yoshiko fukukawa - courts

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裁判所事務官 Fukukawa Yoshiko 裁判所を愛する仲間とともに、 全国の司法を支えたい。 平成 18 年採用(Ⅰ種) 最高裁判所事務総局総務局 第三課訟廷調査第一係長 Ⅰ種…現在の総合職に相当

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Page 1: Yoshiko Fukukawa - Courts

裁判所事務官

Fukukawa

Yoshiko

裁判所を愛する仲間とともに、

全国の司法を支えたい。

平成 18 年採用(Ⅰ種)

福 川 美 子

最高裁判所事務総局総務局

第三課訟廷調査第一係長

Ⅰ種…現在の総合職に相当

Page 2: Yoshiko Fukukawa - Courts

これまで,裁判所書記官として5年の経験がありますが,民事訴訟事件は2年とい

う短い期間しか経験がないため,検討に当たっては,破産事件や執行事件など,

様々な事件を経験したことのある同僚達から情報収集をすることから始めました。ま

た,東京及び大阪の地方裁判所の裁判官や書記官とで行うテレビ会議による検討会

に参加したり,最高裁判所の他の部署とも協議をしたりしながら,適正な事務処理方

法等の検討を進めてきました。連日のように局内で議論と検討を繰り返し,時には時

間を忘れて夜遅くまで議論することもありましたが,それでも最善な答えが見いだせな

いこともありました。しかし,どんなに解決が困難だと思われたものでも,議論を尽くせ

ば,最後には最善の結論にたどり着けるのです。

全力で議論し答えを見いだす

-最高裁判所での仕事

「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁

判手続の特例に関する法律」が平成28年10月1日か

ら施行されました。これは,民事裁判の新しい手続を定めた

法律ですが,この法律を読んだだけでは,全国の裁判所に

おいて,どのように受付をして,どのように裁判手続を進めて

いけばよいか分かりません。

私に与えられた任務は,法律の規定に従った適正な裁判

事務を遂行するために,手続の入口から出口までの事務を

あらゆる方面から検討し,全国の裁判所における統一的な

運用ルールを定めることでした。

Page 3: Yoshiko Fukukawa - Courts

そのように自信が持てるのは,一緒に検討したメンバ

ー全員が自己の担当する仕事にプライドを持ち,裁

判所を愛し,より質の高い裁判を提供したいという思

いの中で全力で議論を尽くした結果だからです。全て

の検討を終えた際に,上司から,「ここまで議論を尽

くしてきたのだから,大丈夫」と背中を押してもらえたと

きには,肩の荷が下りたようにホッとしました。そして,

メンバー全員の総力結集の下,全国の裁判所に統

一的な運用ルールを示すことができました。

係長としての心がけ

今回ご紹介した業務は,たくさんある業務の

うちの一部です。最高裁判所事務総局で

は,全国の高等裁判所や地方裁判所,家

庭裁判所からの照会に対する回答なども行っ

ています。その回答は,全国の裁判所に対し

て大きな影響力を及ぼすこともあるので,係

全体で協力しながら適切な回答を導き出しま

す。そのためには,日頃から係のメンバーや上

司とのコミュニケーションが何より大切だと感じ

ています。

それは,私が裁判所事務官として採用された

頃に,慣れない仕事にこっそりとため息をつい

たり,仕事に煮詰まっていたりしたときに,いつ

も先輩が「どうしたの?」と声をかけて相談しや

すい雰囲気作りをしてくれたことが力となり,仕

事をやり遂げられたという経験があったからで

す。こうした経験から,係長として,周囲に積

極的に声をかけ,気軽に議論できるような雰

囲気作りを常に心がけています。

Page 4: Yoshiko Fukukawa - Courts

受験を検討されている皆さんへ

皆さんには,将来への選択肢がたくさんあります。施

策に携わるような仕事をしたい,国民のための仕事を

したいと思ったときに,普段なかなか訪れることのない

裁判所の仕事を具体的に想像することができず,選

択肢から外れてしまうこともあるのではないかと思いま

す。しかし,裁判所の仕事は,全て裁判の利用者で

ある国民に直結していますし,最高裁判所事務総局

においては,先ほどご紹介したような裁判手続におけ

る全国の裁判所の統一的な運用ルールを定めたり,

全国の裁判所の運営等に関する施策の立案なども行

っています。

私は,大学卒業後は,民間会社で働くなど,必ずし

も法律に親しみがあったわけではありませんでしたが,

様々な研修や先輩方からの指導もあり,専門的な知

識を習得することができましたし,係のメンバーや上司

の支えもあって,何とか係長という職を務めることがで

きています。今後も,もっともっと成長して,周りの支

えの一つになっていきたいですし,裁判所が今まで以

上に信頼してもらえるよう,一職員として微力を注い

でいきたいと思っています。

裁判所に興味を持ってくれた皆さんと,職場でお会い

できるのを楽しみにしています。