sle皮膚病変部に蓄積するリポフスチソ 第2報:黄色腫様病変...

20
日皮会誌:103 (13), 1747―1766, 1993 (平5) SLE皮膚病変部に蓄積するリポフスチソ 第2報:黄色腫様病変のceroid-laden macrophagesの形成および蓄積の機序 新井 春枝 菅谷 和江 浅井 寿子* 関根 敦子* 近藤 滋夫* 衛藤 光* 西山 茂夫* 第1報において,全身性エリテマトーデス(SLE) に蓄積する組織球(Mφ)について報告し,細胞質内の 顕粒をリポフスチソと同定した,今回,我々はこのリ ポフスチソ(ceroid)の生成機序について考察した. 脂腺毛嚢―真皮境界部に免疫複合体(IC)および C5t,_9複合体(MAC)の沈着をみた.かつ脂腺の構造お よび基底膜に様々な変化が観察された. 凍結標本の脂腺細胞内に好酸性脂質(soluble and insoluble acidic linid)の形成が見られた.また,脱パ ラフィソ標本においてコロイド鉄反応およびマッソソ 染色陽性の微細な不溶性穎粒が観察された.この不溶 性穎粒を過酸化脂質蛋白質複合体(ceroid-like state : Ball)とみなした.崩壊した脂腺内外に自家螢光を発す るceroidを含有するMφ(ceroid-laden Mφ)が存在 した. 小動脈にceroid・laden Mφ,ICおよび中性脂質等に よる塞栓を観察した.一部のMφ内に免疫グロブリン および補体の沈着を見た. SLEの皮膚病変内にceroid・laden Mφが形成され, 蓄積する機序を病理免疫組織化学所見から以下のごと く考察した. 1.単球・組織球の遊走および活性化はIC, MAC, 過酸化脂質およびceroid-like state にある過酸化脂質 蛋白質複合体によって惹起される. 2.活性酸素種は活性化Mφ,酸化されたICおよび 漂流障害(完全または不完全虚血・再漂流)などから 生成される. 3.酸化される脂質は主に脂腺および皮下脂肪であ る. 4.脂腺および皮下脂肪由来の脂質およびIC由来 大和市立病院皮膚科 *北里大学医学部皮膚科 平成5年3月4日受付,平成5年6月2日掲戴決定 別刷請求先:(〒242)神奈川県大和市深見西8-3 -6 大和市立病院皮膚科 新井 春枝 の蛋白質が酸化され, ceroid-like stateの過酸化脂質 蛋白質複合体となる. 5.Mφは取込んだceroid-like stateの過酸化脂質 蛋白質複合体をさらに酸化し, ceroidを生成する. はじめに 我々は全身性エリテマトーデス(SLE)"~7),円板状 紅斑①LE)1),進行性全身性強皮症(PSS)8),限局性 強皮症8),皮膚筋炎9)などの膠原病の皮膚病変部に自家 螢光穎粒を含有する組織球(Mφ)の蓄積や浸潤を報告 してきた.第一報でSLEの皮膚病変部に蓄積する Mφ内の自家螢光穎粒をリポフスチソと同定し,大き く三型に分けた7). 今回は生成機序について病理免疫組織化学所見から 考察する.動脈硬化症や黄色腫症における泡沫細胞の 生成機序は血清脂質の異常および脂質過酸化から論じ られている10)しかし一方,正脂血症性SLEに発現す る黄色腫様病変では異なる機序が推定される.既に 我々は脂腺の変化から脂腺由来を推定した1)2)今回, 新たな症例の観察から脂腺由来とともに皮下脂肪由来 が考えられることを報告したい. また,リポフスチソを生成機序の相違から, age pig・ mentとceroidに分けることが提唱されているu)こ の提唱にしたがって,組織球内の螢光粒子Oポフス チソ)をceroidと命名する. 材料および方法 第1報で報告した組織を用いた7).即ち組織内に夥 しい組織球の浸潤が観察された4例のSLEの皮膚紅 斑や腫瘤を材料とした. 生検組織は10%ホルマリン固定後,パラフィソ包埋 し連続切片を作製した.1枚は無螢光ガラス上に作製 し,脱パラフィソ後,無染色で観察した.組織学的検 索はhematoxylin eosin (HE), elastica van Gieson (EVG), azan(AZAN), alcian blue (AB):pH 2.5, periodic acid Schiff reaction (PAS), PAS after diastase digestion (D-PAS), long Ziehl・Neelsen

Upload: others

Post on 05-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 日皮会誌:103 (13), 1747―1766, 1993 (平5)

         SLE皮膚病変部に蓄積するリポフスチソ

    第2報:黄色腫様病変のceroid-laden macrophagesの形成および蓄積の機序

        新井 春枝  菅谷 和江  浅井 寿子* 関根 敦子*

        近藤 滋夫* 衛藤  光* 西山 茂夫*

              要  旨

     第1報において,全身性エリテマトーデス(SLE)

    に蓄積する組織球(Mφ)について報告し,細胞質内の

    顕粒をリポフスチソと同定した,今回,我々はこのリ

    ポフスチソ(ceroid)の生成機序について考察した.

     脂腺毛嚢―真皮境界部に免疫複合体(IC)および

    C5t,_9複合体(MAC)の沈着をみた.かつ脂腺の構造お

    よび基底膜に様々な変化が観察された.

     凍結標本の脂腺細胞内に好酸性脂質(soluble and

    insoluble acidic linid)の形成が見られた.また,脱パ

    ラフィソ標本においてコロイド鉄反応およびマッソソ

    染色陽性の微細な不溶性穎粒が観察された.この不溶

    性穎粒を過酸化脂質蛋白質複合体(ceroid-like state :

    Ball)とみなした.崩壊した脂腺内外に自家螢光を発す

    るceroidを含有するMφ(ceroid-laden Mφ)が存在

    した.

     小動脈にceroid・laden Mφ,ICおよび中性脂質等に

    よる塞栓を観察した.一部のMφ内に免疫グロブリン

    および補体の沈着を見た.

     SLEの皮膚病変内にceroid・laden Mφが形成され,

    蓄積する機序を病理免疫組織化学所見から以下のごと

    く考察した.

     1.単球・組織球の遊走および活性化はIC, MAC,

    過酸化脂質およびceroid-like state にある過酸化脂質

    蛋白質複合体によって惹起される.

     2.活性酸素種は活性化Mφ,酸化されたICおよび

    漂流障害(完全または不完全虚血・再漂流)などから

    生成される.

     3.酸化される脂質は主に脂腺および皮下脂肪であ

    る.

     4.脂腺および皮下脂肪由来の脂質およびIC由来

     大和市立病院皮膚科

    *北里大学医学部皮膚科

    平成5年3月4日受付,平成5年6月2日掲戴決定

    別刷請求先:(〒242)神奈川県大和市深見西8-3

     -6 大和市立病院皮膚科 新井 春枝

    の蛋白質が酸化され, ceroid-like stateの過酸化脂質

    蛋白質複合体となる.

     5.Mφは取込んだceroid-like stateの過酸化脂質

    蛋白質複合体をさらに酸化し, ceroidを生成する.

               はじめに

     我々は全身性エリテマトーデス(SLE)"~7),円板状

    紅斑①LE)1),進行性全身性強皮症(PSS)8),限局性

    強皮症8),皮膚筋炎9)などの膠原病の皮膚病変部に自家

    螢光穎粒を含有する組織球(Mφ)の蓄積や浸潤を報告

    してきた.第一報でSLEの皮膚病変部に蓄積する

    Mφ内の自家螢光穎粒をリポフスチソと同定し,大き

    く三型に分けた7).

     今回は生成機序について病理免疫組織化学所見から

    考察する.動脈硬化症や黄色腫症における泡沫細胞の

    生成機序は血清脂質の異常および脂質過酸化から論じ

    られている10)しかし一方,正脂血症性SLEに発現す

    る黄色腫様病変では異なる機序が推定される.既に

    我々は脂腺の変化から脂腺由来を推定した1)2)今回,

    新たな症例の観察から脂腺由来とともに皮下脂肪由来

    が考えられることを報告したい.

     また,リポフスチソを生成機序の相違から, age pig・

    mentとceroidに分けることが提唱されているu)こ

    の提唱にしたがって,組織球内の螢光粒子Oポフス

    チソ)をceroidと命名する.

