technology solutions services - press releases -...

16
富士通トラステッド・クラウド・スクエア PCログイン専用の手のひら静脈認証 センサー装置「PalmSecure-LT(マウスセンサータイプ) 館林システムセンター統合管制室 事業別レビューと今後の見通し IT システムのコンサルティング、設計、アプリケーション開発、実装などのインテグレーションを 行うソリューション/SI と、 ITシステムをデータセンターなどでお預かりし、お客様に代わって一 括運用管理を行うアウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービスを展開してい ます。 テクノロジーソリューション/サービス 2012 3 月期の業績(前期比) (十億円) 売上高 2,371.2 (–2.0%) 営業利益 124.0 (+6.6) 設備投資額* 73.4 (+6.2) Technology SolutionsServices * テクノロジーソリューション全体 032 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

Upload: hoangnga

Post on 12-May-2018

215 views

Category:

Documents


2 download

TRANSCRIPT

富士通トラステッド・クラウド・スクエア PCログイン専用の手のひら静脈認証センサー装置「PalmSecure-LT」(マウスセンサータイプ)

館林システムセンター統合管制室

事業別レビューと今後の見通し

ITシステムのコンサルティング、設計、アプリケーション開発、実装などのインテグレーションを行うソリューション/SIと、ITシステムをデータセンターなどでお預かりし、お客様に代わって一括運用管理を行うアウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービスを展開しています。

テクノロジーソリューション/サービス

2012年3月期の業績(前期比)(十億円)

売上高

2,371.2(–2.0%)

営業利益

124.0(+6.6)

設備投資額*

73.4(+6.2)

Technology Solutions/Services

* テクノロジーソリューション全体

032 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

業務プロセスアプリミドル 業務プロセス

ミドル

OS アプリ

OS

業務プロセス

ハード アプリミドル

OSハードハード

2011年国内 ITサービス市場シェア (金額ベース)

2011年世界 ITサービス市場シェア (金額ベース)

1 n 富士通 13.1%2 n A社 9.3%3 n B社 8.7%4 n C社 8.5%5 n D社 7.0%6 n その他 53.6%

1

2

3

45

6

1 n A社 7.1%2 n B社 4.2%3 n 富士通 3.0%4 n C社 3.0%5 n D社 1.9%6 n その他 80.7%

12

34

5

6

(出典:Gartner, “Market Share: IT Services 2011” 9 April 2012)

(出典:Gartner, “Market Share: IT Services 2011” 9 April 2012)

Our Strength -強み

富士通のサービスビジネスは、国内No.1、グローバルNo.3のシェアを持ち、欧州、米州、アジア、オセアニアまで幅広い国・地域でサービスを展開しています。特にアウトソーシング分野では、日本、欧州を中心に、世界16ヵ国、約100拠点にデータセンターを配し、

お客様のICTにかかる運用負担の軽減や環境対応等、様々なニーズに応えるサービスを提供しています。当社が強みとする、グローバルなサービス体制や、大規模かつ先進的なシステムを構築してきた豊富な

実績、そしてそれらを支える高い技術力は、各国政府系のシステムや、グローバルに拠点を持つお客様のシステム等、国・地域・言語を越えて様々なお客様のICT利活用を支えています。

ここに述べられたガートナーのレポート(以下「ガートナーのレポート」)は、ガートナーのシンジケート購読サービスの一部として顧客向けに発行されたデータ、リサーチ・オピニオンもしくは視点を表したものであり、事実を表現したものではありません。ガートナーの各レポートは、レポート発行時点における見解であり、本アニュアルレポート発行時点のものではありません。またガートナーのレポートで述べられた意見は、事前の予告なしに変更されることがあります。

?

クラウド・コンピューティングネットワークの向こう側に存在するICTリソース(サーバ、ストレージ、

ネットワーク、OS、ソフトウェアなど、コンピュータを十分に動作させるために必要な環境を作る資源のこと)を、ネットワーク経由で、必要なときに必要なだけすぐに利用できる形態。

SaaSサービス提供者が用意したソフトウェア(アプリケーション)の機能を、ネットワーク経由で利用する形態。

PaaSアプリケーションを開発・実行するために必要なハードウェア、OSな

どの環境をネットワーク経由で利用する形態。

Iaasコンピュータシステムを構築・稼動させるために必要なネットワーク回線やサーバなどのインフラを、ネットワーク経由で利用する形態。

用語解説

IaaSInfrastructure as a Service

PaaSPlatform

as a Service

SaaSSoftware

as a Service

お客様から見える境界

Performance

033FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 1

2011年世界 ITアウトソーシング 市場シェア(金額ベース)

1 n A社 10.9%2 n B社 6.1%3 n 富士通 4.5%4 n C社 4.2%5 n D社 2.6%6 n その他 71.6%

12

345

6

(出典:Gartner, “Market Share: IT Services 2011” 9 April 2012)

GRAPH 2

(十億米ドル)

世界 ITサービス市場予測

(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2012)

GRAPH 3

(十億米ドル)

国内 ITサービス市場予測

(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2012)

0

200

400

800

600

627.6

739.1708.2678.2650.8

2011 2012 2013 2014 2015 0

20

40

60

80

60.6 61.8 64.2 65.363.0

2011 2013 2014 20152012

2011年実績2011年の国内ITサービス市場は、前

年比2.2%減の60.6十億米ドルと減少でした。 GRAPH 3 東日本大震災やタイ洪水被害の影響を受け、さらに欧州における政府債務問題によって円高が一段と進んだこともあり、国内景気は減速しました。そのため、企業のIT投資は抑制傾向にあり、公共分野でも震災復興を優先する動きから、国内IT投資は前年に引き続き抑制されました。分野別では、システム構築の需要が大

