space-time continuum

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Section 1/60 3000 外の世界の一秒 T=1 空間内の見立て時間 Δt=1 T=1 Δt=0.9 T=1 Δt=0.8 T=1 Δt=0.7 T=1 Δt=0.6 T=1 Δt=0.5 T=1 Δt=0.4 T=1 Δt=0.3 T=1 Δt=0.1 「時の終焉」 T=1 Δt=0 entrance T=1 Δt=0.2 20000 3000 2700 2400 50 50 50 2100 1800 1500 1200 900 600 300 50 50 50 50 50 50 3050 壁:拡散面発光アクリル板 『時とは関係性である』 時間と空間は、両者を完全に独立のパラメータと扱うことはできません。 時間と空間は、一体となって伸び縮みする性質をもっています。 私たちが住む世界は3つの空間次元に、1つの時間次元をもつ4次元空間であり、連動して伸び縮みする時間と空間 は一体のものとみなされ、両者をまとめて時空連続体(Space-Time Continuum)と呼ばれています。 時とは、絶対時間が存在するわけではなく、相対的であり見る立場によって異なるものであるならば、 「時間や空間は絶対的でなく、その中に同時に存在してるヒトやモノとの関係性」ということが言えると思います。 作品は時空の変化を体感できるインスタレーションとしています。 高さ3m、全長20mの通路型となっており、内部は、もし観測者が亜光速で動いたら時空はどうみえるか? を可視化した作品です。奥に進むにつれ壁の時計盤(秒針のみ)の動きが遅くなっていきます。 最奥の部屋は「時の終焉」を体現しています。 S P A C E - T I M E C O N T I N U U M 「時空」 ニュートン力学においては時間は全宇宙で同一だが、アインシュタインの相対性理論ではそうではありません。 20世紀にいたるまで、時間というのは誰にとっても同じだと考えられていました。 しかし、アインシュタインの特殊相対性理論によれば、時間の進み方は観測者の置かれた慣性系によって異なってきます。 特殊相対論によって時間と空間は別のものではなく、統一的なミンコフスキー空間をなしていることを示しています。 ニュートン力学 特殊相対性理論 光速度不変の原理 同時の相対性 時空の概念 「外観」 時間は連続的なものであると一般的に考えられていますが、マックス・プランクは測定することのできる 「最小の時間単位」があることを示し、これはプランク時間と呼ばれています。 時(時空)を形として表現するならば、滑らかではなく、不連続なものの連なりであると考えます。 相対性理論によると、観測者から見た運動速度が速いほど、時計の進み方が遅くなり、物体の長さは短くなります。 特殊相対性理論から、その系における時間の流れを示す式は、 これがローレンツ変換による帰結となっています。 Δt' = 1 - (v/c) Δt 2 時間の遅い領域が赤くなっていくということは、光の波長がのびていることを表しています。 一般的にはドップラー効果で説明されるように、近づく物体は青くみえ、離れる物体は赤くみえます。 さらに時間が遅れている効果により、光の波長が引きのばされ赤くなっていく現象も起こるため、作品内でもその現象を 拡散面発光アクリル板とLEDを組み合わせて可視化しています。 絶対時間と絶対空間 「時の終焉」 最奥の部屋は真っ暗闇で無音となっています。ここは無響室という部屋としています。 天井、床、四面の壁は、全面に吸音物質で作られた三角錐や四角錐の形をしたものが植えられ、これらが音を吸収し、その形状から吸 収しきれない反射波は外部に向かうことなく同じ吸音材に向かいそこで吸収される、さらにこれを繰り返す構造となっています。 時間が停止すると、空間中の光も空気も停止するわけだから、光は目に飛び込んでこないし音を伝える空気の振動は鼓膜を震わせず、 有態にいえば何も見えず、何も聞こえないという状態になります。全く音の反射のない世界です。 部屋内で静かに佇んでいると暗順応してきますが、壁にぼんやりと時を刻まない、凍った時計盤が見えてきます。 人間が暗闇、無音のなかにいると自身の心臓の鼓動を強く感じとれるそうです。 自分自身の存在と時の関係性を感じ取ってもらいたいと思います。

