society 5.0に向けた人材育成 小学校プログラミング教育につ …society...

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文部科学省 編集 6 JUN 2018 No. 223 特集 1 Society 5 .0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~ 特集 2 小学校プログラミング教育について 「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2018 」実施報告 / 平成 30 年度「 日本遺産( Japan Heritage )」の 認定発表及び認定証交付式の開催 / 日本ユネスコ国内委員会の取組~広報大使任命式と我が国のユネスコ活動について~ / ほか MONTHLY LINE UP

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文部科学省 編集

6JUN 2018No.223

特集1

Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~

特集2

小学校プログラミング教育について

「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2018」実施報告 / 平成30年度「日本遺産(Japan Heritage)」の認定発表及び認定証交付式の開催 / 日本ユネスコ国内委員会の取組~広報大使任命式と我が国のユネスコ活動について~ / ほか

◆MONTHLY LINE UP

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The Monthly Journal of MEXT

2018年 6月号/ No. 223

特集1

Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~ …… 1

文部科学省大臣官房政策課・生涯学習政策局政策課

1  議論の経過 …… 1

2  とりまとめ内容について …… 1

特集2

小学校プログラミング教育について …… 6

文部科学省生涯学習政策局情報教育課

小学校プログラミング教育の必修化 …… 6

「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」 …… 9

未来の学びコンソーシアム …… 11

今後の取組 …… 12

「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2018」実施報告 …… 13

平成30年度「日本遺産(Japan Heritage)」の認定発表及び認定証交付式の開催 …… 16

日本ユネスコ国内委員会の取組 ~広報大使任命式と我が国のユネスコ活動について~ …… 19

子供の読書活動の推進 ~4月23日は「子ども読書の日」~ …… 24

平成30年春の叙勲勲章伝達式 …… 26

平成30年春の褒章伝達式 …… 27

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Society 5.0 に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号1

Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~

特 集 1

人工知能やビッグデータ等の先端技術が飛躍的に発展する中、これらの技術が社会の在り方そのものを劇的に変えるSociety 5.0に向けて、平成29年11月から林大臣の下で幅広い分野の有識者にご参画いただき、必要となる人材育成について議論してきました。この度、平成30年6月5日に『Society 5.0に向けた人材育成 〜社会が変わる、学びが変わる〜』を公表し、新たな時代を豊かに生きるための学びの在り方について方向性を示しました。

文部科学省大臣官房政策課・生涯学習政策局政策課

1

議論の経過

Society 5

.0

に向けて

人工知能(AI)、ビッグデータ、Internet of

Things

(IoT)、ロボティクス等の先端技術が飛

躍的に高度化しており、これらの技術があらゆる産

業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのも

のが劇的に変わろうとしています。

このような社会を、狩猟社会、農耕社会、工

業社会、現在の情報社会の次の社会の姿として、

「Society 5.0

」と呼んでいます。

そのような新たな時代を迎えるに当たり、広く国

民にはどのような能力が必要か、また、社会を創造

し先導するためにどのような人材が必要か、さらに

は、そのために我が国の教育政策として今後講ずべ

き取組は何かを検討するため、平成29年11月から、

林文部科学大臣の下で、

• 「Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇

談会」

• 「新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省

内タスクフォース」

の二つの会議を開催し、議論を重ねてきました。

議論に当たっては、幅広い分野の有識者の参画を

得たほか、文部科学省の多くの若手職員も参加し、

自由闊か

達たつ

な議論を行いました。

両会議のこれまでの議論を踏まえ、Society 5.0

における人材像や学びの在り方、今後の教育政策の

方向性等をまとめ、平成30年6月5日、『Society

5.0

に向けた人材育成 

〜社会が変わる、学びが変

わる〜』を公表しました。

2

とりまとめ内容について

第1章

Society 5

.0

の社会像・求められる

人材像、学びの在り方

(「Society 5

.0

に向けた人材育成に係る

大臣懇談会」における議論を踏まえて)

とりまとめにおいては、まず、「Society 5.0

に向

けた人材育成に係る大臣懇談会」における議論を

踏まえて、Society 5.0

の社会像を描いた上で、現

実世界を理解し意味づけできる等の「人間の強み」

を発揮し、AI等を使いこなしていくために、

文章や情報を正確に読み解き対話する力

「Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」における議論の様子①

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 2

科学的に思考・吟味し活用する力

価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

が、共通して求められることを指摘しました。

このような力を育んでいくためにも、

学校がこれまでの一斉一律の授業のみならず、個

人の進度や能力等に応じた学びの場となること

同一学年集団の学習に加え、異年齢・異学年集

団での協働学習が拡大していくこと

など、「学びの在り方の変革」を打ち出しています。

第2章

新たな時代に向けて取り組むべき政策の方向性

(「新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する

省内タスクフォース」における議論の整理)

第1章の議論を踏まえて、文部科学省の課長級

の職員に加えて課長補佐・係長級も含めて相当数

の若手職員が参加し、我が国の教育政策について議

論を進め、特に取り組むべき政策の方向性に関する

事項を第2章として、これらを踏まえた短中期的な

取組を第3章として、それぞれ整理しました。

第2章では、今後取り組むべき政策の方向性と

して、

①公正に個別最適化された学びの実現

②基盤的な学力や情報活用能力の習得

③大学等における文理分断からの脱却

という三つを掲げました。

「Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」における議論の様子②

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Society 5.0 に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号3

〈取り組むべき政策の方向性〉①「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供

すべての子供たちがすべての学校段階において、基盤的な学力の確実な定着と、他者と協働しつつ自ら考え抜く自立した学びを実現できるよう、「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供を図ることが必要である。

②基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得学校や教師だけでなく、あらゆる教育資源やICT環境を駆使し、基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学

力や情報活用能力をすべての児童生徒が確実に習得できるようにする必要がある。③文理分断からの脱却

高等学校や大学において文系・理系に分かれ、特定の教科や分野について十分に学習しない傾向にある実態を改め、文理両方を学ぶ人材を育成するよう、高等学校改革と大学改革、高等学校と大学をつなぐ高大接続改革を進める必要がある。

高等学校においては、文理両方を学び個々の資質・能力を伸ばすとともに、地域の良さを学びコミュニティを支える人材の育成を進めていくことが必要である。

大学においては、高等学校における文理分断の改善、社会ニーズ等を背景に、文理両方を学ぶ教育プログラムの充実を図る必要がある。また、AI・データ科学分野等の高度専門人材育成のための施策を加速させる必要がある。

第3章

新たな時代に向けた学びの変革、

取り組むべき施策

(Society 5.0

に向けたリーディング・プロジェクト)

第3章では、前章で掲げた三つの方向性に関し

て、それぞれリーディング・プロジェクトとして次の

施策を掲げました。

①公正に個別最適化された学びの実現

学習の個別最適化や異年齢・異学年など多様な

協働学習のためのパイロット事業の展開

スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオ

の活用

• EdT

ech

とビッグデータを活用した教育の質の

向上、学習環境の整備充実

②基盤的な学力や情報活用能力の習得

新学習指導要領の確実な習得

情報活用能力の習得

基盤的な学力を確実に定着させるための学校の

指導体制の確立、教員免許制度の改善

③大学等における文理分断からの脱却

文理両方を学ぶ高大接続改革

地域の良さを学びコミュニティを支える人材の育

成今後、これらの施策をできるものから順次具体化

させてまいります。

「新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース」における議論の様子

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 4

Ⅰ.「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習の機会と場の提供◉学習の個別最適化や異年齢・異学年など多様な協働学習のためのパイロット事業の展開

● 児童生徒一人一人の能力や適性に応じて個別最適化された学びの実現に向けて、スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオ(後述)を活用しながら、個々人の学習傾向や活動状況(スポーツ、文化、特別活動、部活動、ボランティア等を含む)、各教科・単元の特質等を踏まえた実践的な研究・開発を行う。(例:基礎的読解力、数学的思考力の確実な習得のための個別最適化された学習)

● また、異年齢・異学年集団での協働学習(例:英語力に応じた異年齢・異学年の協働学習)についても、実践的な研究・開発を行う。

● 「チーム学校」を進める観点からも地域の人材等と連携し、体験活動を含めた多様な学習プログラムを提供する。● 生徒・学生の学習環境がより個別最適化されるよう、アドバンスト・プレイスメント、飛び入学及び早期卒業等の活用促進を

図る。また、学生の様々な学びの意欲を実現させ、学習の個別最適化を進める観点から、各大学におけるギャップイヤーや学外での幅広い学びのための休学の活用を促進する。

◉スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオの活用● EdTechを活用し、個人の学習状況等のスタディ・ログを学びのポートフォリオとして電子化・蓄積し、指導と評価の一体化

を加速するとともに、児童生徒が自ら活用できるようにする。そのため、CBTの導入を含めた全国学力・学習状況調査の改善、学びの基礎診断の円滑な導入により、個々の児童生徒について、基盤的学力や情報活用能力の習得状況の継続的な把握と迅速なフィードバックを可能とし、評価改善のサイクルを確立する。

◉EdTechとビッグデータを活用した教育の質の向上、学習環境の整備充実 ● EdTechとビッグデータの活用を推進するために必要なガイドラインの策定、データの収集、共有、活用のためのプラット