             材料および方法

     第1報で報告した組織を用いた7).即ち組織内に夥

    しい組織球の浸潤が観察された4例のSLEの皮膚紅

    斑や腫瘤を材料とした.

     生検組織は10%ホルマリン固定後,パラフィソ包埋

    し連続切片を作製した.1枚は無螢光ガラス上に作製

    し,脱パラフィソ後,無染色で観察した.組織学的検

    索はhematoxylin eosin (HE), elastica van Gieson

    (EVG), azan(AZAN), alcian blue (AB):pH 2.5,

    periodic acid Schiff reaction (PAS), PAS after

    diastase digestion (D-PAS), long Ziehl・Neelsen

  • 1748 新井 春枝ほか

    method for lipofuscinsClong ZN), phosphotungstic

    acid hematoxylin (PTAH), Giemsa stain, nile blue

    (NB), Hueck method ; bleaching method for mel-

    anins, LilHe method ;bleaching method for lipofus-

    cins, colloid iron reaction, toludine blue (TB);pH

    7.0, pH 4.1 & pH 2.5, Berlin blueCBB), Victoria

    blue (VB), reticulin silver impregnation (Gitter)お

    よびFontana-Masson's method (マッソソ)染色法を

    施行した.免疫組織化学染色はPAP (peroxydase-

    antiperoxydase)法で行った.使用した抗体はmono・

    clonal mouse anti-human macrophage (DAKO・

    CD68, KPI:分子量llOKDのglycoproteinと反応す

    る.抗原はlysosomal granules 関連の細胞質内分子),

    rabbit anti-human lysozyme (DAKO),monoclonal

    mouse anti・human immunoglobulin G (IgG) , M

    (IgM)およびA(lgA)である.

     組織の一部は直ちに液体チッソで凍結し,4μmに薄

    切し,螢光抗体直接法(IF:IgCIgM.IgA, Co, C3,

    C4 & fibrinogen)および脂肪染色(nile blue, Sudan

    black B & suden Ill stain)を施行した.C56・9複合体

    抗体は川名誠司博士により提供された抗体(Cytotoch,

    SanDiego, Calif.)を使用した.

     観察はVFD-TR型ニコン落射螢光顕微鏡および

    BH2・RFC型オリンパス落射螢光顕微鏡で行った.

               臨床事項

     症例1 :22歳男性.発症20歳.脱毛,関節痛,皮膚

    紅斑.生検は顔面頬部の浸潤ある紅斑から施行.検査

    所見:白血球数3,100×lOVμ1, ANA X160, Anti

    ENA Ab十,C3 44mg/dl, C4 13mg/dl, 血清過酸化脂

    質1.6nM0L/ml (正常値; 1.0~3.4nMOL/ml).

     症例2:17歳女性.発症17歳.発熱,関節痛,筋肉

    痛,皮膚紅斑,脱毛.生検は頭部の隆起性局面(No. 1)

    および腰部の樹枝状萎縮性紅斑(No. 2)から行った.

    検査所見:白血球数2,800×103/μl(リンパ球7.8%),

    ANA X10, Anti ENA Ab十, Anti RNP Ab十, Anti

    Sm Ab十, Anti SS-A Ab十,C3 34mg/dl, C4 12mg/dl,

    CH50 22mg/dl, 血清過酸化脂質1.6nM0L/ml (正常

    値:1,0~3.4nMOL/ml).

     症例3:30歳女性.発症25歳.関節痛,皮膚紅斑,

    脱毛.頭部の腫瘤より生検.検査所見:白血球数

    2.300×lOVμ1(リンパ球5%), ANAX10,240, Anti

    DNA Ab 91.1U/ml, Anti ENA Ab十, Anti RNP

    Ab十, Anti Sm Ab十, Anti SS・A Ab十, Anti Car-

    diolipin IgG Ab十,C3 49mg/dl, C4 11.5ing/dl, CH50

    29mg/dl, IC 6.0mcg/ml,血清過酸化脂質3.0nMOL/

    ml(正常; 3.5~8.1nM0L/ml),血漿過酸化脂質1.9

    nMOL/ml(正常値;2.o~6.0nMOL/ml)

     症例4 :45歳女性.発症43歳.皮膚紅斑,関節痛.

    顔面頬部の浸潤性紅斑を生検.検査所見:白血球数

    3,100×lOVμ1(リンパ球7.5%), ANAX160, Anti

    ENA Ab十,Anti SS・A Ab十,C4 17.7mg/dl, 血清過

    酸化脂質2.0nMOL/ml (正常値; 1.0~3.4nMOL/

    ml).

            病理組織学的所見

     1.脂腺の所見

     1)パラフィン包埋

     4例の生検から得た病変部組織に正常な脂腺を観察

    できなかった.

     症例4の真皮上層に未熟ないし未発達の毛嚢脂腺を

    観察した(Fig. 1).構造の乱れた脂腺基底膜は厚い

    レースの縁飾り状を呈した.脂腺細胞内に微細な穎粒

    が認められ,この多くの穎粒はマッソソ染色(Fig. la)

    およびコロイド鉄反応陽性, long ZN 染色陰性,また

    一部の穎粒はPAS染色に陽性を示し,ジャスターゼ

    抵抗性であった.微分干渉法で観察すると,微細な球

    状の形態であった(Fig. lb).しかし自家螢光は極微弱

    で,UV下で消滅した.

     より破壊された脂腺の内外に組織球(Mφ)の遊走が

    見られた.このような部位を螢光顕微鏡で観察すると,

    細胞質内の穎粒は自家螢光を発した(Fig. lc).また真

    皮中層にみられる多数のceroidを含有するMφ

    (ceroid・laden Mφ)とリンパ球の浸潤巣の辺縁または

    中央部にジャスターゼ抗抵性PAS陽性の脂腺基底膜

    の残存と思われる膜様構造が見られた.脂腺周囲の細

    胞浸潤は少ないものから多いものまであった. ceroid・

    laden Mφの浸潤の多い巣にはリンパ球の数ヽも多かっ

    た.リンパ球は主にT細胞であるが,時にB細胞の巣

    よりなる部位もあった.

     症例1の病変部の崩壊した脂腺内外に数コのMφ

    が見られた.さらに崩壊した脂腺はやつでの葉のよう

    な基底膜(ジャスターゼ抵抗性PAS陽性)を残すが,

    脂腺細胞は見られず, ceroid-laden MφおよびTリソ

    ゛球の浸潤か見られた(Fig. 2).

     症例2の組織内に脂腺構造および基底膜の残存は観

    察されなかった.

     症例3の組織内には脂腺基底膜の残存のみが観察さ

    れた.この基底膜はやつでの葉状,鋸歯状,いりくん

    だ線様の構造を示した.後者は多数のリンパ球の浸潤

  • SLE一黄色腫―Ceroid-laden Mφ 1749

                Fig. 1 Findings of sebaceous glands, para伍n section, Case 4.

    a: Cells in the sebaceous gland contain small granules that are positively stained by Fontana-Masson'

    method.×640. b : Spherical small granules are observed in the cytoplasm of the cells under the

    Nomarsky interference microscope. Some of granules are stained periodic acid Schiff reaction (PAS)and

    PAS-positive basement membrane is wavy and thickened. PAS after diastase digestion (D-PAS),×625.

    c: Autofluorescent granules are observed in the cytoplasm of histiocytes (Mφ) within and surrounding

    area of the sebaceous gland. The basement membrane is more wavy and thickened than b under the uv

    light. Unstained section, ×240.

    を受けていた.しかしMφは稀であった.リンパ球は

    主にB細胞であった2).

     2)凍結標本

     (1)螢光抗体直接法:表1,2および3にlupus

    band teSt(LBT)の結果を示す.表皮一真皮境界部(基

  • 1750 新井 春枝ほか

    Fig. 2 Finding of sebaceous gland, paraffin section, case l. The figure shows an injured sebaceous gland.

     Normal cells are not seen, but abnormal basement membrane remains. Cellular infiltration is present

     within and surrounding area of the sebaseous gland. Some of ceroid granules (→) in Mφare positively

     stained by PAS after diastase digestion. D-PAS reaction, ×640.

