csv経営の理念と実践フレームワーク

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CSV経営の理念と実践フレームワーク 2014725株式会社クレアン CSVマーケティングセミナー CSV(共有価値の創造)の現状とこれから~

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エンゲージメント・ファースト社主催 CSVマーケティングセミナー~CSV(共有価値の創造)の現状とこれから~ 【第1部】CSV経営の理念と実践フレームワーク CSVの基本的な考え方と、経営に取り入れていく際のフレームワーク、実際の導入コンサルテーション事例をご紹介いたします。 【講師】株式会社クレアン CSV/シェアード・バリューコンサルタント 水上 武彦氏

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Page 1: CSV経営の理念と実践フレームワーク

CSV経営の理念と実践フレームワーク

2014年7月25日

株式会社クレアン

CSVマーケティングセミナー

~CSV(共有価値の創造)の現状とこれから~

Page 2: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

4 CSV導入コンサルティング

Page 3: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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NGO/NPOの台頭やソーシャルメディアの発達もあり、企業に対する社会問題解決の期待・要請は、高まっている。

企業への社会問題解決への期待の高まり

社会問題の顕在化・深刻化

政府の問題解決能力低下

ソーシャルメディアの発達

企業に対する 社会問題解決の 期待・要請

NGO/NPOの台頭

企業の影響力増大

Page 4: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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CSRからCSVへ

企業の社会への貢献の類型化

事業を通じて得られた利益/リソースによる社会への還元

所謂、社会貢献活動、フィランソロピー

製品・サービスを生み出す関連業務/プロセスを通じた貢献

所謂、狭義のCSR

製品・サービスの提供価値を通じた貢献

所謂、本業そのもの

ネガティブインパクト の軽減

ポジティブインパクト の拡大

バリューチェーン

環境、人権・公正な取引、製品品質保証、情報開示、地域社会への配慮等

人事・労務管理

自社、グループ会社、地域社会等

ガバナンス

コンプライアンス、リスクマネジメント、情報セキュリティ等

サステナビリティに向けた

社会問題の顕在化・深刻化により、企業に対して、CSRを超えるCSVが求められるようになっている。

従来のCSR活動 の中心

近年期待される 領域 (CSV)

(CSV) より戦略的に

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

4 CSV導入コンサルティング

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CSVと3つの方法

CSV(Creating Shared Value)とは、社会問題の解決と企業の利益、競争力向上を両立させ、社会と企業の両方に価値を生み出すための経営フレームワーク

社会問題を解決する

製品・サービスの提供

(製品・サービスのCSV)

社会問題を事業機会と捉え、自社の製品・サービスで如何に社会問題を解決するかの探索を通じた新規事業創発・推進

代表例:GEのエコマジネーション、トヨタのプリウス、各種BOPビジネス

バリューチェーンの

競争力強化と

社会への貢献の両立

(バリューチェーンのCSV)

効率化を通じたコスト削減、サプライヤー育成を通じた高品質原料の安定供給等、バリューチェーンを(新たな視点で)最適化しつつ社会問題を解決

代表例:流通業による輸送ルート最適化を通じた環境負荷軽減、食品企業による原料農家育成

事業展開地域での

ビジネス環境強化と

地域への貢献の両立

(クラスターのCSV)

事業展開地域における人材、周辺産業、輸送インフラ、市場の透明性等を自ら強化することを通じ、地域に貢献しつつ、自社の競争力を向上

代表例:IT企業による地域のIT教育支援を通じたIT人材というビジネス環境の強化

CSVは、①製品・サービスという企業活動のアウトプット、②バリューチェーンという企業活動そのもの、③企業活動と社会との関係性を通じて、社会問題を解決しようとするもの。

Page 7: CSV経営の理念と実践フレームワーク

CSVとCSRの相違

CSVは、競争優位獲得のため、企業戦略として実施するもの。

Corporate Social

Responsibility(CSR)Shared Value

(CSV/シェアード・バリュー)

