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30 回 理化学研究所 横浜研究所 研究倫理委員会 議事録 時:平成 21 10 27 日(火)15:0017:00 所:理化学研究所 東京連絡事務所 出席委員:北川 知行 財団法人 癌研究会癌研究所 名誉所長 (委員長) 遠藤 由紀子 奧野総合法律事務所 辯護士 高木 美也子 日本大学総合科学研究所 教授 田村 京子 昭和大学富士吉田教育部 准教授 古関 明彦 理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 免疫器官形成研究グループ グループディレクター 川野 光興 理化学研究所 オミックス基盤研究領域 LSA 要素技術開発グループ LSA 要素技術開発ユニット 研究員 莚田 泰誠 理化学研究所 ゲノム医科学研究センター 遺伝情報解析チーム チームリーダー 欠席委員:湯浅 保仁 東京医科歯科大学大学院 教授 井川 陽次郎 読売新聞東京本社論説委員会 論説委員 立会い: 小川 智也 理化学研究所横浜研究所 所長 野家 彰 理化学研究所横浜研究所 副所長 事務局: 天野 光一 理化学研究所横浜研究所安全管理室 室長 長谷川 誠 理化学研究所横浜研究所安全管理室 福田 聖子 理化学研究所横浜研究所安全管理室

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第 30 回 理化学研究所 横浜研究所 研究倫理委員会 議事録

日 時:平成 21 年 10 月 27 日(火)15:00~17:00

場 所:理化学研究所 東京連絡事務所

出席委員:北川 知行 財団法人 癌研究会癌研究所 名誉所長 (委員長)

遠藤 由紀子 奧野総合法律事務所 辯護士

高木 美也子 日本大学総合科学研究所 教授

田村 京子 昭和大学富士吉田教育部 准教授

古関 明彦 理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター

免疫器官形成研究グループ グループディレクター

川野 光興 理化学研究所 オミックス基盤研究領域

LSA 要素技術開発グループ LSA 要素技術開発ユニット 研究員

莚田 泰誠 理化学研究所 ゲノム医科学研究センター

遺伝情報解析チーム チームリーダー

欠席委員:湯浅 保仁 東京医科歯科大学大学院 教授

井川 陽次郎 読売新聞東京本社論説委員会 論説委員

立会い: 小川 智也 理化学研究所横浜研究所 所長

野家 彰 理化学研究所横浜研究所 副所長

事務局: 天野 光一 理化学研究所横浜研究所安全管理室 室長

長谷川 誠 理化学研究所横浜研究所安全管理室

福田 聖子 理化学研究所横浜研究所安全管理室

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議事次第

1.報告事項

・規程等の改正について

・迅速審査結果について

2.審議事項

・横浜研究所研究倫理委員会 運営規則の改正について

3.研究計画審査(新規 1 件・変更 1 件)

【H21-12(2)】「SmartAmp 法及び塩基配列決定によるインフルエンザウイルス同定システムの

開発」(変更)

【H18-8(9)】「核酸増幅技術の遺伝子変異タイピングの臨床応用研究」(変更)

オミックス基盤研究領域 領域長 林崎良英

(説明者:客員研究員 石川智久)

【H21-14】「Effects of genomic variation on transcriptome」(新規)

オミックス基盤研究領域 上級研究員 Alistair Forrest

4.その他

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開会に先立ち、理化学研究所 横浜研究所 所長 小川 より挨拶があった。

1.報告事項

・規程等の改正について

事務局 :議事次第1.報告でございます。理研の所内規程に関して改正がございましたので、ご

報告申し上げます。

「報告 1-1 研究倫理委員会等設置細則」です。改正の主な目的は、現在のところは神

戸研究所では、主に ES 細胞あるいは多能性幹細胞の研究を中心に倫理審査を行ってきて

おりました。しかし、神戸研究所には新たに分子イメージングセンターというものが立ち

上がっておりまして、MRI や PET といったものを使って、被験者に新しい RI プローブ

を投与しての研究を行う、いわゆる被験者に対する研究を行うプロジェクトが新たに始ま

っております。やはり専門性が高い研究内容ということで、神戸研究所研究倫理第二委員

会という、分子イメージング研究に特化する委員会を置くということで改正を行っており

ます。本件につきましては、所内倫理委員会の規程ということで、10 月 1 日より既に施

行されております。

「報告 1-2 研究倫理協議会設置細則」です。研究倫理協議会とは、理研の和光、筑波、

神戸、横浜と各事業所に研究倫理委員会が設置されていますが、上部での調整を図る場所

ということで研究倫理協議会というものがございます。神戸研究所第二委員会ができたこ

とによって、さらに協議員をふやす必要があるということでございまして、現行の 14 名

から 16 名に増員することになっております。こちらも 10 月1日から既に施行となって

おります。

「報告 1-3 ヒト ES 細胞分配及び使用倫理規程」の改正がございました。ES 細胞の

指針に関しては、本年 8 月下旬に樹立と分配、それから使用と二つの指針、ガイドライ

ンに分かれることが改正されています。横浜研究所では古関グループディレクターのほう

でやられているヒト ES 細胞の使用という研究に大きな関係があるわけです。改正事項と

しては、現行は理研の各機関の委員会の審査に加えて文部科学大臣の確認審査があったの

に対して、大臣確認が廃止され、届出のみになりました点が大きなところと思います。あ

と、研究者の追加・削除についての手続に関しても、委員会に諮ることなく、機関の長─

─小川研究所長一任で承認することができる点がございます。もちろん、変更を了承した

場合にはこちらの委員会にも報告として上げさせていただくことがガイドラインとして

も定められています。これらの点などを理研の規程に反映させる必要があるということで、

規程が改正されています。

10 月 14 日に研究倫理協議会がございましたので、その場において了承をいただき、

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10 月 20 日に理研の部長会が行われ、10 月 22 日に理事会により本件については了承を得

