年次報告書 2018

国連開発計画（UNDP）

目　次

一年を振り返ってUNDPの実績（2018年） 4

12

6

14

8

7

1618202224

26

28

29

30313233

34

10

3はじめに：アヒム・シュタイナー総裁

UNDPのねらい

新生UNDP #NEXTGENUNDP

組織改革による開発再考

戦略計画に沿った進捗

組織体制

連改革の推進

UNDP関連機関

パートナーシップ

南南協力と三角協力

活動の柱貧困の根絶

SDGsをつなげる

災害や紛争などへの危機対応力強化

クリーンエネルギーの普及

世界と手を取り合って

活動資金と支援国拠出

国家の仕組みの整備

開発がもたらす好循環

環境保全

ジェンダー平等の実現

親善大使の力でSDGs達成を

支援国一覧（2018）

取り組む理由

動かす人々

手法

取り組み

変革改善そして実行

はじめに

2018年はUNDPにとって素晴らしい年となりました。2018年は、持続可能な開発目標（SDGS）の各国における達成を支援すべく策定された新戦略計画が通年で実施された初めての年となりました。

国連が変革の時を迎える中、国連開発計画（UNDP）はパートナー国・機関等と協力し、全ての人々が自立し、その生活を維持できるように支援を行いました。つまり、短期的なニーズを満たしながら、希望にあふれた確固たる未来に向けた基礎を作るということです。

イエメンとチャド湖周辺地域では、紛争や脆弱な環境によって開発が依然として妨げられているものの、人道支援機関と開発支援機関が新たな形で協働し、人道支援と復興・開発支援が連携する様子を目にしました。

イノベーションの高まりにより、インドからフィジーに至るまで、貧困対策やガバナンス改善策が生まれていく様子も見ることができました。2013年にルワンダでスタートした若者雇用と起業促進の活動は現在では10か国に広がり、さらにアフリカ連合はこれをアフリカ大陸全体へと展開する予定です。

本報告書では、UNDPの2018年における活動成果の一部をご紹介します。こうした事例は、UNDPが包括的、かつ革新的な方法で複雑な開発問題の解決に寄与すべく、独自の立場で果敢に活動していることを如実に示しています。

アヒム・シュタイナー国連開発計画（UNDP）総裁

これらの成果は、変革をスケールアップできるUNDPの潜在的能力を示しています。2030アジェンダの高い理念を各国が達成できるよう支援するために、こうした力が必要です。

2018年には国連改革の一環で、UNDPがこれまで各国で務めていた国連機関の調整役を退くこととなりましたが、過去5年間で最高のプログラム遂行率を達成しました。さらに、財政的な安定の回復、効率性の向上、そして出身国やジェンダーバランスの取れた幹部からなる組織編成をもって、課題に立ち向かえることを実証しました。

また、UNDP総裁として、2018年を通じて新生UNDP（#NEXTGENUNDP）への変革を主導し、思考、投資、管理、遂行の手法を大きく変え、持続可能な開発を加速できたことは、大きな喜びでした。

そして今、UNDPのミッションはかつてなく明確になっています。地球上で誰ひとりとして取り残されることのないよう、現時点で活動展開中の170の国と地域で、それぞれの開発優先課題の達成を支援していきます。

実現に向け重要となるのが皆様とのパートナーシップです。今後とも一層のご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

3

UNDPの実績（2018年）

持続可能なエネルギー普及に公的・民間資金から110か国で

60億ドルを投入

55億ドル収入 1万7,000人

職員数

一年を振り返って

3,100万人が貧困対策サービスへの

アクセスを改善

HIVの検査とカウンセリングを

630万人に提供

4

UNDPの実績（2018年）

全世界で平均

週1回の選挙を支援

透明性評価部門

最上位クラス（2018年Aid Transparency Index

によるランキング）

活動地

170の国と地域

危機状況または復興期にある

400万人の雇用・生計改善を支援

2,700万人が気候変動により強い暮らしを実現

炭素排出量を

2億5,600万トン削減

5

SDGsをつなげるSDGsは、貧困に終止符を打ち、地球を守り、すべての人々が恒久的な平和と豊かさを享受できるようにするための総合目標であり、変革のための包括的な青写真です。

