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2012年度夏学期心理Ⅰ(岡ノ谷先生)

試験情報

・重箱の隅をつつくように教科書の細かいところから出題された

・教科書の図を用いた問題があった

・穴埋め問題が多かった

・マークシート方式なのに選択肢が10択だった

・得点が正規分布になるように問題を作っているらしい

ということです。とりあえず覚悟しておきましょう。

個人的には、シケプリ読むより教科書を読んだほうが点数は上がると思います。

 昨年の受験者の話だと、とにかく知識の丸暗記が有効だったとか。

1章 心理学の視点

おおざっぱに言うと―科学としての心理学の歴史

内観 1850-1950 自分で自分の心を研究する哲学から、心理学者が他人の心を研究する科学へ

内観の否定、行動主義 1950-1980 行動のみを研究対象「心などない」

認知主義、意識過程の重視 1980-1990 人間の心をコンピュータになぞらえる

安易な「心」の見方 1990-2000 脳活動を測定すれば心の働きがわかる

間主観性という方法 2000- 自分と他人の類似性を仮定し、何人かが似ていればそれを法則とする

1.1 はじめに

心理学の最終目標は人間の心の理解

心理学の初学者がえてして心理学に期待するのは

応用

・悩みや障害への援助

・自分のこころの問題の解決

応用は心理Ⅱで扱う。しかし、応用にばかり目を向けると興味本位の有害な心理学になりがちで、前提として必要なのは

基礎

・人間の心がそう簡単にわかるものか←わからないので、さきに

・動物、人を使った基礎研究(動物の条件付けの研究、人の情報処理のメカニズムなど)

1.2 心理学の方法

1.2.1 こころの理解

哲学から科学へ 心理学は科学だとも科学でないともいえる。しかし心理学者は心理学を科学にしたかった。1850年代ライプチヒ大学のヴントから始まる

実証主義 19世紀西欧 観察や実験などによる確実な証拠を基に研究

・刺激の制御(刺激ってなんだ) 刺激(丸い光が見えるとか)をコントロールできる実験室で、被験者に刺激を提示。科学としての客観性、実証的データを求める

・内観による意識内容の記述 心理学の対象を、われわれが直接に経験する意識内容とする。被験者に意識的な体験についての報告(内観報告)を求める。

⇔哲学的心理学:心理学者自身が自分の意識的な体験を記述。研究者個人の心理学

・発達の軽視(子供には内観はできない) 内観に熟達した、限られた人を対象

内観の実習1 目をつぶり、60秒たったと思ったら手を上げる。 

どのくらいばらつくか 1回目50-90、mod70 → 2回目 55-70、mod65 

フィードバック(訓練)によりばらつきが縮まる。

内観の実習2 ネッカー・キューブは1分間に何回反転するか

1.2.2-1.2.3 個体発生と系統発生

個体発生

・こころは変化する 成人だけを相手にするのでは不十分、成長過程で心の働きは大きく変化。しかし

・内観法では子供のデータはとれない 訓練を受けた成人の内観報告と比べ、こどものないかんほうこくはしんようがおけないとされる。発達研究の軽視へ

・さまざまな測定法の開発

トピック1-1(p.6)

・選好注視 変化のある刺激に長時間視線を向ける。例:縞視力(縞模様に見えるか、一面灰色に見えるか)

・馴化・脱馴化 同じ刺激が反復されると慣れ(馴化)が生じほとんど反応しなくなるが、新しい刺激を与えると慣れが回復する。先の刺激(馴化刺激)と新しい刺激(テスト刺激)を区別しているかどうかがわかる

・予想の裏切り 予期していた事象より予期しない事象を長時間注視する。例:人形を使い、足し算をすると間違った答えのほうを見つめる。5か月児の計算能力?

系統発生

・心も進化の結果 いろいろな進化の段階にある動物種と比較する系統発生的研究により、人間の心の働きの特徴を明確に浮き彫りにする

・動物を使った研究

 トピック1-2(p.9)

 ケーラーの実験

 ・迂回 柵の向こう側に餌を置く

  ニワトリは迷う 試行錯誤、偶然に頼る

  犬はそれほど迷わない 場面全体から自分の位置と柵の関係を認知、問題解決

 ・道具 チンパンジーは道具を使うが、犬は試みない

  チンパンジーの洞察

   重ね箱 天井からバナナをとるため、箱を持ってきて重ね踏み台にする

つなぎ棒 柵の向こう、棒を2本つなげれば届くところに餌。1本の坊や箱を用いる「悪い誤り」→2本の棒を使い、解決につながる「よい誤り」

トピック1-3(p.11)

 類人猿の「言語」学習 20世紀半ばから多数試みられる

 ・音は無理 ヘイズ夫妻とヴィッキー

 ・手話 100単語 ガードナー夫妻とウォッシュー、2語文や3語文

 ・レキシグラム 数百語 一定数の構成要素から合成された図形記号、人の言語に似た仕組み 京都大学霊長類研究所・松沢哲郎とアイ(文の理解、図形記号の合成)、サベジ・ランボウとカンジ(音声言語の聞き取りとレキシグラムによる発信)

 ただし批判的検討が必要 言語ではなく、訓練士が無意識に与えるキューを読み取っていた可能性

 ・犬でも200語以上(ボーダーコリーのリコ)

 ・事物と単語(音、図形)との対応は言語のごく一部

参考書籍 『アレックスと私』著者・出版社はメモれませんでしたm(_ _)m

1.2.4-1.2.5 動物、病理

神経系の形成はほ乳類に共通

・猫、ねずみ、猿など

・比較、損傷などが有効 知的能力、情動で黄な働きの特徴が生育環境によってどのように左右されるか/脳の様々な部位に刺激を与える、脳の一部を破壊するなど

・非侵襲 侵襲:神経系にダメージを与え、行動への影響をみる。現在はあまりできないが……

心的障害を手がかりに心を理解する

・言語報告でよいのか?障害自体が反映される ゆえに、内的報告を材料としつつ

・本人の心的状態を推測する必要 本人が信じていることが、そのまま心の直接の情報となりうるとは限らない

1.3 行動研究と心理学

1.3.1 S-R結合

内観は不十分 発達や進化の軽視、不正確さなどなど

ワトソン 行動主義 20世紀初め 公共客観的(誰もが見、触れて確かめられる)な行動を対象⇔内観主義 私的で主観的

S 刺激(Stimulus) R 反応(Response)の結合関係を明らかにする 乳児も動物も成人と同様の対象

内的過程の否定 反応を末梢的な筋の収縮や腺の分泌としてしかとらえない

意識なき心理学 心なき心理学 内的な心理過程(何を考え、どう感じるか)を考慮しないという批判

とはいえ、心理学を科学にする過程として必要だったかもしれない 行き過ぎではあるが。

トピック1-4(p.14)

ワトソンの恐怖条件づけ アルバート坊や(11ヵ月)

・白ネズミ(を見ているところで)+(鉄の棒をたたいて)大音響=数回繰り返すと白ネズミを見ただけで泣き、逃げる←条件づけ

・白い毛はなんでもこわい 白ウサギ、サンタクロースのお面を見ても泣く←般化

条件づけは消去可能

ワトソンの経験主義的主張(「1ダースの乳児を与えてくれればどのような型にでも育てる」)とともに人間性を冒瀆する不遜な態度と非難

トピック1-5(p.16)

顔面視覚 視覚障害者の障害物知覚←視覚障害者の内観に基づく

・目をつむって壁に向かって歩いてゆく

・うまく止まれる 健常者より視覚障害者のほうが正確

・顔面視覚なのか? 実は高周波の音の反響音

主観的な体験(知覚内容)が何によって規定されているかは内観報告ではわからない

1.3.2-1.3.4 こころと心理学の方法・行動とこころ・心理学と応用

こころとは、(複雑な)行動を支える内的過程 物質的には高次の中枢神経系ないし脳の活動

こころを持つとはどういうことか

・S-Rが一意でないとき、内的過程が必要 内的過程があることにより、その生物の行動がより適応的になる

いろいろな心の状態があり得る

・アメーバからチンパンジー アメーバにこころはない、チンパンジーにはある(両極性の定義) では中間の昆虫は?爬虫類は?……さまざまな段階の動物、希薄なレベルから濃厚なレベルまで一種の連続した次元上の働き 例:サボテンの感情 「サボテンには感情があるらしい でもあってどーすんだろー?」、 意識を持つ惑星“ソラリス” 岡ノ谷先生的には、サボテンに感情があってもいいが惑星に意識があっても役に立たないらしい

人間とほかの動物の心のあり方が違うとすれば? それはなぜか?