ています。10 月 22 日から ES の規程の改正施行ということで運用させていだいておりま

す。なお、条項番号については文書課と詰めているようでして、条項番号はこの限りでは

ないかもしれません。番号についてはまた少し変更があるようですので、文書的な整理は

現在行われている状況にあります。ご了承下さい。協議会では本件については特段大きな

コメントはついておりませんでした。北川委員長から協議会に関して何かコメントはござ

いますか。

北川委員長:大変時間をかけて説明していただきました。そんなに細かく説明する必要はないと

思いましたが。

事務局 :高木委員はいかがでしょうか。

高木委員 :大きな改正は、使用の手続きが簡便になり申請しやすくなったと思います。樹立に関

しては、あまり変わりありません。

事務局 :ありがとうございます。「報告 1-4 人を対象とする研究に関する倫理規程」の改正も

同時に行われております。臨床研究指針を意識し、この規程は、被験者あるいはサンプル

提供を受けて研究を行う上での理研のポリシーという位置づけでもございますので、被験

者への配慮という点について少し見直しを行っております。まず、未成年者の本人同意の

みを有効とするケースがあることを盛り込んでおります。赤文字で書いてある「ただし、

委員会において、被験者又は提供者が研究の趣旨・目的等について十分な理解をし得る年

齢」、大体は 18 歳以上を想定しております。「親権者等による同意を必要としないと判断

された場合」、研究内容と 18 歳以上あるいは 16 歳以上であるといった点を考慮のうえ、

必ずしも親権者からの同意は必要ないとすることを盛り込んでおります。いま法的にも

18 歳を成人とするといったような議論があるかと思いますが、大学生などを集めて心理

学実験や脳波測定試験などを想定してのことです。18 歳あるいは 19 歳の大学生が研究に

参加する場合において、親の同意を得る必要があるかないか、侵襲性、危険性あるいは個

人情報にかかわる内容は非常に少ないという点を考えまして、このような改正をしており

ます。もうひとつ、有害事象への対応です。現在の倫理規程では、サンプル提供あるいは

脳波測定などにおいて事故や、これから神戸研究所の分子イメージングの研究で RI プロ

ーブを人に投与したときに何らかの有害事象が発生した場合において、補償対応のことが

この規程にございません。「必要な措置を講じ、適切に対応」するという文言を加えてお

ります。具体的には、各事業所の研究内容はそれぞれでございますので、一律に保険を掛

けて補償をすることまで踏み込めるかどうかは状況により変わってきますので、少しこう

いう曖昧な文言ではあるんですけれども、所長の責務というところで入れております。

以上です。

北川委員長:よろしいでしょうか。

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・迅速審査結果について

事務局 :第 5 回迅速審査の結果からご報告します。8 件の研究計画を審査しまして、うち 6 件

は変更でした。このうち玉利チームリーダーからの申請 5 課題に関する変更点をまとめ

てご説明いたします。研究方法の追加では、モデルマウスを用いて同定されたアレルギ

ー疾患関連遺伝子 Th2 の検証や Ca イオンチャネルに関する解析、共同研究機関として

筑波大学、東京医科大学を追加、また、京都大学の役割分担として遺伝子解析とデータ

収集の解析を追加させていただきます。【H16-38(3)】に、新たに台湾の中山医大と中

国の南京大学医学部を追加、臨床情報及び遺伝子情報を提供いただきます。新規になり

ますが、【H21-11】「ACE 阻害薬による血管浮腫(副作用)関連遺伝要因の全ゲノム解

析」は久保グループディレクターからの申請です。米国 Vanderbilt 大学で ACE 阻害薬

による副作用に関する研究が行われておりまして、患者さんの試料 786名分をいただき、

副作用関連遺伝子を調べる目的で、理研にて全ゲノム解析を行います。インフォームド・

コンセント、個人情報管理はすべてこちらの共同研究機関にて行われております。

【H21-13】「抗うつ薬の薬剤応答性関連遺伝子探索」、Kaiser と Mayo Clinic というア

メリカの病院の 2 機関ですけれども、抗うつ薬に関する臨床試験が行われております。

それぞれの研究機関から約 1000 名及び 600 名の試料をいただきまして、治療効果及び

副作用関連遺伝子を探索する目的で、理研にて全ゲノム解析を行いますこれらはすでに

類型化された研究計画として迅速審査で審査して、承認となりました。

第 6 回迅速審査の結果になります。3 件の研究計画について研究期間の延長について

書面審査を行いました。第 7 回は、本日の机上配付で「報告 2(追加)」というものをお

配りしています。【H16-40】では、共同研究機関としてソウル国立大学を追加し、脊椎

骨幹端異形成症患者由来試料 8 名分の提供を受けます。【H17-23】、やはり共同研究機関

として北海道大学を追加です。血清サンプルに関して糖鎖解析をしていただきまして、

糖鎖の変化の様子と関連遺伝子との関係性を検証するという目的で研究方法を追加しま

す。【H17-24】、新たに試料提供機関として熊本大学を追加しまして、血液と椎間板ヘル

ニア患者由来の試料約 100 名分の提供を受ける予定です。同じく北海道大学も追加しま

して、ヘルニアの患者さんの治療に関しても糖鎖解析をしていただきます。【H16-54】、

共同研究機関として、台湾国立大学と札幌厚生病院を追加しまして、それぞれから DNA

サンプル約 500 名分をご提供いただく予定です。以上です。

北川委員長:ありがとうございました。問題ありませんね。

2.審議事項

・横浜研究所研究倫理委員会 運営規則の改正について

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事務局 :ありがとうございます。続いて 2.審議事項です。横浜研究所研究倫理委員会運営規

則を、ごく事務的な面、小さな改正をさせていただければと思っております。一つ目は、

「審査の方法」にあります「「使用分担者」あるいは」という文言を削除です。今度のガ

イドラインの改正においてこれはなくなりましたので、削除という事務的なものです。

迅速審査を行える場合とは、国の指針において明文化されて定められている場合に限る

ものとするという文言を削除させていただければと思っております。当初、ES の審査

に関しては、迅速審査対応は無理であろうというのが、指針施行後しばらくの間の状況

でした。ただ、実際の運用では一部の計画の変更については迅速審査、書面審査が行わ

れております。今回の ES 指針にも明文化まではされていませんが、文部科学省から公

開されている「審査の手引」においては、委員会の規則に定める場合には、迅速審査で

きるとされております。従いまして、「ただし」以降のことを削除させていただきます。

委員長、以上でございます。

北川委員長:はい。何かご意見はありますか。いろいろ緩和されてきている状況ですね。よろし

いですか。

(「はい」の声あり)

北川委員長 :それでは、改正としましょう。

3.研究計画審査(新規 1 件・変更 2 件)

【H21-12(2)】「SmartAmp 法及び塩基配列決定によるインフルエンザウイルス同定システムの

開発」(変更)

【H18-8(9)】「核酸増幅技術の遺伝子変異タイピングの臨床応用研究」(変更)

オミックス基盤研究領域 領域長 林崎良英

(説明者:客員研究員 石川智久)

事務局 :研究計画のご審議をお願いしたいと思います。【H21-12(2)】とプレゼンテーション

資料「SmartAmp 法による新型インフルエンザの検出」を配らせていただいています。

同時に、【H18-8(9)】、やはり SmartAmp 法による遺伝子変異タイピングの臨床応用研

究の変更をご審議いただければと思います。

(説明者入室)

石川 :現在インフルエンザ検査では、簡易キット、いわゆる免疫クロマトを使って最初のス

クリーニングをしています。患者さんは、簡易キットで陽性になるか、陰性になるかで

その後の治療の対応が違ってきます。陽性になった人は PCR で新型 A であるかどうか

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調べますけれども、陰性になった人の場合、PCR の検査はございません。しかしながら、