フォームの構築に関する検討を行う。● デジタル教科書、デジタル教材、CBT導入等を進める観点からもICT環境の整備やICT人材の育成・登用を加速する。

Ⅱ.基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得◉新学習指導要領の確実な習得

● 語彙の理解、文章の構造的な把握、読解力、計算力や数学的な思考力など基盤的学力の定着を重視した新学習指導要領の確実な習得(全国学力・学習状況調査、大学入学共通テスト、学びの基礎診断でもこれらの力を重視)。そのため、個別最適化された振り返り学習など指導方法の改善や効果的な指導を支える教材、ICT環境、EdTechの整備を加速し、学習支援を充実する。

● スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオの活用(Ⅰ.参照)により、学力の定着を促進する。

◉情報活用能力の習得● 大学入学共通テスト(2024年~)で「情報」を出題科目に追加することについて検討を開始する。● 小中高を通じてデータ・サイエンスや統計教育を充実する。

◉基盤的な学力を確実に定着させるための学校の指導体制の確立、教員免許制度の改善● 小学校高学年における専科教員の配置など学校の指導体制を確立する。● 中学校・高等学校教員採用試験に比べ小学校教員採用試験の倍率が低迷していることや、中学校・高等学校でも技術科、

情報科のような特定教科の免許状を保有する教員が少ないことを踏まえ、指導体制の質・量両面にわたる充実・強化を図る観点から、免許制度の在り方を見直す。(例:複数の校種、教科の免許状取得を弾力化すること、経験年数や専門分野などに応じ特定教科の免許状を弾力的に取得できるようにすること)

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Society 5.0 に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号5

Ⅲ.文理分断からの脱却◉文理両方を学ぶ高大接続改革

● 様々な学問分野において必要となる、確率・統計や基礎的なプログラミング、理科と社会科の基礎的分野を必履修とする新しい学習指導要領を確実に習得させるとともに、微分方程式や線形代数・ベイズ統計、データマイニングなど、より高度の内容を学びたい生徒のための条件整備等を行い、文理両方を学ぶ人材を育成する。

→WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアムの創設● AP(アドバンスト・プレイスメント)も含む高度かつ多様な内容を、個人の興味・特性等に応じて履修可能とする学習プログラ

ム/コースをWWLコンソーシアムとして創設(高校生6万人あたり1か所を目安に、各都道府県で国公私立高校・高専等を拠点校として整備)

● 海外提携校等への短期・長期留学を必修化し、海外からハイレベル人材を受け入れ、留学生と一緒に英語での授業・探究活動等

● 高校における文理分断の改善、社会のニーズ及び国際トレンド等を背景に、今後多くの学生が必要とするSTEAMやデザイン思考などの教育が十分に提供できるよう、大学による教育プログラムの見直しを促進する。: 学生が共通的に学ぶリベラルアーツと学生が選択する人社系、STEAM系、保健系等の専門分野について、学部を超えて

提供される構造へと変化。● STEAM系を専攻するAIのトップ人材や専門人材を育成するとともに、文理両方を学ぶことにより必要なAIに関する素養を

身に付けた人社系等を専攻する人材を育成する。また、大学のみならず高専や専門学校においてAIの専門人材を育成する。

→AI等の高度専門人材の育成● 全学的な数理・データサイエンス教育の拡大・強化(拠点整備、標準カリキュラム等)等→産学連携による実践的教育の実施と専門人材の育成● 産学連携による実践的教育プログラムの開発・実施、産業界からの投資を呼び込むインセンティブ 等

◉地域の良さを学びコミュニティを支える人材の育成● 高校と、地元の自治体、高等教育機関、産業界と連携したコースで、例えば福祉や農林水産、観光などの分野が学習できる

よう環境整備等を行い、地域人材の育成を推進する。

→地域³ 高校※(地域キュービック高校)の創設 ※地域の、地域による、地域のための高校● 高校と地元市町村・高等教育機関・企業・医療介護施設・農林水産業等のコンソーシアムを構築し、探究的な学び等を通じ、

地域に関する産業や文化等に関する特色ある科目(例:観光学)を必ず履修させるなど、生徒が「やりたいこと」を見つけられる教育機関へ転換

● コミュニティ・スクールである都道府県立高校において、市町村長又は市町村教育長等を学校運営協議会の委員とすることを努力義務化し、都道府県と市町村の連携を促進

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 6

小学校プログラミング教育の必修化

なぜ小学校にプログラミング教育を

導入するのか

今日、コンピュータは人々の生活の様々な場面で

活用されています。家電や自動車をはじめ身近な

物の多くにもコンピュータが内蔵され、人々の生活

を便利で豊かなものにしています。誰にとっても、

職業生活をはじめ、学校での学習や生涯学習、家

庭生活や余暇生活など、あらゆる活動において、コ

ンピュータなどの情報機器やサービスとそれによっ

てもたらされる情報を適切に選択・活用して問題

を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつあ

ります。

コンピュータをより適切、効果的に活用していく

ためには、その仕組みを知ることが重要です。コン

ピュータは人が命令を与えることによって動作しま

す。端的に言えば、この命令が「プログラム」であ

り、命令を与えることが「プログラミング」です。プ

ログラミングによって、コンピュータに自分が求める

動作をさせることができるとともに、コンピュータの

仕組みの一端をうかがい知ることができるので、コ

ンピュータが「魔法の箱」ではなくなり、より主体的

に活用することにつながります。

プログラミング教育は子供たちの可能性を広げる

ことにもつながります。プログラミングの能力を開

花させ、想像力を発揮して、起業する若者や特許

を取得する子供も現れています。子供が秘めてい

る可能性を発掘し、将来の社会で活躍できるきっか

けとなることも期待できるのです。

このように、コンピュータを理解し上手に活用し

ていく力を身につけることは、あらゆる活動におい

てコンピュータ等を活用することが求められるこれ

からの社会を生きていく子供たちにとって、将来ど

のような職業に就くとしても、極めて重要となって

います。諸外国においても、初等教育段階からプロ

グラミング教育を導入する動きが見られます。

こうしたことから、新学習指導要領において、

小・中・高等学校を通じてプログラミング教育を充

実することとし、2020年度から小学校におい

てもプログラミング教育を導入することとなりまし

た。新

小学校学習指導要領

平成29年3月に公示した小・中学校の学習指導

要領及び平成30年3月に公示した高等学校の学習

指導要領では、「情報活用能力」を言語能力と同様

に、「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、教

科等横断的に育成を図ることとしました。

また、新小学校学習指導要領においては、各教科

等の特質に応じて、児童がプログラミングを体験し

ながら、コンピュータに意図した処理を行わせるた

めに必要な論理的思考力を身に付けるための学習

活動を計画的に実施することとしています。

小学校プログラミング教育について平成29年3月に公示され平成32(2020)

年度から実施される新小学校学習指導要領においては、各教科等の特質に応じて、児童がプログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施するこことしました(小学校プログラミング教育の必修化)。本特集では、小学校段階でのプログラミング教育の必修化の背景や、その具体的な内容、円滑な実施に向けた取組について紹介します。

文部科学省生涯学習政策局情報教育課

特 集 2

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小学校プログラミング教育について

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号7

情報活用能力

情報活用能力とは、「小学校学習指導要領(平成

29年3月公示)解説総則編(以下、「学習指導要領

解説」という)において、「学習活動において必要に

応じてコンピュータ等の情報手段を適切に用いて分

かりやすく発信・伝達したり、必要に応じて保存・

共有したりといったことができる力であり、さらに、

このような学習活動を遂行する上で必要となる情

報手段の基本的な操作の習得や、プログラミング的

思考、情報モラル、情報セキュリティ、統計等に関

する資質・能力等も含むもの」としています。

こうした情報活用能力を育むためには、情報を

収集・整理・比較・発信・伝達する等の力をはじ

め、情報モラルや情報手段の基本的な操作技能など

も含めたトータルな情報活用能力を育成する中に、

「プログラミング的思考」の育成を適切に組み入れ

ていく必要があります。

小学校段階におけるプログラミング教育の

ねらい

小学校段階におけるプログラミング教育のねらい

は、学習指導要領解説においても述べていますが、

非常に大まかに言えば、①プログラミング的思考を

育むこと、②プログラムの働きやよさ、情報社会がコ

ンピュータ等の情報技術によって支えられているこ

となどに気付くことができるようにするとともに、

コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決

したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度

図1 小学校プログラミング教育のねらいと位置付けについて

[思考力、判断力、表現力等]

◎「プログラミング的思考」自分が意図する一連の活動を

実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力。

「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」(平成30年3月30日 文部科学省公表)より「情報活用能力」を構成する資質・能力 (「情報活用能力」は、各教科等の学びを支える基盤)

[知識及び技能]情報と情報技術を活用した問題の発見・解決等の

方法や、情報化の進展が社会の中で果たす役割や影響、情報に関する法・制度やマナー、個人が果たす役割や責任等について、情報の科学的な理解に裏打ちされた形で理解し、情報と情報技術を適切に活用するために必要な技能を身に付けていること。

[思考力、判断力、表現力等]様々な事象を情報とその結び付きの

視点から捉え、複数の情報を結び付けて新たな意味を見出す力や、問題の発見・解決等に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力を身に付けていること。

★ 適切なカリキュラム・マネジメントによるプログラミング教育の実施   各学校は、プログラミング教育を実施する単元等を、教育課程全体を見渡して、適切な学年・教科等に位置付け、必要に応じて外部の支援も得つつ、実施することが必要。