きく落ち込みました。また、これまで成長を続けていたアウトソーシング分野も、東日本大震災以降、災害対策、事業継続を意識したデータセンター活用のニーズが高まってはいますが、足下での投資抑制が強く、市場規模は前年比で減少しました。世界ITサービス市場は前年比3.4%増

の627.6十億米ドルでした。 GRAPH 2 欧州では、ユーロ安を背景に輸出産業が好調であったドイツが中心となってIT投資を牽引しましたが、他地域で景気悪化に伴うIT投資削減が継続し、市場は微増にとどまりました。一方、北米市場はクラウド・コンピューティング ?の広がりとともにIT投資は回復傾向にあります。

2012年3月期実績サービス(ソリューション/SI、イン

フラサービス)の当期の売上高は、2兆

3,712億円(前期比2.0%減)となりました。為替影響を除くと前期並みです。ソリューション/SI:当期の売上高は、

8,248億円(前期比0.6%減)となりました。 GRAPH 4 為替影響を除くと、前期並みです。国内の製造業や流通業、また自治体や

医療といった公共分野で投資回復が見られました。一方、金融分野では前期にあった大型商談の反動減があり、また電力、通信といった社会基盤分野では、震災復興に伴うインフラ投資が優先されたことに加え、通信トラフィック増加に対応するために通信キャリアの投資がハードウェアにシフトしている影響により、売上は前期から落ち込みました。インフラサービス:当期の売上高は、 1兆5,464億円(前期比2.7%減)となりました。為替影響を除くと前期並みです。国内では、アウトソーシングの需要

が引き続き高いものの、ネットワークサービスのインターネット・サービス・プロバイダー事業で回線料金込みのパック商品から単体商品へシフトした影響があり、減収となりました。また、

2012年見通し2012年の国内ITサービス市場は、前

年比1.9%増の61.8十億米ドルと予測しています。 GRAPH 3

国内経済は、東日本大震災やタイ洪水被害に起因する停滞や、円高影響もあり厳しい状況が続きましたが、足下では持ち直してきており、緩やかな回復基調が続くと思われます。国内IT投資の回復は2012年上半期では緩やかなものになる見通しですが、下半期には企業収益の回復や震災からの復興の進展もあり回復の裾野が広がっていくと見込んでいます。世界ITサービス市場は前年比3.7%伸

長の650.8十億米ドルと予測しています。 GRAPH 2 世界的に見るとIT市場は拡大しますが、欧州は政府債務問題に伴う実体経済の悪化が影響し、2012年も引き続き厳しい環境が続くと予想されます。一方、北米の大統領選挙に伴う不透明さや、中国の景気減速に伴うオーストラリアの資源産業の動向など不安要素はありますが、環太平洋・アジア市場の IT投資は概ね活発で、市場拡大を牽引すると見ています。

市場動向 富士通の取り組み

034 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 6GRAPH 5GRAPH 4

(十億円)(十億円) (%)(十億円)

設備投資額*営業利益、売上高営業利益率売上高*の主要製品別内訳

(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)

* テクノロジーソリューション全体

* セグメント間の内部売上高を含む

n n 営業利益(左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り)

nn ソリューション/SInn インフラサービス

0

1,000

2,000

3,000

1,739.52,628.9

889.3

1,546.4

2,371.2

824.8830.0

1,589.51,706.02,419.52,541.8

835.8

1,558.52,470.1

911.5

2008 2009 2010 20122011 0

50

100

200

150143.3

5.5

124.0

5.2

117.3

4.9

127.5

5.0

168.6

6.8

12

9

6

3

02008 2009 2010 20122011 0

20

40

100

80

60

80.574.0

86.9

73.467.2

2008 2009 2010 20122011

海外では、英国政府の緊縮財政政策の影響が継続しているほか、欧州大陸での景気低迷やタイ水害影響、米国市場の伸び悩みなどがありましたが、オーストラリアや北欧などが伸長し、為替影響を除けば1%の増収でした。営業利益は1,240億円(前期比66億円

増)となりました。 GRAPH 5 国内では大型システム商談の減少に伴う減収影響に加え、クラウドサービスの先行投資負担が継続した結果、減益となりました。海外では、欧州サービスビジネスの

採算性が好転しつつあり、増益となりました。

今後の取り組みソリューション/SI:2012年4月の組織改訂において、グループのSE部門を再結集させたシステムインテグレーション部門を設置しました。これにより業種の垣根を越えて生産性/競争力の向上やグローバル化など、SE力を強化しお客様に新しい価値を提供していきます。また、併せて地域SE会社も新体制とし、地域SE会社各社が持つ強み・特徴をグループとして最大限発揮して、リソースの有効活用や開発投資を効率化し競争力を強化していきます。当社の強みである既存資産を起点としたビジネ

ス展開や、グローバル対応力の強化など、圧倒的な競争力を持った強いSE集団を創りあげます。

インフラサービス:クラウド・コンピューティングを軸に、ビッグデータなどの新しいサービスのビジネス化を加速していきます。国内では、SaaSによるパッケージ利

用やPaaS、IaaSといったインフラ基盤利用、またプライベートクラウドなど、様々な形態でのクラウドの利活用が急速に広がっています。さらに、昨今注目を集めているビッグデータを活用したコンバージェンスサービスをはじめ、新しいサービスの提供を開始しています。これに加え、震災以降システムのバックアップや事業継続に対するお客様の意識が非常に高まっており、データセンターを中心としたアウトソーシングやBCP関連のサービスが活性化しています。今後ますます拡大していくクラウド・コンピューティングに対応し、新しいICT利活用による新サービスの提案を強化していきます。海外では、「グローバル・インテグ

レーション」(国内外の一体化)の精神に基づき、国内外/地域に関わらず、 共通のプロダクト/サービスを「One

Fujitsu」として提供できる体制を強化していきます。また、2011年に世界6拠点に整備した「Fujitsu Global Cloud

Platform」および、その他のプラットフォームを活用し、プライベート/パブリック双方のクラウド基盤の提供を進め、グローバルに均質なサービスを提供し、国内、海外を問わず、全てのお客様のグローバル展開をICTの面から支援していきます。

Performance

035FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

ICTの基盤となるシステムプロダクトとネットワークプロダクトで構成されています。システムプロダクトは主に、ITシステムを構築するサーバ(メインフレーム、UNIX、基幹IAサーバ、PCサーバなど)やストレージシステム、ミドルウェアなど、ネットワークプロダクトは、通信インフラを支える携帯電話基地局や光伝送システムなどが含まれています。

テクノロジーソリューション/システムプラットフォーム

Technology Solutions/System Platforms

2012年3月期の業績(前期比)(十億円)

売上高

563.6(–5.2%)

営業利益

47.2(+1.7)

設備投資額*

73.4(+6.2)

* テクノロジーソリューション全体

仮想化環境向けストレージ「ETERNUS VX710」

サーバノード「PRIMERGY CX250 S1」(「PRIMERGY CX400 S1」搭載時)

2WAY 1Uラック型サーバ「PRIMERGY RX200 S7」

036 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

2011年国内 サーバ市場シェア (金額ベース)

2011年北米 光伝送市場シェア (金額ベース)

1 n 富士通 27.7%2 n A社 19.9%3 n B社 16.0%4 n C社 15.4%5 n D社 9.2%6 n その他 11.8%

1 n 富士通 22.2%2 n A社 19.8%3 n B社 13.3%4 n C社 12.7%5 n D社 8.7%6 n E社 6.0%7 n その他 17.3%

(出典:Ovum, Market Share: 1Q12 ON Global, June 2012)

(出典:IDC Japan, Japan Server Quarterly Model Analysis, 2012 Q1)

1

23

4

5

6 1

2

34

5

6

7

Our Strength -強み

システムプロダクトは、世界でも数少ない自社製CPUを搭載した企業の基幹システムを支える高性能・高信頼のメインフレーム、UNIXサーバに加え、クラウド・コンピューティングなどさらなる市場の拡大が期待されるPCサーバ、さらに今後も増え続ける大容量のデータを蓄積するストレージシステムなど、お客様のニーズに合わせた製品をグローバルに展開しています。ネットワークプロダクトは、当社の高い技術力、サポート力を背景に、国内通信キャリア向け光伝送シス

テム、携帯電話基地局で高いシェアを持っています。また、競争が激しい北米市場でも、当社の高い技術力、実績などが評価され、光伝送システムでは、シェアNo.1を誇っています。

?

スーパーコンピュータ極めて計算能力の高いコンピュータのことで、仮想的な条件のもと、大規模で高度な演算が必要となるコンピュータなどに利用される。

3G第3世代の携帯電話の通信規格の総称。

LTELong Term Evolution(ロング・ターム・エボリューション)の略で、携帯電話の通信規格の一種。3Gより高速のデータ通信が可能。

ルータネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する機器。

モバイルバックホール様々な場所にある多数のモバイル基地局を収容して、モバイル端末からのデータトラフイックをモバイルコアネットワークへ転送する役割を担うネットワーク。

バックボーンネットワークの中核となる基幹回線のこと。

用語解説

Performance

037FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 1

2011年世界 サーバ市場シェア (金額ベース)

(出典:IDC Worldwide Quarterly Server Tracker 2012 Q1)

GRAPH 2

(十億米ドル)

世界 サーバ市場予測

(出典:IDC The Worldwide Black Book Q1 2012)

GRAPH 3

(百万米ドル)

北米 光伝送市場予測

(出典:Ovum, ON Market Forecast: 2012–17, June 2012)

0

40

20

60

80

56.6 56.2 58.3 59.357.2

2011 2013 2014 20152012

2,000

4,000

6,000

0

4,0084,108 4,529

4,8014,272

2011 2013 2014 20152012

1 n A社 31.5%2 n B社 29.3%3 n C社 15.0%4 n D社 6.2%5 n 富士通 4.8%6 n その他 13.2%

1

2

3

4

65

2011年実績システムプロダクト:2011年の国内サーバ市場は、前年比3.9%増の6.2十億米ドルとなりました。スーパーコンピュータ ?の出荷やITサービスや通信分野向けにPCサーバの出荷が拡大したことで、前年を上回りました。世界サーバ市場は、欧州債務危機な

どへの懸念から、欧米を中心に投資は抑制傾向となりましたが、中国を中心にアジア諸国では市場が拡大しており、前年比2.3%増の56.6十億米ドルと拡大しました。 GRAPH 2

ネットワークプロダクト:2011年の国内ネットワーク機器市場は、NGN関連の投資は一巡となりましたが、既存ネットワークのNGNへの取り込みや、LTE展開やトラフィック増に対応したバックボーン増強投資が拡大となり、国内の光伝送市場は前年を上回りました。ルータ ?市場もトラフィック増対応の投資により前年を上回りました。モバイルインフラ市場は、(株)NTTドコモの3G ?投資は一巡となりましたが、LTE ?の投資が拡大し、合計では前年を上回りました。

れる一方、景気悪化に伴う財政支出削減、消費の冷え込みが懸念されており、前年比横ばいを予想しています。

GRAPH 3

2012年3月期実績システムプラットフォーム(システム

プロダクト、ネットワークプロダクト)の当期の売上高は、5,636億円(前期比

5.2%減)となりました。 GRAPH 4

システムプロダクト:当期の売上高は、

2,827億円(前期比13.4%減)と減収となりました。国内では、サーバ関連で金融および公共分野向けの大型システム商談の減少や、前期に次世代スーパーコンピュータを量産した影響により大幅な減収となりましたが、国内市場シェアは5年連続で首位を維持しました。海外では、各地域でPCサーバが堅調

に推移したものの、UNIXサーバの出荷が伸び悩んだことや、タイ洪水による

HDD供給不足のため一部商談がストップしたこと、為替の影響などにより減収となりました。

北米の光伝送市場は、データトラフィック増への対応に向けたモバイルバックホール ?などのバックボーン ?

への投資は堅調し、前年を上回りました。

2012年見通しシステムプロダクト:2012年の国内サーバ市場は、前年比10.4%減の5.6十億米ドルと見込まれています。前年に大きな影響を及ぼしたスーパーコンピュータの反動により、前年を大きく下回ると見込まれています。世界サーバ市場は、中国を中心とし

たアジア諸国での市場拡大が期待されていますが、日本市場の反動減、景気不安に伴う欧州市場の低迷などにより、前年比0.8%減の56.2十億米ドルと見込まれています。 GRAPH 2 ネットワークプロダクト:2012年の国内ネットワーク機器市場は、LTE展開の本格化、トラフィック増対応やネットワーク更改に向けた投資が拡大すると見込まれるため、市場は前年を上回ると見込んでいます。北米の光伝送市場は、モバイルバッ

クホールなどのバックボーン増強に向けた投資が2012年も継続すると見込ま

市場動向

富士通の取り組み

038 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 6GRAPH 5GRAPH 4

(十億円)(十億円) (%)(十億円)

設備投資額*営業利益、売上高営業利益率売上高*の主要製品別内訳

(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)

* テクノロジーソリューション全体

* セグメント間の内部売上高を含む

n n 営業利益(左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り)

nn システムプロダクトnn ネットワークプロダクト

0

200

400

800

600

335.7673.6

337.9

280.8

563.6

282.7

268.2

326.5

273.1587.4 594.8

314.3

317.1619.1

302.0

2008 2009 2010 20122011 0

10

20

50

40

30

37.7

5.6

8.8

25.9

4.4

32.5

5.3

2008 2009 2010 20122011

10

8

6

4

2

0

47.2

7.7

45.5

0

20

40

100

80

60

80.574.0

86.9

2008 2009 2010 20122011

73.467.2

ネットワークプロダクト:当期の売上高は、2,808億円(前期比4.7%増)と増収となりました。光伝送システムは、北米ではこれまで

堅調に推移していましたが、2011年度後半から設備投資の減速に伴い伸び悩みました。国内もNGNの投資一巡の影響を受け、減収となりました。モバイルシステム/ネットワークソ

リューションは、スマートフォンの普及に伴うトラフィック増対応により、

3G機器やルータの売上が増加、さらに

LTEへの投資が本格化したことで、大幅な増収となりました。営業利益は、472億円(前期比17億円

増)と増益になりました。システムプロダクトは、PCサーバを中心にコストダウン効果があったものの、UNIXなどサーバ関連の大幅な減収が影響し、減益となりました。 GRAPH 5

ネットワークプロダクトは、スマートフォンの普及に伴うトラフィック増対応やLTEへの投資拡大による増収効果により、増益となりました。

今後の取り組みシステムプロダクト:より豊かで安心できる社会を築く上で、ICTの役割は拡大しており、それを支えるサーバやスト

レージ、ソフトウェアなど基盤製品の役割は非常に重要なものとなっています。また、ICTの柔軟な活用を可能とするクラウド・コンピューティングについては、それを支える最適なプラットフォームの開発を進めていきます。

GRAPH 6

PCサーバやストレージでは、ドイツ

FTSとの業務統合により、商品仕様をグローバルで統一し、開発効率の向上につながっています。販売台数の多い日本、欧州市場でさらなるシェア拡大を図るとともに、成長市場である新興国、世界最大の市場である北米での開拓を進めるため、今後パートナーチャネルの開拓を行い、グローバルなビジネス拡大を 目指します。ソフトウェアでは、PaaS(Platform as a Service)領域の新しい商品の提供、特に重点分野であるクラウドに投資を集中します。また、UNIXサーバについては、オラクル社との協業により製品力を強化し、ビジネスの拡大を図ります。ネットワークプロダクト:クラウド時代を迎え、情報とネットワークの融合がより進む中で、ネットワークプロダクトの位置づけはより一層重要なものとなっています。近年、開発プロセスの改革による徹底したコストダウン、国

内、北米市場での売上拡大により、利益体質に転換しています。次の成長ステージに向け、コストダウンを推進するとともに、ホームネットワーク領域などのようにネットワークや付帯するサービスを活用した新たなビジネス領域を開拓することで収益の向上を目指します。光伝送システムは、先進的な製品の投入により、日本と北米でのポジションをさらに強固なものにしていきます。モバイルシステム/ネットワークソリューションは、(株)NTTドコモ向けLTEビジネスを確実に遂行するとともに、当社の強みであるLTE基地局や他社との連携によるトータルソリューションの提供、付帯するサービスの展開を行うことで、ビジネスの拡大を目指します。

Performance

039FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

手のひらサイズの世界最小パソコン「Windows® 7ケータイ F-07C」

ポータブルナビゲーション「EP001」指紋センサー搭載のハイスペック防水タブレット「ARROWS Tab Wi-Fi」

パソコンは、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化や、スレートPCの展開、また日本市場においては、国内品質を武器とした商品ラインナップを揃えています。携帯電話は、従来のフィーチャーフォンに加え、スマートフォン、タブレット端末の新ブランド「ARROWS」を展開しています。モバイルウェアは、スマートフォンと連携してドライブがより楽しく、誰もが気持ちよく使いこなせるカーナビをはじめ「ツナガル」製品で多様なニーズにお応えします。

ユビキタスソリューション

Ubiquitous Solutions

2012年3月期の業績(前期比)(十億円)

売上高

1,154.2(+2.5%)

営業利益

19.9(–2.7)

設備投資額

15.6(0.0)

040 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

? 用語解説

2011年国内 パソコン市場シェア (台数ベース)

2011年国内 携帯電話市場シェア (台数ベース)

1 n A社 24.2%2 n 富士通 17.3%3 n B社 12.2%4 n C社 8.7%5 n D社 8.5%6 n E社 6.6%7 n その他 22.6%

1 n A社 20.1%2 n 富士通 18.8%3 n B社 14.2%4 n C社 10.0%5 n D社 9.7%6 n その他 27.2%

(出典:IDC Japan, Japan Quarterly Mobile Phone Tracker, 2012Q1)

(出典:Gartner, “Quarterly Statistics: Personal Computers, Worldwide by Region, 1Q12 Update” 9 May 2012)

1

2

34

5

6

7 1

2

34

5

6

Our Strength -強み

パソコンは、品質にこだわった高い付加価値製品を提供しています。ノートパソコンは、設計から製造・組立・カスタムメイドまで、島根富士通で一貫製造しています。またデスクトップパソコンは、海外より部品を調達し、国内は富士通アイソテック、海外は欧州向けを中心にドイツの富士通テクノロジー・ソリューションズにおいて組立・カスタムメイドしています。携帯電話では、最先端の高速CPUを搭載したハイエンド・スマートフォン ?や、見やすさ・聞きやすさ・使いやすさを追求した「らくらくホンシリーズ」、タブレット端末等バリエーションを強化し、先進性の高い高品質のモバイル機器を販売していきます。モバイルウェア ?は、長年培った車載技術を活かし、カーナビゲーションをはじめ自動車用電子機器などにより、安心・安全で快適なカーライフを提供しています。

HDDHard Disc Drive(ハード・ディスク・ドライブ)の略。情報を読み書きする記憶装置のことで、パソコンをはじめとするコンピュータ機器に搭載されている。

モバイルウェアカーナビに代表されるようなオーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器などの富士通での総称。

Ultrabook™米インテル社が提唱する薄型・軽量のモバイル・ノートパソコンのこと。電源を入れてから起動するまでの時間が短いことなどが特長。

ユニバーサルデザインお年寄りや障がいのある方、外国人を含む誰もが身体的制約、知識、言語の壁を超えて使用できることを前提に作られる仕様のこと。

スマートフォン通話やメールだけでなく、自分でソフトウェアを追加するなどして機能を変えることができる携帯電話のこと。

フィーチャーフォンスマートフォンに対して従来の携帯電話のことを一般的に総称してこう呼ぶ。

Performance

041FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 2

2011年世界 パソコン市場シェア (金額ベース)

(出典:Gartner, “Quarterly Statistics: Personal Computers, Worldwide by Region, 1Q12 Update” 9 May 2012)

GRAPH 1

国内 携帯電話市場予測

(出典:IDC Japan, Japan Quarterly Mobile Phone Tracker, 2012Q1)※ 上記の数字は各期末(3月31日)時点のものです。

GRAPH 3

(千台)

世界 カーナビゲーションシステム 需要動向予測

(出典:一般社団法人 電子情報技術産業協会 「AV主要品目世界需要動向」 2012年2月)

0

10,000

20,000

50,000

40,000

30,000

37,955 38,74038,510 38,86539,333

2011 2012 2013 2014 2015 0

3,000

6,000

15,000

12,000

9,000

9,842

13,593

11,76112,659

10,978

2011 2012 2013 2014 2015

1 n A社 16.8%2 n B社 13.9%3 n C社 12.1%4 n D社 10.0%5 n E社 8.5%6 n F社 5.4%7 n G社 5.1%8 n H社 3.1%9 n I社 3.1%10 n 富士通 2.0%11 n その他 20.0%

1

2

345

6789

10

11

(千台)

2011年実績2011年の国内パソコン出荷台数は前

年比2.8%減の1,565万台となりました。東日本大震災による工場操業停止やタイ洪水によるHDD ?不足が響きました。個人市場では上位モデルの単価下落による割安感から、需要が喚起され増加しました。法人市場はパソコン出荷が集中する3月に震災が起こったため減少しました。一方世界パソコン市場は、前年比

0.5%増の3億5,256万台となりました。欧州債務問題やタイ洪水影響による

HDD不足に加え、スマートフォンやタブレット型端末との競合により、前年比微増にとどまりました。携帯電話の国内出荷台数は前年比

5.1%増の3,795万台となりました。GRAPH 1 これはフィーチャーフォ

ン ?の販売は減ったものの、スマートフォンが急速に普及しているためです。世界のカーナビゲーションシステム

出荷台数は前年比5.1%増の984万台となりました。 GRAPH 3 日本では、震災影響による生産・販売台数減が響き減少しましたが、自動車人口が急拡大している新興国をはじめ欧米でも順調な伸びを見せ、増加しました。

2012年3月期実績ユビキタスソリューションの当期の

売上高は1兆1,542億円(前期比2.5%増)となりました。 GRAPH 4 パソコンについては、国内では企業向

けの大型ロット商談がありましたが、個人向け市場における単価下落やタイ洪水によるHDD不足の影響がありました。一方、海外では欧州での法人向けノートパソコン販売が増加しました。その結果、全世界の出荷台数は前期比

11.1%増の602万台となりました。携帯電話は、国内携帯電話出荷台数は

(株)東芝との事業統合効果やスマートフォンを中心に多品種展開を行った結果、前期比19.4%増の800万台となりました。モバイルウェア ?は、震災影響による

稼動率低下、さらにタイ洪水影響による自動車会社の操業低下を受け、オーディオ・ナビゲーション機器販売が減少しました。営業利益は199億円で前期比27億円

の減益となりました。 GRAPH 5 パソコンは、国内では販売価格低下やHDD調達コスト増に対し、円高を背景とした

2012年見通しパソコンは国内個人市場では、

Windows® 8やUltrabook™ ?が登場し、需要を喚起しますが、一部タブレット型端末への移行もあり、前年比で若干減になると見ています。国内法人市場については、Windows® XPのリプレースが進み増加が見込まれます。このことから日本市場は若干の増加が予想されます。一方、海外では、個人市場については、Windows® 8やUltrabook™による拡販効果により増加が見込まれ、法人市場については、引き続き堅調な需要が見込まれます。この結果世界パソコン市場は、前年比4.4%増の3億6,823万台と予想されています。携帯電話については、2012年の国内

出荷台数は前年比3.6%増の3,933万台と見込まれています。フィーチャーフォン市場は縮小しますが、スマートフォン市場への移行が急速に進むことで、市場規模拡大が見込まれています。世界のカーナビゲーションシステム

出荷台数については、新興国での自動車販売台数が拡大することで、地理情報の蓄積・整備が進み、所得増によりラインや純正オプションでの装着率上昇が見込まれることから、前年比11.5%増の

1,097万台と予想されています。GRAPH 3

市場動向 富士通の取り組み

042 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 6GRAPH 5GRAPH 4

(十億円)(十億円) (%)(十億円)

設備投資額営業利益、売上高営業利益率売上高*の主要製品別内訳

(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)

* セグメント間の内部売上高を含む

n n 営業利益(左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り)

n n PC/携帯電話nn モバイルウェア

0

300

600

1,500

1,200

900

376.0

325.8

1,206.7

1,002.1

830.6 676.2

264.7

1,154.2

889.5

283.11,125.6

842.5

302.51,119.6

817.1

2008 2009 2010 2011 2012 0

30

60

90

29.8

74.3

6.2

3.019.9

1.7

22.6

2.0

40.6

3.6

2008 2009 2010 2011 2012

12

8

4

0 0

5

10

25

20

15

19.617.7 15.615.5

11.0

2008 2009 2010 2011 2012

部材調達コスト削減に取り組み、個人・法人ともに増益を確保しました。一方海外では欧州を中心に販売台数が伸びたものの、単価下落による減収が響き減益となりました。携帯電話は売上台数、金額とも大きく伸びましたが、スマートフォン開発投資強化や震災・タイ洪水影響がコスト面で響き横ばいとなりました。モバイルウェアは減収効果が大きく、大幅減益となりました。また、オーディオ・ナビゲーション機

器販売については、コスト競争力や顧客のグローバル展開に対する対応力強化を目的に、国内生産体制の再編と海外生産体制の強化を実施しました。

今後の取り組みパソコンでは、日本国内の製造拠点で

ある島根富士通と富士通アイソテックで製造した、高品質、高信頼のパソコンをそれぞれ「出雲モデル」「伊達モデル」として世界にアピールしていきます。また日本発の世界最薄Ultrabook™「LIFEBOOK UHシリーズ」やテレビ機能やデザインを強化したデスクトップパソコン「ESPRIMO FHシリーズ」を提供します。さらに、家庭内に散在するデータが手軽に収集できるよう整理され、ク

ラウドサービスによるデジタルデータ活用で楽しみ方が大きく広がる可能性を、新しいパソコンのコンセプト「マイクラウド」で提唱していきます。また海外では、ドイツで法人市場向けのPC販売を強化するほか、北米では、医療や教育分野でのスレートPC強化、APAC・中国では個人向け需要を開拓していきます。携帯電話は、クワッドコアCPUを採用

したハイスペック防水スマートフォン「ARROWS F-10D」、使いやすくデータ移行も簡単にできる上質コンパクト防水スマートフォン「ARROWS Me F-11D」や、シニア層向けのロングヒット商品「らくらくホンシリーズ」が進化した大画面スマートフォン「らくらくスマートフォン」等を展開していきます。また当社の強みであるユニバーサル ?技術、防水機能、防塵機能などを強化し、他社との差別化を図っていきます。さらに今後は日本国内でのトップシェアを堅持した上で、グローバル展開に備えて、開発体制の強化と効率化を加速します。モバイルウェアは、業界最大級の9型

大画面を採用し、スマートフォンや携帯型ゲーム機と連携したカーナビゲーションシステムECLIPSEシリーズ「AVN-

ZX02i」等、ICTを活用した車から社会と

人がつながる高付加価値製品の販売を拡大していきます。また、2012年7月に当社子会社の富士通テンが、インドの大手自動車部品メーカーであるN K ミンダグループと合弁会社を設立しました。新会社ではカーナビゲーションシステム等の開発・設計・製造の一貫体制を構築し、成長著しいインドでのビジネス拡大を狙います。

Performance

043FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

デバイスソリューションは、LSIと電子部品で構成されています。当社グループの半導体事業会社である富士通セミコンダクターがデジタル家電や自動車、携帯電話、サーバなどに搭載されるLSIを提供しています。また、上場連結子会社である、新光電気工業、富士通コンポーネント、FDKなどが半導体パッケージをはじめとする電子部品のほか、電池、リレー、コネクタなどの機構部品を提供しています。

デバイスソリューション

Device Solutions

2012年3月期の業績(前期比)(十億円)

売上高

584.7(–7.3%)

営業利益

–10.1(–31.1)

設備投資額

47.2(+7.7)

電気自動車やハイブリッド車向け動力モーター 制御機能を備えた「MB91580シリーズ」

H.264トランスレート対応 メモリ内蔵トランスコーダ「MB86M01」、「MB86M02」

ワイヤレスモバイル機器向けマルチバンド・パワーアンプ「MB86C83」

044 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

? 用語解説

Our Strength -強み

富士通セミコンダクターは、「モバイル」「自動車」「映像機器」「ハイパフォーマンス(産業機器)」の4分野を注力分野とし、お客様の多様なニーズに対し高信頼かつ最適なソリューションを提供しています。画像、無線、セキュリティ分野などを中心に幅広いアプリケーションで実績を誇る一方、低消費電力化を推し進め、環境課題にも重点的に取り組んでいます。国内はもとより米州、欧州、アジア地域に開発および販売の拠点を持ち、グローバルに活動を広げています。

ファブライトファブ(半導体製造工場)とライト(少ない)を組み合わせた言葉で、開発・設計のみを自社で行い、全ての製造を外部に委託するファブレスに対し、自社で最小限の製造能力を持ちつつ、製造を外部委託すること。

マイコンマイクロコントローラー、あるいはマイクロコンピュータの略で、1チップ上に中央演算処理装置(CPU)、メモリ、I/O(入出力)インターフェース回路などを集積したもの。

ASIC特定のお客様向けに開発された専用ICのこと。

ASSP特定用途向け専用標準ICで、複数ユーザーを対象として汎用的に出荷される。

SoCSystem on a Chipの略で、システムLSIともいう。これまで複数のICを

組み合わせて構成していた機能を1チップに集約し、小型で高性能な機器を実現できる。

IP回路図やソフトウェアなどの設計資産のこと。

2011年世界 ASIC市場シェア(売上ベース) 2011年世界 マイコン市場シェア(売上ベース)

1 n A社 21.6%2 n B社 12.8%3 n C社 9.0%4 n 富士通セミ コンダクター(株) 7.8%5 n D社 6.9%6 n E社 6.7%7 n その他 35.3%

1 n A社 26.9%2 n B社 9.4%3 n C社 8.2%4 n D社 7.0%5 n E社 6.2%6 n F社 5.8%7 n G社 5.6%8 n H社 5.0%9 n 富士通セミ コンダクター(株) 4.4%10 n その他 25.8%

(出典:IHS iSuppli May 2012) (出典:IHS iSuppli May 2012)

1 1

2 2

3 34 45 5

6 6

7

78

9

10

Performance

045FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 1

2012年3月期 ロジックLSI製品 アプリケーション別売上高比率

GRAPH 2

(十億米ドル)

世界 地域別半導体市場予測

(出典:WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計))

0

100

200

400

300

53.638.0

46.5

298.3

160.0

62.8

40.2

48.1

336.5

185.1

56.936.0

43.6

322.4299.5

164.2

60.538.4

46.3

177.0

55.137.3

42.9

300.8

164.0

2010 2011 2012 20142013

1 n AV/民生2 n 情報機器3 n 自動車4 n 携帯電話5 n 通信機器6 n 産業機器7 n その他

n 米州n 欧州

n 日本n アジア・パシフィック

1

3

4

2

56

7

2011年実績2011年の世界半導体市場は、2,995

億ドル(前年比0.4%増)*と、過去最高の市場規模となったものの、前年比31.8%増となった2010年と比較すると成長率は大きく減速しました。 GRAPH 2 欧州危機の影響による世界経済の低

迷、東日本大震災やタイ洪水などの自然災害の影響を受けて、需要は低迷し、前年から一転して厳しい状況となりました。地域別にみると、日本市場は東日本大

震災、世界経済の低迷と円高、およびタイの洪水影響により、デジタルカメラなどのAV機器やパソコン、自動車関連の生産が落ち込み、前年比7.9%減*(円ベースでは16.3%減*)と、他地域と比較して、大きく市場が縮小しました。アジア市場においても、スマートフォン等の通信機器向け需要は堅調に推移したものの、世界経済の低迷、タイの洪水の影響を受け、成長は大幅にペースダウンし、前年比2.5%増と低成長となりました。その他の地域では、欧州は、欧州危機の影響を大きく受けて需要が低迷しマイナス成長となり、米州は、通信機器向け需要

長し、2012年から2014年の年平均成長率は4.0%*となるものと予測されています。* 世界半導体統計(WSTS)2012年春季半導体市場予測より。

2012年3月期実績当期の売上高は、5,847億円(前期比

7.3%減)となりました。国内では、5.1%の減収となりました。 GRAPH 3 LSIは前期に量産が本格化した次世代コンピュータシステム用CPUの出荷が第1四半期で完了した影響があったほか、第1四半期における震災影響や、下半期におけるタイの洪水影響によりデジタルAV機器向けを中心として減収になりました。電子部品も半導体パッケージなどの所要が伸び悩みました。海外では、スマートフォン向け画像処理用LSIが堅調で、LSIの売上は前期並みとなりましたが、電子部品でアジア向けを中心として半導体パッケージやLCDモジュールが減収になり、為替影響を除いても減収となりました。

が好調、自動車向け需要が堅調に推移したものの、パソコン向け等の需要が落ち込み、若干の伸びにとどまりました。

2012年見通し2012年の世界半導体市場は3,008億ド

ル(前年比0.4%増)*と、若干のプラスで推移し、市場は依然として厳しい状況が続くものと見られています。 GRAPH 2 地域別で見ると、米州が前年比3.2%増*、欧州が3.5%減*、日本が1.7%増*、アジア・パシフィックが0.1%増*と予測されています。日本市場は前年の落ち込みの反動もあり、プラス成長に転じると見られています。欧州は依然として財政危機問題がくすぶり続けるなど不安定な経済が続き、市場がさらに縮小することが懸念されています。製品別で見ると、メモリ(DRAM、フ

ラッシュメモリなど)の市場規模が前年比3.1%減*、MOSマイクロの市場規模が前年比1.7%減とそれぞれ若干のマイナス成長となる見込みですが、ロジックの市場規模は前年比2.0%増と緩やかな成長を続けるとの予測です。

2013年以降は、2013年は市場規模が

3,224億ドル(前年比7.2%増)*、2014年は3,365億ドル(前年比4.4%増)に成

市場動向

富士通の取り組み

046 FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012

GRAPH 5GRAPH 4GRAPH 3

(十億円)(十億円) (%)(十億円)

設備投資額営業利益(損失)、売上高営業利益率売上高*の主要製品別内訳

(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)(3月31日に終了した会計年度)

* セグメント間の内部売上高を含む

n n 営業利益(損失)(左目盛り) 売上高営業利益率(右目盛り)

n n LSInn 電子部品

0

200

400

1,000

800

600

880.1

650.1288.5

584.7

343.7

258.6

327.1

271.4

630.6

320.0

247.9 589.0

406.6

354.9

530.8

20092008 2010 2011 2012 –80

0

15

30

–10.1–1.7

–9.0–1.5

–75.8

–11.7

2008 2009 2010 2011 2012

20.919.2

3.32.2

10

5

0

–15 0

30

120

90

60

150

120.9

42.847.2

39.431.9

2008 2009 2010 2011 2012

営業利益は101億円の損失と、前期比

311億円の悪化になりました。 GRAPH 4 国内ではLSIの減収影響のほか、電子部品の減収、材料価格高騰に加え、為替影響を受けました。

今後の取り組み当社グループは、2012年4月に、岩手

工場を(株)デンソーに譲渡することについて最終契約を締結しました。2009年より、40nm以降の先端テクノロジーに関しては台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)に生産委託するなど、独自のファブライト ?型事業モデルを展開してきましたが、今回の事業譲渡は同モデルの考え方に従うもので、これにより、お客様に商品の安定供給を継続しながら、当社グループのLSI事業における生産能力を最適化し、さらなる事業基盤の強化と経営体質の改善に努めていきます。今後は、独自のファブライト型事業

モデルを確立する中で、ASIC ?・マイコン ?を事業の中核に、画像・ワイヤレスをはじめとするASSP ?を注力分野として成長を図ります。

ASICにおいては、他社に先駆けて

28nmを中心とする最先端テクノロジーを用いたASICソリューションをお客様に最適な形で提供していくほか、お客様の最先端SoC ?開発をサポートするため、豊富なIP ?を取り揃え、幅広い要求に応えていきます。マイコンでは、2010年より、独自コ

アに加えて、CPUコアとしてARM社製

Coretex™-M3を採用したグローバル対応マイコンを提供していますが、今後はグラフィックス機能を搭載した高性能な車載向けマイコンなど、さらにラインナップを拡充し、幅広いアプリケーションに最適な製品を提供していきます。

ASSP*では、携帯電話、パーソナルコンピューター、通信ネットワーク、画像処理など各種システム向けに、最先端の

LSI技術を結集し、高性能、高機能を実現した製品を展開し、市場攻略を図っていきます。* 譲渡予定日 2012年10月1日

Performance

047FUJITSU LIMITED ANNUAL REPORT 2012