免疫クロマトで陰性と判定された患者さんでも、次の日になると重篤な脳障害や肺炎を

起こしたりする場合がございます。場合によったら死に至る場合もございます。したが

って、この免疫クロマトの検出レベルというのがあまり感度が高くないので、検出感度

の高い方法を開発する必要があります。我々は、ウイルスの数が 300 個ぐらいでもはか

れるような方法を開発しました。すなわち、免疫クロマトと比べますと 500 倍から 1000

倍ぐらいの感度のいいものを作ることを目標として研究開発を実施して、ほぼその目標

に至りました。SmartAmp 法という新しい方法で、感度よく新型インフルエンザウイル

スを検出できるようになりました。理研が臨床研究をやることに対して、理研内で議論

はありますが、私どもは公益性を重視した研究を実行しています。厚生労働省の指針に

ある「自主臨床研究」として、現在八つの病院で臨床研究を実施しております。千葉・

東京地域で 3 ヶ所、大阪地域で 5 ヵ所の病院で行っております。千葉県立東金病院、い

すみ医療センター、国立国際医療センターで SmartAmp 法に基づいた検出を行う一方、

大阪地域では、簡易キットのぬぐい液を理研に送付して、理研内で SmartAmp 法に基

づいた検出を行います。千葉の病院では、SmartAmp による検出と同時に並行して、市

販免疫キットで陽性なのか陰性なのかということを調べます。その際ぬぐい液が 100 マ

イクロリットル近く余りますので、それを冷凍して理研に集めてシークエンス解析を行

います。そして、そのシークエンス解析と SmartAmp 検出結果との比較を行います。

大阪では患者さん当たり2本のスワブサンプルをとることはやりづらいということで、

1 本のみです。したがって、免疫クロマト用のスワブサンプルです。その一部を凍結し

て理研に持ってきて、SmartAmp 検出をします。一方、ウイルス RNA を抽出して逆転

写酵素反応、PCR を経てシークエンスを解析します。そして、その解析データを速やか

に大阪の病院にフィードバックします。タミフル耐性の新型 A インフルエンザウイルス

が出現していますので、シークエンス解析をして、タミフル耐性がどうかという解析結

果を医療現場にフィードバックすることは極めて重要だと考えています。

北川委員長:ありがとうございました。何か質問はございますか。これはヒトゲノム解析をして

いるわけではないですから、難しいことを言わないでいいと思いますが。これは、結果

は患者さんのところまでは返さないのでしょうね。

石川 :患者さんに解析結果を返すのではなくて、まず担当の医師に返すことにしております。

この SmartAmp 方法というのは公式に認められたものではございませんので、お医者

さんが今後患者さんを治療するに当たっての参考資料にすることに留めています。

北川委員長:そうすると、まだ信頼性が確立していないという段階でやっているということです

ね。

石川 :横浜市衛生研究所から単離培養した多様な種類のウイルス株、新型 A や B 型をいただ

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きまして、感度と特異性の試験を行いました。そして、我々の新型 A を検出するプライ

マーは、B 型、季節性 A 型とは交差しないということを確かめています。そして、単離

培養したウイルス株を用いて、免疫クロマトに比較して 500 倍から 1000 倍の感度が高

いことを証明しております。

北川委員長:この研究期間は平成 25 年 3 月まであるでしょう。そうすると、まだかなりの期間

研究としてやっていて、実際の世の中の役に立つところまでは行かないわけですか。

石川 :いいえそうではありません。実は今もう既に PMDA(Pharmaceuticals and Medical

Devices Agency:医薬品医療機器総合機構)とも話しました。薬事申請をするという方

向で開発を進めております。ただし理研から薬事申請をすることはできませんので、担

当の企業から薬事申請を行います。

北川委員長:わかりました。これは非常に必要で大事な研究だと思います。だから、フォールス

ポジティブであっても構わないわけですよね。500 倍も 1000 倍もセンシティビティー

が高かったら、フォールスポジティブというのはもしかしたら出てくると思いますけれ

ども、それでも手を打っていって差し支えはないわけですよね。

石川 :先ほど私が申しましたように、陽性になった人は PCR で検査できますが、陰性の人

は手当てがありません。そのために、院生の患者さんにおいて、次の日に発熱がさらに

ひどくなったり、あるいは肺炎を起こしたり、脳症を起こしたりという重篤な症例が報

告されています。私どもの SmartAmp 法では、そのような患者さんのウイルス検出が

可能です。ただし、フォールスポジティブはこれまで出ておりません。

北川委員長:そうですか。何かご質問は。

莚田委員 :現時点での特異度というのはどれぐらいに見積もられていますか。

石川 :特異度と申しますと。

莚田委員 :特異度。例えば、10 人のネガティブな患者さんを……。

石川 :ネガティブというのは陰性のことでしょうか?

莚田委員 :もし新型インフルエンザを持っていない患者さんが 10 人いらっしゃったら、何人を

正しくネガティブということができるか。

石川 :まず新型 A を持っていない患者さんというのは、最初に PCR で決めておくわけです

か?

莚田委員 :実際に臨床研究をやらないとわからないことはあるかと思いますが、検証を今されて

いるわけですよね。

石川 :そういうことです。いま私どもが実施している臨床研究は、いわゆる前向き試験です。

したがって、患者さんが A 型のウイルスを持っているかどうかわかりません。一方、臨

床研究を開始する前に、レトロスペクティブ(後ろ向き)試験を行いました。すなわち、

新型 A と判断された約 100 検体を、兵庫県あるいは大阪府立講習衛生研究所から取り寄

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せて、それで SmartAmp 法で検出する試験を行い、100%の確率で検出できる結果を得

ています。

莚田委員 :特異度 100%ということですね。

石川 :はい。

北川委員長:ほかにございますか。

田村委員 :研究計画書 21 ページですが。

石川 :研究計画書ですね。

田村委員 :そうです。「ヘルシンキ宣言(2000 年改正)」と書いてあるんですけれども、2008 年

にソウルで改正しているので、2009 年の計画書で 2000 年改正というのはちょっとまず

いのではないかと思うので、ここは 2008 年と修正していただければと思います。

石川 :そうですね。ひょっとしたら医療現場のほうで見落とした可能性がありますね。どう

も大事なご指摘ありがとうございました。2008 年ですね。

田村委員 :臨床研究前には、研究を登録することが義務化されたり消極的な結果でも公表するこ

ととなったり、何かもう少しまた研究の公正さを求めるようなのに修正されているので。

石川 :どうもすみません。ありがとうございました。

田村委員 :いえいえ、失礼いたします。

北川委員長:ほかに。特にないようですから、それではもう 1 件について。

石川 :【H18-8(9)】では、神奈川がん臨床研究・情報機構の追加でございまして、HO-1(Heme

Oxygenase-1)、それから Nrf2 というのは転写因子でございます。それから ABCC4 とい

うのは ABC トランスポーターといって、抗癌剤の輸送に関係しております。いわゆる

チオプリンの輸送体でございます。TPMT というのも、これはチオプリンの副作用に関

係した遺伝子でございます。これらを解析対象の遺伝子として追加したいというのが今

回の趣旨です。共同研究機関として横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川が

んセンターの中にございます神奈川がん臨床研究・情報機構から検体をいただきますの

で、そのため、神奈川がん臨床研究・情報機構でも倫理委員会を開いていただきまして

承認をいただきました。今度は理研の委員会でお諮りいただきたいということで、

【H18-8(9)】を追加して申請いたしました。

北川委員長:何かご質問、ご意見がありましたら。

遠藤委員 :形式的なところですけれども、追加される解析対象遺伝子の ABCC4 と TPMT という

のは、2 ページ以降の対象とする遺伝子名には入っていないように思います。

事務局 :資料とりこみの際に、脱落してしまった可能性があります。確認して修正します。

北川委員長:それでは、ちょっと外していただいて。

(説明者退室)

