viii. 空間情報表現 viii....
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VIII. 空間情報表現
色は,空間情報の見え方を左右する極めて重要
な要因である.その使い方については,ある程度
の規則はあるものの,多くの要因が複雑に絡み合
うため,一般的な議論は難しい.最終的には各自
に任されるところが大きい.
VIII-7 空間記号の色(色合い,明度,彩度)
VIII. 空間情報表現
色によって質的属性を表現する場合,色合いによ
る区別を基本とし,明度や彩度は補助的に利用す
る.色合いの選び方はかなり自由である.但し,い
くつか留意すべき点がある.
VIII-7.1 色による質的属性の表現
VIII. 空間情報表現
1) 一般的使用規則
都市計画における土地利用表現
・・・黄:住宅地,赤:商業地,青:工業地,...
地形図における土地被覆表現
・・・赤:都市,黄:住宅系土地利用,青:水面,..
一般的使用規則に従うことで,読者の負担が軽減
される.
VIII. 空間情報表現
2) 識別可能な色数 普通,人間の識別できる色合いは8~15色
VIII. 空間情報表現
色合いはできるだけ異なるものを用いた方が良い
(識別しやすい)
色合いの数が足りなければ,明度や彩度,パター
ンで補う.
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VIII. 空間情報表現
ちなみに,東京の地下鉄は現在13路線であり,色合いによる識別はほぼ限界
面領域は4色問題により,最低4色あれば塗り分け可能
VIII. 空間情報表現
3) 色の好み
個人的な色の好みがある
子供:彩度の高い色(原色に近い色),特に短波
長の色を好む
大人:彩度の低い色を好む
西洋:青,緑,赤を好み,オレンジや黄色を嫌う.
VIII. 空間情報表現
色によって量的属性を表現する場合,明度や彩
度のグラデーションをよく用い,場合によっては色
合いのグラデーションも利用する.
VIII-7.2 色による量的属性の表現
VIII. 空間情報表現
1) 同一の色合い,彩度の変化(single hue progression)
白~赤
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VIII. 空間情報表現
2) 色合いの変化 赤~白~青(bi-polar progression) 青~灰色~黄色(complementary hue
progression) 黄色~オレンジ~赤(partial spectral hue
progression)
VIII. 空間情報表現
VIII. 空間情報表現
3) 色合いと明度の変化(blended hue progression)
黄色~オレンジ~茶色
VIII. 空間情報表現
4) 明度の変化(value progression)
白~黒,緑~黒
VIII. 空間情報表現
5) 全ての色合いを利用(full spectral progression)
青(水面),緑(低地),黄色(高地),赤(最高地)
VIII. 空間情報表現
6) 色合いと彩度の同時利用(two-variable color progression)
白~赤,青~黒
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VIII. 空間情報表現
留意点
1) 濃い色は量が大きいことを示す(と一般には認識される)
VIII. 空間情報表現
2) グラデーションによって識別できる色数は,色合いによって異なる.
黄 赤 緑 水色赤紫 青 茶 黒
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
色合い
明度
VIII. 空間情報表現
彩度によるグラデーションを利用する場合,黒,
茶,青の3色は最も段階数を増やすことができ,続いて紫,水色,緑,赤である.黄色が最も段階数が
少ない.
なお,同一の色合いで彩度によるグラデーション
を用いる場合,実際に人間が識別できる色数はせ
いぜい5色である.
VIII. 空間情報表現
グラデーションの間隔は,等間隔に近い方が識
別しやすい.
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VIII. 空間情報表現
用語
視効率: 色の間のコントラストを表す指標
20%以下だと識別が困難70%以上が望ましい
VIII-7.3 色によるコントラストの表現
黒
白
背景色
オブジェクト色
89
87
84
68
61
59
55
10
0
78
76
73
57
50
48
44
0
34
32
29
13
6
4
0
30
28
25
9
2
0
28
26
23
7
0
21
19
16
0
5
3
0
2
0
0
白 黄 赤 緑 水色赤紫 青 茶 黒
黄
赤
緑
水色
赤紫
青
茶
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
VIII. 空間情報表現
コントラストという点からいえば,背景色には他の
どの色ともコントラストのつく,白か黄色が望ましい.