・内的な自己意識 哲学的ゾンビ問題 『外面的には普通の人間とまったく同じようにふるまうが、その際内面的な経験を全く持っていない人間もどき』のこと 実は隣の人がそうだったとしても、わからない

応用心理学 なんとか心理学と呼ばれるようなもののこと 教育、臨床、犯罪、産業、交通などなど、基礎研究と実践場面の相互的な関連

参考書籍 森山徹『ダンゴムシに心はあるのか』PHPサイエンスワールド新書

2章 行動の基本様式

あらすじ

刺激と反応の関係(S-R)

直接的:反射、本能行動

・膝を叩くと足がはねる(膝蓋腱反射) 赤を見ると攻撃する

多少間接的:習得行動

・梅干を見るとよだれが出る

非常に間接的:シンボル

・「止まれ」という文字を見てとまる

2.1 行動の水準

直接的行動と間接的行動(p.22図2-1)

・刺激の受容から応答までの関係が直接的か間接的か

・短い神経系と長い神経系(あいだにシナプスがどのくらいあるか)

直接的:感覚支配的行動(反射、本能) 比較的短い神経回路に支えられる。一定の刺激にほぼ決まった反応、それほど遅れない

間接的:間接家機構同、認知的行動(思考) 比較的長い神経系(上位の中枢の複雑な過程が介在) 刺激と応答は一定しているとは限らない。刺激後すぐに応答するとも限らない

2.2 感覚支配的行動

反射 大脳を使わない。おおむね一つの行動で完結

・膝蓋腱反射

・ヒト新生児の原始反射(p.24表2-1) 大人になるまでに消える

・下丘‐脊髄反射

定位反射:乳児が、周囲の目立つ刺激に対して自分の体や感覚器官を向ける⇔防御性反射の抑制

反射の例:バシッと大きな音がすると、音のした方に首を回す(驚く前に振り向いている)

本能行動 少し大脳を使う。いくつかの行動の組み合わせ

・トゲウオの求愛行動(p.26トピック2-1) 互いの行動が信号刺激として機能し次の行動が起こる

・(ある程度)ヒト雄のメス性的刺激追従行動

・(ある程度)ヒトの挨拶行動 (p.27図2-3) 人と出会うと互いに目を見つめ、1/6秒ほど眉を上げ、それから微笑む。どの民族でも共通

2.3 習得的行動

古典的条件づけと予報的信号(準備) 特定の事象(無条件刺激)がいずれ生じることをあらかじめ生体に予告する。例:パブロフの犬 ベルが鳴る(予報的信号)といずれ肉が出てくる(無条件刺激)→ベルを聞くとよだれが出る(準備)

オペラント条件づけと約束的信号(働きかけ) 約束的信号に応じて学習による特定の自発的行動を行うことで望ましい結果が得られる。例:お手 主人が手を出す(約束的信号)→犬が前足を乗せる(自発的行動)→ほめられる

行動の間接化

・刺激と報酬の時間的・空間的乖離 条件づけによる習得行動より時間的・空間的に離れた状態で報酬を探す日常の環境=間接化 ここで適切に行動できれば適応の範囲が飛躍的に拡大

2.4 シンボル機能と発達レベル

ハンターの遅延反応の実験(p.30トピック2-3)

・刺激をひっこめてから反応させる 明かりのついた部屋に行けば報酬がもらえる。明かりが消えてからスタート

・姿勢を固定させて覚えようとする(動物)

・言葉やイメージに変換して覚えようとする(ヒト)

シンボル機能

・信号刺激の情報を内的に保持しておく機能

・遅延課題における姿勢固定は仲介的な行動で、信号の代わりに動物が作り出したシンボル

・刺激が複数の場合、対応した仲介行動を作ることもある(p.33図2-5)

遅延テストの前に予備訓練が必要な場合=間接法、予備訓練なしの場合=直接法

系統発達的・個体発生的に発達レベルが低い場合、遅延可能な時間が短い。言語コミュニケーション能力も関係。

姿勢固定・イメージ・言語機能 の順に複雑な遅延状況に効果的に対処可能

トピック2-4(p.34) 子供の遅延反応テスト 命名群(図形に「ゴ」と「シチ」と名前をつけた)のほうが弁別群(同じか違うかの区別しかしなかった)より成績が良い。年長組では、弁別群の子供が自分で図形に命名しているので年少組より差が小さい

 トピック2-5 三角形の概念 ヒトの2歳児はシンボル行動を利用して形の弁別を行う。チンパンジーも等価反応ができ原始的な三角形の概念を持つが、人の幼児のほうが抽象化・記号化を進めている

2.5 意識と行動

言語:個体間のみならず個体内コミュニケーションも司る。 自分の思考に用いる

色名習得の例。(p.36本文・トピック2-6) 言語発達遅滞で言葉が欠如した子供に遅延反応訓練 色名習得の訓練を受けると遅延時間が10秒→数分に延びる

5,6歳ころから、言語的な自己調整機能 自分でものに名前を付けられる、など。意図的な自己制御が可能になり、意志的にふるまう。声に出して自分自身に命令→頭の中で自分自身に内的に命令できるようになる(p.37トピック2-7)

意識:正常な覚醒状態にあり環境の刺激に対して応答しうる状態

両極性の概念:欠如から明晰な状態まで 例えば、眠いときは意識はあるが弱い

2.6 意識の成立過程

シンボル機能 系統発生的、個体発生的な発達に伴い、適応行動に大きな役割

・例:物体の永続性 物体が一時的に隠されても、そこに物体は依然存在 いないいないばあをしても喜ばなくなる 1歳半ころまでに完成

意識を確かめる方法―鏡像認知

・サカナ、トリ、イヌ、ネコはできない 他個体だと思って攻撃、探索する。トゲウオ雄の転位行動(p.41本文)

・チンパンジー、2歳以上のヒトはできる マークテスト 寝ている間に顔に落書きすると、鏡を見た時自分の顔を触る。自己認知発達の目印(p.42トピック2-8)

・鏡の道具的利用ができるかどうかであり、意識と関係するのか? インコにシールをはがさせる実験 鏡を道具として使えば褒美がもらえると思っているだけ

意識の発生段階

・反射・本能 一般に意識を伴わない

・萌芽的意識 外界に対する心的なイメージや表象、ないし心的なモデルを形成し、それに基づいて認知的行動が可能

・自分自身を対象とした意識 自分自身に対するモデル(再帰的モデル、自己意識)を形成し、それとのかかわりのもとに感情などの内的状態や認知的行動の調整、制御が可能

「心の理論」

D.Premack and G.Woodruff (1978) , Behavioral and Brain Sciences 4:515-526

他者の行動に内的過程(=心)を仮定し、それに基づいて他者の行動予測をする能力を、「心の理論」という 他者の心について何らかの仮定を持っているか

サリーとアンの課題 サリーがビー玉をカゴに入れる→サリーが立ち去る→アンがサリーのビー玉を箱に隠す→サリーが戻ってきたとき、どこでビー玉を探すか?

質問①ビー玉は本当はどこにあるか ②前はそれはどこにあったか ③サリーはどこを探すか(①②は被験児の状況理解と記憶の確認)

4歳まで:③サリーは箱を探す(自分のこころとサリーの心が違うと思っていない)

4歳ころから(簡単な課題ならもう少し早い):③サリーはカゴを探す(サリー(=他者)の考えや信念を推量)

自閉症児:5,6歳の健常児の知能でも③サリーは箱を探す(p.45トピック2-9)

心の理論は適応的

行き当たりばったりの行動をとる(×)

他者の行動から次の行動を予測(△) 昨日○○さんとけんかしたけど、今日普通にしているから怒ってないのかもしれない←本当かどうかはわからない

他者には内的過程があると仮定して行動(○) 昨日○○さんとけんかしたから、にこにこしてはいるけどやっぱり怒ってるんだろう

3章 発達―遺伝と環境

概要

人間の行動や心の特徴は、生まれつきなのか、経験を通して獲得されるのか

先験論・経験論、生得説・学習説

遺伝要因・環境要因、相互作用

行動や心の発達変化とこれらの要因の関係はどうなっているか

生涯発達 発達の問題=誕生から死までの一生の過程の問題

3.1 遺伝と環境

氏か育ちか

・生得的要因(氏)=遺伝的要因、環境的要因(育ち)=経験的要因

・相互作用を見ることが必要

・例:トピック3-1(p.51) 乳児の乳探し反射の可塑性 はじめ30%→乳探し行動をすればブドウ糖溶液を与える(強化)→80%に上昇→ブドウ糖溶液を与えるのをやめる(非強化)→30%に戻る 原始反射も環境からの刺激作用によって発現や維持が支えられる

動物行動

・生得的な面(生まれつき型が決まっている)と習得的な面(学習によって成立、変化する)

・本能行動 変容しない部分(完了的位相)=反射的、とする部分(予備的位相)=高次機能と関連

・例:ネズミの性行動

 大脳皮質除去>オスでは交尾率が、メスでは母性行動効率が下がる(ただしオスほど下がらない)

 オスは予備的位相多い 大脳皮質に制御されている部分が多い

 メスは完了的位相が多い 大脳皮質に制御されている部分が少ない

成熟か経験か 生まれた時からできる・発達によってできる・発達+経験によってできる

ヘッブの分類

 1.遺伝的要因 受精卵の生理学的特質

 2.出生前の化学環境 子宮環境の栄養ないし毒物の影響

 3.出生後の化学環境 食物、水、酸素、薬物など、栄養ないし毒物の影響

 4.定常的な感覚要因(出生前後) 自然環境など、正常な場合には種に属するメンバーすべてが避けることのできない経験

 5.変動性の感覚要因(個体差) 社会的要因、種に属するメンバー相互で異なる経験

 6.外傷的要因(まれ) 細胞を破壊するほどの物理的事象

遺伝か環境か

経験か

通常一定

氏か育ちか

1.遺伝

遺伝

遺伝子次第

一般に氏

2.出生前化学

環境

ほぼ一定

一般に氏

3.出生後化学

環境

ほぼ一定

一般に氏

4.定常感覚

環境

初期経験

ほぼ一定

一般に氏

5.変動感覚

環境

学習経験

個体差あり

育ち

6.外傷

環境

個体差あり

一卵性双生児 1,2,3,4が同じ 5は高い確率で同じ

二卵性双生児 1は異なる 2,3,4が同じ 5は高い確率で同じ

3.2 発達的変化

発達:時間の経過の中での変化のうち、一定の方向性を持つ持続的なもの

未分化な状態から分化した状態へ

・グーとパーからチョキへ

・脳全体が活動しているか活動していないか、から、部分的に活動する、へ

量的変化(体重など)と質的変化(認知など)

