star-ccm+による...
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STAR-CCM+による 垂直軸風車の3次元解析
Three-Dimensional Analysis of Vertical Axis Wind Turbines by STAR-CCM+
STAR Japanese Conference 2016 (横浜ロイヤルパークホテル 2016.6.9-10)
鳥取大学大学院 工学研究科 機械宇宙工学専攻
原 豊 (准教授)
1
プレゼン内容
• 直線翼垂直軸風車の翼端板効果のシミュレーション
2
< 事例:1 >
< 事例:2 >
• 傾斜した円形翼を持つ風車のシミュレーション
直線翼垂直軸風車の翼端板効果 のシミュレーション
事例 : 1
3
4
研究目的1
直線翼垂直軸風車における翼端板が出力に及ぼす効果を調べ,翼端損失の抑制に関して最適な翼端板サイズを求める.
3次元 CFD による解析
※ 特に翼端周りの流れ場に注目
5
計算対象
U
Endplate
Blade1
Blade2
ψ
90° 270°
180°
0° H
R
X
Y
Z
デルフト工科大学の2枚翼の H型ダリウス風車:DU-H2-5075
項目 値
ロータ直径:D=2R 0.75m
翼スパン:H 0.5m
翼弦長:c 0.08m
翼型 NACA 0018
項目 値
風速:U 7m/s
回転数:N 579 rpm
先端周速比:λ 3.25
レイノルズ数:Reb 1.2×105
計算条件
6
翼端板
項目 値
板厚 : t (mm) 1
張り出し距離 : s (mm) 0 3 5 7.5 10 15 20
相対長さ : s/c (%) 0 3.75 6.25 9.375 12.5 18.75 25
※翼端板無しを s = 0 とする.
t NACA 0018
𝑥𝑏
𝑧𝑏
𝑦𝑏 O
(c = 80 mm)
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計算方法
8
使用ソフトウェア : STAR-CCM+ ver.9.02
基礎方程式 : レイノルズ平均 Navier-Stokes 方程式 (RANS)
3次元
非定常
非圧縮
乱流モデル : SST k-ω
時間進行 : 2次精度
計算領域と境界条件
9
流入面
風速一定
U=7 [m/s]
流出面 圧力一定 P=0 [Pa]
側面 スリップ条件
風車近傍
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計算は6回転まで実行.
(ただし、連続画像出力は7回転目)
赤道面における計算格子
11
ポリヘドラルメッシュ (非構造格子) 総セル数:約771万セル (s/c=18.75% [s=15mm] の場合)
プリズムレイヤーメッシュ (構造格子) 20層 最小格子幅: 1.4×10-5c
)5.0( y
出力係数の端板サイズ依存性
( )内の数値は翼端板無し(s=0)
に対する出力の増加率.
0 6.25 12.5 18.75 250.16
0.17
0.18
0.19
0.200 5 10 15 20
s/c (%)
s (mm)
Cp
without endplates
(4.32%)
(7.54%)
(4.80%)
(3.05%)
(3.04%)
(1.67%)
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13
14
翼端周りの流れ場 (渦度等値面: |ω|= 5000s-1)
s/c=0
s/c=6.25%
U
U
U
U
ψ=90°
s/c=18.75%
U
15
翼端周りの流れ場 (翼端断面内渦度分布)
U
xb/c=0.75
U
ψ=90°
U
U
s/c=0
s/c=6.25%
s/c=18.75%
16
翼端周りの流れ場 (翼端断面内渦度分布)
xb/c=0.5
s/c=6.25%,ψ=45°
s/c=6.25%,ψ=0°
U
U
U
渦度等値面: |ω|= 5000s-1
ψ=45°
ψ=0°
17
ωuH e ωuH e
18
19
30°
60°
90°
120°
150°
180°
210°
240°
270°
300°
330°
0°(360°)
端板無し状態
上流側 下流側
75%cの断面における渦度分布
20
30°
60°
90°
120°
150°
180°
210°
240°
270°
300°
330°
0°(360°)
端板有り状態
上流側 下流側
75%cの断面における渦度分布
(s/c = 6.25%)
21
まとめ1
22
(1) 出力係数は, 張り出し距離sが5mm (s/c = 6.25%)の場合に最も高く, 翼端板無しに比べて7.54%増加した. (2) 翼端板が存在することにより、赤道面近傍において翼後縁から放出される 渦が抑制される徴候が観察された. (3) 翼端板の有無に依らず,翼端の左右のエッジから各々1つの主要な渦が 形成される.後縁近くのエッジからは別の渦も発生する. (4) アジマス角 0°では翼端の左右のエッジから発生する渦の回転方向は逆であるが、 アジマス角が 45°以上になると同じ回転方向になり,主流に対して下流側にある 渦は 翼端よりも赤道面側に形成される. (なお、下流側の半周期領域では、翼に対する相対流れの方向は反転する) (5) 翼端板の有無で、1回転にわたっての、渦度およびヘリシティの分布挙動を比較 したが、基本的には両ケースにおける流れ場の挙動は同様と考えられる.