UNDPの役割は、政府や様々なアクターが、目標に向けそれぞれ前進するのを推進、加速しつつ、その世界的展望を保ち、実現に近づけていくことにあります。

2030アジェンダの高い理念をSDGsに統合し実現するには、開発に対する新たなアプローチが必要です。現状に甘んじないほど、解決策の変革力も高まります。

取り組む理由

UNDPのねらい

6

開発がもたらす好循環UNDPは経験上、小出しの変化では不十分なことを理解しています。ソマリアの干ばつへの対処は、単なる水の問題にとどまりませんし、アルゼンチンの貧困対策も、所得だけが問題なのではありません。中国での水素を基にしたクリーンモビリティも、テクノロジーだけの問題ではありません。

干ばつや飢きんを防げば、平和と安全が定着し、景況感も改善します。貧困に対処すれば、医療保険へのアクセスを通じて人々の健康も改善します。水素エネルギーを活用した解決策は、公共サービスを改善し、都市を健全化し、地球規模の気候変動を食い止めることにも役立ちます。

つまり、適切な設計で一つの変革が実現すれば、より多くの変革がもたらされるのです。

7

新生UNDP (#NextGenUNDP）はUNDPがこれまで築き上げた全世界的なプレゼンス、ソート・リーダーシップ、

さらには50年を超える経験を土台として、激動の開発環境への対応を図ろうとする一連の取り組みです。

UNDPは新たな解決策を作り出し、協力のためのプラットフォームを構築し、新たなパートナーシップと金融手法

の旗振り役となっています。こうしたイノベーションは、私たちの組織の思考、投資、管理、遂行の手法を大きく変え、

これまで以上に迅速で優れた実績を上げられるようになっています。

新生UNDP#NEXTGENUNDP過去、現在、未来の接点

投資思考人間開発報告書の刷新から、貧困対策のためのデータ活用法の改善、アクセラレーター・ラボを通じた研究成果の加速に至るまで、新生UNDP (#NextGenUNDP）は各国のSDGs実現に向けた前進を支援しています。

毎年50億ドルを開発の前進に投資し、各国のグローバルな資金供与のパートナーとして選ばれる機関として、新生UNDP(#NextGenUNDP）は金融とリスク、より多くの投資家の関与を促す方法を知っています。

動かす人々

8

遂行管理よりよい職場はよりよい成果をもたらしますが、私たちはその限界をさらに広げ、ビジネスモデルの改善や収支のバランス、効率の向上、デジタル化、人材への投資によって、新生UNDP(#Next-GenUNDP）をさらに革新的、効果的かつ効率的なものにしようとしています。

組織内に立ち上げた「グローバル政策ネットワーク」がUNDPの職員1万7,000人、46か国の国別プラットフォーム、イノベーションへの決意をつなぐ一方で、新生UNDP(#NextGenUNDP）は、パートナー機関との「縦割りの壁」を打破し、複雑な問題の解決方法を変えようとしています。

