title 株式の分布と課税(株式會社株主に對する武藤氏の誤解) …title...
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Title 株式の分布と課税(株式會社株主に對する武藤氏の誤解)
Author(s) 汐見, 三郎
Citation 經濟論叢 (1920), 10(5): 686-698
Issue Date 1920-05-01
URL http://dx.doi.org/10.14989/127655
Right
Type Departmental Bulletin Paper
Textversion publisher
Kyoto University
)曾1濟 経學大國帝都京
響月
難叢
.
恐珊
一説
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税
と租
税
給
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力
…
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録
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株
式
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税
….・,・…
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〔三、完):
好景
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…注學博士
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三
浦
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・.・渋墨博士
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…注學博士
小島
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汐
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郎
大
森
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造
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戸
正
雄
一
●
雑
録
嚢
の弥市・諌
税(株式會祀株主に封ずゐ筑藤
氏の誤解)
第
+巻
、〔第
五號
株
式
の・分布
と裸視.
.
(株式會耐株主に封ず
る武藤氏の誤解)
.
■
汐
`見
三
郎.
一
・
最近民衆
の自毘
に俘ひ是が要求に恋するが矯
め諸種の肚會的立法が講せられてるる。就中第
四十二議會
に提出せられたる所得税改正法案
の
如きは、其財政経済上延ては肚會上に及ぼす影
響の甚大なる黙
に於
て、近世肚會立法の目星し
きもの、
一であらう。該法案は多少
の修正を輕
て衆議院を通過したが、不幸議會
の解散に依り
流産
の悲運を見乃に至っ陀のは、近来の痛恨事
、である。
.
所得税改正法案
に謝しては種々の論議が試み
られてみる。而も法人よb受くる配當金賞與金
を個人
に綜合課税するざ云ふ
大主義に
至
って
は、何人も異論無く、寧ろ其不徹底なるを攻む
る程である。是政治家及學者論客の等しく
一致
する所である。
嘗て神戸博士ば、租税理論の上
九
〇
}
出ハ八山ハ
.よりして綜合課税主義ご源泉課税主義ごを詳細
に比較研究
し
「所得税に於ける所得は其本來の..
性質に稽えて統
一課税が至聖であり、そして給
付能力に適合ぜしめんが矯
めに此に於て寫す
べ
き累進課税、最小活資免除、人的.事情の斟酌
の
如きも之によ
って初感て完全に行はる、こぜが
出来る」ε述
べて.ゐられる。小川博⊥⊥は夙に我
国の所得税の反祉會政策的なるを難
じてゐられ
た帆
大正九年議會
に提出せられたる改正案#
に其修正案を評し
「本案は配當金賞與金に黝し
源泉課税方法を
塵し
綜合
課税方法を
探らんε
す。是等は富者に輕く課して怪ま謬る現行法の
反吐會政策的傾向を韓回して之を肚會政策的に
立て直さんぜするも
のにして非常なる進歩を示の
すもめ
ε謂
はざ
る
べからす」ご云
って居ら
れ
る。
町田息治
民の如き政
府反劉蕪
の領袖
も
「A、日は
吾
々も政・府営
局者
ご大贈…に於て意見
を同じ
ふし
,
最早肚會
政策
を加味
して、綜
合課税
主義ε云
ふ
こごをば、.所得税法
大禮
に於
て探
る
べき時
期
で
.あるざ云
ふこごに劃
して
は、五口々は此主義
に同
とに於 ける所得の統 一課税(相 称 研究151-187頁)
の普遍性井 に社倉政策 的色彩(肚會 問題 電財政第 三〇294-329頁)
齢
意するこεは吝ではめりませ漁L
ε公雫に言明
む
して居られる。然
るに濁り武藤山治氏は
「株式
會肚株主に封ず
る政治家及學者論客の誤解」な
る論文を獲表しコ
箇鐘淵紡績株式會敵の實例」
ぞ引啓、是を根掘ざしで.「株式會蹴株主切大多
数は、中流以下の投資者なり」
ε断じ、從
って
今回の所得税法は
「真名は砒會政策にして其實
最も非肚會政策的にして早晩無事なる中
流
以
下、就中世事に暗き農民
の投資者を犠牲
にす
る
ニ
の
が如き大峡陥あるもの」なりεして居られる。
武藤氏は資本家を代表す
る紳士であ
って、其言
説や重ん逮ねばなら
蹟。此人にして此盲あり。
余は氏の意見が前記の學者政治家論客
の議論
ご
鯨りに懸隔甚だしきを見、本問題
の當否を致
へ
んεするものであ
るQ
余は鯉に所得税改正法.案を.評し、大膿に於て
現行法よりも肚會政策の理想に
一歩を進めてゐ
の
るものεし、賛意を表して置いたのでみつた
。
尺余の議論は租税の肚會的原則中專ら所得視均
等負捲なる卒等の原則の方面のみを扱ひ、綜合
課挽主義なる並、遍の原則には殆ん,、呼を脚れな
八
號
かつだのであったが、是亦肚會政策的なる黙に
嚇
細
於ては軌を
一にしてみるのである。余は改正淦
留
瓦師
案
の綜合課視主義をも目して糺肌曾政策的なりざ
動や
云ふ、武藤氏は
「最も非肚會敬策の甚
しき所得
甲四
瓢欝
椀法」なり
ε名
づけら
る。若
し武藤氏
の言
を正
しεせば、余
の考は誤
れりこせなけ
ればなら
漁。
灘 御講驚
(小前提
)
我国現今
の株式會肚は鐘淵紡績株式
會砒ε同様に其株主の大多数は中流以下の投資
欝糊
着
であ
る。
馨轡
(大前提阿
株主の大部分が中流以下の投資者で
める株式會肚嬉
しては比例率の源泉課税を行.醜鰍
瓢
ふのが至當であ
って株主個人に綜合し之に累進
町武巻拙52
牽を適用するのは非耐否
政策の甚しきものであ
恥の
の
雑
鰯
株式の分布ε課税(株式會冠株主に封ずろ武藤民の誤解)
第十巻
(第五號
九=
大入七
P
雑
録
株式の分布ミ課税(株式會肚株主に封ずる鴻藤氏の誤解)
る。
(結論)
散
に株主の大部分が金持
にあらざる我
国現時
の株式會吐
の株主に累進率
の綜合裸視主
義を敢て施
さんεす
る所得税改正法案は井 肛會
政策の甚しきものである。,
氏は其他超渦所得留保所得
に課税す
る事に關
しても多少言及してゐられるが、此等
は綜合裸
視主義なる根本問題の解決
ξ共に當燃種明せら
.
る
べき筈であるから、今は暫く是に鯛…れす、専
ら根本
の綜合課税主義
に謝する以上の三段論法
を扱ふ.事εする。
余の見る所を以てす
れば武藤氏は其議論の要
所々々に於て可なb重大なる二三の誤謬に陥
っ
てゐられるやうである。
第
一、鐘淵紡績株式會血
の株主をば現今我国株
式曾肚の株主の典型的のものεし、是が標本調
査より
企.般を
推してゐられるが、
確
に誤であ
る。即ち小前提
に於て頗る不適當なる統計材料
を探られたのが根本の誤解である。
.
第二、而も特に選ばれたる鐘淵紡績株式會肚
の
第十巻
(第五號
九二)
六八八
材料を解繹するに當り、株主数のみを重眠し其
株主の所有せゐ株数には
一顧
の勢をも拙はれな
かつだ事即ち統計数字の解繹を誤まられたのが
誤解
の第二黙である。
第三、最後に改正法案
の綜合裸視主義は現行法
の源泉課税主義よbも小株主を苦しめるものご
解し、法案其者をも誤解してゐら
れるのである。
以上大前提を誤り小前提に迷ふ。其結論の正
鵠を得ざるや
明である。「株式會糺肌株主に
封ず
る政治家及畢者論客の誤解」は實は「株式會肚株
主に謝す
る武藤氏の誤解」でなからうか。
二
第
一に鐘淵紡績株式會計 の株式の分布が決し
.
て我圓株式會肚の全艦を反影す・るも
のでない事
を明にし、以て武藤氏の統計材料邊繹
の誤を解
く事にする。
比較の便宜の爲めに、武藤氏の作製せられし
様式に則り、繊維工業其他類似
の株式會祉
の株
主名爵を探り、其所有珠
の多少に慮㌧所有人員
及合計株数を配賞し次
の表を得た。
'
{
.
所
有
株
鍛
、一
一一
一〇
一〇一
二〇
き
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三〇
一〇一
四〇
四〇一
吾
吾
一
杏
六〇1
七〇
、
苫
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合
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昔
召
⊥
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一〇〇1
二〇〇
二〇〇1
嵩OO
ニロ0一
四〇〇
四81
苦
口
吾
OIX
計.
鐘淵紡績株式會泄
八、下半期現在
ー
ー
所有人員
」[囲尭
六晃 【空一男
三三
.
莞莞四七一三一倉三
E茜三
四二三
一〇幽
冨嘉
一六入
合計株鍛
3三、実四
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、空
五
へ罫
五、葺
一穴δ二六
五、八里
四、臭
一
三、七二二
二、〇四二
一八、突六
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一九、一分
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三四(、罫晶晶御
日本綿花株式會雇
入、九
、三〇現在
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所有人員
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八〇
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五人
合計株数
3大麦
一、空笑
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九、四署
五、暑
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八
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内外綿線式會甦
入、一二、三
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所有人員
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心君一(四茜晃一四八
元四A一人
人員
から云ふも株数より見るも、如何に鐘淵
紡績株式會肚以外の諸會肚
の株が民衆化して居
ないか、・從
って武藤氏の引例のみを以て全般を
合計株数
」一六七
八豊
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究
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一
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一、七=
一δ四七
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一、塞昊
二
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六、三
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株
天滞織物株式會肚
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一、三
一現在
所有人員
合計株数
ー
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人
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江商株式會肚
八
、九
、二五現在
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一九四、8
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推測するの如何
に危険なるかは明であらう、.鐘
淵紡績株式曾肚は其歴皮
の古き、耐員に株
の分
散
せる事の敬多き、麿了ろ特殊の株式會[砒である。
雑
録
株式
の分布ミ課程(株式會融株主に封ずる武藤氏の誤
解V
第†巻
(第五號
九三)
大入九
一㌧一.
幽
\
.雑
録
此間.の消息ば當事者だ
る武藤氏の十分御承知あ
る筈でφる。
武藤氏は株式會聾
休圭の大多撒は中流以下の
投』質者 であるど断…冒す
るに好都A口の材料を選ば
.
れたが、其ξ正反封の場合も實例
に乏
しく無
い
特に代表的のものεして三菱商事株式會肚ξ降
水汽船株式會肚
`を擧げよう。
.
岸本汽船株式會粧八、一二、==現在
ト
コ所有株籔
所有大負
合計株数
ー
ー入
殊
株式の分奮換
稔(株式曾池株主に封ずる武藤氏の誤蟹
一1
一〇〇
「001
一δ〇
二〇〇一
三〇〇
里00一
四〇〇
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一、000
三
一〇
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八=四二耳一一一一三人
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五四、八吾
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三菱商事株式會壮八、一〇、三
一現在
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二
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一
二八一「OQO
一三人.
三〇〇、8
0珠
二十三名
の少数株 土を以て十萬株三十萬株
の
.
大株式會肚を.組織せる事は
敬字の
示す
所
であ
る。特に三菱商事株式會敢の如き
一人の株主で
全膿
の株数の九割四分を占
めてみるのである。
從來我國の所得税立法峨動もすれば個人所得
税ご株式會肚株式合資會糺肌所得税巴の差別を著
しくするの傾を有し、從
って大商工業者は個人
「
脛瞥を攣更して株式會肚組織εし、合名會肚合
資會肚組織を改めて株式會肚`なす
に至るので
ある。大正二年以来、富豪が其親戚
一統を以て
株式會肚を組織し脱税を計
るのを防がん爲
め肉
株式曾肚株式合資會肚
にして株主肚員
の敷
二十
名以下を以て組織しだるεきは其所得
に謝して
は合名會肚合費會飛の所得税率を適用す
る事ε
したのであな。然しながら富豪中には使用人等
を焦㎝め二十名以上
の株…主よりなる株式會糺肌叉は
,
「
一
'
■
噛
株式合資會肚を組組し、葡亀其使用人
には表面
株主の名義を血ハへ事實は白紙委任状付で其株券
を自己に牧め、巧妙なる手段を講
じ、所得税の
の
コ
負搭を少くしてみる入も見受ける様である。
凡そ標本調査を行ふには、塗膣を髣髴せしむ
るに足る典型的の統計材料を捉
へねば、何等の
贋値をも生じな
いのである。二十三名
の株主よ
bなる株式會肚
、否其で無くこも五百株以上の
株主が過宇藪を占む
る株式會肚
に謝しては、
一
顧の勢をも惜しみ、
一方の極端たる
一箇鐘淵紡
績株式會肚の實例のみを擧げ、何れの會肚も是
ε大同小異なりε断ずるに至
っては、余
の服す
る能はざる断である。武藤氏は上記の数字を如
何に解繹せんピせら
る、か。余は其統計材料邊
摂の誤解なるを敢て主張せんξす
る者である。
一昌
假に
一歩を譲b、鍾淵紡績株式會肚株式
の分
布歌態が我国株式會肚
の全豹を示す.に足
るもの
&せよ。弼も余は武藤氏の提供
せられし数字の
みにては株式會肚株主の大多数が中流以下の投
雑
録
株式
の分布ε課税(株式會枇株主に蜀すろ武藤
兵の誤解)
資者なる事を結論す
るこεが出來な
い。否余は
其統計を見るに
つけてゼ株式會肚は金持の集團
.
なりεの確信を強めざるを得な
いのである。
試
に武藤氏の示さる、数字を吟味
せん。成租
株主総敷三、九
工八人の中
一株乃至十株の所
有
人員が
一、六五九人(十
一株
乃至二十株
⑳株ま
が六二九人にして其両方の合計
のみにて全部の
渦笹†を占
めてみるΩ然し株式會肚は、骨内物的會
肚たる本来の性質上、重んず
べきば
、株歎であ
って株主敷では無い。該統計
の示す株数を見る
に、五百
一株以上の
株主の
所有株は
一八三、六
九六株
に及び、
全株数
三四八、五五三株
の過宇
敷に上
ってみる。一株乃至十株の株主の全部
一、
六五九人の多敬を
集むるも
僅に
=二、〇六四株
に止まるに反し、五百
一株以上の株主を
一〇四
■人網羅したる
のみにても
優
に
「八三、⊥ハ九六株
なる弊常なる勢力を示す
のである。
術注意す
べきは金抹ε貧乏人ごの
定
義であ
る。株を持
って居る人は持
ってるな
い人よりも、
他の條件にして同
「なれば、確
に金持である。
第十巻
(第五號
九五).六九}
の 小川博士、所 得税 の普遍性 井 に社倉政策 的色彩(砒 會 問題 ピ財政第三篇321頁)
.
」
げ
7
'
,
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雑
簸
同様
に
一株の所有者は五百株
の所有者よb遙に
貧乏人でめる。金持貧乏人なる相対的の此種観
念を濫用して水掛論を繰返
へす事は深ぐ瞑しま
ねばなら
澱。叉鐘淵紡績株式會肚の渉が我國に
於ける唯
一の株式會肚で無いから、鍾淵紡績株
式會肚
の株を十株しか持
ってるな
い人でも例
へ
ば日本銀行株を百株所有
してゐ.る事も考
へ得
べ
き事であ
って、胆に是丈の厳字で株式會批株主
の大多敷は中流以下なりε断ず
るのは大膳至極
ε云ふ
べきである。
撚れ.εも武藤氏の議論に謝しては、余は輩に
消極的の反野意見を鞍表す
るを以て煽足せず、
敢て積極的に白目.誘を立て
、見.πいご思ふ。
余は諸會砒を箇別的に研究し株主の分布状態
を調査するに、千差萬別容易
に結論を下し難
い
のを殿見した。株主の重複、會肚組織の不同等
株式の分布こ課税盆休式會砒株主
に封ずる武藤
氏の誤解)
幾多
の條件は、
所
得
金
額
遂に此方面よbす
る研究を全く
囎鰹纒貼所
-
1
~一IlIJ
第三種所得
騨穂
懸訟制
金賞與会
所金
「
.
第霊置
(第五號
九六)
六九二
断念せしめた。結局所得
の源泉
より株式會砒株
主は金持なりや否やを研究するの.は不可能ε建
つ陀のである
から、残る所は、方面をかへて、
個人に綜合して其所得の分配状態を調査するあ
.るのみである。.
.
試
に大正六年度の大阪府、京都府、兵庫縣、
奈良縣、面歌山縣、滋賀縣.幅井縣、石川縣、
富山縣の二府七縣(大阪税務監督局管内地方)の
所得
の分配状態をば次の二通りの方法で調査し
たのであ
る。先づ
「第三種所得」即ち
「網所得
中よレ法人の賞與金離賞金及び公債甦債の利子
を除
いだもの」を調
べ、次に
「第三種所得に法
人よb受くる賞典金配當金を加
へたるムの」即
ち
「纏所得より公債肚債
の利子を差引
きπるも
の」、を算定しだのである。各所得階段に其所得
額以よの所得を受くる戸数及び當該所得を.憂く
り
る戸
敷
を配分す
る事
εした。
得額葛
當該金額
の所得な有する戸数
-
一
}
一一ーIIlllIj.
第三種所得
両者遡鉱綾
羅
種舩縦断
.
賞典金
`
7)主 税局第四十四 回統計牟報嘗て大正六年度}16,所 得税表、其 三、其 四、
「
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ゼ、8
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8
__罐 言書悲ll劉
繰式の分布ご罧観.〔株式會融操重に封ずろ武藤氏の誤解)
第十巻
(第五號
、
一戸?
四八、「三九
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六
八、全
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二、一染
一、査
ゼ
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十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十十
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四八・O%)
一三
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合
(=全
心%)
重
(置へ先%)
℃
"
1
Φ
國
.
■
亀
,
噛
雑
簾.
此数字を
一見して直に頭
に浮ぶ事は、法人の
配.當金賞與金を個人
に綜合した場合の方が、然
らざる場合よりも、所得
の分配状態が不年算で
あるざ云ふ事である。余は此事實を敷.字的に實
讃せんが矯めに
℃国「90線
に依
る事
εし陀。
縦線を以て所得額の謝敷、横線を以て此額以
上の所得を受くる人員総数の封敷を示す時は、
此等.の諸黙を結び付けた線は殆
んご直線
に近
い
のであ
る。月震。8
線は即ち是である。此函数關.
係を式で示すご次
の如くである。Xは所得金額
Nは其金額以上の所得を受くる人員
の敷、A及
び咲は其肚會の蜜際
に就き算定せら
るべき激字
.
であ
る。
一〇⑳Zn》1嘘oケq×
此場合此直線が横軸に謝してなす傾
の度を示
す所
の蟹臓常に時ざ所ざに依り攣動ずるもので
あ
って、其糺肌會時代に於ける富
の不半等の程度
は喫に反比例するのである。
財の大小に依り其
時、其所の醤
の分配歌態を髪難せしむるε云ふ
箏實・足留
8線が本研究に特に償値め
る所
株式の分布ピ課税(株式會融株主に封穿る武藤角の誤解)
,
、第
十巻
(第五號
九八)
六九四
の
以
であ
る。
而
して上
記の二種
の轍字
に
就
い
て
唱喫卑。練
を引
き,法
人よb受
く
る配當金賞輿金
ゴ
を綜
合す
るεせざ
るεに依
り、A及
び喫に次
の
.
興味
深
き数字
を得
た
のであ
る。
法
人より受
くる酷當金賞奥金
を綜
合せ
ざ
る場
合
δぴqZnOb曾零自1μ・凸
e。昌昌oσq×
法人
より受
く
る配當金賞真金
を綜合
せる場合
δ西宮"g。.㊤。語置恥ひ一一・トり顧団〇一〇げq×
法人
より受
~る配當金賞
與金
を綜合
せざ
る場
合
には
只は
丁
阻七
三
一七な
るに、綜合
しπ
る結
果
冠して
二
二
一五
二九
に減
少す
るのであ
る。即
ち法人
より受
《乃配當金
賞與金を考慮
に入れ
る
事
によ
って富
の分配
は
一層
不卒等
ざなる
ε云ふ
事
は数
字上
に算定
せら
れた
のであ
る。是
獅も何
を語
るか、株
式會肚
の株
主
の大部
分が金
持
であ
るε云
ふ事を實謹
せ
るにあらす
して何ぞや。
鐘淵
紡績株
式會肚
の統
計
の語
る所
は決
して武
藤
氏
に利ならす
、余
の計
算
は.明に真
逆を示
して
居
る。見出れ武蔵…氏
の誤解…の第
二黙でめ
つて明
に
統
計材料
の解
繹
の誤
謬
ε云ふ
べぎ.であ
る。
8)高 田學士、所得 のパ レト線に就 いて{現代肚會 の諸研究,92-116頁)
拙稿、所得税均等貢櫓 の理想 ε顕現(経 済論叢第十巻第四號 ♪
,
9
1
\
四
.
武藤馬は更
に今回の所得挽法案が小株主を塵
遣するものである事を高調してゐられる。果し
てそうであらうか。
配 甲}砦
所
得
金
キ
第三種所得
配
當
金
一
㍉一
、
円
田
.
五、茜
E
八・」
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ー
四、八面
、一葦
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、習
」
四誉[δ
葦
囲 四 八'額
藪田
先づ大所得者は如何。百萬圓以上の大所得者
は或は大に醐ひせらる
\かも知れぬ。最近斯
る
統計を手
にしたQ
現行法即
ち源泉課税の場合の税額
】
-一
}
一
~
第三種所得税
第
一種所得税
計
ー
ー
ー
円
円
田
富一一.
穴ロゼ、湘㎎〇
六〇八、一一五一
一
乗
一[、昊
一「
雪曇
一、契
二
九、茜
(
三」=
、「三(
葺
5、暮
六
.甲豪商は八百十萬圓の大所得を擁
し、其全部.
を個人所得
εする時
は二百四十萬圃を納税せね
ばなら漁筈の庭、五千五百圓のみを第三種εし
他の大なる残部を第
一種所得ごしてみるが薦
め
に僅
艦六十萬圓の小額
の所得税に止ま
ってみる.
乙實業家は其総所得四百八+萬圓
の至額を第
一
種に編入してみるが爲めに三十六萬圓の納税を
なすのみである、もし第三種の形式で納めば百
三十萬圓の所得視を質権せねばなら強筈だのに
叉丙氏は其全額を第三種所得εせぱ百二十萬圓
の納税
の義務あるに拘らす、大部分を第
一種乙
に組入れてみるから三十三萬圓の軽
い負櫓
に止
雑
録
株式の分布ご課暁(株式會壮株主に封ずゐ鴻藤氏の誤解
「
綜合課税の場合の税額
一
」
現行累進牽
修正累進牽
ー
ー
円
丙
二、四真
倉
四
二、四茜
、三五二
一、発
O、二四八
一、異五、δ九
「二八八、八八六
一、三七二、窒
一}
ま
ってみる。もし衆議院を通過した修正法案が
實施せらるれば、里家商は二百四十七萬圓、乙
實業家は百五十六萬圓、両氏は百三十七萬圓を
納付せねばなら
鳳學こなり、丁度從來の租税の
約四倍.の負推ξなるのである。四倍の負援ご云
へば非常
の苦痛の様に聞こえるが、實は修正案
.
の四倍
の負措が正當であ
って、現行法の如きは
不相當の輕牽
の恩典を與
へてるるのだ。云は~内
新法案は普通
の質権を重くしだのでなくして、
謂はれなき輕率を通常
の牽
に引き戻した迄の事
である。
次に小所得者の負憺状態を調
べようコ此等
の
■
第十巻
(第五號
九九)
六九五
r
・
,
「
雑
録
株式の分布ε課税
(株式會肚株主
に封ずる武藤玩
の誤解)
第十巻
(第五號
一〇〇)
六九六
9
,
入は現在可なbの重税に苦んでみるのであるが
新注案では幾分之が救濟の目的を達した
のでめ
る。甲乙丙共
に老人子供二人を擁す
る人を貸倒
に撮
り賃機の具合を数字につき計算す
る事εす
る。但し乙の第三種所得は全部動勢所得よりな
ってみる。
綜合課税の場
所饗額
襯雛
製纈
課
合の税額
一
~
一
、一
碧
羅
種曙
計
腱踵
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甲
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一、八8
一
乙
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穴、OOO
諺
占
現
行
法
に
依
れ
ば
、
三
園
、
誓謡 鶴
甲は百三十五圓、
丙は四百二國を納
めねばなら
諏。
を第三種所得
εして個人℃綜合す
る時は動勢所
得輕課、控除査定
、軽率
の累進税牽適用の結果、
甲は六十二圓、乙は二十四圓、丙は三百五十圓
の小額
に減するのでみる。新法案
は圭義己して
綜合課椀を襲ひ、更
に特殊家族事情を斟酌する
が故に、
一層脛ぐ
なり、甲乙丙の税額はそれぞ
計
馨
累離
塁
}
〕~「》
}
一三五・〇
六二・O
茗
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畳
・六
二四《
穴6
四〇一6
一一墓
6
一莫
・9
乙
は
三
十
も
し
之
れ十七圓、六圓、百七十⊥ハ圓ざな
る澤
である。
現在
は綜合源泉併用の憂態の制度を布くが爲め
に
、輕
かるべき小所得者が不當
に重く課税せら
れてるる。新法案は之を輕減
せんεしてみるの
である。
租税による肚會政策だは、富の極端な
る集積
を緩和制限し、中流以下の人の負携を軽減する
ものである。現行法が動もすれば大資本家を偏
愛し小所得者
に可鶴り人なる打撃を與
へてるる
のを新法案
は根本的に匡
正せんεしてみる。之
をしも肚會政策ご云はすして何をか肚會政策ε.
云ふ。武藤民は肚會政策的の新法案を目して非
肚會的政策の甚しきものご極言してゐられる。
氏の所謂肚會政策
εは果して何を意味するか。
暴
れ余が氏
の藪を乞ふ所以である。
五
以上簡軍ながら武藤氏の所説を批評し得たε
信ず
る。武藤氏は先づ鐘淵紡績株式會砒を代表
的株式會肚
ε認
められセ事
に於て最初の
一歩を
誤b、次に鐘淵紡績株式會肚
の統計を誤b解
せ
\
【
られ、最後に綜合課.挽主義を目して中流以下を
犠牲
ごす
る非肚會政策的の甚
しきものε難ぜら
る。已
に大前提小前提の誤まれるが爲めに,斯
く結論
の誤れ名
は當然である。
試に思
へ、株式會乱肌の株『圭をぱ中流以下の投
資者ど
断じて我國の肚會観念が果して満足す
る
であらうか。
一株
の小株主も五萬五千株の大株
主も等
しく千分の七十五の
一定率
の所得税を質
権す
るε聞きて誰
か晏如たるを得
ようそ。現行
法の反肚會政策的なるを矯正して肚會政策的
に
改めんごす
る此種立法に謝しては、資本家は宜
しく襟度を穴にして快
く賛意を表
すべきである
然るに犬を逆にして
「家を借した
る繧駿なくし
て借家法案を作b、實業の経験なくして所得税
・
法案を作る」は非なりεいふが如き傍若無人
の
資本家
口調を以て、改正法案を
「非肚會政策的
なり」
の
=百の下に剥けんごせら
る。其肚會民
.心に與
ふる影響や云ふに烈…ぴざるものがみる。
武藤氏は此誤解に立論し大に學者を攻撃
して
、
【ゐられる。曰く
「暴れ全く世の先畳者
こ樽する
雑
録
株式
の分布
ご繰税(株式會肚株主
に野す
る武藤氏の誤解)
學者の中に、深く實際
を究め申して配當牽の多
.きを非
εし、左も罪悪であるかの如く吹聴論…議
せるものあるが爲め、世論を一課bたる方向
に道
かんこするに至れるも
のにして誠
に遺憾
の極な
り」ご。生活の不安は中下層民を駆
って危険思
想に曝露し、而も資本家徒に自我を主張す。斯
る時に国家を救
ふ者は公卒無私の學者
を措
いて
他
に無きにあらずや、而も雌者に謂はれ無き攻
撃
の矢を向けらる、余は其直(意を了解す
るに苦
しまざるを得戯。
醗て考ふるに、武藤氏の論文は近水準に見
る
の大女字である。漫画の至情は氏を騒
って
「株
式會肚株主
に…封ずる政治家及學者論客
の誤解」
.
の
一篇をな
さしめたのであらう。只惜
しむらく
は二三
の重大なる誤解存し、折角の氏の力作を
全く誤bたる結論に導
いたこざを。株式會肚の
株主は大多敷金持なる事及び斯得挽法案は現行
法よりも敷等肚會政策的なる事は、氏も充
分了
解せられた事ご思ふ。國家有事の際
一流.の實業
家が其権力を利用して負撚
の増加を避くるが如
第十巻
一鋪五號
一Qご
六九七
.
「
」
雑
録
h手形交換所制度論(三、完)
きは危険極ま為事である。武藤氏も
「予は吾が.
實業家が負憺の増加す
る事を否む
べからざるを
知る」ε云
ってゐられる。而して
「其負捲の方
法は無辜な
る中流以下、就中世事
に暗き農民
の.
投資者を犠牲にするが如き大鉄陥あるものなら
ざるを要す」ε附記してゐら
れる。恐らく氏の
眞意は此黙に存じてみる事ご信ずる。然らば今
回の所…得挽法の如く名實土ハに肚會政策的なる法
案
には双手を擧げ
て賛成せらるべきでめる。是
武藤氏の如き、資本家中に木なる勢力を宿せら
る、人士
の義務たるヒ
共に叉重大なる羅利であ
るo(九、四、=
)
一