傾斜した円形翼を持つ風車 のシミュレーション
事例 : 2
23
背景2
ツイスト無し
ツイスト状態
ロータ半径, R 1.58 m
ロータ高さ, H 1.1 m
翼弦長, c 0.2285 m
翼枚数, B 4
翼型 NACA 0018
受風面積, A 3.23 m2
ソリディティ, σ (=Bc/2πR ) 0.0917
翼の材質 アルミ合金
翼1枚の重さ 10.7 kg
翼傾斜による過回転抑制機構を備えた 『アルミ円形翼バタフライ風車』の実験機
翼の傾斜による空力ブレーキで、 強風状態でも回転を止めずに
発電が可能
稼働率の増加によって、発電単価 の減少を期待
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研究目的2
• 3次元数値解析(CFD)によって翼ツイスト時の 円形翼バタフライ風車の特性および流れ場を 明らかにすること
• 翼素運動量理論(BEM)予測とCFD解析の比較
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CFD計算対象
STAR-CCM+ ver.9.02 計算ソフト
基礎方程式
乱流モデル
レイノルズ平均ナビエ・ストークス方程式
計算対象
SST k-ω
ロータ直径,D 3.1 m
ロータ高さ,H 1.1 m
翼弦長,c 0.228 m
翼枚数,B 4
翼型 NACA0018
受風面積,A 3.16
ソリディティ,σ
(σ = Bc/πD) 0.0933
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座標系とツイスト角の定義
ζ=0 deg ζ=10 deg
N
27
計算領域と境界条件
Φ48D
静止領域 3 静止領域 1
V∞
圧力出口 ゲージ圧 0 Pa
側面 スリップ条件
速度入口 V∞=12 m/s 一定
静止領域 1 静止領域 3
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風車ロータまわりの領域
回転条件 先端周速比 λ=2.0, 2.5, 3.0の3つの回転状態
静止領域 2
回転領域 1
回転領域 2
静止領域 3
回転方向 風車を上から見て反時計方向
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計算格子
翼面法線方向の
最小格子幅 約3.2×10-6 m
y+ (無次元壁距離) 約0.4
層状格子 15 層
総セル数 約2000万セル
計算領域全体
翼表面近傍 プリズムレイヤーメッシュ
水平面
鉛直面
ポリヘドラルメッシュ
30
31
出力特性の予測 (V=12m/s)
25.0%減少(BEM)
34.1%減少(CFD)
(注意:BEMの結果につい ては、参考文献(3),(4)から 改善)
32
1つの翼に作用する半径方向力FN の アジマス依存性 (λ=2.5)
ζ=0° ζ=10°
V∞
FN
0 90 180 270 360−250
−200
−150
−100
−50
0
50
100
ψ [deg]
FN
[N
]
CFD ζ=0deg
BEM ζ=0deg
upwind downwind
0 90 180 270 360−250
−200
−150
−100
−50
0
50
100
ψ [deg]
FN
[N
]
CFD ζ=10deg
BEM ζ=10deg
upwind downwind
33
1つの翼に作用するトルクQ の アジマス依存性 (λ=2.5)
ζ=0° ζ=10°
V∞ Q
0 90 180 270 360−20
0
20
40
60
80
ψ [deg]
Q [
Nm
]
CFD ζ=0deg
BEM ζ=0deg
upwind downwind
0 90 180 270 360−20
0
20
40
60
80
ψ [deg]
Q [
Nm
]
CFD ζ=10deg
BEM ζ=10deg
upwind downwind
34
MT
ω
ζ
N
1つの翼に作用するツイストモーメントMT の アジマス依存性 (λ=2.5)
ζ=0° ζ=10°
0 90 180 270 360−4
−2
0
2
4
6
8
ψ [deg]
MT
[N
m]
CFD ζ=0deg
BEM ζ=0deg
upwind downwind
0 90 180 270 360−4
−2
0
2
4
6
8
ψ [deg]
MT
[N
m]
CFD ζ=10deg
BEM ζ=10deg
upwind downwind
0.53Nm (BEM)
2.21Nm (CFD)
(注意:BEMの結果につい ては、参考文献(3),(4)から 改善)
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まとめ2
(1) ツイスト角 0 °では、翼の上端・下端から均等に翼端渦が放出される.
一方、ツイスト角 10 °では、上流側では翼の下端から、下流側では、 翼の上端から高い渦度の渦が放出される.
(2) 出力特性に関して,CFDとBEMにおいて定性的な一致が見られた. 最大出力状態におけるツイストに伴う出力減少率は、CFDの場合が 約34.1%,BEMの場合が約25.0%であった.
(3) 1翼に作用する半径方向力と回転トルクについて,CFDとBEMに
ある程度の一致が見られたが,ツイスト角変化(0°→10°)に対する
挙動に相違があった
(4) ツイストモーメントについては、BEMとCFDでやや大きな差異が見られ
たが、平均としては、どちらも正の値(ツイスト促進の方向)となった.
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参考文献
事例:1
(1) 古川裕樹, 原 豊, 住 隆博, 秋元博路, 吉田茂雄,直線翼垂直軸風車の特性に与える
端板の効果に関する数値シミュレーション,日本機械学会 第93期 流体工学部門講演会
講演論文集, (東京理科大学,2015.11.7-8), No.0504.
(2) 原 豊, 古川裕樹, 住 隆博, 秋元博路, 吉田茂雄, 直線翼垂直軸風車における翼端板の
最適なサイズに関する数値解析,日本機械学会 中国四国支部第54期総会・講演会,
(愛媛大学,2016.3.9), No.1218.
事例:2
(3) 奥谷将裕, 横山睦子, 原 豊, 住 隆博, 吉田茂雄,円形翼バタフライ風車の翼傾斜時の
3次元数値解析,第37回風力エネルギー利用シンポジウム,
(科学技術館,2015.11.26-27), pp. 339-342.
(4) 原 豊, 奥谷将裕, 三嶋一生, 斎藤栄徳, 塩谷啓介, 塩崎 明, 西小野寛明, 川端俊亮,
吉田茂雄,翼傾斜による垂直軸風車用過回転抑制機構の実証実験,
第37回風力エネルギー利用シンポジウム, (科学技術館,2015.11.26-27), pp. 343-346.
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謝 辞
事例:1 • 平成27年度九州大学応用力学研究所 一般研究(27ME-9) 事例:2 • 鳥取県環境学術研究等振興事業費補助金 • 平成27年度九州大学応用力学研究所 一般研究(27ME-8)
本講演で紹介した事例の研究については、以下の助成金や共同研究費から、 補助を頂いています。ここに明記し、謝意を表します。
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