◯「情報活用能力」に含まれる以下の資質・能力を育成すること

◯各教科等での学びをより確実なものとすること

[学びに向かう力、人間性等]情報や情報技術を適切かつ効果

的に活用して情報社会に主体的に参画し、その発展に寄与しようとする態度等を身に付けていること。

[学びに向かう力、人間性等]◯  コンピュータの働きを、よりよい

人生や社会づくりに生かそうとする態度。

小学校プログラミング教育のねらい

[知識及び技能]◯  身近な生活でコンピュータが活用されていることや問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。

※プログラミング教育を通じて、児童がおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりすることは考えられるが、それ自体を、ねらいとはしない。

児童に、「コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということ」を各教科等で体験させながら、

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 8

を育むこと、③各教科等での学びをより確実なもの

とすることの三つと言うことができます。

また、プログラミング教育は、学習指導要領に例

示した単元等に限定することなく、多様な教科・

学年・単元等において取り入れることが可能ですの

で、各学校において、プログラミングによってどのよ

うな力を育てたいのかを明らかにし、必要な指導内

容を教科等横断的に配列して、計画的、組織的に

取り組むこと、さらに、その実施状況を評価し改善

を図り、育てたい力や指導内容の配列などを見直し

ていくこと、つまり、カリキュラム・マネジメントを

通じて取り組むことが重要です。

プログラミングを実施した際の評価については、

あくまでも、プログラミングを学習活動として実施

した教科等において、それぞれの教科等の評価規準

により評価するのが基本となります。すなわち、プ

ログラミングを実施したからといって、それだけを取

り立てて評価したり、評定をしたりするものではあ

りません。

その上で前述したプログラミング教育で育む資

質・能力なども参考とし、各学校がプログラミング

教育で育みたい力を明らかにし、各教科等において

プログラミング的思考等を育むための学習活動を計

画し実施して、児童の資質・能力の伸びを捉えると

ともに、特に意欲的に取り組んでいたり、プログラ

ムを工夫していたりなど、めざましい成長のみられ

る児童には、機会を捉えてその評価を適切に伝える

こと等により、児童の学びがより深まるようにして

いくことが望ましいと考えられます。

プログラミング的思考

プログラミング的思考とは、「小学校段階におけ

る論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成

とプログラミング教育に関する有識者会議「議論の

取りまとめ」(平成28年6月16日)」において、「自

分が意図する一連の活動を実現するために、どのよ

うな動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに

対応した記号を、どのように組み合わせたらいいの

か、記号の組合せをどのように改善していけば、よ

り意図した活動に近づくのか、といったことを論理

的に考えていく力」と説明されています。

これについて、コンピュータを動作させることに即

して考えてみます。コンピュータに自分が考える動

作をさせるためには、①コンピュータにどのような

動きをさせたいのかという自らの意図を明確にした

上で、まず、②コンピュータにどのような動きをど

のような順序でさせればよいのかを考える必要があ

ります。そして、③一つ一つの動きを対応する命令

(記号)に置き換えた上で、④これらの命令(記号)

をどのように組み合わせれば自分が考える動作を

実現できるかを考えます。さらに、⑤その命令(記

号)の組合せをどのように改善すれば自分が考える

動作により近づいていくのかということも試行錯誤

しながら考えていきます。

具体的には、例えば、コンピュータで正三角形をか

こうとする場合、「正三角形をかく」という命令は

通常は用意されていませんので、そのままでは実行

できません。そこで、コンピュータが理解できる(用

意されている)命令を組み合わせ、それをコンピュー

タに命令することを考えます。

紙の上に作図する場合、正多角形がもっている

「辺の長さが全て等しい」、「角の大きさが全て等し

い」、「円に内接する」、「中心角の大きさが全て等

しい」のような正多角形の意味や性質などを使って

作図します。

コンピュータで作図する場合にも同じことを考え

ます。算数科の授業では円と組み合わせて作図し

ますが、ここでは、「辺の長さが全て等しく、角の

大きさが全て等しい」という正多角形の意味を使っ

て作図する場合を考えてみます。この場合、「長さ

100進む(線を引く)」、「右に120度曲がる」

図2 正三角形をかくプログラムの例

スタートボタンがクリックされたとき スタートボタンがクリックされたとき

ペンを下ろす ペンを下ろす

長さ 100 進む 3 回繰り返す

右に 120 度曲がる 長さ 100 進む

長さ 100 進む 右に 120 度曲がる

右に 120 度曲がる

長さ 100 進む

右に 120 度曲がる

(a) (b)

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小学校プログラミング教育について

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号9

といったコンピュータが理解できる(用意されてい

る)命令を組み合わせることで「正三角形をかく」

ことができます。さらに、もっと大きな正三角形を

かきたければ、「長さ100進む(線を引く)」を、

例えば「長さ200進む(線を引く)」というように

修正します。曲がる角度を変えることで、正六角

形や正八角形もかくことができます。また、「長さ

100進む(線を引く)」、「右に120度曲がる」

を3回記述するという方法のほか、「長さ100進

む(線を引く)」、「右に120度曲がる」を「3回繰

り返す」と記述する方法もあります。結果は同じ

ですが、正六角形や正八角形をかくときを考えると

後者の方が効率的です。紙の上に鉛筆と定規、分

度器やコンパス等を用いて正三角形をかくときも、

用いる性質や手順そのものは異なるとしても、児童

は同じように手順を考えた上で作図しているはず

です。

「プログラミング的思考」は、これらのことを「論

理的に考えていく力」です。前述の例「正多角形を

かく」の場合、数学的な見方・考え方を働かせなが

ら、「正三角形をかく」という意図した一連の活動

(学習課題)に対して、図形に関する既習事項を活

用して、正三角形をかくのに「必要な動きを分けて

考える」、「動きに対応した命令にする」、「それらを

組み合わせる」、「必要に応じて継続的に改善する」

といった試行錯誤を行う中でプログラミング的思考

を働かせています。

ここで、思考力、判断力、表現力等は、短時間の

授業で身に付けさせたり急激に伸ばしたりできる

ものではないことに留意する必要があります。「プロ

グラミング的思考」は、プログラミングの取組のみで

育まれたり、働いたりするものではありません。各

教科等の指導を通じて思考力、判断力、表現力等

を育む中に、「プログラミング的思考」の育成につな

がるプログラミングの体験を計画的に取り入れ、位

置付けていくことが必要となります。

円滑な実施に向けて

ここまで示してきたことについては、本年3月に

文部科学省がまとめた「小学校プログラミング教育

の手引(第一版)」の第1章、第2章において、より

詳しく説明しています。本手引は、2020年度

からの小学校段階のプログラミング教育の円滑な実

施に向け、教師が抱いている不安を解消し、安心し

て取り組めるようまとめたものです。本手引を参

照いただき、小学校段階のプログラミング教育の実

施に向けての準備や実践等に役立てていただくこ

とを期待しています。

以下、本手引について紹介いたします。

「小学校プログラミング教育の手引

(第一版)」

各教科等の目標・内容を踏まえた指導の考え

方第3章では、各教科等の目標・内容を踏まえた

指導の考え方を示しています。プログラミング教育

は、学習指導要領に例示した単元等に限定するこ

となく、多様な教科・学年・単元等において取り入

れることが可能です。各学校においては、工夫して

多様な教科・学年・単元等に適切に取り入れていく

ことが望まれます。

さらに、プログラミング教育は学校内外の様々な

場面でも実施することが考えられます。図4はプ

ログラミングに関する学習活動の分類の一例を示し

ています。これは、現在までに取り組まれた例を基

に分類を試みたものです。

A及びBは、学習指導要領に例示されているか、

いないかの違いはありますが、どちらも、各教科等

での学びをより確実なものとするための学習活動

としてプログラミングに取り組むものです。

図3 プログラミング的思考

問題を見いだす

既習の知識・技能等の活用

動きに対応した命令(記号)にする

※プログラミング的思考は、繰り返し学習することで高次に育つ

試行錯誤しながら継続的に改善する

必要な動きを分けて考える 組み合わせる

発達の段階

プログラミング的思考

意図した一連の活動の実現(学習課題)

問題の解決

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 10

これに対し、Cは、学校の裁量により、学習指導

要領に示されている各教科等とは別にプログラミン

グに関する学習を行うものです。この場合、児童の

負担過重とならない範囲で実施することが前提で

あることに留意する必要があります。また、プログ

ラミングに関する知識や技能を一定程度体系的に

学ぶことも考えられますが、児童がプログラミング

に取り組みやすくなるよう、必要に応じて各教科等

の内容と関連させるなど、各学校の創意工夫を生か

した取組が期待されます。

Dは、教育課程内で、クラブ活動など特定の児童

を対象として実施されるものです。

E及びFは、学校の教育課程に位置付くもので

はありませんが、地域や企業・団体等においてこれ

らの学習機会が豊富に用意され、児童の興味・関心

等に応じて提供されることが期待されるところであ

り、学校においても、児童の興味・関心等を踏まえ、

こうした学習機会について適切に紹介するなど、相

互の連携・協力を強化することが望まれます。

この学習活動の分類に基づき、初めてプログラミ

ング教育に取り組む教師でも無理なく取り組める

ような、教育課程内での具体的な指導例(分類A〜

D)を9例掲載しています。概要は次の通りです。

A①

プログラミングを通して、正多角形の意味を

基に正多角形をかく場面(算数

第5学年)

 

身の回りには電気の性質や働きを利用した

道具があること等をプログラミングを通して

学習する場面(理科

第6学年)