Motivation

動機

Corporate reputation

評判の向上

Competitive advantage

競争優位の獲得

Main Driver

主な推進力

External stakeholders

外部ステークホルダー

Corporate strategy

企業戦略

Approach

アプローチ

Reactive

受動的

Proactive

能動的

Measurement

測定成果

Spending, standard ESG

metrics

費用、標準的ESG指標

Social and economic value

created

生み出された社会・経済価値

Management

マネジメント担当

CSR departments

CSR部門Across the whole firm

全社

Business Benefit

ビジネス上の利益

Risk reduction and goodwill

リスク軽減、信用

New business opportunities

新たな事業機会

Social Benefit

社会の利益

Successful projects

社会的プロジェクトの成功

Large scale sustainable

change

大規模なサステナビリティへの変化

Corporate Social

Responsibility(CSR)Shared Value

(CSV/シェアード・バリュー)

Motivation

動機

Corporate reputation

評判の向上

Competitive advantage

競争優位の獲得

Main Driver

主な推進力

External stakeholders

外部ステークホルダー

Corporate strategy

企業戦略

Approach

アプローチ

Reactive

受動的

Proactive

能動的

Measurement

測定成果

Spending, standard ESG

metrics

費用、標準的ESG指標

Social and economic value

created

生み出された社会・経済価値

Management

マネジメント担当

CSR departments

CSR部門Across the whole firm

全社

Business Benefit

ビジネス上の利益

Risk reduction and goodwill

リスク軽減、信用

New business opportunities

新たな事業機会

Social Benefit

社会の利益

Successful projects

社会的プロジェクトの成功

Large scale sustainable

change

大規模なサステナビリティへの変化

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

2-1 製品・サービスのCSV

2-2 バリューチェーンのCSV

2-3 クラスターのCSV

4 CSV導入コンサルティング

Page 9: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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製品・サービスのCSV

顧客ニーズが顕在化していない社会問題をビジネス化し、新しい市場を創造するのが基本コンセプト。

(顕在化している)

顧客ニーズ 社会問題

通常のビジネスとしての社会問題の解決

敢えてCSVと言わなくとも対応される

ここで顧客ニーズを創り出すのが“社会問題解決イノベーション”

他社が対応していないが故に、差別化につながる

社会の目から見て、社会問題に対応しているとは 認識されない領域

Page 10: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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製品・サービスのCSV(事例) GE

GEは、「世界が抱える難問を解決する会社」として、事業を通じた環境・社会問題への対応を積極的に展開。

GEは、他社に先駆けて、環境問題、健康問題に対応したビジネスを積極的に展開

【エコマジネーション】

環境問題に対する革新的なソリューションを開発し、利益ある成長を達成しながら将来に投資する戦略

自然エネルギー、水処理、スマートグリッド等、幅広く事業を展開

2005年に取り組みを開始、2008年には製品数80、売上170億ドルに達し、2010年にはR&D費を15億ドルに増額、売上高250億ドルを目指す

【ヘルシーマジネーション】

世界が抱える医療や健康の問題を解決するため、一段と身近で質の高いケアをより多くの人に提供することを目指す戦略

地域に適した技術開発、ヘルスケアITの加速、格差のない医療の提供、在宅医療の推進の4分野に注力

2009年に取組みを開始。2015年までに30億ドルを投資し、100種類のイノベーション実現を目指す

取組み概要

自社にとっての価値

他社に先駆けた成長市場の獲得、ブランディング、政府などステークホルダーとの関係性強化

エコマジネーション製品の2010年の売上高は、180億ドル、2005-2010年の売上高は、850億ドル以上

社会にとっての価値

地球温暖化、水不足等の環境問題の解決

幅広い人々に対する質の高い医療サービスの提供

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GEは、外部ステークホルダーと繰り返し議論することを通じ、環境問題に対応することの必要性を深く理解した上で、他社に先駆けてエコマジネーションを発表。

変化の洞察 外部ステークホルダーとの

議論を通じた 変化の必要性確認

トップダウンでのビジョン提示

CEOのジェフリー・イメルトは、全事業に対して実施している年次戦略レビューにおいて、2003年以降、すべての事業分野において、「効率を高め、排出を減らす」という命題を突きつけられていることに気付く

従来とは全く異なる発想の必要性に気付いたイメルトを含むマネジメントは、多くの他社に声をかけ、人口構成の変化、エネルギー、水不足、都市の興隆など、メガトレンドについて議論