黒や青も良いが,単色よりはコントラストのつく色が
限られる.
水色
赤紫
青
茶
彩度
オブジェクト色
0
0
0
0
0
0
0
0
1
5
6
6
7
8
9
9
黄
赤
緑
黒
2
11
12
12
14
17
17
18
3
16
18
18
20
25
26
27
4
22
24
24
27
34
35
36
5
27
30
31
34
42
44
45
6
33
35
37
41
50
52
53
7
39
41
43
48
59
61
62
8
44
47
49
54
67
70
71
9
49
53
55
61
76
78
80
10
55
59
61
68
84
87
89
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
背景が白のときの,背景とオブジェクトのコントラスト
VIII. 空間情報表現
強いコントラストは,オブジェクトを大きく見える.
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VIII. 空間情報表現
図・・・彩度や明度を高く,短波長の色を
地・・・彩度や明度を低く,長波長の色を
VIII-7.4 図と地の関係を与える色の組み合わせ
VIII. 空間情報表現
4種類のパターン
1) 線パターン:一方向,クロス,波線2) 点パターン:等間隔,ランダム3) 絵パターン:オブジェクトの特性を抽象化したも
の,煉瓦模様など
4) 反転パターン:上記の反転したもの
VIII-8 空間記号のパターン
Line patterns
Dot patterns
Pictographic patterns
Reverse patterns
VIII. 空間情報表現
留意点
1) 一般的使用規則に従う
例:波線は水面,草のパターンは荒れ地など
2) 線パターンは動きを強調するため,多用すると目が疲れる.
VIII-8.1 パターンによる質的属性の表現
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VIII. 空間情報表現
3) パターンの方向性に注意同一の方向が強いと目が疲れる
頻繁な方向の変化も同様
VIII. 空間情報表現
4) パターンの付随するオブジェクトは図に見えやすい
VIII. 空間情報表現
インク部分の面積(密度)によって量を表現する.
物理的面積と,知覚される量とのずれに注意
VIII-8.2 パターンによる量的属性の表現
インクの占める面積の割合
10% 20% 30% 40% 50%
60% 70% 80% 90% 100%
インクの占める面積の割合と知覚される濃さの関係
100
75
50
25
00 12 43 79 100
知覚されるインクの濃さ(黒さ)
インクの占める割合(面積)
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VIII. 空間情報表現
表現の簡略化
必要な情報だけを簡単に取り出せるようにするた
めの作業
全体の意図を明確にする
VIII-9 総描(generalization)
VIII. 空間情報表現
1) 縮小(typification)
オブジェクトを,同一の属性を持ったグループに
分類し,同一グループのオブジェクトを統合する.
例:
点集合を代表点へ変換
属性分類を減らし,面集合を統合
VIII-9.1 統合(classification)
VIII. 空間情報表現
2) 抽象化(collapsing)
オブジェクトの次元を下げる.
例:
線から点へ
面から線,点へ
VIII. 空間情報表現
一部のオブジェクトを省略,削除する.
例:
点の削除
小さな家や細街路を削除
詳細な海岸線を単純化
VIII-9.2 単純化(simplification)
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VIII. 空間情報表現
統合は情報をまとめるだけであるが,単純化は情
報を削ってしまうため,あまり好ましい総描ではな
いと思われるかもしれない.しかし,それによって重
要な情報が伝わりやすくなるのであれば,情報を減
らすことはマイナスではない.
VIII. 空間情報表現
Topfer’s Law
オブジェクトの数は,縮尺の平方根に比例させる
と良い.
例:
縮尺を1/4にするときには,オブジェクトを総描によって半分に減らす
Topfer’s Law
総描なし
VIII. 空間情報表現
縮尺を小さくしたときに,オブジェクトが見えなくなっ
てしまうことを避けるため,オブジェクトを拡大する.