    表I Lupus Band Test : epidermal-dermal junction

    Test Case 1Case2

    Case3 Case4No. 1 No. 2

    IgG

    IgM

    IgA

    C19

    C3

    C4

    (^sb-gF

      +

      -

      +

      +

      +

      -

      +

    +~-

      +

      -

      +

      +

      -

      -

      +

    +~-

    +~一

     十

    十~-

    +~-

     +

     +

     +

    +~-

      +

      +

      +

      +

      +  -

     ND

    +~-

    表3 Lupus Band Test : sebaceous gland-dermal

     junction

    Test Case 1Case2

    Case 3 Case 4No. 1 No. 2

    IgG

    IgM

    IgA

    C19

    C3

    C4C5b-9

    F

    +~-

     -

    +~-

    +~-

    +~-

     -

     +

     -

    + 、

     +

     +

     +

     +

     +

    -~+

     ND

     +

    表2 Lupus Band Test : pilo-dermal junction

    Test Case 1Case2

    Case3 Case4No. 1 No. 2

    IgG

    IgM

    IgA

    C14

    C3C4

    Cs,-,

    F

    +-

    +-

    +-

    十/

      +

      十

      十

      十

      十  -

     ND

    +~-

    / no hair follicle in the section

    底膜)および毛嚢脂腺付属器基底膜に免疫グロブリン

    (Ig)および神体の沈着をみた(Fig. 3a).抗C56_9複合

    体抗体は残存脂腺基底膜にも陽性であった.LBTの所

    見から,脂腺の構造に様々な変化が見られた.即ち鋸

    歯状,やつでの葉状,レース状,小塊状,底辺を欠い

    た不規則フラスコ様と,様々な形態の脂腺基底膜が残

    存した.正常と思われる形態は稀であった.脂腺内お

    よび周辺に自家螢光を有するceroid穎粒を認めた.強

    い螢光を有する穎粒はlgおよび補体と反応しないが

  • i・

    白飛]」三‐一

    χ

    氾訃瀞C,ヽroi【l】a(l(・11 K),β

    λ ヽ・・i∠‾ノ     .’‘  ノ /■;・-' r ・ -   ノ

    4・¶Jj丿    .   ←才,‘`

    丿ノ゛ト\で’I

    V)……-,

    スレ

     1ス,  l・い

    考スメ(゛ス噸ヤ’

    'WifSp・y.ヽ…………・゛\i‘

    ゛`¨り・;’ .゙マ・・・   4j

    二二゛∧4……゛……

  • 1752 新井 在枝ほか

     Fig. 4 Findings of small artery. Case 3,paraffin section, D-PAS stain, ×375.

    a:The small artery in the lower dermis is obstructed with many ceroid-laden Mφ,

    and lacking endothelial cells under the Nomarsky interference microscope. b:

    Autofluorescence of ceroids in the same section under the uv light.

    表4 動脈のIF直接法および脂肪染色(凍結切片)の結果

    Test Case 1Case 2

    Case3 Case 4*No. 1* No. 2

    IgG

    IgM

    IgAC‰

    C3

    C4

    ^5b-9F

    Sudan BB

    Sudan Ill

    Nie blue

    一一

     -

     -

     -

     -

     -

     -

     - -

    -~+

     -

     -

    +(十)

    十(-)

    十(十)

    十(十)

    十(十)

    十(-)

     ND

     -(-)

     十(-)

     -~+(-~十)

     六万

    O/・

    ceroid in Mφin and around the vessel

    no artery in the section

    obstruction of artery

    胞浸潤巣内の巣核球細胞周囲に存在した.しかし多く

    の穎粒はパラフィソ包埋後,脱パラフィソした標本に

    残らなかった.

     2.脈管の所見

     1)動脈の所見

     (1)パラフィソ包埋

     真皮下層(症例2のNo. 1,症例3および4)または

    真皮皮下境界部から皮下脂肪識内(症例2のNo. 1お

    よび症例3)の小動脈に塞栓が観察された.いずれも

    真皮深層から真皮境界部(症例4)または皮下脂肪識

    内(症例2および3)にもceroid-laden Mφの蓄積が

    認められた.これらの蓄積する部位,または近くに動

    脈塞栓は存在した.真皮下層の動脈は3例とも

    ceroid-laden Mφの蓄積によって塞栓されていた.蓄

  • SLE一黄色腫一Ceroid-laden Mφ

          Fig. 5 Findings of small artery, paraffin section of case 4.

    a: The artery in the lower middle dermis is obstructed with ceroid-laden Mφ, and

    remaining degenrated endothelial cells at the center area of the lumen can be

    seen. Colloid iron reaction, ×480. b: Under the Nomarsky interference micro-

    scope, the internal elastic lamina ( ・■・川sseparated and lacked (→)at some part

    of the vessel wall. Ceroid・laden Mφare observed within vessel and countinuously

    con丘gurated around the vessel. ×750.

    積は主に内弾性板の内側に観察された.最も多量の

    Mφを有していたのは症例3であった(Fig.4)2).症例

    4では3~4コの部位もあった.また内皮細胞を残す

    動脈もあった7).この内皮細胞は萎縮,または硝子様変

    性をきたしていた(Fig. 5).動脈平滑筋は症例3で数

    層残されているが,症例2および4では僅かであった.

    I7r):i

    平滑筋細胞は空泡化,または硝子様の変性をしていた.

    連続切片をみていくと,一部の内弾性板の断列部に動

    脈内側から外側の真皮にかけてceroid-laden Mφは

    連結して観察された(Fig. 5入内膜に蓄積するMφの

    一部に,細胞膜の破壊があり,含有する穎粒の大きさ

    に大小が見られた.

  • !八1 所行 削引,いヽ

    ' ゛ ` ゛ χ

    ・/

     皮下脂肪組織の中枢側の動脈塞栓はMφのほかに

    フィブリン様物質やリンパ球を混じていた.

    ●I -.I.`.  ゜・-.`-N・>ミ/卜▽

    a

    FiK. (i I'inclii以s of small artery

     in the frOz(ヽnsU'p-S(ヽCti( n of

     the FiK.よ

     a: Stron紅 ;1uし)llu( I・cscent

     grunules undei・ the IJV liKht

     (left) are a clump O f small

     granules under the Nomai'sky

     interference microscope

     (right).×375. b: We obser-

     ved C3 deposits on the internal

     elastic lamina and in the cyto-

     plasm of Mφthat were.pres-

     ent within and around the ves-

     sel using direct IF method.

     ×480. c : Ceroids in Mφhave

     ail affinity for Sudan black B

     in the step-section and lipid

     droplets are present insicle of

     the internal elastic lamina.

     ×375.

     2)凍結標本

     凍結切片に動脈がみられたのは址例1 , 2 (No. 1)

    および4であった.この巾で動脈水行口川例2および

  • Fig. 7 Finding of a small artery

     in thelower middle dermis. Case

     2(No. 1). Ceroid-laden Mφare

     observed within the vessel under

     the Nomarsky interference

     microscope. HE stain、×375.

    Fig. 8 Findings of small artery in

     the lower dermis in the step-

     section of Fig. 7.×375.

     a: Direct IF demonstrating of

     IgG deposits at the vessel wall

     and within the vascular lumen,

     except a few large lucent areas.

     b : Small amount of ceroid gran-

     ules and large lucent areas are

     observed under the Non!arsky

     interference microsc( pe of a.

     c: Under the uv light, small

     amount of autofluorescent gran-

     ules are present in unstained sec-

     tion. d : The lucent areas are

     occupied by lipid droplets with

     sudanophilia having an affinity

     for Sudan Ill and Sudan BB.

     Sudan Ill stain.

    SLE講臼j・|‾tCc'i'oiti-ladenMφ

    4の標本内に見られた.症例4(真皮深層)の無染色

    標本をUV下で観察すると,塞栓動脈内に大小強弱の

    自家螢色穎粒を見る(Fig. 6a).同部位を微分干渉法で

    観察すると,略同大の穎粒から成り,より強い螢光部

    17n

    は微細粒子の小塊からなる.lgおよび補体が内弾性板

    から内腔に沈着し,また一部のceroid穎粒に結合した

    (Fig. 6b). Ceroid穎粒はSudan BB染色陽性(Fig.

