spirit - index · created date: 10/8/2006 11:20:35 pm

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「小学校英語必修化」 とい う中間答 申が、中教審外国語部会から出され ま した。 これまで 「総合学習 ・国際 理解」教育の枠内で進められてきた 英会話活動 は、各校 で頻度や内容が 千差万別 なことか ら中学 での混乱 が 必至のため、全国一 律に必修化する、という提案です。 小学校英語推進の背景には、グローバル化による 「英語優位主義」 的発想、「親の英語 コンプ レックス 」、さらに財界 か らの要請があり ます。これ らが相 まって政治 を動か し怒涛の如 くなっているの を食 ぃ止めるのは至難ですが、小学校段階での英語導入について根本的 な問題があることだけは知 って欲 しいと考 え、『危 うし ′ 学校英 語』 (文 春新書)を刊行 しました。簡単に要約すると、三つの点に集 約 されます。 に、正確 な現状把握な しに進 む危 うさです。1 9 8 9 年 学習指導 要領改訂以来、学校英語教育 は会話中心に大 きく舵 を切 ったことを 知 らず、「読み書きは かりやるから学校はダメだ」 と批半」する人の何 と多いことか。「T O E F L ス コアが低 い 」 とい うことが騒がれていま すが、 マスコミをはじめ誰 も 「 スコアの何が低 いのか」 を知ろうと しません。 リスニングよりも読み書 きが弱い、足 を引っ張 っている のは 「 コミュニ ションに使 える英語」 を学んだはずの若い世代 経済学部「坂本雅士ゼミ」 小学校英語必修化は、なぜ危ういのか (前 編) 鳥飼 玖美子 (経 営学部/異文化 コミュニ ケーション研究科教授) であること、などの事実を分析 しないまま、 リスニング ・テス トを センタ 入試 に導入 した り、小学校 で英語 を始 めるの は、問題解決 にはつながりません。 二に、小学校英語推進の論拠 は、い くつもの幻想に支 えられて います。特 に深刻 なの は、「英語 は早 ければ早 いほ ど身につ く」 とい う幻想です。言語の獲得 は思春期までで終わる、という 「臨界期」 説については研究者間でも意見が分かれています し、母語に関 して 言われる臨界期が外国語学習に当てはまるのかどうかも疑間です。 日本で英語 を学ぶにあたっては、第 二言語 と してではな く外 国語 と して学習すること、児童期に学んだ 英語 はあ くまで 「子 どもの英語」で あ り、仕事 で使 えるよ うにす る為 に は、いつかの時点できちんと学習 し 「お となの英語 」 に脱 皮 す る必 要 が あることなどを忘れてはなりませ ん。週1回程度の小学校英語で、使 える英語には到達 しないのですが、 早 くやれば 苦労せずに英語 をものに で きる と素朴 に信 じてい る親 たちの 過剰 な期待 が、子 ども の圧 力 とな ることを危1具します。 (次号 続く) 出会いに限 らず、全国大学対抗簿記大会優勝 とい う明確 な目標 と、 それを達成できた時の喜びとも出会 うことができました。 共同研究はどういうふうに行うの? 3 年次 か ら始 まります。毎週 火曜日のゼミの時間には、タ 以外の 日は図書館に籠 り、文献 を読み漁る日々を過 ご しま した。そ の結果、満足のできる論文が完成 し、オ プンゼ ミでのプレゼンに は、真剣なまなざしで発表 を聴 く大勢の1 年次生の姿がありま した | 先生が日頃から 「与 えられたテキス トに従 って知識 を習得するこ とは 『勉強 』 であり、『研 究』 とは勉強で得た知識 をもとに、未知 の真理 を追求する知的作業です。」 とおっ しやつていた真の意味 を、 共同論文の作成 を通 して知 りま した。打 ち上げで飲んだビ ールの味 は今 も忘れません。 最後に一 言。 坂本ゼ ミナ ルは2002年 に誕生 した歴史の浅いゼ ミです。である か らこそ、簿記大会 への参加、特別講座の実施 、OB会の開催 など 々と新 しいこと 取 り組んでいけるゼ ミなのです。坂本ゼ ミの今 後にご期待下 さい | 出会 いのステージで ゼミ生 横川 隆志 (会 計フアイナンス学科 4年次)さんに聞きました ! 坂本ゼミではどんなことをする の? 研究テ マは「税務会計論」。2年 次に主に税法の基本原理 を学び、税 務会計 を研究 してい くうえで必要 な 公認会計士の方 との交流など幅広い活動 を続 けています。 横川さんにとつて、坂本ゼミとは? 一言で言 うと 「出会いの場」です。 「サ クルでもなくアルバイ トでもない、大学生活の中心となる場 所がほしい。」 この思いから坂本ゼミナ ルに入室 しました。坂本先 生の 「ゼミは研究の場であると同時に“出会いの場 "で す。」という 言葉通り、2年次には多くの出会いを経験 しました。体育会の活動や 資格取得 など様 々なフィ ール ド で活躍 し、個性 を持 った仲間 と の出会いです。多様 な価値観 が あるか らこそ、一つの組織 とし て活動 してい くことの面 白 さを 深 く感 じま した。 また、人 との 簿記、会計学の勉強 もします。3 年次 方 か ら夜の1 0 時 頃まで各ゼミ 1・ にはそれまで培 った 「勉強」 による 生 が執筆 した論文の読 み合 わ 知識を「研究」 と発展 させる く共同研究 を行います。また、2 ・ せ とプレゼンの予行演習が行 3 年次を通 して全国大学対抗簿記大会 への参加、特別講座での税理士、 われます。ぼ くの場合 はそれ 共同研究風景 ■ ■奏● "“ ●■六● "● 2006年度春季簿記大会にて 4