ミツバチに学ぶ：レバノン、ベカー渓谷での若者向け研修写真：Rana Sweidan / UNDP Lebanon

9

チーム170の国と地域におけるUNDPの業務を主導する事務次長補（ASG）と常駐代表の新チームは、男女比が取れてお

り出身国も多様です。

1万7,000人の職員が新設された「グローバル政策ネットワーク」でつながり、UNDPは世界最大の、最も多様で学

びの速い組織のひとつとなっています。チームをご紹介します。

全世界におけるUNDPの幹部と職員の半数は女性です。私たちのジェンダー平等意識

は深く、世界レベルの開発人材の採用・育成・定着の強化を目的に策定されたUNDPの

新たな「PEOPLE 2030」戦略でも、中心的な位置を占めています。しかし、私たちはさ

らに取り組みが必要であることも知っています。なぜならより良い職場はさらなる成果

をもたらすからです。2018年には、ジェンダー平等とセクシャルハラスメント、障害者の

インクルージョンに関する新たな方針と措置を打ち出し、より包摂的で平等、かつ相互を

尊重する職場づくりに向け前進しました。UNDPと国連ボランティア計画（UNV）は、国

連としては初めて、障害を持つ若手専門家を対象とする人事プログラムを新たに発足さ

せました。

UNDPにおけるジェンダー平等とインクルージョン

組織体制

総裁とUNDPの常駐代表126人。50:50の男女比を達成しています。ドイツのボンにて。

動かす人々

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副総裁と局長

副総裁と８名の事務次長補がチームを主導し、UNDP

の各地での成果を全世界的な変革に結び付けています。

アブドゥラエ・マール・ディエエ 政策・プログラム支援局

ハオリヤン・シュウ アジア太平洋局

スーザン・マックデイド 管理局

アフナ・エザコンワアフリカ局

ルイス・フェリペ・ロペス=カルバ ラテンアメリカ・カリブ局長

ウリカ・モデール 対外関係・アドボカシー局

岡井 朝子 危機局

ミリャナ・スポリャリッチ・エッゲル 欧州・独立国家共同体（CIS）

地域局

テゲグネワーク・ゲトゥー* 国連事務次長兼UNDP副総裁

ムラッド・ワフバ アラブ局

＊テゲグネワーク・ゲトゥー氏は2018年12月、任期満了となりました。

11

2030アジェンダ実現に向け加速を図るUNDPの2018-2021年戦略計画は、あらゆる形態の貧困を根絶すること、構造変革を加速すること、ショックや危機に対する強靭性を構築することという、3つの目標を統合するものとなっています。2018年、UNDPはそれぞれの目標で成果を上げ、グローバルな変革を推進するためのローカルな行動を加速するとともに、その活動についても大々的な改革に乗り出しました。

戦略計画に沿った進捗

活動の柱UNDPは2017年、UNDPならではの解決策（シグネチャー・ソリューション）という6つの分野横断的な開発アプローチを定め、実施に移しました。これはSDGs達成に向けUNDPが力強く最善の形で活動するための包括的なアプローチです。以下では、これら活動の柱と2018年の成果をご紹介します。

貧困の根絶

国家の仕組みの整備

災害や紛争などへの危機対応力強化

環境保全

クリーンエネルギーの普及

ジェンダー平等の実現

取り組み

12

ジェンダーの観点を主流にUNDPの戦略計画の前提として、社会のあらゆる構成員が自由と豊かさを享受する機会を得られるよう、その活動全体にジェンダーの観点を盛り込んでいます。

13

アマゾンのコミュニティの暮らしを守り、地球を守る

世界最多の生物の住処となっている森林の破壊は、そこに暮らす人々をはじめ、世界全体にとって環境上の脅威となります。UNDPはペルーだけでも69の先住民コミュニティを支援し、地方自治体や農業省との橋渡し役を務めることで、将来の世代にわたって、その土地に対する権利が守られるようにしています。

写真：Renato Pajuelo/UNDP Peru

14

一年で3,100万人の貧困脱出を支援

貧困の根絶

UNDPの第１の活動の柱は、SDGs目標１「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」と直接関係しています。UNDPにとって、人々を貧困から脱出させたり、貧困に陥らないようにしたりすることは、最も大事なことです。これは170の国と地域において、政府やコミュニティ、パートナー機関と活動を展開する上で、活動の主眼となっています。

2018年、UNDPは全世界のほぼ半数の国で、地方レベルと国家レベルの優先課題をSGDsと整合させることでSDGsに取り組み、短期的、長期的な利益が得られるようにしました。SDGsの各目標は相互に関連するため、様々な形態の貧困撲滅につながる前進が見られました。

2018年、●●●●分野で最も深く連携した国連機関

400万人

2,000万人

2,700万人

の雇用・生計改善を支援

危機状況または復興期にある

が金融サービス利用可能に が、より気候変動に強い暮らしを実現

15

ガバナンスの好事例を拡散し悪いガバナンスを阻止

国家の仕組みの整備

平和と自由と機会が与えられ、政府が効率的かつ迅速に対応し、権利と法が尊重、擁護され、グローバリゼーションが人々の足かせではなく追い風となるとき、人々の生活は改善します。