    6c), Sudan HI染色陰性から弱陽性, nile blue (NB)

  • 1756 新井 春枝ほか

    Fig, 9 Findings of artery in the subcutis in the

     same section of Fig. 8. X375.

     a: Directed IF studies demonstrating double

     ring-like deposits of IgG at the vessel walls and

     inside of the internal elastic lamina, b: Under

     the Nomarsky interference microscope of a,a

     few ceroid granules (i・・)are present inside of the

     internal elastic lamina. And small amount of

     ceroids are seen outside, c: Sudan BB stain

     demonstrating double ring-like deposits of lipid

     droplets in the same pattern of IgG deposits. But

     the Hpid droplets are not seen outside of the

     internal elastic lamina.

  • SLE一黄色腫一Ceroid-laden Mφ

    Fig. 10 In the subcutaneous tissue, many ceroid-laden Mφ,a granule (→)onthe

     adipose cell membrane and so-called membranocystic lesion (O) are present.

     Case 3,PAS reaction, ×375.

     a: Finding under the Nomarsky interference microscope. b : Finding of

     autofluorescence under the uv light.

    染色陰性であった. Ceroidの他に不定型な脂肪滴

    ( Sudan BB 陽性, Sudan III陽性,NB陰性)の沈着部

    もあった.動脈周囲のMφ内の穎粒にもlg冲袖体の

    沈着がみられた(Fig. 6b).

     症例2 (No. 1)のパラフィソ標本で観察した真皮下

    層の動脈塞栓はceroid-laden Mφから成立っていた

    (Fig. 7).しかし皮下脂肪織の中枢側動脈塞栓内に自

    1757

    家螢光穎粒は少なかった.しかしlgおよび補体が筋層

    から内膜に沈着した.またlgを欠く部に合致するよう

    に中性脂肪の沈着を観察した(Fig. 8).さらに深層の

    他の動脈では,さらにceroid穎粒は少なく,内弾性板

    から内膜内のほぼ同一部位に二重リング状にlg,補体

    および中性脂肪滴(Sudan BB およびSudan III染色陽

    性,NB陰性)の沈着を認めた(Fig. 9).中性脂肪滴

  • 1758 新井 存技ほか

                 Fig.11 Finding of smal】vessels.

    a: Many ceroid-ladenMφare seen in and around a small vessel.Monocytes in the

    lumen adhere each other and endothelial cellsunder the Nomarsky interference

    microscope. HE stain.Case 4.×750. b : Cell membrane of ceroid-laden Mφare

    injured, and many granules are scatterdin the lumen. The right vessel is stuffed

    with fibrin-likePAS positivesubstance and aceroid-iadenMφunder the Nomars-

    ky interference microscope. D-PAS reaction. Case 4.×500.

    は内弾性板の外に観察されなかった.

     塞栓を欠く動脈にlgの沈着は少なく,かつ部分的で

    あった.また脂肪滴の沈着はなかった(症例1および

    2).

     動脈塞栓内ceroid (症例4)の脂溶性色素への溶解

    とlgとの結合の結果を表4に示す.

     真皮皮下境界部または皮下脂肪識内に動脈塞栓のあ

    る標本をみると,一部の脂肪細胞の細胞膜上に螢光粒

    子を観察した(症例2および3).また多数のMφの遊

    走かあり, ceroidを含んでいた.稀であった昿唐草

  • SLE一黄色腫―Ceroid-laden Mφ

                    Fig. 12 Finding of small vessels.

    a: Many ceroid-laden Mφare present within the thick degenerated vessel wall. Case 3.EVG

    stain.×500. b : Ceroid-laden Mφare observed between endothelial cells and basal lamina.

    Case 2(No. 2). D・PAS reaction. ×500.

    模様を呈する膜嚢胞性病変(那須)の所見が見られた

    (Fig. 10).

     2)細小脈管の所見

     細小脈管の拡張,または内皮細胞や周細胞の空泡化,

    壁の硝子様変化が観察された. ceroid-laden Mφ蓄積

    内にある毛細管の壁は不明瞭であった.

     拡張した脈管内にceroid-laden Mφや単球が見ら

    れた.これら単球はお互に接着し,また管壁内腔面に

    も接着していた(Fig. 11a).またフィブリソに取巻か

    れたceroid-laden Mφも見られた.稀に,Mφの細胞

    膜が壊れ,管腔内に穎粒の散乱を観察した(Fig. lib).

    一部では血管壁に跨かって観察された.また内皮細胞

    と血管基底膜の間や硝子様変性した血管壁内に

    ceroid-laden Mφが観察された(Fig. 12).稀に空泡

    化した周細胞の細胞質内にceroid穎粒を観察した.

     細小脈管に沈着するlgおよび脂質は様々であった

    (表5).凍結切片での判定は困難であったが,2例で

    好酸性脂質の沈着を見た.IF直接法で主にlgGおよび

    C3の沈着をみたが,その明確な局在は判定できなかっ

    た.

    1乃9

    表5 細小脈管のIF直接法および脂肪染色(凍結切

     片)の結果

    Test Case 1Case2

    Case3 Case4N0 .1 N0 .2

    IgG

    IgM

    IgA

    c,.

    C3

    C4

    v^5b-9F

    Sudan BB

    Sudan 111

    Nile blue

     -

     -

     十

     -

     +

     -

     +

     -

    -~+

     -

     -

     +

    -~+

     -

     +

     -

    -~+

     十

    一~+

     -

    -~+

      十

      十

      -

      -

      一

      -

      /

      -

      +

      +

    十(blue)

     十

     -

     一

     十

     十

     -

    ND

     -

     一

     一

     一

    /;no capillary in the section

     リンパ管に接し, ceroid-laden Mφの集族が観察さ

    れた.また,リンパ管を圧するように集族し, 2, 3

    コのMφが管腔内に見られた.

  • 1760

    ●・・]

    activated Mφ

     (free radical generation,

     uptake and intracellular

     peroxidation)

    新井 春枝ほか

    : peroxide substrate

    ; peroxidized immune complex

    ; peroxidized lipid(LOOH)

    『7¬I: free radical generation (iron independent)

    ←・・「‾‘1: free radical generation (iron dependent)

    IC : immune complexes

    CIC ; circulatingIC

    MAC

    LH

    EDRF

    EDCF

    E

    S

    P

    sebaceous gland

    subcutaneous tissue

     (lipid oxidation ; autooxidation.

     IC oxidation and

         free radical generation)

    obstruction of small artery

               or capillarv

     (ischemia- reperfusion ;

     free radical generation)

    mGm brsno attack complexes

    lipids

    endothelium- derived relaxing factor

    endothelium-derived constructing factor

    endothelium

    ; smooth muscle

    ; pericyte

    cell

    Fig. 13 Hypothesis of histogenesis of ceroid-laden Mφ

              結  果

     以上の観察から,脂腺において,1)脂腺基底膜に

    lg,補体およびMACが沈着し,2)脂腺細胞内の不溶

    性の微細穎粒は還元能および鉄親和性を有し,脂溶性

    色素に溶解し,そして一部はPAS染色陽性の性状を

    しめす.また自家螢光を見たことから, ceroid-like

    stateにあたる過酸化脂質蛋白質複合体と同定した.3)

    またMφ内の穎粒は明らかに自宗螢光を示すので,

    ceroidと同定した.

     動脈塞栓はceroid・laden Mφ(過酸化脂質十蛋白

    質十lg十補体), ICおよび中性脂質から成立っている.

    真皮下層の動脈塞栓は主にceroid・laden Mφからな

    る.皮下脂肪織内の中枢側動脈にceroid・laden Mφは

    少ないが,ICおよび中性脂質が多い.内皮細胞は欠如

    または変性している.好酸性脂質の存在は確認できな

    かった.内弾性板の欠如部位において真皮と血管の間

    に交通があり,Mφの往来が推測された.

     細小脈管において, ceroid・laden Mφは細小脈管内,

    基底膜下,変性血管壁内に存在し,真皮に蓄積する

    Mφと脈管の間を往来すると思われる.