発達段階説

・フロイトの性愛説

 口唇愛期、肛門愛期、男根愛期、エディプス期、潜伏期、性器愛期

・ピアジェの段階説

 感覚運動期 (~2歳) 感覚と運動を通して外界に適応。生得的な反射→簡単な予測行動

 前操作期 (2~7,8歳) シンボル機能の発達、自己中心性、中心化

 具体的操作期 (7,8~11,12歳) 脱中心化、保存概念、論理的な物事の処理(具体的課題)

 形式的操作期 (11,12歳~) 抽象的な推理、論理的思考

刷り込みと初期経験 早熟性のトリで劇的、哺乳類にも存在

・孵化して最初に見た対象に愛着・追尾 音を出しながら動くものなら何でも

 敏感な時期(敏感期)がある アヒルは孵化から14-16時間後

 餌などの強化は不要 赤いボールが音を立てながら回っているだけでもOK

 非可逆性がある いったん刷り込みが行われると、違うものへの刷り込みは難しい

・学習する本能としての刷り込み その後の愛着の対象となるものを学習

初期経験と問題行動 はじめに何を刷り込まれるかが重要 仔ザルを幼児期に隔離すると、ほかのサルとの社会的な場面で適切な対応ができなくなる。人に育てられたチンパンジーは、チンパンジーを見ても仲間だと思わない

知覚・認知と初期経験 知覚・認知などより基本的な情報処理の過程にも初期経験は重要

・例:しまねこ(p.59トピック3-3) 生まれた時にいろいろなものが見える環境にいないと、いろいろなものを見ることができなくなる。 仔ネコを横縞のみの環境で育てると縦縞の刺激に、縦縞のみの環境で育てると横縞の刺激に、それぞれ反応しなくなる

・生後すぐ眼帯を使うと、片目が見えなくなる 片目だけを眼帯で覆うと、視覚野形成期に見える方の片目に視覚野の領域が独占される。両目を覆ってしまえば視覚野形成期は遅れるが、両目が同じように発達する

準備性(レディネス) 特定の行動を習得するには、子供がその学習を受け付けることができるような内的な成熟段階に達していることが必要

ゲゼルによる成熟優位説⇔経験主義(基本的な反射以外はすべて学習による)

・双生児統制法による研究 一卵性双生児のうち、片方に一定期間特別の訓練を受けさせる→訓練を受けていない子供も間もなく追いつくことを証明

・例:ふたご階段 (p.61トピック3-4) 双子の片方に6週間、階段昇りの訓練(当初は手助けが必要)→6週間後、訓練を受けた子供は訓練を受けていない子供(手助けは不要)より早く昇れる→さらに2週間後、訓練を受けていない子供が訓練を受けた子供を追い越すように

早く教えればよいものではなく、適切な時期に教える(学習準備性)のが重要。ただし、訓練を受けなかった子供もその間動き回っていたはずであり、学習準備性の形成には種々の選考経験が基盤にあることを考慮する必要

10章 心理学史

概要

古代:哲学と不可分

近世:心身二元論、一元論 現在は一元論優勢

19世紀後半:科学になりたい(内観)

20世紀:行動主義(行動)

20世紀後半:認知主義(コンピューター)

21世紀:生物主義(脳=心)

参考:川上未映子:わたくし率イン歯―または世界 歯に心があると考えたらどうなるか。後述

10.1 こころの概念

古代

・ヒッポクラテス

 性格類型 エンペドクレス 自然を構成する4つの根(火、水、土、空気)→ヒッポクラテス 「からだ」を構成する4つの体液(血液、粘液、黒胆汁、黄胆汁)→ガレノス それぞれに対応する4つの気質(多血質、粘液質、憂鬱質、胆汁質)

精気論 呼吸によって体内に取り入れられる「精気」が「生命」や「こころ」の担い手

・アリストテレス

 質料(構造)と形相(機能) 心の働きは身体を通して初めて具象化 脳=質料、心=形相 混同しないように!

 栄養と生殖(植物)、感覚と運動(動物)、理性(人間) こころの段階。動物は栄養~運動、人間は栄養~理性を持つ。現代に置き換えると脳幹―植物、前頭葉―人間

 生物学的、現代的 こころ=生命の機能原理

中世の闇、魔女狩り、科学の停滞

近世

・デカルト

 生得説(生まれた時からある程度作りこまれている)、動物機械論 身体は「もの」の世界の法則によって支配⇔「こころ」は人間にのみ経験される意識的事実

 二元論 「心」の属性:思惟、「もの」(身体含む)の属性:延長 動物精気が松果体を刺激して精神現象が起こる(p.296図10-3)

網膜像の実験(p.296トピック10-2.ケプラー、シャイナー、デカルト)

Cf.)プリズム実験 上下か正しく見えるよう、脳が処理する

・ロック

 白紙説 経験が心を作る。経験を経る前の「こころ」は白紙

 経験主義 知識の根源は経験

 概念の連合、連合主義のはしり 不合理な思考、共感、反感の説明という文脈に限る→ハートレイ

 精神科学:要素概念の合成と分解による心の説明 複雑な観念の分解、単純な観念の合成によって心的過程の変化を説明

 生理心理学のはしり 物理的概念による説明 感覚=神経内部の振動、観念=その微弱な名残

10.2 精神医学の影響

古代

・ヒッポクラテス 精神病は脳の、ヒステリーは子宮の病 例:てんかん ×神に心を奪われた聖なる病 ○脳の不調和状態に基づく自然の病  ほかメランコリー、マニー、うつ病、パラノイアなど

中世

・精神病者は魔女 精神医学の近代化は18世紀末から

催眠

・メルスル(医療の手段として用いる)、シャルコー 19世紀後半、ヒステリーや催眠の研究に一般の関心

フロイト 精神分析学の始まり 催眠現象の研究に影響を受ける

・自由連想法(思いつくままを患者に語らせる)、抑圧を解き放つ、カタルシス(浄化) p.300トピック10-4

・汎性欲説(人間行動の根源をリビドー=性欲におく) イド、エゴ、スーパーエゴ、リビドー 『精神分析入門』『夢判断』一度は読むべき(by岡ノ谷先生)

・弟子の反目 アドラー(劣等感)(優越欲>性欲)、ユング(集合無意識)(リビドー=生命的エネルギー>性欲) 『赤の本』

10.3-10.4 感覚の研究と実験心理学

心理学に先立ち、19世紀に感覚生理学 色彩感覚、聴覚など

・例:ヤング・ホルムヘルツの三色説(赤、青、緑)、へリングの反対色説(赤と緑、黄と青) いずれも正しい。p.301トピック10-5

精神物理学 感覚と刺激との間の量的関係を測定

・ウェーバー、フェヒナー 人間の行動特性と刺激の物理特性との関係 例:光、重さ

実験心理学

・ヴント(意識内容を対象、内観法によって分析。P.303トピック10-6)、エビングハウス(記憶の厳密な実験的研究。P.304トピック10-7)など

10.5 生物科学の発展とその影響

進化思想 ダーウィンの進化論 自然選択・適者生存→人間(の心)も生物 変異→適応→選択(淘汰)の流れがあるはず

※進化:分岐を起こしながら多様性を獲得すること ≠進歩

動物(比較)心理学 動物機械論から動物と人間の連続性重視へ

・ソーンダイク ニワトリ、犬、猫などの学習過程研究(試行錯誤と効果の法則) 動物を賢い順に一直線に並べる

行動主義 心理学は純粋に客観的かつ実験的な自然科学の一部門、目標は行動の予測と統制

「刺激と反応」を扱う。目標:刺激が与えられればどんな反応が起こるかを予測でき、反応が与えられれば有効な刺激がなにであったかを指摘できるような、資料と法則とを明確にすること(S-R心理学)

・パブロフ(反射学)、ワトソン(条件反射) 心理学を客観的な科学へ→反応を訓収縮や腺分泌のような末梢部分の過程に還元(分子的・末梢的)

10.6 科学としての心理学

ゲシュタルト(まとまり)心理学 6章参照

・全体は部分の総和以上 実験現象学 現象をあるがままにとらえ、その現象的特性とそれを生起させている本質的条件とを実験的に明らかにする

・ヴェルトハイマー(運動視の知覚実験)、ケーラー(類人猿の問題解決行動 ×試行錯誤の結果としての偶然 ○場面の全体的構造に即した「見通し的」行動)、レヴィン(力学的「場」の構想を個人の生活空間や集団行動の分野に拡張、集団力学)

・仮現運動(二つの光が交互についたり消えたりしているだけなのに、一つの光が流れるように動いているかのように見える)、プレグナンツ(群化)の法則など p.309トピック10-9

新行動主義SとRの間に介在する生活体自身(O)の役割を正当に評価

・トルーマン 媒介変数の重視 媒介変数=観察不可能な「こころ」 例:ネズミを迷路に入れておくと、餌を置かなくても道を覚える

・スキナー オペラント条件付けと関数分析 オペラント型反応に種々の強化スケジュールがもたらす反応累積曲線への効果オペラント型反応:生活体の側から自発⇔レスポンデント型反応:外的刺激によって誘発

発達心理学、比較行動学

・ピネの知能検査

・ピアジェの段階説 3.2参照

・ローレンツの刷り込みと生得的解発機構

10.7 現況

行動主義から再び意識へ 刺激と反応という外側から観察される事実だけでなく、行動主体の内側で働く内的過程(≒意識)を仮定する必要

認知心理学 意識を研究対象として取り上げる。情報科学の発展を集大成して成立(p。315トピック10-10)

・情報処理アナロジー コンピュータの発達→生体の行動は一種の情報処理システム→人工知能の研究

脳神経科学

・祖:ラシュレー(心理学的な行動研究→神経科学的モデル、両作用説・等能性)とヘッブ(神経生理学的モデル:ニューロン群「細胞集成体」→位相連鎖→認知過程・思考過程) p.316トピック10-11

脳画像法 非侵襲的(麻酔を使ったり脳内に電極を埋め込んだりしない)な処理で脳の活動変化をとらえられる 脳波(EEG)、脳磁図(MEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、陽電子放射断層画像法(PET)、光トポグラフィ(NIRS) 

科学で心はわかるのか?

こころはどこにあるのか 奥歯? 脳がなくなったら心の大事な機能も失われるだろうから、心は脳にあるといえそう。ただし、奥歯を抜く前の自分と抜いた後の自分では少し心が違うと思われるので、奥歯にも心が少し入っているんじゃないか、というのが川上未映子の理屈……だったかな^^;

4章 学習

概要

学習によって記憶は膨大になる

行動は日常の経験で変容する

学習・記憶:新しい行動様式や知識がどのように習得されるのか

・その基礎過程

・分析法

・神経学的基礎

・傷害

4.1.1 古典的条件づけ

古典的条件づけ 例:パブロフの犬

・ベル→何もおこらない(ベルは中性刺激)

・餌(US)→唾液(UR)

・ベル+餌→唾液

・ベル(CS)→唾液(CR) 実はURの唾液とCRの唾液は成分が違う

・US:Unconditioned Stimulus 無条件刺激

・UR:Unconditioned Response 無条件反射

・CS:Conditioned Stimulus 条件刺激

・CR:Conditioned Response 条件反射

古典的条件づけ

・中性刺激(注目している行動について何も変化が起こらない)を無条件刺激(学習前から反応が起きる)と対提示、反復

・中性刺激が無条件刺激の機能を獲得

・これはロックの言う「概念連合」の過程 例:「餌」と「ベル」が結び付く

・条件反応が成立、中性刺激が条件刺激となる

古典的条件づけは情動に影響する

・嫌悪刺激:不快な情動を喚起する無条件刺激

・中性刺激が嫌悪刺激と対提示され、嫌悪感を誘発することになる 例:緊急地震速報 地震の揺れ(嫌悪刺激)+緊急地震速報の音(中性刺激)→誤報で揺れがなくても、速報音だけで嫌な感じがする

条件刺激の予報性(p.67トピック4-1)

・連合のための条件 条件刺激と無条件刺激の時間的接近が基本的条件と考えられてきた

 対提示の回数? 多ければよいというものでもない

 条件刺激の予報性 条件刺激が無条件刺激の情報をどの程度提供するか

・音と嫌悪刺激の対提示実験 音を条件刺激(中性刺激)、電気ショックなど嫌悪刺激を無条件刺激とする

a:音と嫌悪刺激が1対1 ○(条件づけが生じる) 時間的接近+予報的信号の機能

b:音と嫌悪刺激がランダム × (条件づけが生じない) 予報性がなく、当てにしなくなる

c:予報性のない嫌悪刺激を取り除く ○ (条件づけが生じる) 音がすると必ず嫌悪刺激が起こるわけではないが、刺激の前には必ず音がする(bより予報性が高い) 予報説を裏付け

消去

・手続き

 条件刺激のみ提示→条件反射の消失 例:速報音だけが鳴って地震が起きない→速報音が怖くなくなる

しかし休憩を入れる(条件刺激も嫌悪刺激も起こらない)と条件反射は自発的に回復 例:一年ぶりに緊急地震速報が鳴ると、揺れるかどうかにかかわらずびくっとする

・消去とは反射を抑制する過程も含まれる 条件反射を取り消すだけではない

般化と分化

・ある音で条件づけ、ほかの音にもある程度反応(=般化) ただし反応の程度は弱い(般化勾配) 元の条件刺激から遠ざかるほど、条件反射を引き起こす力は弱くなる

例:岡ノ谷先生の娘と緊急地震速報 地震(嫌悪刺激)+緊急地震速報の地図(中性刺激)→緊急地震速報の地図が条件刺激に→地図ならなんでもこわい(般化)→天気予報を見て泣く

・分化:一方の刺激にのみ無条件刺激を対提示 刺激が極端に類似していない場合

分化と実験神経症(p.68トピック4-2)

・分化条件づけ実験 丸と正方形の2つの刺激

 丸にのみ対(無条件刺激を)提示

 初期は正方形にも反応(般化)

しかしいずれ正方形への反応は消失(分化)

・実験神経症

 円と楕円の分化条件づけ

 次第に円と楕円を近づける 分化が困難、情報の予報性が失われる

 行動の混乱が生ずる 実験対象のイヌが暴れるようになるなど

二次条件づけ(Second-order conditioning) 条件づけしたもと中性刺激、現条件刺激を、無条件刺激のように使って別の中性刺激で条件づけする

・ベルの音を条件刺激にする

・白い正方形をベルと対提示

・正方形にも唾液分泌

4.1.2 オペラント条件づけ

二つの条件づけ

・古典的条件づけ:刺激により誘発される反射

・オペラント条件づけ:ある手がかりにより自発され、環境変化によって自発頻度が変化する

オペラント条件づけ手続き

・オペラント箱(スキナー箱、チェインバー)を用いる

・空腹のハトはいろいろなものをつつく

・たまたまキイをつつく(オペラント)と餌が出る(強化:環境変化) このとき、予備的な手続きを導入し、段階的に目標とする行動が生じやすくする手続きを取る(反応形成)

 正の強化→頻度が上がる

オペラント

・動物によって自発される行動

弁別刺激

・オペラントの手がかりとなる刺激。弁別刺激のもと、オペラントが自発される。

強化刺激

・オペラントの自発頻度を強化させる刺激。

正の強化:提示することで頻度を上げるもの

負の強化:除去することで頻度を上げるもの

強化

・強化刺激を与える手続き

自動反応形成:2つの条件づけの相互作用 p.71トピック4-3

・古典的条件づけ過程

 キイの点灯(CS) と餌(US)を対提示→つつき反応(CR)

・オペラント条件づけ過程

 つつき反応(オペラント)→餌(強化)

 キイの点灯(弁別刺激)→つつき反応(オペラント)

自動反応維持

・自動反応形成の手続きを修正してつつくと餌が出ないようにする

・それでもつつき続ける

嫌悪刺激

・それを除去することでオペラント行動の頻度が上がる、またはそれを提示することでオペラント行動の頻度が下がるような刺激

逃避学習

・嫌悪刺激から逃避することの学習 嫌悪刺激を何度か経験すると、その状況から素早く逃げる

回避学習

・ある行動をとることで、嫌悪刺激を回避することの学習 あらかじめ適当な行動をとれば嫌悪状況を回避できるような状況を設定しておく

学習性無力症(p.72トピック4-4) 嫌悪刺激を自力で避けられないことが続くと、回避しなくなる

・段階1:Aは逃避学習(レバーを押せば電気ショックを避けられる)、BはAに連動(Aと同時に電気ショックを受ける)

・段階2:AもBも回避学習(光が見えてから10秒以内にほかの箱に移れば電気ショックを避けられる。今回はBも自力で回避できるようになっている)

・しかし、Bは回避学習成立せず

・人間の場合は、状況認知の仕方が大きく影響

学習の生物学的制約

・動物の種に固有の反応が条件づけを制約する

・アライグマの話 トークン1枚を与えられればそれを箱に入れて餌をもらうことができるが、トークン2枚を与えられると(1枚ずつ箱に入れて2度餌をもらえばよいのに)こすり合わせて手放さず、餌を得られない

・どんな行動でも条件づけできる、というわけではない。

・刺激と反応に生物学的な制約がある

引換券(p.73トピック4-5)

・2次条件づけの一種

・オペラント行動で引換券をもらう

・それを集めて正の強化をもらう 複数の行動をつなげる働き

引換券の例

・ヨドバシカメラのポイントシステム

・行動療法への応用 トークン・エコノミー(自閉症の治療など、患者が望ましい行動を行った際に引換券を与え、引換券が一定量に達すると特定の品物と交換したり特定の活動を行ったりできる)

味覚嫌悪学習

・サッカリン(甘いからなめる)→X線(胃の不調:気持ち悪い) なめ行動減少

・サッカリン→電気ショック(足に電撃) なめ行動変化なし

・オペラント行動(なめる)と強化刺激に連合特異性がある

味覚嫌悪は特殊なオペラント学習

・行動と強化の間が離れていても成立 昼間食べたもので夜具合が悪くなっても、それを食べなくなる

・一回で成立

部分強化でも行動は維持される

スキナーの強化スケジュール(p.74トピック4-6)

・FR 固定比率

 N回に1回の強化、バースト応答 N回一生懸命応答して長く休む

・FI 固定時間

 N秒経過後の最初の反応に1回、FIスキャロップ N秒が近づくと応答が増える

・VR 変動比率

 平均してN回に1回、バーストと挫折 平均30回であっても、3回でもらえることもあれば60回しないともらえないことも。餌をもらえる前に諦めてしまうこともある

・VI 変動時間

 平均してN秒経過後の最初の反応に1回

 最も安定した反応 ゆっくりとした一定の時間間隔

参考書:G.S.レイノルズ著、浅野訳『オペラント心理学入門』

弁別学習

・異なる弁別刺激に異なる反応をさせる 意識の有無は別問題

・例:赤で強化、緑で消去 ただし区別できることが前提(例:色盲の動物には不可)

般化勾配

・ある弁別刺激で強化

・類似した弁別刺激にどの程度反応するか 例:赤い光で強化するとオレンジや紫の光にも多少反応する

・強化刺激を中心とした山形曲線

潜在学習(p.75トピック4-7)

・強化しなくとも学習が進んでいる場合があり、強化によって学習が顕在化する ネズミを迷路に入れておくと自然に道を覚えており、餌を置いた途端に道を間違えなくなる

トルーマン 学習=環境の認知の仕方の変化、認知地図(目標への道筋についての内的な地図)の獲得

高度な条件づけ(漸次接近法) 段階を追って目標に到達するように強化

例:デグーの道具使用行動

・強化子(ヒマワリの種)を主導で与える

 台に乗ったら強化→熊手に触れたら強化→熊手を動かしたら強化→熊手をつかんだら強化→熊手をひっぱったら強化  この辺は偶然からはじまる

・熊手の内側に強化子

・熊手の横に強化子 かんしゃくを起こしたデグーが熊手を振り回しているうちに成功してしまう

・熊手の外側に強化子

4.2 技能学習

技能学習(運動学習、知覚運動学習)

ぎこちない行動が熟練してゆく過程

・自転車に乗る、楽器の演奏

・鏡映描写装置 (p.77図4-3)

技能学習の段階

・認知:基本的な知識を得る

・連合:練習により一連の動作へ 誤りが減少

・自律:意識的にやらなくてもできる

運動プログラムの獲得 自律の段階

練習(連合の段階)

・フィードバック 人間の場合。誤ったフィードバックにより、学習に遅れ

 結果の知識(自分の気づき、指導者の指摘)

 内的なフィードバック(筋肉の動きの知覚)

・集中と分散 技能学習においては、練習にかける時間が同じでも、短期集中練習より長期にわたって少しずつ行う分散練習がより有効(無意識的な過程が多く含まれるため)

・イメージトレーニング

転移

・正の転移:似たような技能の場合、学習が促進

・負の転移:微妙に違う場合、学習が遅れる

・両側性転移:右手で学んだことを左手でやる 鏡映描写など、右手で一から始めた時より、右手でできるようになってから左手で練習した時のほうが上達が早い

ジュウシマツのオスは求愛の歌を父親から学ぶ

認知:最初は親の歌をお手本として聞いて覚える

連合:次にお手本に合わせて実際に歌うことを練習する

自律:お手本と会った歌ができると、歌いながら求愛できるようになる

4.3 社会的学習

模倣学習

・動作を模倣することで強化を得る

・ミラーらの実験(ネズミの般化模倣) リーダーネズミの後をついて迷路を通ると餌がもらえる→リーダーの行動を模倣することを学習→レバー押しの課題も模倣して餌をもらう

観察学習

・他者の行動を観察するだけで学習が成立する 強化を受ける必要はない

・強化理論(過去に強化を受けた模倣は繰り返されやすい)だけでは説明できない

・注意(モデルの行動のある特定の面に注意)、保持(その行動や動作を覚える)、運動再生(同じ行動や動きを自分で再生する)、動機づけ(学習されたことが遂行されるかどうかは強化がかかわる)

・代理強化 他者が賞罰を受けるのを観察したことが、観察者の行動に影響

・自己強化 自分の行動がある基準に達したとき、自分でコントロールできる報酬を自分自身に与えてその行動を強化したり維持したりする

例:幼児に、大人の男性のモデルが風船人形に暴力をふるう映像を見せる→1群:その男性は褒められる 2群:その男性は懲らしめられる 3群:何も起こらない→風船人形その他がある部屋で子供たちを遊ばせる→1・3群:映像同様の乱暴な言動が多い 2群:乱暴な言動が少ない(代理強化)

4.4 記憶

過去の経験の効果を維持すること

記憶の過程 コンピュータのアナロジーから発展

・記銘:経験の取り込み、符号化

・保持:記銘事項の保存、貯蔵 外には現れない

・想起(検索):

  再生:記銘事項の動作・言語・絵などによる再現

  再認:選択肢からの記銘事項の確認

  再構成:記銘事項を要素の組み合わせで表現

・想起が失敗しても記憶がないわけではない(再学習効果で示される) 再学習のほうが初回より容易に学習できる

記憶の種類

・宣言的記憶 ある事物・事象がどのようなものであるのか

 エピソード記憶 日時の指定がほぼ可能な一回性の出来事の記憶 もっとも典型的 例:昨日の昼食に○○を食べた

意味記憶 日時の指定が不可能な一般的な記憶。経験の積み重ねにより形成される 事物・事象についての一般的知識、言葉の意味など 例:昼にはご飯を食べるものだ

・手続き的記憶 あることのやり方

 動作の繰り返しで記憶

 いわゆる「体で覚える」記憶

例:楽器の演奏 指の動き=手続き的記憶 表情記号=エピソード記憶 表情記号の意味=意味記憶

記憶の時間特性 p.83図4-5も参照

・感覚保存記憶(1秒以内)

 視覚や聴覚など、刺激がなくなると急激に減衰する

・短期記憶(数秒から数十秒)

 感覚保存記憶のうち、意図的に取り込んだ一部

・長期記憶(数分から数年)

目に映ったものと記憶されるもの (p.83トピック4-8)

スパーリングの実験

全体報告法

・3×3または3×4の刺激を50ミリ秒提示

・報告できるのは4.3字 「もっと多くの字が見えていたのに……」感覚保存記憶(容量大)

部分報告法                                 ↓

・刺激提示後、音を鳴らす(高音:1段目、中音:2段目、低音:3段目を報告) 指定された段のみ短期記憶に移行

・1行につき3文字 報告する行は刺激の提示後にランダムに決められた、すなわち被験者は指定される行の予測ができなかったと考えると、ほかの行も同程度(4文字中3文字程度)報告できた可能性があり、3×4の12文字分に換算すると、報告可能な文字数は(3×3=9)

短期記憶

・復唱(リハーサルの効果)

・実験手続き

 3文字程度の無意味つづりを1つだけ提示

 その後、逆算(提示された数字より、口に出さずに、秒速1の速度で3を引いていく)→30秒後にテスト

 想起(復唱をさまたげ)

 18秒程度で忘れてしまう

符号化の過程 視覚的、聴覚的など

・聴覚のほうが保持が良い(復唱が容易)

・記憶容量は7±2 その人が正しく再生できる個数を記憶範囲という

短期記憶の容量 記憶容量の限度を超えて新しい項目が入ってくると、前の項目のどれかが置き換えられて忘れてしまう

・ランダムな文字列 7程度

・日常事物の名称 7程度

・百人一首 やっぱり7程度

チャンク 事物の名称、百人一首などは7以上の文字を記憶したようだが、一つのまとまりをなしているものは1個の単位として取り扱う チャンク=まとまり

・短期記憶の記銘単位

・長期記憶に知識があるとチャンクが作れる

作動記憶(作業記憶)

長期記憶からの読み出し記憶が一時保存される

系列位置効果(p.87トピック4-9)

手続き

・無関連単語30のリストを順に読む

・読み終わったら覚えている単語を自由再生

結果

・最初の数語(リハーサルのため)(→長期記憶)と最後の数語(まだ短期記憶庫にあるため)は再生率が高い

・初頭効果と新近効果

短期記憶から長期記憶への転送機構

・リハーサル 情報を短期記憶に維持+長期記憶に組み込み

・既存の記憶との関連付け、その精緻化 関連した情報を付加して内容をより豊富にする

・記憶事項を組織化、体制化 情報を何らかの仕方でまとめる順序付け、性質ごとの分類

忘却

・記憶の減衰ではなく検索の失敗であることが多い

・前の記憶による干渉(順向抑制)

・後の記憶による干渉(逆行抑制)

記憶術(p.89トピック4-10)

・符号化 こじつける 語呂合わせ

・精緻化 項目同士の論理的関係を考える

・イメージ化 事物と対応させ物語を作る

・場所法 よく知った道や家の中に項目を置く

学習・記憶の発達(p.91トピック4-11)

・順化・脱馴化は記憶の証拠

・幼児はリハーサルしない

長期記憶の分類 p.92図4-7、p96図4-8

宣言的(顕在的)

・事実と事象 (内側側頭葉・間脳)

非宣言的(潜在的)

・技能習慣 (線条体)

・プライミング (新皮質)

・単純な古典的条件づけ

 情動反応 (扁桃体)

 骨格筋反応 (小脳)

・非連合的学習 (反射経路)

4.5 学習・記憶の神経学的基盤

力動説

・経験によって生じた生理過程が持続

・てんかんや低温実験(動物を超低体温にして脳の活動を一時停止させる)で長期記憶との関連は否定 一時的に脳の活動が停止しても、記憶は残る

・しかし短期記憶の基盤であろう

構造説

・経験によって脳に構造的変化 学習後脳に電気ショックを与えると、学習からショックまでの時間が短いほど学習が成立しにくいことによって間接的に支持される(電気ショックが構造変化を妨害?)

 神経細胞の接合部の変化

あらたな接合部の生成

あらたな神経細胞の新生

記憶の座

・ラシュレイー 等脳説 部位による機能の違いはない

・ブロカ 機能局在説 脳には精密な機能分化がある 現在はこちらが一般的

健忘症 知覚や注意、一般的知能は保たれているが記憶のみ選択的に障害←脳の損傷

・コルサコフ症候群(前向性=順行性、発症後の経験についての記憶喪失、逆行性=8章以前の経験についての記憶喪失) 慢性アルコール中毒患者が示す

 間脳乳頭体と視床背内側核に損傷あり 宣言的記憶とこの部位の関連

・HM 長期記憶が作れない(側頭葉内側) p.96トピック4-12 海馬と宣言的記憶の関連

・KF 短期記憶が作れない(左頭頂後頭部) p.97トピック4-13 

・長期記憶と短期記憶の解離 長期記憶と短期記憶はそれぞれ脳内の別個の部位に関係、相互に独立した機能

5章 感覚・知覚

概要

感覚系と運動系で世界を理解

五感(実は8感)、ヒトでは視覚優位

積極的な知覚構成

開眼手術後の視覚体験

脳損傷と認知障害

5.1 感覚の分化と統合

感覚の種類と機能分化 p.102表5-1 昨年の試験に穴埋め問題出てるかも

8感(視・聴・嗅・味・皮膚・運動・平衡・内臓) 皮膚感覚:触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚 運動感覚+深部痛覚=深部感覚 深部感覚+皮膚感覚=体性感覚 嗅覚+味覚=化学感覚

感覚系

・外界・内部のエネルギーを受容する受容器 p.103トピック5-1

・適刺激(受容器に適したエネルギー)と不適刺激(適刺激以外で各感覚系に対応した感覚体験が起こる刺激) 例:視覚 適刺激=適切な波長の電磁波 不適刺激=圧力 いずれも「光が見えた」と感じる

・感覚様相(感覚モダリティ) 感覚の種類とそれに即した体験内容

例:色覚と触角の体験の違い=様相の違い 赤と青の違い=同一様相内の質の違い

接触感覚 情報源が身体表面に接している

・触覚、味覚、(嗅覚)

遠隔感覚 情報源が身体表面から離れている

・視覚、聴覚、嗅覚

嗅覚は遠隔感覚に分類されるが、化学物質が付着することで感じられ、揮発性の化学物質は距離とともに薄められるので、実質上接触感覚である。

感覚系の相互作用

・赤い、球形の、甘酸っぱい、なめらか(クオリア) リンゴの属性

・ものは属性の集まり

・ヒトは視覚優位ではある 異種の感覚の間で矛盾や不調和があるとき、視覚優位に統合する(p.106図5-1)

マガーク効果

目を閉じているときとあけているときとで、音の聞こえ方が変わる。音は「Ba」、映像は「Ga」→映像を見ながら音を聞くと「Da」(BaとGaの中間の口の形で発音する)

精神物理学(心理物理学)と閾 p.107トピック5-3

感度

・刺激閾(絶対閾) 感覚を生じるのに必要な最小の刺激強度

・複雑なパターンでは認知閾という

・確率的な刺激値 刺激強度の限界は常に変動しているため、統計的に50%の確率で刺激を生じさせる刺激値で示す

弁別閾

・2つの刺激の強さや性質の区別を起こす最少の刺激差 通常50%の確率で区別できる刺激差で表す

・丁度可知差異(just noticeable difference, jnd) 直訳的な別名

主観的等価点

・2つの対象のある属性を比較 観察者がそれらを主観的に同じだと認める点

・Point of subjective equality (PSE)

・ミューラー・リヤー錯視の例 ただの線分と両端に矢羽根のついた線分を比べる

閾(Threshold)と主観的等価点(PSE)の決定

・調整法 被験者または実験者が刺激を調整 PSEの測定に向く

・極限法 極端から極端へ 閾の測定に用いる

・恒常法 ランダムに提示 絶対閾や弁別閾の測定法として最も信頼性が高い

 ほかに上下法、階段法など

測定の水準

・名義尺度(カテゴリー)

・順序尺度(距離は考えない)

・間隔尺度(比率は考えない、足し算はできる)

・比率尺度(長さ、重さなど。計算可能)

感覚経験とその外在化 感覚受容器に与えられた刺激作用を外界に位置付けて知覚。視覚・聴覚のはたらき

・刺激の定位が可能な場合:対象指向性

・触覚では外在しにくい。自己指向性も経験。 自分の右手で自分の左手(制止させたまま)をふれると、右手は左手を「対象」として知覚 同時に左手には「触感」が発生 対象指向性と自己指向性を同時に体験(触知覚の両極性)

5.2 視知覚

受容野 (p.103トピック5-1)

・その神経細胞が応答できる刺激の範囲

網膜と機能の分化

・桿体・錐体と二重作用説 2種類の光受容細胞(視細胞) p.111図5-3 昨年の試験に出題!!

 桿体 周辺に多い 1億2千万 白黒 暗所視

 錐体 中心に多い 650万 色 明所視

 視角:tanθ=S/D S:対象の長さまたは幅 D:目の結節点と対象との距離 θ:Sが目に対して張る角度(=視角) p.112図5-5

・色覚と錐体

 錐体の分光吸収特性(p.114図5-6)

 419(Blue),531(Green),558(Red)ナノメータ

 個体差が非常に多い 色覚の類型、p.114トピック5-5

色彩知覚

・色の3属性 尺度化して数値を割り当て、三次元的に表すと色立体(口絵1)

 明度(明るさ) 光の知覚された強さ(振幅)

 色相(色名で定義される) 色の性質(周波数) 波長が短い=振動数高い→紫 波長が長い=振動数低い→赤 類似した順に並べると全体が環になる(色相環、色彩環、口絵2)

 彩度(飽和度) 光の純度、色の鮮やかさ 純粋な光:狭い範囲の波長しかない

・現象的特性

 表面色(限られている、教科書の表紙など)・平面色(限りがない、青空など)・空間色(メロンソーダなど) 「現れ方」の違い、ほかに鏡映色など

 表面色でも穴から見ると平面色(限りなく広がっているように見える→開口色ともいう)―輪郭が大切

・混色 加法混色(異なったスペクトル光を加える、光の場合)、減法混色(絵の具、吸収と反射を利用)

・対比 (色の対比)⇔同化(量はわずかで不安定)

 スペクトル光の赤と緑、青と黄色で白色

 補色:混色によって白色となる2つの光

 対比:補色を隣接させると彩度が強まる (同時対比とも)

・残像 強い光刺激を見た後、刺激された網膜部分に効果が残って色の像が見える

 陽性残像:刺激と同じ色 刺激の消失直後、短時間

 陰性残像:刺激と補色にある色 陽性残像の後に出現

視知覚の適応性

・恒常性 観察条件の変化に応じて対象から感覚器官に与えられる刺激作用が変化しても、対象の見かけ上の特性は保たれて知覚される

 雪は夜で暗くても白い(明るさ) バラは電燈の下で波長が変わっても赤い(色) 皿は傾けて扁平になっても丸い(形) ひとは離れても縮まない(大きさ)

 文脈情報を取り込むことで恒常性を維持する。また、それによって錯視が生じる。(p.117トピック5-6)

・錯視

 幾何学的錯視 (月の錯視と恒常性 p.119トピック5-7)

 主観的輪郭 (補完との関連 p.120図5-9)

 感覚間錯視 (腹話術や映画館) 視知覚系の働きが聴覚系夜食運動系の処理過程に作用

・倒立世界への順応 逆さめがねを着用すると、しばらくは不快だがそのうち慣れる。大事なものから正立するようになる

錯視のいろいろ

北岡明佳さんのHP

http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

形の知覚

・図と地の分化(p.123図5-10)  図:まとまりをもって際立って見える部分 地:背後に切れ目なく広がっているように見える部分

・ゲシュタルト要因(p.120トピック5-10)

 知識や認知と独立に、知覚に固有の現象的法則

 ヴェルトハイマー・コフカの輪(p.123図5-11 左は明るさに差がある)

 群化の法則(プレグナンツの法則)

 ・近接、類同、閉合 ・よい形、よい連続 ・共通運命

奥行き知覚 (p.126トピック5-11)

・手がかり

 さまざま(動き、静止、1つの目、両方の目)

・勾配(きめ、濃淡、陰影、流れ)

 ギブソンの生態学的知覚

・両眼立体視(p.129図5-13 目を本に近づけてからゆっくり離すとできるらしい)

 両眼視差 左右の目から1つの対象までの距離がそれぞれ異なるため生じる、左右の目に映る網膜像の間のずれ

 初期視覚過程

運動の知覚

・仮現運動:離散運動が連続して見えること

・仮現運動の反転 p.131図5-14

・北岡さんのデモ→上記URLを参照

誘導運動

・月の流れ 雲が動いているのに、月が雲と逆に動いているように見える

・電車の錯覚 向かいの電車が動き始めると、自分の電車が動き出したように感じる

 自己受容感覚としての運動の錯覚 視角によって観察者自身の進退の位置や動きが知覚される

視知覚の可塑性

・経験の要因 むかιヽ= というような文字列があったとき むかいこ ではなく むかしに としか読めない。(↑無理やりです。P.132本文を見てください)

・いみとはむかんけいに の例:近接要因が勝ち p.133本文

い みと はむか んけいに お おき なく うかん をじ のあ いだ にい れてみる  ←経験に反して無意味な語の断片に見える

・知覚学習の選択性 (p.135トピック5-15) 自覚されないという意味で、潜在的な特徴

 学習は視野全域に広がらない

 学習は片目から他の目に転移しない。

・注意と眼球運動 (p.136トピック5-16)

 眼球の動きから人が刺激のどの部分に注意を払うかがわかる

先天盲と初期知覚

・開眼手術直後の視経験

 明るさ、色、形… 成功者はいずれも全盲ではない。保有視覚に応じ異なる視知覚体験

・属性の抽出と事物の識別

 はじめは属性が独立に現れる チューリップを見て「キイロ」という属性だけ抽出

 次第に属性が統合され事物の識別が可能になる

①色→②長さ、大きさ、二次元図形、立体などの属性→③材質、機能→④事物そのものの識別

 手術前の触覚体験 日常使っていたものなどの識別が早い

・視覚運動協応

 猫の実験例 (p.139トピック5-17) 視角によって導かれる行動の形成には、自発的な運動とそれに伴って起こる視覚的なフィードバックとが必要不可欠

脳損傷と視知覚

・視覚系の構造 (p.144図5-15)

 網膜>視神経>視交叉>外即膝状体>有線野(大脳皮質の第一視覚野)

・視野局在配列(網膜の各部分が有線野に整然と投射)と視野欠損 p.114図5-15,5-16、p.103トピック5-1

 中脳に行く経路あり(視床を通らない、盲視) 盲視:視野欠損部にあてた好転の位置を推測によって正しく定位する

・中枢性錯視 刺激が実際と異なって見える

 視覚野の計算ミス

・特定の視知覚機能の喪失 色覚の喪失(皮質性色盲)、立体視の喪失、運動視の喪失など

 有線野より上位

・対象の認知の障害・失認症 刺激は見えているのに「それが〈何〉であるか」がわからない。手で触ったり音を聞いたりすればわかる

 模写できるがわからない (p.146図5-17)

視覚性物体失認:日用品を見ても何かわからない 相貌失認:人の顔を認知できない(人間の顔であることはわかっている) 環境失認:街並みや建物がわからない(自分の家も分からなくなる)

・半側空間無視 (Sacks 妻を帽子と間違えた男)

 右半球損傷による左半側空間無視(出現率が高い) 行動の際、自分の身体の外空間の左半側を無視する

5.3 聴知覚

きこえの仕組み

・外耳、中耳:集音と圧力変換

・内耳:圧力差情報保身系情報に変換

・脳:脳幹、中脳、視床を経て聴覚皮質へ

音の種類

・純音:周波数成分が一つだけ サイン波

・複合音:複数の周波数成分 サイン波の調合

※雑音:波形が定まらず常に変動 人間が聞いて好ましくない音

・物理と心理 物理的属性:対応する心理的属性 心理的属性にはほかに太さ、鋭さなど

 振動数:高さ、振幅:大きさ、波形:音色

 視角と対応させれば 高さ:色、大きさ:明るさ、音色:色相

 超音波の20kHz以上を紫外音、20Hz以下を赤外音ということがある

錯聴(p.155トピック5-21)

イリュージョンフォーラム http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/index.html

 連続聴効果・無限上昇音階(シェパード・トーン)・マスキング

言語音

・声帯の振動が口腔の特性でろ過(フィルター)され、複雑な共鳴を持つ

・フォルマント(共鳴点の周波数) フォルマントの組み合わせで異なる母音が聞こえる

共鳴して増幅される周波数=フォルマント周波数 フォルマントの低い方から順に第1フォルマント周波数、第2フォルマント周波数……と呼ぶ。口を動かすとフォルマントがずれる

・音韻と音素 ばーとパー、B(声帯の振動と口を開くのが同時)とP(声帯の振動に比べ口を開くのが遅れる)  (p.151トピック5-19も参照)

 音韻:言語音の中で意味の違いに役立つ抽象的な音声部分 音素:ある語と他の語を区別する音韻の最小単位(例:[kame]と[same]では[k]と[s])

ホーミーの例 一定の周波数を出しながら口の形だけを変える→高いフォルマントのみ制御

音の大きさと高さ (p.153図5-22)

・聴感度曲線(聴力曲線、聴覚閾)

聴覚マスキング 一つの音の存在が他の音を聞こえにくくする現象(例:会話しているそばを電車が通ったとき) 周波数が低い音が高い音をマスクすることが多い。マスキングされた音は強度を大きくしないと聞き取れない

・同時(周波数)、経時(前行、後行)、両耳間

音源定位 聴空間の中で音がどこから聞こえるのか 両耳の間は15~16㎝離れており、音速33m/sなのでわずかな時間差が生じる

・時間差(Δt)、強度差(ΔI)、スペクトル差(ΔS)(一つ一つの周波数に分解、フーリエ変化)

脳損傷

・環境音失認(言語や音の弁別には問題ないが、環境音の意味が分からなくなる)、失音楽症(受容性:聞きなれていた音楽が何かわからなくなる、表出性:できていた演奏ができなくなる p.158トピック5-24)

5.4 触覚

皮膚の感覚受容器 (p.159表5-4)

体性感覚 (p.160図5-24)

・第一次体性感覚野のホムンクルス 感覚が鋭敏・動きが繊細な部分ほど大きい

・実は足指と生殖器が近い

2点閾値 皮膚表面の2点に同時に圧刺激を加えた時、それが2点とわかるのに必要な最小距離

・指先で小さく(2.2㎜)、背中で大きい(67.7㎜) p.160図5-25

・触覚パターン 受動的触知より能動的触知のほうがすぐれている

・点字(p.161トピック5-25)、盲人の背中点字(明るさに応じて凹凸が変化するもの)(2点閾値が下がる)

6章 思考・言語

概要

言語はコミュニケーションの道具

思考は内在化された言語

知識は言語として蓄えやすい

意識は言語により明瞭になる

6.1 問題解決

思考とは

・生体が問題解決のため新しい手段を見つけて対処する行動を生み出し、支え、方向づける内的な心的過程

・習慣や知識の再体制化、再構造化

問題解決と試行錯誤 (p.166図6-1,6-2) 最初の対処方法 思考を繰り返すにつれて失敗につながる反応がのぞかれ、成功につながる反応だけが確実に生じるようになる

洞察による問題解決 課題状況を新たな見方によって再編成することにより問題解決のための有効な手がかりを獲得する働き 模索的な行動を繰り返す中で解決が突如出現 意識的には、新しい解決の糸口がひらめきを持って出現したように体験される

ガウス(1+2+3+……+20=?)、平行四辺形(面積を求める)p.167トピック6-1、Tパズル(一つのピースを斜めにおく示唆を与えられるとすぐ解ける)

6.2 問題解決と認知発達

ピアジェの発達段階説

・感覚運動期(乳幼児期) 親や養育者による調整あり

 循環反応 関心を引く変化に積極的に働きかける ガラガラを繰り返し振るなど

 この時期の終わりごろには

対象物の永続性 (いないいないばあを喜ばなくなる) シンボル機能、表象機能(目の前に存在しないものを思い浮かべることができる)

・前操作期(2歳以降)

 操作;内的な情報処理が正しくできるような内部構造

 アミニズム(すべてのものに心がある)、視点移動ができない(p.171図6-3)、自己中心性、中心化傾向(物事の1つの側面だけにしか注意を向けることができず、他の側面を無視する)

 保存の概念がない (p.171トピック6-2) ジュースの容器を移しても量が同じだということがわからないなど

・具体的操作期(7~8歳)

 脱中心化 物事を多面的・総合的に考えられる。客観的立場、保存に関する課題も処理できるようになる

 具体的状況に限定 具体的操作による思考

・形式的操作期(11,2歳)

 抽象的、形式的思考 形式的操作による思考

 具体的状況の制約のない思考

 3段論法 「すべての緑のトリは3つの頭を持つ」「私はモモという緑のトリを飼っている」「このトリはいくつ頭があるか?」→「3つ」と答えられるようになる(これ以前の時期の子どもは「頭が3つあるトリなんていないよ~」と反応してしまう)

 演繹、帰納、科学的思考 仮説を立て、推論を行い、結果を事実と照らし合わせて説が正しいかどうか確かめる

6.3 知識

知識

・長期記憶の中で組織化された情報 雑然とした情報の堆積ではダメ

・符号化(言葉、イメージ 記憶しやすく置き換える)、貯蔵(長期記憶へ)、検索(有効な情報を探し出す)

概念 知識の基礎

・等価反応 異なる対象でも共通の側面を捉え、同一視して反応する p.35トピック2-6、p.36トピック2-6も参照。 同じ種類の対象はそもそも同じカテゴリないし枠に入れられている

・事物は感覚刺激の束ではない。共通な側面(内包)を捉える抽象化の働きを概念という。

・概念は外延(適用される範囲)と階層構造(上位の概念が買いの概念をその中に含む)をもつ 例:色(上位概念)⊃赤、橙、黄、緑、青……(下位概念) 赤⊃朱、紅、茜……

等価反応の成立 (映画 奇跡の人 より) ヘレン・ケラーが井戸水に”water”という名前があることを認識した場面

刺激等価性

・A=A(反射律)

・A→B ならば B→A (対称律) 過度の一般化。論理的に正しくない。動物はこの推論をしない⇔人間はこれをするので、ものに名前を付けられた(言葉を持てた)

・A=B、B=C ならば A=C (推移律)

ヘレン・ケラーの場合

・A=水のクオリア

・B=水を表す指文字

概念形成と概念達成

・全くの混沌から概念を作るのが概念形成 例:幼児が抽象的な概念を始めて学習する

・概念の属性について知識があり、仮説検討によって概念を獲得するのが概念達成 (p.175トピック6-3) 次々に仮説を立てて有効な仮説を選んでいく

逆転学習

・弁別後、正刺激と負刺激を入れ替える

・Aなら反応、Bなら待つ→Aなら待つ、Bなら反応 成人では日逆転学習のほうが逆転学習より再学習に多くの思考が必要

・5歳以下では難しい 日逆転学習より逆転学習が困難。ネズミも同じ

イメージ

・符号化 言語のほかに視覚、聴覚、音韻、触覚など 頭の中でのちに利用しやすい内部表現の形式に当てはめる

・刺激が存在しないとき、それが存在したのと類似した知覚体験をすることをイメージを持つという ヒトはフォトグラフィックメモリーが苦手→言語化

・人の知識は言語とイメージ(二重符号説) 言葉だけよりイメージを利用したときのほうが、また抽象語より具体語のほうが記憶を再生するとき成績が良い

認知地図 環境の中で自分を位置づける しばしば印刷された地図の記憶から構成 角度については実際の地図からのずれが生じる。距離については物理的距離とほぼ比例

心的回転 頭に思い浮かべた視覚像や視覚的な刺激を物理的に存在するかに考え、頭の中で回転させて同一性を照合 回転角に応じて所要時間が変化(一定の角速度で回転? P.179トピック6-4)

6.4 推論と発見

発話思考 問題解決の途中の言語報告 思ったことを声に出しながら考える

習慣的な構え(何度も用いてきたような手法を繰り返して用いる) 時に解法を阻害する

・水差しの例:水差しで水を加えることしか考えないと、解けない。(p.181図6-5)

構造特性 時に解法を妨害する

・Tパズルの例、カニツァの図形の例(p.182図6-6)

ヒントの効果

・斜めにしてごらん 構造特性や習慣的な構えから思考を自由にさせるものがよいヒント

帰納法

・個別の事例から一般的な原理を引き出す 自然科学の手法

・ただし:大きく間違えることがある 「さしあたり正しい」としかいえない

類推による推理

・放射線問題と要塞攻撃問題 (p.185本文)

演繹法

・一般的な原理から個別の事例を推論 数学の手法。数学的帰納法も実は演繹

四枚カード問題 (p.184トピック6-6)

(1)「片面が母音ならばその裏は偶数」これが正しいことを確認するためにはどれを調べればよいか。

  K A 4 5

(2)「手紙が密封ならば開封より10円高い50円切手を張る」これが正しいことを確認するためにはどれを調べればよいか

  密 開 40 50

演繹法

・対偶の利用 pならばq→non-qならばnon-p

・4枚カード問題(1) 「奇数ならば子音」 答え:Aと4  論理の問題→難しい

・4枚カード問題(2) 「40円切手ならば開封」  答え:密封と40円  社会的規範の問題→解き易い(ズルをする人を検出する能力?)

・問題解決の領域固有性

後戻り

・中間目標の利用 ハノイの塔問題 (p.185本文、p.186図6-7)

発見の様相

・ワラスの4段階

 準備(環境から情報を収集、予備的解決を試みる)、孵卵(集めた情報を相互に操作、過去経験と照合、適切な解決策を模索)、啓示(あきらめたころに突然思いつく)、検証(解決の妥当性を吟味、確認) p.187トピック6-7

・アルゴリズム(算法)

 手続きを取れば必ず解決できる 理詰め

・ヒュースリスティックス(思いつき)

 経験則と直感 うまくいく保証はない どんなことでも試みる。不適当な買いを1つ1つ排除しなければならない

6.5 非言語コミュニケーション

コミュニケーションの機能 p.188トピック6-8

・情報の伝達 ≒伝達内容のコミュニケーション

・情動の喚起 ≒伝達意図のコミュニケーション 「つながってる」感など

・他者の行動の制御

・「結果として送信者の利益になるような、受信者の行動の生起確率を変化させるような信号の伝達のこと」

・音声媒体の優位性 ただし情動の喚起には表情も有効 匂い→混乱しやすい 視覚→暗闇ではわからない 触覚→遠隔ではダメ、1対多も不可

6.6 言語的コミュニケーション

言葉の4条件

「きみのぼうしはじつにエクセレントだね。」「えっ?エクセレントってなんですか?」

1.発声学習ができる(すぐにまねできる) 「エクセレントってなんですか?」初めて聞いた言葉を復唱

2.音(単語)と意味が対応している

3.文法がある 「きみ/の/ぼうし/は/じつに/エクセレント/だね」

4.社会関係の中で使い分けられる 「だね」目上→ちょっとぞんざい「ですか?」目下→丁寧

コミュニケーション>ことば

・「はちのことば」は ○コミュニケーション ×ことば

・ヒトのことばは特殊(無限の意味をかなり正確に伝達できる)

音声コミュニケーションの発達

・啼泣 生後すぐ

・鳩音 6週 ホー、クー、など

・喃語 6ヶ月 言葉っぽいが言葉じゃない 言葉に使う音の練習

・1語文 1歳 破裂音(パピプペポ・バビブベボ・マミムメモ)は出しやすい

・2語文 1歳6ヶ月 名詞+動詞

・語形変化 2歳 助詞が使えてくる

・疑問、否定 2歳3ヶ月

・複雑な構文 5歳

音声と身振り

・7,8か月で指さし 名詞獲得期

・母、もの、子の三項関係が成立 人間の特異性 p.193図6-9

外言と内言

 外言:外に出すことば(コミュニケーションの道具) e-language  社会の中で実際に使われる言語(文法から逸脱)

 内言:心の中で話すことば(思考の道具) i-language  個人が持つ言語の体系的知識

6.7 言語の特性

言語の特徴

文の構造と生成

文の理解

生成文法

1.象徴性

 1.行動と意味が対応する。

 2.学習された対応である。

2.文法性

 1.行動の組み合わせが作れる

3.構成性 もっとも重要

 1.象徴性がある要素を文法的に組み合わせて、たくさんの意味が表現できる。

4.超越性

 1.構成性が可能なことで、現実との対応がない表現が可能である。

6.8 脳損傷

言語が話せなくなる症状

・ブロカと患者“タン”(仏) 脳の左側のブローカ野に損傷→意味は分かるが話せない

・ウェルニッケ(独) ウェルニッケ野損傷の患者を発見→話せるが意味が分からない

ウェルニッケ=ゲシュビンド モデル p.202図6-14

脳機能画像法:差分法

・ピーターセンらが用いた実験手続き

 モニターに注視点を提示

→名詞を 文字で画面に提示 or 音声で流す

→見えた単語 or 聞こえた単語 を声に出して言う or 対応する動詞を言う

 それぞれの活動をしているときの脳活動から、注視点を見ているときの活動を差し引く

⇒それぞれの活動に、脳のどの部位が使われるかがわかる

7章 動機づけ・情動

概要

動物行動の推進力となり方向を定めるもの

動機づけ

・行動を始発させる心理生理的要因

・内発的動機づけ

情動

・外的事象と内部状態によって喚起される体験

あまり教科書に基づかないでやります。

・でもトピック7.6-7.9は扱います。

ってことなので、シケプリも基本スライドと授業中のメモをまとめます。

ただし、この章は非常に図が多いので―そして私はワードで図を張り付けたりするのが非常に苦手なので―なるべく講義資料はダウンロードしてください。文字で書けるところとメモのみ、ここに載せます。

トピック7-6~7-9まで、そして岡ノ谷先生自身が試験に出そうとおっしゃっていた、スライド(シケプリ)のⅡ.情動の理論 Ⅲ.情動の心理表象 を中心に勉強することをお勧めします。ただし、山をかけたことについて責任は負いません(笑)

情動の脳内機構と行動制御

小津安次郎の「晩秋」 大事なところはしゃべらない。しゃべっていないことを伝えるのが情動

Ⅰ.情動の定義  情動、感情、気分…これらのことばは何を表すのか。

感情(affect)にかかわる用語

情動 emotion

・環境(刺激)への応答として励起される生物学的・原初的な感情。持続時間は短い。

生物学的

感性 feeling

・環境と自己との相互作用から生ずる直感的な印象 性格特性に近い

感情 affect

・もっとも一般的な意味での感情。自分の状態と環境との相互作用で生じる。持続時間は中程度で、認知的な分析も入る。 情動を言葉で解釈

気分 mood

・数時間から数日にわたる感情のベースライン �