジカルカレント―の理論的研

究を行っています。その代表例として、強磁性金属における異常ホール効果と非

磁性体におけるスピンホール効果について紹介します。

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研究紹介

て、(1) バンド構造には、フェルミエネルギ

ー近傍にバンド交差があり、これがベリー位

相にとって磁気単極子のようにはたらき、こ

れが異常ホール効果に支配的な寄与をするこ

と、 (2)そこに不純物散乱の効果を自己無撞

着に取り入れると、(縦の電気伝導度によっ

て測られる)乱れの強さの度合によって、(i)クリーン極限の外因性スキュー散乱が支配的

な領域、(ii)通常金属の内因性機構が支配的で、

異常ホール伝導度がほぼ一定値を持つ領域、

(iii)乱れが強く、異常ホール伝導度が縦伝導度

の1.6乗に比例して小さくなる領域、の3

つがあることが明らかとなり(図1)、この理

論は実験結果とも良い対応を示していること

がわかりました。この研究で、長年混乱して

いた異常ホール効果の全貌が明らかになって

きました。

スピンホール効果

異常ホール効果は、スピン磁化の存在下で

起こる自発的ホール効果でしたが、そもそも

自発磁化のない系でも、アップとダウンの両

方のスピンが居るので、それぞれが異常ホー

ル効果を起こしているはずです。ただし、ホ

ール電流はスピンの向きに応じて逆向きに流

れるので、トータルの電流は相殺しますが、

スピンカレントは有限に残ります。これをス

ピンホール効果と呼んでいます。GaAs のバン

ド構造を検討すると、先に述べた磁気単極子

としての構造が価電子帯の頂上付近に存在す

ることがわかります。これから、p型の GaAsに電場を印加するとその垂直方向にスピンカ

レントが発生することを示しました。これが、

内因性スピンホール効果の最初の提案でした

が、その後n型に対しても同様の理論的提案

があり、スピンホール効果の研究が爆発的に

進むことになりました。その後、量子ホール

効果にも匹敵する、「量子スピンホール効果」

の発見や、金属系における巨大スピンホール

図2 スキュー散乱によるスピンホール効果 効果など、次々に研究が進展しています。最

近では、スピンホール系において、電子相関

が効く現象、―例えば特異な近藤効果(図2)