              考  察

     SLEの黄色腫様反応に蓄積する組織球(Mφ)は

    ceroidを含有する.このceroidの由来は脂腺細胞の脂

    質であろうと報告した1)2)今回の検討では脂腺構造が

    一部の組織に残されていた.これらの脂腺細胞内に,

    好酸性脂質(soluble and insoluble acidic lipid)や脱

  • SLE・黄色腫一Ceroid-laden Mφ

    パラフィソされない徴細な不溶性穎粒を観察した.不

    溶性穎粒は還元能を有し,Fe3りこ親和性をもつ点から

    過酸化脂質蛋白質複合体とみなしてよい7).しかし螢

    光は極く微弱であった.さらに変性ないし崩壊した脂

    腺内外にMφの遊走が観察され,かつこれらのMφ

    内の穎粒は螢光強度を増強した.明らかに過酸化脂質

    蛋白質複合体はMφ内でceroidへと形成されうる事

    を示唆している.この事実は取込まれた複合体が細胞

    内でさらに酸化されることを意味する.既に我々の考

    えを裏ずける報告がある. Ballら12)によると,腹腔

    Mφはceroid-like state となった強酸化低比重リポ蛋

    白(pre・oxidized LDL)を取込んだ時のみ,さらに酸

    化しceroidを生成するという. in vitroと同じ現象が

    in vivoにおいて起きうることを自験例は示唆してい

    る.即ち,脂腺内の不溶性穎粒をceroid-Iike state の

    過酸化脂質蛋白質複合体とみなしてよいと思われる.

     脂質の酸化機構にとって,Mφは好中球より優れて

    おり13)14)まず可溶性の酸化脂質を産生し,次いで細胞

    内脂質を酸化し不溶性脂質を形成するとされてい

    るI3)-15)

     活性酸素種(AO)は様々な原因によって生成され

    る12)16)~22)しかしin vivo でAOを証明する事は難し

    い.リポフスチソの形成は脂質および蛋白質の酸化と

    重合の結果とされている23)リポフスチソの存在は

    AOの関与した結果を間接的に知る材料となる.問題

    は観察した組織において脂腺を崩壊し,かつ脂腺内脂

    質を過酸化脂質に導くような強いフリーラジカルの産

    生が起きうるかである.

     我々は脂腺基底膜に沈着する免疫複合体(IC)を

    Mφ活性化因子であろうと考えてきた.そして活性化

    Mφから放出したAOが脂腺脂質の自動酸化を起こ

    したと推測した1)2)今回の新たな症例においても脂腺

    基底膜にICめ沈着が証明された.かつC5b-9複合体の

    沈着が見られた.即ち膜侵襲複合体(membrane

    attack complex :MAC)の形成があった.

     IC16)17),MAC18)および過酸化脂質"', ceroid-like

    stateの酸化LDL12)等は単球およびMφを活性化す

    る.活性化されたMφはsuperoxide anion (○;・)I7>

    過酸化水素(H202)17)やnitric oxide (No・)2o)21)などの

    AOを放出する.最近の報告によると,ICのL一

    良rginine側鎖はMφなどによって酸化されると,フ

    リーラジカルの一つであるNO・を産生する.0;・と

    NO・はperoxynitrite anion (ONOO-)を生成する.

    さらにH+と反応するとperoxynitrite (ONOOH)と

    1761

    なる.このONOOHはhydroxyl radical (HO・)を産

    生することになる(下式). HO・は毒性の強い,反応性

    の高いラジカルである.脂質(LH)からのH’の引き

    抜きは極めて高いとされている2仇

      02・十NO・→ONOO一十H+→ONOOH

          ONOOH→H〇・十N02.

            ↓

           NOs

     このようなO;・とNO・の反応から産生されるHO・

    の系はiron・idependentである24)第1報で述べたが,

    SLE病変部に蓄積するMφ内のceroidに鉄結合能は

    あった.しかし鉄の存在は証明できなかった.にもか

    かわらず,強い酸化を受けたと推定される脂質蛋白質

    複合体が蓄積した7).この説明として,ICのL・arginlne

    側鎖依存性のHO・産生による組織傷害は好都合であ

    る。SLE病変部にICの沈着があるなら, iron-

    independentによっても,反応性の高い,強い毒性を発

    揮するHO・の産生が起きることを意味する.そして近

    くにいる脂腺細胞を酸化する可能性はある.またMφ

    に取込まれた複合体にICが重合しているなら,細胞

    質内においてIC部分は○;・によってさらに酸化され,

    iron independent pathway によってHO・を生成する

    ことになる.次いで,この毒性の強いHO・は複合体の

    過酸化脂質部分をさらに酸化することも十分考えられ

    る(Fig. 13).

     少なくともMφはICによって活性化され,0i・,

    NO・を生成する.そしてICを刺激し,組織傷害因子で

    あるONOO-やHO・を産生することになるJpちSLE

    の表皮および皮膚付属器基底膜にICの沈着があるな

    ら,様々なAOの攻撃に晒されることになる.そして

    MACはAOの産生を増強し,より強い細胞傷害因子

    となる18)25)殊に脂腺を標的とした時は細胞膜の傷害

    から脂腺構造の崩壊に止まらず,その多量の脂質は

    AOによる攻撃を受け,脂質酸化の引金から,自動酸化

    の開始(脂質連鎖反応)を起こすと考えられる.

     泡沫細胞の形成は主に血清脂質異常の面から考察さ

    れている叫Mφは過酸化脂質または変性脂質を

    scavenger receptor を介して取り込むことによって,

    泡沫細胞となる26)~29)この泡沫細胞の蓄積が粥状動脈

    硬化症15)30)~35)および黄色腫36)の病理組織学的所見の

    特徴である.そして泡沫細胞内にceroidが見られるよ

    うになる.

     動脈硬化症における小動脈の変化として内膜への泡

    沫細胞の浸潤(内膜セロイド沈着),硝子様変性や線維

  • 1762 新井 春枝ほか

    化などがある35)病理組織学的な面から見ると,同様の

    小動脈の変化と泡沫細胞の蓄積は自験例にも見られ

    た.しかしながら自験4例に血清脂質の異常はなかっ

    た.しかしICや様々な自己抗体などの血清学的な異

    常はあった.かつ動脈血管壁にICが沈着し,さらに

    IC,脂質およびceroid・ladenMφなどが一部の動脈を

    塞栓した点で異なる.

     この小動脈塞栓は不完全虚血や完全虚血の状態であ

    る.虚血・再漂流などの漂流障害はAOを生成し22)

    かつ内皮細胞からAOの放出も起こす37)38)

     実際,漂流障害のみでceroid・laden Mφの浸潤は起

    き得る.我々の発表したPSSおよびmorphea例に皮

    下脂肪織下層の動脈内膜増生に基づく狭窄や閉塞所見

    はあったが,IC等の沈着はなかった,しかし真皮下層

    および皮下脂肪織内にceroid・laden Mφの浸潤や蓄

    積がみられた.故に,中枢側の不完全虚血や完全虚血

    のみで皮下脂肪に自動酸化を招来し得ると考えた症例

    である8).今回のように,閉塞した動脈にICやMAC

    の沈着が加わると,AOの産生はさらに増える可能性

    も十分考えられる.すでに述べたように,IC依存性お

    よび活性化Mφ由来のAOなど(O;・,H202,NO・,

    HO・)も加わり,皮下脂肪細胞膜の不飽和脂肪酸は酸

    化され,続いて皮下脂肪の自動酸化が開始されるだろ

    う.自動酸化が一度おきれば,血中単球の遊走,組織

    球への分化と活性化・泡沫細胞の形成へと進行する.

    自動酸化を増幅するだけでなく,泡沫細胞は脂腺内

    Mφに見られたようにceroid-like state の複合体を取

    込んだら,さらに酸化し, ceroidにまで生成し得るだ

    ろう.

     自験例の場合,動脈塞栓のある組織に真皮深層から

    皮下脂肪織にまで多量のceroid-laden Mφの蓄積を

    もたらした.この要因として潅流傷害は無視できない

    だろうと考えている.

     動脈でAOの産生が高まれば,局所で血漿LDLは

    酸化される可能性も考えられる.すなわち動脈硬化症

    において内膜下に生成された過酸化脂質(酸化LDL)

    を取込を泡沫細胞が形成されるような機序1o)や可溶性

    lipid-laden monocyteが内膜通過後にさらに酸化され

    蓄積する機序15)等も否定できない.