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事務局 :田村委員から臨床研究指針に関してコメントをいただいていますので、その臨床研究

指針上の適用ということを簡単にご説明を申し上げておきます。臨床研究、特に医薬品

の開発のためにヒトへ投与するという研究においては、厚生労働省が指定する機関のデ

ータベースへの登録ですとか、あるいは有害事象補償の対応といったことをすることが

義務化されています。今回の【H21-12】の研究計画、インフルエンザ同定システム開発

の研究では、通常の診療行為と同等であってスワブ採取は介入行為には当たりませんと

判断されます。従いまして、指針に定めるような特に臨床研究のデータベース登録、補

償、保険措置は適用にならないかと判断させていただいております。以上です。

北川委員長:大きな点では特に問題はございませんでしたね。

事務局 :まず、【H21-12(2)】に関しましては、これまで既存のいわゆるインフルエンザの患

者さんのサンプル、感染症予防において各地の衛生研究所ですとか県の機関に保存され

ていたものを使ってウイルス検出を試みるということで前回ご承認いただきました。今

回の大きなかじ取りとしましては、積極的に患者を集める。患者を集めるといっても、

診療の現場に来た方にお願いをすることになりますが、新たな試料採取を行い、臨床研

究を行って行くということでは、軽微な変更ではないと判断しました。最終的には、説

明にもありましたとおり、この研究の位置付けは担当企業が予定している薬事法に定め

る体外診断用医薬品の申請のためにデータ取りということになります。そのためには、

理研のこちらの委員会において承認していただくことが必要ということで、委員会にて

ご審議をいただいております。

北川委員長:それでは、入ってもらってください。

(説明者入室)

北川委員長) それでは、石川先生からのこの二つの申請はそのまま承認ということになります。

石川 :ヘルシンキ宣言のことは、今後の臨床研究をする場合の書類では、2008 年と訂正いた

します。その旨、八つの病院にも伝えておきます。

田村委員 :分かりました。

北川委員長:それでは、これは承認ということになります。

石川 :どうもありがとうございました。

【H21-12(2)】「SmartAmp 法及び塩基配列決定によるインフルエンザウイルス同定システムの

開発」(変更)

オミックス基盤研究領域 領域長 林崎良英

○承認する

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【H18-8(9)】「核酸増幅技術の遺伝子変異タイピングの臨床応用研究」(変更)

オミックス基盤研究領域 領域長 林崎良英

○承認する

【H21-14】「Effects of genomic variation on transcriptome」(新規)

オミックス基盤研究領域 上級研究員 Alistair Forrest

事務局 :【H21-14】「Effect of genomic variation on transcriptome」でございます。Alistair

Forrest 上級研究員と、鈴木治和プロジェクトディレクターからサポートで説明をさせ

ていただきます。本件ですが、研究責任者は外国人研究者ということですが、できるだ

け委員会で情報の共有、コンセンサスを得るということで、日本語にてお願いします。

質問については直接していただいても構いません。

(申請者等入室)

フォレスト:Our project is looking at matched DNA and RNA. Basically we want to look at the

impact of the genomic variation on the transcription expression of genes. Why is this

important? Although the human genome sequence has been completed officially,

there’s considerable diversity between individuals. Differences in copy number

variations are quite common, and these can affect why genes are expressed. So we’re

looking to do metagenomic transcriptome studies, and it would tell us how these

genome variations affect the transcriptome—and in the longer term, the phenotype

and disease. For the sample collection, upon written consent, we will take 60ml of

blood. This will be done on a standard medical procedure. Pulse and blood pressure

will be monitored before, after, and during the donation. This is quite a small

amount of blood; standard blood donation amount is 400 ml, so it should have

relatively moderate affect on the patient.

Now, we’ve made a couple of modifications to our proposal: the first is that the

healthy donor might also include non-researchers, and this is still under discussion

in the OSC. This will be decided based on scientific merits of the selection of donors.

The second alteration is that the blood samples will be taken either at a medical

clinic or by Yoshihide Hayashizaki at Riken. And this is mainly for convenience for

the donors—they’ll have the option of doing either.

At the OSC, possible medical considerations (include that) patients may feel dizzy

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Page 12: SmartAmp Effects of genomic variation on …...【H21-14】「Effects of genomic variation on transcriptome」(新規) オミックス基盤研究領域 上級研究員 Alistair

or fainting, we’ll get them to lie down, and they’ll be given soft drink and biscuits

afterwards. This is the standard care for blood donation. For other symptoms, if it’s

more serious, we will call an ambulance. All the tools required for this will be

purchased by the OSC. Additional medical consideration is that if the donor is sick,

on the planned day for blood taking we will postpone it until they are better. Also the

donors will be screened for STD, and this is mainly to protect the collaborators at the

RCAI.

Now to discuss the ethical considerations. Donations will be voluntary, and

volunteers are required to sign the consent form prior to the samples being taken.

The donors have the right to withdraw at any time without penalty. The donors will

also be advised that genome sequencing has the power to identify genetic risk factors

for particular diseases. They will be given the option to be informed if any genetic

risk factors are identified. If the factor is identified for the donor and they have opted

to be informed, we will use a professional genetic counselor to convey the

information to the donor. And if in doubt, we will first ask this committee. Now we’ve

been given the list of potential issues to consider: one is the size of the study. We’re

looking at relatively small number of individuals, and this is mainly because of the

cost, and also the timing. So this has limited statistical power. Why we are

addressing this is (because of) careful experimental design. We will be selecting

donors based on scientific merits—for example, maximum genetic distance. We will

then follow this up in a large number of individuals using high throughput focused

studies, for example PCR. This will be filed under a separate ethics application in

the future.

One of the questions that I was asked was about the cheek swabs and hair follicles.

This is to get the set of genes and RNAs that are expressed in different cell types.

Now, donors are critical to this study and we can’t use cell lines. The reason is we

want to have multiple cell types from an individual donor so you have the matched

genome from multiple RNAs. Also the cells selected from donors will have normal

genomes and if the genome cell lines are aberrant, they have mutations, (and that

means) they might be inappropriate for this study.

