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© 2020 NTT DATA INSTITUTE OF MANAGEMENT CONSULTING, Inc. 2020年2月28日 株式会社NTTデータ経営研究所 グローバル金融事業部 令和元年度産業経済研究委託事業 (我が国におけるFinTech普及に向けた基盤整備に関する調査検討)報告書

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2020年2月28日株式会社NTTデータ経営研究所グローバル金融事業部

令和元年度産業経済研究委託事業(我が国におけるFinTech普及に向けた基盤整備に関する調査検討)報告書

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目次

1. 事業の実施方針等

1-1.事業実施の基本方針、業務内容等 P.3

2. 各調査報告書2-1.【調査報告書1】世界のモバイル送金の普及動向 P.6

2-2.【調査報告書2】諸外国における決済システムの動向 P.23

2-3.【調査報告書3】我が国における決済システムの動向及び海外との比較 P.91

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1.事業の実施方針等

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目次

1. 事業の実施方針等

1-1.事業実施の基本方針、業務内容等 P.3

2. 各調査報告書2-1.【調査報告書1】世界のモバイル送金の普及動向 P.6

2-2.【調査報告書2】諸外国における決済システムの動向 P.23

2-3.【調査報告書3】我が国における決済システムの動向及び海外との比較 P.91

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1-1 事業実施の基本方針、業務内容等本事業の背景と目的の理解

本調査研究では、国内外での事例調査及び実態調査を通じて、FinTech普及のための重要な基盤となる本人認証サービスや少額送金インフラを中心にFinTech普及の前提となる基盤整備に向けた課題及び政策対応について調査・分析を行うことを目的とする。

上記目的の実現においては、国内外の文献調査を通じた調査及び分析を行う。

FinTech普及の基盤となる少額送金インフラの海外動向調査

①世界のモバイル送金の普及動向

②諸外国における(少額送金を中心とした)決済システムの動向(ア)モバイル送金を支える決済システムの成り立ち(イ)改革前後の決済システムの違い

③我が国におけるモバイル送金サービス及び少額送金を中心とした決済システムの動向及び海外との比較

FinTechの登場

FinTechビジョン(FinTech普及に向けた前提条件整備の方向性)

2017年度の調査分析

本事業の背景

本事業の目的

近年、革新的なサービス提供の動きが世界中で見られている「FinTech」については、金融のあり方を変え、人々の暮らしや企業の活動にも大きな変化をもたらすものとして世界中で議論されており、新しいFinTechサービスが誕生している。

貴省では2015年10月より「産業・金融・IT融合に関する研究会」、2016年7月より「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」を開催され、FinTechに関する今後の政策の方向性等について包括的な検討を実施された。

これらの総合的な報告・提言として「FinTechビジョン」を取りまとめ、その中で、目指すべき方向性として、FinTech普及に向けた前提条件を整えることを掲げられた。

2017年度には、キャッシュレス社会の実現などを含めたFinTech普及の前提となる環境整備に向けた課題及び政策対応について調査・分析を行った。

本事業のスコープ

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(サービス)2-1.世界のモバイル送金の普及動向

調査報告書1「海外モバイル送金編」

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目次

1. 事業の実施方針等

1-1.事業実施の基本方針、業務内容等 P.3

2. 各調査報告書2-1.【調査報告書1】世界のモバイル送金の普及動向 P.6

2-2.【調査報告書2】諸外国における決済システムの動向 P.23

2-3.【調査報告書3】我が国における決済システムの動向及び海外との比較 P.91

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(1)調査対象の国と主要なモバイル送金サービス(1/2)

モバイル送金サービス

№ 導入国 英国 豪州 米国① 米国② 米国③ スウェーデン

1 導入年 2014年 2018年 2017年 2009年 2017年 2012年

2 サービス提供者Pay UK BPAY Pty limited Early Warning

ServicesVenmo(ベンチャー) Apple Payment inc スウェーデン

主要行

3 決済手段・口座

銀行口座 銀行口座 銀行口座デビットカードクレジットカード

銀行口座デビットカードクレジットカードデジタルウォレット

銀行口座バーチャルデビット

デジタルウォレット

銀行口座

4 利用手数料 無料 無料 無料 無料 無料 無料(ビジネスアカウントは有料)

5 利用上限額€250/日 AU$2,000/日 US$1,000/日 US$2,999.99/週 US$3,000/件

US$10,000/週SEK10,000/日

6エイリアス(ID紐付先)

電話番号 電話番号

Pay ID

電話番号メールアドレス

電話番号メールアドレスFacebook ID Apple ID

電話番号

国民ID

7特色のある

機能

P2P/B2C/B2B送金 P2P送金 割り勘払い送金依頼(要求)

割り勘払い支払履歴共有有料即時送金

iMessage経由送金 QR決済対応

8 コアインフラFPS NPP TCH:今後RTPを採

用する予定ACH Green Dot Bankの

決済NWBiR

9 リアルタイム性 即時 即時 即時 通常1~3営業日 通常1~3営業日 即時

10 利用普及国民数:66.4M(2018)ユーザー数:4.4M(18Q3)➡6.6%

国民数:25.4M(2019)ユーザー数:N/A➡N/A

国民数:328.2M(2019)ユーザー数:27.4M(2018)

➡8.3%

国民数:328.2M(2019)ユーザー数:52M(2019)

➡15.8%

国民数:328.2M(2019)ユーザー数:N/A

➡N/A

国民数:10.3M(2019)ユーザー数:7M(2019)

➡68%

• 7ヶ国の12サービスに対し10の切り口で調査をした上で、最終的な示唆の導出を行った(詳細は後段にて記載)。

図1 Paymロゴ 図2 Oskoロゴ 図3 Zelleロゴ 図4 Venomロゴ 図5 Apple Cashロゴ 図6 swishロゴ

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(1)調査対象の国と主要なモバイル送金サービス(2/2)

• 前ページの続き。

モバイル送金サービス

№ 導入国 オランダ フランス シンガポール① シンガポール② シンガポール③ シンガポール④

1 導入年 2016年 2013年 2017年 2014年 2016年 2016年

2 サービス提供者ABN AMRO銀行 フランス主要3行 シンガポール

銀行協会DBS Bank Grab Singtel

3 決済手段・口座

銀行口座 銀行口座デビットカードクレジットカード

銀行口座

デジタルウォレット デジタルウォレット デジタルウォレット

4 利用手数料無料 無料 無料 無料 無料 無料(長期未使用は

アカウント手数料有)

5 利用上限額 €5,000/日 €500/日 SG$200,000/日 SG$2,000/日 SG$:2,000/日 SG$1,000

6エイリアス(ID紐付先)

電話番号WhatsApp ID

電話番号 電話番号国民ID、外国人ID、ビジネスID

電話番号 電話番号 電話番号

7特色のある

機能

What AppのUX割り勘払いQR決済

NFC対応 P2P送金B2C送金B2B送金

国民ID保有者であればサービス未保有者にも送金可

QR決済決済連動リワード

QR決済NFC対応海外利用手数料無料

8 コアインフラequensWordline等 STET FAST PAYNOW

DBS内振替PAYNOW自社システム等

PAYNOW自社システム等

9 リアルタイム性取引の半数は同日中 一部銀行間で即時

化が開始即時決済 Paylah同士:即時 GrabPay同士:即時 PayDash同士:即時

10 利用普及国民数:17.3M(2019)ユーザー数:5M(2019v)

➡29%

国民数:65.3M(2019)ユーザー数:1.2M(2018)➡1.8%

国民数:4M(2019)ユーザー数:2.8M(2019)

➡70%

国民数:4M(2019)ユーザー数:1.6M(2019)

➡40%

国民数:4M(2019)ユーザー数:N/A

➡N/A

国民数:4M(2019)ユーザー数:0.5M(2018)

➡12.5%

自社サービス同士でない場合は、PAYNOW依拠

図7 Tikkieロゴ 図8 Paylibロゴ 図9 PAYNOWロゴ 図10 Paylahロゴ 図11 Grab Payロゴ 図12 Dashロゴ

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(2)エグゼクティブサマリ

• 今回の調査対象であるモバイル送金サービスを、大きく「銀行発サービス」と「ノンバンク発サービス」に分けて、それぞれサービスの①クロスボーダー性、②機能性、③利用料の観点で整理した。

№ カテゴリ

銀行発サービス ノンバンク発サービス

1 クロスボーダー性

PayNow/Paylahを除き、自国内に閉じたサービス展開となっている傾向が見受けられる。

元よりグローバル展開をしている企業は、送金サービスも同様にグローバル展開を模索する傾向が見受けられる。

2 機能性

P2P/B2C/B2B等のバリエーションはあるものの、基本的に単純送金(および送金を決済に応用)に特化する傾向が見受けられる。

基本的な送金サービスに加え、メッセージングやコミュニケーション機能の付帯等で差別化が図られている傾向が見受けられる。

3 利用料

・個人向け:原則無料・法人向け:一部手数料を徴収しているケースがある

・個人向け:原則無料⋆

⋆一部クレジットカード等を利用する場合、手数料が発生するケースがある

自国単体

グローバル

単純送金

送金以外の

多機能性

凡例

銀行発サービス

ノンバンク発サービス

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(3)調査結果サマリ

• 主要なモバイル送金サービスに対する10の切り口について調査結果(概要)を整理した。

• Venmo(米国)を除く全てのサービスが2010年代に事業を開始している。• これには2010年以降急速に普及したスマートフォンが、機能性・UI・UXの向上に大きく貢献した可能性がある。

1.導入年

【金融機関】・機能が送金に特化している傾向が見受けられる。【ノンバンク(の内テック企業)】・コミュニケーション機能の付帯で差別化が図られている傾向が見受けられる。

2.サービス提供者

【政府および銀行主導のサービス】・銀行口座経由での送金・決済となる傾向が見受けられる。【ノンバンク主導のサービス】・独自のデジタルウォレット経由での送金・決済となる傾向が見受けられる。

3.決済手段・口座

・個人は原則無料で、一部でクレジットカードを利用する場合、長期間サービス未使用の場合に有料となるケースが見受けられた。・クレジットカードはカード会社への手数料負担、アカウント休止に伴う手数料は口座活性化といった背景が考えられる。

4.利用手数料(個人向け)

• サービスによって1件あたり・日次・週次・年次と利用上限の持たせ方は様々だが、概ね日次で利用上限額が設定されている。

• 金額はPAYNOW(約1,580万円/日)のような例外を除き、概ね50万円以下/日で設定されている。

5.利用上限額

• スマートフォンでの利用を前提としたサービスという背景もあり、全サービス共通で携帯電話番号が紐づけ先となっている他、国民IDやSNS等様々なIDの活用が進んでいる。なお、自社サービスID以外でのID紐づけを行う際には、IDに応じたサードパーティの共通エイリアスを用いることになる。

6.エイリアス(IDの紐づけ先)

• 各サービス共にP2P送金に加え、B2C・B2B送金など異なる人格への送金ができる(送金を決済に応用)ケースも見受けられた。

• ノンバンクの提供サービスでは送金に加えコミュニケーション機能を付帯するなど、差別化されているケースが見受けられた。

7.特色のある機能

【政府および銀行主導のサービス】• 原則即時対応が為されている。【ノンバンクの提供するサービス】• 自社サービス内でのみ即時化されている等、利用しているインフラ(決済NW)によ

る差異が見受けられた。

8.リアルタイム性

【全サービス共通】・異なる事業体への送金を念頭に各国の決済NWとの接続が見受けられた。【ノンバンクの提供するサービス】・自社サービス内での送金用に自社システムを構築しているケースが見受けられた。

9.コアシステム

【パターン①銀行群主導】上位1~3• サービス提供者(連合)×コアシステム運営主体(連合)=PayNow、Swish【パターン②銀行×ノンバンク/銀行群主導】上位3~5• サービス提供者(単体)×コアシステム運営主体(連合)=Paylah、Tikkie、Dash

10.利用普及率

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ①導入年

• Venmo(米国)を除く全てのサービスが2010年代に事業を開始している。• これには2010年以降急速に普及したスマートフォンが、機能性・UI・UXの向上に大きく貢献した可能性がある。*

PayMOsko

by BPAYZelle Venmo

AppleCash

Swish Tikkie PaylibPAYNOW

Paylah GrabPay PayDash

年/国

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

2009P2P送金開始

2010

2011

2012P2P送金開始

2013Eコマース事業開始

2014P2P送金開始

Apple Pay開始

P2B送金開始

事業開始

2015

2016P2P送金開始

事業開始 事業開始

2017P2P送金開始

Apple Cash開始

P2B送金開始

店頭支払開始

P2P送金開始

2018P2P送金開始

P2P送金開始

ビジネスアカウント開始

2019P2P送金の即時化

*:日本を例に挙げると、2010年時点での個人のスマートフォン保有率は9.7%であったが、その後2015年には72.0%まで上昇した。出典:総務省「平成29年版 情報通信白書」

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(Pay.UK)Payment Councilが設置

2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ②サービス提供者

• 今回調査したサービスは金融機関が提供しているものが多く、その機能は送金に特化している傾向がある。• ただし、ノンバンク(の内テック企業)が関わっているサービスは、コミュニケーション機能の付帯で差別化が図られている。

政府/中銀主導 バンク主導 ノンバンク主導

(BPAY Pty limited)豪・ニュージーランドの銀行

らが出資した企業の子会社

(Early Warning Services)BoA、WF、JPMCらが

出資して設立

(Venmo)ベンチャー企業

のちにPaypalが買収

(Apple Payment inc)Appleの機能子会社

(Get Swish)スウェーデン主要行の他北欧の他国銀行が設立

(Tikkie)ABN Amro銀行が設立

(フランス主要3行)BNP、仏郵政銀行、

Societe Generaleが設立

(Paynow)シンガポール

銀行協会が設立

(Paylah)DBS Bankの

サービスの一つ

(Grab Financial Group)Grabのサービスの一つ

シンガポールで銀行業のライセンスを申請中

(Singtel)シンガポール通信最大手であるSingtelのサービスシンガポールで銀行業の

ライセンスを申請中

支払履歴(ソーシャル

ストリーム)の共有機能あり

iMessageを介した

送金機能あり

Eコマース決済の

チャット対応(WhatsApp)、音声での送金

(Siri)

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ③決済手段・口座

• P2P送金および決済は、政府および銀行主導のサービスにおいては銀行口座経由、ノンバンク主導のサービスにおいては独自のデジタルウォレット経由となる傾向が見受けられる。

• 銀行は既にある銀行免許の範囲内でサービス提供しているが、ノンバンクは新たなノンバンク向け法制や許認可を介して銀行口座に代わるウォレットを構築しサービス提供を行う傾向が見受けられる。

決済手段・口座種類

PayMOsko byBPAY

Zelle VenmoAppleCash

Swish Tikkie PaylibPAYNOW

Paylah GrabPay PayDash

P2P送金 P2P送金 P2P送金 P2P送金請求書分割払

オンライン決済

P2P送金決済

P2P送金P2B送金

P2P送金割り勘払P2B送金

P2P送金オンライン決済

店頭決済

P2P送金P2B送金

P2P送金 P2P送金決済

P2P送金決済

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

クレジット

カード

〇チャージ元(銀行未対応の場合)

〇決済

〇決済

〇チャージ元

決済

〇チャージ元

決済

デビット

カード

〇チャージ元(銀行未対応の場合)

〇決済

〇チャージ元

〇決済

〇チャージ元

決済

〇チャージ元

決済

銀行口座

〇P2P送金

〇P2P送金

〇P2P送金

〇チャージ元

〇デビットカードへチャージ

〇P2P送金

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

〇チャージ元

〇チャージ元

デジタル

ウォレット

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

〇P2P送金

決済

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ④利用手数料(個人向け)

• 対象サービスにおいては、全サービス原則無料となっているが、一部でクレジットカードを利用する場合、長期間サービス未使用の場合に有料となるケースが見受けられた。

• クレジットカードはカード会社への手数料負担、アカウント休止に伴う手数料は口座活性化といった背景が考えられる。

個人向けのサービス利用料(無料・有料)

無料のサービス 有料のサービス

【有料となるケース】クレジットカード経由の場合手数料あり

【各種手数料】①銀行口座への入出金:取引額の3%②ATMでの現金引出手数料:US$2.50③Instant Transfer:1%**最低US$0.25~最大US$10.00

【有料となるケース】クレジットカード経由の場合手数料あり

【各種手数料】約3%

【有料となるケース】⾧期間サービス未使用の場合、アカウント休止に伴う手数料が発生

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対象サービス 利用上限額 備考

£250/日(約3万円)

法人の利用可※法人はBarclays、HSBC、Santanderの3行のいずれかの口座のみ利用可※個人は15行の口座保有者が利用可

AU$2,000/日(約14.6万円)

法人の利用も可となる予定(有料の可能性あり)

US$1,000/日(約11万円)

法人の利用可法人の着金手数料:送金額の2.5%(min:US$0.25、max:US$600)

US$2999.99/週(約33万円)

左記上限額はID確認後のものID確認前はUS$299.99/週上限額は他Venmoユーザーとの送入金の合計額

US$3,000/件(約33万円)US$10,000/週(約110万円)

上限額は他ユーザーとの送入金の合計額

SEK10,000/日(約11.4万円)

1日限定でSEK150,000/日まで増額可法人の利用可法人は年間利用料とSEK1-2件の着金手数料あり

対象サービス 利用上限額 備考

€5,000/日(約60万円)

オンラインショッピングでの利用可(iDealを活用したTikkieのオンラインショッピングの上限額は€50,000/日)

€500/日(6万円)

SG$200,000/日

(約1,580万円)FASTの利用上限額が実質Paynowの上限額となっている法人の利用可法人の着金手数料:SG$0.20/件

SG2,000/日(約15.8万円)

上限額の減額可

SG$3,000/日(約23.7万円)SG$5,000/年(約39.5万円)

【プレミアムユーザー】SG$5,000/日SG$30,000/年

SG$1,000(約7.9万円)

ウォレットの上限残高がSG$1000

2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑤利用上限額

• サービスによって1件あたり・日次・週次・年次と利用上限の持たせ方は様々だが、概ね日次で利用上限額が設定されている。• 金額はPAYNOW(約1,580万円/日)のような例外を除き、概ね50万円以下/日で設定されている。

各サービスの利用上限額等1US$=110円、1€=120円、1AU$=73円、

1SG$=79円、1SEK=11.4円で計算

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑥エイリアス(IDの紐づけ先)

• スマートフォンでの利用を前提としたサービスという背景もあり、全サービス共通で携帯電話番号が紐づけ先となっている他、国民IDやSNS等様々なIDの活用が進んでいる。

• なお、自社サービスID以外でのID紐づけを行う際には、IDに応じたサードパーティの共通エイリアスを用いることになる。

PayMOsko byBPAY

Zelle VenmoAppleCash

Swish Tikkie PaylibPAYNOW

Paylah GrabPay PayDash

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

携帯電話

番号 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

国民ID 〇

〇外国人IDSingPassCorpPass

SNS/M

SS

/A

pp

ID

〇Facebook ID

〇Apple ID

〇WhatsApp ID

△(一部銀行)

〇Grab ID

〇Singtel ID

メール

アドレス

〇 〇 〇

生体

認証

△(一部銀行)

共通

エイリアス

〇Paym

〇Pay ID

ー自社基盤

〇Facebook

ー自社基盤

〇Mobile

Bank ID

〇自行基盤(他行展開)

〇STET

〇自社基盤(他行展開)

〇PayNow

ー自社基盤

ー自社基盤

銀行や銀行団体が構築したサービスでは、銀行IDをデジタルIDとして活用しているケースが見受けられる

SNSやソーシャルログインが発達した米国や、SNSと提携でサービス構築をしているTikkie(オランダ)では、SNS IDをデジタルIDとして活用しているケースが見受けられる

経済合理性を重視するスウェーデンや、国会戦略としてデジタル化を推進するシンガポールでは、国民IDをデジタルIDとして活用しているケースが見受けられる

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑦特色のある機能

• 各サービス共にP2P送金に加え、B2C・B2B送金など異なる人格への送金ができるケースも見受けられた。• ノンバンクの提供サービスでは送金に加えコミュニケーション機能を付帯するなど、差別化されているケースが見受けられた。

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

P

2P

送金 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

B

2C

送金 〇 〇 〇 〇 〇

B

2B

送金 〇 〇 〇 〇 〇

割勘

払い 〇 〇 〇 〇

支払

要求 〇 〇 〇

QR決

済 〇 〇 〇 〇

NFC決

済 〇 〇 〇

その他

〇-ソーシャルストリーム共有-即時送金(有料)

〇-iMessage経由の送信-Siri/AppleWatchでの操作-Apple Payとの連動

〇-WhatsAppのUX(メッセージング)を活用-オンラインショッピングで利用可

〇-オンラインショッピングで利用可

〇-タイの送金サービス「PromptPay」と提携予定

〇-Myinfo(刻印ID管理サービス)所有者であれば、Paylah未登録者にも送金可

〇-決済に応じれリワードポイントが貯まる-タイ、マレーシア等でも展開予定-ウォレット間国際送金を検討中

〇-海外での決済や、国際送金が可-電車等交通機関の支払が可-Singtel利用者以外での利用可

Venmo:支払・送金履歴を友人と共有し、SNSのような繋がりを構築している。Apple Cash / Tikkie:メッセージング機能による、相手側とのコミュニケーションが可能

他国の送金サービスの相互運用性や、国際送金など、ノンバンクの提供するサービスには独時色がそれぞれ見受けられる。

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑧リアルタイム性

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

即時 〇 〇 〇

〇(Instanttransfer)有料サービス

〇(デビットカード)

△(SCTInst)導入検討中

△(SCTInst)一部銀行間で即時開始

〇(Paylah)同サービス内に限る

〇(GrabPay)

同サービス内に限る

〇(PayDash)

同サービス内に限る

日次~数日

〇(ACH)1~3

営業日

〇(ACH)1~3

営業日

〇(iDEAL)取引の半数は同日中

〇(Paynow)同サービス

以外

〇(Paynow)同サービス

以外

〇(Paynow)同サービス

以外

備考

Instant Transfer:サービス対応の銀行口座、Visa・Masterのデビットカードでは1%の手数料で30分以内に着金可能

決済(デビットカード)と送金(ACH)で利用する決済NWが異なるため、各NWの処理頻度に依拠する

SCTinstが導入されれば即時化される

順次即時化に対応する銀行が増えてくる想定

• 政府ならびに銀行が提供するサービスでは、原則即時対応が為されている一方、ノンバンクの提供するサービスでは自社サービス内でのみ即時化されている等、利用しているインフラ(決済NW)による差異が見受けられた。

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑨コアシステム

• 全サービスの共通事項として、異なる事業体への送金を念頭に各国の決済NW(ACHやRTGS化されたとのもの)との接続が見受けられた。

• その他、ノンバンクの提供するサービスでは、自社サービス内での送金用に自社システム(勘定系システム等)を構築しているケースが見受けられた。

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

コアシステム

FPS(Faster Payment Service)

NPP(New

PaymentsPlatform)

銀行間NW

ACH(Automated Clearing

House)

メッセージング(iMessage)

送金(Green Dot

Bank)

決済:デビット

(Discover)

BiR(Betalningari Realtid)

equensWordline等

STET

FAST(Fast And

Secure Transfers)

Paynow

自社システム等

Paynow

自社システム等

Paynow

自社システム等

備考

今後RTPを採用する予定

Instant paymentSystemを中心に活用

Instant paymentSystemを中心に活用

Paynow:自社サービス外への送金で利用

Paynow:自社サービス外への送金で利用

Paynow:自社サービス外への送金で利用

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑩利用普及率(1/2)

• 各サービスが事業を展開する国の国民数に対するユーザ数を利用普及率とした場合、利用普及率の高い順にそれぞれ①PayNow(シンガポール銀行協会)、②Swish(スウェーデン主要行の他北欧銀行)、③Paylah!(シンガポールDBS Bank)、④Tikkie(オランダABN Amro銀行)、⑤Dash(シンガポール通信大手のSingtel)が並ぶ。

PayMOsko byBPAY

Zelle VenmoAppleCash

Swish Tikkie PaylibPAYNOW

Paylah GrabPay PayDash

英国 豪州 米国スウェー

デンオランダ フランス シンガポール

サービス

イン 2014 2018 2017 2009 2017 2012 2016 2013 2017 2014 2016 2016

国民数

66.4M(2018)

25.4M(2019Jun)

328.2M(2019July)

328.2M(2019July)

900M(iPhoneユーザ)

10.3M(2019Dec)

17.3M(2019)

65.3M(2019)

4M(2019)

4M(2019)

4M(2019)

4M(2019)

ユーザー

数4.4M

(18Q3)N/A

27.4M(2018)

22.8M(2018)

383M(ApplePay)

7M(2019)

5M(2019)

1.2M(18Q2)

2.8M(2019)

1.6M(2019)

N/A0.5M

(2018)

利用

普及率

6.6% N/A 8.3% 6.9% 43% 68% 29% 1.8% 70% 40% N/A 12.5%

取引件数

8.5M(18Q3)

(通年試算)

70M(2018)

743M(2019)

N/A N/A363M(18Q3)

N/A N/A60M

(2019)(通年試算)