     しかしながら,我々はceroid・laden Mφは組織から

    動脈に還流したと報告した.即ち動脈内弾性板の内側

    (内膜及び内腔)に蓄積する所見を組織内に蓄積した

    Mφの還流として報告した2).今回,再検討したとこ

    ろ, ceroid-laden Mφは真皮深層の末梢側の動脈に多

    く,反対にフィブリン様物質,ICや脂質などの沈着は

    皮下脂肪織内の中枢側の動脈に多かった.しかし脂腺

    に見られたような可溶性好酸性脂質を証明できなかっ

    た.

     実験動物で血管腔内に泡沫細胞が観察されている.

    一つは粥状硬化動脈の内膜から動脈に還流したサルの

    例であり29)40)他の例は血管内皮に接着し,内膜に侵入

    するsoluble lipid-laden monocyteである15)41)自験

    例では内膜に蓄積する所見もあったが,多くの場合内

    皮細胞は変性するか欠如していた.稀であったが,内

    弾性板の断裂によって,真皮と血管内腔が連続する所

    見を見た.そしてMφ内に強い自家螢光を発するcer-

    oidを観察した.即ち,かなり酸化が進行した不溶性脂

    質蛋白質複合体であったことから,真皮組織から血管

    へと還流したとの考えを捨てきれない.しかし血管局

    所で強いAOの暴露を受け,内皮細胞とともに,脂質

    蛋白質複合体がより強い酸化を受けた可能性も考えら

    れる.あるいは両者の可能性があるかもしれない.し

    かし現在まで血管腔内においてMφが不溶性穎粒を

    生成するという報告を見ていない13)さらに新しい症

    例の検討を続けたい.

     他方,老人色素age pigment は毛細管内に還流する

    という42)自験例で観察した細小脈管内のceroid・

    laden Mφは組織内から直接還流したのか,血管腔内

    でMφによって貧食されたのか,または中枢側の動脈

    から流れてきたのか,確実に証明できない.かつ一部

    の細胞膜は破壊され,穎粒が散乱する所見などから,

    組織内から脈管内へ還流し,何等かの作用を受けた結

    果と考えたい.また単核球および一部のceroid・laden

    Mφは細小血管内皮細胞に接着した. Perryら43)によ

    ると,小動脈の部分的閉塞による局所的な虚血によっ

    て,白血球は内皮細胞と接着を起こすという.またこ

    のようIな接着現象にAOが関与すると報告されてい

    る44)

     さらにリンパ毛細管への潅流を思わせる所見もあっ

    た.既にヒト動脈硬化症の検討で不溶性穎粒含有Mφ

    がリンパ節内に観察され,リンパ管へ潅流すると推測

    されている15)

     以上,組織内に蓄積したMφと脈管の間に往来を示

    唆する所見を得たが,確かな証明は困難であろう.し

    かし興味ある報告として,NO・の作用の一つに血管平

    滑筋弛緩作用(vascular smooth muscle relaxation・

    lgnarro45),EDRF: endothelium・derived relaχing

    factor-Palmer46))があることである.反対にO;・には

  • SLE一黄色腫―Ceroid-laden Mφ

    血管平滑筋収縮作用がある37H7)上述したごとくHO・

    等のAOおよびONOO-による組織傷害もあり得

    る21)このような血管作動因子や白血球接着因子等の

    関与によって,血管から組織,組織から血管への交通

    は容易となるだろう.組織内に蓄積したceroidの排泄

    機序を考える点からも検討すべき課題であろう.何れ

    にしても脈管と真皮の間を結ぶ交通路をみたことは意

    義深いと思われる.

     脂質の酸化は多方面から検討されている.しかし蛋

    白質の酸化についての報告は少ない.しかしながら,

    幾つかの実験報告はある.フリーラジカルはアミノ酸

    基を酸化するという48)そしてすでに述べたようにIC

    のL-arginine側鎖を酸化し,NO・やHO・を産生す

    る21)また脂質蛋白質混合物(lipid-protein mixtures)

    に作用し,蛋白質に障害を与え,かつ螢光物質を作る

    という"'. Wickensら5o)によると,フリーラジカルは

    y-globulinに直接作用し,凝集を起こし,かつimmune

    reactivityをあげ,螢光物質の産生に関与するという.

    既に,第1報でlgや補体はceroidの構成成分である

    と述べた7).今回,IF直接法によって,1例の動脈内お

    よび周囲のMφ内でceroid穎粒に一致してlgや補

    体を観察した. in vivo においても,免疫グgプリンま

    たはICは酸化されると,螢光物質になりうる可能性

    を示唆する所見と思われる.しかし問題はある.確か

    に脂腺基底膜にICの沈着はみられたが,皮下脂肪織

    内に明らかにその存在を観察できなかった.皮下脂肪

    織内に蓄積するMφ内のceroidの構成成分である蛋

    白質の由来を特定できないという問題は残る.しかし

    傷害された血管から徴量なlg等が浸出する可能性は

    十分考えられる.

     Mφ内でceroidは螢光強度を増強すると,脂溶性色

    素への溶解を減じる.そして抗lgや抗補体成分との反

    応も減弱する7).脂質蛋白質複合体はどの程度酸化さ

    れたら, ceroid-like state (Ba11)12)になりMφに取込

    まれるのかは分らない.しかしMφ内でさらに酸化さ

    れることは確かであろう.そして酸化されればされる

    ほど,脂質およびlgとしての性質を失うことにな

    る7).

     以上,得られた免疫組織化学的所見からSLEの皮膚

                           文

     1)新井春枝,伊藤 篤,関根敦子,近藤滋夫,衛藤

       光,西山茂夫:エリテマトーデスに見られた黄色

       腫様病変一臨床病理組織学的検討一,第5回膠原

       病研究会, 1991.1.

    1763

    病変部にceroid・laden Mφか形成され,蓄積する機序

    を考察した.図13に報告されている活性酸素種の産生

    を参考にSLE皮膚病変部において予測されるAOの

    産生,過酸化脂質の生成そしてceroid-laden Mφの形

    成機序をまとめた.

     SLE皮膚病変の成立ちにICは重要な因子であ

    る51)またMφの浸潤も考えていた以上に多い3)4)

    Mφが自動酸化の1st step として関わっている事も予

    想される.既にSLEではMφの側の異常も報告され

    ている16)52)~54)今回の4例は腎症を欠く例であった.

    SLEの重症例ないし予後不良群の皮膚病変として血

    管炎型や皮内結節型が多い事を報告してきた55)~57)そ

    して急性期に細小血管周囲にnon acid-fast typeの

    ceroid-laden Mφの浸潤,細小血管にICおよび脂質

    の沈着が見られる事を発表した5).組織反応は類似す

    るが,脂腺を欠く掌脈にも発生している.この事は局

    所産生でなくsystemicな機序を考えるべきである.こ

    れらの例は血清IC値も高いし,補体の低下も著しい.

    そして水庖や血庖の形成などの組織傷害はより強い.

    この結果,Mφ内coroidは表皮から直接排泄されてい

    るのかもしれない. SLEの病型によってceroidの生

    成機序およびMφの反応等に違いがあるかもしれな

    u≒

     過酸化脂質蛋白質複合物が生体にとって,悪者であ

    るなら13)Mφによって排除される方がよい.排除のた

    めに遊走したMφが組織傷害をまき散らし,そして取

    込んだ複合体の重さに耐えかねて動けなくなったよう

    に見える.食べた物がいけないのか,食べる物が多す

    ぎたのか,Mφの処理能に欠陥があるのか16)52)53) ]yjφ

    の放出するインターロイキソなどに異常があるの

    か54)58)或いは抗酸化機序の異常なのか59}今後解決す

    べき事は多々ある.

     稿を終えるにあたり,種々な染色法について御教示いた

    だいた北里大学看護部教授山本昇先生に深く感謝いたしま

    す.また多々の組織標本の作成にあたっていただいた大和

    市立病院病理部佐藤さきよ,吉田弘美,北里大学医学部皮膚

    科原口芙紗子,田原和子の諸氏に深謝いたします.また抗

    C5b-9複合体抗体を御提供下さった聖路加病院皮膚科医長

    川名誠司先生に感謝いたします.

      2)新井春枝,伊藤 篤,橋本明彦,衛藤 光,西山茂

       夫:SLEの脱毛斑に発生した1種の正脂血性黄

       色腫一病理組織学的検討-,日皮会誌, 101 :

       427-437, 1991.