その後、顧客、政府、NGOなどあらゆる関係者と二日間の“夢の討論”を何度も実施するなどを通じ、社内の発想転換の意義を確認

顧客には、議論の題材として、10年以上先の未来を描くよう求めた

発想転換の意義を確認したイメルトは、自信を持ってエコマジネーションという新しいビジョンを提示

【4つのコミットメント】

環境分野の研究開発費を倍増する

環境配慮製品の収益を増大する

自社内で排出する温室効果ガスを 削減する

情報を開示し、環境関連の対外活動に積極的に協力する

ステークホルダーとの対話 GE

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プロジェクトベース

ニーズベース シーズベース ハイブリッド ボトムアップベース

問題を起点として、解決アプローチを網羅的に探索した上で、自社強み・技術等を当てはめてソリューションを探索

自社保有の技術等のシーズをベースに、機能から問題解決ソリューションを網羅的に創発し、有望なものをスクリーニング

問題を幅広く捉え、自社強み・リソースをつき合わせながら、アイデアを創発

社内外から幅広くアイデアを募集し、有望なものを採用

(新規事業) アイデア創発 パターン

説明

ツリー構造による網羅的検討

技術(Technology)→機能(Function)→問題解決ソリューション市場(Market)

のMFTアプローチ

問題×自社強みの組み合わせブレスト

社内公募プログラム 社会貢献活動 ソーシャルベンチャー 社内ベンチャー

社外からのアイデア募集プログラム

アプローチ

水資源不足をどう解消するか?

水資源の全体量を増やす

水資源の使用可能量を増やす

水資源を効率利用する水資源の地域間

インバランスを解消する

海水を淡水化する

・・・

海水を蒸留する

海水の塩分をろ過する

・・・ ・・・

・・・

海水を淡水化する

・・・・・・

海水を蒸留する

海水の塩分をろ過する

・・・・・・ ・・・・・・

・・・

従来使われていない水資源の活用

・・・

雨水をろ過する

・・・ ・・・

・・・

従来使われていない水資源の活用

・・・・・・

雨水をろ過する

・・・・・・ ・・・・・・

・・・

農業の水使用を効率化する

・・・・・・

灌漑用水効率利用

点滴灌漑

・・・ ・・・・・・

・・・

水資源を地域間輸送する

・・・

石油タンカーのバラスト水使用

・・・ ・・・

・・・

水資源を地域間輸送する

・・・・・・

石油タンカーのバラスト水使用

・・・・・・ ・・・・・・

・・・

自社強みの当て嵌め

T

F

F

FF

S

気候変動

水資源

生物多様性

排出物 安全

教育

衛生

人権

貧困

強み(技術・ノウハウ等)

できること(機能・能力等)

対応すべきサステナビリティ課題

地球温暖化生物多様性 ・・・

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・

XX技術XXをXXする

・・・

・・・

・・・・・・

○○技術

○Xノウハウ

・・・

・・・

・・・

○をX○するXX技術

XXをXXする

・・・

・・・

・・・・・・

○○技術

○Xノウハウ

・・・

・・・

・・・

○をX○する

具体的に示す

突合せによる

創発

・・・

製品・サービスのCSVは、新規事業の創出と基本的に同じ。大きく4つのパターンがある。

製品・サービスのCSV 4つの創出パターン

Page 13: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

2-1 製品・サービスのCSV

2-2 バリューチェーンのCSV

2-3 クラスターのCSV

4 CSV導入コンサルティング

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電子機器などに使用されるタンタルなどのレアメタルが、コンゴ民主共和国の内戦の資金源となり、犠牲者を拡大

CO2排出による気候変動問題の促進

生産現場での水資源の過剰摂取による水資源枯渇

パーム油などの資源供給企業による熱帯雨林の違法伐採

アパレル、電気機器などの製造委託工場での強制労働、児童労働

カカオ、コーヒー、コットン、農家での強制労働、児童労働

農作物調達における農家への利益配分不足

資源調達現場における原住民コミュニティの破壊

バリューチェーンは、社会・環境に広く影響を及ぼすようになっている(インサイド・アウト)。この社会・環境への影響を戦略的に見直すことにより、バリューチェーンを強化。