SG$1.5BN

(2019)N/A N/A

取引量

N/A$46.8BN(2018)

$122BN(2018)

$64.2BN(2018)

N/A N/A N/A N/ASG$12BN(2019)

(通年試算)

1.6M(2019)

N/A N/A

Apple Cashは、国民数=全世界のiPhoneユーザー数、ユーザー数=全世界のApple Pay利用者数となるため、例外として扱った

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2-1.世界のモバイル送金の普及動向(4)調査結果詳細 ⑩利用普及率(2/2) ※P8、9参照

• パターン①銀行群主導 :サービス提供者(連合)×コアシステム運営主体(連合)=PayNow、Swish• パターン②銀行×ノンバンク/銀行群主導:サービス提供者(単体)×コアシステム運営主体(連合)=Paylah、Tikkie、Dash

№ 導入国 シンガポール① スウェーデン シンガポール② オランダ シンガポール④

2サービス提供者

シンガポール銀行協会

スウェーデン主要行

DBS Bank ABN AMRO銀行 Singtel

3決済手段・

口座

銀行口座 銀行口座 デジタルウォレット 銀行口座 デジタルウォレット

8

コアインフラ

FAST BiR DBS内振替PAYNOW

IP CSM 自社システム等PAYNOW

運営主体

NETS➡大手銀行群による出資

Bangirot➡スウェーデン銀行群が保有

PayNow➡NETS

equensWordline等➡デジタル決済処理プラットフォームの開発会社であるワールドラインの子会社

自社システム等➡初期は2014年にStandard Chartered Bankと共同でDashを立ち上げ

9リアル

タイム性

即時 即時 Paylah同士:即時 取引の半数は同日中 PayDash同士:即時

10

利用普及

国民数:4M(2019)ユーザー数:2.8M(2019)

➡70%

国民数:10.3M(2019)ユーザー数:7M(2019)

➡68%

国民数:4M(2019)ユーザー数:1.6M(2019)

➡40%

国民数:17.3M(2019)ユーザー数:5M(2019v)

➡29%

国民数:4M(2019)ユーザー数:0.5M(2018)

➡12.5%

連合 連合

連合 連合

単体

連合

単体

連合

単体

連合

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(システム)2-2.諸外国における決済システムの動向

調査報告書2「海外決済システム編」

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目次

1. 事業の実施方針等

1-1.事業実施の基本方針、業務内容等 P.3

2. 各調査報告書2-1.【調査報告書1】世界のモバイル送金の普及動向 P.6

2-2.【調査報告書2】諸外国における決済システムの動向 P.23

2-3.【調査報告書3】我が国における決済システムの動向及び海外との比較 P.91

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)本章の説明

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

X (事項の年月)

(会議名やレポート名をなるべく、原文の表記で提示した)

(事象の主体となった組織名称等を記載)

(事象について、簡潔に事柄を記載)* 必要に応じて、詳細を後段にまとめた

(即時決済システム、その国の決済システム全般への影響等をポイントとして記載した)

必要に応じて、当該オブジェクトに補足内容を追記した

• 本章においては、各国(地域)の決済システムの高度化に向けた動向を中心に記載した。

• 特に、「決済システムの高度化に向けた議論の起こり、端緒」、「国家的な決済システム戦略」、「それらの議論の場(Council)の構成」といったものを時系列を追いながら記載した。

• また、これらの議論の背景となる関連する事象についても、同様に記載した。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(1/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1985年 APCSの改組 NA 決済システム全体を統括する上位組織として、決済システム提供者(Bacs、CHAPS、C&CCC)※よる自主団体へ改組された

一義的に業界団体が自主規制を行い、決済システムの規制を持つ形になる

2 2000年3月

クルックシャンク・レポートの発表

The Bank Review 財務大臣から「銀行業におけるイノベーション、競争、効率性」に係る調査依頼を受けたもの

既存大手銀行の寡占化による決済サービスの競争とイノベーションの不足、即時決済システムの必要性、決済分野の新規制当局の必要性を示唆した

銀行業界以外の民間団体の意見が、決済サービスの提供と運営に反映されていないことが浮き彫りとなった

3 2001年7月

ジュリアス・レポートの発表

消費者向け銀行規約グループ

財務大臣が「消費者向け銀行規約グループ」に対して「ベーシックアカウント」、「ATM手数料二重徴取問題」、「手数料関係の情報開示」など、銀行の自主規約(バンキング・コード等)について調査を依頼した(2000年)

消費者の利益を促進するため12の勧告が行われたものの、「銀行サービスには危惧されてきた消費者の不満はなく、マーケットは競争的になりつつあり、自主規約の機能は評価できる」と結論付けた

クルックシャンク・レポートの指摘がトーンダウンする

当該国の背景

英国においては、銀行業界における競争やイノベーションの不足が、長年にわたり問題視されてきた歴史がある。また、即時決済(送金)システムの早期の導入を果たしており、既に次期システム構想に着手している。

クルックシャンク卿を座長として組織された委員会

クルックシャンク・レポートを受け政府が設置した調査グループディアン・ジュリアスが座長を務めた

APACS:Association for Payment Clearing Services1985年に英国の銀行によって設立された協会で、英国での決済および海外送金を管理していた

※:Bacs:Bankier’ Automated Cleaing ServicesCHAPS:The Clearing House Automated Payment System C&CCC:Cheque & Credit Clearing Company

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(2/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

4 2003年5月

UK payment systemsによる再調査

OFT(公正取引庁)

クルックシャンク・レポートから期間が経過したため、改めて当時から変化した競争環境を調査した

決済システムの将来としては「EUの決済システムの進展に影響を受ける」ことを示唆しつつ、以下観点での指摘を行った フロートコスト:

着金時間の誤差による無利子コスト銀行間の無利息期間(利息の滞留)

決済システムの料金と直接/間接接続の問題:消費者に不利益をもたらしておらず、個々の銀行におけるコストが大きい

イノベーション:中央システムとサービスエンドでのイノベーションを示唆。モバイル決済の隆盛を予想

モバイル決済の隆盛に備えたイノベーション促進の重要性を示唆した

5 2003年11月

Pre-Budget Reportの発表

財務大臣 翌年春の予算案に先立ち、政府の政策の方向性を打ち出すことで、重要な論点について国内議論を喚起する役割を担った

レポートでは最終的に、以降4年間、OFTが決済システム強化の役割を担うことを表明した

クルックシャンク・レポートでの専門組織設立がトーンダウンした

6 2004年3月

Payments system Task forceの設立

OFT Pre-Budget Reportを受け設立されたタスクフォース 構成:消費者、企業、政府、決済事業者の代表者 オブザーバー:中銀、財務省の代表者 人数:約15名

OFTに決済システム改革を担うタスクフォースが設置された

7 2005年5月

First annual progress report of the Payment Systems Task Force

OFT タスクフォースの4年間の任の1年目 BPSL Innovation Working Group(タスクフォースが

設立)が公表した調査報告書を基に、決済システム業界に即時電子決済(Faster Electronic Clearing)の導入を提言した

政府主導で即時電子決済導入の提言がなされた

企業等の取引に係る法令順守を監視し、違法行為に対し法的な措置・処分を行うその他、独禁法、企業合併、企業の公正取引の確保に係る法の履行と共に、消費者保護への監視も行っている

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(3/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

8 2006年5月

Second annual progress report of the Payment Systems Task Force

OFT タスクフォースの4年間の任の2年目 電子銀行取引に対応した即時決済の実現を目指すと

して即時決済スキーム導入議論が完了した 「the BACS Access and Governance Working Group」

が公表した報告書(2006年2月)を基に、ハイレベルで、決済システム市場全体のガバナンス機関の設立(及び同機関の下の体制整備)を提言した。

同機関は、主に決済スキームにおけるイノベーション促進を管轄することとなる

即時決済スキームの議論が完了した

9 2007年2月

Final report of the Payment Systems Task Force

OFT タスクフォースの最終報告書 銀行業界が2007年中の導入を提言していた即時電

子決済サービス(FPS)がスケジュール通り完成した(2007年11月)

その他、小切手のクリアリング回数を増やすこと(2007年11月)で、スコットランド、北アイルランド等、他の英国地区との小切手決済の遅延が改善されたことが挙げられている

即時電子決済サービス(FPS)が完成した

10 2007年3月

Payments Councilの設立

Payments Council 【構成員】 各種システムスキーㇺ・オペレータ(Bacs、FPS、

C&CCC、LinK等)【立場】 業界団体であり、APACSの後続にあたる OFTによる「FPSのために新たな自主規制団体が必

要」との提言により設立

クルックシャンク・レポートでの専門組織設立がトーンダウンした・ APACSが「Payments Council」に改組したもの

2015年には、モバイル決済サービス「Paym」、当座預金口座切り替えサービス(CASS)の実装を主導した。業界団体(Payments UK)の前身でもある・ APACSとPayments Councilとの違いは、スキーㇺ・オペレータ(標準等を決定する主体)とインフラ・プロバイダ(決済処理自体を実行する主体)に参加主体が分離する流れとなり、 Payments Councilはスキーム・オペレータが中心となり参加しているもの

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(4/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

11 2008年 FPSの稼働開始 OFT FPS(Faster Payments Service)の稼動により 24時間365日で即時決済が可能となる

FPS稼働開始と同年に金融危機が勃発した

12 2009年3月

ターナー・レビュー FSA(金融サービス機構)

金融危機後、他国に先駆けた金融規制改革に乗り出した「同国での改革の必要性や検討すべき課題の骨格」を提示

先の金融危機の原因を「信用仲介における複雑かつ高レバレッジでリスクの高い証券化による」とした

対応策の1つとして「ユーティリティ・バンク」と「インベストメント・バンク」の分離を取り上げ、論理的に明快で相応の支持を得ていることを指摘しつつも、今日の複雑な経済の中での実行可能性や、実際にリスク低減に資するかは明らかではないとした

金融規制改革に係る議論が開始された

13 2010年5月

政権交代発生 保守党(保守党・自由民主党の連立政権)

銀行の業務範囲におけるより踏み込んだ対応を掲げて選挙戦が進行した

【旧】労働党政権下:(by ターナー・レビュー)・リテール銀行の分離論は実現可能性を疑問視・自己資本規制や流動性規制による対応を提言

【新】保守党(公約):(ヴィッカーズ・レポートの基)・ボルカー・ルールの国際的な導入を訴求・自由民主党(主張):預金取扱銀行と投資銀行の分離

政権交代により金融規制改革の方向転換が図られる

1997年より金融機関の監督を行ってきたが、2013年4月より健全性規制機構(通称:PRA)と、金融行為監督機構(通称:FCA)に分割され、ツインピークス体制と呼ばれる新監督体制に移行した同時に、主にシステミックリスク対応を目的とした金融安定政策委員会(通称:FPC)がイングランド銀行(BoE)内に設置された

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(5/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

14 2011年9月

ヴィッカーズ・レポート

独立銀行委員会(委員長:ヴィッカーズ)

金融分野における「安定と競争の促進に向けた構造改革」を目的として発足した(2010年6月)・大手銀行への新たな競争勢力を生むべきである・銀行口座間の乗り換えを容易にすること・競争政策を金融規制の中核に据えること・新設されるFCAは競争政策を主たる任務とすること

Part1:金融安定促進・銀行のリテール業務を、ホールセールや投資銀行業務から分離(いわゆるリテール・リングフェンス)を提唱した・金融危機の結果、銀行業界の寡占度が更に高まっていることを指摘した

Part2:競争促進既存銀行からの乗り換えコストが高く、商品比較が簡単ではないという背景から、決済口座を別の銀行に乗り換えることが少ない事実を指摘した

金融安定化と競争促進に焦点があてられる

15 2012年7月

議会銀行規律委員会の設立

議会銀行規律委員会

同年に発覚したLIBOR不正問題を議論するために設立された

16 2012年12月

金融サービス法成立

政府(財務省、BoE)

FSA(金融サービス機構)を解体した上で、BoE内に下記の機関を設置した 健全性監督規制機構

・PRA:Prudential Regulatory Authority・金融機関の健全性監督を担う

金融行為規制機構・FCA:Financial Conduct Authrority・金融危機の反省を踏まえ、消費者保護、金融市場のインテグリティ確保・改善、消費者利益に適う市場の効率的な競争を担う

金融安定政策委員会・FPC:Financial Policy Committee・金融市場全体の健全性を担う

金融危機の反省を踏まえ、金融行政の抜本的な改革を実施

Parliamentary Commision on Banking Standards

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(6/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

17 2013年3月~10月

Opening up UK payments

政府 英国の決済システム規制とガバナンスを改革するため、民間事業者を含め広く意見を募集した・既存銀行やカード会社等は、新たに専門組織の設立等を求める声をあげた・チャレンジャーバンク、少額決済事業者、テック企業、エンドユーザーグループ企業は、FCAが上記改革を担うことを支持・2014年後半までに新組織(PSR)を開設、2015年4月には本格始動することとなった

PSRの設置により、民間事業者を交え幅広く決済改革の議論を図ることとなった

18 2013年6月

議会銀行規律委員会による報告書の発表

議会銀行規律委員会

銀行の役職員の責任を問う必要性等に加え、銀行を巡る競争問題への提言も行われた。・P2P(マーケットプレイス)レンディングやクラウドファンディングが銀行と同等に競争できるようにすること・銀行間での口座を移管しやすくすること・金融規制当局の競争上の役割の強化

19 2013年12月

金融市場(銀行改革)法の成立

政府 ヴィッカーズ・レポート、議会銀行規律委員会の報告書を盛り込んだ金融市場(銀行改革)法が成立した

なおPSRの活動内容は同法によって規程されている

20 2014年4月

Payment Systems Regulator(PSR)の設置

FCA(BoE内) 主体:BoE傘下のFCA、そのFCA傘下の当局(PSR)

所管:・決済分野に競争とイノベーションをもたらすため、銀行業の決済分野全体を管轄・Payments Councilの”規制”機能を継承➡ 純粋業界団体の機能はPayments UKが担う

※この後、スキーマ・オペレータの集合体としてのガバナンス機能は(後に設置される)NPSOが管轄していくこととなった。(NPSOは次頁を参照)

PSRが決済分野の競争とイノベーション促進を管轄する

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(7/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

21 2015年10月

Payment Strategy Forum(PSF)の設立

PSR PSRが民間団体との意見交換を図るために設立し 主体:

PSR(決済システム監督当局)が招集 構成員:

決済業界の専門家 24名 会議運営:

「Payment Community」と共に開催

Payment Strategy Forumの会議を基に、競争とイノベーション促進に向けた決済改革が開始

22 2016年11月

A Payments Strategy for the 21st Century

PSF(PSR) PSFが「21世紀に向けた決済戦略」を公表した 概要:エンドユーザーニーズの特定 機能:R2P・EDIの実装、支払時の「口座残高、支払先

口座の誤認、支払進捗」の確認 セキュリティに対する信頼性向上 競争促進を目的としたアクセスの簡素化 NPA構想

・既存システムではなく新決済機構を導入する・シンプルな送金機能/その他機能はレイヤーとする

NPSO(New Payment System Operator)構想・Bacs、FPS、C&CCCのスキーㇺ・オペレータを統合し、NPSO(Pay.UK)を組成すること

各決済システムの統合ガバナンス機関NPSO(Pay.UK)の下、新決済機構(NPA)を導入し、シンプルで効率的な決済の実現を目指す

23 2017年7月

Blueprint for the future of UKpayments

構想:PSF(PSR)取組:NPSO(現Pay.UK)

新決済機構(NPA)導入に係るシステム統合アプローチを明示した・Bacs、FPS、小切手システムの統合・レイヤードアプローチ(アーキテクチャ)の採用

スキーㇺ・オペレータはNPSOへ集約(非競争)とする代わりに、オペレータを固定化させない(競争)という市場性を導入することとした

*構築に向けたスケジュールの詳細は後段の参考ページに記載

新決済機構(NPA)導入に係るシステム統合のアプローチ方法(新システムではなくアーキテクチャーの構築)が明示される

「Payment Community」について対象者:・消費者、企業、政府、規制当局、銀行、チャレンジャーバンク、フェンテックなど幅広い決済に関心のある有識者・300名超~500名超(2016年)の幅広い決済関係者群

NPA構想:基本機能を絞ることで、既存のシステム更改の遅延性や参加者からのコンセンサス確保の手間を回避した

オペレータの品質担保:FPS等インフラとして重要なシステムは、「調達」などの方法で規制を設け、オペレータが有象無象にならないよう留意する。* NPSOが当該システム・サービスに対して公共性や重要度に応じた段階的な「認定」を付与し、認定に基づき調達を行う

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• 新決済機構(NPA)導入では、既存の3システムを新システムに統合する方法が取られた。

2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№23.Blueprint for the future of UK payments 2017の概要

NPA導入に向けた該当スケジュール(2017年時点)*

FPS

Bacs

ICS

Clearing & Settlement

Overlay Devlopment

既存システム

NPA

NPSO G

ovnance

Rules & Standards

Accreditation

Comms

Legal

CBA/Funding

Ring-Fencing

BoE RTGS

Open Banking/PSD2

Oth

er

稼働延長

移行~稼働

政府の取組み

政府の取組み

稼働

稼働

政府の取組み

閉塞

閉塞

閉塞

2025

調達~構築~テスト

2017 2018 202420232022202120202019

稼働延長

稼働延長

稼働

政府の取組み

政府の取組み

オーバーレイ開発

Clearing & Settlementカットオーバー

ICS契約満了

規制

支援

支援

Bacs契約満了

FPS契約満了

*:このブループリントは2017年時点での内容であり、2020年現在とはスケジュール等異なるものが含まれていることを留意

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-1:イギリス(8/8)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

24 2017年9月

NPSOの設立 PSF(PSR) スキーマ・オペレータの統合に伴い、2018年5月、NPSOがBacsとFaster Paymentsの運営者となった

25 2019年6月

Future of Finance BoE:カーニー総裁対応者:ヒュー・ファン・ステニス(総裁のシニア・アドバイザー)

本レポートでは、技術革新や人口動態変化、気候変動などが経済に及ぼす影響と金融部門が果たすべき役割を整理し、BoE の課題と取るべき対応策を論じている

なおBoEへの提言は3分野9つの提言に分かれている

【レポート概要】(分野①:デジタル経済への貢献)1.明日の決済システムを作る2.現代的な金融インフラにより技術革新を可能にする3.基準とプロトコルを通じてデータ経済を支援する

(分野②:経済の重要な移行を支援する)4.金融のグローバルな基準を支持する5.低炭素経済への円滑な移行を推進する6.変化する人口動態の需要に適応する

(分野③:金融の強靭性を増強する)7.変化するリスクから金融システムを守る8.サイバー・リスクへの防御を強化する9.デジタル規制を取り入れる

中銀(BoE)の下、各規制当局※が一丸となることで、決済分野の競争とイノベーション促進がより一層図られている

※BoE傘下の競争市場庁(CMA)や決済分野の競争促進を図るPSR、FCA、CMAなど

決済システム関連

次ページで詳細を記載

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決済システム関連

• Future of Financeでは、今後の経済の変化が金融業界にどのような影響を与えるのか、それに対して金融機関がどのように対応していく必要があるのかを、 3つの分野、9つの提言として取りまとめている

2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№25.Future of Financeの概要①

経済はどのように変化しつつあるのか?

そうした変化は金融業界にどのような変化をもたらすのか?

それは銀行にとって何を意味するのか?

デジタルへのシフト

プラットフォーム経済

ギグ/シェアリング経済

ビッグデータ

自動化と機械学習

新興市場経済の統合

低炭素経済

人口動態の変化

ビジネスモデルのアンバンドリング

サイバー犯罪

新しい法律と規制

技術による効率化の改善

アプローチと推奨事項の概観①

分野①デジタル経済への貢献

分野②重要な移行の支援

分野③金融の強靭性の増強

明日の決済システムを作る

現代的な金融インフラによる技術革新を可能にする

基準とプロトコルを通じてデータ経済を支援する

変化する人口動態の需要に適応する

変化するリスクから金融システムを守る

サイバーリスクに対する防御を強化する

デジタル規制を取れ入れる

1

2

3

金融のグローバルや基準を支持する

低炭素経済への円滑な移行を支援する

4

5

6

7

8

9

図13 各種FoFアイコン

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• 9つの提言の内、決済システム関連は主に「1」「2」で詳細が語られている

• 内容は、多岐に渡る決済バリューチェーンに対する効果的な監督の確保、プラットフォームと決済事業者間のデータ共有、より安価なクロスボーダー決済等、多種多様な観点が揃っている

2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№25.Future of Financeの概要②

それは銀行にとって何を意味するのか?

アプローチと推奨事項の概観②

明日の決済システムを作る

現代的な金融インフラによる技術革新を可能にする

基準とプロトコルを通じてデータ経済を支援する

変化する人口動態の需要に適応する

変化するリスクから金融システムを守る

サイバーリスクに対する防御を強化する

デジタル規制を取り入れる

1

2

3

金融のグローバルや基準を支持する

低炭素経済への円滑な移行を支援する

4

5

6

7

8

9

安全・高耐久・高イノベーティブであり、個人/法人が低コストで使える信頼できるシステムが必要

1. 決済の選択肢を増やすためのロードマップ作成① 中銀の下、各監督当局と共に新会議体の設立(PSR/FCA/OBIE/CMA)② 民間部門オプション検討:

現金支払モデルの持続可能性の改善(スウェーデン、オランダに類似する「ユーティリティ」分配モデル)

③ FCA/PSRが、より「速く、安く、広く普及」しているP2P送金及び銀行間決済(特にモバイルアプリを利用するもの)のハードルを検証(PSD2トランザクションの適切な料金設定も実施)

2. 次世代の決済規制への貢献① 複数の規制当局によるレビューを推進

・リスクに対する規制の枠組の適切性(多様な企業、支払)・支払バリューチェーン全体の効果的な監督の確保・プラットフォームと決済事業者間のデータ共有の役割・英決済業界における断片的/複雑な規制の改善

3. クロスボーダー決済を安価かつ効率的に行うインフラ① 中銀は以下を実行

・拡張されたメッセージング標準と共通識別子を導入する・クロスボーダー決済の決済事業者がアクセス可能なオープン化・BIS等と共に、より効率的で安いクロスボーダー決済の追求・デジタルトークンについて他中銀と共に広い相互運用性を探る

現代の金融システムの改善によるイノベーション促進

1. 決済システムはイノベーション促進と耐久性の向上を可能にすべく、利便性、コスト、スピード、セキュリティなどにおける改善が必要

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(1/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1996年 Debt Collection Improvement Act

連邦政府 連邦政府による電子支払への移行の起点となるのは、1996年に成立した同法に遡る

同法では、1999年迄に税金還付を除く連邦政府としての全支払を電子化することが規定され、この規定に関する条約はEFT(Electric Fund Transfer)99と呼ばれている

1998年当時の財務省の最終規定にいては、銀行口座を持たない人々に対する電子支払の自動適用は除外するとされ、小切手による支給が継続されることとなった

米国の電子決済の歩みは1996年の政府支払の電子化から始まった

2 2002年 大手行によるCash Edgeシステム導入

CitiBank、BoA 大手行がCashEdgeシステム(米国のシステムインテグレータ)を導入し、オンライン送金サービスを開始

オンライン送金サービスの開始

3 2008年6月

Direct express(政府支払プリペイド)導入

財務省Comerica Bank(準大手地銀)

財務省は公的給付の支払先をこのGPR(汎用リローダブル)プリペイドカードとすることで、銀行口座を持たない人々への電子支払を可能とした

ミシガン州の準大手地銀であるComerica Bankが財務省と独占契約を結んでおり、MasterCardブランドが付与されている

カード発行手数料や月間利用料、残高照会手数料の他、銀行や信用組合の窓口での現金引き出しも無料、ATMでの現金引き出しも1回/月までは無料となっている

さらに利用者に対する金融教育プログラムも提供している

プリペイドカードを介して政府➡個人への電子支払が進んだ

その後のプリペイドカード発展の流れ:・その後法改正で小切手給付廃止措置がとられた-2011年:新規受給者NG(以前の受給者のみ)-2013年:給付の完全電子化

・政府が各州にも電子化を要請、一部税還付も電子化・銀行口座保有者でもプリペイドカード使用者が増加

当該国の背景

米国は、決済分野のフィンテックの台頭* を踏まえ、諸外国の事例を基に決済システム改革を進めている。* Venmo(Paypalが買収)、AppleのP2P送金(Apple Cash)など米国では元来、セトルメントサービス、クリアリングサービス等のレイヤで民間(大手行中心)のTCHと中央銀行としての立場であるFedがサービス供給者として市場に存在していた。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(2/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

4 2008年 QuickPay導入 JPMChase JPMChaseが内製で送金サービス(QuickPay)開始 Chase Net(Visaが開発したサービスを他社名義で使

用できるようにした所謂 “ホワイトラベル”版)で安価な手数料による決済が可能となった

ローンチ当初は自行に口座を持つ人同士でしか利用できないサービスだったが、送り手、受け手のどちらか一方がJPMCの口座を保有していれば使えるようになった

民間銀行によるモバイル送金サービスの導入

5 2009年12月

PopMoney導入 CashEdge(大手行採用のシステムベンダー)