We were also sent Question 4 and 5, what is the reason contracting to outside

institute? This is basically because it’s cheaper to do it through outside institute

than doing it in-house. They can also assure the confidential treatment of the

samples. As for the accuracy, that would provide 40X coverage of each base and this

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Page 13: SmartAmp Effects of genomic variation on …...【H21-14】「Effects of genomic variation on transcriptome」(新規) オミックス基盤研究領域 上級研究員 Alistair

is approximately 99.99% accurate. And that’s it. Thank you. I’m so sorry I went too

fast.

北川委員長:ありがとうございました。それでは、ご質問。

小川所長 :ご質問があれば鈴木 PD からお答えします。

鈴木 PD :委員会の前に委員長からいくつか質問をいただいておりまして、その答えを最後にア

リスターがお話ししました。

北川委員長:そうですね。以前、林崎領域長がこういうプロジェクトを出されたときにはかなり

のディスカッションがあったところですね。Ethical issue 1ですね。健康なボランティ

アを心理的なプレッシャーなく、きちんと自由意思のボランティアとして集めることは

できるんですか。

鈴木 PD:まず、OSC の研究者を選んだときにドナーに対してプレッシャーにならないかという

ことについては、すべてのドナーを OSC の研究者とせず、一部は外部からの人物をド

ナーにすることも考えています。OSC の研究者をドナーとする場合ですが、この場合は、

個人的にドナーになってくださいと頼みますと、それは圧力がかかるような形になると

思いますので、OSC 全体に対する公募としてドナーを募集しようと考えております、ど

なたか自発的にドナーになってください、と訴えかけたいと思います。それによって、

ドナーにならなくてもドナーになったとしても(全体への訴えですから、個々へは)何

の圧力もかからないような状況にしたいと考えております。

北川委員長:OSC は何人ぐらいいるわけですか。

鈴木 PD:現在 70 名おります。

北川委員長:外の人にはどのように呼びかけるのですか。

鈴木 PD:外の人には、既に自発的にドナーになりたいという方がおられまして、そういう方を

中心にして集めようと思っています。

北川委員長:今、お金を出してまで全ゲノムシークエンスしてもらいたいという人がかなり出て

きていますから、その限りではプレッシャーはない、とも言えますね。

鈴木 PD :研究者としては、非常に興味を持って自分のゲノムを見てみたいという人がかなりお

ります。圧力なしで本当にサイエンティフィックな興味として見たいという方は結構お

られます。そう感じます。

高木委員 :研究者でも研究者でなくてもいい、ということですか。

鈴木 PD :はい。実際に例えば OSC の中で働いておられる方でも、いわゆる研究者という方と

事務をやっておられる方も含めて 70 名ですので、当然、研究職でない人でもボランテ

ィアになり得ると思います。

北川委員長:二点目ですが、その方の健康に関して重要な情報が得られた場合には、これはちゃ

んと通知するとインフォームド・コンセントのときに説明するわけですか。

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鈴木 PD :我々は二つの点を重視していきたいと思います。一つはドナーの意思です。知りたい

と思っておられるのか、知りたくないと思っておられるのかということをまず重視した

い。もう一つは、何かそういう問題が出てきたときには、こちらの委員会にもご相談を

差し上げることが出てくるのではないかと考えていまして、この二つでもって対応して

いきたい。例えば、治療あるいは予防が可能な遺伝的な疾患になるかもしれないという

可能性が出てきたとします。そのときに例えばドナーが希望している場合には当然、外

部のカウンセラーを通じてお知らせすることとしまして、ドナーが希望しないというと

きに、果たしてその治療とか予防が可能な遺伝疾患の可能性を伝えるべきなのかどうか

というのが問題になると思います。それについては、そういうケースが出てきたらぜひ

委員会でご相談させていただいて、やはり知らせるべきだという場合には、もう一度ド

ナーに意思の確認をして、その上で判断をすると考えております。

北川委員長:いま伺ったことは、そういう手続のことを含めて、ドナーの方にインフォームド・

コンセントにははっきり書かれていて、同意を得ておく必要があるという点です。

鈴木 PD :はい。そういたします。

北川委員長:説明文書では、少し簡単で分からないかもしれません。インフォームド・コンセン

トのところに書いてあったかな、重要なインフォメーションがあったとき。英語のイン

フォームド・コンセントには書いてあったと思います。「In some situations, the results

might be important to your health or medical care. If this occurs, we will contact you

to see if you want to learn more.」、ここに書いてあるからいいのかとは思いますが。

高木委員 :反対のケースはどうするんですか。治療法のない疾患の遺伝子の解析結果を本人が教

えてほしいと言うときは教えるんですか。

鈴木 PD :これは知らせないほうがよいと判断されるべきです。ただ、その場合でも、ドナーが

開示を最初のサンプリングのときに希望していたときは、委員会にご相談するのが適当

と思っております。その上で、それでもカウンセリングをするべきというご判断の場合

には、本人に伝えることになると思います。

北川委員長:開示をしても意味がない、あるいは悪い影響を与えるというときには開示をしない

と考えるべきでしょうね。それから、以前、林崎領域長から出てきたときには、正確な

技術的の確立について大丈夫かという質問があったんですが。

鈴木 PD :現在我々は、ゲノムの DNA の解析は外部に委託する形でやろうと思っています。そ

の理由は、我々がやるより非常に安くできるということ。それと、その会社の概要を見

て、秘密保持の面でもクリアしているという判断のもとで、頼もうと思っています。そ

こではゲノムシークエンスの長さの 40倍のシークエンスをいま標準的に行っています。

40 倍のシークエンスを行うと、そこに書いてありますけれども、ほぼ 100%の Accuracy

が得られますので、そういう意味ではシークエンスのクオリティーという点ではクリア

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すると考えております。

北川委員長:それはアメリカの会社ですか。

鈴木 PD :はい、そうです。

北川委員長:あのときに林崎領域長は、新しい器械を既に購入済みと言っていたんですが、それ

は使わないのですか。

鈴木 PD :次世代シークエンサーはすでに新しいのも買っておるんですが、我々ではまだ、外部

に依頼するよりも費用がかかってしまうというのが一番の難点と思います。

北川委員長:費用はどのぐらいかかるんですか。

鈴木 PD :聞いている限りでは、1000 万円までは行かない金額で、1 人のゲノム DNA を決める

ことができます。

莚田委員 :重要な解析結果が出た場合には、やはり再測定をされるのでしょうか。健康管理に重

要な解析結果が出た場合に、再測定やそのような手段はとられるのでしょうか。

鈴木 PD :それはシークエンスのクオリティーによるだろうと思います。その重要な部位につい

てもう何十回も同じシークエンスの結果が出ている場合には、検体の取り違いの可能性

はまだあるかもしれませんので、取り違いの可能性を排除するような再測定はしなけれ

ばいけないわけですが、シークエンスの結果自体を疑うということは多分ないと思いま

すね。

北川委員長:このプロテオミクス解析は難しいでしょう。そんなに安定した結果が得られるかど

うかわからないところがあると思いますが、ゲノムとプロテオミクスを突き合わせて、

意味のある結果がすぐには得られるとは思いませんが、少しずつやるということですか。

鈴木 PD :プロテオミクスではなく、ゲノム情報とトランスクリプトーム(遺伝子の発現情報)