バリューチェーンのCSV

バリューチェーンとは、「製造→物流→販売」といったサプライチェーンや、技術開発、人材育成などの企業活動が一連の流れの中でその都度、付加価値(バリュー)を生み出しているものと捉え、そうした付加価値を生み出す企業の活動を網羅して描き出したもの

Page 15: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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①エネルギー利用の効率化 ②物流の効率化 Energy use and logistics

③資源利用の効率化 Resource use

④サプライヤーの育成 Procurement

⑤モノの流通から情報の流通への変更 ⑥地域人材を活用した流通モデル

Distribution

⑦従業員の生産性向上

Employee productivity

基本パターン

⑧サプライチェーンの短縮

Location

工場、オフィス、物流等、バリューチェーン全体のエネルギーコスト削減

物流におけるエネルギーコスト低減、対応迅速性向上、在庫削減等

企業にとっての価値

水資源、各種原料等の効率利用、リサイクル、リユース等によるコスト削減

サプライヤーの育成を通じた高品質な原材料の安定調達

ローカルサプライヤーの育成を通じたサプライチェーンの効率化

新たな事業からの収益獲得 電子書籍等のモノの流通から情報の流通への変更

新しい市場の獲得

従業員の健康・安全確保、能力向上等の支援を通じた従業員の生産性向上

地元サプライヤーを育成し、地元からの調達を増やすことによる輸送コスト削減、地域との密着によるきめ細かい調達等の実現

化石資源の有効利用、CO2排出量削減

水資源、各種原料等の有効利用

ゴミ処理量の削減

サプライヤーの生産性向上を通じた環境負荷軽減

サプライヤーの成長を通じた地域コミュニティの発展

紙、プラスチックス等の使用量削減

途上国の発展 等

従業員の健康や安全の維持

従業員の能力開発 等

社会にとっての価値

CO2排出量削減

地域の雇用創出

ウォルマートは、容器・包装の軽量化とトラック輸送ルートの最適化により、商品輸送量を増やしながら年間2億ドルのコスト削減を実現

事例

ダウ・ケミカルは、最大の生産拠点における水資源使用量を10億ガロン削減することを通じて、400万ドルのコストを削減

ネスレは、アフリカおよび南米の小規模コーヒー農家に栽培技術・ノウハウの供与、資金援助等を行い、高品質コーヒーの安定調達を実現

ユニリーバは、インドの農村部の女性にマイクロ融資と企業家としての訓練を実施、それら女性をチャネルとしてユニリーバ製品を販売

ジョンソン&ジョンソンは、従業員の禁煙支援と健康増進プログラムを通じて、ヘルスケアコストを2.5億ドル削減

農産物商社オラムは、アフリカで調達するカシューナッツの加工基地をアジアからアフリカに移すことにより、輸送コストを25%削減

Shared Value

バリューチェーンのCSVには、8つの活動モデルがあり、チェックリストとして活用できる。

バリューチェーンのCSV 8つの活動モデル

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伊藤園は、高齢化が進む茶産地農家を技術面、経営面で支援。茶葉の安定調達、品質向上につなげている。

2001年に宮崎県都城市で始めた茶産地育成事業で、高齢化や後継者不足が深刻化している茶産地農家を、技術の提供や茶葉の全量買取で支援

野菜や家畜用飼料などを育てていたが、農家の後継者がいなくなった耕作放棄地をお茶畑として再生

茶葉の品種や、刈り取りのタイミング、加工法などを伊藤園が提供

取組み概要

自社にとっての価値

緑茶系飲料市場が拡大し、国産茶葉の供給が追いつかない状況で、国産茶葉を安定調達

生産からの取組みで、理想の茶葉を入手

食の安全が求められる中、国産茶葉100%のブランドで、シェアNo.1(40%前後)を継続

社会にとっての価値

高齢化、後継者不足が深刻化する茶産地農家の保全

耕作放棄地の解消

バリューチェーンのCSV(事例) 伊藤園「茶産地育成事業」

Page 17: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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ユニリーバは、インド女性の自立を支援しつつ、チャネルとして自社製品の販売を行ってもらうというビジネスモデルにより、インド農村部へのアクセスを獲得。