 

③ 「情報」を探究課題に設定した学習場面(総

合的な学習の時間)

B④

様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽

をつくることをプログラミングを通して学習

する場面(音楽

第3学年〜第6学年)

 

課題について探究して分かったことなどを 

発表(プレゼンテーション)する学習場面(総

合的な学習の時間)

C⑥

各教科等の学習を基に課題を設定し、プログ

ラミングを通して課題の解決に取り組む学

習を展開する例

 

各教科等の学習を基に、プログラミングを通

して表現したいものを表現する学習を展開

する例

 

プログラミング言語やプログラミングの技能

の基礎についての学習を実施する例

D⑨

コンピュータクラブ、プログラミングクラブな

どのクラブ活動の例

企業・団体や地域等との連携

プログラミング教育の充実を図る上で、企業・団

体や地域等と積極的に連携し協力を得ることは有

効です。また、カリキュラム・マネジメントの一側面

であるため、学校としての取組が求められ、更に教

育委員会における支援も重要です。

企業・団体や地域等の人々との連携・協力の形

態としては、講師(特別非常勤講師やゲストティー

チャー)として児童に直接指導を行う形態のほか、

教員研修の支援や授業支援を依頼するなど、多様

な在り方が考えられます。また、企業の技術者や団

体の講師の経験者など、プログラミングの技能に長

けた方や、指導経験が豊富な方ばかりではなく、地

域住民のボランティアや近くの高等学校の生徒等が

メンター(指導者、助言者)となる例もあるなど、協

力いただく人についても様々に考えられます。

本手引では、企業・団体、ICT支援員、ボラン

ティア、大学等と連携したり、学校放送番組を活用

したりする例を掲載しています。

図4 小学校段階のプログラミングに関する学習活動の分類(例)A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの

B 学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの

C 各学校の裁量により実施するもの(A、B及びD以外で、教育課程内で実施するもの)

D クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育課程内で実施するもの

E 学校を会場とするが、教育課程外のもの

F 学校外でのプログラミングの学習機会

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小学校プログラミング教育について

文部科学広報 No. 223 平成30年6月号11

未来の学びコンソーシアム

未来の学びコンソーシアム

文部科学省、総務省、経済産業省は、プログラミ

ング教育の普及・促進のため、教育・IT関連の企

業・ベンチャーなどとともに「未来の学びコンソーシ

アム」を平成29年3月に設立しました。

小学校段階のプログラミング教育の円滑な実施を

当面の課題として、民間企業・団体による教材開発

の促進や学校が外部人材を活用しやすくする人的

支援体制の構築等を推進していくこととしていま

す。以

下、未来の学びコンソーシアムが運営するポー

タルサイトについて紹介します。

プログラミング教育の具体的な指導事例の

紹介

未来の学びコンソーシアムの目的の一つであるプ

ログラミング教育の充実、普及促進の観点から、教

育現場がプログラミング教育を実施しようとする際

に参考となるプログラミング教育の実施事例を、分

類別に検索できるようにしたポータルサイトを立ち

上げました。

具体的な指導事例について、現在、

A:

学習指導要領に例示されている単元等で実

施するもの

において、次の4事例を掲示しています。

図5 小学校プログラミング教育の具体的な指導例 ※ 「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」に掲載されている指導例より作成

指導例(算数・第5学年・「正多角形の作図」) A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するものA-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面

スタートボタンがクリックされたとき

ペンを下ろす

3 回繰り返す

長さ 100 進む

右に 120 度曲がる↑※「右に60度曲がると」命令すると正しくかけない

●正三角形を正しくかくためのプログラム例

●正六角形を正しくかくためのプログラム例

正多角形について、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用いて作図できることを、プログラミングを通して確認するとともに、人にとっては難しくともコンピュータであれば容易にできることがあることに気付かせる。

(学習の位置付け)正多角形の単元において、正多角形の基本的な性質や、円と関連させて正多角形を作図することができることを学習した後に展開することが想定される。

(学習活動とねらい)学習活動としては、例えば、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用いて正多角形を作図するといった課題を設定し、定規と分度器を用いた作図とプログラミングによる作図の双方を試みるといったことが考えられる。はじめに、正六角形などを定規と分度器を用いて作図する

ことを試みさせ、手書きではわずかな長さや角度のずれが生じて、正確に作図することは難しいことを実感させる。次いで、プログラミングによる正方形の作図の仕方を学級全体で考え、個別又は少人数で実際にプログラミングをして正方形が正確に作図できることを確認した上で、プログラミングによる正三角形や正六角形などの作図に取り組む。児童は、手書きで正方形を作図する際の「長さ□cmの線

を引く」、「(線の端から)角度が90度の向きを見付ける」といった動きに、どの命令が対応し、それらをどのような順序で組み合わせればよいのかを考え(プログラミング的思考)、また、繰り返しの命令を用いるとプログラムが簡潔に書けることに気付いていく。そして、「正三角形をかこうとして60度(正六角形をかこ

うとして120度)曲がる」と命令すると正しくかくことができないのはなぜか、なぜ「正三角形のときは120度で、正六角形のときは60度でかける」のかといった疑問をもち、他の児童と話し合い試行錯誤することによって、図形の構成要素

に着目して、正多角形の角の大きさと曲がる角度との関係を見いだしていく。また、正三角形や正六角形だけでなく、正八角形や正十二角形など、辺の数が多い正多角形も繰り返しの回数や長さ、角度を通して考えてかいていく。さらに、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」

という正多角形の意味を用いて考察することにより、今までかいたこともない正多角形をかくことができることとともに、人が手作業でするのは難しかったり手間がかかりすぎたりすることでも、コンピュータであれば容易にできることもあるのだということに気付くことができる。

スタートボタンがクリックされたとき

ペンを下ろす

6 回繰り返す

長さ 50 進む

右に 60 度曲がる↑※「右に120度曲がると」命令すると正しくかけない

60度

60度

120度

120度

スタート

スタート

60度

60度

120度

120度

スタート

スタート

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 12

電気を無駄なく使うにはどうしたらよいかを考

えよう

⑵ 電気を効率よく使うにはどうしたらよいかを考

えよう

電気を効率よく使うにはどうしたらよいかを考

えよう

⑷正多角形をプログラムを使ってかこう

今後、事例の追加を行うなどサイトを充実してい

く予定です。

今後の取組

「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」に

ついては、今後の教材や各学校における実践の充実

を踏まえ、適時改訂していく予定です。

また、「未来の学びコンソーシアム」とも連携を図

りながら、本手引に示した指導例を踏まえたより具

体的な実践事例などについて情報提供していきま

すのであわせてご活用ください。

図6 未来の学びコンソーシアム

図7 未来の学びコンソ-シアムが運営するポータルサイト

●小学校プログラミング教育の手引(第一版)

http://ww

w.m

ext.go.jp/a_menu/shot

ou/zyouhou/detail/1403162.htm

未来の学びコンソーシアムが運営するポータルサ

イト

https://miraino-m

anabi.jp/

文科省 経産省総務省

◉ 文部科学省・総務省・経済産業省が連携して、教育・IT関連の企業・ベンチャーなどと共に、「未来の学びコンソーシアム」を立ち上げ(平成29年3月9日設立)、多様かつ現場のニーズに応じたデジタル教材の開発の促進や学校における指導に向けたサポート体制構築を推進。

◉ 当面、小学校プログラミング教育の充実・普及促進の実現に貢献すべく取組を推進。

●先進自治体の取組紹介●教材・コンテンツの紹介●実践指導事例の収集・紹介●教育委員会・学校と事業者のマッチング●ワークショップ(プログラム体験イベント等)の紹介 等

●全体の企画・進捗管理●小学校プログラミング教育の充実に向けた方策の検討 等

運営協議会

プラットフォームの構築

現場のニーズに応じた教材開発推進及び学校支援の実現

(コンソーシアム事務局)

コンソーシアム参画企業・団体

コンソーシアム参画企業・団体

事業者(教材開発)

事業者(外部人材)

教育委員会・学校

教育委員会・学校

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号13

平成30年5月9〜10日に学術総合センター(東

京都千代田区)にて「アクティブ・ラーニング&カリ

キュラム・マネジメントサミット2018」を開催し

ました。

今回、初めての試みではありましたが、全国の教

育委員会関係者、教員、教育サービス・出版関係等

の民間企業関係者など550人を超える方々の参

加をいただきました。

開催の趣旨

文部科学省では、平成29年3月に小・中学校、平

成30年3月に高等学校の新しい学習指導要領を公

示しました。新しい学習指導要領は平成32年度か

ら順次実施することとしており、子供たちが未来

を切り拓ひ

くために必要な資質・能力を確実に育成

することを目指し、現行学習指導要領の基本的な

枠組みを維持した上で、知識の理解の質を更に高

め、確かな学力を育成することとしています。その

上で、特に重視しているのが「主体的・対話的で深

い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)の視点か

らの授業改善」と「カリキュラム・マネジメントの実

現」です。

文部科学省では、新しい学習指導要領の趣旨を

円滑に実現するため、「教科等の本質的な学びを踏

まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指

導方法の改善のための実践研究」及び「これからの

時代に求められる資質・能力を育むためのカリキュ

ラム・マネジメントの在り方に関する調査研究」と

いう二つの委託事業を実施し、趣旨の具体化に向け

た取組を推進しています。

「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・

ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のた

めの実践研究」では、育成すべき資質・能力を教育

課程全体の中で育むために、教科等の本質的な学

びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点から、学

習・指導方法の不断の改善を図るための実践的な

調査研究(研究内容①育成すべき資質・能力の設

定、②育成すべき資質・能力を育むために必要な学

習・指導方法の開発、③評価規準の設定や評価方

法の工夫改善、④学校全体としての組織的な取組)