とを比較したいということで、我々はプロテオームとゲノムとを比較することはいま考

えておりません。

北川委員長:トランスクリプトームでは、信頼性のあるデータが得られますか。

鈴木 PD :はい。既にもう信頼できるデータがあります。

古関委員 :試料ですが、末梢血やら毛根やらスメアやらということだと、すごくいろいろな細胞

のミクスチャーをやるわけですね。

鈴木 PD :はい。

古関委員 :例えば末梢血だって、身体の状態でリンパ球が増えたり白血球が増えたり赤血球が増

えたりといろいろなことが起こるわけで、そういうバルクで見るとしても研究としての

リードアウトはできないのではないかと思います。何かが変わってきたとしても、それ

はシンプルに、その細胞の集団が違っているからそういう結果が出てきているというア

ーギュメントは、もしこのままやれば必ず出てきますよね。

鈴木 PD :トランスクリプトームの場合は、細胞を分けて、おのおののセルタイプ、それぞれの

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細胞種についてのトランスクリプトームのデータをとりたいと考えております。

古関委員 :それならば問題ないです。

鈴木 PD :いろいろな末梢血由来の細胞がとれると思うのですが、いま免疫・アレルギー科学総

合研究センターの方と協議して、どのような形でやっていこうかということをお話しし

ております。それから、毛根や口腔粘膜ですが、細胞種としてこれは初代培養できるの

で、純粋な細胞種にしたものを使って、トランスクリプトームのデータをとりたいと考

えています。

古関委員 :潜在的な感染症などは必ずあって、IL-6 とか TNF とか、そういったものがどれだけ

出ているか、つまりそれがジェノミックな問題なのかそれとも環境の問題なのかという

ことを恐らくきちんと分けられない。少なくとも血液を使う限りはそういう問題は、僕

は、永久に答えを出せないと思っています。だから、少なくともこの場合は、マウスと

違ってプロスペクティブなスタディーはできない。だから、そこのところをちゃんと検

証できるような提案にしておかないと、多分、やることはやっても研究としては何でも

ないということになりかねないと思うので、そこだけ少し注意深くデザインされたほう

がいいのではないかと思います。

鈴木 PD :ありがとうございます。はい。

北川委員長:こういう研究は、マウスでストレインの違うやつでやるということは考えられるけ

れども人間でやるとむつかしい。これはマウスでも既にやられているんですか。

鈴木 PD :マウスでもやられていると思います。トランスクリプトームとゲノムの関係というの

を見ていく、あるいはトランスクリプトームをいろいろ調べていく。これをヒトとマウ

スとの両方やりたいです。だから、そういう意味では、もちろんマウスでもできるかも

しれませんが、ヒトでもやりたいです。

古関委員 :むしろ EB ウイルスで組換えした細胞を使ったほうが、最初はいいんじゃないかとい

う気がします、トランスクリプトームとゲノムの関係を見ていくには。そうすれば完全

にそういう体の状態を…。I’m just wondering about the experiment because the

expression profile in the peripheral blood should reflect very many things. So if you

do not know the infectious status for each guy, maybe there’s an expression of TNF or

IL6 or other factors that should affect gene expressions in the blood cells. And I think

it makes it very difficult to give interpretation if you use normal somatic cells, so one

of my suggestions is to use the EB virus-transformed cells. In that case, of course, it

should contain a lot of artifacts, but at least you can exclude the environmental

factors.

フォレスト:Yes, so I know a number of groups using that strategy. One of the… and you’re

right, if we are running sequencing four or five individuals, any variations we find

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could reflect disease statuses in infected. Age, blood pressure, these things could

also have impact. What we’ll get from these data would be at least the potential

genetic differences that affect transcriptome levels. The more individuals we look at,

the less artifacts—the less additional factors that we have to (consider). So if we

choose like a thousand targets to validate by Q-PCR, if only we do it on four

individuals, maybe half the base would be dependent on the infection status for

example, maybe half the base are validate, or 10% are validate. If we’ve done it on a

hundred individuals we would get a much higher validation rate. The issue at the

moment is the number of genomes that we can do, and the cost. Also, for the

EBV-transformed, what we’re specifically interested in is getting multiple cell types

from the same genome, encoded by the same genome, so we can say, “this set of genes

are being switched on to this cell type, and this set of genes are switched into this

cell type,” and try to pick up differences there.

古関委員 :Yeah, I can understand what you’ve said, but in this case, how many people do you

need?

フォレスト:I think pulling the proof of principle, I think this would be enough providing we

do high throughput validation, and that might require a hundred individuals in the

future, but that would be a small PCR-based study. We’re also still discussing about

the nature of the donors. For example, if we have related donors, you could get a lot

more information. So if you can have a parent and a child, you could look at this

haplotype in a parent and this haplotype in a child being switched on. But that’s still

under the discussion.

古関委員 :So, another possibility is how to perform rather the locus-specific analysis on this

kind of genome-wide analysis. Maybe you can choose that hundred of genes and run

the sequence on them and compare among the hundred, and then you can see the

result, it should be enough to go further.

フォレスト:Uh… I don’t know. I think if we have related individuals, that would be… we can

actually look at… for example, allelic usage. And although we could do that focus

study, I think we’re going to get a lot more information if we do it as a whole genome

study. The other (thing), and this is eventually a political point, is whole genome

sequencing is becoming lower and lower impact in general. Now, if Japan is getting

serious about putting whole genome sequencing, we need to start doing it now. And

to date, no one has put out a complimentary genome transcriptome study. That will

happen. That will probably happen in the next year. I know people who are doing

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this on pancreatic cancer at the moment. So I think, strategically, it’s very important

first to get this sort of study out. We’re going to argue a lot more about the scientific

impact in choosing which donors. That hasn’t been fully argued yet. But the reality is

we need to choose donors soon and get genomic sequence out as soon as possible.