UNDPは2018年、56か国の選挙プロセスを支援しました。私たちは市民参加を改善し、保健関連物資を管理、また腐敗に対処するため、デジタル・ソリューションを活用し、次世代のガバナンス改善策の策定を支援しました。

UNDPは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金とのパートナーシップを通じ、45か国において現場での保健サービス提供を支援し、また偏見や差別、暴力によって声をかき消されている人々の擁護も続けました。これによって「スポットライト・イニシアティブ」の第１次投資ポートフォリオができ上がりました。この取り組みは、女性と女児に対するあらゆる形態の暴力をなくすための国連と欧州連合（EU）による総額５億ドルのパートナーシップです。その一方で、私たちはマルチパートナー信託基金事務所を通じ、障害者の権利促進のための国連パートナーシップの対象を38か国に拡大し、「誰ひとり取り残さない」という目標実現に向け、さらに注力しました。

89か国

と連携し、差別的な法律を改正

5,500万人

2,100万人

が有権者登録

2018年、ガバナンス分野で最も深く連携した国連機関

の女性と乳幼児に予防接種

インドでは「ワクチン情報網」を用いて

16

インクが物語るカブール有権者の喜び

UNDPは、あらゆる成人が自国の選挙で票を投じる自由が、遵法精神に則った民主主義の核の一つだと確信しています。ジェンダーや出自に関係なく、あらゆる有権者の票が誠実にカウントされるよう、誰にでも開かれた登録を実現することから始まります。

写真：Lorenzo Tugnoli/UNDP

17

南太平洋で高まる危機対応力

最大標高が世界で2番目に低い国のツバルは、サイクロンや海水面上昇の影響を極めて受けやすい国です。UNDPは沿岸部の安全や、食料と水の安定確保を守り、将来的な異常気象に対する人々と島々の備えを充実させる地域密着型プロジェクトの普及を図っています。

写真：Silke von Brockhausen/UNDP

18

危機対応から復興、保護までよりスムーズな対応

災害や紛争などへの危機対応力強化

危機状況または復興期にある世界の多くの人々にとっては、現状から早く簡単に抜けだす方法はありません。紛争、戦争、疫病に災害は、貧困や不平等、脆弱なガバナンス、そして環境破壊を助長します。この悪循環を断ち切るべき時が来ています。

UNDPは2018年、パートナー機関の支援を受けて、ショックや危機への対応力（レジリエンス）強化に10億ドル以上を費やし、防災や復興に向けた計画策定を含め、総合的なリスクに配慮した開発アプローチの採用を訴えかけました。

人道支援機関との新たな協力方法が根づき、救命のための緊急対応と、対応力強化、復興、安定化、そして開発のニーズとの間の橋渡しができるようになりました。コミュニティができるだけ早く、尊厳を持った生活に戻れるよう支援することは、あらゆる人にとって長期的な目標となります。

10億ドル

15か国

300万人

以上を投資

危機対応力の強化に

で暴力的過激主義の予防戦略の策定・実施を支援

以上の避難民に対し、住宅やエネルギー等の

基礎的サービス改善

12か国で

2018年、危機対応力強化分野で最も深く連携した国連機関

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環境問題の解決策自然の意思に従って

環境保全

SDGsは、貧困に終止符を打ち、地球を守り、すべての人が恒久的な平和と豊かさを享受できるようにするための総合的でグローバルな計画を定めています。気候変動と環境破壊は、この計画をすべて台無しにするおそれがあります。

UNDPは、その開発使命に取り組みながら、各国が最も被害を受けやすい人々を保護し、自然の多様性を守り、気候変動が地球のバランスをさらに崩さないようにするための支援を行っています。同時に、パートナー機関との連携により、将来を見据えたパートナーシップ、産業、雇用、暮らしに投資することで、グリーン経済への移行を加速しています。