を行い、効果的な学習・指導方法の開発、優れた授

業実践や校内研修の実践に取り組むとともに、その

成果の普及を図ることとしています。

「これからの時代に求められる資質・能力を育む

ためのカリキュラム・マネジメントの在り方に関する

調査研究」では、各学校におけるカリキュラム・マネ

ジメントを支援するため、授業日数の見直し(長期

休業期間や土曜日の活用等)や弾力的な時間割編

成の在り方、教育効果を高めるための指導計画・教

材等の在り方について実践的な調査研究を行うこ

ととしています。

本サミットは、この二つの事業の研究成果を全国

に周知・普及することと、それらを有機的に関連付

けた講演の実施等により、双方の研究成果を共に

踏まえたより効果的な教育実践の実現を促すこと

で、新学習指導要領の趣旨の円滑な実現に向けた

取組を推進することを目的として開催しました。

開会の挨拶

開会に先立ち、文部科学省の白間竜一郎大臣官

房審議官より開会の挨拶が行われ、本サミットが新

学習指導要領の趣旨の実現に寄与するものとなる

よう、期待の言葉が述べられました。

趣旨説明

文部科学省初等中等教育局教育課程課の淵上孝

課長より本サミットの趣旨説明が行われ、新学習指

導要領の基本的な考え方を改めて共有するととも

に、その趣旨の円滑な実現に向けた本サミットの意

文部科学省初等中等教育局教育課程課

「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメント

サミット2018」実施報告

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 14

義を確認しました。

基調講演

千葉大学の天笠茂特任教授より、アクティブ・

ラーニングとカリキュラム・マネジメントが両輪と

なって機能していくことの重要性を中心に、新学習

指導要領の理念について中央教育審議会教育課程

部会長の立場から大局的な講演をいただきました。

研究発表

その後、「教科等の本質的な学びを踏まえたア

クティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法

の改善のための実践研究」及び「これからの時代に

求められる資質・能力を育むためのカリキュラム・

マネジメントの在り方に関する調査研究」を実際に

行った各地域からの研究発表が行われ、具体事例が

共有されました。

サテライトセッション

二日目は、サテライトセッションが行われ、各実

践地域の研究発表や掲示した研究成果等について、

各実践地域と来場者の間で活発なやりとりがなさ

れました。

特別講演

続いて、国文学研究資料館のロバート

キャンベル

館長による特別講演が行われ、古典研究の専門的

な話題などと関連させることにより、アクティブ・

ラーニングについてより多角的に掘り下げる視点の

提供がなされました。

基調講演の様子

サテライトセッションの様子

研究発表の様子研究発表の様子

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号15

パネルディスカッション

最後のセッションでは、文部科学省初等中等教育

局教育課程課教育課程企画室の白井俊室長をコー

ディネーターとして、来場者からの質問も交えたパ

ネルディスカッションが行われました。パネリストに

は、特別講演を行ったキャンベル館長に加え、独立

行政法人教職員支援機構の稲岡寛研修協力員、上

智大学総合人間科学部の奈須正裕教授、一般財団

法人実用英語推進機構の安河内哲也代表理事の4

名を迎え、アクティブ・ラーニングについて多岐にわ

たるテーマで各専門的見地より活発な議論が行わ

れました。

閉会の挨拶

文部科学省初等中等教育局の髙橋道和局長よ

り閉会の挨拶が行われ、全国各地から出席された

方々への御礼とともに、本サミットの成果も踏まえ、

新学習指導要領の趣旨の実現に向けた条件整備を

着実に進める旨の決意が述べられ、二日間にわたる

サミットが締めくくられました。

参加者を対象に実施したアンケートでは、回答

者の95%の方々がサミットに満足したと回答し、ア

クティブ・ラーニングとカリキュラム・マネジメントの

理解がより深まり、自分たちが抱える課題が明確

になった、知見が広がったという意見を多数いただ

きました。特に、具体的な事例を知る機会となり

励みになった、実際に研究を行った地域と直接交流

ができ、非常に有意義だったという声を多くいただ

き、本サミットの一番の目的であった全国の学校で

活用できる実践の共有が図られたことがうかがわ

れました。

本サミットが、より多くの地域や学校における効

果的な教育実践に資するよう、当日の様子及び資

料の一部を文部科学省のウェブサイトに掲載してい

ます。是非御活用ください。

〈http://w

ww

.mext.go.jp/a_m

enu/shotou/new

-cs/new/1403682.htm

○カリキュラム•マネジメント調査研究 実践地域

○アクティブ•ラーニング実践研究 実践地域

亀山市教育委員会 戸田市教育委員会岐阜大学教育学部附属小学校 群馬県教育委員会磐梯町教育委員会 中津市教育委員会目黒区教育委員会 国立大学法人香川大学宇治田原町教育委員会 国立大学法人静岡大学静岡県教育委員会 北海道教育委員会京都市教育委員会 国立大学法人秋田大学武雄市教育委員会 徳島県教育委員会大槌町教育委員会 山口県教育委員会千葉県教育委員会 三重県教育委員会大阪府教育委員会 京都市教育委員会鹿児島県教育委員会

パネルディスカッションの様子

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 16

平成30年5月24日(木)に平成30年度の「日本遺

産(Japan H

eritage)」として13件を認定する

とともに、「平成30年度日本遺産認定証交付式」を

行いました。

文化庁では5月24日、平成30年度「日本遺産

(Japan Heritage

)」として、北海道の「カムイと

共に生きる上川アイヌ

〜大雪山のふところに伝承

される神々の世界」など13件を認定するとともに、

東京ステーションホテルで「平成30年度日本遺産認

定証交付式」を行いました。

文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて

我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺

産(Japan Heritage

)」に認定するとともに、ス

トーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の

文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活

用し、国内外に戦略的に発信することにより、地

域の活性化を図っています。「日本遺産(Japan

Heritage

)」の認定は平成27年度から始まり、今

回の認定で「日本遺産(Japan H

eritage

)」は67

件(43道府県)となりました。

平成30年度「日本遺産

(Japan H

eritage

)」認定一覧

カムイと共に生きる上川アイヌ

〜大雪山のふと

ころに伝承される神々の世界〜(◎上川町、旭川

市、富良野市、愛別町、上士幌町、上富良野町、

鹿追町、士幌町、新得町、当麻町、東川町、比

布町)

山寺が支えた紅花文化(◎山形県(山形市、寒河

江市、天童市、尾花沢市、山辺町、中山町、河

北町))

③ 地下迷宮の秘密を探る旅

〜大谷石文化が息づく

まち宇都宮〜(宇都宮市)

明治貴族が描いた未来

〜那須野が原開拓浪漫

譚〜(◎那須塩原市、矢板市、大田原市、那須

町)

宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井

波(南砺市)

葡萄畑が織りなす風景

─山梨県峡東地域─

(◎山梨県(山梨市、笛吹市、甲州市))

星降る中部高地の縄文世界

─数千年を遡る黒

曜石鉱山と縄文人に出会う旅─(◎長野県(茅

野市、富士見町、原村、諏訪市、岡谷市、下諏

訪町、長和町、川上村)、山梨県(甲府市、北杜

市、韮崎市、南アルプス市、笛吹市、甲州市))

旅人たちの足跡残る悠久の石畳道

─箱根八里

で辿る遥かな江戸の旅路(◎三島市、函南町(静

岡県)、小田原市、箱根町(神奈川県))

⑨ 「百世の安堵」

〜津波と復興の記憶が生きる広川

の防災遺産〜(広川町)

⑩ 「桃太郎伝説」の生まれたまち

おかやま

〜古代

吉備の遺産が誘う鬼退治の物語〜(◎岡山市、倉

敷市、総社市、赤磐市)

瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町

〜セピア

色の港町に日常が溶け込む鞆の浦〜(福山市)

鬼が仏になった里「くにさき」(◎豊後高田市、国

東市)

古代人のモニュメント

─台地に絵を描く 

南国

宮崎の古墳景観─(◎西都市、宮崎市、新富町)