や、量子スピン液体など―の研究を進めてい

ます。トポロジーと電子相関の協奏による、

スピン電荷分離現象や、実ファルミオン

(Majorana fermion)など興味深い物理が広がっ

ています。

永長 直人 東京大学工学系研究科物理工学専攻

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研究紹介

磁気渦の共振運動における電流磁界の効果

電気通信大学 情報工学科 仲谷栄伸

円盤状の磁性薄膜内(磁気ドット)では磁

気モーメントは円周方向に沿った、いわゆる

渦構造をとり、さらにその中心では磁気モー

メントが膜面内に対して垂直の上下いずれか

の方向に向いた構造をとることが知られてい

る。この中心部の構造(磁気渦コア、または

コア)は非常に安定であり、たとえばコアの

方向を反転させるためには、膜に対して垂直

方向に数千 Oe の磁界を加える必要がある。

しかしながら近年、膜面内に交流方向に磁界

や電流を加えることにより、効率よくコアを

反転できることが報告され、コアに関する研

究が盛んに行われるようになった。 本研究室ではこれまで、京都大学小野教授

のグループと連携し、電流によるコアの共振

運動及びコアの反転に関する研究を行ってき

ており、実験結果を説明するのに十分に一致

したシミュレーション結果が得られてきた。

しかしながら近年、正方形ドットを用いた実

験では、コアの運動に対する電流磁界の効果

が3割程度との報告もなされており、電流磁

界に効果について検討する必要が出てきた。

ここではコアの共振運動に対する電流磁界の

効果について報告する。

電流磁界の計算

計算ではまず磁気ドットだけではなく電極

を含む領域内での電流分布の計算を行い、こ

れらの電流によって磁気ドット内に作られる

電流磁界分布を計算し、得られた磁気ドット

内電流分布や電流磁界のデータを用いて、電

流によるコアの運動のシミュレーションを行

った。磁気ドットのサイズは実験で扱ってい

るものと同じサイズである直径 1500nm 厚さ

40nm とした。ドットの両端には厚さ 70nm の

電極を配置した。ドットと電極のオーバーラ

ップサイズは 300nm とした。実験で扱われて

いる電極は非常に大きいが、ここではメモリ

の制約のために電極の長さは 1500nm とし

た。これら全ての領域を 4x4x5nm の直方体セ

ルを用いて離散化を行い、差分方を用いて

Laplace 方程式を解き電流分布を求め、ビオ

サバールの法則よりドット内の電流磁界分布

を求めた。これらの計算に必要なメモリサイ

ズは約 10GB であった。 実験で共振運動が確認されている電流値で

ある 0.19x1012A/m2 の電流を加えた場合にコ

アの周辺に現れる磁界は、膜の上下面でそれ

ぞれ –21.8 Oe, +20.9 Oe、膜の中央部で –0.17 Oe であった。ここで磁界の向きは電流に対

して膜面内で直交する向きである。膜の上下

に非対称な磁界が現れる理由は、電極の一部

がドットの上に重なっており、この領域では

電流が膜面に対して垂直方向の成分を持つた

めである。これらの磁界は膜の上下面でその

符号が逆であるので、コアの運動に対しては

ほとんど影響がなく、コアの運動に影響する

のは、磁界の非対称な成分のみであると考え

られる。

電流による磁気渦の共振運動はスピントルクによる効果であると考えられてき

たが、電流磁界の寄与も大きいことが指摘されている。ここでは円盤状磁気ドッ

トを用いて磁気渦の共振運動に対する電流磁界の効果について報告する。

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研究紹介

電流磁界を考慮したコアの運動

前節で求めた電流分布及び電流磁界分布を

プログラムに組み込み、コアの共振運動のシ

ミュレーションを行った。膜厚が 40nm と比

較的厚いために、シミュレーションでは膜厚

方向にも計算点を配置した3次元モデルの使

用が必要であるが、計算時間の問題からまず

は2次元モデルによる計算を行った。

図1に電流の周波数によるコア回転半径の変

化を示す。図では分極率を変えた場合と、電流

磁界を入れない場合についての結果も示す。い

ずれの場合も共振周波数のところで回転半径が

大きくなることがわかる。電流磁界のみの場合

(p=0)は、共振運動は起こるがその回転半径は非

常に小さく、電流磁界の寄与が非常に小さいこ

とがわかる。分極率が 0.7 の場合、電流磁界の

有無によって回転半径は多少変化するが、その

変化量はたかだか 5% 程度である。このことか

ら、電流磁界の寄与は非常に小さいことがわか

る。

図2に膜圧方向にも計算点を配置した3次元

モデルの結果を示す。今回のドットの場合8層

程度に分割することが理想的であるが、計算時

間を見積もったところ一回の計算に約8ヶ月程

度の時間がかかることがわかった。 Intel

Compiler を用いて並列プログラムを作成した

ところ約4倍の高速化を実現できたが、それで

もまだ計算時間は2ヶ月である。このため分割

数が2と4の場合について計算を行い、分割数

の効果を調べた。図より、3次元モデルを用い

ることにより、共振周波数が減少し回転半径が

増加することがわかる。分割数をさらに増加さ

せることでこれらの値はさらに変化することが

考えられるが、それでも電流磁界の影響は高々

1割程度であると推測される。

[1] S. Kasai, et. al., RPL., 97, 107204 (2006).

[2] K. Yamada, et. al., Nature Mat. 6, 270

(2007).

[3] M. Bolt, et. al., PRL 100, 176601 (2008).

図1 電流の周波数によるコアの回転半径の変化(2

次元モデル)。図では分極率を変化させたときの回転

半径の変化も示す。

仲谷栄伸

電気通信大学 電気通信学部 情報工学科

図2 電流の周波数によるコアの回転半径の変化(3

次元モデル)。図では膜厚方向の分割数(nz)の効果も

示す。

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研究紹介

高スピン偏極材料のナノ構造解析とスピン偏極率測定

物質・材料研究機構 高橋有紀子 古林孝夫 宝野和博

はじめに

CPP-GMR、TMR 素子やスピン MOSFET な

どのスピントロニクスデバイスの高性能化に

は強磁性金属と絶縁体・非磁性金属・半導体

の界面の原子レベルでの制御と高スピン偏極

率材料のポテンシャルを活用するという2点

が重要です。私たちは、スピントロニクスデ

バイスの微細構造を詳細に解析して、特性と

微細構造の因果関係について検討を行ってい

ます。また、点接触アンドレーフ反射(PCAR)法を用いて高スピン偏極率材料の探索も行っ

ています。高スピン偏極率材料を使ったデバ

イスを作製する際に、微細構造解析により得

られた知見を活かして界面構造を最適化し、

材料本来の特性を最大限に引き出したデバイ

スを実現するのが私たちの研究の狙いです。

ここでは、微細構造解析と PCAR 法による高

スピン偏極率材料探索についてご紹介します。

CPP-GMR素子の微細構造観察

FeCoB/MgO/FeCoBのMTJ は現在HDDの再

生ヘッドに用いられ、200 Gb/in2の面密度が得

られています。しかし、500 Gb/in2を超える密

度を実現するには更に低い RA が必要とされ、

オールメタルの CPP-GMR が注目されていま

す。私たちは CPP-GMR 素子の上下の電極に

Co2MnSi(CMS)を使うことにより高い GMR比

の実現を目指しています。CMS はアルミナバ

リアを用いた MTJ で低温において 580%の大

きな TMR 比が得られ[1]スピン偏極率が 0.89と報告されており、これを CPP-GMR に使う

ことにより高い GMR 比が期待されます。膜

構 成 は MgO (001) 基 板

/Cr/Ag/Cr/CMS/Cu/CMS/Fe25Co75/Ir28Mn72/Ruで、磁気抵抗曲線を図1に示します。室温で

はRA=14.2 m(m)2で GMR 比が 8.6%、6KではRA=35.2 m(m)2で GMR 比が 30.7%の

大きな値を示しています[2]。図2に断面 TEMの 微 細 構 造 観 察 結果 を 示 し ま す [3] 。CMS/Cu/CMS は MgO 基板上にエピタキシャ

スピントロニクスデバイスのナノ構造解析によって微細構造と伝導特性の因果

関係について検討しています。また、PCAR 法で探索した高スピン偏極率材料を用

いて高特性の CPP-GMRや TMR を実現しようとしています。そのためにデバイスの

精緻なナノ構造解析を行い、構造の最適化を行っています。

図1 CMS/Cu/CMS の CPP-GMR 素子の RTと 6 K での磁気抵抗曲線

図2 CMS/Cu/CMS の CPP-GMR 素子の高分解能 TEM 像

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研究紹介

ル成長しており、ナノビーム回折から下部

CMS は L21構造に、上部 CMS は B2 構造に規

則化していることがわかります。また Cu ス

ペーサの格子は大きく歪んでいることがわか

ります。Cu の[110]方向から電子ビームを入射

して観察すると、Cu に多くの双晶が入ってい

ることがわかりました。これは CMS と Cu 間

の大きなミスフィットによるものと考えられ

ます。スペーサー層に含まれる多くの双晶は

RA の増加や並進対称性の崩れによる電子状

態の変化によって MR 比を減少させている可

能性があります。このことから、上下電極を

完全な L21 構造として、さらに格子整合が良

いスペーサーを選択することによりさらに高

い MR 比が実現できると期待されます。

高スピン偏極率材料の探索

スピントロニクスデバイスで重要なのは界

面のスピン偏極率ですが、一般にスピン偏極

率の高い材料では高いスピン偏極電流が効率

よく取り出せると考えられています。そこで

私たちはスピン偏極率を簡便に短時間で測定

できる PCAR 法により高スピン偏極率材料の

探索を行っています。Co 基ホイスラー合金は

理論的にハーフメタルと予想され、さらにキ

ュリー点が高いことから実用的な観点から研

究がなされています。しかし室温でのハーフ

メタル性を示す材料は未だに見いだされてい

ません。それは完全な L21 規則構造を作りに

くいためです。一方で、Co2MnSn は金属間化

合物であるために容易に L21 化合物が得られ

ます。私たちは Co2MnSn 合金系に着目して、

第4元素を添加することによるEfレベルの制

御およびEfレベル付近のDOSの制御により、

高スピン偏極率材料の探索を行ってきました。

Co2MnSn の PCAR で測定したスピン偏極率

(PPCAR)は 0.60 でしたが、Co2MnSn の Sn を Gaで置換していくと図2に示すように PPCAR が

増加し、0.72 という非常に高い値を示すこと

がわかりました[4]。第一原理計算の結果、Snを Ga で置換することにより Efレベル付近の

↑スピンの状態密度が増加したために PPCAR

が 増 加 し た と 考 え ら れ ま す 。 今 後 は

Co2MnGa0.5Sn0.5 を使った CPP-GMR 素子と

TMR素子で高い特性を示すことにより PCAR法による材料探索の有効性を示そうとしてい

ます。

まとめ

スピントロニクスデバイスの構造を詳細

に解析して、特性を構造的な観点から議論し

ています。そこで得られた知見をプロセスへ

フィードバックして高特性を示す材料あるい

はデバイスの創製を行っています。

参考文献 [1] Y. Sakuraba et al., APL 88, 192508 (2006). [2] K. Kodama et al., JAP (2009), in press. [3] T.M. Nakatani et al., unpublished work. [4] B. Varaprasad et al., MMM2008, EE-10.

図3 (a) Co2MnGa 合金、(b) Co2MnGa0.5Sn0.5合金 (c) Co2MnSn 合金のコンダクタンス曲線

高橋有紀子 物質・材料研究機構

磁性材料センター

磁性材料グループ

宝野和博 物質・材料研究機構

磁性材料センター

古林孝夫 物質・材料研究機構

磁性材料センター

磁性材料グループ

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研究紹介

イコール・パートナーシップを築くために

産業技術総合研究所ナノ電子デバイス研究センター 秋永広幸

筑波大学大学院数理物質科学研究科 末益崇

1、研究開発の目標

私たちは、シリコンテクノロジーご専門の

研究者と会話ができるような成果をこの特定

領域研究で出すことを目指し、スピン依存共

鳴トンネルダイオードの開発などを行ってい

る。また、より喫緊の目標設定として、すで

にメタルゲート材料などとしてシリコンテク

ノロジーに導入されている遷移金属化合物を、

スピントロニクス側からとらえ直し、研究開

発上の接点を見出すことも目指している。

2、Si / Feヘテロ接合

自然酸化膜が残っているSi(001)基板上にFe薄膜をスパッタ法によって成膜した試料の透

過型電子顕微鏡写真を図 1 に示した。室温で

成膜を行うと自然酸化膜が障壁となって、一

見、一見、原子レベルで平坦な界面構造を得

られているようにも思える。

図 1、Fe on Si 断面の透過型電子顕微鏡像

しかしながら、この試料面内に磁場を印加

して磁化曲線の評価を行うと、交換結合によ

ると思われる 10[Oe]以上の原点シフトとその

大きな温度依存性が観測された[1,2]。私たち

は、シリコンベース・スピントロニクス素子

実現のためには、界面構造とその電子状態を

詳細に調べなければならないことを端的に示

す例として、この単純な Fe と Si の組み合わ

せからなるヘテロ接合のさらなる評価を進め

ている。

3、Fe3Si / CaF2ヘテロ接合

このヘテロ接合は Si 基板上にフルエピタキ

シャルで作製することができることから、ス

ピン依存共鳴トランジスタ実証に適している

のではないかと我々は考え、その成膜プロセ

スの改善を進めてきた[3]。そして、最近にな

って、このヘテロ接合においては選択エッチ

ングをも実現できることを明らかにした[4]。

図 2、Fe3Si のエッチングレート

本特定領域では、シリコンベースのスピントロニクス材料や素子を研究してい

る。当ニュースレターでは、普段の研究会ではスキップすることも多い成膜・加

工プロセスの話題に的を絞ってご説明する。また、この研究開発の先にある私た

ちの想いについて述べる。

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研究紹介

図 3、Fe3Si/CaF2/Fe3Si-MIM 素子の光学顕微鏡像

より具体的には、図 2 に示すように、Fe3Siは HF と HNO3 の混合液にて制御性良くエッ

チング出来るが、この混合液では CaF2はほぼ

エッチングされないことが明らかになった。

逆に、CaF2 のみをエッチングして Fe3Si を侵

さないエッチングレシピも開発した。図 3 は

このウェットエッチングレシピで作製したメ

サ構造の光学顕微鏡写真である。 現在のところ、エピタキシャル成長を実現す

るための境界条件が下部電極の低抵抗化を招い

てしまっており、図 3 で示した MIM 構造の磁

気抵抗測定には悪戦苦闘している。しかしなが

ら、シリコンテクノロジーを大成功に導いた Si

/ SiO2ヘテロ接合における強みの 1 つである選

択エッチングプロセスをこのヘテロ接合におい

ても実現できたことは、我々にとって大いなる

励みとなっている。

4、この研究開発の先にあるもの

オバマ米大統領の就任演説は、私たち研究

開発にたずさわる者をも鼓舞するものであっ

た。「wield technology's wonders」という表現に

感心もしてしまった。一方、俗にいう「グリ

ーン・ニューディール」のあおりを受けて、

我が国の各機関・組織が米国の環境・エネル

ギー関連コンソーシアムに取り込まれていく

現状に対しては、一抹の不安を感じている。

ひと昔前、圧倒的な世界シェアを誇っていた

日本の半導体デバイス業界が「○○○○ハイ

ッテル」の現状にまで押されてしまったこの

歴史が、燃料・太陽電池や各種環境技術関連

の業界において繰り返されるのではないかと

いう心配である。インフラ整備なども含めた

圧倒的な政策・戦略によって、我が国の外で

この業界における標準化が進んでしまったら、

なんとなく悔しい。 振り返って、スピントロニクスの研究開発

は、まさに我が国が世界を先導している状況

にある。高梨弘毅先生はじめ、当特定領域の

皆様と切磋琢磨して(実際は引きずられて)

いくなかで、この領域発の成果により「スピ

ン・ハイッテル」を実現してみたい。そうな

ることではじめて私たちの responsibility が明

確になり、さらには諸外国そして諸外国の研

究開発機関とのイコール・パートナーシップ

を築けるのではないか、それがこの領域にお

ける研究開発の先にあると信じている。 参考文献 [1] Wang et al., phys. stat. sol. (c) 4, 4352 (2007). [2] Wang et al., JAP 103, 093914 (2008). [3] Harianto et al., JJAP 46, L904 (2007). [4] Harianto et al., JJAP 47, 6310 (2008).