地球環境ファシリティ（GEF）の古くからのパートナーとして、また緑の気候基金（GCF）ポートフォリオで世界第２位のUNDPは、各国が私たちの活動に寄せる信頼を土台とし、気候変動分野で最も重要な国連機関となっています。私たちがめざすのは、パリ協定をはじめ、すべての環境協定を各国の開発優先課題に組み込むことです。数十億人の食料、住居、教育、そして様々な機会の確保は結局のところ、これを適切に進められるかどうかにかかっているのです。

2018年、環境保全分野で最も深く連携した国連機関

140か国

に対しパリ協定に基づく誓約遂行に向けた取り組みを支援

300万エーカー

2億

5,600万トン

削減（1年で車5,000万台に相当）を支援

炭素排出量の

の保護区域管理を支援

54か国で

20

ジョージアの植林による山火事対策

気候行動はそれ自体がエコシステムであり、UNDPは人間の自然界への依存と責任を再び結び付ける道を切り開いています。それはまさに、SDGs全般で前進が見られていることの生きた証です。

写真：Vladimir Valishvili/UNDP Georgia

21

安産を支援するジンバブエの麻酔医

UNDPがアフリカで展開するSolar for Health（太陽光で保健医療を）イニシアティブは、電力への恒常的で費用効果的なアクセスを提供し、病院がこれまでのように、生命の危機につながる停電を経験せずに機能できるようにしつつ、気候変動の影響も軽減しています。

写真：Karin Schermbrucker/UNDP

22

化石燃料と決別しクリーンで安価なエネルギーを

クリーンエネルギーの普及

UNDPは、各国が限りある化石燃料の使用から、クリーンで再生可能かつ手頃な価格のエネルギーへと移行するための支援を行っています。持続可能なエネルギーに取り組むプロジェクト・ポートフォリオは110か国以上に渡り、公的・民間資金から数十億ドルの資金が動員されています。

UNDPはこの資金援助を受け、自治体や産業界との連携により、各国のエネルギー構成における再生可能エネルギーのシェア増大、紛争によって避難を強いられた人々の太陽光エネルギーに対するアクセス確立、輸送業界における組織的な変化の推進、家庭への再生可能エネルギー導入に取り組んでいます。

クリーンで安価なエネルギーは、持続可能な開発目標達成に向けた前進の原動力になります。UNDPはあらゆる開発状況で、各国のニーズに適応しています。

2018年、クリーンエネルギー分野で最も深く連携した国連機関

10億ドル

の無償資金援助を110か国に提供

110か国

に対して持続可能なエネルギー普及支援

炭素排出量の

に対しクリーンで安価な再生可能エネルギーへのアクセスを改善

農村部の

37万

2,000世帯

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女性と女児のエンパワーメントを男性と男児の参画を

ジェンダー平等

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、全ての人に有益となる変革を推進します。女性と女児、そしてジェンダー少数者はいま、不平等や固定観念を覆そうとしており、UNDPはそれを支援しようとしています。国連の主導的開発機関として、私たちはジェンダーに基づく暴力に終止符を打ち、農家の女性とともに気候変動に対処し、ビジネスや政治における女性の指導者増加を前進します。さらに各国と連携することで、私たちの活動のあらゆる側面にジェンダー平等の観点を取り入れようとしています。

2018年、UNDPは、様々な国やコミュニティにおいて、金融や土地、意思決定へのアクセスに関するルールの変更を支援し、世界の数多くの女性の生活を改善しました。また、危機や紛争の影響を受けた数え切れないほどの女性とも連携を図り、さらに女性の投票を妨げる障壁も打破しました。誰ひとり取り残してはならないからです。

2018年、ジェンダー平等分野で最も深く連携した国連パートナー

73か国

がリーダーシップと意思決定の役割を担う女性の増大に取り組み

1,720万人

59％は女性

UNDPの16か国での復興プログラム支援対象者の

の女性が、UNDPの支援により有権者登録

24

アフガニスタンのヘラート州で、温室プロジェクトによる支援を受けた子どもたち

ジェンダーの不平等は、様々な悪影響を及ぼすことから、UNDPは全世界の女性と女児が抱える教育、雇用、賃金およびリーダーシップ面での大きな格差を縮小するための支援を活動の中心に据えています。