※◎は代表自治体

認定証交付式では、BS─

TBS「日本遺産」の

ナレーターである草刈正雄さんの進行によるオープ

ニングビデオの上映に始まり、林文部科学大臣の

祝辞(山崎文化財部長代読)、日本遺産のPRに

御尽力されている「日本遺産大使」(※)の活動紹

介、宮田文化庁長官による平成30年度「日本遺産

(Japan Heritage

)」認定地域に対する認定証の

交付、冨永愛さんによる平成30年度日本遺産のス

文化庁文化財部記念物課

平成30年度「日本遺産(Japan H

eritage

)」の

認定発表及び認定証交付式の開催

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号17

トーリー朗読、最後に関係者による記念撮影が行わ

れました。当日は海外のメディアを含め、70人を超

えるメディア関係者が集まりました。

【林文部科学大臣祝辞】

本日、平成30年度の日本遺産として認定された

自治体の皆様に心からお祝いを申し上げたいと思

います。

今年度の認定に向けては、全国45都道府県の

300を超える市町村から、76件の申請があり、日

本遺産への注目度の高まりを感じるとともに、その

活動が日本各地に広がっていることをうれしく思っ

ております。

文化財は、魅力あふれる地域づくりの資源となる

ものであり、地域の様々な文化財をまちづくりなど

に活い

かし、地域振興や観光振興などにもつなげてい

くことが期待されています。

日本遺産に認定されたことが皆様にとっての終

着点ではなく、日本遺産の取組を通じ、国内外の

多くの人に対して、地域の歴史・文化に根差したス

トーリーと文化財を体感いただき、楽しみや感動を

伝えていただきたいと思います。

【宮田文化庁長官コメント】

本日の認定証交付式に当たり、改めて、日本には

各地に大変すばらしいものがあると感じました。

皆様には認定されたことを大いに誇りに思ってい

ただくとともに、地域の固有の強み、特色を武器に

して、認定地域がお互いを意識しながら切せ

磋さ

琢たく

磨ま

し、国内のみならず世界を相手に地域の魅力を存

分に発信していただきたいと思います。

文化庁では皆様方の発信を集約して、世界へ発

信していきたいと思っています。

【冨永愛さんコメント】

私も世界の舞台で活動してきた中で、日本の文

化やスピリットを知るたびに驚かされ、深く興味を

持っています。私の立場で日本遺産を国内外に発

信していくお手伝いができればと思っています。

(※)日本遺産大使

武井 

咲、きゃりーぱみゅぱみゅ、松井 

秀喜、

マーティ・フリードマン、三國 

清三、村田 

吉弘、

中村 

時蔵

宮田文化庁長官の挨拶

日本遺産大使と宮田文化庁長官関係者による記念挨拶

冨永愛さんの挨拶マーティ日本遺産大使による日本遺産テーマソング発表

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 18

【日本遺産に関する情報発信】

文化庁では「日本遺産ポータルサイト」により、日

本遺産に関する情報を一元的に発信しています。

ポータルサイトでは、各認定地域の宿泊先・グル

メ・イベント等の情報や、各季節ならではの一押し

認定地域等、多数の情報を随時掲載していますの

で、是非御覧ください。

URL:https://japan-heritage.bunka.

go.jp/ja/

(「日本遺産ポータルサイト」で検索)

また、BS‐TBSにおいて、認定地域のストー

リー等を4Kカメラによる高精細な映像で紹介す

る番組「彩〜日本遺産〜」を放送しています。番組

ではナレーターを務める上白石萌音さんから、日本

遺産の魅力を語っていただいていますので、こちら

も是非御覧ください。

放送日:毎週水曜日夜9:54〜

平成 27、28、29年度日本遺産認定一覧

日本遺産ポータルサイト トップページ

(注)赤字は地域型(単独の自治体で完結するストーリー)、青字はシリアル型(複数の自治体にまたがるストーリー)

《27年度認定》①近世日本の教育遺産群 ─学ぶ心・礼節の本源─②かかあ天下 ─ぐんまの絹物語─③�加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち

高岡 ─人、 技、 心─④灯(あか)り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~⑤海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~⑥「信長公のおもてなし」が息づく 戦国城下町・岐阜⑦祈る皇女斎王のみやこ 斎宮⑧琵琶湖とその水辺景観 ─祈りと暮らしの水遺産⑨日本茶800年の歴史散歩⑩丹波篠山 デカンショ節 ─民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶⑪日本国創成のとき ─飛鳥を翔(かけ)た女性たち─⑫六根清浄と六感治癒の地 ~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラド

ン泉~⑬津和野今昔 ~百景図を歩く~⑭尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市⑮「四国遍路」 ~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~⑯古代日本の「西の都」 ~東アジアとの交流拠点~⑰国境の島 壱岐・対馬 ~古代からの架け橋~⑱相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~日本でもっとも豊かな隠れ里―人吉球磨~

《28年度認定》⑲政宗が育んだ“伊達”な文化⑳ 自然と信仰が息づく『生まれかわりの旅』 ~樹齢300年を

超える杉並木につつまれた2,446段の石段から始まる出羽三山~㉑会津の三十三観音めぐり ~巡礼を通して観た往時の会津の文化~㉒未来を拓いた「一本の水路」 ─大久保利通“最期の夢”と開拓者の軌跡 郡山・猪苗

代─㉓北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み ─佐倉・成田・佐原・銚子:百万都市江戸を支えた江戸

近郊の四つの代表的町並み群─㉔江戸庶民の信仰と行楽の地 ~巨大な木太刀を担いで「大山詣り」~㉕「いざ、鎌倉」~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~㉖「なんだ、コレは!」 信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化㉗『珠玉と歩む物語』小松 ~時の流れの中で磨き上げた石の文化~㉘木曽路はすべて山の中 ~山を守り山に生きる~㉙飛騨匠の技・こころ ─木とともに、今に引き継ぐ1300年─㉚『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」 ~古代国家を支えた海人の営み~㉛森に育まれ、森を育んだ人々の暮らしとこころ ~美林連なる造林発祥の地“吉野”~㉜鯨とともに生きる㉝地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市㉞出雲國たたら風土記 ~鉄づくり千年が生んだ物語~㉟鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ~日本近代化の躍動を体感できるまち~㊱“日本最大の海賊”の本拠地:芸予諸島 ─よみがえる村上海賊 “Murakami KAIZOKU”の記憶─㊲日本磁器のふるさと 肥前 ~百花繚乱のやきもの散歩~

《29年度認定》㊳江差の五月は江戸にもない ─ニシンの繁栄が息づく町─㊴荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~㊵サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ㊶和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田㊷忍びの里 伊賀・甲賀 ─リアル忍者を求めて─㊸300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊㊹1400年に渡る悠久の歴史を伝える 「最古の国道」 ~竹内街道・横大路(大道)~㊺播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道 ~資源大国日本の記憶をたどる73 kmの轍~㊻絶景の宝庫 和歌の浦㊼「最初の一滴」醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅㊽日が沈む聖地出雲 ~神が創り出した地の夕日を巡る~㊾一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~和と洋が織りなす繊維のまち~㊿きっと恋する六古窯 ─日本生まれ日本育ちのやきもの産地─○51森林鉄道から日本一のゆずロードへ ─ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化─○52関門“ノスタルジック”海峡 ~時の停車場、近代化の記憶~○53米作り、二千年にわたる大地の記憶 ~菊池川流域「今昔『水稲』物語」~○54やばけい遊覧 ~大地に描いた山水絵巻の道をゆく

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号19

文部科学省国際統括官付(日本ユネスコ国内委員会事務局)

日本ユネスコ国内委員会の取組~広報大使任命式と我が国のユネスコ活動について~

日本ユネスコ国内委員会広報大使任命式を開催しました

日本ユネスコ国内委員会では、我が国のユネスコ活動について分かりやすく情報発信を行い、広く国民の皆様に関心を持っていただくことを目的に「日本ユネスコ国内委員会広報大使」(以下、「広報大使」)を任命し、平成30年5月11日に文部科学省情報ひろばラウンジにて任命式を開催いたしました。

今回任命された広報大使は、さかなクン(東京海洋大学名誉博士・客員准教授)、平野啓子さん(語り部・かたりすと)、そして末吉里花さん(エシカル普及活動家)のお三方です。広報大使は日本ユネスコ国内委員会会長が任期2年(再任有)で任命します。任期中は、ユネスコ活動の普及・促進のための様々な広報活動を行っていただきます。

任命式のはじめに、日本ユネスコ国内委員会の安西祐一郎会長から「(お三方の)それぞれの専門性と発信力を存分に生かし、ユネスコ活動を、より広く、より多くの方に届けていただくことを期待しております。」と述べられました。

【次ページへ続く】

左から平野さん、さかなクン、末吉さん

安西会長から任命証を受け取った末吉さん

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 20

  【前ページから】続いて同委員会の川端事務総長

(文部科学省国際統括官)から、お三方の略歴と今回任命された理由が述べられました。

お名前を呼ばれたさかなクンが「ギョギョッ!」と驚きの声をあげて立ち上がる場面もあり、和やかな雰囲気で式が進みました。

続いて、安西会長から広報大使へ任命証が交付されました。今後の活動について、さかなクンは

「お魚のことを通して、ユネスコ活動とESD(持続可能な開発のための教育)を子供たちに伝えていきたい」と意気込みを語り、この日のために即興で描いたというイラストを披露しました。

また、平野さんは「“ 語り”を通して、日本の美しさ、日本の文化、日本の心を子供たちに伝えていきたい」、末吉さんは「ユネスコ活動の未来を担う子供たちや若者たちとともに、社会変革の担い手となれるような様々なチャレンジに取り組みたい」と、熱意に満ちた抱負を述べられました。

当日の模様は次のURLより御覧いただけます。文部科学省HP「今日の出来事」(http://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2018/20180511_2 .htm)文部科学省YouTubeチャンネル「MextChannel」(https://www.youtube.com/watch?v=YMisCzL5DpE)

今後の抱負を述べる平野さん

直筆のイラストを披露するさかなクン

川端事務総長(右)の呼びかけに、元気良く立ち上がるさかなクン(中央)

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号21

ユネスコと日本ユネスコ国内委員会

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の福祉の促進を目的とした国連の専門機関です。ユネスコ憲章前文の「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という一文は有名です。

