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showmanship 3 毛刈り 順序 ポイント 毛刈り 順序 ポイント 北海道ホルスタイン農業協同組合

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showmanship 3

毛刈りの順序とポイント

毛刈りの順序とポイント

北海道ホルスタイン農業協同組合

– 1 –

はじめに

体 各 部 の 名 称

共進会において毛け

刈が

りは、ショウリングで牛の優れた部ぶ

位い

を強調し、美しく鮮明で鋭

えい

角かく

的てき

に見せるための補ほ

助じょ

的てき

手しゅ

段だん

である。骨こっ

格かく

構こう

造ぞう

、骨ほね

質しつ

、ボディコンディションは毛刈りでは変えられないが、毛刈りする事で審査員により美しくアピールする事ができる。また、軽

けい

微び

な欠点であれば毛刈りによってカバーする事も可能である。

– 2 –

毛刈り道具と使い方

バリカン ①大型バリカン 頭、体、四し

肢し

など部ぶ

位い

と状況により刃の厚さを選択する。標準刃 2.5mm薄うす

刃ば

1mm

②小型バリカン 替え刃の種類が豊富頭、尾、乳

にゅう

房ぼう

、四し

肢し

や細かい所など状況により使いわける。0.1mm~ 2mm

③ハンディバリカン 主にトップラインの仕上げ(コードレス) 乳

にゅう

房ぼう

など細かい所に使用する。

①②

③⑦ ⑬

④ ⑤ ⑩ ⑪ ⑫

– 3 –

④昇しょう

圧あつ

器き

100 ボルトを 120 ボルトに変へん

換かん

する。

⑤潤じゅん

滑かつ

油ゆ

バリカンの刃の動きを良くし磨ま

耗もう

をふせぐ。

⑥ドライヤー トップラインなどの毛を立てる。

⑦ドライヤー用ブラシ トップラインの毛を立てる。牛体の毛の刈り残しを無くすために使用。

⑧ボディブラシ 艶つや

出だ

しスプレーを塗ぬ

る。ゴミ、フケの除

じょ

去きょ

。毛並みを整ととの

える。

⑨ブロアー 牛体に付ふ

着ちゃく

したゴミ、特に毛の中に刺さったフケや短い毛などを除

じょ

去きょ

する。

スプレー ⑩クリアーマジック  立てた毛を固める。

⑪ブラックマジック  毛を黒くする。

艶つや

出だ

し 出品前の仕上げに使用する。艶つや

を出す。

⑫パウダー(右)またはパウダースプレー(左)ドライヤーで毛を立てるときや、飛

節せつ

など毛の剥は

げた部ぶ

位い

に使用する。

⑬ハサミ 尾び

根こん

、トップラインの毛を揃そろ

えるための仕上げに使用する。

⑭クリップ 毛刈り時に尾お

を振らせないよう補助的に使用する。

⑮ウェスまたはタオル バリカンに潤じゅん

滑かつ

油ゆ

を使用した後の拭き取りや道具の手入れ、出品牛の耳

みみ

垢あか

、鼻び

口こう

部ぶ

の拭き取りなど用途は様々。

– 4 –

毛刈りを行う前に

毛刈りの場所

明るく平らで牛が滑らない場所を選ぶ。

刈り残しが出来ないよう明るい場所を選ぶ。

糞尿が飛び散らないようおがくずなどを敷

き、牛の気が散ち

らないように配

はい

慮りょ

する。(他の牛、騒音など)

事前に人やもくしに馴らし、保定の練習もしておくと良い。

牛をきれいに洗う。糞、フケ、毛についた油ゆ

分ぶん

を良く洗い流す。

毛に油分が残っていると毛が立ちにくく、バリカンの磨

耗もう

や刈り残しができるため数回洗う。

洗い終わったら牛体の水を良く切り毛並みを整え、トップラインの毛は濡れた状態でブラシを使用し逆立てておくと毛に癖

くせ

がつきやすい。

十分乾燥してから毛刈りを行う。

肋ろく

の張は

り具合によりトップラインの状態が変化するので、餌えさ

を与え、ある程度肋ろく

が張は

った状態で毛刈りを行うのが好ましく牛も落ち着く。※春に粗

あら

刈が

りしておくとショウシーズンには太く硬い毛が生え揃そろ

いトップラインを作りやすくなる。

– 5 –

毛刈りの順序と方法

毛刈りを始める前に牛を良く観察し、仕上げのイメージを描く。

トップラインの毛を立てた後、尾→後こう

望ぼう

して左側の腿たい

→尻しり

→肋ろく

→頸くび

→四し

肢し

→胸むね

続いて右側の腿

たい

から順に繰り返す→頭→トップライン(毛刈り順序の一例)※牛の長所、短所を把握し部位によりバリカンと刃の選択を行う。

毛が寝た状態では刈り残しができるため、あらかじめトップラインの毛はドライヤーとブラシを使用し立てる。

体はブラシで毛を立てながら毛刈りを行い、刈り残しを無くす。

– 6 –

尾び

房ぼう

から尾び

根こん

まで細く長く尾び

房ぼう

とのつりあいを良くする。

尾び

房ぼう

の 5 ~ 10㎝上部から尾び

根こん

の下部まで毛並みに逆らって刈る。

尾び

根こん

は両サイドを刈りトップラインはくさび型に残す。

外がい

腿たい

腿たい

は外側に広く充実し、内側は薄く切れ上がるように見せる。

ブラシで毛を逆立てながら、下部から毛並みに逆らい刈る。

尻は腰よう

角かく

、坐ざ

骨こつ

が鮮明になるようにする。

腰よう

角かく

、仙せん

骨こつ

に沿ってバリカンを動かし、仙

せん

骨こつ

の両サイドと上部の無駄な毛を刈り、トップラインになる部分は残す。

– 7 –

肋ろく

肋ろっ

骨こつ

・横おう

突とっ

起き

が鮮明に見えるように、ブラシで毛を逆立てながら下から上へ肋

ろっ

骨こつ

に沿って、ゆっくり長いストロークで刈る。

刈り残しは牛体の皮ひ

膚ふ

を引っ張りながら刈り、トップラインの両サイドは毛を残しておく。

肩かた

、頸くび

前ぜん

肋ろく

から肩かた

、頸くび

にかけスムーズに移行し頸

くび

の皮ひ

膚ふ

被ひ

毛もう

は薄く見せる。

バリカンは肩けん

端たん

からき甲こう

に沿って動かし刈り残しを無くす。

後こう

肢し

蹄てい

冠かん

部ぶ

から上部まで薄く平ひら

骨ぼね

で、飛ひ

節せつ

部ぶ

は側そく

望ぼう

したとき適度な幅

はば

があり鮮せん

明めい

に見せる。

部位により刃を選択し、後こう

肢し

の正面と後ろの部分はエッジ(くさび型)を作る。

– 8 –

内ない

腿たい

内ない

腿たい

は薄く皮ひ

膚ふ

が柔じゅう

軟なん

に見えるように刈り込む。

前ぜん

肢し

   

蹄てい

冠かん

部ぶ

から上部まで細くまっすぐに見せる。

肋ろく

腹ふく

(下か

腹ふく

部ぶ

ブラシで毛を立て毛の長さを揃そろ

え鮮せん

明めい

にしていく。

細かい部ぶ

位い

は小型バリカンを使用し刈り残しを無くし鮮

せん

明めい

にする。

– 9 –

浅く開かい

張ちょう

の無い中ちゅう

躯く

は毛を立て、より充実したように見せ毛を刈り揃

そろ

える。

充実した中ちゅう

躯く

は鮮せん

明めい

に見えるようにバランスを見ながら毛を刈る。

毛を肋と馴な

染じ

ませる場合はバリカンの刈り高を調節し刈りすぎに注意。

前ぜん

肋ろく

、脇わき

、胸きょう

底てい

広く深い胸むね

の牛は鮮せん

明めい

に見えるようバランスを見ながら刈り込む。

狭せま

く浅い胸の牛は充実したように見せるため適度に毛を残し刈り揃

そろ

える。

毛並みに逆らいバリカンの向きを変えながら刈り耳の内側も刈る。

刈り残しが無いように、もくしをずらしながら行う。

– 10 –

トップライン

側そく

望ぼう

した時、前ぜん

躯く

が高く、き甲こう

から尾び

根こん

まで真っすぐになるように刈る。ドライヤーの温風をブラシに当てるようにして毛を垂直に立ててから、バリカン

で刈る。この作業を繰り返し行いくさび型がた

に整え体にスムーズに移行させる。

  

あらかじめ高低と幅の基準となる所を決めてから開始する。(ホルスタインナショナルショウ倫

りん

理り

規き

程てい

でトップラインの毛の長さは3㎝以下)

※毛並みに逆らうと刈り過ぎるので、毛並みに沿って少しずつ刈る。毛が寝てしまう場合は再度ドライヤーで毛を立てる。

←毛刈り前、毛を立てた状態

– 11 –

トップライン横の毛は体からトップラインへ刈り上げスムーズに移行させる。

バリカンの刃は指などで固定し刈り過ぎを防ぎ、刈り跡を残さない。

後こう

乳にゅう

房ぼう

後こう

乳にゅう

房ぼう

は質しつ

が良く、付ふ

着ちゃく

部ぶ

は広く、高く、正

せい

中ちゅう

提てい

靭じん

帯たい

は鮮せん

明めい

にみせる。

小型バリカンを使用し、状況に応じて刃を選択し毛並みに逆らいながら刈る。

前まえ

乳にゅう

房ぼう

乳にゅう

房ぼう

と体の境さかい

目め

は自然に移行させ、乳

にゅう

状じょう

脈みゃく

は太く力強く見せ、腹ふく

壁へき

にスムーズに移行させる。

内ない

腿たい

と乳にゆう

房ぼう

の間も刈り残しに注意しながら綺

麗れい

に刈る。

ショウ前日までに仕上げ以外の作業を完了させておき、当日は短時間で毛刈りを終了し牛への負担を少なくする。

– 12 –

ショウ当日の仕上げ

1.毛刈り前に十分餌えさ

を与え、肋ろく

を開かい

張ちょう

させ仕上げの毛刈りを行う。

毛刈り前に餌えさ

を与えないと、背せ

の張は

り具合や中ちゅう

躯く

の深さが変化するため、出品前の手直しに時間を要することがある。

2.ドライヤーで尾び

根こん

からき甲こう

まで毛を立て毛並みを揃える。

ドライヤーの温度とブラシを動かすスピードを調節しながらゆっくり丁寧に。

3.クリアーマジックを軽くかけドライヤーで十分乾かす。(乾きが悪いと毛の質を良く見せる事が出来ない。)

– 13 –

4.ハンディバリカンでトップラインをくさび形がた

に整える。

トップラインと体の境目は手を添えバリカンを固定し、刈り跡を残さない。

5.尾び

根こん

もトップライン同様にスプレーで固め、良く乾燥させる。

スプレーのかけすぎは粗野に見えるので注意する。

6.ハサミで尾び

根こん

の形を整える。

尾び

根こん

が粗そ

野や

に見えてしまうときは、もう一度大型バリカンなどで尾

根こん

サイドを刈り形を整えると良い。

– 14 –

尾び

根こん

は鮮明に見えるよう出来るだけコンパクトに整える。

7.全身のフケなどのゴミを取り除く。

ボディブラシ、ブロアーなどでフケや毛などを除去し、耳

みみ

垢あか

、鼻び

口こう

部ぶ

の汚れは綺麗にふきとる。

8.トップラインにクリアーマジックをかけ固める。

毛が寝ていないことを確認してからスプレーし、ドライヤーで十分乾燥させる。

毛が白くなっている部分はブラックマジックで黒くし同様に乾燥させる。

– 15 –

9.肋ろく

腹ふく

(前ぜん

肋ろく

、後こう

肋ろく

、下か

腹ふく

部ぶ

)の開かい

張ちょう

にあわせ無駄な毛を刈り鮮明にする。

牛全体のバランスを考慮しながら、大型バリカンを手や指などで固定しながら刈り、毛の長さを調節する。

10.尾房にボリュウムをもたせ、牛体に艶つや

出だ

しを塗り仕上げる。

ドライヤー用ブラシなどで、尾び

房ぼう

の毛を逆立てながらボリュウムを持たせていく。

形が崩れないようクリアーマジックなどで固める。

艶つや

出だ

しは皮ひ

膚ふ

、被ひ

毛もう

が柔じゅう

軟なん

に見えるよう適度に塗り、ボディブラシやタオルなどで薄くのばす。※スコアーカードで過度の塗りすぎは減点対象

– 16 –

11.リードした状態で毛刈りの最終確認を行う。

トップラインなどに高い場所があるときは、コードレスバリカンやハサミを使用し修正する。

毛刈り技術向上のために、ショウに出す予定のない牛を使い毛刈りの練習を行い、バリカンやドライヤーなどの使い方や毛刈りの技術を身につけよう。また、ショウ会場で他の出品牛の毛刈りを手本とするのもよい。

〈参考資料〉  「牛の見方と解説&リードマンと毛刈り技術」(Blu-ray&DVD)

北海道ホルスタイン農協

〈監修〉  北海道ジュニアホルスタインクラブ運営委員会

〈撮影協力〉  陸別町 (有)編田牧場 訓子府町 渡辺 重明さん

編田 尚弘さん

北海道ホルスタイン農業協同組合

〒001-8555《個別郵便番号:住所記載不要》〒 001-0015 札幌市北区北 15条西 5丁目

電 話(011)726-3111FAX(011)726-3135

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2017.09.450