ユニリーバは、1999年にインドの農村部を開拓するための特別チームを編成して新たなビジネスモデルを開発

インドの農村部の女性にマイクロ融資を行い、起業家としての訓練を実施

同時にユニリーバ製品を活用した衛生に関する啓蒙活動を実施

訓練を受けた女性をチャネルとしてユニリーバ製品を販売

本件実施に向けては、ユニリーバの従業員が6週間現地で共同生活を実施

また、事業展開にあたっては、USAID、ユニセフに加え、400のNGOからのサポートを獲得

取組み概要

自社にとっての価値

これまで十分にアクセスできていなかった農村部での事業展開により、インド市場で、2009年までの5年間で売上を3倍近くに拡大

2008年時点で、インドの15の州の10万以上の村で事業を展開し、農村で1億ドル程度の売上げを獲得

社会にとっての価値

インドにおける衛生環境の改善

インド農村部の女性の自立

バリューチェーンのCSV(事例) ユニリーバ

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

2-1 製品・サービスのCSV

2-2 バリューチェーンのCSV

2-3 クラスターのCSV

4 CSV導入コンサルティング

Page 19: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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クラスターのCSV 企業と社会の相互依存

自社

消費者

株主・ 投資家

取引先

従業員

地域社会

自社の 活動基盤

社会経済 システム (人類の活動)

地球

共生

企業は、真空の中で活動を行っているわけでなく、様々な基盤の恩恵を受けながら活動している。(アウトサイド・イン)

Page 20: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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クラスターのCSV 競争基盤の強化

企業

事業インフラ

(人財、輸送網、研究機関、 天然資源、資本アクセス等)

競争ルール

(参入障壁、規制、事業慣行、 市場の透明性等)

需要条件

(需要の大きさ、消費者の嗜好性、 消費者の知識等)

関連業界

(サプライヤー等バリューチェーン をサポートする企業)

ステークホルダーとの関係

(企業活動と利害関係を有する 株主、顧客、取引先、従業員、 地域社会との関係、評判)

※特定の産業に関する競争基盤が特定の地域に集積している状態を「クラスター」と言う。

企業を支えるビジネス環境のうち、競争力に大きな影響を及ぼすものを「競争基盤」と呼ぶ。競争基盤に関連する社会問題を解決することにより、自社競争力を強化することが可能。

Page 21: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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①事業インフラの整備

(人材、輸送網、研究機関、 天然資源、資本アクセス等)

②関連業界の育成

(サプライヤー等バリューチェーン をサポートする企業)

③競争ルールの整備

(参入障壁、規制、事業慣行、 市場の透明性等)

④需要条件の創造

(需要の大きさ、消費者の 嗜好性、消費者の知識等)

⑤ステークホルダー との関係強化 (企業活動と利害関係を有する 株主、顧客、取引先、従業員、 地域社会との関係、評判)

