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日本企業のSDGsの取り組みの現状と課題
2018年2月5日富士通総研 経済研究所上席主任研究員 生田孝史
内容
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1. SDGsと企業経営
2. 日本企業の取り組み
3. 企業価値創造とビジネス機会創出に向けて
Copyright 2018 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
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1. SDGsと企業経営
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SDGs とは
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持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)
経済、社会、環境の諸課題を統合的に解決
2015年9月国連総会で採択 2016年1月施行
ミレニアム開発目標(MDGs:2001年~2015年)を継承
2030年までに達成すべき17目標、169ターゲット
193加盟国は進捗状況を報告(国連が年次進捗報告)
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ステークホルダーの期待・要請
政府
企業にとってのSDGsの意味
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企業にとって義務ではないが…
社会課題解決の取り組みを考える際の「共通言語」
グローバルに通用
2030年まで有効
「ヒトゴト」から「ジブンゴト」に
すべての国・地域が対象
企業の役割に対する期待
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リスクにも機会にもなりうる株主・投資家国際機関
消費者 従業員取引先
各国の国家予算(歳入)(2016年)
Fortune Global 500 企業(売上高)(2016会計年度)
1 アメリカ 3,267
2 中国 2,402
3 日本 1,684
1 ウォルマート(米) 486
2 国家電網(中) 315
3 中国石油化工(中) 268
(10億ドル)
出所:CIA (2017) “The World Factbook”, Fortune (2017) “Fortune Global 500”
社会課題解決者として期待される企業(10億ドル)
500 オートネーション(米) 2267 ウズベキスタン 21
9 カナダ 594
10 スペイン 467
24 サウジアラビア 139
25 フィンランド 128
26 インドネシア 117
5 トヨタ自動車 255
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人材・技術・資金力に対する期待
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150 モルディブ 1.5
100 リビア 6.2
29 本田技研工業 129
33 日本郵政 123
13 韓国 320
14 スウェーデン 261
15 メキシコ 260
16 ベルギー 237
企業向けガイドライン、ツール等の開発
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海外でのガイドライン、ツール等の活発な開発 ⇒日本語版公開
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SDGsを考慮した情報開示・・・投資家の関心
SDGコンパス(2015.9) SDGインダストリーマトリクス(2015.9~) SDG CEOガイド (2017.3)
統合報告への反映(2017.9)
GRIスタンダードへの反映
分析編(2017.9) ガイド編(2018予定)
日本国内の動向
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日本経団連
「企業行動憲章」 「実行の手引き」改定(2017年11月)
「Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成」を標榜
政府の支援
SDGs推進本部(2016年5月~)
「SDGs実施指針」 (2016年12月)
「民間セクターが公的課題の解決に貢献することが決定的に重要」
「SDGsアクションプラン2018」 (2017年12月)
• SDGsと連動する「Society 5.0」の推進
• 民間企業への支援策等の検討(2018年央)
• 「SDGs経営推進イニシアティブ」
• 「SDGsのための科学技術イノベーション」推進国際ロードマップ
環境省
「中小企業向けSDGs導入手引き」 (2017年度中)
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SDGsの視点
SDGsの視点による事業活動の見直し
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自社の事業活動
バリューチェーン全体
ポジティブ・インパクト
ネガティブ・インパクトリスク 機会
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2. 日本企業の取り組み
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CSR企業総覧 (2018年版)
対象企業 1,413社のうち326社(23%)がSDGsを参考、141社(10%)が検討中
製造業の方がSDGsを参考にしている企業の比率が高い
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国内企業の検討状況
出所: 東洋経済新報社“CSR企業総覧2018年版” (2017) を基に、富士通総研作成
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対象企業(1,413社) 製造業(730社) 非製造業(683社)
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主要業種の比較
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出所: 東洋経済新報社“CSR企業総覧2018年版” (2017) を基に、富士通総研作成
29%
56%
45%
27%
29%
52%
47%
32%
26%
18%
19%
34%
21%
CSR企業総覧 (2018年版)