(左) 秋永広幸 産業技術総合研究所・ナノ電

子デバイス研究センター (右) 末益 崇 筑波大学・大学院数理物質科

学研究科

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ニュース

祝受賞!

日本 IBM 科学賞:小野輝男氏(京大)

サー・マーティン・ウッド賞: 小野輝男氏(京大)

齊藤英治氏(慶應大)

第22回(2008 年)日本 IBM 科学賞が小野輝男氏(京都大学化学研究所・教授)

に贈られた。受賞理由は「スピン分極電流を用いた磁化制御に関する研究」であ

る。また、第10回(2008 年)サー・マーティン・ウッド賞が同じく小野輝男氏

と、齊藤英治氏(慶應義塾大学理工学部・講師)に贈られた。受賞理由は、それ

ぞれ「電流によるナノ磁性体の磁化制御」および「スピン流生成・検出・利用に

関する研究」である。本特定領域の計画研究代表者の中からこのような受賞者が

出たことは、きわめて喜ばしいことであり、心から祝福したい。

個人的なことを述べて恐縮だが、私は小野氏が京都大学・新庄研究室の学生だ

った頃から親しくさせていただいている。小野氏は学生時代から能力、意欲とも

に抜群で、研究に対する積極的で果敢な姿勢には目を見張るものがあり、いずれ

我々の研究分野を引っ張っていく存在になるであろうというオーラを放っていた。

まさに栴檀は双葉より芳しである。若くして彼の業績は既に数多いが、特にナノ

磁性体における磁気構造とそのダイナミクスが主なものであり、受賞対象となっ

た電流による磁壁移動の実証はその一貫と考えることができる。小野氏は多くの

業績を挙げた今でも、けっして偉ぶらず、気取らず、学生のような風体で気さく

に誰とでもつき合う、その人柄も素晴らしい。

一方、私が齊藤氏と知り合ったのは比較的最近のことであるが、彼の講演を聴

くたびに、際だつ研究レベルの高さに衝撃を受ける。彼は常に物理学の根本法則

に立ち返って物事を見る。スピントロニクスは単に現象やその応用技術として新

しいだけでなく、そこに深い物理学の世界が広がっていることを眼前に示してく

れる。逆スピンホール効果やスピンゼーベック効果などの成果はスピン流の本質

に迫るものであり、まさに本特定領域にもマッチしている。

お二人の今後のますますのご発展を祈念して、祝福の辞としたい。

(文責:高梨弘毅)

平成 20 年度成果報

告会の懇親会にて、

受 賞 の 歓 び を 語 る

小野輝男氏(左)と

齊藤英治氏(右).

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会議報告

特定領域研究「スピン流の創出と制御」 2008 年度成果報告会

2009 年 1 月 7 日(水)〜1 月 8 日(木)に東北大学金属材料研究所および秋保温

泉岩沼屋にて、本特定領域研究 2008年度成果報告会が開催されました。今回は

関係者以外の方々にも広く参加を呼びかけ、二日間で 111 名の参加がありまし

た。初日は金属材料研究所の講堂で計画研究代表者の口頭講演が行われ、1年間

の各グループの成果が報告されました。報告会終了後、バスにて岩沼屋に移動

し、懇親会が行われました。総括班研究協力者の宮﨑照宣教授、大野英男教授

から激励のスピーチを頂きました。また、研究者間の活発な交流がはかられま

した。会の半ばでは IBM 科学賞を受賞された小野輝男教授およびサー・マーテ

ィン・ウッド賞を授与された小野輝男教授ならびに齊藤英治講師が紹介され、

受賞のスピーチを頂きました。二日目は岩沼屋の会議室でポスター発表(48 件)

および公募研究代表者の口頭講演が行われ、熱心な議論が交わされました。本

特定領域研究も折り返しの時期を迎え、成熟した研究成果が出始めている印象

を受けました。

成果報告会のホストをしてくださった高梨研究室をはじめとする東北大学の

皆様、ありがとうございました。特に、高梨研究室秘書の川村さん、阿部さん

には、成果報告会から宿泊の受付、手配までお世話になり、滞りなく報告会を

行うことができました。ここに深く感謝いたします。

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文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究 「スピン流の創出と制御」平成20年度成果報告会 プログラム 平成21年1月7日(水)・8日(木)

東北大学 金属材料研究所 2号館講堂・秋保温泉 岩沼屋 口頭講演 1月7日 (金研)

9:00 Opening Address 高梨 弘毅 (東北大金研)

9:05 A01-1 ホイスラー合金を用いた積層構造におけるCPP-GMRと層間交換結合

高梨 弘毅 (東北大金研)

9:25 A01-2 ホイスラー合金を下部および上部電極に用いた強磁性トンネル接合の

スピン依存トンネル特性

山本 眞史, 植村 哲也, 松田 健一 (北大情報科学)

9:40 A01-3 高効率スピン源の理論設計

白井 正文 (東北大電通研)

9:55 A01-4 光電子分光とXMCDを用いた高温強磁性半導体, 高スピン偏極材料の

キャラクタリゼーション

藤森 淳, 小出 常晴1, 竹田 幸治2

(東大理, 1高エネ研PF,

2原子力機構)

10:10 A01-5 強磁性半導体(Zn,Cr)TeにおけるCr分布と磁化特性の相関と制御

黒田 眞司1, 石川 弘一郎1

, 張 珂1, 及川 晴義1

, 三留 正則2, 板東 義雄2

(1筑波大物工,

2物材機構)

10:25 A01-6 高スピン偏極材料を用いたスピントロニクスデバイスのナノ構造解析

高橋 有紀子1,中谷 友也1

, 古林 孝夫1, 小玉 恒太1

, 介川 裕章1, 猪俣 浩一郎1

,

宝野 和博1,2 (1物材機構, 2筑波大学)

10:40 Coffee break

10:55 A02-1 非局所スピンバルブにおける巨大スピン蓄積信号とスピン注入磁化反転

大谷 義近 (東大物性研)

11:15 A02-2 薄膜におけるスピンホール効果とスピン注入

井上 順一郎 (名大工)

11:30 A02-3 InGaAs細線におけるスピン緩和長の増大

国橋 要司, 好田 誠, 新田 淳作 (東北大院工)

11:45 A02-4 シリコンベース・スピントロニクス素子の開発

秋永 広幸1, 末益 崇2

(1産総研,

2筑波大)

12:00 A01-公募1 有機局在スピン-伝導電子共存系におけるスピン流の解明

松下 未知雄 (名大理)

12:15 昼休み

13:15 A03-1 n-GaAs/AlGaAs 量子井戸構造における核スピンの量子ゲート操作とその光検出

大野 裕三1, 小野 真証1

, 松坂 俊一郎1,2, 大野 英男1,2

(1東北大通研,

2ERATO)

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13:35 A03-2 光スピントロニクスデバイスの基礎研究

― MnSb 薄膜を用いたスピン発光ダイオードの作製と評価 ―

宗片 比呂夫 (東工大理工)

13:50 A03-3 磁性薄膜におけるスピン緩和の光学的検出

安藤 康夫, 常木 澄人, 玉川 聖, 水上 成美1, 大兼 幹彦, 永沼 博, 宮﨑 照宣1

(東北大院工, 1東北大WPI)

14:05 A03-4 超伝導体におけるスピンホール効果

永長 直人 (東大院工)

14:20 A04-1 電流誘起磁気渦ダイナミクス

葛西 伸哉, 山田 啓介, 中野 邦裕, 田辺 賢士, 仲谷 栄伸1, 大嶋 則和2

, 小林 研介,

小野 輝男 (京大化研, 1電通大情報工,

2NEC)

14:40 A04-2 側面結合型量子ドットによるスピン検出

勝本 信吾, 大塚 朊廣, 阿部 英介, 橋本 義昭 (東大物性研)

14:55 A04-3 逆スピンホール効果を用いたスピンゼーベック効果の探索

齊藤 英治1,2, 安藤 和也1

, 捧 耕平1, 内田 健一1

(1慶大理工,

2さきがけ)

15:10 Coffee break

15:25 A04-4 逆スピンホール効果の微視的理論と応用

多々良 源, 細野 一弘, 竹内 祥人 (首都大理工)

15:40 A04-5 磁性ナノ構造における保存則とスピン起電力

前川 禎通 (東北大金研)

15:55 A05-1 スピン偏極電流制御デバイスと材料物性の研究

田中 雅明, 中根 了昌, 大矢 忍, A. M. ナズムル, ファム ナム ハイ, 矢田 慎介,

遠藤 裕幸 (東大院工)

16:15 A05-2 エバネセントモードハイブリッド光アイソレータとシリコンフォトニクス

への応用

清水 大雅, 中野 義昭1 (東京農工大工,

1東大先端研)

16:30 A05-3 反強磁性結合膜における強磁性共鳴モードとスピン流の結合

鈴木 義茂 (阪大院基礎工)

16:45 A05-4 磁気渦の共振運動における電流磁界の効果

仲谷 栄伸 (電通大情報)

17:00 岩沼屋へ移動

19:00 懇親会 (岩沼屋)

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口頭講演 1月8日 (岩沼屋)

10:30 A01-公募2 半導体上のスピネル型ハーフメタルの成長と項偏極率スピン注入の実証

陽 完治 (北大量集センター)

10:45 A01-公募3 Fe4N/MgO/CoFeB-MTJのインバースTMR効果のMgO層厚依存性

角田 匡清, 駒崎 洋亮, 磯上 慎二 (東北大院工)

11:00 A01-公募4 単結晶γ-Fe2O3をもちいたスピンフィルタ型MTJ

柳原 英人, 萩原 潤弥, 喜多 英治 (筑波大数理物質)

11:15 A01-公募5 原子層制御蒸着法を用いたホイスラー系高スピン分極合金の作製と局所

磁性の評価

壬生 攻 (名工大院工)

11:30 A01-公募6 準安定bcc Co(001)のスピン偏極表面準位

川越 毅, 下司 雅章1 (大教大,

1阪大)

11:45 A01-公募7 気体原子のスピン流のレーザー制御と圧力効果

石川 潔 (兵庫県立大)

12:00 昼休み (総括班会議)

13:30 A02-公募1 ZnSeを用いたスピン発光素子の開発

齋藤 秀和 (産総研)

13:45 A03-公募1 磁性層に挟まれた非磁性層モーメントの光電子顕微鏡観察

今田 真 (立命館大理工)

14:00 A04-公募1 ナノ狭窄構造薄膜のスピン伝導に関する研究

土井 正晶 (東北大院工)

14:15 A05-公募1 CoドープTiO2の強磁性と電気伝導性の相関

福村 知昭1, 山田 良則1

, 山崎 高志1, 中野 匡規1

, 上野 和紀2, 川崎 雅司2,1

(1東北大金研,

2東北大WPI)

14:30 A05-公募2 MgO 単結晶バリアを有する強磁性トンネルトランジスタ

長浜 太郎 (産総研)

14:45 Closing Remark 高梨 弘毅 (東北大金研)

14:50 終了

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ポスター講演 (1月8日9:00-10:30)

1. TiN バッファを用いた非単結晶基板上への高配向Co2MnSi 薄膜の作製

杉原 敦1,2, 薬師寺 啓2

, 湯浅 新治2, 桜庭 裕弥1

, 高梨 弘毅1 (

1東北大金研, 2産総研)

2. Co2MnSi/NM/Co2MnSi (NM = Cr, Ag) CPP-GMR素子における磁気伝導特性の評価

桜庭 裕弥, 岩瀬 拓, ボス スボロジャティ, 斉藤 今朝美, 三谷 誠司, 高梨 弘毅 (東北大金研)

3. ナノサイズFe 二次元ドット集合体の作製と構造評価

水口 将輝, 岡 航平, 三谷 誠司, 高梨 弘毅 (東北大金研)

4. Co2MnGe/MgO/Co50Fe50強磁性トンネル接合のトンネル特性に対するアニールの影響

平 智幸, 石川 貴之, 松田 健一, 植村 哲也, 山本 眞史 (北大情報科学)

5. MgO基板上へのCo 系ホイスラー合金Co2Cr0.6Fe0.4Al/超伝導体NbNエピタキシャル

ヘテロ構造の作製

松田 健一, 植村 哲也, 山本 眞史 (北大情報科学)

6. ホイスラー合金薄膜を上部フリー層に用いた微細MTJの作製と評価

植村 哲也, 松田 健一, 山本 眞史 (北大情報科学)

7. 第一原理的磁気異方性エネルギー計算法への電界効果の導入と鉄鎖への適用

小田 竜樹, 辻川 雅人 (金沢大)

8. Co2MnSiの価電子帯光電子スペクトルにおける温度依存性

木村 昭夫 (広大院理)

9. MgOバリアと界面を形成するCo2MnGe薄膜のXMCD研究

朝倉 大輔1, 小出 常晴1

, 片岡 隆史2, 坂本 勇太2

, 山崎 陽3, 藤森 淳3

, 平 智幸4, 石川 貴之4

,

山本 眞史4 (

1KEK-PF,

2東大新領域, 3東大理,

4北大情報科学)

10. 軟X 線磁気円二色性の温度・磁場依存性測定によるGa1-xMnxAsの磁気的相互作用の研究

竹田 幸治 (原研)

11. Ti1-xCoxO2-δのX線磁気円二色性による研究

坂本 勇太1, 片岡 隆史1

, 小林 正起2, 山崎 陽3

, 藤森 淳1,3, F. –H. Chang

4, L. Lee

4, H. –J. Lin

4,

D.–J. Huang4, C. T. Chen

4, 豊崎 秀海5

, 福村 知昭6, 川崎 雅司6,7,8

(東大新領域1, 東大工2

,

東大理3, NSRRC

4, ERATO-MF

5, 東北大金研6

, 東北大WPI 材料機構7, CREST-JST

8)

12. 軟X線磁気円二色性を用いたZn1-xCrxTe 薄膜の電子状態の研究

山崎 陽1, 片岡 隆史2

, 坂本 勇太2, 藤森 淳1

, F.-H. Chang, H.-J. Lin3, D. J. Huang

3, C.T. Chen

3,

石川 弘一郎4, 黒田 眞司4

(1東大理,

2東大新領域, 3NSRRC,

4筑波大物質工)

13. X線磁気円二色性および光電子分光を用いた希薄磁性半導体Zn1-xMnxO 薄膜の電子状態

片岡 隆史1, 坂本 勇太1

, 小林 正起1, 山崎 陽1

, 藤森 淳1,2, 竹田 幸治2

, 大河内 拓雄2

, 岡根 哲夫2,

斉藤 祐児2, 山上 浩志2,3

, K. V. Rao4 (

1東大院理, 2原子力機構/SPring-8,

3京産大,

4Royal Institute of Tech.)

14. 軟X線共鳴磁気散乱装置の製作と偏光放射光利用研究への応用 (III)

小出 常晴1, 朝倉 大輔1

, 藤森 淳2 (

1KEK-PF,

2東大院理)

15. 磁性半導体における磁性元素の不均一分布と超常磁性

黒田 眞司, 石川 弘一郎 (筑波大物工)

16. Suppression of magnon excitation in Co2MnSi Heusler alloy by Nd doping

A. Rajanikanth, Y. K. Takahashi, and K. Hono (NIMS)

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17. ホイスラー合金を強磁性層に用いたCPP-GMR 素子の作製

古林 孝夫1, 小玉 恒太2

, 介川 裕章1, 高橋 有紀子1

, 中谷 友也2, 猪俣 浩一郎1

, 宝野 和博1,2

(1物材機構,

2筑波大)

18. 面内スピンバルブ素子におけるスピン吸収とHanle効果

七海 裕貴1, 木村 崇1,2

, 大谷 義近1,2 (

1東大物性研, 2理研)

19. 遷移金属におけるスピンホール効果

諸田 美砂子1,3, 大西 紘平1

, 木村 崇1,2, 大谷 義近1,2

(1東大物性研,

2理研, 3筑波大物工)

20. Fe/グラフェン/Fe 接合における磁気抵抗効果

山村 彰紀, 本多 周太, 井上 順一郎, 伊藤 博介1 (名大工,

1関西大)

21. InGaAs系アンチドットにおけるスピン干渉効果

佐藤 史隆, 好田 誠, 新田 淳作 (東北大院工)

22. Magneto-resistance effect in CoFeB/MgO/Co50Fe50/MgO/CoFeB double-barrier Magnetic Tunnel

Junctions

J. Lixian, H. Naganuma, K. Fujiwara, M. Oogane, S. Mizukami, and Y. Ando (Tohoku Univ.)

23. Bi(Fe0.95Co0.05)O3薄膜の膜構造、磁気特性および強誘電性

-室温でのマルチフェロイック特性について-

永沼 博1, 岡村 総一郎2

, 安藤 康夫1 (

1東北大院工, 2東理大)

24. Co2FeMnSiホイスラー合金の磁気緩和定数とTMR 効果

大兼 幹彦, 窪田 崇秀, 廣瀬 直紀, 安藤 康夫 (東北大院工)

25. 磁性薄膜におけるスピン才差運動とスピン緩和の光学的検出

水上 成美, 大兼 幹彦1, 安藤 康夫1

, 宮崎 照宣 (東北大WPI, 1東北大院工)

26. 遷移金属酸化物における量子スピンホール効果

下出 敦夫, 永長 直人 (東大院工)

27. TMR効果を用いた磁壁移動の実時間測定

近藤 浩太, 谷川 博信, 葛西 伸哉, 大嶋 則和1, 仲谷 栄伸2

, 小林 研介, 小野 輝男

(京大化研, 1NEC,

2電通大)

28. TMR 効果を用いた磁気渦ダイナミクスの実時間測定

中野 邦裕, 仲谷 栄伸1, 大嶋 則和2

, 葛西 伸哉, 小林 研介, 小野 輝男 (京大化研, 1電通大,

2NEC)

29. パルス電流によるVortex Coreの極性反転:楕円盤

山田 啓介, 葛西 伸哉, 仲谷 栄伸1, 小林 研介, 河野 浩2

, André Thiaville3, 小野 輝男

(京大化研, 1電通大,

2阪大基礎工, 3パリ南大)

30. 強磁性/常磁性金属接合におけるスピンゼーベック効果の観測

内田 健一, 太田 岳, 齊藤 英治 (慶大理工)

31. スピンホール効果を用いた薄膜のスピン緩和変調

安藤 和也, 齊藤 英治 (慶大理工)

32. NiFeナノ構造における局所スピン流生成及び検出

捧 耕平 (慶大理工)

33. ベクトルスピンカイラリティ、スピン流によって誘起される異常ホール電流

田口 勝久, 多々良 源 (首都大東京)

34. 不純物スピン軌道相互作用を有する系の磁化運動による電流生成

細野 一弘, 竹内 祥人, 多々良 源 (首都大東京)

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35. スピン軌道相互作用系におけるスピンダイナミクスによる電流生成

竹内 祥人, 細野 一弘, 多々良 源 (首都大東京)

36. 磁気渦の運動によるスピン起電力

大江 純一郎, S. E. Barnes, 前川 禎通 (東北大金研)

37. スピンバルブにおける磁化ダイナミクスとスピン起電力

家田 淳一, S. E. Barnes, 前川 禎通 (東北大金研)

38. 非局所スピン流注入によるスピン操作

高橋 三郎, 前川 禎通 (東北大金研)

39. MnドープGe薄膜における強磁性ナノカラム構造の形成及びその評価

矢田 慎介, 田中 雅明 (東大院工)

40. 閃亜鉛鉱型MnAsナノスケール微粒子を含むトンネル接合:巨大な磁気抵抗と静磁場

による起電力効果

ファム ナム ハイ, 大矢 忍, 田中 雅明 (東大院工)

41. 埋め込みトンネル接合を用いたハイブリッド光アイソレータの作製

森 俊秋, 岡田 光太郎, 清水 大雅 (東京農工大)

42. スパッタ製膜Ti1-xCoxO2-δ薄膜の磁気光学性能指数の評価

後藤 俊良, 清水 大雅, 山崎 高志1, 福村 知昭1

, 川崎 雅司2,1

(東京農工大, 1東北大金研,

2東北大WPI)

43. Fe/Cr積層膜における磁場およびスピントルク誘起強磁性共鳴

関 剛斎, 升方 康智, 冨田 博之, Ashwin Tulapurkar, 野崎 隆行, 丸山 拓人, 白石 誠司,

新庄 輝也, 鈴木 義茂 (阪大院基礎工)

44. 強磁性ナノピラーにおける熱効果

Tulapurkar Ashwin, 鈴木義茂 (阪大院基礎工)

45. Fe3O4/Fe(001)界面での反強磁性的磁気結合

大西 昭弘, 柳原 英人, 喜多 英治 (筑波大数理物質)

46. La2NiMnO6 を用いたトンネル型スピンフィルター素子の作製

田中 雅章, 壬生 攻 (名工大)

47. CoドープTiO2の光伝導特性

山田 良則1, 福村 知昭1

, 中野 匡規1, 上野 和紀2

, 牧野 哲征2, 川崎 雅司2,1

(1東北大金研,

2東北大WPI)

48. Co2FeAl0.5Si0.5フルホイスラー合金を用いた強磁性トンネル接合

介川 裕章1, W. H. Wang

1, R. Shan

1, 中谷 友也2

, 高橋 有紀子1, 宝野 和博1,2

, 猪俣 浩一郎1

(1物材機構,

2筑波大学)

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研究組織

領域代表者 高梨弘毅 (東北大学 金属材料研究所 教授)