5つの活動モデル

優秀な人材の獲得、インフラ整備による輸送効率の向上など

企業にとっての価値

原料や部品の品質向上と安定調達

事業運営の円滑化、新しいルールにおける製品・サービスの展開など

消費者知識の向上にともなう製品・サービスの展開

ステークホルダーとの関係強化による事業運営の円滑化、競争力向上など

地域の人材の教育レベル向上、社会インフラの整備などにより、経済が発展

サプライヤーの雇用増加などによる地域の発展

必要な規制の導入、市場の透明性向上などによる社会の発展

消費者が必要な知識を獲得することによる社会の発展など

ステークホルダーに関わる社会・環境問題の解決

社会にとっての価値

マイクロソフトは、慢性的にIT人材が不足する米国のIT教育を支援・強化し、優秀な人材を安定的に獲得

事例

コマツは、地元の協力会社に社員を派遣して技術やノウハウを伝授し、協力会社を育て、部品の品質向上と安定調達を実現

デュポンは、フロンガス規制の導入を働きかけ、自社の代替フロン技術を普及

ノボノルディスクは、中国市場で医療従事者、患者、一般市民に対して糖尿病に関する啓発活動を実施し、糖尿病薬を普及

エーザイは、患者とその家族の支援をしつつ、患者の抱える問題を理解し、新たな製品開発につなげている

Shared Value

クラスターのCSVには、5つの活動モデルがあり、チェックリストとして活用できる。

クラスターのCSV 5つの活動モデル

Page 22: CSV経営の理念と実践フレームワーク

21 Copyright © 2014 Cre-en, Inc.

日本郵船は、グループの船舶職員の多くを占めるフィリピンで、将来も能力の高い船舶職員を安定して確保できるよう、商船大学を開校。

日本郵船グループの船舶職員の多くを占めるフィリピンで、高い水準の船舶職員を育成することを目的に、商船大学NTMA(NYK-IDG Maritime Academy)を開校

加えて、フィリピン国内に船舶管理会社を設立して、「船舶管理の監督」という新たな職域の雇用を創出

取組み概要

自社にとっての価値

能力の高い船舶職員の安定供給

社会にとっての価値

フィリピンでの人材能力向上、雇用創出

クラスターのCSV(事例) 日本郵船

Page 23: CSV経営の理念と実践フレームワーク

22 Copyright © 2014 Cre-en, Inc.

クラスターのCSV(事例) ノボノルディスク

ノボノルディスクは、中国市場への参入に先駆けて、糖尿病に関する啓発活動を通じて、「糖尿病に関する知識」「顧客との関係」という競争基盤を強化。

「糖尿病のより良い予防、発見、治療方法を見出し、糖尿病を克服すること」を経営ビジョンに掲げるノボノルディスクは、1994年に本格参入した中国での事業展開に先駆けて、糖尿病患者がおかれた医療事情を改善するための啓発プログラムを推進

医療従事者に対し、

毎年の糖尿病専門会議の主催、教育プログラムなどを実施。5年間で35,000人以上が参加

政府と連携し、医師や看護婦の教育実習トレーニングの実施と各地区での糖尿病ケアモデル作りを展開

患者に対し、

47都市の病院に合計70の教育センターを設置し、糖尿病と正しく付き合うための教育セミナーを実施

一般社会に対し、

メディア等と積極的な協力関係を構築し、情報を発信

取組み概要

自社にとっての価値

中国における糖尿病ケア企業としてのポジション確立

医師等へのアクセス確保(顧客開拓)

2010年時点で、10億ドルの中国の糖尿病治療薬市場で、63%のシェアを占める

社会にとっての価値

中国の糖尿病患者が置かれた医療事情改善

Page 24: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

4 CSV導入コンサルティング

Page 25: CSV経営の理念と実践フレームワーク

24 Copyright © 2014 Cre-en, Inc.

企業理念の実践、社会に価値を提供するビジネスの実践により、人材を生かし、組織を活性化する

社会に価値を提供するビジネスの実践により、ステークホルダーからの評判を高める

CSVは、「イノベーションの創出」「グローバル展開」「人と組織の活性化」など、日本企業が抱える問題を解決する。

CSVの経営的意味合い

メガトレンドへの適応

イノベーションの創出

グローバル化への対応

人材と組織の活性化

CSVは、長期的な社会構造の変化、トレンドなどを見極めて、広い視野から戦略を考えるものであり、社会のメガトレンドに適応した長期的に持続可能な戦略構築が可能

CSVは、社会・環境問題と自社強みとの関係、社会と自社事業活動との相互影響関係、ステークホルダーとの協働など、新しい視座、新しいレンズを提供し、イノベーション創出の可能性を高める

新興国・途上国は社会・環境問題が溢れており、競争基盤も十分整備されていないことも多く、「地域とともに発展する」というCSVの視点でのビジネス展開が不可欠

CSVの経営的意味合い 説明

評判の向上

Page 26: CSV経営の理念と実践フレームワーク

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CSV推進に向けては、以下が求められる。

CSV推進に向けた押さえどころ

トップマネジメントのコミットメント

利益と社会貢献が両立するという考えが十分浸透していない状況では、トップがその重要性を訴え続ける必要がある

CSVを推進するビジョン/方針の明確化

CSVのような新しいコンセプトを全社的に推進する場合には、全社として明確な目指す姿(ビジョン)や方向性(方針など)を打ち出すことが重要。さらには、それを目標/KPIに落し込み、PDCAでマネジメントすることが望ましい

