ssnシンポジウム 震災「支援」の今とこれか...
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震災「支援」の今とこれから・・・支援から協働へ
2012/4/24
Ⓒ震災支援ネットワーク埼玉/早稲田大学人間科学学術院 1
埼玉県震災避難アンケート調査集計結果報告(速報)
SSNシンポジウム 震災「支援」の今とこれから・・・支援から協働へ
集計結果報告(速報)
早稲田大学人間科学学術院・医療人類学研究室
准教授 辻内琢也
■アンケート作成委員会参加者:猪股正(SSN代表)、北村浩(SSN)、広瀬隆(SSN)、岡本卓大(埼玉弁護士会)、永田信雄(県労福協)、高野昭博(SSN)、大石みえこ(越谷市議・一歩会)、愛甲裕(情報環境コミュニケーションズ)、町田由香(情報環境コミュニケーションズ)、西川正(ハンズオン埼玉)、薄井篤子(WithYouさいたま)、和久井みちる(SSN)、桑原匠(ほっとプラス)、他
■アンケート解析チーム:早稲田大学人間科学学術院健康福祉科学科 辻内琢也、増田和高、山下奏、山口摩弥、永友春華、谷口礼、南雲四季子、粟野早貴、鈴木勝己、加瀬裕子、熊野宏昭(医療人類学研究室/臨床心理アセスメント学研究室、老年社会福祉学研究室)
避難生活の大変な 中に、
はじめに
アンケートにご協力いただきました皆様には心から御礼申し上げます。
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大目標:①現状把握②今後の支援のあり方を検討
調査の目的
②今後の支援のあり方を検討③行政への提言
震災および原発事故により埼玉県内に避難中の福島県の方々から、現在の避難生活や原発事故損害賠償の問題点や課題についてお聞きし、避難者の生の声を国や県などの行政機関をはじめ様々な支援団体に届けることによって、避難生活の改善を援団体に届けることによって、避難生活の改善を図る。
調査結果は、行政に対する要望書や意見書、記者会見やプレスリリース、ニュースレターや報告書・書籍論文、シンポジウムや講演会・学会発表などの方法による公表を予定。
実施期間:2012年3月~4月 対象:埼玉県内に避難中の福島県住民1658世帯
アンケート実施の概要
(双葉町680、南相馬市400、富岡町285、大熊町208、飯館村35、川内村30、田村市10、葛尾村10)
方法:福島県対策本部・県外避難者支援チーム(埼玉県担当)のご協力により、福島県・市町村の広報誌類と共に各世帯に郵送。埼玉県労福協の着払い封筒にて返信を依頼。
回収数:483件(詳細編464件、基礎編のみ19件)回収数:483件(詳細編464件、基礎編のみ19件)[4月20日時点]
倫理的配慮:アンケート調査への参加は強制ではなく、可能な範囲での回答でよいことを明記。得られた情報は早稲田大学人間科学学術院の責任において統計解析し、個人的なデータが外部に漏れることなく、プライバシーを厳重に保護したうえで調査用紙の管理を行う。
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構成:アンケート回答の負担軽減の為、基礎編4ページと詳細編7ページに分け、回答可能な方のみ詳細編まで答えていただく構成とした
アンケート実施の概要②
まで答えていただく構成とした A.[基礎編]28項目 B.[詳細編]1.被災状況について、2.家族状況について3.補償・賠償について、4.生活・経済状況について5.住宅状況について、6.就労状況について7.放射線被爆の影響について7.放射線被爆の影響について8.地域とのつながりや情報について9.最近のからだの状態について10.最近のこころの状態について(SRS-18)11.最近のストレス状態について(IES-R)12.自由回答、みなさまの声
アンケート解析結果速報(100名分)(100名分)
1.[基礎編]第1次集計結果
2 [詳細編]ストレス尺度結果2.[詳細編]ストレス尺度結果
3.[詳細編]自由回答・みなさまの声
(行政への要望)
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14
16
1.年齢・性別
(注:3月到着の100名分のデータ)
4
6
8
10
12
男性
女性
0
2
4
20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代~
女性は30代と50代、男性は比較的高齢な方が回答されている
2.現在の住所地現住所 人数
さいたま市 12
川口市 9
越谷市 8
3.震災前の住所地
震災前の住所 人数
双葉郡浪江町 36越谷市 8
入間郡 6
上尾市 5
川越市、鴻巣市、新座市 各4
加須市、春日部市、深谷市、戸田市、八潮市、鶴ヶ島市、ふじみ野市
各3
東松山市、狭山市、志木市、 各2
双葉 浪 町
双葉郡大熊町 26
南相馬市原町 18
南相馬市小高区 18
南相馬市鹿島区 2
(注:3月到着の100名分のデータ)
和光市、久喜市、北本市、比企郡、
熊谷市、行田市、秩父市、所沢市、飯能市、本庄市、羽生市、蕨市、桶川市、三郷市、吉川市、大里市、南埼玉郡
各1
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区域 人数
警戒区域 78
4.どちらから避難されてきましたか?
警戒区域 78
緊急時避難区域 16
計画的避難区域 2
それ以外の区域 0
無回答 4
計 100
(注:3月到着の100名分のデータ)
5.住宅の被災状況はどの程度ですか?
住宅被害状況
6.津波被害はありましたか?
津波被害
7%
14%
51%
16%
10%2%
全壊
半壊
一部損壊
なし
わからない
7% 2%3%
あり
一部あり
なし
無回答51% 無回答 88%
全壊+半壊が21%一部損壊が51%
津波被害が9%
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震災前後での人数の増減
増減人数 世帯数
震災前後の家族人数の比較
家族人数 震災前 現在
7.8.ご家族の状況について教えてください
増減人数 世帯数
5人減 3
4人減 3
3人減 3
2人減 10
1人減 17
0人 56
家族人数 震災前 現在
1人 15 23
2人 18 27
3人 21 24
4人 18 15
5人 10 2
6人 9 3
<
>0人 56
1人増 2
2人増 1
不明 5
計 100
6人 9 3
7人 3 3
8人 1 0
9人 1 0
不明 4 3
計 100 100同居家族人数が減少
生活費の心配
9.生活費に心配はありますか?
61%23%
9%7%
はい
いいえ
わからない
無回答
雇用保
険がう
ちきら
れた, 2
生活保
護がう
ちきら
れた, 1
失業し失業し
た, 14
廃業し
た, 5
その他, 35
「はい」の理由61%に生活費の心配
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わから無回答
ローンの有無わから
ない 無回答
貯蓄の有無
はい28%
いいえ
ない0%
無回答7%
はい
いいえ24%
ない3%
無回答6%
65% 67%
28%がローンを抱えている
24%に貯蓄がない
公営
民間(アパート、マンション)
避難所 民宿 ホ ル
無償(自治体)
借り上げ制度の利用
公営9%0%
5% 5%
避難所、民宿、ホテル
親せき宅に間借り
友人宅に間借り
その他
無回答
無償10%5%
自分で払っている
その他
無回答
12%が自分で家賃を支払っている
公営25%
民間56%
0%9% 23%
借上げ
制度50%
12%
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職業 震災前 震災後
農業 10 1
14.15.震災前・後の職業は何ですか?(複数回答可)
漁業 1 0
自営業 10 0
事業経営 0 0
公務員 4 0
会社員 28 12
団体職員 3 1
派遣社員 2 1
現在、62%
農業・自営業はほとんど派遣社員 2 1
パート・アルバイト 14 7
学生 0 0
主婦・主夫 12 13
無職 26 62
その他 5 5
62%が無職
ほとんど廃業
のべ年数 人数
1~10年 6 ( )年後に帰れる 計271 10年 6
11~20年 8
21~30年 11
31~40年 17
41~50年 12
51~60年 16
61~70年 16
( )年後に帰れる 計27
1~5年後 19
10年後 2
20年後 1
30年後 2
50年後 1
帰れないかもしれない 計6661 70年 16
71~80年 7
81年以上 2
無回答 5
計 100
帰れないかもしれない 計66
欄外に「帰らない」と自分で記入
2
わからない 1
66%が帰れないかもしれないと思っている
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18.福島県の地元に帰りたい強さはどのくらいですか?
絶対に帰りたい全く帰りたく
ない無回答
3%+帰りたい41%
絶対に帰り
たい17%
帰りたい24%どちらとも言
帰りたくない7%
ない8%
3%
どちらとも言えない41%
24%どちらとも言
えない41%
無回答
はい79%
いいえ20%
無1%
はい53%いいえ
無回答16%
79% 31%
53%に持病あり79%に体調の心配あり
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持病 人数
高血圧 30
持病 人数
精神疾患 11
20-1.「持病を持っている」と答えた方は、どのような病気ですか
糖尿病 12
高脂血症 17
痛風(高尿酸血症) 5
心臓病 11
呼吸器病 4
胃腸病 5
(神経症、うつ病、認知症、他)
脳卒中(脳出血、脳梗塞)
3
膠原病(リウマチ、ベーチェット病、他)
11
その他 17
肝臓病 3
腎臓病 1
がん 2
アレルギー病(アトピー,花粉症,他)
13
30人数
21.放射線被爆はどのくらい心配
ですか?(10点が「ものすごく心配」)
10
15
20
25
0
5
28%が10点「ものすごく心配」
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無回答2%
23。震災関係のコミュニティーや交流会に参加していますか?
「いいえ」の理由
はい19%
いいえ
2%
22%
27%15%
18%
4%
いいえ」の理由
知らない
近くにない
知り合いがいない
都合があわないいいえ
79%27%
14% 参加したいとは思
わない
79%が参加していない。
届いている
ある程度届いている
情報源 人数
テレビ 57
24.避難生活に必要な情報が届いていると思いますか?
25.避難生活に必要な情報は主にどこから得ていますか?
11%
5% 2%
どちらとも言えない
あまり届いていない
届いていない
無回答
新聞(全国紙) 42
新聞(福島) 15
ラジオ 2
電話 4
雑誌 0
自治体広報誌 60
52%
16%
14% 自治体メールマガジン 8
メール(携帯・パソコン) 5
インターネット(携帯・パソコン)SNS
21
家族・親族 26
友人・知人 40
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無回
答
相談相手 人数
家族・親族 56
26.悩み気がかり・困ったことをどなたかに相談できていますか?
26.「はい」と応えた方は、どのような方に相談しますか?
はい68%
いい
え30%
2% 震災前からの知人・友人 45
震災後にできた知人・友人 10
地元のとなり近所の人 1
現在のとなり近所の人 1
民生委員 0
保健師 0
町内役員 1
相談相手は身近の人町内役員 1
地元の行政(市役所・町役場) 9
現在の行政(市役所・町役場) 5
弁護士・司法書士 3
震災関連のコミュニティーや交流会 2
その他 5
30%が相談できていない。
身近の人
自分でなんとかしようと思う
誰かに相談して解決する
27.悩みや気がかりは、どのように対処しますか?
39%
11%5%
あきらめている
解決方法がなくて困っている
無回答
あきらめている14%39%
31%
14% あきらめている14%
解決方法がなくて困っている11%
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■心的外傷ストレス(PTS)症状の度合
12
IES-R得点
70%の方が25点以上
人数
4
6
8
10
12 70%の方が25点以上、PTSDの可能性があり、通院が推奨されるレベル。
0
2
点数
全体平均(有効回答者75名):35.1±20.6点
住宅の被災状況 人数 侵入症状 回避症状 過覚醒症状 合計(平均±標準偏差)
A.全壊 5 9.2±9.1 6.2±8.2 5.2±5.8 20.6±22.6
■住宅の被災状況によるPTS症状の違い
B.半壊 7 13.6±9.2 11.6±9.1 9.7±6.4 34.9±24.1
C.一部損壊 42 15.1±7.8 14.1±8.1 10.8±6.1 40.0±20.1
D.なし 13 10.2±6.0 11.2±7.0 9.1±4.4 30.4±15.0
E.わからない 8 11.5±9.0 8.3±6.2 9.8±6.7 29.5±21.4
合計 75 13.2±8.0 12.1±8.1 9.8±6.0 35.1±20.6
一部損壊の方々が、心的外傷ストレス(PTS)症状、特に「回避症状(考えたくない・忘れたい)」が強い傾向。
(注:今回は3月到着の100名分の暫定的集計。有意差などの検定はまだ行っていない)
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住宅の被災状況 人数 侵入症状 回避症状 過覚醒症状 合計(平均±標準偏差)
A.参加している 17 9.2±9.1 6.2±8.2 5.2±5.8 29.9±20.5
■コミュニティーや交流会参加の有無によるPTS症状の違い
B.参加していない 59 13.6±9.2 11.6±9.1 9.7±6.4 36.5±20.4
合計 76 13.2±8.0 12.1±8.1 9.8±6.0 35.1±20.6
震災関連のコミュニティーや交流会に参加している方々は、心的外傷ストレス(PTS)症状が少ない傾向少ない傾向。
参加しているから、PTS症状が少ない?
PTS症状が少ないから、参加できている?
(注:今回は3月到着の100名分の暫定的集計。有意差などの検定はまだ行っていない)
<政治の在り方に関する要望>;計9名 国会・政治家の姿勢をただすべき;3名
■自由回答:行政(国)への要望①
・・・回答者44名
国会 政治家の姿勢をただす き;3名 速やかな対応を望む;3名 真実を伝えるべきだ;3名
<補償に関する具体的要望>;計8名 長期的な補償を望む;3名長期的な補償を望む 名
国の管理区域にすべきだ;2名 精神的損害賠償を打ち切るのはおかしい;1名 同一町内の賠償格差をつくらないでほしい;1名 すみやかに賠償を;1名
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帰宅の可否について早急な結論を;6名 代替居住地の確保を望む;6名
脱 発 然だ 名
■自由回答:行政(国)への要望②
脱原発は当然だ;5名 作業員への安全と保障・補償を;4名 私たちと同じ立場に立ってほしい;4名 安全でもないのに帰れというのはおかしい;3名 モルモットにするな;1名 国も同罪だ;1名
避難時 情報 名 避難時の情報不足への訴え;1名 仮の住民票という新しい制度を作ってほしい;1名 大地に密着した生活を返してほしい;1名 震災によって生じた介護問題に対応してほしい;1名 頑張れ日本!;2名
<感謝の気持ち>;18名 ありがたい;7名 住居に関する感謝;6名
■自由回答:行政(埼玉県の自治体)への要望 ・・・回答者37名
住居に関する感謝;6名 公共料金やサービスへの感謝;2名 人に良くしてもらった;2名 交流に感謝;1名
<要望>;9名 交流を望む;5名
住居の改善を望む 名 住居の改善を望む;2名 公共サービスを望む;2名
悲しい・冷たすぎる;3名 サービスに差がありすぎる;2名 期待できない;1名
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2012/4/24
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除染に関する心配と要望;5名 行政への感謝;5名
今後 方向性を か 名
■自由回答:行政(地元の自治体)への要望 ・・・回答者33名
今後の方向性を明らかにしてほしい;4名 県外避難者への格差をなくすべきだ;3名 情報不足だ;3名 子どもを守る対策を;3名 代替居住地の確保を望む;2名 行政への批判;2名
や東 対 と厳 名 国や東電に対してもっと厳しく;2名 地元の人々との交流を望む;2名 スピーディーな行政対応を;1名 戻れないという決断を;1名 長期化する避難生活への嘆き;1名 借上げ制度の問題点;1名
ご静聴ありがとうございました。
今回は 3月に到着した100名の方々の解析を
おわりに
今回は、3月に到着した100名の方々の解析を“速報”としてご報告いたしました。
引き続き、アンケートにお答えいただいた皆様の熱意に応えられるよう、残る400名の方々の結果を含めた、総合的な解析を続けて参ります。
データの解釈に関して、ご感想・ご意見を頂ける方は、下記にご連絡ください。
早稲田大学人間科学学術院 辻内琢也
E-mail: [email protected]