1.総括班

高梨弘毅 東北大学 金属材料研究所 教授

大谷義近 東京大学 物性研究所 教授

大野裕三 東北大学 電気通信研究所 准教授

小野輝男 京都大学 化学研究所 教授

田中雅明 東京大学 大学院工学系研究科 教授

前川禎通 東北大学 金属材料研究所 教授

研究協力者

安藤功兒 産業技術総合研究所 副部門長

家泰弘 東京大学 物性研究所 所長

大野英男 東北大学 電気通信研究所 教授

高尾正敏 国際高等研究所 フェロー

宮﨑照宣 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 教授

2.計画研究代表者

A01 班 スピン源の探索・創製

高梨弘毅(班長) 東北大学 金属材料研究所 教授

「ナノ構造制御による高効率スピン源の提案と創製」

黒田眞司 筑波大学 数理物質科学研究科 准教授

「強磁性半導体の特性制御とスピン源への応用」

山本眞史 北海道大学 情報科学研究科 教授

「ハーフメタル系材料を用いた高効率スピン源の探索と創出」

高橋有紀子 物質・材料研究機構 研究員

「高スピン偏極材料のナノ構造解析とスピン偏極率測定」

藤森淳 東京大学 理学系研究科 教授

「軟 X線磁気円二色性および軟 X線散乱による

高スピン偏極材料のキャラクタリゼーション」

白井正文 東北大学 電気通信研究所 教授

「高効率スピン源の理論設計」

A02 班 スピン流とナノヘテロ構造

大谷義近(班長) 東京大学 物性研究所 教授

「新しいスピン流生成・操作手法の探索」

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秋永広幸 産業技術総合研究所 研究グループ長

「シリコンベース素子を用いたスピン注入効率の最適化」

新田淳作 東北大学 大学院工学研究科 教授

「スピン軌道相互作用を用いたスピン流の電気的な検出と制御」

井上順一郎 名古屋大学 工学研究科 教授

「ナノヘテロ構造におけるスピン注入とスピン蓄積の理論」

A03 班 スピン流と光物性

大野裕三(班長) 東北大学 電気通信研究所 准教授

「半導体量子構造における核スピンの光制御・検出」

宗片比呂夫 東京工業大学 理工学研究科 教授

「強磁性半導体における光磁化の解明と制御」

安藤康夫 東北大学 工学研究科 教授

「金属系多層膜におけるスピン流と時期緩和の光学的検出」

永長直人 東京大学 工学系研究科 教授

「光・電子スピン結合の理論」

A04 班 スピン流と電子物性

小野輝男(班長) 京都大学 化学研究所 教授

「スピン流における磁気構造のナノスケール制御」

勝本信吾 東京大学 物性研究所 教授

「単電子スピン制御」

齋藤英治 慶應義塾大学 理工学部 専任講師

「ナノ磁性体におけるスピン流−電磁場変換」

多々良源 首都大学東京 都市教養学部 准教授

「逆スピンホール効果の微視的理論と応用」

前川禎通 東北大学 金属材料研究所 教授

「磁壁運動によるスピン流と起電力」

A05 班 スピン流と機能・制御

田中雅明(班長) 東京大学 工学系研究科 教授

「スピン偏極電流制御デバイス」

鈴木義茂 大阪大学 基礎工学研究科 教授

「スピン流高周波・熱デバイスの研究」

清水大雅 東京農工大学 工学府 特任准教授

「光スピントロニクス機能デバイスの研究」

仲谷栄伸 電気通信大学 電気通信学部 教授

「スピン偏極電流磁化反転の解明とデバイス設計」

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3.公募研究代表者

A01 班 スピン源の探索・創製

陽完治 北海道大学 量子集積エレクトロニクス研究センター 教授

「半導体上のスピネル型ハーフメタルの成長と高偏極率スピン注入の実証」

角田匡清 東北大学 工学研究科 准教授

「非磁性金属と接合した窒化鉄薄膜を用いた高効率スピン源の開発」

柳原英夫 筑波大学 数理物質科学研究科 准教授

「スピネルフェライトによるスピンフィルター型スピン源の作製」

松下未知雄 名古屋大学 理学研究科 准教授

「有機局在スピン−伝導電子共存系におけるスピン流の解明

壬生攻 名古屋工業大学 工学研究科 教授

「原子層制御蒸着法および局在磁性測定法を用いた高スピン分極合金の探索」

川越毅 大阪教育大学 教育学部 准教授

「スピン偏極 STMで探る高スピン偏極磁性合金薄膜の表面状態と

スピン依存伝導」

石川潔 兵庫県立大学 物質理学研究科 准教授

「気体分子のスピン流を利用した Si 結晶へのスピン注入法の開発」

A02 班 スピン流とナノヘテロ構造

斎藤秀和 産業技術総合研究所 研究員

「ZnSe障壁層を用いたスピン偏極素子の開発」

A03 班 スピン流と光物性

今田真 立命館大学 理工学部 教授

「強磁性−非磁性層における伝導電子スピン状態ダイナミクスの実験的解明」

A04 班 スピン流と電子物性

土井正晶 東北大学 工学研究科 准教授

「ナノ狭窄構造薄膜のスピン伝導に関する研究」

A05 班 スピン流と機能・制御

福村知昭 東北大学 金属材料研究所 講師

「コバルトドープ二酸化チタンの異常ホール効果の電界制御」

長浜太郎 産業技術総合研究所 研究員

「MgO−強磁性トンネルトランジスタの開発」

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お 知 ら せ

○本特定領域研究のホームページ

http://ssc1.kuicr.kyoto-u.ac.jp/~tokutei/

に関連情報を掲載していますので、是非ご覧ください。

研究成果のページを充実させたいと思います。

積極的に下記までご連絡下さい。

小野輝男 [email protected]

○本特定領域研究のメーリングリスト

[email protected]

有効にご利用ください。

○2009年度研究会

2009年 8月9日(日)-8月 11日(火)に北海道大学にて開催予定です。

○ 出版される論文等には次のような謝辞を入れてください。

[欧文例]

This work was supported by a Grant-in-Aid for Scientific Research in Priority Area “Creation and control of spin current” from the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, Japan. [和文例]

本研究の一部は文部科学省科学研究費補助金特定領域「スピン流の創出と制御」を受

けてなされた。

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編 集 後 記

特定領域「スピン流の創出と制御」の 2008 年度成果報告会は 2009 年 1 月 7

日(水)~1 月 8 日(木)に東北大学金属材料研究所および秋保温泉岩沼屋にて開催

されました。スタートして 2 年が経ち、本特定領域研究発と胸を張れる研究成

果が報告されるようになったと感じました。温泉につかって議論をしていると、

ゆったりとした気持ちで研究することがいかに大切か実感しました。湯船で浮

かんだアイディアが北海道大学で開催予定の夏の研究会で聞けることを楽しみ

にしています。

今後も、研究室紹介・研究紹介を中心に共同研究の種になるようなニュース

レターを目指したいと思います。研究成果に関するトピックス、報道発表の紹

介、国際会議報告などを下記ニュースレター編集担当宛にご投稿下さい。ニュ

ースレターに加え、ホームページでも積極的に研究成果をアピールしていきた

いと思います。ご協力の程よろしくお願い致します。

末筆となりましたが、多忙なところ本ニュースレターの原稿を短期間で執筆

してくださった方々に、心より感謝いたします。

平成21年2月

ニュースレター編集担当

小野 輝男

京都大学化学研究所

〒611-0011 宇治市五ヶ庄

℡: 0774-38-3103

E-mail: [email protected]