メールアドレス、電話番号を利用したモバイル送金サービスを提供開始

エイリアス(メールアドレス、電話番号の活用)によるモバイル送金サービスが導入された

6 2010年7月

ドッド・フランク法制定

連邦政府 金融危機を受けて金融安定化/消費者保護の強化に向けて新たに6つの編(Title)からなる法律が制定された

この6つの編の内、第Ⅰ編「2010年金融安定法:Financial Stability Act of 2010」により金融安定監督評議会(FSOC、各監督部局の長を評議員とするマクロプルーデンス監督組織)や消費者金融保護局(CFPB、FRBに付属する独立部局)が設置された

また、システミック・リスクの観点から金融市場ユーティリティ(DFMU)上の重要なシステムとして、FSOCによってペイメント・クリアリング・セトルメントシステムが挙げられており、CHIPS等の認定されたシステムに対する監視・規制に係る制度を強化することとなった

金融危機を踏まえた金融法の制定を経て、CHIPSが重要なシステムとして認定され、監視・規制の対象となった

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(3/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

7 2010年8月

FedACHの「SamedayACH」提供開始(オプション)

Fed 送金の着金まで数日かかるFedACHに対し、同日着金可能な「SamedayACH」サービスを提供開始

当該サービスはオプションとしてサービス開始したが、機能が限定的であった。(参加行は当時100行弱)

銀行口座送金の迅速化が促進された

8 2011年 ClearXchange事業開始

BoAWells FargoJPMChase(3行による共同出資)

新ペイメントNW構築の為に各行が出資の上で合弁事業を立ち上げたもの

徐々に参加行が増えることで、他銀行間でも利用可能なモバイル送金サービスとなった

参加行増加・送金のリアルタイム化の流れ:2013年:・First Bankが参加2014年:・Capital Oneが参加2014年:・PopmoneyがリアルタイムP2Pを開始・US Bankが最初に採用2015年:・US Bankが出資および参加2015年:・Early Warning SystemがClearXchangeを買収し、サービス統合される2016年:・ClearXchangeがリアルタイムP2Pを開始・US BankとBoAが最初に採用し、同年JPMChase、Wells Fargo、Capital Oneも採用

複数銀行間で利用可能なモバイル送金サービスが登場

Early Warning Systemについて:BoA、JPMChase、Wells Fargo、BB&T、Capital Oneが共同出資した不正検知サービスを提供する企業

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(4/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

9 2012年8月

SamedayACH提案

NACHA 当時ACHは翌日決済という状況であったが、NACHAがSamedayACHを標準とすべく業界内に提案した

これに対して独自のネットワーク構築能力を有する大手行及び大手行を中心に構成されているTCHはコストに見合う収入が得られないとして反対を表明した。逆にACHに依存せざるをえない小規模銀行は賛成を表明した

結果、本提案は採択に必要な全体の2/3の賛成を得られず否認されることとなった

銀行業界全体における銀行口座経由の送金サービスに関する迅速化の検討が開始された

10 2012年10月

Fed Financial Service Committee議長のスピーチ

Fed Fedがより効率的で即時性の高いシステム構築に向けて、「パートナーかつカタリスト(触媒)」として乗り出すことを英国等の事例を挙げながら宣言した

Fedが英国など諸外国の事例を踏まえた即時決済システム構築の検討を開始した

11 2013年4月

「Sameday ACH」要請書の提出

ICBA:中小銀行協会(コミュニティバンク協会)

2012年8月のSameday ACH否認を受け、ICBAがNACHAに「Sameday ACH」の要請書を提出した(Same-Day ACH, An Opportunity for Leadership)

Fedの取組みを後押しするべく、ICBAによる要請書が提出された

12 2013年9月

Payment System Improvement-Public Consultation Paperによる意見募集(パブリックコメント)

Fed 10年後までに実現すべき決済システムの模索 特定のネットワークの参加者だけではなく、「誰も」が、

「いつでも」ほぼ「リアルタイム」で「相手の口座番号等を知らなくて」も送金できることを重視

利便性が高く、コスト効率的で、タイムリーなクロスボーダー送金の実現、高いセキュリティ等について検討し、さらにエンドユーザーを含む広い意見募集を実施した

Fedが即時決済システム構築に係る意見を民間を含め広く募集

NACHAについて:米国の金融機関が参加する非営利の決済業界団体であり、1974年に地域谷でのACHの取組を統合する目的で設立された

エンドユーザーを含めた広い意見募集の実施:①全米各地でタウンホールミーティングを開催、②関係者との1対1のミーティング(数百回)、③エンドユーザー向けアンケート調査の実施、④海外10ヶ国の事例調査等、⑤各種の関連調査、等

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(5/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

13 2014年10月

即時決済構想発表(The Clearing House to Undertake a Multi-Year Effort toDesign and Develop a Secure, Real-Time Payment System)

TCH 前年のFedの構想発表に応じるもの “リアルタイム決済システムによって実現するメリット

"を列挙• 利便性:既存の口座からオンライン/モバイルバンキングで消

費者同士が直接決済可能にする• 口座データのプライバシーと使い勝手の良さ:送金/受取人の

口座情報なしでの送金※ 自動引落に利用不可能なトークンを使用

• コスト削減:手数料や時間のコストの少ない、”より良い効率的な決済”(手数料の高い送金、小切手支払や締切直前の請求書払い等と比較して)

• 確実性: 送金/受取人はリアルタイムで送金の通知を受ける。即時決済確定により組戻し決済のリスクが除去される

• 安全性:送金/受取銀行は、既存顧客との契約関係をベースに認証を行うため安全性が確保

• キャッシュマネジメント:リアルタイムの送金/受取が可能であることで、消費者はキャッシュフローの管理しやすさが向上。資金繰りに苦労している中小企業や消費者にとって特に重要となる

FedNow構想にTCHが応じ、システム構築に動き出した

14 2014年11月

”Sameday ACH”の修正案提示

Fed Fedが手数料が高すぎると意見を表明

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(6/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

15 2015年1月

Strategies for Improving the US Payment System発表

Fed 米国の決済システム改革の戦略について5つのポイントを中心にまとめた

• ①Collaboration(協業促進)• ②Efficiency(効率性)• ③Security(堅牢性)• ④International(国際送金の効率化)• ⑤Speed(決済の即時化)

*詳細は後段の参考ページに記載

Fedが構想上の戦略を広く世間に示した

16 2015年4月

2つのTask Forceを設置

Fed ①Faster Payments Task Force• 目的:サービス面の検討• 構成員数:320人超 (2016年時点)• 構成は次のエンティティの各代表者:テクノロジーソリューション企業、決済ネットワーク運用企業、(大~小規模の)金融機関、決済利用企業、消費者団体、政府、産業貿易団体、その他

②Security Payments Task Force• 目的:セキュリティ面の検討• 構成員数:180人超 (2016年時点)• 構成は次のエンティティの各代表者:NACHA、不正送金・サイバーリスク防止の関連機関、ノンバンクの決済事業者、及び①と同様の種別のエンティティ

17 2015年5月

”Sameday ACH”正式承認

NACHA 手数料問題について当初の手数料よりも低い水準の手数料となったため、全体での承認を行うことができた。 (FedACH については同年9月に参加行に“Sameday ACH”の使用を義務づけた)

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№15. Strategies for Improving the US Payment System(1/2)

カテゴリ これまでの達成事項 課題・展望 新たな戦略とアクションアイテム

Collaboration(協業促進)

• 2つのTF(FPTF、SPTF)の設置、運営(合計400前後の組織が参画)

• BPC(500メンバー)、ISO20022 Stake Holder Groupの支援

• 決済関連イベントへの積極的参加を通じた多面的な情報収集、米国における課題や可能性の認識

• 業界全体の負担(コスト、時間)の削減に向けた戦略の必要性

1. 米国の決済システム高度化に向けた業界連携の促進① 決済高度化に向けたインタラクティブ且つフレキシブルなFedPayments

Improvement Communityへの参画を継続的に推進– コミュニティを通じた協議テーマ等の情報発信、WG、Request for input等

の周知、オンラインコミュニケーションツールの充足– 個別TF、WGの活動期間に関わらず、一貫した情報提供や経過のトラッ

キングなどを可能にするコミュニティの形成② FPTFによる有効性基準、SPTFによる決済セキュリティフレームワーク等、ス

テークホルダーのコラボレーション成果の普及促進活動

Efficiency(効率性)

• ISO20022の導入推進(ユースケース、ロードマップ策定支援等)及び移行に向けたマッピング情報、ガイドライン、導入計画の策定

• B2B決済の電子化促進を目指す業界コラボの支援(Business Payments Coalition(以降、BPC)と共同で小規模ビジネス決済キットの提供等)

• 米国における電子請求書の導入効果、導入に向けての課題に関する調査

• 決済プロセス全体の電子化に向けた長期的な業界連携の必要性

• 将来的には、FPシステムなど革新的な決済サービスの台頭により、包括的な電子化(効率化)が加速する見込み

2. 国内決済プロセス全体の効率化の実現③ ビジネスの各種決済手続のエンド2エンドの電子処理を可能にする業界の取

組(標準の策定、導入推進)の支援– 既存の電子請求関連の標準をカタログ化し、米国市場向けに電子請求

書相互運用フレームワークを策定するBPCの取組を支援(3年間のPJ)– 電子XMLビジネスドキュメントの標準に関するライブラリ構築に向け、主

要な標準化団体と連携・調整– 業界による送金データの標準化に向けた取り組み、及び広範導入に向け

たロードマップ策定の支援、助言

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№15. Strategies for Improving the US Payment System(2/2)

カテゴリ これまでの達成事項 課題・展望 新たな戦略とアクションアイテム

Security(堅牢性)

• SPTFの設置、セキュリティ関連の課題抽出や優先順位付け、FPTFとの連携

• 主要な決済手段とライフサイクルの文書化、不正リスク共有データソース一覧の公開等

• 決済セキュリティフレームワークの策定• Fedの不正情報レポートへの提言、不正情報

の収集改善に寄与

• 短期で投資回収が見込める領域ではない。常に進化する環境ではゴールはなく、業界全体の継続的・長期のコミットメントが必要

• 民間による取組のフラグメント化

3. 不正リスクの逓減、安全性、セキュリティ、レジリエンシーの強化④ 決済システムにおけるセキュリティの脆弱性分析、改善方法の検討、進展の

阻害要因に関する調査支援⑤ 特定の脆弱性にかかるコストや発生可能性の低下を検討する業界WGの設

置・参画

International(国際送金の効率化)

• SwiftのGPIサービス向けにFedwireの機能を一部拡張する等、民間の特定のクロスボーダー決済イニシアチブの支援

• 民間金融機関及びノンバンクによる消費者向け決済サービスの発展

• クロスボーダー取引特有の要件(AML、サンクション等)への準拠性の確保

4. クロスボーダー決済の高度化に向けた取り組み⑥ クロスボーダー決済の適時性・コスト効率性・利便性向上の課題・機会の抽出

– 関係者とともに、現行のクロスボーダー決済の状況やあるべき姿とのギャップを理解するための戦略を構築、導入する

– 民間のFPやセキュリティのクロスボーダー課題検討体への参画

Speed(決済の即時化)

• FPTFによるFP有効性基準の策定とそれに基づく外部評価の実施

• 共同セトルメント口座開設に関する方針発表• 民間によるFPサービス設計、提供開始、デジ

タル通貨、DLTの活用の検討• ACHによる同日決済開始(2016年秋)2017年

9月より、ACHによる同日引き落としも開始

• 健全に機能するFPエコシステムや周辺サービスの確立に向けた、業界全体の継続的な連携の必要性

• ガバナンスフレームワークの確立

• Fed主導による包摂的なコラボレーションの促進

5. 安全、ユビキタス、迅速なFP導入に向けた業界の取り組みの支援⑦ ICWGをはじめとする業界の協力連携体勢の構築・推進

– 2017年後半、更に3つのワーキンググループを設置予定(ルール・標準、ディレクトリ、規制)。各領域の基礎調査を実施予定

⑧ ユビキタスな即時決済環境を支えるセトルメントサービスの構築– 稼動時間の拡張等、業界の需要調査実施予定

⑨ セトルメント領域以外でFedが提供することが望ましい関連サービスの検討– Fedのサービス提供方針に基づく潜在的サービスの調査

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(7/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

18 2016年1月

即時決済システムのクライテリアが発表

FPTF(Faster Payments Task Force)

即時決済システムに必要な要件について6項目の軸から表明。同年2月に意見集約され、確定。

①ユビキタス性、②効率性、③安全且つ堅固、④即時、⑤法制、⑥ガバナンス…ここでのクライテリアの概念はベースのシステムから、他国で言う”オーバレイ“の部分や、同システムに完全に内包されない部分も指している

具体的な即時決済の議論について、国内の意見を収集し検討が進められた。

この段階では「どのエンティティが次世代の即時決済システムを供給するか」が明確に決定しておらず、他国と比べ、議論が広く汎用性をもって進められている

19 2016年1月

“ショーケース”の募集

FPTF クライテリアに合致しそうな”ソリューション”(システムの基幹/オーバーレイに関わらず)を広く募集した

それぞれの”ソリューション”が有効か否かを判断**有効か否かの判断のみで、最終的に実装するかは別とした。4/30の締切りまでに20件以上が集まる→内22件が初期的レビュー、さらに内19件が追加レ

ビュー、さらに内16件が公表

20 2016年9月

SamedayACH(phase1)始動

NACHA Fed(FedACH)、TCH(ACH)を対象としてSamedayACHが始動

21 2017年①1月②7月

①FINAL REPORT PART ONE ”THE FASTER PAYMENTS TASK FORCE APPROACH ”公表②PART TWO ”A CALL TO ACTION”公表*

①、②FPTF ①ここまでの検討の背景/過程 についてまとめられた

②各国のシステムはインターオペラビリティの欠如を課題として持ち、単一のプロバイダーが決済サービスを提供することで解決してきたことに対し、アメリカは、クライテリアを満たす複数の競合する決済ソリューションが生まれ、複数のインフラで同一目的の決済システムが提供される「マーケット・ドリブン・アプローチ」を採用して、これを解決していける、との考えを示した。

*詳細は後段の参考ページに記載

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(8/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

22 2017年7月

“包括的なプリペイドカード(アカウント)規則”の制定

CFPB(消費者金融保護局)

銀行/FinTechのP2P送金アプリも含む「プリペイド」アカウントの規制が制定された。(銀行口座のように使われるプリペイド金融商品についての消費者保護を念頭にした行為規制が同様のようには存在しなかった)

アメリカ国内のプリペイド商品が重要なインフラであることが見受けられる

23 2017年9月

Reserve Next Steps in the Payments Improvement Journeyの発表

Fed FPTFの議論、Sameday ACHを受けて、Fedとして2015年の戦略を更新→5つのカテゴリに分類される9つの戦略を示す。

*詳細は後段の参考ページに記載

Fedはカタリストとしての表現から、より実行者としての立場への転換を果たす(この段階ではまだクリアリングシステムの構築までには至っていない。)

24 2018年4月

ガバナンス機関についての意見募集

GFFT GFFTが次期決済システムのガバナンス組織設立に向け、意見募集した

…目標:「時間や場所の別に関わらず、安心且つ安全な即時送金を2020年までに可能とする」こと

方針:インターオペラビリティの確保やサービス提供者の参加促進に注力

25 2018年11月

FPC(US Faster Payments Council)の設立

FPTF 4月の意見募集を受け、正式にFPCが設立された エンドユーザー(消費者、企業、政府/地方政府)、金

融機関、決済ネットワークオペレーター、テクノロジー・プロバイダー、その他業界団体、標準設定団体、コンサルタント、学識知見者、規制当局者で構成

不正情報、当事者間コミュニケーション、教育、規制、越境、テクノロジーといったワーキンググループを保持した

米国に本格的な官民協議会が幅広いエンティティを交える形で設立

GFFT(FPTFの組織、Governance Framework Formation Team)・ペイメントシステムのガバナンスフレームワークを検討するチーム・FINAL REPORT PART TWO ”A CALL TO ACTION”の“ガバナンスフレームワーク”に該当

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№23. Federal Reserve Next Steps in the Payments Improvement Journey

№ カテゴリ 戦略

1 スピード…安全で、ユビキタスで、より高速な支払い機能を実装

①「Fedと業界が共同で望む成果とFPTFのビジョン」を達成する即時決済エコシステムを開発するための暫定的な共同作業グループ等の尽力を支援する

②ユビキタスな即時リテール決済環境の将来のニーズに対応するFedの決済サービスを追求 ③サービスプロバイダーとしてのFedの関与の必要性を調査/評価し、決済サービスを提供するだけでな

く、即時決済エコシステムで、産業界が望む結果の達成をサポート

2 (システムにおける)セキュリティの確保… 不正行為のリスクを低減し、決済の安全性、セキュリティ、回復力を高めるように努める

④決済セキュリティの脆弱性を分析し、それらを軽減するための潜在的なアプローチを評価し、進捗を妨げる可能性のあるアプローチの不整合を特定

⑤コスト削減及び特定の普及している決済システムの脆弱性の除去のためのアプローチに焦点を当てた産業横断ワークグループの設立と参加

3 効率性…国内決済のエンド2エンドの効率を向上させる

⑥企業の請求書、決済/送金情報のエンド2エンドの電子処理を可能にする基準を開発し、その採用を促進するための業界の取組を支援する

4 インターナショナル…国際送金/決済の適時性、費用対効果、利便性の向上に尽力

⑦利害関係者を巻き込んで、国際送金/決済の適時性、費用対効果、利便性といった課題と機会を理解し、評価する

5 コラボレーション…決済改善のためのイニシアチブについて、利害関係者と積極的に関与する

⑧決済改善の取り組みにおけるステークホルダーのエンゲージメントを、インタラクティブで柔軟な決済改善コミュニティによって促進する

⑨改善点や取り組みを確認し、認知度を高め、採用を促進するためのアウトリーチと教育活動をさらに推進しています

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(9/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

26 2018年11月

Potential Federal Reserve Actions To Support Interbank Settlement of Faster Payments, Request for Comments の公表

Fed 以下の旨についてFedが表明し、パブリックコメントを行った

• ノンバンクのサービス提供で即時決済が24/365でエンドユーザーに既に提供されている

• エンドユーザーは「柔軟な資金管理」、「延滞ペナルティ等の回避」等が即時決済から享受できる

• それらをFedとしてもサポートしていくため、銀行間決済を24/365にできる「セトルメントサービス」を開発することとした

→ 上述の旨についてパブリックコメントを行ったところ、「Fed自身がクリアリングも含めたサービス提供をすべき」との声が多く集まった

”A CALL TO ACTION”でのセトルメントサービス開発とFedの役割について調査した結果、Fed自身がクリアリングも行うシステムを提供すべきとの声が集まった

27 2019年7月

ICBAがFedに対し、大手行基準の即時決済システム運用等についての申入れ

ICBA(中小行協会) ICBAはRTPの検討委員会などに参加していたものの、料金構築上の「最大手金融機関に有利なボリュームディスカウントなしでのRTPの運営」という事前公約を既に撤回し、大手行に有利な状況に遷移した

併せて、大手行はFed自身が即時決済システムの任を担うことについて、RTPを利用すればよいという旨のロビー活動を行っており、これについて、ICBAは「大手行の独占である」と主張

以下のような点からFedによる即時決済システムの導入を進めるよう主張

• TCH側のシステムでは国内のユビキタス性が担保できず、中小銀行へのサービス提供実績も存在しない一方、Fedのシステムはこれまでの実績がある

• 国内に2つのシステムが存在することが市場に選択肢と競争環境を生むことになり、民間のシステムに問題が生じたときのバックアップともなる

大手行独占の形を危惧する中小銀行群からFednowの重要性について再度主張があった。

なお、後にICBAはRTPとFednowのインターオペラビリティ確保についても申し入れを行っている

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-3:アメリカ(10/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

28 2019年8月

Federal Reserve Actions To Support Interbank Settlement of Faster Paymentsの公表

Fed FedNowについて以下のような具体的な機能性を提示(併せてここまでの議論やパブリックコメントの内容を取りまとめ)

FedNow【RTGSでクリアリング機能を兼ね備えたシステム】• 24時間365日、リアルタイム(数秒以内)の処理を可能にする

クリアリングとセトルメントを兼ね備えたシステム※初期の制限:2万5,000ドル

• FedNowが2023年~2024年に利用可能になると予想• 中銀口座でのファイナライズ• 現在のFRBのサービスと同じ条件の下、24時間365日ベース

で日中の流動性を提供。• ISO20022標準に準拠し、FedLine接続を介したアクセス…支払指示、確認、支払要求など、さまざまなメッセージタイプ

をサポートする。特定の支払いまたは請求書に関連する送金またはその他の情報の交換もサポートする。

• 参加金融機関がサービスプロバイダーを指定し、支払い指定の送信または受信を可能とし、当該銀行の口座での支払い決済を可能

• 料金についてはサービスが開始前に、理事会はサービスの料金体系と料金スケジュールを発表。一般的な市場慣行に基づき、アイテムごとの手数料と、固定参加手数料の組み合わせが含まれると想定。将来提供される可能性のある他のメッセージタイプに対して、アイテムごとに個別の料金が請求される可能性も想定。

各方面から随時民間サービスとの市場競争上の問題がないかを確認

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№21. FINAL REPORT PART TWO ”A CALL TO ACTION”

№ カテゴリ 内容

1 ガバナンスと規制 ① 正式なガバナンスフレームワークの確立。 ※後のFPC(US Faster Payments Council)② 以下の点を実現する「ルール、基準、および要件のベースライン」の確立。

・ 安全かつ信頼性の高いクロスソリューションでの支払いを可能にする、迅速な決済システム・ タイミング、料金、エラー解決、責任に関する特定の主要機能において、エンドユーザーが予測可能性と透明性を確保すること

③ 即時決済の特性に合致しているか、「決済及び決済サービスプロバイダーに影響する」法律規制を評価。

2 インフラストラクチュア ① ディレクトリサービスを用いて相互運用性を確保することを目的とした迅速な決済を遂行する解決手段の構造(設計)を開発すること。

② Fedに対して、24/7のセトルメントサービスの開発を要請する。③ Fedに対し、「ユビキタス、競争状況、即時決済の公平なアクセスをサポートするためにFed自身が行動

する必要性」について、役割の模索と、評価をするよう要請。

3 持続可能性と進化 ① 決済システムの安全性とセキュリティを継続的に向上させることを目的とした不正行為の検出・報告・情報共有の方法の開発

② 広範な領域に即時決済が導入されることを支援するためのアドボカシーと教育プログラムの作成③ 米国の即時決済構築に資する即時決済実装時の障壁やギャップの発見・対処の海外事例調査④ 新興技術の研究を継続し、サービスを受容できないエンドユーザーや、ユースケースへのサービス提供の可能性を含む、「それらが齎しうるリスク」と「齎しうる利益」についての理解を深めること

結論

実行の要請 ・ 「エンドユーザーや金融サービスのイノベーターであるか」、「これまでにこの取組みに参加したことがあるか」に関わらず、決済高速化のビジョンの現実化のために、協力を要請

以下のような方法でこの取組みを支援してほしいと考える。①ビジョンとクライテリアを受け入れ、推進すること②進行中の即時決済の議論に積極的に参加すること③ワークグループの取組みと成果物に貢献すること

・ 2020年までに自国の組織をより迅速な決済に対応させるためのステップを踏みたいと考える

• 米国の即時決済システムを開発するためのコラボレーションを推奨しており、「ガバナンスと規制」、「インフラストラクチュア」、「持続可能性と進化」という3つの主要分野から作業を開始することを推奨する。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-4:スウェーデン(1/5)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1988年 The SverigesRiksbank Act制定

政府 「Riksbank(中銀)は安全で効率的な支払いシステムを促進する」という役割が規定された

中銀の決済システムの監督だけでない発達促進の側面が法律によって規定された

2 1990年 RIXシステム(中銀システム)始動

RIKS BANK RIX(大口RTGS)は1998年12月31日まではスウェーデンクローナのみ対応していたが、EMU(欧州通貨統合)への参加に伴い、1999年1月1日にユーロを共通通貨として導入したことから、スウェーデンクローナとユーロの両方で決済が可能となった

RIXシステムは、2つの並列だが別々のシステムで構成されている

• K-RIX:ユーロでの決済のためのシステム• E-RIX:スウェーデンクローナでの決済のためのシステム

RIXはESCBのTARGET(現在のTARGET2の前身)とこの時接続していたものである

スウェーデンはユーロ非導入国であるが、当初はEU全体のシステムを受け入れる環境/素地が整っていた。

(近時、ユーロ非導入国であるものの、TIPSを採用することを検討しているもの)

当該国の背景

スウェーデンのキャッシュレス化は、政策的推進ではなく、“Market Driven Process”による民間の事業体主導で発生したもの。 ITリテラシーの高さ、バブル崩壊後の疲弊した銀行間の一定の協調といった背景を基に、社会インフラが運用性が高い状態で実装された。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-4:スウェーデン(2/5)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

3 1992年 Exchange and Clearing Operations Actの制定

政府 金融取引が行われる取引所または市場の認可を規制に関する法律が制定された

セトルメントサービス(決済のファイナリティを与えるサービス)を行う機関は、RIKS BANK又はこの法律に従って認可された機関(スウェーデン金融監督庁など)によって、この法令による許認可を得ることができるようになった

民間会社においてもセトルメントサービスを行える可能性の法制が整備された

4 1999年~2000年

BangirotとPostgirotの統合不成立

Bangirot、出資銀行等

出資銀行がBngirotとPostgirot(スウェーデン内国郵便為替)の統合を試みたところ、競争庁(KKV)から、「市場に2つのシステムを残すべき」として統合させなかったもの

その後Postgirotは、Plusgirotと名前を変え、Nordea銀行のシステムとなっている

国内の公正競争政策は守られながら決済システム改革が続いた

5 2002年9月

Financial ID-TeknikBID AB 設立

銀行群 電子証明書の一般的なインフラストラクチャを開発する目的で、スウェーデンの主要銀行のほとんどが参加するコンソーシアムが形成され、BankIDの基礎となる同社が結成

翌2003年からBankIDが始動 スウェーデン国内の国民ID(個人識別番号)と個人識

別番号に氏名・電子証明書を統合 電子納税申告などの行政サービス、インターネット

バンキングやeコマースなど民間サービスで幅広く活用されており、国内で広く普及BankIDを紐づけることで、政府関係の手続を行っていたIDが民間での使用頻度を高める契機となり、エイリアスとしてマッチングされた

DigitalID基盤の創出に早期に着手した

Bangirot主にスウェーデンの銀行群によって1959年に設立された会社。銀行間の取引が紙ベースで行われてきた頃から、銀行間の為替等の取引を処理してきており、ACH機関でもある。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-4:スウェーデン(3/5)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

6 2000年中盤

現金取り扱い減少にむけた動き

国内労働組合 強盗の発生などを理由として、公共交通機関、銀行業、加盟店の労働組合は、ロビー活動を通じて現金の扱いを削減

7 2011年6月

モバイルBankID開始

Bangirot、出資銀行等

携帯電話とタブレット向けにリリース 前年にSIMベースのモバイルBankIDがリリースされ、

この年に、データベースへ認証をしにいくタイプのモバイルBankIDが誕生

国内の携帯電話等の普及、ITリテラシーの高さと合わさり、DigitalIDかつエイリアスインフラとしての実用性が高まった

8 2012年11月

BiR始動 Bangirot AB 民間機関が運営する即時決済セトルメントシステムが稼働(RTGS)

BiRは、銀行や決済機関向けにサービスを作成するためのプラットフォームであり、オープンインフラストラクチャであるが、Swishモバイルアプリでの決済を念頭に設計されてる

複数のタイプの支払いサービスを接続できる汎用サービスである

Swishのためのセトルメントシステムを民間銀行群出資企業が提供した

9 2012年12月

Swish始動 Get Swish AB 銀行間共通の単一のモバイル送金インターフェースであると同時に、クリアリングシステムとしての側面を併せ持つ(セトルメントはBiRを使用)

同国の市場規模を鑑み、過当競争を防止する目的で主要各行の協業で構築された

2014年以降は企業間送金にも利用可能となり、2015年以降は Eコマースでの利用も可能

国民IDと銀行口座が紐づいたBank IDで個人認証し、KYC済の携帯電話番号をエイリアスとして活用する

共通システムを早期に導入して銀行間の分断を防いだ

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-4:スウェーデン(4/5)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

10 2012年 現金輸送会社の破綻

現金輸送会社Panaxia

小売店から売り上げの現金を集め、銀行口座に収める仕事(いわゆる現金輸送会社)であるPanaxiaが倒産した

数百万クローナ(数千万円)の現金が行方不明になったことから同社には詐欺容疑がかけられた※同国は山がちで現金輸送コストが高い

金融機関に加え、民間人、事業者がより現金取扱の社会的コストについて認識を強くする契機となった

11 2018年 現金取り扱い義務法案を提案

RIKS BANK内委員会

2018年 中銀委員会が銀行に対する現金取り扱い義務法案を提案した

一部銀行への義務を強いる側面や、中銀の現金貯蔵庫23か所を閉鎖し、現状1か所しかないことには触れず(民間の現金非使用の要因の1つ)

現金離れが進み過ぎたため法案を提案するも、現実のインフラは効率化が進んでしまっているもの

12 2019年6月

MastercardとP27 Nordic Payments Platformのパートナーシップ発表

Mastercard北欧主要行

北欧市場全体でリアルタイムおよびバッチ支払いを提供するパートナーシップ“P27 ”を発表した(北欧諸国横断で主要行が連帯)

この投資プログラムで構築される基盤(インフラストラクチャ)は、このパートナーシップが確立する最初のステップであり、その後、プラットフォームに基づいてさらに一般的な製品とサービスを開発していく

他の北欧諸国も早期からモバイルP2P送金が浸透しているもの

二次大戦以降、北欧理事会として早期から連帯していた背景を有する

13 2019年9月

「金融機関が現金サービスを取り扱う義務について」法案(Skyldighet förkreditinstitut atttillhandahållakontanttjänster)

— 2021年目途に法制化予定

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-4:スウェーデン(5/5)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

14 2019年10月

P27:主要なベンダとの契約を締結

北欧大手行 基盤構築に向けて多数の主要な契約を発表している

株主協定への署名、事業計画への合意の他、今後2021年(サービスローンチ予定)に向けて必要なすべての費用をカバーする財政的コミットメントを行った

15 2019年11月

RIX systemの更改におけるTIPSの採用方針を表明

RIKS BANK RIXでの即時決済を可能にする考えを表明した TIPS導入は一からシステムを構築するよりも安価で

あり、元からユーロ以外の通貨を取り扱う機能を有していた

プラットフォームがスウェーデンのセキュリティ要件を満たしているかを確認する

新サービスの利用開始は2021年を目指す

TARGET2非採用国がTIPSを採用する動きとなった

セトルメントシステムにおける即時化を試みるケースとなる模様

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(1/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1996年 単一パスポート制度の導入

欧州政府 EU国内で取得した免許(銀行等)は他国で使用可能となった

金融における規制上の重要な要素“免許/許可”が連帯的になった

2 1999年1月

TARGETの稼働 ECB EU内各中銀を結ぶ共同大口決済システムが導入された・ESCBの金融政策を円滑に遂行するためのインフラ整備(ESCBの行う金融調節に関する資金決済については、必ずTARGETを通じて行うこととなる)・EU域内のクロスボーダー決済をRTGSベースで行うための安全かつ信頼できるメカニズムの提供・EU域内のクロスボーダー決済の効率性向上

一方、TARGET自体はNCBのRTGSシステムを繋ぎ合わせるものであるため、以下の不満/課題が発生した・ECB:各国から収集する情報が均質でない・NCB:コスト高の自国RTGSシステムのコスト軽減にならない・各国の銀行:TARGET利用料が国によって異なる

€投入に先駆けて、各国中銀を結ぶ共同の大口決済システムが導入された

当該国の背景

EUは、①他経済圏との競争上の観点、②EU内の内部分裂を防ぐ観点から、ECBを中心に統一的な共通決済インフラ(インフラ規格)を構築してきた歴史がある。

ECB:EU(EC)中銀NCB:各国中銀ESCB:ECB+各NCB

当時はEC(欧州共同体)

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(2/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

3 1999年5月

Financial Services Action Planの採択

欧州委員会(European Commission)

単一通貨(ユーロ)導入先としての単一金融市場構想に向けた行動計画を採択した

3つの戦略目標と42の行動計画を提示(決済に関係するものを以下に転記)

なお本Action Planは、EUの基幹となる経済戦略「リスボン戦略」(2000年)の中でも重要な計画とされた

戦略目標1:単一EUホールセール市場

戦略目標2:開放的で安全なリテール市場・決済にかかわる単一市場に係る委員会通達・決済システムにおける詐欺、詐害行為を回避するための委員会行動計画

戦略目標3:最高レベルの健全性規則及び監督 体制

・電子貨幣指令についての提案の採択

経済戦略上重要な金融行動計画中ににおいて、決済の重要性が明記された

その後の”SEPA構想”の基礎が確立された

4 1999年9月

Improving cross-border retail payment servicesの発表

ECB ECB(Eurosystem)がEU(EC)圏内のリテール決済において、非効率性があるため、特に“決済の標準化”においてカタリスト(触媒)となることを表明した

そのために(銀行等の)決済業界に目標を示した①ユーロ開始に向けたシステム/サービスの準備②(圏内の)越境送金を優先していくこと③②の料金の低下④国内及び越境送金の時間短縮⑤越境送金は、原則、支払元が費用負担すること⑥越境リテール決済のシステムへのアクセスを開放すること⑦既存の標準※を可能な限り早く実装すること※ECBSの定めた標準

ECB(Eurosystem)が銀行業界リテール決済(送金)の標準/規格統一を強く促した

これにより実質的な銀行業界への“SEPA構想”に対する対応要請を行った

“cross-border retail payment”:・ここではEU域内のリテール送金を指している

ECBS(欧州銀行基準委員会1992年~2006年):・各種銀行群が結成していた業界内標準を定める業界団体。後のEPC(欧州決済協議会)に機能移管

欧州委員会:EU(EC)の行政当局

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(3/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

5 2002年6月

EPC(欧州決済協議会:Euro PaymentsCouncil)設立

欧州各種銀行群 ECBや欧州委員会の動向を受けた銀行業界がSEPA構築に向けて協議会を設立し、当初約40行の代表的な銀行が参加した

設立に先立って公表された「Euroland: Our Single Payment Area!」では、以下の8項目を示した上で、2010年を目標に「SEPA:統合された決済市場(単一ユーロ決済圏)」の構築を目指すことを表明した

SEPA構築に向けた4つの“ステップ”①現状の理解/認識の確認②動向を収集し、目標を作成/共有③実行的な銀行への推奨事項の設計④ステークホルダーとの合意形成

SEPA構築に向けた4つの“角度”⑤国内/越境決済の明確な区別⑥SEPAに関する共通のビジョンの創発⑦今後の野心的な行動計画⑧適切なガバナンス構造とロードマップの作成

統合された決済市場としての”SEPA構想”が始動した

6 2002年10月

“The long-term evolution of TARGET”の発表

ECB 次期TARGET(TARGET2)の構成を周知し、EUの“単一プラットフォーム型システム”として、既存のTARGETの問題点を解決していくことを表明した

ECBが初の本格的な共通システムの構築に着手した

7 2005年4月

(SEPAに係る)ロードマップ2004年-2010年の“追承認、宣言”

EPC* SEPA規格(スキーム)を始めとしたロードマップが提示、その後同年中に各種SEPA規格のガイドライン(初版)が策定された・2004~2005 スキームの設計と準備・2006~2007 実装と配備・2008~2010 プログラム管理や規制当局、議員、

ロビーグループの関係とコミュニケーションなどの平行共存期間と段階的な規格の採用

*EPCは250人以上の専門家が関与する開発プログラムを管理

EPCによってTARGET2構築に向けた具体的なロードマップが策定された

SEPA規格には多様な規格が用意された

欧州各種銀行群:・欧州は銀行の種別ごとに業界団体を組成。→商業銀行連盟(EBF)、貯蓄銀行協会(ESBG)、協同組織銀行協会(EACB)EBA(欧州銀行協会、1985年~):・EC等の支援で市中銀行18行等から組織された協会であり、現在は前述の3協会及び有力銀行によって構成される汎欧州の銀行組織

・2004年12月に初回の承認を行っていたものの追承認・SEPAの規格には送金規格(SCT)以外にも自動引落やカード決済などの規格もラインアップされた

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(4/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

8 2006年9月

EACHAの設立(欧州ACH協会)

ACHが非公式に行ってきた会合を正式な協会として設立したもので、設立目的としてACH間の連携を掲げる際「SEPA標準」の議論といった点を明記した

”SEPA構想”が始動

9 2007年11月

PSD(決済指令)の成立

①各国決済市場の統合、②規模の経済と競争上の社会全体における決済コスト削減に期待し、“統一EU決済サービス市場の創出”を目的とし施行された

決済サービス提供者間における競争の促進・参入障壁除去および公正競争条件の確保・「決済サービス事業者(Payment Institution)」の創設:

「PSP(PaymentServiceProvider)」の一類型であり、共通の規制要件を規定した

PSPが提供する情報の透明性向上 PSPの情報提供義務が付加される項目の共通化 PSP‐利用者間の権利義務関係の明確化/共通化

・無権限取引*のPSP-利用者間の損失分担ルールを規定

”SEPA構想”達成に向けて、競争概念を取り入れることが法施行で示された

10 2007年11月

TARGET2の始動 ECB 汎EUとしてのRTGSプラットフォームが始動した

TARGETに参加していたイギリスとスウェーデン(非ユーロ採用国)がTARGET2からは離脱した

汎EUとしての大口決済システムが稼働したが、一部の(ユーロ非採用)国が共同システムから離脱した

EBA(Clearing)とEACHAの関係性:・ EBAClearing:EU内銀行のSEPA規格における共通利益を担っているEBAの決済機構(→最初期から汎EUの概念に依拠)・ EACHA:STET(仏)やequense(蘭)といった大手決済機関の連合体で、equenseをハブとしたACH間のバイラテラル接続を提供

PSP(Payment Service Provider)の例:・銀行等(Credit Institution(於:銀行規則、免許制))・電子マネー事業者(Electronic Money Institution(第二次電子マネー指令上、免許制))

*無権限取引とは:紛失/盗難カードや暗証番号の不正利用により、無権限の他人が行った支払取引等を指す

2008年5月に、TARGETからTARGET2への完全移管が行われた

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(5/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

- 2009年12月

リスボン条約の発効 EU政府 EUの活動実行面での発足

11 2010年3月

Europe 2020 Strategyの発表

欧州委員会 リスボン戦略に続く、EU全体の経済戦略の発表に伴い、“5つの主要目標”と“3つの優先項目”について具体的数値が示された

5つの主要目標:①就業率、②研究開発投資のGDP比、③温室効果ガス排出削減、④教育水準、⑤貧困削減

3つの優先項目: 1.知的な経済成長

A:イノベーション、B:教育、C:デジタル社会「高速インターネットの展開を加速、世帯・企業のデジタル単一市場の成果を上げる」

2.持続可能な経済成長D:気候変動、E:エネルギー、F:モビリティ、E:競争力

3.包摂的経済成長G:雇用、H:技能、I:貧困撲滅

EU全体の経済戦略の中で、デジタル単一市場が優先戦略に掲げられた

12 2010年5月

A digital agenda for Europeの発表

欧州委員会 Europe 2020 Strategyにおける“デジタル社会”の在り方についてイニシアティブが発表された

このイニシアチブにおいて、紙ベースの商取引を、電子請求書発行などの(標準化された)デジタルソリューションに置き換えることで、ビジネスプロセスの合理化を目指すことが示された

EUのデジタル戦略において、商取引の合理化の文脈で決済のデジタル化が語られた

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(6/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

13 2010年6月

SEPA評議会発足(SEPA Council)

ECB、欧州委員会 SEPA実現に向けて需要/供給双方の主要利害関係者間の合意形成を促進するために発足した

主にモバイルチャネルの使用に焦点を当てているがP2P送金ではなく、非接触決済等がメインとなる 需要側

消費者団体、小売業団体、経済団体、中小企団体、EU行政

供給側EPC、EACB/ESBG/EBFの各代表、ACH*、NCB*当初は指名は無く、後段で参加した

SEPA構想において、公的組織(ECB/欧州委員会)が中心となり初めて需要側を招集した

14 2010年7月

モバイル決済のホワイトペーパーを発表

EPC SEPAにおけるモバイルを起点とした決済概要である。主にモバイルウォレットについて概要説明を行っているが、こちらでは非接触取引(対面/非対面の両方)をカバーしている

その後2012年2月に第2弾が発表され、そちらではモバイル決済の仕組みも説明している

英国やスウェーデンといった先行事例が存在することもあり、モバイル構想が構想の早い時期から取り込まれていった

15 2013年12月

ERPB発足 ECB SEPA Council比で、より正式な組織として意見集約の場が設置された。立ち位置はECBの諮問的組織であり、議長等はECBが務めた

需要側:消費者団体、小売業団体、EC事業者団体、経済団体、財務担当者団体、中小企業団体

供給側:EPC、EACB/ESBG/EBF各代表、決済機関団体、Eマネー事業者団体

その他、オブザーバー:欧州各国の行政/中銀、オブザーバー:欧州委員会

ECBがより主体的に検討/意見集約を行う体制を構築した

後に、本機能はECBの諮問機関であるERPB(2013年10月)が機能代替

ERPB:Euro Retail Payments Board

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(7/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

16 2014年12月

ERPB会議における「即時決済に関する声明」の発表

ERPB P2Pモバイル決済は、即時決済の成否が大きく影響することから、ERPBは”他経済圏のソリューション”を念頭に、市場断片化を回避するために、「EU内全PSP(ノンバンク含む)が利用可能な、ユーロ使用の1つ以上の汎欧州即時決済ソリューションの必要性」について合意した

声明のポイント 採用する基礎スキーム(カードスキーム、クレジット転送な

ど)、クリアリングシステム、セトルメントタイプの別は不問とする

「サイロ」なアプローチは不採用とする:・インターオペラビリティを欠く即時決済は提供しない

「レイヤード」アプローチの必要性:・第1層:決済手段、第2層:クリアリング、第3層:セトルメント

SEPA標準の積極的な採用:・欧州決済市場上、断片化されることを回避する

ECBがSEPA検討について、より主体的に検討/意見集約を行う体制を構築した

17 2015年1月

即時支払タスクフォースの設置

EBA Clearing(EU銀行協会のビジネス部門、ACH)

欧州全域のサービスユーザー代表者(20人超)が参加し、汎欧州でPSP間インフラを提供するにあたってのロードマップ(2015年〜2018年)を作成した

併せて、同インフラの概要要件を示すブループリントを作成した

汎EU小口決済システムをリリース済であるEBAは、単一プラットフォームでの提供を目指すためのロードマップを作成した

18 2015年2月

汎ヨーロッパ即時決済におけるオープンフォーラムの始動

EBA Clearing 55のPSPから77人の代表者の他、テクノロジープロバイダー、その他の利害関係者が参加した

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(8/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

19 2015年6月

EPC Report to the ERPB on Instant Payments の公表

EPC(EPC Ad-hoc Task Force on Instant Payments)

2014年12月ERPB会議でEPCが求められたアセスメントに対する回答となる

このレポートでは、他国の即時決済、P2Pアプリのデスクトップ調査を実施した結果が纏められている

SEPA即時決済の具体的な機能:・支払/受取人のニーズに依拠する

即時決済が齎す発展性を提示:・特にP2P、P2Bで「現金と小切手を削減」し、e/モバイルコマースの決済を促進する可能性

PSPの新たな金融商品の開発可能性を示唆:・即時決済インフラを端緒に、顧客により良いサービスを提供し、新規顧客を引き付ける可能性

*詳細は後段の参考ページに記載

EPCが早期からモバイル決済について検討していた知見がERPBを介して提示された

2014年12月のERPB会議での(EPCへの)要請事項:

“供給側”に、「次回ERPB会議で表明する汎ヨーロッパ即時決済ソリューションの問題」のアセスメント*を依頼した*需要側との緊密な協力、潜在的なスキーム開発者としてのEPCの積極的な関与の観点から

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(9/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

20 2015年6月

ERPB会議における「即時決済に関する声明」の発表

ERPB No.19のEPCのReport提出後の声明であり、以下の点を表明した 基盤となる決済スキームに関係なく、即時決済は、汎ヨー

ロッパ/国家規模で開発されるべきである 他ソリューションと相互運用可能でなければならない EPCに対して、ERPBにユーロでのSCTinstの設計案を提示

するよう要請した(2015年11月までに) 2015年7月~11月の期間で、EPCにSCTinstの開発に必要

に応じてガイダンスを提供するため、WGを組成する ERPBは、既存/将来のローカルモバイルP2Pソリューション

が協力して、汎ヨーロッパを確実にすることを期待する 相互運用性確保についてEPCが促進するよう要請

ERPB(ECB)として、即時決済は「汎ヨーロッパ/国家規模」かつ「相互運用が可能でなければならない」との構成式声明がでた

21 2015年11月

PSD2の採択(2018年までの国内法化)

欧州委員会 PSPのサービスに接続する事業者について、新たに規制の枠組みを整備したもの

なお、PSP-PASP/AISP間の情報連携における機密性向上については、欧州銀行当局(EBA)とECBの間でルール(基準)を策定することとなっている

①「決済指図伝達サービス」提供者:(PISP:Payment Initiation Service Provider) 利用者の依頼により、PSPに開設されている利用者の決済

口座に係る決済指図を伝達するサービス

②「口座情報サービス」提供者(AISP:Account Information Service Provider) 利用者が、PSPに開設されている1つ又は複数の決済口座

の情報を統合して提供するオンラインサービス

PSPのサービスを拡張する事業者の法制を規定した

決済サービス事業者の範囲がシステムに直接接続しない範囲にまで拡大された

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(10/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

22 2016年2月

RT1のプロバイダの選定

EBA Clearing ソリューション開発に対するユーザーのコミットメントを求めるにあたり、ユーザーコミュニティでの呼びかけを行った結果、SIA(イタリアの事業者)が即時決済システムRT1の開発ベンダーに選定された

RT1のプロバイダが決定された

23 2016年4月

即時決済システムRT1の開発着手

EBA Clearing EBA Clearingが汎欧州の即時決済システムRT1開発に着手した

これにあたり、SEPA全体で40近くの資金提供機関の支援を受け、新たに設立された即時決済プロジェクトWGを通じて、システム設計、機能、インターフェース仕様の構築に着手した

24 2016年9月

The next steps in the evolution of the Eurosystem’smarket infrastructureの公表

ECB Eurosystemの市場インフラの進化に関する次段階を提示したもので、具体的には以下3つのコンポーネントの次世代開発に関する戦略的な考察を提示した<対象コンポーネント> TARGET2とTARGET2-Securities(T2S)の統合 即時決済をサポートする決済サービス(TIPS)の

提供 Eurosystemの担保管理システム

なおEurosystemは、即時決済のリアルタイム化に向けて、決済サービスにおけるサブセットの営業時間を最大24/7に延長する必要性に関して、市場参加者と調査を開始することを決定した

ECBが「即時決済をサポートする決済サービス」としてTIPSを提供することに着手した

25 2017年12月

RT1の始動 EBA Clearing EBA ClearingがSCTinst標準のインスタントペイメントを稼働させた

初の汎EU即時決済システム稼働が開始した

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(11/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

26 2017年11月

Standardized Proxy Lookup (SPL) serviceの規格公表

EPC 2016年から議論されていた、モバイルP2P決済の断片化を防止する目的で、SEPA標準のエイリアス確認サービス規格を公表した

モバイル決済の断片化を防止するための取組・規格が公表された

27 2018年10月

SMART2における2つのメモの公開

SMART2(SCT InstMigration Action Round Table)(EBA:銀行協会)

Euro Inst-Paymentの円滑な処理を妨げる問題の解決に向けてに2つのメモを公開した

メモ1:SCT Inst PSP間でのPSPの非可用性 PSPがSCTInstを利用できない状況下(通信不可等)にある

場合、その状況を他PSPとその顧客に対して通知できるようにする必要がある(現時点では通知する慣行がない)

SMART2の参加者は、“CSMがそれらの通知手段を提供できれば最適である”としている

メモ2:SCT Instでの不正利用やAML・CFTに対する受信者側PSPの対応方法 PSPは、送金禁止措置またはその他の金融制裁に関する

EU規制により、送金を実行する前に各種チェックを行う このようなチェックは、送金者側PSPがチェック済みの場合

でも、受信者側PSPが特に国境を越えた取引である場合には、受信先でも同様にチェックを行うこととしている

PSPは、ヒットの原因となったトランザクションを直ちに拒否する際に理由コードを登録し、送金者側PSPがSCT Instではなく、通常のSCTトランザクションとして送金者側に自動再送信しないよう提案する予定である

SMART2を通じて各国PSP間でのクロスボーダー取引に際して、AML/CFTや通信接続に関する問題解決のための示唆の共有が行われた

28 2018年11月

TIPS(TARGETInstant Payment Settlement)始動

ECB RTGSである汎欧州即時決済システムが始動。 ACHがTIPSへの直接/間接接続を行うことで、他の

ACH参加者へのリーチアビリティー(送金到達可能性)を確保できるようになった。

即時送金の汎欧州性能をサポートするシステムが始動した。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(12/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

29 2019年2月

SEPA Proxy Lookup (SPL) serviceの稼働

EPC(プロバイダ:equensWorldline)

本スキームでは、プロキシベースの支払ソリューションが、相互運用性を持つために必要となるプロキシデータの交換サービスを提供している

これにより、各支払ソリューションの相互運用性が促進されることが期待されている

複数のP2Pモバイル送金サービス間で相互運用性を推進するためのサービスが提供された

30 2019年6月

PSPに向けた不正利用の検出と対処に関する推奨事項の公開

SMART2(SCT InstMigration Action Round Table)(EBA:銀行協会)

SEPAレベルでAS-PSPをサポートすることを目的として、ベストプラクティスを含む推奨事項(詐欺の検出と対策)を正式に公表した

この推奨事項はその他の決済手段にも適用できるが、特にSCTに関連するものとされている

なお、推奨事項とPSPのベストプラクティスには、以下のような内容が含まれている 顧客管理の強化

①顧客の取引に対する行動プロファイリングの実施②24/365の不正アラート処理と顧客と対話を行う専門チームの設置

SEPA詐欺スコアリングアプローチを開発する受信者側PSPの取引に対する不正スコアの提供

IBAN、関連する口座名義人のSEPAデータベース作成を提案

SEPA内におけるクロスボーダー取引上の課題(詐欺の検出と対策)解決に向けてベストプラクティスの共有と推奨事項の公開が行われた

31 2019年7月

仏中銀総裁コメント@パリ市内会議

仏中銀総裁 EUにおける強い投資銀行の必要性からEU内銀行統合に関するコメントが行われた

汎EUのリテール決済スキームについて、EU外の経済圏への対策としてTIPSの高度化を提言した EU内は非EUのプレイヤー(US、中国)が占めているが、TIPS

は参加行がEU全体の半分と少ないのが現状 決済は最早バックオフィス業務ではない認識 こうした状況打開に向けて、TIPSを基に汎EUとしてのリ

テール決済スキームを求める

リテール決済が他経済域のプレイヤーが主体となっている状況に対して、汎EUのリテール決済スキームを構築することで対抗することを示した

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-5:EU(13/13)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

32 2019年9月

World Conference of Banking Institutes@ロンドンでのスピーチ

仏中銀総裁 同年7月のパリ市内会議に続き、汎EUとしてのリテール決済スキームの必要性についてスピーチしたもの*

*詳細は後段の参考ページに記載

33 2019年11月

Towards the retail payments of tomorrow: a European strategyの表明

ECB ここまでバックエンドの進化はフロントエンド比で十分とは言い難く、未だ断片化されたままとなっている。つまり、“汎EUのECソリューション等は出現していない”ということである

単一通貨の導入から20年経った今でも、統一的カードスキームがないことから、特に国内のプロバイダーは、汎EUな方法で行動することができなかったか、進んで行動していないと言える

こうした現状を踏まえて、汎EU市場イニシアチブに対して5つの目標を提示した*

*詳細は後段の参考ページに記載

単一のブランディングされたサービス提供によって他経済圏と競合していくことを画策する(SPLはあくまでも複数のサービス間の断片化を防止するのが目的であった)

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№19. EPC Report to the ERPB on Instant Payments

№ カテゴリ 内容 詳細

1 ERPBが最終的に検討すべき問題(最も適切な「市場投入」シナリオ)

PSPが即時決済スキームを使用する場合、ユーザー(PSP、決済インフラプロバイダ、ペイメントサービサー等)がスキームの実装に相当なリソースを投下する必要があり、これに慎重に対応する必要があること

即時決済スキームの実装に合わせ、EBA Clearingと各PSPが定期的に相互調整する必要があることを提示した(SEPA内の段階的な導入検討プロセスが必要となる)

2 現段階におけるEPCタスクフォースのおおよその考えについて

ERPBの定義を念頭に、需要/供給双方の利害関係者を加味しつつ、スキームとしてはSCT(SEPA Credit Transfer)が適切である

他の決済手段、特に電子マネーやカード決済も即時決済に適していることや、既存の幾つかの即時決済サービスがこれらに基づいたサービスであることを付言した

3 議論構築の場としてのERPBの適当性について

ERPBのマルチステークホルダー環境で議論を広げることの利点を考慮して、EPCは、ERPBが即時決済WGを設立することを推奨した

これに伴い、EPCはERPB即時決済WGの委任事項の提案を提出した

EPCは最終的に、ERPBに参加するPSPに対して、将来の即時決済スキームに対するビジネス要求(概要レベル)が出てくることを期待した

【*ERPB即時決済WGへの委任事項の内容】以下の全ステップにおいて、ERPB WGは立法フレームワークとその進展を考慮する必要がある ERPB WGの目的: 2020年を最低限の期限としたSEPA即時決済ソリューショ

ンの開発 WGへの期待事項: ①市場の需要規模の定量化に向けて、様々な顧客セグメント

の具体的ニーズを特定すること 消費者、中小企業、大企業、行政機関等

②ユーロでの即時決済について「どの市場に投入するシナリオ」が最適かを検討すること A:SEPA全体の単一即時決済スキーム B:SEPAの広範なソリューションおよび相互運用可能な国

内ソリューションの組み合わせ等 ③「市場投入」シナリオで推奨するE2Eの概要要件の決定 ④SEPAとして推奨する「市場投入」に最適な決済手段の特定 ⑤各利害関係者グループのタイムラインに対する成果物を含

む展開計画の作成

EPCが強調したポイント(=ERPBに向けた示唆)

EPC➡ERPB(主にPSP)への期待:モバイル決済を提供するPSPに対して、IBANと携帯電話番号やメールアドレスでの送金を目指すことを期待した

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№33. World Conference of Banking Institutes@ロンドンでの仏中銀総裁スピーチ

№ カテゴリ 内容

1 EUとBrexit後のイギリスの関係性

多国間秩序が危機に瀕する中、「Brexit後の英がEUと共に多国間主義の維持・発展に向けて努力してもらえるかもしれない」という願いを断固として表明

2 デジタル化への対応 生活/消費の双方の方法の変化は、企業とユーザー双方に可能性をもたらすことになる これは銀行/監督者に対して、チャンスと課題の双方が明確に示されることにも繋がる

3 新しいプレーヤーの重要化

FinTech:既存の銀行を破壊し、買収する資本はない BigTech:金融仲介を根本的に再定義する可能性がある

・強力なブランド認知、世界的顧客基盤、最先端テクノロジーへの特権的なアクセスを有している・この点が、規制当局/監督者にとって大きな課題となる

4 金融規制の技術的中立性

「同じ活動に同じ規則」という基本原則を適用する必要がある 従来の金融規制を超えて、デジタル金融の規制基盤である4つの分野について国際協力が必要となる

・①サイバーセキュリティ、②データ保護、③公正競争、④公正課税

5 好例:Facebookのリブラプロジェクト

ビットコインのような投機的資産とは全く異なる。規制当局は世界レベルで注視していく必要がある 要点を2つに絞ると①AML/CFT、②事業展開先である全国の銀行免許取得の必要性が課題となる

(この事例は既存のクロスボーダーの決済システムとのギャップを明らかにするだろう)

総括

欧州でのリテール決済における真の戦略の必要性

最早決済はバックオフィス業務ではない “データ”と“顧客接点”は戦略的資産である ヨーロッパの決済市場は非EUの利害関係者によって支配されているのが現状である このことから、ヨーロッパ以外(米/中)のデジタル企業の成長を真剣に受け止めるべきである 一方EUでは、欧州の決済エコシステムの創造性にもかかわらず、市場細分化が進展している ユーロシステムと共に“共通ブランド”とTIPS等の最先端の即時支払いを基盤とする“汎ヨーロッパ決済ソ

リューション”の構築を求めるものである

スピーチのポイント

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№34. Towards the retail payments of tomorrow: a European strategy

№ カテゴリ 内容

1 全ヨーロッパのリーチとUX 効率的かつ安全に、欧州連合全体でPOI(店頭でのカード決済)を行える必要がある ネットワーク業界に必要なクリティカルマスを達成し、単一市場のメリットを十分に活用するには、加盟店の幅

広い受け入れと健全で効率的なガバナンスを備えた汎ヨーロッパリーチが必要であり、電子商取引で極めて重要である

2 便利で費用対効果の高い(リテール決済)

ソリューションは、消費者/供給者の双方にとって、簡単で、柔軟で、安全で、使いやすい支払い体験を可能にする必要がある

カード決済、携帯電話、ウェアラブル端末、インスタントペイメント等の様々なツールや機器を使用し、また近距離通信等のチャネルや技術を使用して支払いを実行できることが必要となる

即時決済テクノロジーに依拠することは、既存ソリューション比でより効率的なソリューションを設計するための鍵となる

供給者のコスト削減は、最終的に消費者価格を引き下げ、すべての市民に利益をもたらすことになる

3 安全性とセキュリティ 新しいヨーロッパの決済ソリューションは、関連する全ての法的要件および規制要件に準拠する必要がある 最高レベルの詐欺防止機能を提供し、消費者を保護する必要がある

4 ヨーロッパのアイデンティティとガバナンス

共通のブランドとロゴを採用する必要がある 欧州のガバナンス構造に基づき、欧州の決済関係者に対して戦略的方向性およびビジネスモデルに直接影

響を与えられるものとする

5 グローバルな受け入れ態勢

エンドユーザーのニーズを満たすために、EU以外に拠点を置くビジネスサイドもアクセスできる必要がある

汎ヨーロッパ市場イニチアチブの5つの目標

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(1/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1986年 NETS EFTPOSの導入

NETS まず1984年にGIRO(General Interbank Recurring Order)が導入され、公共料金や家賃等の毎月支払いが求められる類の決済について、銀行自動引落しが実現。

その後、NETS EFTPOSの導入により、消費者は自身のATMカードを用いて、店舗購入に対する支払いをPOSで行うことが可能となった。

90年代から2000年代初頭にかけて、NETS CashCardによる高速道路や駐車場における料金支払い、EZ-Link Cardによる公共交通におけるタッチ&ペイでの料金支払いなど、「公共交通機関におけるリンケージ」に歩みを進める

シンガポールの電子決済の歩みは1986年のPOS端末導入より始まり、その後ETC等公共交通機関へと広まっていった

2 1992年 情報化基本計画「IT2000」

国家コンピューター庁NCB

全国的な情報インフラ整備を提唱し、同時にIT化の必要性、IT化の将来展望とその達成に向けた戦略を掲示した【IT2000の描く将来像5つの未来予測】①シンガポールのグローバルハブ化②経済成長エンジンの活性化③国民の潜在能力の向上④地域内の国外との連携強化⑤生活の質の向上

国としてのIT化の将来展望において、キャッシュレスに関する言及がなされた

当該国の背景

シンガポールは、Smart Nation構想の下、電子決済の普及拡大を図るため、英国の決済改革を取り入れた。

NETS:電子決済サービスプロバイダ1985年、地場銀行コンソーシアム(DBS、OCBC、UOB)が設立した

生活の質の向上が指すもの:行政およびビジネス分野の①ワン/ノンストップサービス化、②ECの発展、③キャッシュレス支払、④電子式ロードプライシングシステム(シンガポール版ETC、1998~)等

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(2/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

3 2000年12月

Infocomm21(情報化基本計画)

情報通信開発庁(IDA:Info-communications Development Authority)

2005年までに世界の情報通信技術のハブとなることを目標とする旨表明した政府は「触媒」→情報化推進の中心は民間部門

計画2002年:行政サービスの大部分のオンライン化、教育カリキュラムの30%にITを導入2003年:商取引の半分を電子化2005年:情報通信ハブ化

重点分野1.情報通信ハブ化2.EC取引/電子ビジネス振興3.電子政府の推進(Dot-Coming the Public Sector)4.国民のオンライン化(Dot-Coming the People Sector)5.情報通信技術の才能の集積6.ビジネス・政策に適した環境の醸成

官民一体でのデジタル化促進に向けた計画を策定

4 2003年3月

Sing Pass導入 シンガポール金融管理局(MAS)

個人に係る行政手続きのオンライン化(法人向けはCorp Pass)

行政手続きのオンライン化を開始

5 2004年8月

リー・シェンロン首相就任

政府 国家デジタル推進(後のSmart Nation構想)を担うリー・シェンロン首相が就任

6 2004年12月

支払システム(監視)法のドラフト公表(DraftPayment Systems(Oversight) Bill)

シンガポール金融管理局(MAS)

MASが「決済システム」「ストアバリューファシリティ(SVF:所謂プリペイドカード)」の監督権限を持つことが提言された

2003年4月のコンサルペーパー公表後、民間の意見聴取を実施し、同年9月のMASのフィードバック公表を経てドラフトを公表した

電子マネーの取扱に係る法案を公表

Monetary Authority of Singapore

情報通信開発庁の設立:1999 年 12 月、政府は情報・通信分野の開発・促進と監督業務の一元化のため、 情報化施策を管轄するNCBと通信事業を管轄する通信庁(TAS)を合併し、 新たに情報通信開発庁(IDA)を設立した。 TASとの合併前、NCBは IT2000 に代わる情報化基本計画となるICT21 (仮称)の策定作業を行っていた。合併により発足したIDAは、翌年 2000 年 12 月11に新たな情報化基本計画「Infocomm21」計画を発表した。

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№3.情報化基本計画(Infocomm21)

№ カテゴリ 戦略 備考

1 情報通信ハブ化 ①世界的競争力を持つ通信産業育成②双方向ブロードバンド・マルチメディア産業の育成③ワイヤレス産業の育成④シンガポールの知的所有権ハブ化⑤新たな競争力と国内企業の育成⑥海外との戦略的パートナシップと連携の強化

2 EC取引/電子ビジネス振興

①電子ビジネスのための基盤構築②ビジネスのデジタル化③需要の喚起④世界の「ドット・コム」ハブ、EC取引研究のリーダーシップセンターとしてのブランド化

①電子商取引環境に必要とされる電子認証、電子決済などの情報基盤や、新たな法整備/規制緩和措置の具備③消費者のインターネット取引への不安解消の為、行政機関等と協力し企業向け信頼性向上教育プログラムなどを実施非接触型ICカード基盤のバス・鉄道事業への導入など、国家的インフラ事業を支援

3 電子政府の推進(Dot-Coming the Public Sector)

①電子サービス提供のさらなる強化②技術革新による行政能力の向上③民間との連携強化④職員向け情報技術研修の実施⑤電子政府化の重要性の周知

①既存の電子政府サービスの再構築。手数料支払や資金移動を要するサービスの促進のため、電子支払システムを構築

4 国民のオンライン化(Dot-Coming the People Sector)

①全国民の情報通信技術へのアクセス改善②デジタル・ディバイドの解消③国民生活の情報化の推進(Eコマースの奨励を含む)

5 情報通信技術の才能の集積

①IT基礎知識保有者の育成②国民能力向上とIT人材拡大③海外高度エンジニアの獲得④シンガポールのeラーニングハブ化

6 ビジネス・政策に適した環境の醸成

①通信市場の自由化、明瞭・透明な規制の確立などにより、情報通信技術産業の成長に適した環境づくりを進める

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(3/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

7 2005年10月

MASが英国金融庁とMOU(多国間情報交換枠組)に署名

MAS 国際取引に係る英国の規制当局に協力を取り付けた

8 2006年 MASが首相府の傘下に移管

MAS リー・シェンロン首相のトップダウンによる金融改革が可能になる

リーシェンロン首相がMASに直接関与

9 2006年6月

決済システム(監視)法施行

MAS MASは、決済システムに加え、電子マネーについてもリスクベースでの規制を開始

10 2014年3月

FAST稼働開始 監督:MAS運営:SCHA(MAS+銀行群)

英国の即時決済システムFPSを開発したVoca-linkがFASTを開発(オペレーターはBanking Computer Services PteLtd)

英国に倣い、即時決済システムFASTを導入

11 2014年8月

Smart Nation構想の発表

リー・シェンロン首相

リー・シェンロン首相が施政方針演説(ナショナルデー・ラリー)で、「テクノロジーを最大限に活用してIT 都市(スマートネイション)への転換を図る」方針を表明した。

これを受け、同年 11 月にスマートネイション・イニシアチブと担当大臣の任命、スマートネイション・プログラムオフィス(SNPO)」(現在のスマートネイション・デジタル政府オフィスであるSNDGO)の設置が発表され、本格的な取り組みを開始した。

国家としてIT都市への転換を図る方針が表明された

*重点分野:「健康」、「教育」、「交通」、「都市問題」、「金融」の5つ

12 2015年3月

FASTが国家重要システムに指定される

MAS 決済システム(監視)法の下、FASTが国の重要システムとして指定される

このSmart Naion構想は、1980 年代のNational Computerisation Planから連綿と続く、情報化・デジタル化政策の流れに連なるものである

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№11.Smart Nation構想の発表

• 2014年にリー・シェンロン首相が施政方針演説の中で、国家としてのデジタル化推進に注力することを提言した。なお同年11月に推進組織であるSNPOが首相府直下に設置され、国全体として取り組む体制が整えられた。

• 推進にあたっては重点分野として「健康」、「教育」、「交通」、「都市問題」、「金融」の5つに官民協業となる「CODEX」が加わり、センサーネットワークや自動運転、eヘルスなどのプロジェクトが実施されている。

リー・シェンロン首相がSmart Nation構想が遅延しているとの懸念を示したことを受けて、SNDGOを設置(2017年5月)し、SNDGOがSmart Nation戦略の重点施策であるSNPをリリース(2017年8月)した

2017年3月:Smart Nation構想へのテコ入れ MAS(当局且つ中銀)もFinTech協業などを促進

2017年のSNDGG設立を受け、政府はSamart Naionにおける戦略的国家プロジェクト(6つ)の推進を発表した。

Smart Nationにおける戦略的国家プロジェクト

既存の基盤(Sing/Corppass、Myinfo)をベースとして、官民双方が利用できる堅牢かつ利便性の高い認証システムを目指す取り組み

国民デジタル認証

FAST開始(2014年3月)➡PayNow(2017年7月)➡NETS Pay(2017年10月)➡PayNow Corprate(2018年8月)➡SGQR(2018年9月)➡FASTにノンバンクが参加(2019年以降)、等

全国にデータを生成・収集するためのセンサーネットワークを張り巡らせ、スマートネイションの基盤インフラを構築する Smart Nation Sensor Platform(SNSP)のプロジェクトが進められている

車の保有コストの高さから多くの市民が公共交通機関を利用していることから、特に公共交通機関に焦点が当てられ、データとデジタル技術を使って利便性や効率性を向上させる取り組みが進められている

従来、省庁単位でばらばらに提供されてきた住民向けサービスを、利用する側の観点から各々のライフイベントに照らし合わせ、一元的かつシームレスに提供するサービス

デジタルガバメントの実現に必要となるツールやインフラ、データを、官民の開発者向けに提供する共通プラットフォームの構築を目指している

公的サービスの組織横断的提供 CODEX(官民協業)公共交通機関のスマート化

電子決済 都市センサーネットワーク1 2 3

4 5 6

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(4/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

13 2016年8月

SingaporePaymentsRoadmap

MAS MAS(当局且つ中銀)からの委託を受けてKPMGが作成したもの・同報告書では、シンガポールは2014年段階でFASTを稼働さているにもかかわらず、2016年時点において未だ現金・小切手への依存度が高いことが指摘されている

このKPMGの報告書と同時期に、MASは提言の実現に向けて具体的な制度改革案を盛り込んだコンサルテーションペーパを発表している

【電子決済社会を構築するための主要4戦略】①合理化された規制・FinTechを念頭としたセキュアな決済法制に既存法制を統合・レギュレーション対応の事業者負担を低下させる

②包括的なガバナンス・ペイメントカウンシルを組成(需要/供給双方から集める)・実行:一般的な支払いインフラの開発、オープンAPI/相互運用性の促進、好事例採用、消費者のアクセシビリティを確保する

③相互運用可能なインフラ・現金と小切手の根強い支払い傾向を打破する(スウェーデン、豪との比較)・オンライン決済の促進:店頭でのカード支払受入簡素化、請求書のオンライン支払促進、公共交通機関のモバイル決済・FASTの障壁除去⇒Central Addressingの導入、FASTの手数料軽減

④デジタル化の普及・オンライン決済を受け入れるための企業側のデジタル化

高速道路や駐車場等、公共交通インフラのキャッシュレスは進んだが、民間の商習慣を大きく変える(キャッシュレス化)には至らず、未だ現金・小切手への依存度が高いことが分かった

ヒアリング対象:大手6銀行の他市場参加者:50者消費者:2000人・16集団店舗:500ヶ所/16集団➡小切手などの商習慣を持つ事業者サイドに対して、重点的にヒアリングを実施

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(5/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

14 2017年3月

Smart Naion構想へのテコ入れ

SNDGO リー首相がSmart Nation構想が遅延しているとの懸念を示したことを受けて、SNDGOを設置した(2017年5月)

SNDGOがSmart Nation戦略の重点施策(SNP)をリリースした(2017年8月)・キャッシュレス社会に向けて電子決済(E-Payments)の普及、拡大が必要となることが示された

15 2017年 MASによるNationalPayments Council(NPC)の設置

MAS シンガポールでの電子決済社会のビジョンを実現するためにMASが取っている一連のイニシアチブの一部として設置された

これには、PayNowなどのシームレスな支払いソリューションの開発の促進、加盟店での統合POS端末の導入と展開のサポート、消費者の利益を保護し革新的な支払いソリューションを促進するための新し法律の導入が含まれている。

他国とは異なり、決済システム構築後にカウンシルが設置されている

イギリスとは異なり、先に決済システム(FAST)が出来、その後に利用促進・普及のためのカウンシルが設置されたのが特徴

16 2017年7月

PAYNOW導入(P2P決済/送金システム)

MASABS(銀行協会)

FASTでは相手の口座番号がわからなければ送金できないことなどが課題として指摘されていたが、PayNowの導入による相手の口座番号を知らなくても携帯電話番号やNRIC (国民登録番号カード)を使って送金が可能となった

FASTの課題をPayNowを導入し解決を図った

Smart Nation & Digital Government Office:財務省と情報通信省のデジタル部門が統合したもの

National Payments Councilの特徴:イギリスとは異なり先に決済システム(FAST)が出来、その後に利用促進・普及のためのカウンシルが設置されたのが特徴。

【構成員:20人(2017年)】議長:MAS局長 銀行:CEO5名決済事業者:国際ブランド(V・M)2名、PayPal1名、Nets1名経済界:Grab、 Lazada(アリババ子会社)、Sea(オンラインゲーウ/ペイメント)、Sheng Siong (スーパー)、YCH(流通/物流)業界団体:中小企業団体、小売店舗協会2団体、飲食協会、シンガポール経済協会決済組織:シンガポール・クリアリングハウス

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-6:シンガポール(6/6)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

17 2018年 PAYNOWCORPORATE導入

MAS、ABS(銀行協会)

ビジネスIDへの送金が可能になった(ビジネスIDと法人番号を紐づけ)

IDにサフィックス(管理番号)を加えて使い分けることで、取り扱う商品・サービスの特定が可能

法人間の送金は有料

18 2018年9月

Direct FAST industry working group設立

MAS ノンバンクがFASTに直接接続するためのビジネス要件と技術要件を整理することを目的として設立された*ノンバンクによるFASTへの直接接続を許可する方針は、教育大臣のオン・イェ・コング氏が2018年9月に公表した

ノンバンクのFASTへの直接接続が実現が、更なる競争・イノベーション促進を惹起

18 2020年1月

決済サービス法制定

MAS 既存の決済法令を統一した• アクティビティベースの決済サービスライセンス制度

…リテール決済において、サービスの提供業者にライセンスの保持を義務付ける

• 決済システムに関する指定レジーム制度…主要 な決済システムを指定し、そこに関わるオペレー

ター・セトルメント機関・参加アクターを規制

特に「決済システムに関する指定レジーム制度」については、必要に応じて MAS が相互運用性権限 を行使し、決済手段の断片化を防ぐ手段を確保

また、「アクティビティベース」のライセンス制においては、リスクベースアプローチの監督としてAML/CFT、利用者保護、テクノロジーのリスクと並ぶ「相互運用性(interoperability)のリスク」を設け、「電子決済エコシステムの発展には、CXに一貫性・単純性を持たせる必要がある」と考え、決済サービス業者が一定の規模に達したら相互運用性に関する措置を取ることにしている

法的に中銀(且つ金融監督庁)に相互運用性(インターオペラビリティ)確保の手段を設けた

Association of Banks in Singapore:商業および投資銀行業界の利益を代表する非営利組織

構成員:MAS、銀行、ノンバンク(Grab、Liquid Group、MatchMove、Razer、TransferWise)

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(1/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

1 1983年 全国区の決済インフラ「eftpos」ATM、決済ネットワークを国内で相互接続・共通化

ePAL(eftpos Payments Australia Limited)

国内独自デビットカードスキームによって、店頭でのキャッシュレス決済が普及

国内の現金以外の決済手段移行の起点となった

2 1999年2月

Australian Payments Clearing Association(以降、APCA)設立

銀行(外銀含む)、地銀、決済事業者、職域信組、オーストラリア郵政

オーストラリア国内の大小の金融機関による業界内組織APCAが結成された。(後のAustralian Payments Networkに当たる組織)

当該国の背景

オーストラリアは、即時決済システムの構築について、オーバーレイ部分を予期した形でのスキーム構築を行った即時決済システムの在り方を議論する下地として、リテールシステムの公正競争が成立するよう、2000年代の前半にクレジットカード、デビットカード等のインターチャージフィーの在り方について中銀(RBA)を中心に議論、規制が行われていたもの。

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(2/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

3 2002年8月

Reform of Credit Card Schemes in Australiaの決定

PSB クレッジトカード業界の手数料が高い等の問題を問題視(2000年にRBA、ACCC共同の”Joint Study”の結果を発表)

2001年12月にコンサルテーションペーパーを発表 以下の4点を公表し、実施することとした

• クレジットカードのインターチェンジ料金の上限規制。• NSR(No-surcharge rule)を廃止(2003年1月実施)

加盟店の価格決定の自由を確保(クレジットカード手数料を消費者転嫁してよいこととした)

• クレジットカードシステムに参加する条件を緩和し、中小の金融機関の参入を促して,競争を活発化この新しいアクセス制度が,2004年2月に実施 (銀行の参加という観点ではオーストラリアの大手4行が寡占していた)

• カード会社のRBAへの毎年の報告提出が義務化

インターチェンジ料金を取っていたVISA及びMasterは裁判所に提訴したものの、敗訴

その後も継続的にクレジットカードの手数料について、適宜監督を行っていったもの

4 2005年5月

Payments System Reform(決済システム改革) いくつかの事項の公表と実行

PSB BPAYの手数料関係の公表を求めつつ、適正な価格について議論を行ったものの、価格の押し下げは他の現金、小切手、クレッジットカード払等の窓口での支払からの誘導となってしまうため、価格変動(押し下げ)は求めないこととした(なお、2006年にかけてeftposのアクセス体制、手数料、プリペイドカード等の手数料も同様に適正性について議論が行われ、必要な規制を行った)

PSB(Payment system bord)・RBA(中銀)の組織における、決済システムを扱う組織・担務:「金融システムのリスク管理」、「決済システムの効率化促進」、「金融システムの全体的な安定性と一貫した、決済サービスの市場での競争の促進」

ACCC(Australian Competition and Consumer Commission)・オーストラリアの公正競争/消費者庁

BPAY・オーストラリアの主要銀行群が出資し、作成された「Billpayment(請求書支払)」を中心としたサービスを提供する会社。 後の「Osko」の提供会社

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(3/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

5 2006年4月

Reform of Debit Card Systems in Australiaの公表と実行

PSB クレジットカード規制の折、VISA及びMastercardは“デビットカード”取引について、以下のような戦略を展開• 同社ブランドのクレジットカード加盟店にはデビットカードの

受入を義務化• デビットカードはクレジットカードと異なり、手数料規制が

eftposにしか適用されておらず、他のブランドは高値に設定。• 同2大ブランドは顧客が提示した際、クレジットカードかデ

ビットカードか一目では判断不能

このような状況に対し、PSBは手数料規制及び、ブランド加盟店のクレジットカード契約にデビットカード契約を紐づける規程を取り除くよう、同2大ブランドに求め(同年3月)、これにブランドが応じなかったことから一部、同社の手数料基準等を公表することとした

6 2007年8月

Reform of the ATM System in Australiaの公表と実行

PSB ATMシステムへのアクセス自由化、ATM利用者に対する価格透明性を高めることを目的として、以下の取組を行うこととした(本件はオーストラリア銀行協会(ABA)とその会員によって作成されたもので、RBA(PSB)が進行役を務める業界全体の会議の後に行われた広範な意見を反映)• APCAによる客観的かつ透明性の高いアクセス規程の策定、

新規参入者の満たす条件/権利/現参加者の要件を規定• 顧客が出金を行う前に、徴収される手数料を明確に開示し、

顧客は無料で取引を取り消すことができる規定• 銀行や他の金融機関がATMサービスの提供のためにAT

M所有者に支払うインターチェンジ手数料を廃止すること

キャッシュレス分野の手数料、アクセスへの規程と同様に、キャッシュアウトポイントであるATMにも同様の規制を行った

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(4/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

7 2009年2月

Payments System Issues 公表

PSB 他の決済方法(ここまでに議論を行ってきたクレジットカードやデビットカード等)と同様にPayPalの送金要件(特にeBay利用時)について、以下の点を議論

• 支払手段がPayPal以外について制限されている加盟店の手数料無償化に関する問題(現時点ではPayPalの影響度からそれ以上の規制を要求せず)

• eBay上の出品者がPayPalを受け入れることを義務付けるルールについても検討前出のルールと組み合わせて望ましくなく、決済システム間の競争を制限するものと考察eBay自体は決済システムではないため、PSBの規制権限の範囲外ではあるものの、RBAは、eBayがこの分野における方針を再考することを奨励

既存の支払手段だけでなく、インライン上の送金手段についても、同様の検討を行ったもの

8 2010年5月

Strategic Review of Innovation in the Payments System公表

PSB 目標とする決済システムと現状とのギャップについて議論し、今後の戦略を議論

・ リテールペイメントの即時化・ 小口決済の稼働時間の拡大・ 決済に付随する送金情報の拡充

(データ量が少ない)・ アドレシング機能の実装⇒BPAY(銀行系決済事業者)、eftpos、SWIFT、オー

ストラリア銀行協会、一般個人などから意見が集まる

具体的な即時決済システム検討開始

同国のにおける銀行間送金以外のキャッシュレスなリテールペイメントにおける様々な議論は既に成熟している部分があった

9 2012年9月

Real-Time Payments Committee(RTPC)設置

APCA PSB議論提起に応じて、APCA内に専門委員会を設置

構成員:独立した議長+各州の有力銀行の代表者とAPCAのCEO

業界団体がPSBの動向に応じて、自主的な即時決済の検討組織を立ち上げた

オーストラリアの国内議論は、政府等の公式な組織がコンサルテーションペーパーを公表し、各種方面から意見を集める形を主にとっている(他国よりもその議論の形態が多かった)

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(5/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

10 2012年11月

Strategic Review of Innovation in the Payments Systemの以下の点を公表①コアクライテリア②リテールペイメントシステム運用上のインシデントに関して

PSB ① コアクライテリア プログラムの議論のベース:• 独立した議長+大~小の機関の代表者で構成• 公明正大なソリューションの選択 等

システムの構成/運用の基準• 24/7• 即時決済• ”安全・効率的・信頼度の高いシステム”運用• ガバナンス機関を設置 等

② リテールペイメントシステム運用上のインシデント 過去数年間のインシデント(決済システム等の停止

等)を鑑み、国内大手行を含む預金保有機関と協議 重要度の判断基準を発表し、インシデントの発生原

因を「レガシーシステムによる運用」、「消費者需要の伸び」と認定

解決策の主要項目として「リアルタイムリテールペイメントシステム」の実装を掲げた。(前出の“安全・効率的・信頼度の高いシステム”運用)

広い議論を行うため、システムのコアクライテリアを発表。

「ペイメントシステムにおけるインシデント対策」を早期に掲げている。(後に中銀要人のスピーチに必ず登場する点。)

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(6/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

11 2013年2月

最終報告書(Strategic Review of Innovation in the PaymentsSystem)公表

PSB…RTPC(APCA) からレポート(RTPprogram)が提出されたものを受け入れる形

RTP Program:2016年中の基本インフラ、最初のオーバーレイサービスの導入を目指す

・RTPCはタイミングと価格の面を含む公正な条件のもと、承認された「支払いスキーム、サービス、プロセッサ」が、オーバーレイサービスとして基本インフラストラクチャの使用を試みることができると見込んでいる

RBAは今後の規制介入の必要性を最小限に抑えることを目的として、業界との緊密な協力を継続

既存の支払手段だけでなく、インライン上の送金手段についても、同様の検討を行ったもの

12 2014年4月

Fast Settlement Service Information (FSS) Paper 3 Requirements Phase

RBA 既存セトルメントシステムであるRITSにFSS機能を新規に設け、NPPの決済基盤としており、このNPPを構成するFSSとBI(Basic Infrastructure)の構成、スケジュールが掲載された書類が作成される*詳細は後段の参考ページに記載

13 2014年8月

①Australianpayments council(APC、官民事業者協議会)

②Payments Community発足

③NPPA設置

①・② APCA及びRBA(が設立)

③RBAと主要行等

①・②リアルタイムペイメントの議論の場を構築 ①council 構成員は以下のとおり• 中銀、銀行(外銀含む)、APN代表、決済事業者、国

際クレジットブランド、小売事業者(その後システム構築後はNPPの運営者を含む)

• communityから選出 ②community 構成員の条件

…広い意見を聞くもので、オーストラリアのペイメントシステムに大きな関心を寄せている組織であれば誰でも参加可能

③RBAと主要行等が出資者となり、NPPの構築、運営を担う組織を設立

議論の場には原則提供者と一時利用者(小売事業者)が含まれる一方、消費者や消費者団体の声はコンサルテーションやACCCからの意見で導入されることとなった

RTP programの重要要素・規模の経済、ネットワーク効果の最大化 ・公平なアクセスを実現・決済サービスに競争や多様性を促進させることも必要→”layered solution* の導入”という結論*Basic infrastructure&Overlay servicesの2層構造が提案

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2-2.諸外国における決済システムの動向参考:№12. Fast Settlement Service Information Paper 3 Requirements Phase

2013 2014 2015 2016

BI スケジュール

FSS スケジュール

要件定義

ビジネス要件定義

調達

仕様書、デザイン

デザイン、設計

外部設計

構築及びテスト

構築内部テスト

工業試験

開発

移行

BIとのテスト

工業試験

開発

移行

インターフェースの要件定義

ベンダ選択

FSSデザイン結了

ネットワーク、インターフェースの

テスト準備完了

FSSの工業試験準備完了

FSS自体の準備完了

RITS参加者(銀行)のマイルストン

初回相談結了最終の参加者についての

要件列挙ユーザー

ガイド

RITSプレ稼働可能状況

RITS稼働可能状況

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(7/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

14 2014年①11月②12月

①②NPPプログラムに関わる事象

RTPC等 ①RTPCのNPPプログラムからPayPal、バンクオブアメリカ、メリルリンチ等5社が脱退(12社で継続)

②RTPCのNPPプログラムがSWIFTと12年間の基本インフラストラクチャ設計、構築、運用を契約

NPPが銀行主体なる基点となった。

早期にSWIFTを指定

15 2014年12月

Financial System Inquiry(マレーレポート)の公表

豪政府 国際諮問パネル※元中銀財務官

マレー氏が調査

目的:経済成長に資する、金融システムを調査 内容:決済システムについては新技術とのコラボ

レーションを示唆 反応:コンサルテーションに対してAPCは

「指摘の点はNPPの中で実現していく」旨を表明

システム構築前に新技術の取入れについて、政府の別の部門から指摘が行われていた。

16 2015年8月

MOU締結 RBA及び APC 決済ネットワークに関して一貫性あるアプローチを行うことを同意、関連する政策はRBAが実務を実施

17 2015年12月

Australian Payments Planの公表

APC 決済システム高度化に向け、豪州が今後10年の間に共同で取り組む3つのテーマを発表 セキュリティ&トラスト• デジタル・アイデンティティとデータ管理の原則• サイバーセキュリティ戦略既存対応

…非従来型のカードにおける不正行為に対するアドレシング戦略、金融犯罪情報交換 等

決済の複合的組み合わせ• 小切手使用からの脱却・ キャッシュレス社会という産業戦略• 既存決済システムの効率性(向上)既存対応

…NPP、イシュア及びアクワイアラーコミュニティ 未来の可能性• 技術革新の可能性既存対応

…非標準技術のプロセス確保、デジタルウォレットの技術標準、第三者領域の参入要件

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(8/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

18 2017年4月

Aus Pay Net(network)設立

RTPC等 前身のAPCAの一部が、自主規制団体としてに独立し、産業を超えた決済システムの活用と標準化活動の推進を担う組織として設立

業界団体の構造が変化した

19 2017年4月

ACCCがNPPAのNPP運営規則に承認を与える

ACCC メンバーシップの停止等、インフラ運営について、公共的利害を勘案し、承認を与えている

NPPの公共性、独占性の管理が行われた

20 2017年11月

Consumer Data Right(CDR)導入の公表

豪州政府 CDR:顧客が自身のデータのアクセス/コントロールに対して、より大きな権限を持つ権利

影響:顧客の複数商品やサービス間での比較/乗換が簡便化

→競争促進、顧客向け手数料の低減、イノベーティブな商品/サービスの発生

政府は、CDRの導入をまずは銀行業界(オープンバンキングの取組)から始める

→次にエネルギー、通信業界の順で導入(銀行業界内外でのオープンデータの取組み)することを決定

他国と同様に個人情報の本人アクセス性が導入された

21 2018年2月

①NPP始動②Osko by BPAY導入

①NPPA②BPAY

NPPが稼働(NPPは正確にはシステムでなく、スキーム名)

RBAは既存のセトルメントシステムであるRITSを改良し、RITS Fast Settlement Serviceを開発RBAの決済口座で24時間365日、リアルタイムな金融機関間のNPPトランザクションの決済を可能とした

参考:CDR導入後の時系列整理2017年11月:政府がConsumer Data Right(CDR)導入を公表2019年8月:CDR Bill(消費者データ権法案)が 通過2019年12月:ACCCがオープンバンキングのタイムラインの

改訂版を公表2020年2月 :法施行2020年7月 :クレジット/デビットカード、預金口座、

取引口座に係る顧客データへの適用2020年11月:融資に係るデータへの適用※欧州のPSD2とGDPR、英国のCMAの影響を受けている

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(9/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

22 2018年5月

New payments platform: The industry approach to minimising real-time payments fraud 公表

KPMG with RBAと金融機関(旧APCA))

今後のNPPの概要を公表 複数のオーバーレイサービスをサポート可能な

「NPP」を構築、将来的なイノベーションと発展が期待(様々なFinTechや決済事業者、決済産業でない他産業の事業者が提供するオープンプラットフォーム)

NPPに特筆した今後の発展について公表された

23 2018年6月

Competition in the Australian Financial System 公表

豪州府内 生産性委員会(財務省傘下独立諮問機関)

PSBが金融システムの提供者と消費者の両方の広範なアクセスを確保するために、NPPにアクセス体制を課すべき

ACCCとPSBは、競争を促進のため、NPPの機能を改善する様々な方法を調査する必要がある

NPPの公共性、独占性の管理が行われた

24 2018年10月

New Payments Platform Functionality and Access: Consultation公表

PSB 及び ACCC NPPの”機能”と”アクセス規程”に関する問題の意見聴取

機能:先行のOskoを例にオーバーレイサービス機能を説明し、APIフレームやどのようにオーバーレイに参加するかを提示

アクセス規程:直接/間接参加(金融機関)、共有GW/独自GWによる参加(FinTech)

NPPのアクセス範囲について議論が興った

25 2018年10月

NPPサンドボックスの設置

NPPA FinTech が導入実験ができるよう、サンドボックス(許可されたプレイヤーが、管理された環境下で、実際のシステムやデータにアクセスし、新サービスをテストできる枠組み)を設置→様々なFinTechがNPPのオーバーレイサービスと

接続することで、付加価値サービスを提供する考えが存在

ノンバンクアクセスの暫定的な対応としてサンドボックスが設けられた

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2-2.諸外国における決済システムの動向(1)-7:オーストラリア(10/10)

№ 年月 タイトル 主体 概要 ポイント

26 2019年6月

NPP Functionality and Access Consultation: Conclusions Paperの公表

PSB、ACCC オーバーレイサービスをFinTech等のノンバンクに開放することの意義に関してRBAとNPPAの考えを合わせて回答したもの

オーバーレイサービスのインフラからの切り離し…新サービス導入の都度インフラを設計する必要が

なく、システムが柔軟/拡張性を持つ利点…FinTechに開放し、NPPをプラットフォームとしたイノ

ベーションと競争を促進に繋がる 「主要銀行によるNPPサービスの遅々として不均一な

展開は期待はずれ」との声を表明…新しい機能の開発が遅くなり、NPPへのアクセスに関する利害関係者の懸念の一因となった可能性

NPPの利用状況:開始2年経過現在、多くのNPP参加組織において単純な送金が大半→発展した商品やサービスはNPP外で顧客に提供

NPPAの狙い:これらのサービスがNPP内で開発できる仕組みを目指すNPPAが共通のフレームワークを設定し、参加者が新しい商品/サービスを開発しやすくする

RBAの動向• NPPへの直接接続は、様々な決済サービスプロバ

イダーに開かれている必要があり、NPPAは、「参加要件、参加に必要な資本拠出、新規参加者の評価ガバナンス」の導出を起こすよう、NPPAに多くの勧告を行った

• RBAは、ACCCの支援を得て、2021年7月までに別のレビューを実施。RBAがNPPアクセス/機能性に関する重要な問題や懸念に気付いた場合に、早期に実施可能とした

NPPへのノンバンクアクセスが積極的に議論された一方、NPPAは現状では積極性を示さなかった

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(国内外比較)2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較

調査報告書3「国内外のモバイル送金及び決済システム比較編」

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目次

1. 事業の実施方針等

1-1.事業実施の基本方針、業務内容等 P.3

2. 各調査報告書2-1.【調査報告書1】世界のモバイル送金の普及動向 P.6

2-2.【調査報告書2】諸外国における決済システムの動向 P.23

2-3.【調査報告書3】我が国における決済システムの動向及び海外との比較 P.91

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• 銀行間送金を中心としたシステムはレイヤ構造を採用しているケースが多い。最もインフラ性が高い「中央銀行口座」が最下層(一番の基礎)と考えると、最上層は最もユーザーに近い「(P2P送金機能を中心とした)モバイルアプリ」の層となる。

• これらのシステムレイヤ構造が各国によって異なり、それぞれのシステムがカバーする範囲が異なる。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-1:基礎的な銀行間送金~P2Pモバイル送金システムレイヤ構造①

銀行間システム

中銀口座

中銀システム

銀行間共通システム【エイリアス】

(P2P送金機能を中心とした)モバイルアプリ

Y

システムへの接続/参加多様性

X システムのバリエーション

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間共通システㇺ【モバイル送金】

・「エイリアス」サービス“プロキシーサービス”や“アドレシング”とも呼ばれ「口座番号を入力」する代わりに、電話番号等をエイリアス(別名)として紐づけ、エイリアスが分かっていれば送金できるように送金の過程を簡便に効率化する機能。

・銀行間システム銀行間の送金を目的とした所謂「クリアリング」システム層であり、この層に新たに“即時送金”のシステムを構築しているケースが殆どであった。(日本はシステム更改時に既存システムを即時化)

・中銀システム所謂「セトルメント」システム層である。原則中銀が運営していることが殆どであるものの、国によっては民間で運営しているもの、その一部の役割を民間が担っているものも存在する。

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• またこれに加えて、それぞれの層の「参加(接続)の多様性」について以下のとおり示した。• これらのシステムレイヤ構造が各国によって異なり、それぞれのシステムがカバーする範囲が異なる。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-1:基礎的な銀行間送金~P2Pモバイル送金システムレイヤ構造②

銀行間システム

中銀口座

中銀システム

銀行間共通システム【エイリアス】

(P2P送金機能を中心とした)モバイルアプリ

Y

システムへの接続/参加多様性

X システムのバリエーション

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

・エンティティの絶対数中銀:少ない、銀行:免許制が殆どで他の民間事業者よりも少ないノンバンク:登録制などで銀行と比べ事業者が多い

銀行間共通システㇺ【モバイル送金】

・◎当レイヤへの参加

が一般的であり、多くのプレイヤが参加している。

・〇当レイヤへの参加が

一般的である

・△当レイヤへの参加が

一般的ではないものの、一部参加の実態がみとめられる

・ほぼ×当レイヤへの参加が

一般的でなく、参加の実態はほぼみとめられない

凡例

XX

XX

XX

XXXXX

・オブジェクトの重なり合っている部分がシステム同士の性能としての接続を示した。

・個別にシステムへの参加、接続についてノンバンクを中心とした議論を示した。

・青の方形オブジェクトについては、現在構想(構築)中の次期システムについて示した。

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• イギリスの銀行間共通システム“PayM”は他国に先駆けたモバイル送金及びエイリアス機能である。また、ノンバンクのFPSへの直接接続を認めている他、TransferWiseが(決済用口座として)中銀口座を保有していることも特徴的である。

• 今後の“NPA構想”では、既存のシステムを統合し、オーバーレイとなるレイヤーも初期の構想に想定/計画している。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(イギリス)

中銀口座(BoE)

中銀システム(CHAPS)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間システム(Bacs)

銀行間即時決済システム(FPS)

銀行間共通システム【モバイル送金&エイリアス】(Pay M)

モバイルアプリ

Tra

nsferW

ise等の

中銀

口座

保有

ノンバン

クの

FPS

直接

接続

NPA構想(Bacs、FPSの統合)

NPA構想(オーバーレイのレイヤード)

Y

システムへの接続/参加多様性

X システムのバリエーション

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(オーストラリア)

• オーストラリアは銀行間即時決済システム(正確にはスキーム)“NPP”が1件ずつをRTGSとして処理している点が特徴的である。併せて、当該プラットフォームの上位レイヤーにフックとなる“オーバーレイ機能”を“NPP”の一部としている。

• 今後は「NPPへのノンバンクの直接接続」、「オーバーレイ機能のより積極的でスピード感をもった導入」がRBAを中心に進められている。

中銀口座(RBA)

中銀システム(RITS)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間システム(BECS)

モバイルアプリ

銀行間共通システム【“オーバーレイ機能”エイリアス】(PayID)

銀行間共通システㇺ【モバイル送金】(Osko by Bpay)

・Bpay自体が元々銀行群出資の企業の為、実質的に銀行間共通システム。

銀行間共通システム【“オーバーレイ機能” 】(R2Pなど、積極的に開発)

ノンバンクの直接接続&“オーバーレイ機能”参入の促進

Y

システムへの接続/参加多様性

FSS(FastSettlementService)機能

Gatewayを通じたクリアリング(直接参加行間の貸方/借方 記入)本スキーム名

“NPP”

X システムのバリエーション

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• 即時決済システムが実装される前からFedとTCHが大口/小口システムを構築し、この間においてインターオペラビリティが確保されていた。• 今後「FednowとRTP間のインターオペラビリティ確保」、「Fednowのユビキタス性確保」が重要なポイントとなっている。• また、大手銀行のモバイル送金システムであるZelleはスタンドアロンとしてもサービス提供されている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(アメリカ)

中銀口座(Fed)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間システム(FedACH)

モバイルアプリ

・スタンドアロンとしてのモバイルアプリ提供

FedNow即時決済システム*構想

*レイヤード構造を考慮

中銀システム(Fed:Fedwire)

銀行間大口システム(TCH:CHIPS)

銀行間システム(TCH:EPN)銀行間即時システム

(TCH:RTP)

大手銀行システム(Zelle)※現状はACHに依拠

・現状システムは相互運用性を確保

・今後ZelleはRTPにオーバーレイする予定

Y

システムへの接続/参加多様性

X システムのバリエーション

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銀行間システム(Bangiro)

• スウェーデンのシステムレイヤ構造上の特殊性は、モバイル送金システムとエイリアスシステムであるSwishを他の事業体群(通信事業者など)との競争に向けて、銀行群が共同で社会実装/運用している点と、セトルメントシステムを銀行群出資会社が即時決済可能な形で構築している点にある。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(スウェーデン)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

中銀口座(RIKS)

中銀システム(RIX)

・RIXの更改にTIPS(TARGET2 )導入を検討※現RIXの併存も検討

・DigitalIDとしての認証機能も含む

Y

システムへの接続/参加多様性

銀行間共通システム【エイリアス】(BankID)

銀行間/中銀即時決済システム(BiR)

銀行間共通モバイルシステム〈スタンドアロ-ンアプリ〉【モバイル送金】

(Swish)※アプリとしての側面を持つものの、Swish自体は

クリアリングシステムとしての役目も果たしている。

X システムのバリエーション

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銀行間即時決済システム(RT1、STET、equense等)

• EUのシステムレイヤ構造は汎ヨーロッパの決済システムと各ACHの決済システムの複合的な構造が構成されている。• 汎欧州のリーチアビリティー(異なるRT1やSTETといったシステム間同士での送金)を確保することのできる方法として、TIPSを経由しての

送金が存在している。また、このTIPSを使用した共通ブランドのリテールペイメントを構築し、他の経済圏と競争を行う戦略を持っている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(EU)

中銀口座(NCB)

中銀システム(TARGET2)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間/中銀即時決済システム【到達範囲増加】(TIPS)

銀行間即時決済システム(TIPS)

銀行間共通システム【エイリアス】(SEPA Proxy Lookup)

“Towards the retail paymentsof tomorrow”(2019)に登場する“SEPA共通ブランド”のリテールペイメント

(どの範囲をカバーするか未確定)

・TIPSは2つの側面を持つ

銀行間共通システム【モバイル送金&エイリアス】

(Paylib、Tikkie)

モバイルアプリ

中銀システム(ASI)【非RT領域、24/7化】

夜間対応可能なセトルメントの対応口を作ることで、24/7な即時決済システムに対応している

Y

システムへの接続/参加多様性

X システムのバリエーション

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銀行間即時決済システム(FAST)

• シンガポールはPAY NOWのインフラとしての性質が強く、元々PAY NOWは銀行のみが接続出来ていたところ、現在その下部システムのFASTへの直接接続について、議論がされている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-2:システムレイヤ構造(シンガポール)

中銀口座(MAS)

中銀システム(MEPS+)

中銀 銀行 ノンバンク

ほぼ× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ×

◎ △ほぼ×

少 中 多

銀行間共通システム【モバイル送金&エイリアス】

(PAY NOW)

モバイルアプリ

Y

システムへの接続/参加多様性

銀行間システム(GIRO)

ノンバン

クの

直接

接続

X システムのバリエーション

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• 各システムレイヤ構造を総括すると以下のとおりどのレイヤにおいて様々なパターンが認められた。• 特に、①民間の銀行システムが共通システムとして、社会実装され、“共有財化”している点、②その共有財化したシステムに対して、ノン

バンクのAPI接続以外の直接接続を可能にしていく“共有財の銀行外への開放”という点が認められた。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-3:システムレイヤ構造の総括

X システムのバリエーション

銀行間共通システム【エイリアス】

モバイルアプリ

銀行間共通システム【エイリアス/モバイル送金】

銀行間共通モバイルシステム

〈スタンドアロ-ンアプリ〉【エイリアス/

モバイル送金】銀行間共通システㇺ【モバイル送金】

中銀システム【RTGS】

銀行間システム【24/7、即時】

中銀口座

銀行間/中銀スキーム

【24/7、RTGS】中銀システム【24/7、RTGS】

中銀システム【非RT、24/7領域】

銀行間/中銀即時決済システム 【到達範囲増加】

銀行間即時決済システム銀行間システム【24/7、即時】

Y

システムへの接続/参加多様性

銀行間共通モバイルシステム

〈スタンドアロ-ンアプリ〉【モバイル送金】

システムの社会インフラ性

どの社会インフラの深度まで

多様なエンティティの参加を認めるか。

2つの矢印のバランス

ノンバンク

ほぼ×

ほぼ×

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• P2P(P2X)送金を主体とする “モバイルアプリ”のレイヤは、ECや店頭等での“購買決済”、食事等の“コミュニケーション”といった、“非金融”との接合点であり、「金融サービスと非金融サービスのリバンドリング」が生まれる局面と捉えられる。

• 特に “エイリアス”機能は金融/非金融出身プレイヤ間の送金が出来るようになるインターオペラビリティ確保の可能性があるものと考えられる。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-4:“銀行間共通システム”レイヤの総括①

X システムのバリエーション

Y

システムへの接続/参加多様性

銀行

下部レイヤ省略

銀行間共通システム【エイリアス】

モバイルアプリ

銀行間共通システㇺ【モバイル送金】

ノンバンク

・【モバイル送金機能】は最終的に銀行間即時決済システムへの接続を見受けられるものが多いが。エイリアスの可能性は使用システムの選択肢を広げることが出来る。

・モバイルアプリの説明においてみられた、ECでの決済や割り勘機能(衣食住を始めとするコミュニケーション)は銀行発のアプリケーションでも見受けられた。

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• 前頁のとおり、“モバイルアプリ”レイヤを創出する基盤となる“銀行間共通システム”はその①構造の仕様、②費用回収モデル及び③参加カバレッジ如何によって、“モバイルアプリレイヤ”のエンティティの参加多様性を限定する(狭める)ことも、拡張することも可能となる①構築の仕様 :どのような機能のバリエーションで創出するのか(モバイル送金機能か、エイリアスか、その他の機能を踏まえるか)②費用回収モデル:どのようなエンティティで構築するか(コスト分担/回収を如何に行うか)③参加カバレッジ :どのようなエンティティに参加を認めるのか(非競争領域として社会全体で共有化するか or 競争領域と捉え、

構築エンティティ以外を排除するか)

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(1)-4:“銀行間共通システム”レイヤの総括②

Y

システムへの接続/参加多様性

銀行

銀行間共通システム【エイリアス】

モバイルアプリ〈銀行、ノンバンク提供〉

銀行間共通システㇺ【モバイル送金】

X システムのバリエーション

下部レイヤ省略

① 構築の仕様・・・機能バリエーション

② 費用回収モデル・・・コスト分担/回収

ノンバンク

③ 参加カバレッジ・・・エンティティの参加要件

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• 近年の決済システムの高度化の変遷は「即時送金システムの創出」という共通の局面を迎えている。→ その変遷において、次の3点の特徴が表出していると考えている。 民間事業体や消費者の利益を捉まえることを起点とした「社会インフラ機能の向上」検討の側面 消費者保護や市場規制を考えた「公正競争戦略」検討の側面 ノンバンク(のシステム)参入を中心とした「NW接続の在り方」検討の側面+α これに加えて、この即時送金システムを活用した「モバイル送金サービス」がどのようにあるべきか、という検討がされてきたものと考えた。

• この前提に基づき、以下のようなフォーマットを用いて、各国(各地域)の状況について考察した。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2):各国決済システムの全体像の取りまとめについて

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス関連:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性社会インフラ機能の向上

関連:消費者保護・市場規制公正競争戦略

関連:ノンバンク参入NW接続の在り方

■(事象の名称)内容:オブジェクト内に簡潔に記載

・その事象が“どのような特徴を持った事象か”を”、 オブジェクトの幅で表現

■事象の名称内容:オブジェクト内に記載

・それぞれの時系列、因果関係をオブジェクト同士を矢印で紐づけ表現

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• 即時決済システムの導入の端緒であるイギリスは、閉塞した銀行業界の競争促進がきっかけとなったもの。• モバイル送金サービスについては、当時の自主規制団体(業界団体)の議論中からインフラとしてのポジションを担っており、送金システムの

社会的活用が図られたもの。• 現在は、それらの即時送金システム~モバイル送金サービスを含めたオーバーレイ機能が有機的に階層化されたNPA(New-

Payment-Architecture)構想のもと、さらにこの分野の堅牢性と市場開放性がバランスする形を目指している。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-1:イギリスの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス

■FPS主導:OFT (当時、公正競争庁)

→ 決済システム強化を公正競争機関に担わせた背景:イノベーションの不足

①銀行業界の官民閉鎖性、②小切手決済の改革

関連:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性社会インフラ機能の向上

関連:消費者保護・市場規制公正競争戦略

関連:ノンバンク参入NW接続の在り方

■PayM主導:PaymentCouncil

(当時、自主規制団体)位置:社会の“金融インフラのロードマップ”

の一部であるインフラのポジション機能:FPSに口座番号に対する携帯

電話番号エイリアスとしての機能を追加

■NPA(次代の送金決済システムを基盤とした“マーケットプレイス”としての競争性の追加)主導:PSR(PaymentCouncilの反省*1(次頁参照)を活かし、銀行業界以外に開かれた競争環境を創出)・CMA(競争市場庁、OFTの後継)構造:①P2P送金を含めたオーバーレイ機能を“マーケットプレイス”として階層的に完備

②大口・小口・即時の各基幹システムを統合備考:基幹のクリアリングシステムの調達にもメス(同一業者の反復入札の防止) → “競争”・“新規参入者”を通した社会システムの向上

■ BoE(英中銀)口座特徴:FPSへの直接接続の上、

BoE(英中銀)に口座を保有し、決済を行っているTransferWise等存在

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• イギリスにおける即時送金システムであるFPSについては、導入時の議論を主導した主体が財務省から命を受けたOFT(当時の競争市場庁)であったことが特徴的である。

• 2004年のPayments system Task forceにおいても消費者(の代表者)がメンバーに選出されている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-1:イギリスの即時送金システム【FPS】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時・即時送金システムの先駆

■時点ネット決済(3回/日)・CHAPSでのセトルメントを実施

■FCA(金融行為規制機構)・中銀と協業する形で作られた金融監督機関→金融危機等から監督機構を改革■BoE(中銀)・システム等全体の監督■CMA(競争市場庁)・公正競争の側面から監督

■閉鎖的な銀行業界における「イノベーションの欠如」・決済サービスの提供と運営の在り方を事実上決定しているのが銀行業界団体「APACS」に由来している点※1・最初の主導は財務省からOFT(競争市場庁)が任された。

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景

監督

運営

構築

■Pay.UK … Bacs、FPS、C&CCCのスキーマ・オペレータが政策として統合

■VocaLink・BacsとLink(国内ATMシステム)のスキーマ・オペレータが統合

端緒

協議体

■クルックシャンク・レポート(2000年)・財務省等が銀行業界(銀行監督機関)の閉鎖性について、調査を実施・初期に想定されていた内容はトーンダウンするものがあるも、最終的には公正競争庁の牽引により実施。

■Payments system Task force(2004年)・消費者、企業、政府、決済事業者の代表者で構成・中銀、財務省の代表者はオブザーバー

接続条件/料金

■接続パターンは4種類・直接接続(中銀口座保有/非保有)・間接接続・非決済系企業の直接接続

■ 1トラン当たり3.8円…年間費用別途13,300千円

性能

※1 後にPaymentCouncil(業界団体)がシステム改革を主導したものの、“小切手の廃止”を決定したことを「業界団体として過剰」として財務省特別委員会が問題視。同団体は解体され、現在は「決済イノベーションの促進機関(PSR)」が決済システムの改革推進を担う。

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• イギリスのモバイル送金サービスであるPayMは2014年に稼働。• 導入に至った主体はPaymentCouncilであったが、その後の情勢から解体。最終的にBacs等の他のシステムも束ねるPay.UKの傘下

での運営となっている。• 利用率は低調。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-1:イギリスのモバイル送金サービス【PayM】

サービスの特徴

■24/365、即時

■送金共通基盤:各銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装

■エイリアス:携帯電話番号

■PaymentCouncil・旗振りを行った業界団体・社会インフラの一部と定めた。(2013年PaymentsRoadmap)

■Mobile Payments Service Company Limited・英銀を中心とした大手行が資金回収ベースで設立・のちに大口、小口のスキーム・オペレータを束ねるPay.UKの完全子会社へ

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人、法人(一部)・国民全体に対する利用率約6.6%(18QⅢ)

→P2P送金の先駆けであるが伸び悩み

基本

特徴的

■純粋なP2P送金に特化・P2P送金の中でも、一部銀行では、「商用口座」からの送受金が可能。

■・未登録者への送金が可能→未登録者に送金しても、受領者側にSMSが届き、

受金するか(PayMに登録するか)選択可能。

■FPSを使用・当時の業界団体(導入元参照)が推進

・FPSのオーバーレイだが、FPS構築後に構想

■送金機能の基盤→ 各銀行(アプリ)の送金機能の基盤として存在。

送金機能の仕様は各銀行ごとに特徴がある。

ex)・商用口座に電話番号を50件登録可能・デジタルアカウントがあれば、口座を持たなくてもPayMを使用可能 等

使用システム/関係性

機能 システム

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• オーストラリアの決済システム改革は比較的⾧い年月をかけ構築されたNPP、そのプラットフォーム機能としての階層化されたオーバーレイサービス構造を如何に活用するか、という点にある。

• 近年、これらの新たなオーバーレイサービスのスタートが遅れている問題やNPPの不活用状況がノンバンクが参入できていないところにあるのではという議論になっている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-2:オーストラリアの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス関連:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性社会インフラ機能の向上

関連:消費者保護・市場規制公正競争戦略

関連:ノンバンク参入NW接続の在り方

■ノンバンク等へのNPP利用の在り方議論主導:RBA+ACCC背景:①NPPが単純送金にしか使われず発展性が少ない

②“オーバーレイ”の ⅰ.新規の開発が遅延、ⅱ.FinTechの新たなオーバーレイサービスが、既存銀行群に知られるなどの懸念概要:NPPを使用しての次の競争や機能付加を支援

①NPP基盤での競争(ノンバンクの接続要件の緩和等を勧告)②オーバーレイレベルでの競争(ノンバンクのNPP新規サービスを銀行群でないものが対応)③初期予定の“NPP構想オーバーレイ用機能”であるR2Pなどの早期実現

■NPP主導:RBA(中銀) 協議体:RTPC(後のAus Pay Net(network))目的:キャッシュレス&デジタル化が進んだ社会にフィットした決済インフラ構築特徴:①RBAと大手銀行が費用を分担して作成

②NPPの拡張性として構築時から”オーバーレイサービス”レイヤを構想化

■Osko by Bpay主導:Bpay(銀行群出資のPSP)機能:PayIDで口座間送金が容易

■PayID位置:“NPP構想オーバーレイ用機能”

の第一弾機能:銀行口座のエイリアスに電話番号や

メールアドレスを使用可能

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• オーストラリアのNPP(New Payment platform)は2018年に開始。• 主な特徴は設立までに大変⾧い期間を掛け構築し、“オーバーレイ”サービスをあらかじめ予期し、このオーバーレイサービスが活用できる

システムを即時送金NW自体が持ち合わせる点にある。• また、本スキームはRTGS決済である。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-2:オーストラリアの即時送金システム【NPP】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時

■RTGS決済・1回ごとにセトルメントを実

■RBA (中銀)・システム等全体の監督

■キャッシュレス化が進んだオーストラリア社会に耐えうる強靭な決済システムが必要であった。→ システムがストップしてしまう事案が多く起きており、強靭性を必要とされた。■セトルメントシステムの改革が先行しており、リテールシステム改革は劣後していた。

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景監

運営

構築

■NPPA…主要銀行及びRBAが設立

■SWIFT…Vocalinkが構築するとも思われたが、オーストラリアはSWIFTにシステム(スキーム)構築を依頼

端緒

協議体

■Strategic Review of Innovation in the Payments System (2010年)✓目標とするシステム像に現行システムが足りていない4点の

”ギャップ”・リテールペイメントの即時化・小口決済の稼働時間の拡大・決済に付随する送金情報の拡充(データ量が少ない)・アドレシングが示された。■Real-Time Payments Committee(RTPC、2012年)

・オーストラリアの銀行群や決済事業者を中心に構成・Aus Pay Net(network)に改組(NPPの実質的なスキーマ・オペレータ)

性能

接続条件/料金

■接続パターンは5種類・直接接続/間接接続・決済機能を他社に委ねる接

続形式(2種類)・“オーバーレイ”企業の接続

■1トラン当たり28円…年間費用別途37,000千円(初期費用最低

150,000千円)

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• オーストラリアのモバイル送金Oskoは2018年のリリース。• NPPに実装されているPayID機能を活用したモバイル送金サービスであり、後発の“オーバーレイサービス”が今のところ存在しないため、NPPとしての現在唯一の“オーバーレイサービス”である。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-2:オーストラリアのモバイル送金【Osko by B-PAY】

サービスの特徴

■24/365、即時、無料

■送金共通基盤:各銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装

■エイリアス:PayIDを活用(銀行口座と電話番号、メールアドレスを結ぶNPPのオーバーレイ用サービス)

■Bpay・オーストラリア内の請求書支払等を行う企業。・出自としては国内複数行による出資で出来ているもの。

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人・ PayIDの利用率は11.9%

基本

特徴的

■現状リリースされているNPPの正式な唯一の“オーバーレイサービス”

■PayID自体にLookUP機能が備わっている。

■NPPを使用・NPPのオーバーレイサービスであり、NPP構築前に構想

■各銀行のシステムの送金機能の基盤

■PayID自体はNPPAの事業の一環であり、関係性としては、BpayがPayIDを使用して行っているサービスがOskoである。

使用システム/関係性

機能 システム

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• アメリカでは比較的早期から即時送金NW構築の議論があるものの、接続の平等性を基に議論が継続。• 大手銀行群主導のRTPに、大手行独自のモバイル送金システム“Zelle”とのつながりを強める様相があり、今後の国内のインターオペラ

ビリティの確保(RTPとFedNow)が注目される。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-3:アメリカの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス関連:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性社会インフラ機能の向上

関連:消費者保護・市場規制公正競争戦略

関連:ノンバンク参入NW接続の在り方

■Fed自らが提供する“FedNow”の議論主導:Fed背景:中小行、ノンバンクなどの低廉共通即時決済インフラの要望位置:Fedは“カタリスト(触媒)”→“当事者(NWの構築者)”へ備考:①階層構造(オーバーレイ)導入議論、②多くの時間の経過(他国比の大きなビハインド)

■RTP主導:TCH

(大手行群決済機関)概要:大手行基準即時決済初期:“Fednow”の有力候補

■Zelle(ClearXchange)主導:大手行機能:共同で各行の共通基盤となる

送金サービスを開発/運用備考:今後RTPを使用予定

■大手行各々独自のモバイル送金位置:独自のP2P“ブランド”開発機能:各行内に閉じた送金インフラ

■“Fednow”の初期構想主導:Fed(中銀)概要:(他国に出遅れた)米国内決済システムのイノベーション(即時化)位置:議論の“カタリスト(触媒)”

■中小銀行等 “RTPのFednow化”反対主導:中小銀行 等概要:①大手行基準即時決済への“反発”

②BigtechによるP2P送金の進展への脅威(Bigtechの本拠地である米はプラットフォーマー

規制のような対Bigtech規制が緩やか。) ■BigtechのP2P主導:Bigtech

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• アメリカは大手行中心のTCHによる民間即時送金システムであるRTPを開発。• 一時期はFednow構想を担う存在として構築、運用が開始されたが、大手行水準での参加性、仕様となっており、FednowはFedが

主体的開発に着手していくこととなった。• 今後、ZelleはRTPを使用することになる予定。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-3:アメリカの即時送金システム【RTP】

サービスの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時■Fedwire内の口座に担保金を拠出し、ファイナライズ

■Fed(中銀)・システム等全体の監督

■大手銀行群によるクリアリングハウス群であるTCHはFedと並列して、大口決済システムや小口決済システムを展開

■SamedayACH(既存ACHの同日決済処理スキーム)導入時もFed等と意見が折り合わず。

導入/推進の側面

即時

送金

サー

ビス

背景監

運営

構築

■TCH…大手銀行群のACH

■Vocalink

端緒

協議体

■The Clearing House to Undertake a Multi-Year Effort to Design and Develop a Secure, Real-Time Payment System(2014年)✓前年のFednow提案宣言を受けての計画発表✓利便性:既存の口座からオンライン/モバイルバンキングで消費者同士が直接決済可能にする

■即時決済システム構築LOI(基本合意書、2015年)・TCHがVocalinkと基本合意書を結び本格的に開発着手

性能

接続条件/料金

■接続条件・ 大手行・「2020年までに、米国の全ての金融機関が簡単にアクセスできるように、コアプロセシングと決済サービスのプロバイダー、銀行、信用組合と協力する」としている。

■1トラン当たり28円…年間費用別途37,000千円(初期費用最低

150,000千円)

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• 大手行各行がそれぞれのモバイルバンキンアプリ(自行内送金可能)を開発していく中、ネットワークを拡張するため、送金可能なグループを構築していったものがZelleの前身となったClearXchangeである。

• 現在は基盤システムにACHを使用しており、被仕向金融機関で一定の間信用リスクを保有。今後RTPに移行予定。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-3:アメリカのモバイル送金サービス【Zelle】

サービスの特徴

■24/365、即時、無料

■送金共通基盤:各大手銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装※対応の銀行の口座をスタンドア

ロンのZelleアプリに紐づけて使用することは可能

■エイリアス:自社基盤を仕様(銀行口座と電話番号、メールアドレスを結ぶ)

■大手行各行(ClearXchange)・米国内大手各行。・米国内は州単位の銀行など、大小の銀行が複雑に混在。(法改正で越州業務も可能になった。)2019年6月現在で商業銀行だけで4600行程あるものの、その上位4行だけで米国内預金残高全体の46%超を占めている状態。

・のちに買収されEWSの傘下になる。

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人・ Zelleの利用率は8.3%※ 主に中小企業を対象とするZelleのビジネスアカウントでの使用可否は口座の有する銀行による。

基本

特徴的

■大手行の連帯・元々、大手行が各行独自にP2P機能を備えたモバイルバンキングアプリをリリースしていった中、それらが徐々に連帯していくことでZelleの前身のClearXchangeを形成。

■ACHを使用・今後RTP(TCHの即時送金システム)を使用する予定

■割り勘払いや支払いの要求通知も送信可能。

■一部では“米国版Swish”と呼ばれている。…Swishとの特筆する共通点

は、スタンドアロンのアプリケーションに自身の口座を紐づけることが出来る点(完全なUIの均質化)

使用システム/関係性

機能 システム

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• スウェーデンは銀行間の“非競争領域”で如何に連携し、銀行業界全体の競争力確保、UXの向上を続けてきたところ。• 特にBiRはセトルメントシステムでありながら、即時決済を行える銀行群出資のシステムであり、Swishを支えている。• 今後決済システムは北欧の民間銀行間が主導して即時送金システムを導入する予定。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-4:スウェーデンの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス関連:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性社会インフラ機能の向上

関連:消費者保護・市場規制公正競争戦略※1

関連:ノンバンク参入NW接続の在り方

■電話会社、FinTechのモバイル送金位置:異業種等の参入機能:銀行群に脅威であるモバイル送金

■BankID主導:銀行群目的:国民IDと銀行口座の紐づけ

■Swish主導:銀行群+中銀目的:他業種参入への対抗■BiR

主導:Bangirot(銀行群出資)目的:即時決済

■P27 Nordic Payments Platform主導:北欧銀行群目的:汎北欧の即時決済システムの構築

※1 決済市場における大きな公正競争介入は1979年に国内の郵政銀行の貯金着システム(Postgiro) とBngirotのシステム統合にKKV(スウェーデン競争庁)が「市場に2つのシステムを残すべき」として統合させなかった例がある。なおPostgirotはPlusgirotと名前を変え、Nordea銀行のシステムとなっている。

■社会コスト減少位置:現金輸送上の強盗等のリスク、山がちな国家であることによる輸送コスト

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• BiRはSwishの構築を念頭に構築されたリアルタイムのセトルメントシステム。• 既存のセトルメントシステムであるRix(中銀であるRIKS BANKのシステム)は今後更改を控えており、TARGET2(TIPS)を導入するこ

とを中銀が検討中。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-4:スウェーデンの即時送金システム【BiR】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時

■RTGS決済

■RIKS BANK(中銀)・システム等全体の監督

■携帯電話会社やFinTechの決済市場への流入に対して対抗措置を執る必要があったもの。■銀行群全体でSwishを導入する際、セトルメントを24/365かつ即時で行う必要があり、セトルメントシステムを作成。

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景監

運営

構築

■Bangirot…主要銀行が出資

■Evry…スウェーデンのシステム会社

端緒

協議体

■商用システムのため、特になし。

■スウェーデン銀行協会・銀行協会としてモバイルペイメントのタスクフォーがあった。

性能

接続条件/料金

■接続条件上ノンバンクは認めていない

■1トラン当たり 非公開

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• Swishは各銀行間共通のモバイル送金システム(クリアリングシステム)であり、モバイル送金アプリケーションは単一である。• 既存のBankIDを使用し、各銀行の銀行口座との紐づけを行っている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-4:スウェーデンのモバイル送金【Swish】

サービスの特徴

■24/365、即時、無料

■送金共通基盤:各銀行共通のモバイル送金サービスアプリケーションとしてリリース

■エイリアス:BankIDを活用(銀行口座と電話番号、国民IDを結ぶ銀行業界のエイリアスサービス)

■スウェーデン大手銀行群・スウェーデン国内以外の銀行も参加・スウェーデン中銀(RIKS BANK)も導入に助力

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人・ PayIDの利用率は11.9%

基本

特徴的

■モバイル送金アプリケーション自体が単一でリリースしており、単一のモバイル送金アプリに各銀行が接続しており、完全にUXが統一されている。

■Swish自体がクリアリングシステムの機能を持っている。

■BiRを使用・BiRはセトルメントシステムとし

て活用。

■各銀行のモバイル送金システムであり、クリアリングシステムである。

使用システム/関係性

機能 システム

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• EUはEU結成以前からの課題として単一ユーロ決済圏構想(SEPA構想)の下、送金規格の統一等を図る競争戦略/画一化戦略を敷いてきた経緯がある。

• 最終的に自発的な汎ヨーロッパな送金システム構築を目指してきたものの、米・中の決済事業者の影響力を鑑みて、サポートシステムであるTIPSへの接続が多いことを活用し、TIPSを活用したモバイル送金開発が急がれている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス対:民間事業体/消費者

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性α:社会インフラ機能の向上

対:消費者保護・市場規制β:公正競争戦略

対:ノンバンク参入γ:NW接続の在り方

■TIPSを用いたモバイル送金開発主導:Eurosystem背景:米中のBigtech勢力の新興目的:SEPA経済圏の生き残り

■各国独自のモバイル送金主導:各国銀行機能:各国内に閉じた(各国ACHの即時送金に依拠する)モバイル送金

■SEPA構想主導:Eurosystem(EU中銀+各中銀)、欧州委員会(EU行政)目的:EU内の決済円滑化、対他経済圏に対するの競争力向上

■Bigtech(米・中)のP2P送金主導:Bigtech機能:国に閉じない送金プラットフォーム

■RT1主導:EBAClearing目的:汎EU単一即時決済の構築

■TIPS主導: Eurosystem目的:汎EU即時決済システムを支えるシステムの構築

■PSD2主導:欧州委員会(EU行政)目的:システムに接続するPSPに対してシステムに接続していないPSPのAPI

等での接続を法令で策定(システムへの間接接続のみ言及)

■STET■equensWorldline主導:各国ACH目的:複数のACHによる地域毎の即時決済構築

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• EBA(EU内銀行協会)のビジネス部門であるEBA Clearingは単一プラットフォームである大口決済システム(EURO1)や小口決済システム(STEP2)等を提供していたところ。

• ERPBの議論に応えて、汎欧州の即時決済システムであるRT1を導入。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUの即時送金システム【EBA Clearing:RT1】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時

■TIPSによってセトルメント

■ECB (EU中銀)・システム等全体の監督

■EBAは既存の銀行業種毎の業界を超えた欧州内の単一銀行協会として発足■EBAClearingはTARGETとならぶ単一システムであるEURO1を皮切りに、欧州内単一の決済システムを提供してきたところ。

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景

監督

運営

構築

■EBAClearing・欧州銀行協会

■SIA(伊 2016年決定)…システム利用者のコミットメントを求めるため、利用者コミュニティでの意見結果を基に決定。

端緒

協議体

■ ERPB会議における「即時決済に関する声明」(2015年)✓ 基盤となる決済スキームに関係なく、即時決済は、汎ヨーロッパ/国家規模で開発されるべき。

✓ 他のソリューションと相互運用可能でなければならない。

■EBAClearing内 即時支払いタスクフォース(2015年)✓ 欧州全域のサービスユーザーの代表者汎欧州でPSP間インフラを提供するロードマップやブループリントを作成。

■汎ヨーロッパ即時決済のオープンフォーラム(2015年)✓ PSPやテクノロジープロバイダー等からの関係者が参加

性能

接続条件/料金

■接続条件・T2 に「RT1 口座」が設けられており、参加行では、予め必要な決済資金をこの口座に払い込んでおき、同口座内で決済が行われる「プレ・ファンディング」の仕組みをとっている。・信用機関であること・T2への直接/間接接続・SEPA地域にある、等■料金非公開

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• フランスにおいては既存ACHであるSTET(表中:Ⓢ)がInstant Payment CSMを提供• オランダにおいては既存ACHであるequensWorldline(表中:ⓔ)がInstant Payment CSMを提供

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUの即時送金システム【各国:Instant Payment CSM】

システムの特徴“主体” “流れ”

Ⓢ■24/365、即時■DNS決済(ASI接続)

ⓔ■24/365、即時■DNS決済(ASI接続)

Ⓢ■BDF(中銀)・システム等全体の監督

ⓔ■DNB (中銀)・システム等全体の監督

■ACH群はEACHAを結成し、各地域のACH同士をバイラテラルに結ぶことでEU内の決済を円滑化しようとの思想であった。■特にオランダにおいては、国内のMOB(DNBを議⾧とした需給双方の当事者を交えた決済協議会)の中で、即時決済システムの必要性を、ERPBの議論を踏まえながら、議論していた。

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景監

運営

構築

Ⓢ■STET…ACH

ⓔ■equensWorldline …ACH

Ⓢ■STET+ACI Worldwide

ⓔ■equensWorldline

端緒

協議体

■ERPB会議における「即時決済に関する声明」(2014年)「EU内全PSP(ノンバンク含む)が利用可能な、ユーロ使

用の1つ以上の汎欧州即時決済ソリューションの必要性」・採用する基礎スキーム、クリアリングシステム、セトルメントタイプの別は不問。

・“インターオペラビリティを欠く”即時決済を提供しない。・「レイヤード」アプローチの必要。・SEPA標準の積極的な採用…欧州決済市場上、断片化を回避。

■各ACHが即時決済システムを構築■EACHA(2006年)・ACH間の組織。個々のシステムについて、議論はしていないものの、

ACH間で連帯して対応。

性能

接続条件/料金

接続Ⓢ:仏、ベルギーの銀行群ⓔ:蘭の決済協会群

料金Ⓢⓔ■1トラン当たり 非公開

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• ECBは各即時決済のサポートシステムとなるTARGET2の拡張システムである即時決済システムであるTIPSを導入(2018年)。• 汎欧州である同システムは、各即時決済システム(ACH)が“クローズドループ”(限られた参加者に閉じたNW)になりやすいことから、各即

時決済システムそのリーチアビリティ(到達可用性)を補完するために、「TIPSを経由」して異なるACH間での送金が出来るようにしている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUの即時送金システム【ECB:TIPS】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時

■RTGS決済

■ECB(EU中銀)・システム等全体の監督

■EU内での24/7な即時決済システムについてECB等が議論■即時決済リテールペイメントのセトルメントを24/7で行うために、サポートシステムとして開発■実質的な他の即時決済システムとの競合が発生するとともに、汎欧州でない即時送金ACH間のリーチアビリティを確保した

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景

監督

運営

構築

■Eurosystem…主要NCB及びECB運営

<プラットフォームの構築>■Eurosystem…主要NCB及びECB構築

<接続の提供>■SIA-Colt*、SWIFT*SIA(伊)とColt(英)が協同して提供

端緒

協議体

■The next steps in the evolution of the Eurosystem’s market infrastructure(2016年) Eurosystemの市場インフラ進化の次段階を提示 3つのコンポーネント:Eurosystemの市場インフラの今後の開発

に関する戦略的な考察を提示…その1つが“即時決済をサポートする決済サービス”(TIPS)

■ERPB(2013年)・ECBの諮問機関として需要サイドと供給サイドからメンバーを募り、議論を形成・一部の議論のたたき台はSEPAの民間サイドの議論/SEPA標準策定を行っているEPC(銀行群が組成)が担う。

性能

接続条件/料金

■接続条件:TARGET2に準拠・銀行・ACH(EBAClearing,STET,equensWorldline等)■1トラン当たり0.25円/件* **…参加費/年間費:無*~2020年11月上記単価**~2019年末1,000万回分

各事業者のトランフィー:無料

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• Paylibはフランスの大手銀行3行によって、eコマース対応を目的としたアプリケーションとしてリリース。その後、店頭支払い、P2P送金機能を実装。

• 「100%フランスの銀行によるサービス」として、①非フランスへの情報流出、②銀行の情報管理のセキュアレベルを売りにしている。• 現在、インスタントペイメント(STET社のもの)を使用。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUのモバイル送金サービス【フランス:Paylib】

サービスの特徴

■24/365、即時

■送金共通基盤:各銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装

■エイリアス:自社基盤を活用(銀行口座と電話番号、メールアドレスを結ぶ。システムとしてはSTETが処理)

■フランス主要3行(BNPパリバ、仏郵政銀行、SocieteGenerale)・徐々に他行も参加。・3つのサービス(eコマース、店頭支払、P2P送金)のどれを自行アプリに実装するかはその銀行次第

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人・ 利用率は1.8%

基本

特徴的

■開始当初はオンライン決済用のアプリケーション(2013 eコマース、2017 店頭支払、2018 P2P送金)

■「 “100%仏発”かつ“銀行発”によるアプリだから安全」というセールストークを展開(他国のノンバンクのアプリへのカウンターとしてのアプリ)。

■STET IPCSMを使用・徐々にIPCSM(即時決済に

移行中)※1

■エイリアスの処理はSTETが実行

■NFC対応、クレジットカード等を登録することも可能(オンライン向け)。

使用システム/関係性

機能 システム

※1 eコマースや店頭支払いにしか採用していない銀行もあり。

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• オランダのTikkieはABN AMRO銀行がリリースしたモバイル送金(最初期は割り勘)アプリである。• エイリアス機能をABN AMRO銀行全体で担う(一度仕向銀行側からABN AMRO銀行の口座に入金させ、それを最終的な被仕向銀

行宛に再仕向けする)サービスは大変ユニークである。この一行が始めたサービスをオランダの各銀行が採用していったという広まり方についても大変ユニークと言える。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-5:EUのモバイル送金サービス【オランダ:Tikkie】

サービスの特徴

■24H/365D、即時

■送金共通基盤:各銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装(割り勘払い発のため、請求払いが基本だが、電話番号送金も実装)

■エイリアス:携帯電話番号、What’sApp IDを活用(What’sAppのメッセージングを活用)

■ABN AMRO銀行・オランダの銀行・様々なtech企業とコラボレートして、オープンバンキングを目指す。・Tikkieは他行がABN AMROのサービスを享受

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人・ 利用率は29%

■ビジネス利用あり

基本

特徴

■ABN AMROのサービスに各行が参加。■銀行発のサービスとして様々なTech企業とコラボし、進化。

■equens WorldlineIPCSM等を使用・即時決済に対応している銀行

宛であれば、使用可能。

■一度支払い者の送金をABNAMRO内の口座で受金し、そこでエイリアスの処理を行い、相手方口座へ送金。

■QRに対応(P2P、店頭)

■ビジネス利用にも対応

使用システム/関係性

機能 システム

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• シンガポールにおいては、既存のFASTを如何に活用するか、という政府の電子化戦略を中心とした観点でPAYNOWが導入された。• 国内QRを統一した際、MASが直接ノンバンクを巻き込んだケースと同様、FASTへのノンバンク接続について、現在ノンバンクをMASが

招請し、議論を行っているところ。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-6:シンガポールの決済システム全体像

即時

送金

シス

テム

モバイル送金サービス

■FAST主導:ABS (銀行協会)→ 商用システムとして始動

特徴:英FPS構築したVocalinkとベンダーを採用

各システム・サービス改革の軸 システム的な特性

■PAYNOW主導:ABS+MAS位置:FAST利用増大を目的とした

“FASTの機能拡張”機能:全銀行アプリが機能を享受

①個人(電話番号、国民番号、外国人居住者番号)

②法人+EDI用のコード③QR決済

■FASTのノンバンク直接接続主導:MAS概要:(QR同様)MASがノンバンク自体を巻き込み、FASTへの直接接続を議論備考:現状FinTech事業者への銀行免許受付も行っている

■政府電子化戦略主導:政府+MAS(中銀/当局)→ FASTの利用増

目的:①国家の競争力増強②(特に)小切手文化変革

■DigitalID実装主導:政府内容:①Singpass(認証)

②Myinfo(個人情報連携)

■国内QR統一主導:MAS内容:各種PSP(ノンバンク)を

政府が主体的に巻き込み国内QRを統一

対:民間事業体/消費者α:社会インフラ機能の向上

対:消費者保護・市場規制β:公正競争戦略

対:ノンバンク参入γ:NW接続の在り方

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• シンガポールのFASTシステムは2014年の稼働であり、もとは一般銀行の商用システムであった。• 2015年にMASが社会的に重要なシステムとした。• シンガポールの特徴的な流れはFASTのリリース後、FASTのより有用な活用の議論がなされたところにある。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-6:シンガポールの即時送金システム【FAST】

システムの特徴“主体” “流れ”

■24/365、即時■時点ネット決済(2回/日)・完全担保モデルのため即時

のファイナリティが付与

■MAS(中銀/金融監督庁)・FASTを重要な決済システムとして法令で認定。・FASTの使用を促した政府の電子化戦略上も重要な役割を果たす。

■FASTは元々、一般銀行群のシステム。■システム稼働後に、同システム活用促進としてPAYNOWが作られたところ。(よって、以下端緒や協議体はFAST構築後のPAYNOWに向けたもの)

導入/推進の側面

即時

送金

シス

テム

背景

監督

運営

構築

■ABS(銀行協会)・FASTを運営

■VocaLink・英国でのFPS導入時のVocalinkとベンダーがFASTを構築

端緒

協議体

■Singapore Payments Roadmap(2016年)・◎MAS(当局且つ中銀)+KPMGによる法人/消費者への広域な調査以下のものをはじめとした戦略が記載された・ペイメントカウンシルの組成(MASが需要/供給双方から集める)・相互運用可能なインフラ(PAYNOW)・FASTの障壁除去⇒Central Addressing、FASTの手数料低下

■Payment council(2017年)・MASを議⾧として、銀行群や経済界、小売業界からメンバーを招集

性能

接続条件/料金

■現状では銀行による直接接続のみ

■手数料等は非公表

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• シンガポールはPAYNOWを社会インフラとして導入。ビジネス送金にも耐えうる仕様としている。• 国民全体の利用率は70%ほどとかなり高い数値を推移している。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(2)-6:シンガポールのモバイル送金サービス【PAYNOW】

サービスの特徴

■24/365、即時

■送金共通基盤:各銀行アプリケーションの送金サービスの基盤として実装

■エイリアス:携帯電話番号、国民番号、法人番号

■MAS・首相府等の電子化戦略を受け、FASTの利用促進を主導した

■ABS・銀行協会・PAYNOWのリリースを行った。

主体

モバ

イル

送金

サー

ビス 導

入元

導入先

■個人、法人・国民全体に対する利用率70%

基本

特徴的

■SGQRにも対応

■外国人居住者番号への送金や、ビジネス仕様としてEDIに近いサービスを付属(ビジネスアカウントへの送金時に、数万通りの付番が出来る機能)

■FASTを使用・FASTのオーバーレイであると同時に、“FAST利用促進のため”の機能として、政府が必要性をし、構築

■各銀行のシステムの送金機能の基盤

→銀行によってはSingpassやMyinfoといった国内DigitalIDインフラでオンラインバンキング開設が容易になっており、PAYNOW利用の障壁も低い。

使用システム/関係性

機能 システム

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(国内外比較)2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較

調査報告書3「国内外のモバイル送金及び決済システム比較編」

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(3)我が国おける主要なモバイル送金サービス(1/3)

№ カテゴリ 日本

1 導入年

• 2014年12月:決済サービス開始(P2P送金、QR決済)

• 2019年12月:個人/法人の銀行口座への振込サービス開始(他者宛て振込は国内初)

• 2018年10月:事業開始

• 2019年10月:資金移動業の登録を完了

• 2018年4月:決済サービス開始QR決済、非接触式iDに対応

• 2019年9月:P2P送金のサービス開始(同社ウォレットのドコモ口座との連携)

• 2019年2月:QR決済、P2P送金サービス開始

2 サービス提供者 LINE Pay PayPay NTTドコモ みずほ銀行

3

決済手段・口座

口座 デジタルウォレット デジタルウォレット デジタルウォレット デジタルウォレット

チャージ手段

銀行口座 〇 〇 〇 〇

ATM セブン銀行ATM セブン銀行ATM セブン銀行ATM

コンビニ

• ファミリーマート• ローソン

• ファミリーマート• ローソン• ミニストップ• デイリーヤマザキ• ヤマザキデイリーストア• セイコーマート

その他

• クレジットカードを登録することで、LINE関連サイトに限り、残高がない状態でも決済が可能

• 銀行口座にも有料で送金可

【その他チャージ手段】• SB、Yモバイルまとめて払い

• クレジットカード• ソフトバンク口座• ヤフオク売上金• PayPayギフトカード

• Pay-easy

• 我が国の4サービス(銀行発、ノンバンク発)に対し10の切り口で調査をした上で、最終的な示唆の導出を行った(詳細は後段にて記載)。

出典:各社公表資料を基にNTTデータ経営研究所にて作成(サービス内容、係数はデータ取得時点のものであることに留意)

図14 LINEpay ロゴ 図15 PayPay ロゴ 図16 d払い ロゴ 図17 J-CoinPay ロゴ

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(3)我が国おける主要なモバイル送金サービス(2/3)

№ 導入国 日本 日本 日本 日本

4 利用手数料

• LINE Payアカウント同士:無料

• 銀行口座への振込手数料:176円/回(税込)

• 利用上限額:10万円/日

• PayPayアカウント同士:無料

• 銀行口座への出金手数料:100円/回(税込)ジャパンネット銀行は無料⋆自分の銀行口座にのみ出金可

• d払いのアカウント同士:無料

• 銀行口座への出金手数料:200円/回(税抜)みずほ銀行は100円/回⋆自分の銀行口座にのみ出金可

• ・J-Coin Payアカウント同士:無料

• 銀行口座への出金手数料:無料

5 利用上限額

• 利用上限額:送金/決済(本人確認前)10万円/件(本人確認後)100万円/件⋆Line Money(P2P送金)/Line Cash(オンライン決済)共に

• 銀行口座への振込:10万円/日

• 利用上限額:10万円/日(送金)50万円/日(決済)

• 銀行口座への振込:50万円/日

• 利用上限額:20万円/月(送金)1万円~10万円/日(決済)

• 銀行口座への振込:2万円/回×月5回まで

• セブン銀行ATMでの引き出し10万円/回×月10回まで

• 利用上限額:25万円/日(送金)50万円/回(決済)

• 銀行口座への振込:50万円/日

6エイリアス(ID紐付先)

• 電話番号• LINE ID• メールアドレス

• 電話番号• PayPay ID

• 電話番号• ドコモ口座番号

• 電話番号• LINE ID

7特色のある

機能

• 「友だち」登録済のユーザー宛に送金が可能

• 銀行口座への振込は、口座番号を知らなくても、受取人の名前と、電話番号、メールアドレスのいずれかを知っていれば送金が可能

• 受取人の電話番号かPayPay IDを知っていれば送金可

• 対面にてQRコードの読み取りでも送金が可能

• J-Coin Payのアプリ上で、QRコード、SMS、LINEを介し送金が可能(登録済みユーザー宛の送金はアプリ上で選択するだけ)

• (前ページ続き)

出典:各社公表資料を基にNTTデータ経営研究所にて作成(サービス内容、係数はデータ取得時点のものであることに留意)

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(3)我が国おける主要なモバイル送金サービス(3/3)

№ 導入国 日本 日本 日本 日本

8 コアインフラ自社システム 自社システム 自社システム みずほ銀行が主管し、参加行が利

用する形の共同システム

9 リアルタイム性

• LINE Pay同士の送金:即時

• 銀行振込:振込の時間帯により翌営業日の着金となる場合あり

• PayPay同士の送金:即時

• 銀行振込:翌日~4営業日ほど

• d払い同士の送金:即時

• 銀行振込:翌日~2営業日ほど

• J-Coin Pay同士の送金:即時

• 銀行振込:銀行営業日19時まで:原則当日19時以降:翌営業日

10 利用普及

• 国民数:126M(2020)• ユーザー数:32M(2019)• 利用率⇒25.4%

参考)LINEの月間スマホユーザー数:5990万

• 国民数:126M(2020)• ユーザー数:25M(2020)• 利用率⇒19.8%

参考)Yahoo! Japanの月間スマホユーザー数:6270万

• 国民数:126M(2020)• ユーザー数:10M(2019/10)• 利用率⇒7.9%

参考)携帯電話契約数(2019年)NTTドコモ:7966万件

• 国民数:126M(2020)• ユーザー数:N/A• 利用率⇒N/A

参考)2019年の公表資料における5年後のユーザー数目標:650万人

• (前ページ続き)

出典:各社公表資料を基にNTTデータ経営研究所にて作成(サービス内容、係数はデータ取得時点のものであることに留意)

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(4)調査結果サマリ

• 主要なモバイル送金サービスに対する10の切り口について調査結果(概要)を整理した。

• (今回調査したサービスの範囲においては)2010年代中頃より送金サービスが勃興している。

1.導入年

• ノンバンクが中心であり、金融機関は主に自社モバイルバンキング経由での送金が主流となっている。

2.サービス提供者

• 口座は各事業者が提供するデジタルウォレットが前提となっている。

3.決済手段・口座

• 自社内で完結する送金・決済サービスは原則無料だが、銀行口座への振込(出金)は有料となるケースが見受けられる。※※J-CoinPayのみ銀行口座への振込(出金)が無料

4.利用手数料(個人向け)

• サービスによって1件あたり・日次・月次と利用上限の持たせ方は様々だが、概ね日次で利用上限額が設定されている。

• 本人確認未・済等で条件が異なるが、概ね100万円以下となっている。

5.利用上限額

• スマートフォンでの利用を前提としたサービスという背景もあり、全サービス共通で携帯電話番号が紐づけ先となっている他、SNSのID活用例が見受けられる。なお、SNS IDはメッセージング機能を用いて相手方に送金した旨を通知する(電子マネー受信のために登録を促す)のに用いられる。

6.エイリアス(IDの紐づけ先)

• 事業者によっては、①ユーザー本人以外の銀行口座へ振込ができる(銀行口座以外の情報をキーに振込が可能)他、②アルバイト代やオークションの売買代金をチャージする等、P2P送金・銀行口座からのチャージによらない入金手段を備えているケースが見受けられた。

7.特色のある機能

• 自社サービス内でのみ即時化されている

8.リアルタイム性

• J-CoinPay以外:送金用に自社システムを構築している。一部クレジット・プリペイドカード等で決済等を行う際は、外部システムとの接続を行っている。

• J-CoinPay:みずほ銀行が主管し、参加行が利用する形の共同システムとなっている。

9.コアシステム

• 事業者によって大きく異なることもあり、(今回調査したサービスのみでは)明確な傾向等を把握するには至らなかった。

10.利用普及率

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(5)エグゼクティブサマリ(1/2) 日本

• 今回の調査対象であるモバイル送金サービスを、大きく「銀行発サービス」と「ノンバンク発サービス」に分けて、それぞれサービスの①クロスボーダー性、②機能性、③利用料の観点で整理した。

自国単体

グローバル

単純送金

送金以外の

多機能性

凡例

銀行発サービス

ノンバンク発サービス

№ カテゴリ

銀行発サービス(J-CoinPay)

ノンバンク発サービス(LINE Pay、PayPay、d払い)

1 クロスボーダー性

国内での利用に限定される。 • 送金の観点:国内での利用に限定される。

• 決済の観点:LINE PayとPayPayは、(一部の)自社加盟店に海外決済サービスとの互換性を持たせている。

2 機能性

単純送金の他、加盟店での決済で利用が可能。

基本的な送金・決済サービスに加え、メッセージングやコミュニケーション機能の付帯等で差別化が図られている傾向が見受けられる。

3 利用料

無料。 原則無料で、銀行口座への振込(出金)に手数料がかかる。

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2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(5)エグゼクティブサマリ(2/2) 日本と海外の比較

• 銀行発サービス:日本・海外共に、原則無料ながら各国内での利用に閉じており、単純送金・決済といった基本機能に特化している傾向にある。

• ノンバンク発サービス:日本・海外共に、原則無料で送金・決済に加えメッセージングやコミュニケーション機能の付帯で差別化を図っている傾向にある。海外事業者独自の特徴としては、本業と同じく送金サービスについてもクロスボーダーを志向している点が挙げられる。

№カテゴリ

銀行発サービス ノンバンク発サービス

海外 日本 海外 日本

1 クロスボーダー性

PayNow/Paylahを除き、自国内に閉じたサービス展開となっている傾向が見受けられる。

国内での利用に限定される。 元よりグローバル展開をしている企業は、送金サービスも同様にグローバル展開を模索する傾向が見受けられる。

• 送金の観点:国内での利用に限定される。

• 決済の観点:LINE PayとPayPayは、(一部の)自社加盟店に海外決済サービスとの互換性を持たせている。

2 機能性

P2P/B2C/B2B等のバリエーションはあるものの、基本的に単純送金に特化する傾向(送金を決済に応用している)が見受けられる。

単純送金の他、加盟店での決済で利用が可能。

基本的な送金サービスに加え、メッセージングやコミュニケーション機能の付帯等で差別化が図られている傾向が見受けられる。

基本的な送金・決済サービスに加え、メッセージングやコミュニケーション機能の付帯等で差別化が図られている傾向が見受けられる。

3 利用料

・個人向け:原則無料。・法人向け:一部手数料を徴収しているケースがある。

無料。 ・個人向け:原則無料※

※一部クレジットカード等を利用する場合、手数料が発生するケースがある

原則無料で、銀行口座への振込(出金)に手数料がかかる。

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• 全国銀行データ通信システムにオーバーレイし、P2P送金機能を向上する銀行間共通システムは、現状多くの銀行が参加する形では成立していない(大手行のブロックチェーン技術による実証実験などは実施されているもの)。

• “銀行間即時決済システムの有無”については、わが国は諸外国に先駆け既存システムの即時化を果たし、24/7化についても満たしている。

2-3.我が国における決済システムの動向及び海外との比較(6)日本のシステムレイヤ構造

銀行間即時決済システム(全国銀行データ通信システム)

中銀口座(日本銀行)

中銀システム(日本銀行金融ネットワークシステム RTGS、非24/7)

中銀 銀行ノン

バンク

ほぼ

× ◎ ◎

△ ◎ △

◎ ○ほぼ

×

◎ △ほぼ

×

少 中 多

モバイルアプリ(各社銀行提供)

Yシステムへの接続/参加多様性

DNS方式(Dual Netting settlement)

各行のモバイル送金は口座間送金の「銀行間即時決済システム」をそのまま使用している

コアタイムシステム【平日8:30~15:30】

モアタイムシステム【平日夜間&土日】

フロント~ミドル

バック

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二次利用未承諾リスト

報告書の題名

委託事業名

受注事業者名

頁 図表番号8 18 28 38 48 58 69 79 89 99 109 119 12

35 13127 14127 15127 16127 17

PaylahロゴGrab Payロゴ

 Apple Cashロゴ

タイトルPaymロゴOskoロゴZelleロゴVenmoロゴ

二次利用未承諾リスト

Dashロゴ各種FoFアイコンLINEpay ロゴPayPay ロゴ

令和元年度産業経済研究委託事業 (我が国におけるFinTech普及に向けた基盤整備に関する調査検討)報告書

同上

NTTデータ経営研究所

d払い ロゴ J-CoinPay ロゴ

swishロゴTikkieロゴPaylibロゴPAYNOWロゴ

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