北川委員長:よろしいですか。それでは、ちょっと戻ってください。

鈴木 PD :ありがとうございました。

(申請者等退室)

北川委員長:ここで認めるというのは、なかなか大きなステップになるかと思います。いま伺っ

た限りにおいては、私たちがこの前いろいろなことを言って問題にした点は、相当程度

よく考えられていると思いますが。

古関委員 :結果が出るかどうかが心配ですね。彼はそういう意味では我々より結構オプティミス

トで、僕は 5 人という論拠がはっきりしませんが、何かを絞り出すことはできるんじゃ

ないかとは思いますね。

北川委員長:5 人ぐらいでクリアカットなものが出てくるとは到底思えませんが、要するにこれ

は最初のとっかかりということでしょう。

古関委員 :とりあえず、まず1人、日本人のシークエンスを全部決めたいということと思うんで

すけれど。

事務局 :この研究について、事前にヒアリングをしているわけですが、まさに取っかかりの 5

人となります。将来的には、FANTOM5 などの海外の共同研究機関とも連携して、でき

るだけ数をできるようにはしたい。そのための研究方法や体制を構築することが第一の

仕事になると説明を受けています。

北川委員長:それはわかります。あと、ホールゲノムアナリシスが含まれているわけですが、そ

れはここの課題名には書いていない。

高木委員 :応募がたくさん来るんでしょうね。たくさん来たらどうやってセレクションするんで

しょう。あるいは、誰も来ないかもしれない。ちょっと予想がつきません。

北川委員長:いや、お金を出して調べてもらうという人が結構増えている。

高木委員 :でも、もうすぐ 1000 ドルプロジェクトが動き出すと言っています。そうすると、こ

の研究では 1000 万近くもしてすごく高いですね。

古関委員 :あれはベンチャーがお金を集めるために、もうすぐできると言っているだけ。

高木委員 :1000 ドルでやりますと。

北川委員長:1000 ドルというのは個人の出すお金でしょう。

高木委員 :個人で自分がやりたいと言ったらやってくれるんですね。

古関委員 :まだ高めですね。いや、まだ 1000 ドルの技術レベルには到達していないですから。

北川委員長:このプロジェクトは理研では倫理委員会に最初に出てくるわけですか。

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高木委員 :では、これは 5 人が決まったときにまた出てくるんですか。名前は出さないにしても、

どういう 5 人に決まったということは委員会に情報は出てくるんですか。それは出てこ

ないんですか。

事務局 :外国人、日本人まざっていて、その中で例えばオミックス研究領域の者となるとかな

り絞り込まれてしまいますので、あまりそのような情報は出てこないと思います。

北川委員長:理研でホールゲノムアナリシスをやりますということは、理研全体の問題にはなら

ないということですね。

古関委員 :そうですね。

北川委員長:この研究倫理委員会が良いと言えば、研究を実施してよいということですか。

事務局 :前回、林崎領域長の京都大学の高齢者を対象にホールゲノムをやろうというプロジェ

クトに関しては、一つ、疾病の診断・原因が特定できない方からの相談を受けて、ホー

ルゲノムシークエンサーを使って原因を探索できるのではないかという、ゲノム相談室

のような医療応用が最終的なゴールにあったわけです。しかし今回は、そういうゲノム

相談というようなところではなく、まさにライフサイエンス研究の基礎基盤の部分をつ

くるという、前回とは目的がまったく異なっているとは思います。そういう意味でも、

最初に内部の研究者、あるいは一部公募していくというということは、疾病の原因を開

示する、しないの任意性についても検討していますし、外部に委託するという技術的な

面からも検討しているところではないかとは思っております。

北川委員長:以前の最初の提案ではゲノム相談室のために、まずは健康なボランティアを対象に

するということからはじまって、そもそもその人が健康な人間であるかどうかどう確か

めるか、という議論があって、疾患のない高齢者を対象にするということに落ち着きま

した。今度は、個人個人の違いをトランスクリプトームでやるということだから、そこ

はクリアしている。あのときは、その人にとっていろいろな問題のある遺伝子が出てく

る心配をどう超えるかという問題は、百寿者の方にご協力いただくからその後のことは

もうあまり心配しなくてもいいという形でクリアにしました。だから、その後者のとこ

ろは、今度は本人に言うということで、それから本人からそれでいいというコンセンサ

スをとるということになっていますから、それはそれでいいのかとは思いますが。

事務局 :もし開示することになった場合、林崎領域長は医師ですので、最初は理研の中で直接

遺伝カウンセリングをやるという話がありました。しかしよく考えてみますと、部下が

自分の上司に自分の遺伝相談をするというのはあまり好ましくない構図ですので、外部

の専門臨床遺伝医の協力を仰ぐということでいま動いているところです。そういった面

でも、フォローアップのことを考えての申請ではあります。

北川委員長:わかりました。これはひとつ、ポジティブに考えてもいい、ということになってお

りますが、よろしいですか。

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高木委員 :いいですか。インフォームド・コンセントのときに、例えば治療法のない遺伝子変異

から出てくる病気については開示しない、もし出てきたらまたここで相談しますと言っ

ていたけれど、そんな結果が出てから相談されても困ると思います。ですので、そのイ

ンフォームド・コンセントのときに開示するかしないかを記入しておいて、それで希望

する人だけをお願いするという、あらかじめ断っておくようにしておくほうがいいと思

います。

北川委員長:教えてもらうかどうかということは、先に決めることでいいわけですね。ただ、そ

ういうふうに「あなたが望めば(開示)します」ということは、言っておく必要がある。

高木委員 :逆に、あなたが望んでも教えませんと。

北川委員長:あなたの健康にとって非常に重要である、これがわかったらちゃんと予防の手当て

があるとか、先の手を打って治療できるとか何とかということで重要なことがあればお

教えしますと、そんなことでしょうね。

高木委員 :いえ、その治療法がないものに関しては教えませんということをインフォームド・コ

ンセントで言っておかないといけません。おそらく、その情報さえも教えてほしいとい

う人はいると思うんですね。ですので、それに関しては教えませんとするほうが、あと

から問題がおこらないということです。

北川委員長:そうですね。そのほうがいいかもしれません。確かに、全部教えてほしいと言う人

はいるでしょうね。

古関委員 :論文にするときには、ゲノム配列自体は表に全く出さないでも論文として大丈夫です

か。

莚田委員 :全塩基配列ですね。

古関委員 :データベースへどのようにアクセスするかなど、論文に載せるわけですね。そうする

と、基本的にはそれ自体が公知になるじゃないですか。

高木委員 :そのどれかだけど、提供者それぞれを特定できないということで、本人の特定には至

らないのではないですか。

古関委員 :いや、見るべき場所を見れば、例えばその人が AB 型で、Rh マイナスで HLA が何と

分かれば、どの人かわかってしまうわけです。

莚田委員 :最低、ローカスの情報は必要ですね。

古関委員 :そう。本気で知ろうと思えばそこから自分でたどり着くことができてしまう、例えば

論文にして全部出すと。

高木委員 :では、ノンリサーチャーに限るということ。

北川委員長:いや、確かにわかってしまいます。だけど、自分の名前をちゃんと出して発表して

いる人もいますね。

事務局 :過去に公開されている例では、まさに全ゲノムではなくて一部はマスクされています。

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あるいは、データの一部をいじって公開用にしていると聞いています。