例:
点オブジェクトの記号化
道路幅員の誇張
VIII-9.3 誇張(exaggeration)
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VIII. 空間情報表現
連続分布
地形などのサーフェスデータ
人口密度などの面データ
VIII-10 連続分布(2.5次元分布)の表現
VIII. 空間情報表現
最もポピュラーなサーフェスデータの表現法
VIII-10.1 等値線図(isarithmic map)
20
60 60
80100
8040
VIII. 空間情報表現
人口分布を表すときにしばしば用いられる.
10人を1点などとし,点の数と分布で連続分布を近似的に表現する.
VIII-10.2 ドットマップ(dot map)
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VIII. 空間情報表現
点の単位(点の数)と大きさの決定が重要
点の単位が大 点の数が少なすぎる
点の単位が小 点の数が多すぎる
点が大 点が互いに重なる
点が小 点が見えなくなる
点の単位と見え方
点の大きさと見え方
VIII. 空間情報表現
点の位置は,大抵,点集合の重心を選ぶ.
最近のGISではドットマップを自動作成できるものもある.この場合,点の単位と大きさを指定す
ればよい.
VIII. 空間情報表現
地形を表すためにしばしば用いられる.
線の幅もしくは密度によって,傾斜の角度を表現
する.
VIII-10.3 陰影(けば)
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VIII. 空間情報表現
データに対する視点の相対座標と,視線の方向
を指定すると,GISによって描かれる.
シェーディング,平面図(例えば土地利用図)との
重ね合わせも可能
VIII-10.4 鳥瞰図
VIII. 空間情報表現
面データの一般的な表現法
コロプレス地図の作製には多くの要素が絡む
VIII-10.5 コロプレス地図
VIII. 空間情報表現
1) 領域の大きさと形
広域的傾向を見る・・・大領域を用いる
局所的傾向を見る・・・小領域を用いる
領域の大きさは,均一に近い方が誤解を招きにく
い(大きな領域の値は誇張されて見える)
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領域の大きさと見え方
VIII. 空間情報表現
2) 分類数
単一の色合いであれば,5~7段階が限界
分類数を増やすには異なる色合いを用いる
分類数と見え方
VIII. 空間情報表現
3) 分類の区分け
分類を行うとき,その区切りをどこに置くかは重要
な問題である.
VIII. 空間情報表現
特に重要な区切りの値(例えば気温における0℃)があるときには,それを優先して用いる.
特にそのような境界値がない場合には,以下の4つの分類方法のうちいずれかを用いる.
VIII. 空間情報表現
a) 等間隔分類
分類の間隔が全て等しい.
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等間隔分類
84 149 74 162 91
0 20 40 60 80 100
VIII. 空間情報表現
b) 等数分類
各分類に含まれるオブジェクトの数が全て等しい
等数分類
100 100 100 100 100
0 22 32 58 78 100
VIII. 空間情報表現
c) 傾斜間隔分類
分類の間隔が規則的に大きく(あるいは小さく)なっ
てゆく分類法
例えば,分類の間隔が等差数列や等比数列に従
う.
傾斜間隔分類
0 33.3 60..0 80.0 93.3100
33.3 26.0 20.0 13.3 6.7
03.2 9.7 22.6 48.4 100
3.2 6.5 12.9 25.8 51.6
0 51.6 77.4 90.393.3100
51.6 25.8 12.9 6.53.2
0 10.7 26.7 47.5 72.5 100
10.7 16.0 20.8 25.0 27.5
0 9.3 20.4 34.9 56.6 100
9.3 11.1 14.5 21.7 43.4
VIII. 空間情報表現
d) 不規則間隔分類
分類の間隔が不規則に変換する
オブジェクトの頻度が大きく変化する値を境界値
とする
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不規則間隔分類
0 34 56 78 100
不規則間隔分類不規則間隔分類
0 34 56 78 100944416
VIII. 空間情報表現
3次元データの表現
VIII-10.6 その他
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VIII. 空間情報表現
オブジェクトの属性を表すために,様々な文字情
報が用いられる.
VIII-11 文字
VIII. 空間情報表現
文字の大きさは通常,point数で表現する.
VIII-11.1 大きさ
dpA 都大文字の高さ フォントサイズ1point = inch (約0.35mm)
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大文字の高さ = フォントサイズ×23
VIII. 空間情報表現
望ましい最小フォントサイズ
読書時,適切な光のもとであれば3pointsが最小,できれば5points以上が望ましい.
より遠くから地図を見る場合には,
[pt] = 視距離[m]×10.2
[mm] = 視距離[m]× 3.6
VIII. 空間情報表現
ちなみに,OHPの場合には24points以上が望ましい.最小でも18pointsを確保すること.
36points 地理情報システム GIS30points 地理情報システム GIS24points 地理情報システム GIS20points 地理情報システム GIS18points 地理情報システム GIS14points 地理情報システム GIS12points 地理情報システム GIS
8points 地理情報システム GIS
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VIII. 空間情報表現
大きさの識別
点記号の大きさの識別とほぼ同様.即ち,15%以下の大きさの差異は識別が困難であり,25%以上の大きさの差異が望ましい.
なお,同一の自体を用いる場合には「大・中・小」
の3段階の大きさを用いると,大きさと凡例との対応を記憶しやすい.
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
都市
25%15%
都市
都市
都市
都市
都市
50%
都市
都市
VIII. 空間情報表現
文字の色は,背景色との組み合わせによる見易
さという観点から決定する.
一般には,文字記号は空間記号の中でも重要度
が高く,強いコントラストを持たせることが多い.
VIII-11.2 色
VIII. 空間情報表現
オブジェクトに付随する属性を文字記号として表
現する場合,オブジェクトに対する相対的な位置に
注意する必要がある.
文字配置(map labelling)にはいくつかの規則がある.
VIII-11.3 配置
VIII. 空間情報表現
1) 原則として,垂直または水平方向が望ましい.
本郷3丁目
本郷3丁目
VIII. 空間情報表現
2) 斜め,上下逆,曲線配置は避ける.
本郷3丁目本郷3丁目
本郷3 丁目
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VIII. 空間情報表現
3) 文字間隔はできるだけ小さく(一体としての認識を容易にするように)
本 郷 3 丁 目
本 郷
3 丁 目
VIII. 空間情報表現
4) オブジェクトに重ならず,跨らず
本郷郵便局
上野郵便局
本郷郵便局
上野 郵便局
VIII. 空間情報表現
5) 文字同士が重ならないように
本郷郵便局上野郵便局
VIII. 空間情報表現
6) 点オブジェクトにおける文字記号の望ましい位置
2
4 3
15
6
7
8
9
10
VIII. 空間情報表現
望ましくない文字記号の配置
本郷郵便局 本郷郵便局
本郷 郵便局本郷郵便局
VIII. 空間情報表現
7) 線オブジェクトにおける文字記号の望ましい位置
この場合,一般論としては望ましくない,曲線的な
配置が逆に適切である.但し,複雑すぎる曲線の
場合,それに忠実に沿わせることはしない.
地下鉄丸の内線
石神 井
川
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VIII. 空間情報表現
望ましくない文字記号の配置
石
神 井川
石 神 井 川
石 神 井 川
VIII. 空間情報表現
8) 面オブジェクトにおける文字記号の望ましい位置
三 四 郎池
VIII. 空間情報表現
面オブジェクトの場合,文字をオブジェクトの形状
に合わせ,全てオブジェクト内部に収まるように配
置することが望ましい.
また,文字はオブジェクトの中心に,全体を緩や
かに覆うように配置する.
VIII. 空間情報表現
望ましくない文字記号の配置
三 四
郎池
三 四 郎池
三 四 郎 池
三四郎池
VIII. 空間情報表現
人間の知覚と表現の乖離
VIII-12 その他
30度 45度 90度
道路の交差角度と人間の知覚
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VIII. 空間情報表現
音による空間情報の表現