写真：S. Omer Sadaat/UNDP Afghanistan

25

2021年までの改革を目指し、最先端の「デジタルストラテジー」が採用されました。

デジタルストラテジー

国連の主導的開発機関であるUNDPは、開発の未来を牽引できる最大の能力を備えた組織です。組織規模、そして官民、新旧を問わず、国連内外のパートナーと築いたネットワークがそれを支えます。

SDGsが掲げる高い理念を実現するためには、変革のペースを速めることが必要です。私たちは、自らのシステムや資源の管理方法の可能性を広げ、さらに効果的、効率的、革新的なUNDPを目指してビジネスモデルを進化させています。私たちは内からの改善により、開発の成果も向上させているのです。

組織改革による開発再考

業務の手法を変えたことで、それまで役所的作業に使われていた職員の時間が33日分削減されました。

プログラム改革

ピープルストラテジー

UNDPは2018年、新たな「ピープルストラテジー」を立ち上げ、世界レベルの人材の採用・育成・定着の方法を改善しています。

予算の均衡

UNDPの予算は２年連続で収支が均衡し、それまでの赤字傾向が逆転しています。

手法

26

60か国でラボを立ち上げ、UNDPチームによるイノベーションの加速とスケールアップを支援しました。

UNDPは過去６年で５度目のCSO50サイバーセキュリティ賞を獲得しました。

リアルタイムの開発モニタリング

サイバーセキュリティ

40か国のUNDP事務所が衛星データを用い、リアルタイムで開発状況をモニタリングできるようになりました。

UNDPアクセラレーター・ラボ

新設された「グローバル政策ネットワーク」は、170の国と地域で働く1万7,000人の職員をバーチャル・コミュニティでつなぎ、一貫性のある成果を達成する方法を提供しています。

グローバル政策ネットワーク

国別支援プラットフォーム

46か国に「国別支援プラットフォーム」を導入し、目標値を36か国も上回る実績を達成しました。

27

国連改革の推進国連がSDGsという課題に立ち向かうための変革を遂げる中で、UNDPはこのプロセスを一歩ずつ支援しています。2018年、UNDPは国連改革の成功を後押しすべく、数十人の経験豊かな職員を出向させ、国連常駐調整官制度に対する拠出を倍増させるなど多大な労力を注ぎました。その間、 UNDPは開発支援活動に50億ドル*を投資していますが、これは過去5年間で最大の投資額です。

63人

のベテラン職員が国連常駐調整官として

出向

機関別費用分担拠出を

1,030万ドル

に倍増

170か国以上で118の機関による

22.6億ドル

相当の金融取引を代行

給与システムを通じ毎月

3万5,000人の国連職員の労務管理を支援

2x

*プログラム遂行と組織支出を含む

手法

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UNDP関連機関国連システムの専門的機能を傘下に

UNDPの関連機関やパートナーシップは、全世界における国連の活動に欠かせません。

国連のマルチパートナー信託基金事務所（MPTFO）は、10億ドルを超えるプール資金を開発に振り向け、複雑な問題に対する国連の総合的な対応を促しています。MPTFOは、2018年には38か国に展開された総額2,700万ドルの「障害者に関する国連パートナーシップ」を支援するとともに、女性と女児に対するあらゆる形態の暴力をなくすことを目的とする国連と欧州連合（EU）の総額５億ドルに上るパートナーシップ「スポットライト・イニシアティブ」にプラットフォームを提供しています。

マルチパートナー信託基金（MPTF）

国連ボランティア計画は毎年7,000人を超える専門家（うち83%は南半球の途上国出身）を、１万7,000人のオンライン・ボランティアとともに、140か国以上で活動する38の国連組織に派遣しています。2018年には、137人のボランティアが62か国の国連常駐調整官事務所で、調整から平和と開発、SDGsに至るまで、幅広い業務に取り組みました。UNVは、オーナーシップと活動成果の強化を図るため、コミュニティ開発への住民参加も強く推進しています。

国連ボランティア計画（UNV）

南南協力の推進に対する支援の一環として、UNDPは全世界と国連システム内部で南南協力と三角協力を促進、調整、支援する国連南南協力室（UNOSSC）を管轄しています。UNOSSCは2018年、200の途上国シンクタンクを結集し、開発に向けた解決策に関する対話と研究の促進を図りました。

国連南南協力室（UNOSSC）

UNCDFは主として後発開発途上国を対象とし、貧困層向けに官民の資金を活用するための「ラストマイル」型金融モデルを提供しています。金融包摂と地方開発金融、投資金融に焦点を絞りつつ、UNCDFはその他の国連組織と協力し、その資本ツールや専門知識、リスク許容度をテーマ別の知識と組み合わせることで、総合的なアプローチを採用し、ファイナンス革新の実験、排除への対策、実証済みモデルの拡張に取り組んでいます。

国連資本開発基金（UNCDF）

29

パートナー機関世界と手を取り合って

下記をはじめとするパートナー機関に厚くお礼申し上げます。

SDGsは、CEOや首相から活動家、科学者、さらには学識者、財界のリーダーに至るまで、誰もが達成に向けて結束すべき１つのアジェンダを示しています。UNDPは、小規模な社会事業からマース、百度、マイクロソフト、ヴィザといった大手グローバル企業まで、また小さな島嶼国から世界で最も人口の多い国々まで、多岐にわたるパートナーシップを結んでおり、南北を隔てがちな言説を突き崩していることを誇りにしています。

グローバルファンド（世界基金）による無償資金援助の最大の受益者として、UNDPは35か国の現場で保健サービスの提供を支援しました。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金（グローバルファンド）

GCFは、低排出の気候変動に強い開発に投資することにより、気候変動に対応するうえで不可欠なグローバル・プラットフォームとなっています。

緑の気候基金（GCF）

GEFは、政府、実施機関、民間セクター、市民社会が世界で最も複雑で急を要する環境問題に包括的に取り組むためのパートナーシップで、UNDPと緊密に連携しています。

地球環境ファシリティ（GEF）

UNDPと世界銀行のパートナーシップは以前にも増して深化し、特に危機的状況に置かれた国・地域で、2030アジェンダ実現に向けた活動をより良い形で支援できるようになりました。金融の分野に加え、2018年には「平和への道」報告書も発表し、開発成果を高めるために欠かせない研究の推進も図りました。

世界銀行

UNDPはモントリオール議定書を通じて120か国と協力し、オゾン層破壊物質の廃絶を支援することで、地球のオゾン層に対するダメージの修復を図っています。

モントリオール議定書

UNDPは2018年、フィンチ、マースとのパートナーシップにより、野生動物や生息地の保護を目的とする「ライオンズシェア」基金を立ち上げました。このイニシアティブを通じ、パートナーは動物を扱うメディア広告支出の0.5%に相当する資金を寄付しています。

「ライオンズシェア」基金

手法

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エンターテインメントやアート、スポーツで活躍する親善大使や有名人サポーターは、その国境を越えた影響力を用いて、地球規模課題にスポットライトを当て、SDGsの達成を促進しています。キャンペーンやイベント、現場視察を通じ、人々の意識啓発に尽力し、また名前や声、メディア出演、ソーシャルメディアでの発信などを通じUNDPの訴求力を高め、共感者を増やし、UNDPが全世界で展開する活動に対する支援の輪を広げています。

親善大使の力でSDGs達成を

ノルウェー王族ホーコン王太子

貧困根絶

俳優ニコライ・コスター=ワルドー

気候行動、ジェンダー平等

TVタレント、著作家パドマ・ラクシュミ

平等

俳優、プロデューサーミシェル・ヨー

女性の平等、持続可能性、野生生物保護

元プロ・サッカー選手ディディエ・ドログバ

保健、経済的エンパワーメント

プロ・サッカー選手イケル・カシージャス

若者のエンパワーメント

ミュージシャン、ソーシャルメディア・インフルエンサー

コーディー・シンプソン海洋保全

俳優コニー・ブリットンジェンダー平等

グレイトフル・デッドの伝説的ミュージシャン

ボブ・ウィアー気候行動と持続可能性

俳優紺野 美沙子若者と女性の

エンパワーメント

シェフ、レストラン経営者ロカ兄弟

（ジョアン、ジョセップ、ジョルディ）持続可能な食料生産・消費

俳優アントニオ・バンデラス

女性平等、気候行動

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財政支援パートナー活動資金と拠出

2018年に、使途指定のない通常資金を増額した下記の支援国には、特に感謝いたします。

2017

$1,940 $2,110(+9%)

