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Wood Design ウッドデザイン構想 ~新しい都市デザインとしての『木づかい運動』の形成~ 杉本洋文(東海大学) (株)計画・環境建築

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Page 1: Wood Design ウッドデザイン構想 - KEIKAKU Inc · 複合(多目的)多層木質骨組構造システム この建築は10階程度の中層をモデルとし、多用途に対応する建築形式

Wood Design

ウッドデザイン構想

~新しい都市デザインとしての『木づかい運動』の形成~

杉本洋文(東海大学)

(株)計画・環境建築

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1.基本コンセプト

木の文化情報発信・産業創生事業を目的として、森林の再生と木造建築の発展と

木材に関わる様々な振興を発信していきます。

事 業 目 的

1.木の文化の再発見

我が国は、優れた木造建築を残してきた歴史と文化を備えています。21世紀を迎えた今は、特に「環境」の観点からも、木造建築が再認識され

てきています。その「木の文化」を見直し、様々な歴史と文化を再発見します。

2.木造建築の技術発展 -「温故創新」-

日本の建築は、古来より多く地震や火災等の災害によって、絶え間なく木造技術が見直され、その技術が発展してきました。そして、伝統的な木

造建築には、その工夫の痕跡や知恵が遺伝子のように組み込まれています。そうした古い知恵を掘り起こしながら、最新の技術を導入して、新た

な木造建築を生み出して行くことにより、我が国の歴史を支えている木造技術と新しい木造技術を世界へ発信します。

3.木造都市の創造

現代の都市の最大の課題である安心安全な都市を実現するためには、現代都市が失ってしまった都市と都市建築のあり方を学び、新しいまちづく

りの創造へ活かします。

4.全地域ウッドデザイン運動

各地域の山々にある木造資源に注目し、森林の健全な循環の仕組みをつくり出すために、地域をあげての森林事業を見直し、森林事業の情報の透

明化と林業関連事業を新たな時代に合った産業として再生するために、地域をあげて運動を展開します。

5.国際文化交流事業

ウッドデザインをテーマとした文化交流事業を立ち上げ、我が国に色濃く残る西洋やアジア地域との交流の歴史の足跡を辿り、文化の相互理解を深める機会

を創出し、新たな海外地域、日本の木材資源と木材活用文化を発展・創出できる機会とします。

コ ン セ プ ト

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2.プロジェクトイメージ

1)高剛性木造住宅システムの開発

●耐震性・耐久性の高い住宅架構システムの開発

●3階建て都市型建築システム開発

「クロスピンラーメン構造」

木造住宅としての意匠性、創造性の高さを併せ持ち、

狭小地における木造三階建て工法として開発された

新しい木構造システム。

<特徴>

①梁の木質構造材に対して、部材の木口に接合具の

埋め込み加工を行い、梁、柱をボルト接合するため

強い強度を効率のよいコストで実現できる。

②木造ラーメン工法として、大規模空間の確保と意匠

性を実現し、すぐれたデザイン対応を可能にする。

③柱ボルト接合による組立のため、施工に高いスキル

を必要とせず、短工期と高品質を両立。

④増築、改築が容易で、将来のライフスタイルの変化

に容易に対応できる。

⑤CPR 接合システムの応用で、いままでの木造工法

では対応の難しかった様々な空間構成が可能となる。

住宅イメージ

内観イメージ

構造架構イメージ

接合部イメージ

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2)中層木質複合建築のプロジェクト

●国産の木を使った都市型建築システムの開発・実験

・国土交通省が推進しているプロジェクトを受けて、木造都市を実現

するための建築システムに取り組む。実現対象は、集合住宅、ホテル、

事務所等の居住・執務系施設、高校、大学等の大型教育施設を想定。

木質ハイブリッドシステム

『MCWS』(multi-composite wood system) 複合(多目的)多層木質骨組構造システム

この建築は10階程度の中層をモデルとし、多用途に対応する建築形式

として、経済性を考慮しながら実現性の高い計画を目標にしている。

1)構造システムの特徴

・木造とRC造のハイブリッド構造

・複合(多目的)多層木質骨組構造システム