我が国では、ユネスコ設立から間もない1947年、ユネスコ憲章の精神に共鳴した仙台の地元有志により、世界初の民間ユネスコ団体が発足し、その後日本各地に多数のユネスコ協会が設立されました。こうした民間主導の動きにも押されて、我が国は、1951年にユネスコに加盟しました。その翌年、文部科学省に「日本ユネスコ国内委員会」が設置され、国内の専門家や関係機関と協力して、我が国のユネスコ活動(ユネスコの目的を実現するために行う活動)の促進等に取り組んでいます。

我が国の主なユネスコ活動 (教育分野)

日本ユネスコ国内委員会は、ユネスコの教育分野の取組促進に向け、持続可能な開発のための教育(ESD)の国内の普及・推進に努めるとともに、国連ESDの10年(2005-2014)の提唱国として、世界をリードする取組を行っています。また、ESDの推進等を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の17ゴール達成に取り組んでいます。また、高等教育段階を対象とした事業の一例として、ユニツイン/ユネスコチェアがあります。

■持続可能な開発のための教育(ESD)我が国は、国連ESDの10年(2005-2014)を提唱して以来、ユネスコへの信託基金や、様々な国内施策を通じて、持

続可能な社会の担い手づくりを育む教育であるESDの推進に取り組んでいます。具体的には、ESDの推進に資する提言の策定等を行うとともに、多様なステークホルダーの連携により、地域一体でESDを「広める」取組や、テーマを定めてESDを「深める」取組を推進しています。

■SDGs 達成への取組SDGsの教育分野の達成に向け、ユネスコが中心

的な役割を担う教育2030行動枠組みの実施に向け、我が国は様々な形で協力しています。また、ユネスコ・バンコク事務所への拠出金を通じて、アジア・太平洋地域の教育分野でのSDGs達成に貢献しています。

■ユネスコスクールユネスコの理想を実現するため、平和や国際的な

連携を実践する学校です。世界181か国で11 ,000校以上、国内では1,033校(平成30年2月時点)の学校がユネスコの認定を受けています。日本ではユネスコスクールをESDの推進拠点とし、様々な支援を通じてESDの普及・深化に取り組んでいます。

■ユニツイン/ユネスコチェアユニツイン/ユネスコチェアは、知の交流と共有を通じて、高等教育機関及び研究機関の能力向上を目的とするプロ

グラムです。現在、全世界で700機関以上、国内では京都大学(斜面災害・水災害に関する研究・教育ネットワーク)や島根大学(地球環境災害軽減ユネスコチェア)等の9機関が認定されています。

【次ページへ続く】

ミャンマーにおける中学校段階のノンフォーマル教育施設で学ぶ学生© UNESCO Bangkok / Hyunjeong Lee

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 22

  【前ページから】

我が国の主なユネスコ活動 (自然科学、人文・社会科学分野)

日本ユネスコ国内委員会では、 政府間海洋学委員会(IOC)、国際水文学計画(IHP)といった国際協力事業の推進や、ユネスコエコパーク、ユネスコ世界ジオパークといった登録事業に参加しています。これらの取組を通じ、人々の生活と自然の調和や海洋・水環境の保全を推進することで、SDGs達成に貢献することとしています。

■政府間海洋学委員会( IOC)本委員会は、国際協力により海洋資源の合理的管理のために科学的基礎を提供することを目的とするものです。総

会は2年に一度、執行理事会は毎年開催され、我が国のナショナルコミッティであるIOC分科会の主査を中心に専門家として派遣し対応を行っています。

■国際水文学計画( IHP)本計画は、国際協力による水資源の最適な管理のための科学的基盤の提供を目的とする事業で、我が国は36か国か

らなる政府間理事会のメンバーです。政府間理事会は2年に一度開催され、我が国のナショナルコミッティであるIHP分科会の主査を中心に専門家として派遣し対応を行っています。

■人間と生物圏(MAB)計画本計画では、生物多様性の保護と持続可能な自

然と人間との共生を目指す活動を推進しています。活動の一環として、ユネスコが認定する生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)において、生態系の保全と持続可能な利活用の調和に向けた実践が各地で行われています。ユネスコエコパークは世界で660地域以上、国内では志賀高原や南アルプス等の9か所が登録されています。

■ユネスコ世界ジオパークユネスコ世界ジオパークは、国際的な地質学的重

要性を有する地層、岩石、地形、火山、断層などの地質遺産を保護し、科学・教育・地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業です。ユネスコ世界ジオパークは世界で140か所、国内では伊豆や隠岐等の9か所が登録されています。

【次ページへ続く】

ユネスコエコパーク(森林セラピーツアー©宮崎県日之影町)

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号23

(参考リンク集)■我が国のユネスコ活動について〇日本ユネスコ国内委員会事務局(文部科学省内)ウェブサイト  http://www.mext.go.jp/unescoFacebook  http://www.facebook.com/jpnatcom■持続可能な開発のための教育(ESD)についてESDポータルサイト http://www.esd-jpnatcom.mext.go.jp/Facebook  https://www.facebook.com/esd.jpnatcom

  【前ページから】

我が国の主なユネスコ活動(文化及び情報・コミュニケーション分野)

日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコ創造都市ネットワーク等の事業を通じて、文化分野に関する事業を実施しているほか、ユネスコの情報・コミュニケーション局が行う「世界の記憶」事業への協力を行っています。

■ ユネスコ・クリエイティブシティーズネットワーク(ユネスコ創造都市ネットワーク)について本事業は、文学、音楽、芸術などの分野において、創造性(creativity)を核とした都市間の国際的な連携によって、

地域の創造産業の発展を図り、都市の持続可能な開発を目指す事業です。世界で180都市以上、国内では浜松市や金沢市等の8都市が認定されています。

■「世界の記憶」本事業は、世界的に重要な記録物(手書き原稿、書籍、新聞、ポスター、図画、地図、音楽、フィルム、写真等)への

認識を高め、保存やアクセスを促進することを目的とするもので、1992年に開始されました。国際登録は420件以上で、日本関連とされている物件として「上野三碑」等の7件があります。

文化分野に関する我が国での主な取組には、上記の日本ユネスコ国内委員会における取組以外に、世界遺産と無形文化遺産に関するものがあります。

■世界の文化・自然遺産保護に関する協力我が国は、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約を平成4(1992)年に批准しました。無形文化遺産の

保護に関する条約については、平成16(2004)年に受託し、平成18(2006)年に発効しています。

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 24

国民の間に広く子供の読書活動について関心と理

解を深め、子供が積極的に読書活動を行う意欲を高

めるために、第四次「子供の読書活動の推進に関す

る基本的な計画」を策定し、「子どもの読書活動推進

フォーラム」を開催しました。

子供の読書活動の推進

読書は、子供にとって、言葉を学び、感性を磨

き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人

生をより深く生きる力を身に付ける上で欠かせな

いものです。

「子どもの読書活動の推進に関する法律」は、「子

供の読書活動の推進に関する基本的な計画」を策

定・公表すること、4月23日を「子ども読書の日」

とすること、国及び地方公共団体が子ども読書の日

の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなけ

ればならないこと等を定めています。そのことによ

り、国民の間に広く子供の読書活動について関心と

理解を深めるとともに、施策の総合的かつ計画的な

推進を図り、もって子供の健やかな成長に資するこ

とを目的としています。

第四次「子供の読書活動の推進に関する

基本的な計画」の策定

「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づ

き、平成30年4月20日に第四次「子供の読書活動の

推進に関する基本的な計画」が閣議決定されまし

た。こ

れまでの計画により、児童用図書の貸出冊数の

増加、全校一斉読書活動を行う学校の割合の増加

などの状況が見られるとともに、小中学生の「不読

率(1か月に1冊も本を読まない子供の割合)」に

改善傾向が見られるといった成果が得られました。

また、学校図書館法の改正、学習指導要領の改訂

が行われるなど、読書活動の環境の整備が推進され

ました。一方で、高校生の不読率は依然高い傾向

にあり、各世代に関して効果的な取組を進めること

の重要性が確認されました。

高校生の不読率が高いことを受けて文部科学省

で調査を行ったところ、読書を行っていない高校生

は、①中学生までの読書習慣の形成が不十分である

者、②高校生になり読書への関心度合いの低下が見

られる者に大別されることが分かりました。また、

③スマートフォンの普及等による子供の読書環境へ

の影響の可能性があることが明らかになりました。

これらを踏まえ、今回の計画では、①読書習慣の

形成に向けて、乳幼児期における読み聞かせや高校

生期の知的好奇心に応じた読書など、読書習慣の

形成に向けた発達段階ごとの効果的な取組を推進

すること、②「子ども司書」やビブリオバトルなど、

友人同士で本を薦め合うなど読書への関心を高め

る取組を充実させること、③スマートフォンをはじ

めとした情報環境の変化が子供の読書環境に与え

る影響に関する実態把握や分析等を実施すること

としております。

そして今回の計画を効果的に推進するため、国、

都道府県、市町村が、それぞれの役割を踏まえ、学

校、図書館、民間団体、民間企業等の様々な機関

と連携し、各種取組を充実・促進していくこととし

ています。また、「ブックスタート」や「家う

読どく

」をはじ

めとした、家庭、地域、学校等における具体の取組

文部科学省生涯学習政策局青少年教育課

子供の読書活動の推進〜4月23日は「子ども読書の日」〜

平成30年度「子ども読書の日」啓発ポスター

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号25

についても定めており、それぞれが連携・協力して、

社会全体で子供の読書活動を推進する取組を進め

ていくこととしております。

子どもの読書活動推進フォーラムの開催

文部科学省では、国民の間に広く子供の読書活

動について関心と理解を深め、子供の読書活動を推

進するために、独立行政法人国立青少年教育振興

機構との共催で、「子ども読書の日」(4月23日)に、

「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催し、併せ

て、文部科学大臣表彰の表彰式を行っております。

本年度は、約400名の方々の参加のもと、主催

者を代表して水落敏栄文部科学副大臣が挨拶し、

来賓の「子どもの未来を考える議員連盟」の河村建

夫会長から御祝辞を頂きました。

続いて、優れた取組を行っている学校、図書館

及び団体(個人)を表彰するため、平成14年から始

まった文部科学大臣表彰では、優秀実践校136

校、優秀実践図書館47館、優秀実践団体(個人)53

団体(名)が表彰されました。

式典では、各部門の代表として4団体に対して、

表彰状の授与が行われました。

•羽生市立羽生南小学校(埼玉県)