$1,010(+0.4%)

$925(+8%)

$624(+2%)

$357 (+5%)

$1,006

$858

$612

$341

49億ドル52億ドル

$93$65 $109

$67

2018

10億ドル

20億ドル

30億ドル

40億ドル

50億ドルテーマ別資金

国連諸機関へのサービス提供費回収分

国連プール資金

通常資金

垂直型資金

政府による費用分担

特定のプログラムやプロジェクトに使途を特定した資金

*2019年5月現在、各国事務所に対する現地政府の負担金を含め、資金提供パートナーから受け取った任意拠出金

2017年と2018年拠出金の財源別内訳*

UNDPは、パートナーからの財政支援なしに活動できません。2018年に支援を受け暮らしが改善した世界の多くの人々に代わり、また、私たちの住む地球環境を改善してくれたことに対し、世界のあらゆる言語で感謝申し上げます。

ノルウェー 日本オランダ 韓国ルクセンブルクドイツ スウェーデン

UNDPが2018年に国際金融機関から受けた投資は

3億9,200万ドル。前年比で38%増大しました。

+6%

手法

アメリカドル換算

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UNDP財政支援パートナー（2018）

パートナー 通常資金* 使途特定資金 総計

地球環境ファシリティ - $429,781,733 $429,781,733

ドイツ $45,454,545 $356,438,505 $401,893,050

国連プール資金 - $372,245,601 $372,245,601

日本 $66,494,208 $279,631,562 $346,125,770

グローバルファンド - $334,979,609 $334,979,609

欧州連合 - $325,089,554 $325,089,554

米国 $79,582,829 $172,068,920 $251,651,749

スウェーデン $75,812,274 $121,354,895 $197,167,169

英国 $70,153,061 $101,976,546 $172,129,607

ウクライナ - $162,272,016 $162,272,016

世界銀行グループ - $152,808,865 $152,808,865

ノルウェー $70,623,299 $81,313,557 $151,936,856

アルゼンチン - $144,531,921 $144,531,921

オランダ $34,129,693 $79,602,889 $113,732,582

スイス $49,281,314 $59,250,477 $108,531,791

国連諸機関 - $96,467,030 $96,467,030

イタリア $5,896,226 $75,691,336 $81,587,562

緑の気候基金 - $80,286,451 $80,286,451

ブラジル - $74,497,493 $74,497,493

カナダ $30,792,918 $38,531,472 $69,324,389

デンマーク $18,227,009 $45,049,427 $63,276,436

サウジアラビア $2,000,000 $53,583,428 $55,583,428

オーストラリア $9,050,498 $38,512,176 $47,562,674

韓国 $8,600,000 $38,476,045 $47,076,045

エジプト - $46,403,101 $46,403,101

コロンビア - $45,241,878 $45,241,878

モントリオール議定書 - $44,985,413 $44,985,413

ドミニカ共和国 - $43,502,125 $43,502,125

フィリピン - $28,707,016 $28,707,016

ウルグアイ - $26,922,115 $26,922,115

* UNDP通常資金提供パートナーについて詳しくは、open.undp.org/donorsをご覧ください。

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国家間で知識共有、能力構築、連携促進するための支援

UNDPは、南南協力の積極的な推進において定評のあるパートナーであり、資金の流れも多様化させています。2018年には100か国以上の事務所で南南・三角協力を推進し、900件のイニシアティブを通じて180か国とのパートナーシップを支援しました。また、2018年にUNDPの資金の20%に相当する10億ドルが、プログラム実施国政府から自国への投資向けに提供されました。このことは、開発資金の流れの変化を如実に示しています。

南南協力と三角協力手法

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180か国以上で

900件を超える

南南イニシアティブを推進

UNDPの活動資金のうち

10 億ドルは、プログラム実施国が拠出

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