高木委員 :ワトソンがそうでしたね。一部マスクをしている。

事務局 :はい、そうです。

北川委員長:この研究では、内部の研究者に応募してもらうことになる可能性が大きいと思うん

ですね。そうすると、誰か、ということは知られる可能性はどうしても否定できない。

そうすると、どれだけ匿名化しようとある確率でわかってしまうかもしれない、それで

も構わないか、というところまで念を押すということでしょう。

古関委員 :しかし、林崎領域長の下で働いている人のみから採血するという形は、やはり何かま

ずいような気がします。理研とは明らかに利害のない人たちからドナーを募る。林崎領

域長の研究によほど協力したいという人々をどこかから探し出すか。

北川委員長:自分が、という人はすでにいるものと思います。それをブロックしてしまうことは

また気の毒のような気がします。自分でこの研究を進めたいという人やその周辺の人が、

ボランティアになるといっているわけですね。

事務局 :ゲノム医科学研究センターでも、過去にやはり遺伝子の迅速診断用の機器のテストの

ための研究者、内部ボランティアからの採血の場合は、一度、グループ内のスタッフを

一つの部屋に集めまして、責任者から全体に向かって説明をする、それで後日申し出て

くださいということで、多数が協力してくれているということがございました。そのよ

うに理研の内部でやる場合には、個別に話しかけると圧力が非常に高いですので、全体

のミーティングなどでの公募する格好になります。

北川委員長:わかりました。それでは、時間ももう迫っています。要するに、パワーハラスメン

トですか、そういうようなことが起きないように十分気をつけてドナーを募る、選択し

てくださいということですね。それからもう一つ、結果はあなたにとって将来の健康の

ために重要な遺伝子変化というのが見つかったときには、あなたが欲すればそれは開示

する可能性がある、しかし不明瞭なことに関しては開示できませんと、インフォームド・

コンセントに書いておいてもらいたいということですね。

高木委員 :古関委員がおっしゃっているのは、全部オープンになれば、その結果を知ろうと思え

ば知れるということでしたね。だから、マスクするなどの措置について、どうするか。

研究発表のときにどうすればよいか。

古関委員 :この研究のポイント以外は隠すことができるはずですから。

高木委員 :そうですか。

古関委員 :この研究では、遺伝子の変化がその発現にどういう効果があるかということが目的な

ので、研究を外に出すときに必要な場所だけをとりあえず一緒に出して、残りの部分は

マスクする、とすればいいと思います。

北川委員長:ですから、個人情報の秘守には十分気をつけるが、なおかつ、この研究は限られた

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人で研究をするから、どこかであなたの DNA であるというインフォメーションが漏れ

る可能性というものは全く否定できないということは了解してくださいということを、

インフォームド・コンセントで言うということですね。

田村委員 :自分のゲノムを知りたいから入るということではなくて、そういう目的ではないとい

うことをはっきりさせて、参加してもらわないといけないのではないでしょうか。研究

に参加するのであって、自分のそういう情報を知りたいから参加するということではな

いということですね。そこの確認はしていただかないといけないと思います。

北川委員長:知りたいからといって知らせることはできないということですか。結果は知らせま

せんとするべきか。いや、知らせてくれるなら協力しますという人が出てきたら…。

高木委員 :それはだめと。

北川委員長:それは動機が不純だからというのですか。

事務局 :そこについては研究者の良心に負うところになってくるかもしれません。

北川委員長:いや、研究心だってあるわけです。しかしその上に知りたいという自分の欲望もあ

るという感じですね。そこをきちんと分けられますかね。

高木委員 :そうなんですが、憶測でそこまで言うかどうかはありますね。

田村委員 :ドナーから自分の情報だからすべて知りたいと言われたときに拒否できるようにして

おく。どうですか。

遠藤委員 :でも、一応、インフォームド・コンセントの段階でまったくお知らせしないというこ

とで同意を得ておけばいい、ということになるかと思います。

高木委員 :すべてでなくて、重篤な疾患関係あるいは治療法のないものに関してはお知らせでき

ない、としておけばいいでしょうね。

北川委員長:原則知らせられる情報はない、希望があるならばお知らせすることはできる、とい

うことにしておくほうがいいでしょうね。それでは、よろしいですか。

田村委員 :湯浅先生のコメントはよろしいですか。

事務局 :湯浅委員からのコメントですが、先ほど鈴木 PD からの説明や古関先生からもご質問

に対して、毛髪、口腔粘膜などを使う理由は、説明にございました。

北川委員長:そうですね。それでは、入っていただきましょう。

(申請者等入室)

北川委員長:それでは申し上げますが、この計画は原則として承認いたします。しかし、3 点に

おいて少しお願いをしておくことがあります。一つめは、ボランティア、ドナーを募集

するときに、パワーハラスメントのようなことがないよう十分気をつけてください。申

し上げる背景にはいろいろあるのですが、ここではそれだけ言っておきます。二つめは、

結果は原則的には知らせないこととします。しかし、その方の健康にとって非常に重要

な意味、内容があって、知らせることに意義があるようなことが見つかったときには、

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あなたの同意を得て知らせることはあります、とするインフォームド・コンセントをと

っていただいていきたい。それから三つめは、個人情報の秘守は十分気をつけることは

当然ですが、ドナーの数が限られていますから、どこかで、これはだれの DNA である

とか、情報が漏れてしまう可能性は最初から否定できません。そういうことを十分に理

解していただける内容のインフォームド・コンセントにしておいてください。

事務局と相談してつくっていただいて、委員長である私が確認して、承認したときに、

これは開始ということになります。ということでよろしいでしょうか。

鈴木 PD :はい、ありがとうございます。

【H21-14】「Effects of genomic variation on transcriptome」(新規)

オミックス基盤研究領域 上級研究員 Alistair Forrest

○条件付きで承認する

・インフォームド・コンセント文書について、以下の委員会の意見を反映するよう修正すること。

①本研究により得られる解析結果は、試料提供者の健康状態等を評価するための情報としての

精度や確実性が現時点では十分でないと考えられるので、原則として試料提供者に開示しな

いものとする;しかし、インフォームド・コンセントを得る際に、本人から強い開示の希望

がある場合は開示することができる;また、本人から開示の希望がない場合においても、提

供者の健康維持に重大な影響を与えることが明らかで、しかも有効な対処方法があるときは、

試料提供者の意思を再確認のうえ、開示する場合がある;以上の 3 点を明記すること。

②研究成果の公表に際しては、個人を特定し得る個人遺伝情報の保護に十分な措置を講じるが、

それでもなお、試料提供者の数が限られているので、個人遺伝情報の一部が公表される状態

になる可能性があることを明記すること。

・なお、本研究の遂行に際しては、試料提供者に対して心理的負担がないよう慎重に配慮すると

ともに、入念な説明を行い十分な理解が得られるよう努めること。

4.その他

特段なし

閉会に際して、小川所長より挨拶があった。