  • 1764 新井 春枝ほか

     3)新井春枝:組織像の見方と鑑別診断,炎症性皮膚

      疾患(18),エリテマトーデス(1),病理と臨床,

      9 : 1455-1460, 1991.

     4)新井春枝:組織像の見方と鑑別診断,炎症性皮膚

      疾患(19),エリテマトーデス(2),病理と臨床,

      9 : 1579-1584, 1991.

     5)新井春枝,菅谷和江,浅井寿子,塚原哲哉,近藤滋

      夫,衛藤 光,西山茂夫:SLE一血管炎型に見られ

      たlipofuscin含有Mφについて一,第6回膠原病

      研究会, 1992.1.

     6)関根敦子,饗場伸作,衛藤 光,新井春枝:DDSが

      奏効したSLEのxanthomatous reaction. 日本皮

      膚科学会,第680回東京地方会, H4.1.

     7)新井春枝,菅谷和江,浅井寿子,関根敦子,衛藤

      光,西山茂夫:Systemic Lupus Erythematosus

      の皮膚病変部に蓄積するリポフスチソ.第1報.組

      織球内リポフスチソの免疫組織化学的同定,日皮

      会誌, 103 : 625-641, 1993.

     8)近藤滋夫,塚原哲哉,浅井寿子,衛藤 光,西山茂

      夫,新井春枝:生検皮膚組織内のリポフスチソ含

      有マク9ファージ(PSSとMorphea例につい

      て),日本皮膚科学会,第682回東京地方会, H.4.

      3.

     9)未発表

    10) Quinn MT, Parthasarathy S, Steinberg D :

      Endothelial cen・derived chemotactic activity

      for mouse peritoneal macrophages and the

      effects of modified forms of 10w density lipo-

      protein, Proc Nati Acad Sci USA,82 :

      5949-5953, 1985.

    11) Jolly RD, Dalefield RR : Lipopigment in veteri-

      nary pathology : Pathogenesis and terminology,

      In : Porta EA (ed):L徊血sctn and CeroidPiR一

      merits.Plenum Press, New York, 1990, 157-167.

    12) Ball RY, Bindman JP, Carpenter KLH, Mitchin-

      son MJ : Oxidized low density lipoprotein

      induces ceroid accumulation by murine per-

      itoneal macrophages in vitro, Atherosclerosis,

      60 : 173-181, 1986.

    13) Mitchinson MJ : Macrophages, oxidised lipid

      and atherosclerosis, MedicalHybotheses. 12 '.

      171-178, 1983.

    14) Stossel TP, Mason RJ, Smith AL : Lipid per-

      oxidation by human blood phagocytes, J Clin

      Invest, 54 : 638-645, 1974.

    15) Mitchinson MJ : Insoluble lipids in human

      atherosclerotic plaques, Atherosclerosis, 45 :

      11-15, 1982.

    16)能勢真人:マクロファージとマウスループス,臨

      床免疫,17 : 625-631, 1985.

    17) Warren JS, Kunkel SL, Johnson KJ, Ward PA:

      In vitro activation of rat neutrophils and alveo-

      lar macrophages with IgA and IgG immune

      complexes, Implication for immune complex-

      induced lung injury,Am J Paihol,129:

      578-588, 1987.

    18) Buscher KH, Klimetzer V, Opferkuch W:

      Influence of antibody and complement compo-

      nents on phagocytosis and chemiluminescence

      of macrophages, 7田附μnobi�; 170 : 390-401,

      1985.

    19) Prescott MR Muller KR, Flammer R, Feige U:

      The effect of LDL and modified LDL on macro・

      phage secretion products, Agentsand Actioれs

      Supplements,16: 163-170, 1984.

    20) Marietta MA, Yoon PS, Iyengar R, Leaf CD,

      Wishnok JS : Macrophage oxidation ofl.-

      arginine to nitrite and nitrate : Nitric oxide is

      an intermediate, Biochemistry,27 : 8706-8711,

      1988.

    21) Mulligan MS, Hevel JM, Marietta MA, Ward

      PA : Tissue injury caused by deposition of

      immune complexes isE・arginine

    dependent,

      Proc NatlAcod SciUSA.88 : 6338-6342, 1991.

    22) Grisham HB, Hernandez LA, Granger DN:

      χanthine oxidase and neutrophil infiltration in

      intestinal ischemia,Am J Pfeysiolf,251 :

      G567-G574, 1986.

    23) Pearse AGE : Pigments, In : Pearse AGE (ed):

      Histoche掛図n>。 Theoreticaland Applied, 1nd Ed,

      J & A. Churchill, London, 1961, 632-680.

    24) Beckman JS, Beckman TW, Chen J,Marshall

      PA, Freeman, BA : Apparent hydroxyl radical

      production by peroxynitrite: Implications for

      endothelial injury from nitric oxide and super・

      oxide,Proc Natl AcadSetUSA,87:1620-1624,

      1990.

    25) Adler S, Baker PJ, Johnson RJ, Ochi RF, Pritzl

      P, Couser WG : Complement membrane

      attack complex stimulates production of

      reactive oxygen metabolites by cultured rat

      mesangial cells,J  Clin Invest,丁7 : 762-767,

      1986.

    26) Arai H, Kita T, Yokode M, Narumiya S, Kawai

      C : Multiple receptors for modified low density

      Iipoproteins in mouse peritoneal macrophages :

      Different up take mechanisms for acetylated

      and oxidized low density lipoproteins.Btochem

      召必夕hys Res Commi。'1, 159 : 1375-1382, 1989.

    27) Goldstein JL, Ho YK, Basu SK, Brown MS:

      Binding site on macrophages that mediates

      uptake and degradation of acetylated low den・

      sity lipoprotein, producing massive cholesterol

      deposition, Proc Nat! Acod Sci USA, 16 :

  • SLE一黄色腫―Ceroid-laden Mφ

      333-337, 1979.

    28) Goldstein JL, Ho YK, Brown MS : Cholesteryl

      ester accumulation in macrophages resulting

      from receptor-mediated uptake and degrada・

      tion of hypercholesterolemic canineβ・very low

      density lipoproteins, / BioJChem, 255 ;

      1839-1848, 1980.

    29) Horiuchi S,Murakami M, Takata K, Morino

      Y : Scavenger receptor for aldehydemodified

      proteins, /召・iol Chem, 261 : 4962-4966, 1986.

    30) Pappenheimer AM, Victor J : “Ceroid” pig・

      ment in human tissues. AmJ Path,22 :

      395-413, 1946.

    31) Hartroft ws : Pathogenesis and significance

      of hemoceroid and hyaloceroid, two types of

      ceroidlike pigment found in human ather・

      omatous lesions, / Gerontol,8: 158-166, 1952.

    32) Joh TH, Fukazawa K, Kummerow FA, Perkins

      EG : Studies on the distribution and chemical

      properties of the bound lipids of the human

      aorta, / Aiheroscler Res,ら: 164-172, 1966.

    33) Slater RS, Smith EB : The microdissection of

      large atherosclerotic plaques to give mor-

      phologically and topographically defined frac・

      tions for analysis. Part 2. Studies on“nile blue”

      cells, Athi?り叙売切S£s,15 : 57-69, 1972.

    34) Mitchinson MJ, Hothersall DC, Brooks PN,

      Burbure CY : The distribution of ceroid in

      human atherosclerosis, / Path, 145 : 177-183,

      1985.

    35)鈴木慶二:臓器動脈硬化. TJte Litid. 3 ■.334-337,

      1992.

    36) Lindeskog GR, Gustafson A,Sweden G,Ener・

      back L, Sweeden L : Serum lipoprotein

      deficiency in diffuse “Normolipemic”plane

      xanthoma,Arch Dermatolf.105 : 529-532, 1972.

    37) Vanhoutte PM, Katusic zs : Endothelium・

      derived contracting factor : Endothelin and/or

      superoxide anion,TrenゐPharmacol Set,91

      229-230, 1988.

    38) Palmer RMJ, Ashton DS, Moncada S: Vascu-

      lar endothelial cells synthesize nitric oxide

      from L-arginine. Nature, 333: 664-666, 1988.