ステークホルダー・エンゲージメント

CSV推進のためには、ステークホルダーとの対話を通じた社会トレンドの理解や、実践におけるステークホルダーとの協業が重要

CSVを推進しやすい仕組み/プロセス整備

CSVは、長期的な取組みが求められ、長期で見た価値を生み出すもので、事業開発、評価などで従来と異なるプロセスが必要

イノベーションを生み出す風土の醸成

CSVは、新しいアイデア、新しい価値創出が求められるイノベーションであり、自由な発想や行動を促進する組織風土が必要

Page 27: CSV経営の理念と実践フレームワーク

ユニリーバは、2020年までに達成すべき社会・環境問題解決についてのビジョン「サステナブル・リビング・プラン」を掲げる。

ビジョンの明確化 ユニリーバ

Page 28: CSV経営の理念と実践フレームワーク

ユニリーバは、「サステナブル・リビング・プラン」について詳細な目標を定め、毎年の進捗状況を開示し、PDCAマネジメントを推進。

目標設定によるPDCAマネジメント ユニリーバ

安全な飲み水の提供

【目標】 ユニリーバは、家庭用浄水器ピュアイットで、2020年までに5億人が手ごろな価格で安全な飲み水を入手できるようにすることを目指します。

【実績】

2005年の発売以来、ピュアイットを使って合計4,500万人が安全な飲み水を入手できるようになりました。このうち1,000万人は2012年の実績です。

Page 29: CSV経営の理念と実践フレームワーク

ユニリーバは、長期ビジョンを推進しやすくするため、4半期報告の廃止、R&Dプロセスおよび報酬制度の改革などを実施。

仕組み/プロセス整備 ユニリーバ

長期ビジョン達成状況の4半期ごとのCEOによる確認と年次報告書の公表

5名の外部専門家からなる「ユニリーバ・サステナビリティ・ディベロップメント・グループ」によるサステナビリティ戦略の策定支援と評価

4半期報告および利益予測の廃止

長期戦略を理解してくれる株主の積極的探索

ヘッジファンドの排除

R&Dプロセスへの社会性の組み込み

長期重視の報酬制度

長期ビジョン推進に向けたユニリーバの取り組み例

Page 30: CSV経営の理念と実践フレームワーク

ユニリーバは、サステナビリティへの取り組みが長期的な成長には不可欠と考え、ビジネス戦略として「サステナブル・リビング・プラン」を策定。

ビジネス戦略としての「サステナブル・リビング・プラン」

「ユニリーバの企業ビジョンは、環境負荷を削減し、社会に良い影響を与えながらビジネスの規模を2倍にすることです。」

⇒「サステナブル・リビング・プラン」は、この実現のための戦略目標

将来にわたって成長し続けるためには、何かを犠牲にすることはできません。環境への負荷を減らしながら、社会にとっても有益であるような、新しいビジネス・モデルを確立する必要があります。

ユニリーバは、サステナビリティと利益ある成長は対立するものではないと考えています。 サステナビリティに配慮した製品やパッケージの開発は将来性のある分野です。

途上国は森林伐採、水不足、非衛生などの問題に直面しています。ユニリーバの売上の半分以上は途上国でのビジネスが占めており、今後も市場の成長が見込めます。環境の変化をとらえ、途上国の消費者の皆さまによりよい未来に向けた製品を提供することは、将来の成長を加速することにもつながります。

サステナビリティを追求すると、エネルギー削減、パッケージ削減、廃棄物の削減を進めることになります。これは、コスト削減だけでなく、消費者の皆さまの節約にもつながります。

人々の懸念と環境ニーズの両方に取り組むビジネスは、長期にわたり成功すると私たちは信じています。

背景にある考え方

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目的による戦略ポジショニング

製品ではなく目的による戦略ポジショニングを行う企業が増えている。

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目次

1 CSVが求められる背景

2 CSVの3つのアプローチと具体事例

3 CSVの経営的意味合いと進め方

4 CSV導入コンサルティング

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CSV関連コンサルティング・サービス

CSV関連のコンサルティング・サービスの一例。

CSVの社会浸透に向けた 講演・ワークショップの実施

クライアント向けに資料をカスタマイズした講演

ワークショップによる自社CSVの検討

サービス 説明

CSV戦略の策定 CSVのアイデア創出、スクリーニング、検証等によるCSV戦略の策定を支援

CSVポテンシャル診断 1Action 2Valueチャートによる自社CSV活動の棚卸し

他社、他業界ベンチマークによるCSVポテンシャル整理

CSV推進の実行支援 パートナーの探索、連携サポート等の実行支援

戦略的社会貢献活動の推進 既存の社会貢献活動を整理・見直しつつ、戦略的な社会貢献活動を検討

CSV目標・KPIの策定 CSVに関する目標、KPIの設定

CSVマテリアリティ特定、 CSV方針/ビジョン策定

CSVに関するマテリアリティの特定、方針/ビジョンの策定(または改定)

CSV視点での

コミュニケーション支援

CSRレポートなどでのCSV特集作成支援(CSV視点での統合報告FWづくり)

インターナルブランディング、エンゲージメント・マーケティング

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テーマ 「XXX課題への対応」

CSV創発ワークショップ

*) ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らが設立した、グローバルでCSVをリードする非営利コンサルティング組織。 CSV推進におけるクレアンのパートナー。

CSVワークショップ

CSVのフレームワークに基づき、FSG*のノウハウなども反映したワークシートを用いながら、自社ならではのCSVについて検討。

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実施事項

ステップ1

CSV活動の現状整理

ステップ2

他社事例調査

ステップ3

CSVポテンシャルの洗い出し

1Action 2ValueシートなどのCSV可視化ツールを用いて、自社がすでに実施しているCSV活動を整理

国内外の同業他社企業がCSVの3つの方法について何をしているかを調査するとともに、他業界で参考になりそうな事例を調査

バリューチェーンのCSVの8つの方法、ビジネス環境のCSVの5つの方法などについて、網羅的に調査

自社の活動と他社事例を照らし合わせ、未対応の活動を洗い出すとともに、今後実施すべきCSV活動を創発

イメージ

CSVポテンシャル診断

1Action 2Valueシートなどのツール、バリューチェーンCSVの8方法などのフレームワークを用いて、社内外のCSV事例を整理し、今後のCSV活動のポテンシャルを洗い出す。

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社会的課題動向と自社ならではの強みを、CSVのフレームワークなどを用いて突き合わせながら、組織横断議論、有識者ヒアリング等を通じて、CSVビジョンを策定

「自社ならではの強みを活かした提供価値を通じて、世界をどう変えたいか?」を幅広く議論

ビジョンに基づき、自社が“世界を変える”ために対応する社会的課題とそのために必要な製品/サービスを明確化

上記を実現するために目標を設定し、PDCAでマネジメント

社会的課題動向と自社ならではの強みを突き合わせ、組織横断議論を通じてCSVビジョンを策定。製品/サービス戦略に落とし込む。

社会的課題動向の洞察

CSVビジョンの策定 製品/サービス戦略

への落としこみ

自社DNA・強みの洗い出し

ステークホルダー、有識者を交えた幅広い議論を通じて将来市場(社会的課題)を理解

PEST、SEPTEmber等のフレームを用いて、各要素のマクロトレンドを理解しつつ、社会的課題動向を理解

価値観

技術プラットフォーム

オペレーションノウハウ

顧客、人材ベース

自社ならではの強みを全社的議論を通じて洗い出す

CSVビジョンの策定

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株式会社クレアン 〒108-0071 東京都港区白金台3-19-6 白金台ビル5F 電話: 03-5423-6920 Fax: 03-5423-6921 コンサルタント 水上 武彦 [email protected] (参考)書籍「CSV経営」赤池学、水上武彦著(NTT出版)

ブログ「CSV/シェアード・バリュー経営論」 http://www.cre-en.jp/mizukami-blog/

ご清聴ありがとうございました。

お問い合わせ等は、下記までご連絡頂ければと存じます。

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