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Page 1: SPIRIT - index · Created Date: 10/8/2006 11:20:35 PM

「小学校英語必修化」という中間答

申が、中教審外国語部会から出され

ました。これまで 「総合学習 ・国際

理解」教育の枠内で進められてきたい

英会話活動は、各校で頻度や内容が

千差万別なことから中学での混乱が

必至のため、全国一律に必修化する、という提案です。

小学校英語推進の背景には、グローバル化による 「英語優位主義」

的発想、「親の英語コンプレックス」、さらに財界からの要請があり

ます。これらが相まって政治を動かし怒涛の如くなっているのを食

ぃ止めるのは至難ですが、小学校段階での英語導入について根本的

な問題があることだけは知って欲しいと考え、『危うし′ノ」ヽ学校英

語』(文春新書)を 刊行しました。簡単に要約すると、三つの点に集

約されます。

第一に、正確な現状把握なしに進む危うさです。1989年学習指導

要領改訂以来、学校英語教育は会話中心に大きく舵を切ったことを

知らず、「読み書きは`かりやるから学校はダメだ」と批半」する人の何

と多いことか。「TOEFLス コアが低い」ということが騒がれていま

すが、マスコミをはじめ誰も 「スコアの何が低いのか」を知ろうと

しません。リスニングよりも読み書きが弱い、足を引っ張っている

のは 「コミュニケーションに使える英語」を学んだはずの若い世代

経済学部 「坂本雅士ゼミ」

小学校英語必修化は、なぜ危ういのか (前編)鳥飼 玖美子 (経営学部/異 文化コミュニケーション研究科教授)

であること、などの事実を分析 しないまま、リスニング ・テス トを

センター入試に導入したり、小学校で英語を始めるのは、問題解決

にはつながりません。

第二に、小学校英語推進の論拠は、いくつもの幻想に支えられて

います。特に深刻なのは、「英語は早ければ早いほど身につく」とい

う幻想です。言語の獲得は思春期までで終わる、という 「臨界期」

説については研究者間でも意見が分かれていますし、母語に関して

言われる臨界期が外国語学習に当てはまるのかどうかも疑間です。

日本で英語を学ぶにあたっては、第二言語としてではなく外国語と

して学習すること、児童期に学んだ

英語はあくまで 「子どもの英語」で

あり、仕事で使えるようにする為に

は、いつかの時点できちんと学習 し

「おとなの英語」に脱皮する必要が

あることなどを忘れてはなりませ

ん。週1回程度の小学校英語で、使

える英語には到達 しないのですが、

早くやれば`苦労せずに英語をものに

できると素朴に信 じている親たちの

過剰な期待が、子どもへの圧力とな

ることを危1具します。 (次 号へ続く)

出会いに限らず、全国大学対抗簿記大会優勝という明確な目標と、

それを達成できた時の喜びとも出会うことができました。

共同研究はどういうふうに行 うの ?

3年次から始まります。毎週

火曜日のゼミの時間には、タ

以外の日は図書館に籠り、文献を読み漁る日々を過ごしました。そ

の結果、満足のできる論文が完成し、オープンゼミでのプレゼンに

は、真剣なまなざしで発表を聴く大勢の1年次生の姿がありました |

先生が日頃から 「与えられたテキストに従って知識を習得するこ

とは 『勉強』であり、『研究』とは勉強で得た知識をもとに、未知

の真理を追求する知的作業です。」とおっしやつていた真の意味を、

共同論文の作成を通して知りました。打ち上げで飲んだビールの味

は今も忘れません。

最後に一言。

坂本ゼミナールは2002年に誕生した歴史の浅いゼミです。である

からこそ、簿記大会への参加、特別講座の実施、OB会 の開催など

次々と新しいことへ取り組んでいけるゼミなのです。坂本ゼミの今

後にご期待下さい |

出会いのステージでゼミ生 ・横川 隆志 (会計フアイナンス学科4年 次)さ んに聞きました !

坂本ゼミではどんなことをする

の ?

研究テーマは 「税務会計論」。2年

次に主に税法の基本原理を学び、税

務会計を研究していくうえで必要な

公認会計士の方との交流など幅広い活動を続けています。

横川さんにとつて、坂本ゼミとは ?

一言で言うと 「出会いの場」です。

「サークルでもなくアルバイトでもない、大学生活の中心となる場

所がほしい。」この思いから坂本ゼミナールに入室しました。坂本先

生の 「ゼミは研究の場であると同時に “出会いの場"で す。」という

言葉通り、2年次には多くの出会いを経験しました。体育会の活動や

資格取得など様々なフィール ド

で活躍 し、個性を持った仲間と

の出会いです。多様な価値観が

あるからこそ、一つの組織とし

て活動 していくことの面白さを

深く感じました。また、人との

簿記、会計学の勉強もします。3年次 方から夜の10時頃まで各ゼミ

・1・ ・ハ

にはそれまで培った 「勉強」による 生が執筆した論文の読み合わ

知識を 「研究」へと発展させるべく共同研究を行います。また、2・ せとプレゼンの予行演習が行

3年次を通して全国大学対抗簿記大会への参加、特別講座での税理士、 われます。ぼくの場合はそれ 共同研究風景

■ ■奏●"“

●■六●"●

2006年 度春季簿記大会にて

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