食料品、電気機器、輸送用機器、化学・医薬品、金融・保険において、SDGs
を参考・検討中の企業の比率が高い(社数)
Forbes Global 2000 (2017)
日本企業 225社のうち124社(55%)がSDGsについて言及(2017年12月末現在)
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国内大手企業の状況①
出所: “Forbes Global 2000” (2017)と各社公開情報を基に、富士通総研調べ
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SDGs言及SDGs言及なし
外部指摘
<参考 2016年12月末調査結果(対象219社)>
Forbes Global 2000 (2017)
上位(1000位以内)企業がSDGsに言及する比率が高い
製造業がSDGsに言及する比率が高い
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国内大手企業の状況②
出所: “Forbes Global 2000” (2017)と各社公開情報を基に、富士通総研調べ
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76%
37%
75%
37%
(社数)
(社数)
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国内大手企業の状況③
Forbes Global 2000 (2017)
SDGsについて言及している日本企業の言及内容
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出所: “Forbes Global 2000” (2017)と各社公開情報を基に、富士通総研調べ
(124社) (77社)
(社数)
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3. 企業価値創造とビジネス機会創出に向けて
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国内大手企業の取り組み 政府・産業界の支援等
2016
2017
2018
2019
2020
2030
SDGsと企業経営を巡る日本の状況
16 Copyright 2018 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
SDGs対象期間
12 「SDGsアクションプラン2018」
11 日本経団連「企業行動憲章」改定
12 「SDGs実施指針」
「SDGs実施指針」改定
「中小企業向け手引き」
「SDGs経営推進イニシアティブ」
SDGs視点による事業戦略の策定・実行
SDGsと自社戦略・事業との関連付け
SDGsの認識・コミットメント
関連付けから事業戦略の策定・実行へ
17 Copyright 2018 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
新たな取り組み
既存の取り組み
関連付け(ラベリング)
事業戦略の策定・実行
一過性の取り組みに終わる懸念
企業価値創造および新たなビジネス機会創出につなげられるかどうかがカギ
2030年までのグローバルな共通言語
事業所内での取り組み
バリューチェーン管理
商品開発、新規事業検討
従業員教育・研修、社内コミュニケーション
ステークホルダーとのコミュニケーション
SDGs視点による事業戦略の策定・実行
Copyright 2018 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE18
事業活動の評価、優先順位づけ、目標・KPI設定
ガバナンス・マネジメントシステムの改善
企業価値
財務資本
社会・関係資本
製造資本
知的資本
人的資本
自然資本
ビジネス機会
SDGs貢献
事業性
SDGsの取り組みと株価
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Forbes Global 2000 (2017) のSDGs言及企業と非言及企業の株価年変化率平均
出所: “Forbes Global 2000” (2017)とSPEEDAを基に、富士通総研作成
SDGsの17目標、169ターゲットには国際的に重視される社会課題がほとんど網羅
本業を通じた社会課題解決を検討するヒントに
BSDC(ビジネスと持続可能な開発委員会) (2017.1)
世界全体で12兆ドル/年の機会創出(2030年時点)
ビジネス機会としての認識
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(10億ドル)
出所:ビジネスと持続可能な開発委員会(BSDC) (2017)
アジアにおけるビジネス機会
21 Copyright 2018 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
BSDC アジアレポート (2017.6)
アジア域内で5兆ドル/年の機会創出(2030年時点)
(http://s3.amazonaws.com/aws-bsdc/BSDC_asia_web.pdf)
(兆ドル)
(日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国)
日本国内から見たビジネス機会
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「SDGs実施指針」 (2016.12)・・・8つの優先課題と具体的施策
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SDGs推進本部(2017)「SDGsアクションプラン2018」
「SDGsアクションプラン2018」 (2017.12)による総力を挙げた取り組み
SDGsの取り組みの定着に向けて
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企業にとってSDGsの考慮が不可欠に
SDGs達成は企業の義務ではないが、企業の役割への期待・要請は大きい
「共通言語」として2030年までグローバルに通用
SDGsを定着させるためには本業への組み込みが必要
企業価値への反映にはまだ時間を要する
国内外のビジネス機会のポテンシャルは大きいが、競争優位の獲得とスケールアップができるかが問われる
今後の課題
1. 取り組みの目的の明確化
2. 組織横断的な検討・体制づくり
3. パフォーマンス(インパクト)評価による取り組みの改善
169ターゲットのレベルでSDGsへの具体的な貢献と事業性を評価・検討
真の「共通言語」化の取り組み真の「共通言語」化の取り組み
Copyright 2010 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE24