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Windows Server 2003 で稼働していたすべてのサーバーを Windows Server 2012 Hyper-V による仮想環境に移行。運用 負荷の軽減とシステム ダウン時の復旧時間の短縮、将来のクラウド 化を見据えた環境を実現 農薬や農業用生産資材の卸会社である東海物産株式会社では、Windows Server 2003 搭載の サーバー 6 台で社内のシステムを運用してきました。しかし、サポート終了が間近になったことを きっかけに、同社は全サーバーの仮想化について検討を行った結果、Windows Server 2012 標準 搭載の Hyper-V で仮想環境を構築し、より効率的な運用を目指すことにしました。半年ほどの準 備期間を設け、現状の把握や移行フローを策定。すべての移行作業を社内で行い、計画どおりに 仮想環境へ全サーバーを移行しました。新しい環境では富士通株式会社の PC サーバー「FUJITSU Server PRIMERGY TX200 S7 3 台で仮想マシンを 8 台稼働。運用負荷の軽減とシステム ダウン 時の復旧時間の短縮を実現すると同時に、将来のクラウド化に向けた第一歩を踏みだすことができ ました。 導入の背景とねらい 仮想化でシステムのバックアップや復旧も容易にすると同時に、管理運用の 効率化を目指す 東海物産株式会社 ( 以下、東海物産 ) 1947 年に設立。三重県四日市市に本社を置く農薬や農 業用生産資材の卸会社です。農産物の輸入や生産農家の大型化、法人化による大規模な農業生産 などの動きの中で、農業生産者を取り巻く環境は厳しさを増しており、生産の合理化、農産物の 安定供給に加えて、食の安全、安心の実現が求められています。東海物産は生産者のニーズと消 費者の要求に応えるべく、農薬を中心にビニール ハウス用の農業用生産資材などを農業協同組合 や小売店に販売しています。また、自治体向けの環境保全用品や救急救護用品の販売、ゴルフ場 や各種施設向け緑化事業も手掛けています。 名古屋、豊橋、北陸、三重、岐阜の 5 つの支店を持つ東海物産では IT インフラについて、できる だけコストをかけずに、汎用的な製品を利用する形で運用してきました。そして、社内システムとして、 Active Directory DNS Server 会計システム クライアント PC からターミナル サービスで利用する受発注システム 受発注データを保存する Microsoft SQL Server 2005 搭載のデータベース サーバー Windows Storage Server 2003 搭載のファイル サーバー Linux 上で独自に開発したアプリケーションと Proxy Server をそれぞれ物理サーバー 6 台で運用してきました ( 図参照 )2012 年、1 台目のファイル サーバー導入から 5 年が経過し、ハードウェア サポートの期限を迎える ことから、他の 5 台とともにリプレースの検討 を始めました。東海物産 総務部 電算課 永戸 氏が語ります。 「私一人でサーバーを管理していたため、他の社 員でも簡単に扱えるようにしたいと考えました。 そこで思い浮かんだのがサーバーの仮想化です。 仮想化すれば、バックアップも簡単に取れます し、システムの復旧もメニューから選択するだ ソリューション概要 ○プロファイル 1947 年に農薬の販売会社として設立された三重 県四日市市に本社を置く農薬や農業用生産資材 の卸会社です。農業を取り巻く環境が厳しさを増 す中で、農業生産者には生産の合理化、農産物 の安定供給に加えて、食の安全、安心の実現が 求められています。そうしたニーズと消費者の要 求に応えるべく、農薬を中心にビニール ハウス 用の農業用生産資材などを農業協同組合や小売 店に販売しています。また、環境保全用品や救 急救護用品の販売、ゴルフ場や各種施設向け緑 化事業も手掛けています。名古屋、豊橋、北陸、 三重、岐阜の 5 つの支店と関連会社 5 社で、事 業を展開中です。 ○導入ソフトウェアとサービス Windows Server 2012 Datacenter Hyper-V Microsoft SQL Server 2012 Remote App ○導入メリット サーバー運用担当者の業務負荷の軽減 サーバー ダウン時の復旧までの時間の短縮と 業務リスクの軽減 将来のクラウド化を見据えた環境の実現 ○ユーザー コメント 「受発注システムがダウンすると、今まではサー バーの復旧に 23 日かかっていたので、その間 に受発注したものは手書きで記載し、手作業で の入力となるため、手間がかかるだけでなく、数 字の書き間違いが起こる可能性もありました。そ れが Windows Server 2012 Hyper-V による 仮想化で、万が一ダウンしたとしても簡単に復旧 できるようになったので、運用負荷とサーバー障 害による業務リスクを大きく減らすことができま した。また、将来的にはサーバー群のクラウドへ の移行を視野に入れていますので、それに向けた 第一歩も踏みだすことができました 」 東海物産株式会社 総務部 電算課 永戸 文基 東海物産株式会社 東海物産株式会社

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Windows Server 2003 で稼働していたすべてのサーバーを Windows Server 2012 の Hyper-V による仮想環境に移行。運用負荷の軽減とシステム ダウン時の復旧時間の短縮、将来のクラウド化を見据えた環境を実現

農薬や農業用生産資材の卸会社である東海物産株式会社では、Windows Server 2003 搭載のサーバー 6 台で社内のシステムを運用してきました。しかし、サポート終了が間近になったことをきっかけに、同社は全サーバーの仮想化について検討を行った結果、Windows Server 2012 標準搭載の Hyper-V で仮想環境を構築し、より効率的な運用を目指すことにしました。半年ほどの準備期間を設け、現状の把握や移行フローを策定。すべての移行作業を社内で行い、計画どおりに仮想環境へ全サーバーを移行しました。新しい環境では富士通株式会社の PC サーバー「FUJITSU

Server PRIMERGY TX200 S7」 3 台で仮想マシンを 8 台稼働。運用負荷の軽減とシステム ダウン時の復旧時間の短縮を実現すると同時に、将来のクラウド化に向けた第一歩を踏みだすことができました。

導入の背景とねらい仮想化でシステムのバックアップや復旧も容易にすると同時に、管理運用の効率化を目指す

東海物産株式会社 (以下、東海物産 ) は 1947 年に設立。三重県四日市市に本社を置く農薬や農業用生産資材の卸会社です。農産物の輸入や生産農家の大型化、法人化による大規模な農業生産などの動きの中で、農業生産者を取り巻く環境は厳しさを増しており、生産の合理化、農産物の安定供給に加えて、食の安全、安心の実現が求められています。東海物産は生産者のニーズと消費者の要求に応えるべく、農薬を中心にビニール ハウス用の農業用生産資材などを農業協同組合や小売店に販売しています。また、自治体向けの環境保全用品や救急救護用品の販売、ゴルフ場や各種施設向け緑化事業も手掛けています。名古屋、豊橋、北陸、三重、岐阜の 5 つの支店を持つ東海物産では IT インフラについて、できるだけコストをかけずに、汎用的な製品を利用する形で運用してきました。そして、社内システムとして、

・ Active Directory と DNS Server

・ 会計システム・ クライアント PC からターミナル サービスで利用する受発注システム・ 受発注データを保存する Microsoft SQL Server 2005 搭載のデータベース サーバー・ Windows Storage Server 2003 搭載のファイル サーバー・ Linux 上で独自に開発したアプリケーションと Proxy Server

をそれぞれ物理サーバー 6 台で運用してきました (図参照 )。

2012 年、1 台目のファイル サーバー導入から 5 年が経過し、ハードウェア サポートの期限を迎えることから、他の 5 台とともにリプレースの検討を始めました。東海物産 総務部 電算課 永戸 文基 氏が語ります。

「私一人でサーバーを管理していたため、他の社員でも簡単に扱えるようにしたいと考えました。そこで思い浮かんだのがサーバーの仮想化です。仮想化すれば、バックアップも簡単に取れますし、システムの復旧もメニューから選択するだ

ソリューション概要

○プロファイル1947 年に農薬の販売会社として設立された三重県四日市市に本社を置く農薬や農業用生産資材の卸会社です。農業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、農業生産者には生産の合理化、農産物の安定供給に加えて、食の安全、安心の実現が求められています。そうしたニーズと消費者の要求に応えるべく、農薬を中心にビニール ハウス用の農業用生産資材などを農業協同組合や小売店に販売しています。また、環境保全用品や救急救護用品の販売、ゴルフ場や各種施設向け緑化事業も手掛けています。名古屋、豊橋、北陸、三重、岐阜の 5 つの支店と関連会社 5 社で、事業を展開中です。

○導入ソフトウェアとサービス・ Windows Server 2012 Datacenter・Hyper-V・Microsoft SQL Server 2012・Remote App

○導入メリット・ サーバー運用担当者の業務負荷の軽減・ サーバー ダウン時の復旧までの時間の短縮と業務リスクの軽減

・ 将来のクラウド化を見据えた環境の実現

○ユーザー コメント「受発注システムがダウンすると、今まではサーバーの復旧に 2、3 日かかっていたので、その間に受発注したものは手書きで記載し、手作業での入力となるため、手間がかかるだけでなく、数字の書き間違いが起こる可能性もありました。それが Windows Server 2012 の Hyper-V による仮想化で、万が一ダウンしたとしても簡単に復旧できるようになったので、運用負荷とサーバー障害による業務リスクを大きく減らすことができました。また、将来的にはサーバー群のクラウドへの移行を視野に入れていますので、それに向けた第一歩も踏みだすことができました」

東海物産株式会社総務部 電算課永戸 文基 氏

東海物産株式会社

東海物産株式会社

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東海物産株式会社

けで簡単にできます。これからはクラウドが主流になってくると思いますが、それにも対応できるのではないかと考えました」。

導入の経緯ハイパーバイザーの導入費用が不要で、仮想マシンの割り当てに制限がないことから、Windows Server 2012 Datacenter を選定

東海物産がサーバーの仮想化を検討し始めた直後の 2012 年 9 月に

Windows Server 2012 が発表されました。そのタイミングで、同社は導入する仮想化ソフトの比較を行いました。

「最も重視したのは導入コストです。Windows Server 2012 はハイパーバイザーのコストが発生しませんので、Hyper-V で仮想化するのがベストだと考えました。そこで、マイクロソフトの TechNet や富士通のサーバー構築事例に載っている事例を参考にしながら検討し、2013 年春、最終的に Windows Server 2012 の導入を決めました。Windows

Server 2012 Standard では搭載できる仮想マシンの数に制限があることから、制限のない Windows Server 2012 Datacenter を導入することにしました」 (永戸 氏 )。

そして、ハードウェア プラット フォームの検討を行い、3 社の製品を比較、最終的に富士通株式会社の PC サーバー「PRIMERGY」を選択しました。

「以前から 1 U サーバー (サーバー ラックの 1 区画に収まるサーバー ) を

使用していましたが、オフィス内にサーバーを設置しているため、ファンの音が気になっていました。そこで 3 社の製品を比較検討したところ、PRIMERGY TX200 S7 が 39 デシベルと最も低く、音が気にならないと思いました。また、3 台のサーバーと UPS 2 台がセットになった構成のため、メンテナンスが容易で運用しやすいですし、HDD の I/O も

15000 rpm と高速なこと、さらに保守サポートが 5 年と長く、サポート拠点が近くにあることも安心材料になりました」 (永戸 氏 )。

移行にあたっては、半年ほどかけてネットワークも含めて現状を把握するためのアセスメント調査を行いました。そして、疑問点を細かく抽出して一覧表にし、必要なスペックや構成などを検討した上で、移行フローを策定し、手順書を作成しました。

「一番悩んだのは ひとつの物理サーバーに何台の仮想マシンを割り当て

東海物産株式会社総務部 電算課永戸 文基 氏

Windows Server 2003 Standard・Active Directory・DNS Server

Windows Server 2003 Standard・財務会計システム

Windows Server 2003 Standard・ターミナル サービス 受発注システム

Windows Server 2003 Standard・SQL Server 2005 Standard Edition

Windows Storage Server 2003

Linux Debian・Proxy Server

移行前 移行後物理サーバー 3 台 仮想マシン 8台物理サーバー 6 台

Active DirectoryDNS/DHCP Server

System CenterConfiguration Manager Proxy Server

Windows Server2012 Datacenter

Windows Server2012 Datacenter Linux Debian

PRIMERGY TX200 S7

Windows Server 2012 Datacenter

Hyper-V

受発注用 Remote AppPrint Server

受発注用 Remote AppPrint Server ファイル共有

Windows Server2012 Datacenter

Windows Server2012 Datacenter

Windows Server2012 Datacenter

PRIMERGY TX200 S7

Windows Server 2012 Datacenter

Hyper-V

受発注用 DBSQL Server 2012 財務会計システム

Windows Server2012 Datacenter

Windows Server2012 Datacenter

PRIMERGY TX200 S7

Windows Server 2012 Datacenter

Hyper-V

TX150

TX150

TX300

TX300

TX300

TX120

システム構成図

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東海物産株式会社

るかでした。多すぎると、1 台ごとの負荷がかかりますし、少ないと物理サーバーの数が増えるため費用がかさみます。そこで、富士通のサイジング ツールを使って、仮想マシンの割り当てを設計、今後 5 年間での拡張見込みを考慮に加えて、モデルを決めました」 (永戸 氏 )。

システム概要と構築3 台のサーバーからなる仮想環境で、Windows Server 2012 をゲスト OS として、8 台の仮想マシンが順調に稼働

導入モデルを決めた東海物産では 2013 年 7 月ごろから構築作業を開始。ラックの組み立てから機器類の設置、ケーブルの配線、システム構築までのすべてを自社で行い、2013 年 11 月には移行を完了させ、新しいサーバーの稼働を開始しました。新しい環境は 3 台の PRIMERGY TX200 S7 で構成されており、Windows

Server 2012 標準搭載の Hyper-V 上で、Windows Server 2012 をゲスト OS として、以前は物理サーバーで運用していた 8 台のシステムが仮想マシン上で動いています (図参照 )。また、受発注システムは Remote APP により、全画面を占有せずにアプリケーション ウィンドウとして起動することが可能になったため、関連会社も含めて 170 台あまりのクライアント PC で、Web ページにある商品の確認や PDF の説明などを見ながら、受発注業務を行うことが可能になりました。

導入効果と今後の展望運用負荷の軽減とサーバー ダウン時の復旧時間の短縮を実現、クラウド対応への第一歩も踏みだす

仮想環境での運用を開始して 1 年あまり、システムは順調に稼働しています。新しい仮想環境をベースにしたシステムによって、東海物産では運用負荷とサーバー障害による業務リスクを大幅に減らすことができました。今まではサーバーで障害が発生し、システムが停止してしまった場合には、部品を交換し、Windows の再設定を行い、その上でアプリケーションをインストールしていたため、復旧に数日を要し、その間システムを利用することはできませんでした。

「受発注システムがダウンすると、今まではサーバーの復旧に 2、3 日かかっていたので、その間に受発注したものは手書きで記載し、手作業での入力となるため、手間がかかるだけでなく、数字の書き間違いが起こる可能性もありました。それが Windows Server 2012 の Hyper-V による仮想化で、万が一ダウンしたとしても簡単に復旧できるようになったので、運用負荷とサーバー障害による業務リスクを大きく減らすことができました。また、将来的にはサーバー群のクラウドへの移行を視野に入れていますので、それに向けた第一歩も踏みだすことができました」 (永戸 氏 )。

サーバーの仮想化を実現した東海物産では現在、グループウェアの導入を検討しており、その上で、次回のシステム更新時には IaaS を導入して、サーバーをクラウド化し、バックアップを社内に置いておく形にしていく考えです。

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2014 年 11 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、および Windows は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

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