    39) Faggiotto A,Ross R,Harker L : Studies of

      hypercholesterolemia in the non-human pri-

      mate. 1. Changes that lead to fatty streak for・

      mation,Arteriosclerosis,4: 323-340, 1984.

    40) Faggiotto A,Ross R : Studies of hypercholes・

      terolemia in the non-human primate. 2. Fatty

      streak convertion to fibrous plaque,Arterioscle-

      rosts.4:341-356, 1984.

    41) Rannie l,Duguid JB : The pathogenesis of

    1765

      cholesterol arteriosclerosis in the rabbit, / Path

      Bact.66 : 395-402, 1953.

    42) Spoerri PE, Glees P, El-Ghazzawi E : Accumu-

      lation of lipofuscin in the myocardium of senile

      guinea pigs : Dissolution and removal of lipofus・

      cin following dimethyl aminoethyl p・

      chlorophenoxyacetate administration, An elec-

      tron microscopic study, Mec Ageiws Dei), 3:

      311-321, 1974.

    43) Perry MA, Granger DN : Leukocyte adhesion

      in local versus hemorrhage・induced ischemia,

      Am J PkystoL 263 : H810-815, 1992.

    44) McCordJM: Oxygen-derived radicals:A link

      between reperfusion injury and inflammation,

      Fed Proc, 46 : 2402-2406, 1987.

    45) Ignarro LJ, Kadowitz PJ : The phar-

      macological and physiological role of cyclic

      GMP in vascular smooth muscle relaxation,

      A孔竹Rev PharrrmcolToxtcol, 25 : 171-191, 1985.

    46) Palmer RMJ, Fe�ge AG, Moncada S : Nitric

      oxide release accounts for the biological activ・

      ity of endothelium・derived relaxing factor,

      Nature, 327 : 524-526, 1987.

    47) Rubanyi GM, Vanhoutte PM : Oxygen-derived

      free radicals, endothelium, and responsiveness

      of vascular amooth muscle,Am J Phvsioi,

      250 : H815-H821, 1986.

    48) Oliver CN, Ahn B, Wittenberger ME, Stadtman

      ER : Oxidative inactivation of enzymes :

      Implication in protein turnover and aging. ln:

      Ebashi S (ed):Cellular regulation and malig・

      mant growth, Japan Sci Soc Press, Tokyo/

      Springer・Verlag, Berlin, 1985. p320-331.

    49) Roubal WT : Free radicals, malonaldehyde

      and protein damage in lipid-protein systems,

      Lititds,6 : 62-64, 1971.

    50) Wickens DG, Norden AG, Lunec J, Dormandy

      TL : Fluorescence changes in human gamma-

      globulin induced by free・radical activity, Bio-

      chim Biotihys Acfa, 742 : 607-616, 1983.

    51) Natali PG, Tan EM : Experimental skin

      lesions in mice resembling systemic lupus eryth-

      ematosus, Arthパ冶ji?力eum, 16 : 579-589, 1973.

    52) Frank MM, Hamburger MI, Lawley TJ, Kim-

      berly RP, Plotz PH : Defective reticuloendoth・

      elial system Fc・receptor function in systemic

      lupus erythematosus, N EnがJ Med, 300 :

      518-523, 1979.

    53) Katayama S, Chia D, Knutson DW, Bamett

      EV : Decreased Fc receptor avidity and de・

      gradative function of monocytes from patients

      with systemic lupus erythematosus,J Immunol,

  • 1766 新井 春枝ほか

      131 : 217-222, 1983.

    54)山下優毅,白山文彦:マクロファージの抗原提示

      能と自己免疫病,臨床免疫,16 : 903-911, 1981.

    55)新井春枝,下重孝子,山手哲明,衛藤 光,西山茂

      夫:SLEの際の紫斑,皮膚病診療,1 : 713-716,

      1979.

    56)新井春枝,衛藤 光,西山茂夫:皮膚病変から見た

      SLEの予後.皮膚臨床,22 : 651-659, 1980.

    57)衛藤 光,西山茂夫:皮膚病変,臨床免疫,21 :

      200-209, 1989.

    58) Magilavy DB, Rothstein JL : Spontaneous pro-

      duction of tumor necrosis factor αby Kupffer

      cells of MRL/lpr mice,J ExJ) Med,1ら8 :

      789-794, 1988.

    59) Jiang x, Chen H : The effect of lipid peroxides

      and superoxide dismutase on systemic lupus

      erythematosus : A preliminary study, Clin I?

      munol Immunopaiholo, 63:39-44,1992.

    Lipofuscin Accumulation in Skin Lesions of Systemic Lupus Erythematosus

          2. Histogenesis of Ceroid-laden Macrophage Formation

              Resulting in χanthomatous Skin Reaction

                  Harue Arai and Kazue Sugaya

               Department ofDermatology,Yamato CityHospital

       Toshiko Asai, Atsuko Sekine, Shigeo Kondo, Hikaru Eto and Shigeo Nishiyama

           Department ofDermatology,KitasatoUniversitySchoolofMedicine

            (ReceivedMarch 4,1993:acceptedforpublicationJune2,1993)

      In the 1st report, we analyzed the lipofuscin granules in the cytoplasm of histiocytes (Mφ).In the present

    study, we investigated the histogenesis of ceroid-laden Mφgeneration by means of pathological and immuno・

    histochemical findings in the skin lesions.

      Using a direct immunofluorescent method, depositions ofimmunoglobulins, complements, and C5ト9 complexes

    (MAC) were observed at the epidermal・ and pilosebaceous-dermal junctions and at the small arteries. In the cells of

    sebaceous glands in frozen sections, there were soluble and insoluble acidic lipids. The insoluble granules, which

    are probably equal to the ceroid-like state (Ball), were positively stained with colloid iron reaction and Fontana-

    Masson's method, however, the autofluorescence of these granules was very faint and faded quickly during

    observation under uv light.

      Within and surrounding the area of the degenerated sebaceous gland, we observed ceroid・laden Mφwhich

    showed autofluorescence of moderate intensity. Some small arteries obstructed with ceroid-laden Mφ, immunue

    compleχes (IC) and/or neutral lipids were observed. In addition, in the cytoplasm of some Mφ, we observed

    depositions of immunoglobulins and complements by immunofluorescent staining.

      The findings obtained suggest that;

      1. Activated monocyte/histiocytes, which may be caused by IC and MAC, may induce free radicals and form

    oxidized ic, oxidized lipid, and strongly oxidized lipid・IC complexes (ceroid-like state).

      2. The reactive oxygens (free radicals) production is probably due to activated Mφ, oxidized IC, oxidized

    lipids, and arterial ischemia・reperfusions.

      3. IC and the lipids in sebaceous glands and subcutaneous tissue may be peroxidized by excessively generated

    free radicals, resulting in formation of the ceroid・like state lipid-IC complexes.

      4. If the strongly oxidized substrates (i.e・,ceroid-like state lipid-IC complexes) are taken up by Mφ, the

    substrates may be turned into ceroid granules by repeated intracellular peroxidation.

      Gpn J Dermatol 103: 1747~1766,1993)

    Key words: SLE, IC deposits at the sebaceous・dermal junction, arterial obstruction (ceroid・laden Mφ,IC and/or

            lipids), free radicals (Mφ-, oxidized lipid・,IC- and ischemia-reperfusion・dependent), IC & lipid

            oxidation in sebaceous glands and subcutaneous tissue

    ff_shtml0: ただいま、ページを読み込み中です。5秒以上、このメッセージが表示されている場合、Adobe® Reader®(もしくはAcrobat®)のAcrobat® JavaScriptを有効にしてください。

    Adobe® Reader®のメニュー:「編集」→「環境設定」→「JavaScript」で設定できます。「Acrobat JavaScriptを使用」にチェックを入れてください。

    なお、Adobe® Reader®以外でのPDFビューアで閲覧されている場合もこのメッセージが表示されます。Adobe® Reader®で閲覧するようにしてください。ff_shtml1: ff_shtml2: ff_shtml3: ff_shtml4: ff_shtml5: ff_shtml6: ff_shtml7: ff_shtml8: ff_shtml9: ff_shtml10: ff_shtml11: ff_shtml12: ff_shtml13: ff_shtml14: ff_shtml15: ff_shtml16: ff_shtml17: ff_shtml18: ff_shtml19: