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ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド -

ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド -

 6月15日、ビル・ゲイツ会長は2008年に引退することを予告し、ハイテク業界に大きな波紋をあた

えた。米国のメディアは、パソコン時代を切り開いて

きた同氏の歩みを紹介する一方、関係者からはゲ

イツ会長を失う同社への懸念が表明された。それ

は同社が進めている多角化が順調に進まず、いま

だWindowsとOfficeに収益を依存している点などに

ついてのものだった。同社の多角化はめざましく、ゲー

ムやIPTVなどのホーム・エンタテインメント、そして

MSNの検索広告ビジネスなど多岐にわたる。その

ため、パソコン一本槍だった時代にくらべ、その方

向性は複雑化している。パソコンからネットワークへ

と時代が向かう現在、同社はどこへ進んでゆくのか。

今回は、脱ビル・ゲイツを狙うマイクロソフトの動向

を追ってみたい。

マイクロソフトを支える革新性

 6月のゲイツ会長引退予告で興味深いことが起こっ

た。ニュースの取材が経営トップのスティーブ・バル

マーCEO(最高経営責任者)ではなく、ゲイツ会長

の役職を引き継ぐレイ・オジー氏に殺到したことだ。

なぜ、CEO(最高経営責任者)よりも、オジー氏に関

係者の注目が集まったのだろうか。まず、この点を

考えてみよう。

 マイクロソフトは、ゲイツ会長と表裏一体で伸びて

きた。言葉をかえれば、ゲイツ会長はパソコン時代

をいち早く予見し、世界を変えた希有なベンチャー

経営者だが、それゆえに世界最大のソフトウェア会

社は同会長の『革新性(イノベーション)』に依存し

続けてきた。ゲイツ会長にとってパソコン時代を切

り開いた1970年代から80年代は、時代を見通せる

輝きに満ちた人生だったに違いない。一方、インター

ネット登場後は、ネットスケープ社とのなりふり構わ

ぬブラウザ戦争や10年を越える独禁裁判、そして

ヤフーやグーグルに追従する昨今と、苦しい時を過

ごしてきた。これをウォール街や業界メディアはゲイ

ツ会長における『革新性のかげり』ととらえ、マイク

ロソフトの将来に対する不安材料と考えていた。

 実際、ゲイツ会長の存在感は以前ほどではない。

たとえば、いまはなくなってしまったCOMDEXで、ゲ

イツ会長は毎年「基調講演」を続けていた。年末に

おこなわれる同スピーチは1年間の総括と来年の

展望をまとめるものだが、先見性に富み、業界の方

向性を探る重要な行事として、毎年開演の2~3時

間前から長蛇の列ができるほどだった。

 ところが、今世紀に入ってからの講演は、得意の

パソコン話がへり、ネットワーク技術について多くの

2005年1月の全米家電ショーで引退講演をするインテルのバレットCEO第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、

同社はどこへ向かっているのか

Page 2: uqnw24 1 …R…s†[watasumu.watson.jp/06JouhTush/List/03_yubikitasu/016/060912_UQWineye27... · は「サービス革新への対応」と考えても良いだろう。 もちろん、サービスとは現在コンピュータ業界で持て

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ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド-

図2:RFIDのトッププロジェクト

-小池良次 米国発、ITトレンド-

米国のRFIDパイロット・プロジェクト

年間売り上げ比較

2003年のコムデックスで 基調講演をするビル・ゲイツ会長(撮影:筆者)

電話を越えるインターネットの3原則

 電子メールを送るSMTPやホームページに使う

第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか

時間を割いていながら、

説得力に欠ける雰囲気

がただよっていた。これ

はパソコンからインター

ネットへ、そして『分散

コンピューティング』の

時代へと業界が進み、

マイクロソフトが多角化

を本格化させる時期と

一致する。

 マイクロソフトのようなハイテク企業は、革新性を

もった経営者がいなければ成長を続けてゆけない。

同じハイテクでも、設備に依存する放送や通信事

業などとは違う。だからこそCEO(最高経営責任者)

という役職が要求する日々の経営実務は、2000年

にスティーブ・バルマー氏へ譲ったが、以後もゲイ

ツ会長はCSA(chief software architect、主席ソフ

トウェア設計者)として戦略面を切り盛りしてきた。

その一方で、マイクロソフトの将来を技術面で支え

る後継者探しに頭を悩ませてきた。

 こうした背景から引退予告では、経営トップのバ

ルマーCEOよりも、後継役に指名されたオジー氏

に注目が集まったわけだ。つまり、オジー氏の『革

新性』にマイクロソフトの将来を託したと言ってもよ

いだろう。特に、オジー氏はマイクロソフトに入社し

て1年ほどしか経っていない。にもかかわらず、ゲ

イツ会長の後継者として指名されたことは、オジー

氏をいかに同社が必要としているかを内外に示す

こととなった。

 ちなみに、オジー氏と同時に、クレイグ・マンディ

氏もゲイツ会長の後継としてchief research &

strategy officerに指名されている。後述するとお

りオジー氏がビジョナリストとしての能力を期待さ

れている一方、マンディ氏は、その役職が示すと

おり研究開発から全体の製品ラインナップを構築

する、より実務的な側面を担っている。

根っからのネット・アプリケーション屋、オジー

 2005年4月、マイクロソフトがP2Pコラボレーション・

ソフトのベンチャー『グルーヴ(Groove Networks Inc.)』

を買収したとき、同社を設立したオジー氏がマイク

ロソフトのトップに台頭することを誰が予想しただ

ろうか。しかし、マイクロソフトに欠けていたものを

ゲイツ会長はオジー氏に見いだしたのだ。

 オジー氏の生涯はコラボレーション・ソフトウェア

の歴史に彩られている。データ・ゼネラルで黎明期

の分散OS(operating system)開発にかかわった

後、ロータス・デベロップメント社の支援を受けて

1984年にアイリス(Iris Associates)社を設立した。

当時、ロータスは表計算ソフト『ロータス1-2-3』で

オフィス・スイート市場を席巻していた。多角化を

目指すロータスは、その一環としてオジー氏が率

いるアイリス社への支援をおこない、同氏は1984

年に『ロータス・シンフォニー』を発表し、1989年に

ソフトウェア史にのこる製品『ロータス・ノーツ』を世

に送り出している。これにより彼はグループウェア

という新しい時代を切り開いた。

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ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド-

図2:RFIDのトッププロジェクト

米国のRFIDパイロット・プロジェクト

ディズニー、ピクサーの関係破綻

 こうして、2004年あたりから、当時ディズニーの

CEOだったマイケル・アイズナー氏とスティーブ・ジョ

ブス氏との間にすきま風が吹くようになる。5作の長

期契約が、残り少なくなる前後から、契約更新を巡っ

て両社は激しい対立関係へと入ってゆく。

 業績維持を狙うディズニーは、最初に結んだ有利

な条件を維持したままで更新を進めたい。一方、も

ディズニー・ピクサー劇場売り上げ比較(米国内)

AT&T ユーバース概念図

第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか

出典:筆者作成、写真:マイクロソフト株式会社提供

 アイリス社は1994年にロータスに買収され、翌

1995年に今度はロータスがIBMに買収されるが、こ

の間もマイクロソフトは企業アプリケーション分野で

ロータス・ノーツに苦戦を続けたことはよく知られて

いる。その後、オジー氏は1997年にグルーブ社(Groove

Networks Inc.)を立ち上げ、P2P型コラボレーション・

ソフトウェアへと進んだ。そして、2005年4月にマイク

ロソフトが同社を買収し、オジー氏はマイクロソフト

のCTOとなった。

 こうして見ると、同氏はインターネットが登場する

はるか以前から、広域データ網をベースに優れたソ

フトウェアを開発し続けている。アプリケーションとネッ

トワークの融合がすすむ現在、両分野に通じる経

営者は希有であり、根っからの分散アプリケーショ

ン屋であるオジー氏は時代の寵児(ちょうじ)とも言

える存在になっている。

ライブ移行をすすめるマイクロソフト

 次に、脱ビル・ゲイツへの移行期に入ったマイクロ

ソフトの動向について考えてみよう。同社は、7月27

日に証券アナリスト・ミーティングを開催したが、そ

の席上、スティーブ・バルマーCEOは、イノベーショ

ン(革新性)を支える3つのポイントとして『長期戦(Long

Term Approach)』、『ライブ移行(Live Transformation)』、

『マルチコア(Multi Core)』をあげている。

 長期戦もマルチコアも革新性という意味では重要

だが、本稿の狙う脱ビル・ゲイツ時代の経営とは関

係が薄い。この点を考えるとき、もっとも着目すべき

は2番目のライブ移行だろう。もう、読者はおわかりと

思うが、前半で説明したCSA(主席ソフトウェア設計)

であるオジー氏の使命こそ、このライブ移行を成功さ

せることにある。

 そもそもライブ移行とはどのようなものだろうか。マ

イクロソフトは商標としてライブと称しているが、これ

は「サービス革新への対応」と考えても良いだろう。

もちろん、サービスとは現在コンピュータ業界で持て

囃されているWebサービスやSOA(サービス・オリエン

テッド・アーキテクチャ)などの潮流をさす。ちなみに日

本語ではサービスと訳しているが、英語ではServices

(サービシーズ)と複数形を使うのが一般的だ。

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ウォールマート・プロジェクトの評価

インターネットはOSIモデルのレイヤー3で覇者となった。おかげで上層(レイヤー5~7)や下層(レイヤー1~3)はインターネット・プロトコル層をよりどころに技術開発が急速に進んだ。(図左)これと同様にメタ・インターネット・プロトコルを構築し、電話やテレビ網でも技術革新を急速に進めようという考えがニューアーチ・プロジェクトの考え方だ。(左) しかし、どこかのレイヤーを標準化、オープン化すれば技術革新が進むとすれば、それがIPでなければならない理由もない。結局、通信業界はメタIPではなく、下位レイヤーの拡張で対応する脱インターネットへと進んだ

インターネット離れするNGN

 将来のネットワークを通信業界ではN

通信業界の会議グローバルコムでは、共和党のマーシャ・ブラックボーン(中)、ダレル・アイサー(右)の両議員を呼び、通信法改正に関して意見交換を行った。左はUSNews&World社のニューマン記者

第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか

出典:マイクロソフト

 サービスという技術あるいは概念は、発展途上な

だけに明確な定義づけや説明がむずかしい。サー

ビスは、一般的には、ネットワークで結ばれたクライ

アントやサーバの集合体を舞台に様々な情報処理

を展開するアプリケーションの世界をもたらす。従

来のパッケージ・ソフトは――たとえ、インターネット

につながっていても――パソコンという舞台だけで

機能し、サーバ・アプリケーションはサーバとクライ

アントが構成する地域データ網(LAN)内で処理を

おこなう。いずれのアプリケーションも、決められた

舞台にがっちり作り込まれた「密結合設計」と言わ

れるタイプだ。

 一方、サービスの概念は、ネットワークに接続さ

れたパソコンやPDA、携帯電話、サーバなどあらゆ

る機器が接続したり切れたりする「粗結合状態」を

前提している。しかも、アプリケーションはそれらの

コンピュータ機器に分散しており、状況に応じて協

調しながらひとつの処理を提供する。たとえば、

DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)やパソコン、携

帯電話、ステレオ、ゲーム端末などで構成されるホー

ムネットワークが良い例だろう。あるときは携帯電

話を使ってDVRを出先から操作するし、あるときは

録画した番組をゲーム端末に移して楽しんだりする。

また、新しくデジカメなどを買ってきても、自動的にネッ

ト設定がおこなわれスムーズに接続できなければ

ならない。しかも、インターネット上にある便利な機

能やコンテンツをどのデバイスからも利用したい。

もちろん、密結合設計でも、こうしたことは可能だが、

オープン・スタンダードのXML(拡張マークアップ言語)

やWebサービス規格を利用すれば、より効率よく、

しかもデータ・フォーマットや開発言語にとらわれな

い汎用性に富む環境を構築できる。これがサービ

スという技術あるいは概念が狙う世界だ。

ライブ移行における2つの課題

 もちろん、マイクロソフトはサービスを重要なテー

マとして対応してきた。IBMとともにWebサービスの

規格化で中心的な役割を果たしてきたし、『.NET(ドッ

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ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド-

ウォールマート・プロジェクトの評価

表1:ウォールマート・トライアル

これまでのネットワークは“放送だけ”とか“電話だけ”

しか取り扱わなかったから良いが、放送と通信が融

合すると、異種ネットワークどうしを結びつける高い

管理技術が必要になる。つまりネットワーク管理の

メタ化(抽象化)が必要になる。これをメタ・プロトコ

ルと呼ぶ。ちなみに、前述のニューアーチ・プロジェ

クトはIPのメタ化を狙った。つまり、インターネット網

自身を改造(メタ化)して万能のネットワークを目指

した。

 話をもとに戻そう。非常に大雑把に言えば、NGN

は電話とインターネットの長所を併せ持つ新たなネッ

トワークと言える。電話は、交換機という頭脳をもつ

『知的なネットワークとダム端末(dumb terminal、愚

かな~)』の世界だった。一方、コンピューター通信

から生まれたインターネットは『ダムネットワークと

知的な端末』の世界だ。ここまで書けばおわかりに

なると思うが、NGNは『知的なネットワークと知的な

端末』から構成される。しかし、これだけでは万能な

ネットワークは完成しない。これに知的な通信アプ

リケーションが加わる必要がある。この知的通信ア

プリケーションこそ、インターネットが想定しなかった

新しい領域といえよう。

新規参入が続くCGアニメ業界

 現在算をかけたが“ロボット”同様、大ヒットにはな

らなか

現在のインターネットはエッジによって細断されている(左下)一方、 ニューアーチの目指すメタIPアーキテクチャーでは、コア・ネットワークがコア・セットによって統一性を維持しながら、サブ・セットによって多様なネットワークに固有の機能を提供する。(上図)しかし、インターンネット離れによって、この方向性は消え去った。