•茅野市立北部中学校(長野県)

•横浜市鶴見図書館(神奈川県)

•原 

庚徳 

氏(山梨県)

また、絵本作家のとよたかずひこ氏から、「小さ

な人たちへの応援歌」をテーマに紙芝居等もまじえ

て特別講演をいただきました。

事例発表と対談では、代表として表彰を受けた

4団体の代表が「これからの読書活動に期待するこ

と」をテーマに、これまでの取組についての事例発表

や、その実施に当たっての実情や理念などについて

対談を行いました。コーディネーターの秋田喜代美

氏からは、読み聞かせなどにとどまらない、子供の

主体的な読書活動を推進することの重要性につい

てお言葉をいただきました。

文部科学省では引き続き都道府県及び市町村と

連携し、図書館の機能強化や学校図書館の充実等、

家庭、地域、学校における子供の読書活動の推進の

ための取組を実施してまいります。

平成30年度「子ども読書の日」啓発ポスター

平成30年度「子どもの読書活動推進フォーラム」文部科学大臣表彰

特別講演を行うとよたかずひこ氏

表彰式での原庚徳氏㊧、水落文科副大臣㊨

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 26

平成30年春の叙勲

平成30年春の叙勲が 4月29日付で発令され、4,151名に授与されました。文部科学省関係の受章者は、726名で、大綬章勲章親授式及び重光章勲章伝達式は 5月8日、皇居において、中綬

章等勲章伝達式は 5月11日、東京都千代田区の国立劇場大劇場において、それぞれ行われました。文部科学省関係の大綬章・重光章受章者は次の方々です。

◆瑞宝大綬章・3名◇佐々木 毅(ささき たけし) 東京大学名誉教授、元 東京大学長◇平野 眞一(ひらの しんいち) 名古屋大学名誉教授、元 名古屋大学長◇吉本 高志(よしもと たかし) 東北大学名誉教授、元 東北大学長◆旭日重光章・1名

◇新家 莊平(しんか そうへい) (学)兵庫医科大学理事長

◆瑞宝重光章・5名◇小島 陽(こじま よう) 長岡技術科学大学名誉教授、 元 長岡技術科学大学長◇能勢 隆之(のせ たかゆき) 鳥取大学名誉教授、元 鳥取大学長◇長谷川 彰(はせがわ あきら) 新潟大学名誉教授、元 新潟大学長、 元 新潟工科大学学長◇平山 健一(ひらやま けんいち) 岩手大学名誉教授、元 岩手大学長◇本田 雄一(ほんだ ゆういち) 島根大学名誉教授、元 島根大学長、 元 島根県立大学長

平成30年春の叙勲勲章伝達式

文部科学省大臣官房人事課

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号27

文部科学省大臣官房人事課

平成30年春の褒章伝達式

平成30年春の褒章

平成30年春の褒章が4月29日付けで発令され、

693名22団体に授与されました。うち、文部科

学省関係の受章者は48名で、5月15日、文部科学

省3階講堂において伝達式が行われました。受章

者は以下の方々です。

◆紫綬褒章・28名

◇御厨 

貴(みくりや 

たかし)

 

東京大学名誉教授 

日本政治外交史

◇ツァイ 

ヅァオシェン(蔡 

兆申)

 

東京理科大学教授

 

日本電気(株)中央研究所スマートエネル

ギー研究所主席研究員 

量子情報科学

◇永長 

直人(ながおさ 

なおと)

 

東京大学教授 

物性理論

◇尾崎 

幸洋(おざき 

ゆきひろ)

 

関西学院大学名誉教授 

分子分光学

◇河西 

春郎(かさい 

はるお)

 

東京大学教授 

神経科学・生理学

◇濡木 

理(ぬれき 

おさむ)

 

東京大学教授 

構造生物学

◇中村 

太士(なかむら 

ふとし)

 

北海道大学教授 

生態系管理学

◇小川 

誠司(おがわ 

せいし)

 

京都大学教授 

腫瘍学

◇井上 

淳也(いのうえ 

じゅんや)

 

シスメックス(株)クリニカルイノベーション本部

部長

◇尾上 

誠蔵(おのえ 

せいぞう)

 

元(株)NTTドコモ取締役常務執行役員

(CTO) 

R&Dイノベーション本部長

◇小池 

雅人(こいけ 

まさと)

 

元(独)日本原子力研究開発機構量子ビーム応

用研究部門研究主席

◇金馬 

慶明(こんま 

よしあき)

 

パナソニック(株)要素技術開発センター主幹

技師

◇寺西 

信一(てらにし 

のぶかず)

 

日本電気(株)マイクロエレクトロニクス研

究所ULSI応用研究部部長

◇小平 

奈緒(こだいら 

なお)

 

スピードスケート選手

◇髙木 

美帆(たかぎ 

みほ)

 

スピードスケート選手

◇菊池 

彩花(きくち 

あやか)

 

スピードスケート選手

◇佐藤 

綾乃(さとう 

あやの)

 

スピードスケート選手

◇髙木 

菜那(たかぎ 

なな)

 

スピードスケート選手

◇羽生 

結弦(はにゅう 

ゆづる)

 

フィギュアスケート選手

◇村岡 

桃佳(むらおか 

ももか)

 

アルペンスキー選手

◇新田 

佳浩(にった 

よしひろ)

 

クロスカントリースキー選手

◇成田 

緑夢(なりた 

ぐりむ)

 

スノーボード選手

◇米山 

峰夫(よねやま 

みねお)

 (筆名 

夢枕 

獏)小説家

◇中村 

恩恵(なかむら 

めぐみ)

 

舞踊家

澤 

明子(あしざわ 

あきこ)

 

撮影監督

◇小曾根 

眞(おぞね 

まこと)

 (芸名 

小曽根 

真)ジャズ・ピアノ演奏家

◇小林 

光一(こばやし 

こういち)

 

囲碁棋士

◇小川 

進一(おがわ 

しんいち)

 (芸名 

中村 

歌六)歌舞伎俳優

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文部科学広報 No. 223 平成30年6月号 28

◆藍綬褒章・9名

◇松井 

基純(まつい 

もとずみ)

 (学)羽衣学園理事長

◇森本 

純生(もりもと 

よしお)

 (学)高崎商科大学理事長

◇滝川 

嘉彦(たきかわ 

よしひこ)

 (学)滝川学園理事長

◇坪光 

正躬(つぼこう 

まさちか)

 

元(学)大阪明星学園理事長

◇樫村 

文夫(かしむら 

ふみお)

 (学)のぞみ学園理事長

◇小林 

一博(こばやし 

かずひろ)

 (学)森本学園理事長

◇江畠 

清彦(えばた 

きよひこ)

 (学)敬愛学園理事長

◇松嶋 

康晴(まつしま 

やすはる)

 (学)聖山学園理事長

◇山岡 

伸行(やまおか 

のぶゆき)

 (号 

山岡 

哲山)

 

愛国詩吟総連盟理事長

 (一財)全日本吟詠剣詩舞道連合会副理事長

◆黄綬褒章・10名

◇川崎 

勝久(かわさき 

かつひさ)

 

川崎尚古堂代表者

◇坂本 

典三郎(さかもと 

のりさぶろう)

 (有)坂本屋代表取締役

◇長沢 

義博(ながさわ 

よしひろ)

 

長沢商店代表者

◇中野 

弘道(なかの 

ひろみち)

 (有)焼津谷島屋社長

◇山田 

尚司(やまだ 

なおじ)

 

きぬや書店代表者

◇吉田 

矩康(よしだ 

のりやす)

 (有)吉田謙受堂代表取締役

◇宮坂 

四志男(みやさか 

よしお)

 (株)不二機販代表取締役

◇鴨治 

欽吾(かもじ 

きんご)

 

歌舞伎床山

◇渡邉 

和夫(わたなべ 

かずお)

 

浮世絵木版画彫摺技術者

◇徳村 

盛市(とくむら 

せいいち)

 

文化財庭園保存技術者

◆緑綬褒章・1名

◇島野 

田鶴子(しまの 

たづこ)

 

社会奉仕活動

Page 31: Society 5.0に向けた人材育成 小学校プログラミング教育につ …Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~ 特集2 小学校プログラミング教育について

文部科学広報 平成30年6月号 No.223

(発行・著作)文部科学省大臣官房総務課広報室〒100–8959 東京都千代田区霞が関3–2–2TEL: 03–5253–4111(代表)URL: http://www.mext.go.jp/E-mail: [email protected]