SQL Server、SAP R/3 導入事例

ERPシステムの効果的な利用を促進するためWindows Server 2003for 64-Bit Itanium-based Systems、SQL Server 2000 EnterpriseEdition (64-bit)をベースにSAP BW環境を再構築

富士フイルムコンピューターシステム株式会社（以下、富士フイル

ムコンピューターシステム）は、富士写真フイルム株式会社（以下、

富士写真フイルム）の基幹業務システムとしてSAP R/3、SAP

BWを運用。日々増え続けるデータとシステム負荷増加に伴うレスポ

ンス低下およびシステム障害の顕在化に伴い、SAP BW環境の再構

築を決断。コスト パフォーマンスと将来性を兼ね備え、高負荷時の

システム レスポンスを大幅に改善。ユーザビリティが改善されたこ

とによる利用促進効果も現れている。

■ソリューション概要

●ユーザー ：富士フイルムコンピューターシステム株式会社本社所在地 ：〒107-0062

東京都港区南青山7-8-1 小田急南青山ビル設立 ：1998年7月1日代表取締役社長 ：小松 日出雄資本金 ：490百万円 (2004年1月現在)資本金 ：7,090百万円 (2002年度)従業員数 ：約100名事業概要 ：富士フイルムのIT部門が機能分社した情報戦略企業。

●システム概要基幹業務データの有効利用を促進するSAP BW環境の増強

●マイクロソフト製品・サービス・Microsoft� Windows ServerTM 2003,Enterprise Edition for 64-Bit Itanium-based Systems・Microsoft SQL Server� 2000 Enterprise Edition (64-bit)・SAP BW 3.1

●システム導入のメリット・64 bit版 Windows Server 2003およびSQL Server 2000 (64-bit)の採用により、高い将来性とコスト パフォーマンスに優れた再構築を実現。・SAP BW環境の安定性とレスポンスが向上したことにより、ユーザー側におけるシステムへの信頼度が増し、利用促進が実現。・全く未知であった新しいテクノロジーを含むプロジェクトに対してパートナー企業と共に精力的に取り組み、さまざまなノウハウの蓄積ができた。

富士フイルムコンピューターシステム株式会社

同社はシステム再構築にあたり、将来性と共に十分なパフォーマ

ンスが得られることと、コストパフォーマンスを中心課題として

2003年初頭から具体的に検討を開始した。

「当初UNIXの利用を含めて検討していましたが、良いタイミン

グで64 bit 版 Windows Server 2003での提案をいただき採

用を決定しました。Itanium2搭載サーバーもソフトウェアもす

べてがベータ版であり非常に判断の難しい状況でしたが、各ベン

ダーの協力のもと実際に評価環境を準備し評価することができま

した。データベースは 今までOracleを利用していましたが、導

入実績も増えており、Windowsとの親和性や64 bit環境でのサ

ポートも期待できることから、SQL Server 2000(64-bit)を

採用することにしました」(伊澤氏)

同社システム事業部主査柴田英樹氏 (SAP認定R/3テクニカルコ

ンサルタント) は、評価環境でのテストについて以下のように述

べている。

「評価環境におけるテストにおいて、システムの安定化と高負荷

クエリのレスポンス向上といった 2つの大きな達成目標の元に

高負荷クエリの分割実行回数の半減など具体的な数値目標を設定

しました。評価は、本番機とは異なるプロトタイプ機で本番環境

のリアルなデータを用いて2003年 2～3月の実質1か月半の間

に実施しました。性能改善に関する検討と調整を繰り返しながら、

結果的に目標値を上回るパフォーマンスを得ることが実証でき、

性能的な裏付けを取ることができました」

「すべてが新しい環境で非常に挑戦的ではありましたが、評価環

境でのテスト結果が良好であり十分な安定性と要求される性能を

満たすと判断できました。コスト パフォーマンスに優れている

こと、システム規模に合わせて投資を行いこまめに拡張していけ

ること、初の64 bit版 Windows Server 2003での大規模シ

ステムということでINTEL、Microsoft、NEC、SAPなど各ベ

ンダーの協力が直接得られることなどを総合的に判断し、2003

年3月末に最終的な導入決定をしました」(小松氏)

各ベンダーの協力のもと開発チームが結成され、同社では2003

年4月から本番に向けての開発を開始した。

富士フイルムコンピューターシステムは、富士フイルムのIT部門

が機能分社した情報戦略企業。グループ全体の基幹業務に関わる

システムの構築や、グループ各社の情報戦略の策定など、幅広い

業務を行っている。分社化時点よりSAP R/3による基幹業務シ

ステムの全社的な刷新プロジェクトが進行。プロジェクトの進行

に伴い2000年にSAP R/3財務会計 (FI)、管理会計 (CO) およ

び SAP BW、2001年には販売管理 (SD)、購買・在庫管理

(MM) を順次導入。

同社代表取締役社長小松日出雄氏は、 SAP R/3による基幹業務

システム構築とSAP BW採用のねらいについて以下のように語っ

ている。

「富士フイルムの経営スピード化のために必須の条件として、必

要な人が必要な時に最新のデータを入手できる環境の構築が必要

でした。以前は、そのたびにホストから紙ベースのレポートを出

力し多くの手間と時間がかかっていました。そのためにまず基幹

業務システムをメイン フレームから SAP R/3へと刷新しまし

た。また、R/3のデータや他システムのデータを集約し、データ

の抽出・加工や分析の手間を大幅に軽減できるようにSAP BW

を導入しました。ユーザーの視点で見ればSAP R/3を利用する

ことは SAP BW を使うことと同義だと考えています」

同社システム事業部上級主査伊澤俊氏は、今回の再構築の経緯に

ついて以下のように述べている。

「販売管理 (SD)、購買・在庫管理 (MM) モジュールの導入が完

了し、データ量が増え始めると、システムのレスポンスの劣化す

る傾向が見られました。特に処理が集中する繁忙期に、多くのデ

ータを扱う企画系部門ユーザーのクエリレスポンスの低下や、デ

ータ処理の集中によりデータベースサーバーが不安定になるなど

の問題が顕在化しました。これらの問題はユーザーの使い勝手に

も大きな影響を及ぼしており、安定したサービス提供のためにも

SAP BW環境を早期に改善する必要に迫られていました」

評価テストを含めた総合的な判断から 64 bit 版Windows Server 2003環境への移行を決断

富士フイルムグループの情報システム再構築を担って設立

富士フイルムコンピューターシステム株式会社システム事業部

上級主査伊澤俊氏

富士フイルムコンピューターシステム株式会社代表取締役社長小松日出雄氏

開発チームは、性能改善、環境移行、運用設計、インフラ構築の

4つのサブチームに分かれ、そこに各ベンダーの技術者が加わる

形で構成した。

「評価時点でのパフォーマンスが本番機で再現できず苦労したこ

ともありましたが、性能改善チームで再検討と調整を行い、想定

どおりのパフォーマンスが出たときには安心しました。各ベンダ

ーから協力していただけたのは大変心強いものでした」(伊澤氏)

「業務への影響を最小限とするため綿密な移行シナリオを計画す

るとともに、新旧システムの並行稼働による移行を計画しました。

特に並行稼働においては新旧システムのデータ整合性を完全に保

つ必要があり、この仕組み作りには大変苦労しました」(柴田氏)

多くの問題をクリアしながら、2003年11月に新旧の SAP

BW システムが並行稼働を開始、各ユーザーの業務に大きな影

響を与えることなく2003年12月15日に新システムへの完全移

行を実現した。

再構築後のシステムは、NEC Express 5800 1320Xdを論理

パーティショニングによって複数サーバーとして利用し、ストレ

ージ システムとしてNEC iStorage 2300を採用。今後、利用

の増加によってデータ量の増加も予想されているため、古いデー

タのアーカイブや、サーバーの論理パーティショニング機能を検

討している。

富士フイルムコンピューターシステム株式会社システム事業部

主査柴田英樹氏

開発チームの連携により業務への影響を最小限に抑えた移行を実現

再構築によって実現したインフラストラクチャとしての安定性

移行後、従来のような繁忙期のレスポンス低下、高負荷状態に

起因するトラブルなどが一掃され、非常に安定したサービスを

ユーザーに提供している。従来であれば何回にも分けて取得す

る必要があった高負荷クエリも大幅に軽減し、ユーザーの効率

は確実に向上している。

「今回、バックエンドの再構築であるため、ユーザーへのインパ

クトは一見少ないかもしれません。しかし、システムに対する

投資対効果の観点からも、仕事に必要となる業務データを取得

するためのシステムが非常に迅速かつ安定して利用できること

は非常に大事なことです。多くのユーザーに信頼され安心して

利用してもらうことができてはじめて会社としても利用を促進

し業務で活用してもらうことができます」(小松氏)

「各ベンダー企業と共に大変新しいシステムの構築に取り組んだ

ことによるさまざまなノウハウの蓄積もありました。プロジェ

クトマネジメントなど技術的でないところでも大変な側面もあ

りましたが、非常に意味のある取り組みでした」(柴田氏)

同社では、今後もさまざまな動向を見据えながら、SAP R/3、

SAP BW、そして Windowsベースシステムに注目し、期待し

ているとのことである。

●システム構成図

●富士フイルムコンピューターシステム株式会社〒107-0062 東京都港区南青山7-8-1 小田急南青山ビルTEL. 03-5469-8300 FAX. 03-5469-8301http://www.fujifilm.co.jp/ffcs/

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の他の国における登録商標または商標です。

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本書は情報提供のみを目的にしています。

SAP、SAPロゴ、mySAP、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はSAP AG

のドイツおよびその他の国における登録商標または商標です。

同社における SAP BW 環境の再構築では、その先進性から関連する各ベンダーからの協力体制が整い、各社から多数のメンバーがプロジェクトに参加している。実際にプロジェクトの一員として参加したマイクロソフト株式会社コンサルティング本部シニアコンサルタント的場大祐氏は、次のように語る。「今回は、64bit 版 Windows Server 2003を用いた本番系システムとして世界初のものであり、さらにItanium2 搭載の NEC Express 5800 1320Xd についても初めてのケースでした。このようにハードウェア、ソフトウェアに限らず最新のものが組み合わされる環境で、うまくリスクを回避して再構築を成功させるためには最大限の協力体制が必要でした」実際の構築作業においては、多くの技術的課題を各社の協力体制を生かして順次クリアするとともに、設計段階から運用しやすいシステムをいかに構築するかという点で多くの苦労が伴うこととなった。また、運用フェーズを強く意識し、データベース運用管理者向けの教育なども実施することによりスムーズな移行を実現した。難易度の高い今回の再構築が成功裏に進行したのは、これらベンダー企業の直接的支援をうまく得られたことが大きいといえるだろう。「私どもは万全の体制を整え今回のプロジェクトに望みました。最先端の構築事例ということもあり、今回ノウハウの蓄積ができた部分も数多く存在します。今回の成功をステップとして 64 bit 版 Windows Server 2003/ SQL Server 2000 (64-bit)における SAP ソリューションの展開に弾みがつくことを期待するとともに、今後ともより良いコンサルティングでお客様の信頼を得られるよう努力してまいります」

世界初の 64bit版 Windows Server 2003 によるシステム構築をベンダー各社の協力体制で実現

●SAP BWによる分析

マイクロソフト株式会社コンサルティング本部シニアコンサルタントSAP認定R/3 テクニカルコンサルタント的場大祐氏

SAP BW データベースサーバー

NEC Express 5800 1320Xd

Itanium 2 1.5 GHz 8CPU

メモリ: 32GB

SAP BW アプリケーションサーバー

NEC Express 5800 1320Xd

Itanium 2 1.5 GHz 4CPU × 4台

メモリ: 各8GB

(ストレージ側)

ストレージシステム

NEC iStorage 2300 × 2組

容量: �36GB × 112台 �36GB × 56台

※その他、詳細はシステム構成図参照