第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか

出典:マイクロソフト

ト・ネット)』を軸にOSからクライアント系やサーバ系

アプリケーション、そして開発環境までサービスへ

の対応を整えてきた。しかし、様々な手を打ってき

たにもかかわらず、まだ大きな成果をあげるまでに

はいたっていない。しかも、サービスによってどのよ

うな世界がうまれ、マイクロソフトがどのようなビジ

ネスを展開するかと言う基本的なビジョンは見つか

らなかった。これは筆者の想像だが、この根本的な

ビジョンあるいはそれにつながる道筋をオジー氏が

示したからこそ、ゲイツ会長は後継者として彼を抜

擢したのだろう。

 では、このライブ移行は、どのように進んでゆくの

だろうか。オジー氏の構想では、Windows LIVEとい

う『サービス・プラットフォーム兼エクスペリエンス・

ハブ』にすべての事業を結びつけ、マイクロソフトを

インターネット・サービスのプラットフォーム会社に

変身させる。そこには2つの課題がある。ひとつは、

ソフト業界に広く受け入れられるサービスの設計原

則(Architectural Principal)を確立すること。もうひ

とつは、コンテンツをベースにオンライン付加価値

モデル(Online Value Delivery Model)を構築するこ

とだ。

 第1の課題である設計原則(Architectural Principal)

は、既存のマイクロソフト製品群をサービス環境に

対応させる――従来の対応を踏襲する――ものだ。

現在、分散アプリケーションの世界は『browser

based application』を狙う動きが注目されている。た

とえば、基幹アプリケーションの分野では、セール

スフォース・ドット・コムがCRM(顧客管理ソフト)をブ

ラウザ・ベースで提供し、中小企業の人気を集めて

いる。また、収益に結びついていないがグーグルは

Google Spreadsheetsを提供しているほか、2006年3

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月にWritely社を買収し、ブラウザ・ベースド・ワープ

ロの公開準備を進めている。

 これに対して、マイクロソフトは既存のソフト群を

対応させる『on-premise Windows-based software』

という立場を取っている。たとえば、Microsoft Of-

fice Liveはブラウザ・ベースで利用できるが、パッケー

ジ版の代替ではなく、文書ファイルやスケジュール

共有など、ウェブ上の共同作業環境を提供する補

助的な位置にある。つまり、マイクロソフトはリッチ・

クライアント(パッケージ・ソフト環境)と共存する設

計原則をサービスの世界で広めたいと考えている

わけだ。

 一方、ふたつめの課題であるオンライン付加価値

モデルは、オジー氏がマイクロソフトに参画してから

本格化した動きだ。現在、グーグルと競争している

Windows LIVEは、その中心的な役割を担っている。

これはインターネット・サービスを使うツールの提供

だけではなく、コンテンツそのものを提供する戦略だ。

つまり、マイクロソフトはアプリケーションとコンテンツ・

プロバイダーを兼ねる方向にある。そのためサーチ・

エンジンとサーチ広告(Microsoft adCenter)および

MSNのコンテンツ(Live Experiences)拡充に、マイ

クロソフトは20億ドル(2007年度)という巨額の投資

を準備している。

 このようにマイクロソフトは、巨大化するインターネッ

トに対して、プラットフォームとコンテンツの二面から

対応を進めている。それはマイクロソフトが、パソコ

ンから脱却し、ネットカンパニーにかわることでもある。

しかし一歩誤れば、商業ネットワークの巨人アメリカ・

オンライン(現AOL)が、刻々と変わるインターネット

の世界に追従できずその存在感を失っていったよ

うに、マイクロソフトも厳しい状況に立たされる可能

性もある。ゲイツ会長が乗り越えられなかったインター

ネット・サービスの世界を、果たしてオジー氏が達

成できるのか。いよいよ『脱ビル・ゲイツ』へと同社

は走り始めている。

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ユビキタスeye -小池良次 米国発、ITトレンド-

ウォールマート・プロジェクトの評価

表1:ウォールマート・トライアル

携帯データ、ブロードバンド・ワイヤレスランドスケープ

知的ネットワーク、知的通信アプリの模索

 現在のネットワーク基盤は電話時代の特

第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか第27回 マイクロソフト研究 ビル・ゲイツ氏引退後、            同社はどこへ向かっているのか