・木質系不燃材充填型部材

・剛性の高い接合システム

・同時に防火区画を形成する

2)防災計画の特徴

・回遊性のある2方向の避難動線

・雨水を利用したスプリンクラー設備。

3)建築計画の特徴

・マルチパーパスな建築モデル

・自然エネルギーを積極的に活用した設備システムと建築計画。

構造全体モデル

住戸構造モデル 施設イメージ

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3)仮設住宅システム

●地震等の災害時に応急的に建設できる住宅建築システム

・阪神大震災、中越地震、スマトラ沖地震、四川地震などを

契機として災害時に簡易に住宅が供給できるシステムの準

備が社会的に求められている。

・間伐材や小径木を利用して人力で建てることができる仮設

住宅システムを考える。

・中越地震時は、(社)国土緑化推進機構の「森と水の森林

基金」から支援を受け、木製サッシ、テント等のメーカー

から材料の現物支給を受けた。材料運搬等については行政

の支援を受けた。

・材料加工や建設マニュアルなど緊急時の供給システムを考

えておく必要がある。

阪神大震災を契機として開発した応急住宅モデルを博覧会

施設として活用(山陰・夢みなと博覧会 1997/鳥取県)

中越地震時に提供された応急住宅モデル。

素人でも建てられるように組み立てマニュアルを作成して

ボランティアの手で建てられた。

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4)木材利用促進建築システムの開発

●材料の利活用による木造建築プロジェクト

・間伐材などの未活用資材や竹などの未利用資材を用いて

新しい技術や工法を開発することにより、積極的に建材とし

て利用することを考える。

屋根施工状況:小径木から製材された板材

パネルを野地板として使用。隙間なく張り

詰めることで構造用合板同等の剛性を確保

できる。

野地板材料:間伐材等の小径木から角材を

製材したあとの端材を接着により張り合

わせてパネル化。端材を有効活用。

杉角材ブロックによる壁面

小径木(間伐材)を積み重ねて接着した角材

パネルを、2重構造にしたブロックをユニッ

ト毎に積み上げて壁面を構成。外壁側、内壁

側にも素材感を醸し出している。素材感だけ

でなく、薄い板材ではない角材であること

と、中間に空気層をもつ2重構造により、耐

候性、断熱性、壁面自身の安定性を確保して

いる。

愛・地球博/地球市民村(愛知県)

竹格子の構造体で建設した竹のパビリオン群

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5)国際交流事業

●「ワザの継承と創造」をテーマとして、デザインをキーワードとした木文化交流事業

・地域文化活性化の起爆剤として、デザインをテーマとした木文化交流事業を考える。伝統工芸も含めた幅広い領域からの参加を募る。

・国際ウッドデザインフォーラムやウッドデザインコンペティションの開催を検討する。

・デザインの領域:建築、家具、表具、楽器(雅楽器)、生活雑器、伝統工芸品(螺鈿、象嵌、漆器等)等々

指物 寄木細工

木工品

楽器

螺鈿

手漉き

和紙

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6)ウッドデザインの継承創造拠点の整備

●ウッドデザイン構想の理念を継承する拠点整備

・産官学の協働による木材産業を支援するウッドデザインセンターを設立し、

「ウッドデザイン構想」の各成果を継承していく。

・拠点整備は1カ所ではなく地域連携を考え、小規模のネットワーク型の

展開を考える。

オホーツク木のプラザ(北海道)

高尾森林

センター

(東京都)

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3.事業推進のポイント

<事業推進のポイント>

●地域の持つ資源、人材、技術が三位一体となった事業構造、産官学民の参加による事業スキームを考える。

●短期的な産業支援ではなく長期的な視野を持った持続可能な産業再生を目指す。

●補助金や助成金を導入しやすい仕組みづくりを考え、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップス)等による民間資金の導入も検討する。

●森林、林業を川上から川下までをマネージメントするような視点を持つ。 <スケジュール>

STEP-1

企画・

プロジェクト

立上げ等

STEP-2

基本計画・ 実証実験等

STEP-5

継承

STEP-3

実施計画・ 準備等

STEP-4

実施