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Section 1/60

3000

外の世界の一秒T=1

空間内の見立て時間Δt=1

T=1Δt=0.9

T=1Δt=0.8

T=1Δt=0.7

T=1Δt=0.6

T=1Δt=0.5

T=1Δt=0.4

T=1Δt=0.3

T=1Δt=0.1

「時の終焉」T=1Δt=0

entrance T=1Δt=0.2

200003000 2700 2400 505050 2100 1800 1500 1200 900 600 30050 50 50 50 50 50 3050

壁:拡散面発光アクリル板

『時とは関係性である』時間と空間は、両者を完全に独立のパラメータと扱うことはできません。時間と空間は、一体となって伸び縮みする性質をもっています。私たちが住む世界は3つの空間次元に、1つの時間次元をもつ4次元空間であり、連動して伸び縮みする時間と空間は一体のものとみなされ、両者をまとめて時空連続体(Space-Time Continuum)と呼ばれています。時とは、絶対時間が存在するわけではなく、相対的であり見る立場によって異なるものであるならば、「時間や空間は絶対的でなく、その中に同時に存在してるヒトやモノとの関係性」ということが言えると思います。作品は時空の変化を体感できるインスタレーションとしています。高さ3m、全長20mの通路型となっており、内部は、もし観測者が亜光速で動いたら時空はどうみえるか?を可視化した作品です。奥に進むにつれ壁の時計盤(秒針のみ)の動きが遅くなっていきます。最奥の部屋は「時の終焉」を体現しています。

S P A C E - T I M E C O N T I N U U M

「時空」ニュートン力学においては時間は全宇宙で同一だが、アインシュタインの相対性理論ではそうではありません。20世紀にいたるまで、時間というのは誰にとっても同じだと考えられていました。しかし、アインシュタインの特殊相対性理論によれば、時間の進み方は観測者の置かれた慣性系によって異なってきます。特殊相対論によって時間と空間は別のものではなく、統一的なミンコフスキー空間をなしていることを示しています。

ニュートン力学 特殊相対性理論光速度不変の原理同時の相対性時空の概念

「外観」時間は連続的なものであると一般的に考えられていますが、マックス・プランクは測定することのできる「最小の時間単位」があることを示し、これはプランク時間と呼ばれています。時(時空)を形として表現するならば、滑らかではなく、不連続なものの連なりであると考えます。

相対性理論によると、観測者から見た運動速度が速いほど、時計の進み方が遅くなり、物体の長さは短くなります。特殊相対性理論から、その系における時間の流れを示す式は、

これがローレンツ変換による帰結となっています。

Δt' = 1 - (v/c) Δt2

時間の遅い領域が赤くなっていくということは、光の波長がのびていることを表しています。一般的にはドップラー効果で説明されるように、近づく物体は青くみえ、離れる物体は赤くみえます。さらに時間が遅れている効果により、光の波長が引きのばされ赤くなっていく現象も起こるため、作品内でもその現象を拡散面発光アクリル板とLEDを組み合わせて可視化しています。

絶対時間と絶対空間

「時の終焉」最奥の部屋は真っ暗闇で無音となっています。ここは無響室という部屋としています。天井、床、四面の壁は、全面に吸音物質で作られた三角錐や四角錐の形をしたものが植えられ、これらが音を吸収し、その形状から吸収しきれない反射波は外部に向かうことなく同じ吸音材に向かいそこで吸収される、さらにこれを繰り返す構造となっています。時間が停止すると、空間中の光も空気も停止するわけだから、光は目に飛び込んでこないし音を伝える空気の振動は鼓膜を震わせず、有態にいえば何も見えず、何も聞こえないという状態になります。全く音の反射のない世界です。部屋内で静かに佇んでいると暗順応してきますが、壁にぼんやりと時を刻まない、凍った時計盤が見えてきます。人間が暗闇、無音のなかにいると自身の心臓の鼓動を強く感じとれるそうです。自分自身の存在と時の関係性を感じ取ってもらいたいと思います。