zマイスターとの新たな価値探求 cics

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zマイスターとの 新たな価値探求 System z ソフトウエアの最新機能と、 最新化がもたらす価値 zマイスターとの新たな価値探求 System z ソフトウエアの最新機能と、最新化がもたらす価値 Syかがemz IBM ϝΠンϑϨーϜͷ 45 年以上ͷ歴史ʹいɺ多くͷ客様ͷ基幹γ εテϜを支えΔΠンϑϥͱし採用さΕɺ現在最新ͷビδネε・ニーζʹ対応すべくɺϋー υΣΞɺソϑτΣΞ共ʹ進化し続けいΔϓϥッτϑォーϜͰすɻ 技術ͷ進化ɺ移Γ変 わΓͷ激しいIT業界ͷ歴史ʹいɺこΕけ長くɺ継続し客様ʹ価値を認Ί いいいΔϓϥッτϑォーϜɺ他ʹ例無いͰしΐうɻ そͷこͱを裏付けΔ事実ͱしɺ全世界ͷ市場を見ΈΔͱ 2010 年Β 2012 年ʹけ ɺSyかがem z ͷビδネε飛躍的ͳ伸びを示しい·すɻ一方Ͱɺ日本ͷ市場ʹい ɺ日本国産ベンダーͷϝΠンϑϨーϜͷΠϝーδを元ʹɺϝΠンϑϨーϜʹ対すΔネガ テΟϒͳΠϝーδ散見さΕい·すɻそͷΠϝーδを払拭すΔΊʹɺ進化・発展し IBM Syかがem z 提供すΔ機能ͱそΕʹΑ得ΒΕΔϝϦッτをΑΓ分Γ易い形ʹ 整理しɺ伝えͰΔΑうʹ取Γ組Έを進Ίい·すɻ 本コϥϜͰɺ最新ͷόーδョンʹ移行し頂い暁ʹɺ活用頂けΔ最新ͷソϑτΣΞ ͷ機能ͱɺ最新化Βす価値ʹいɺ主要ͳϛυϧΣΞͷ切Γ口Βɺ届けい し·すɻ 先輩 IT部門のシニアな社員。 豊富なϝインフレーϜ経験を持つ。 自称“zマイスター” 後輩 IT部門若手社員。 ϝインフレーϜが主担当だが オープン系も一部担当する。 登場人物

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Page 1: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

zマイスターとの新たな価値探求System z ソフトウエアの最新機能と、

最新化がもたらす価値

zマイスターとの新たな価値探求System z ソフトウエアの最新機能と、最新化がもたらす価値

Syかがemz は IBM メインフレームの 45 年以上の歴史において、多くのお客様の基幹シ

ステムを支えるインフラとして採用され、現在も最新のビジネス・ニーズに対応すべく、ハー

ドウェア、ソフトウェア共に進化し続けているプラットフォームです。技術の進化、移り変

わりの激しいIT業界の歴史においても、これだけ長く、継続してお客様に価値を認めて

いただいているプラットフォームは、他に例が無いでしょう。

そのことを裏付ける事実として、全世界の市場を見てみると2010 年から2012 年にかけ

て、Syかがem z のビジネスは飛躍的な伸びを示しています。一方で、日本の市場におい

ては、日本国産ベンダーのメインフレームのイメージを元に、メインフレームに対するネガ

ティブなイメージが散見されています。そのイメージを払拭するために、進化・発展してき

た IBM Syかがem z が提供する機能とそれによって得られるメリットをより分かり易い形に

整理し、お伝えできるように取り組みを進めています。

本コラムでは、最新のバージョンに移行して頂いた暁に、活用頂ける最新のソフトウェア

の機能と、最新化がもたらす価値について、主要なミドルウェアの切り口から、お届けい

たします。

先輩:

IT部門のシニアな社員。

豊富なメインフレーム経験を持つ。

自称“zマイスター”

後輩:

IT部門若手社員。

メインフレームが主担当だが

オープン系も一部担当する。

登場人物

Page 2: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

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第7章

CICS

CICS は、ミッション・クリティカルなアプリケーションに対して、実績あるオンライン・トランザ

クション管理機能を提供するアプリケーション・サーバーです。1969 年の登場以来、IBM のメイン

フレームのトランザクションを処理するミドルウェアとして多くのお客様に愛されてきました。

図1に示すように、CICSはバージョンアップに伴い、堅実なトランザクション処理の強化だけでなく、

オンデマンド・コンピューティングや SOA、Web2.0 などといった様々な先進技術を取り込んで発

展してきました。

また、CICS の最新バージョンとなる、CICS Tおanかacがion Seおveお(CICS TS) V5.1 が 2012

年12月14日に一般出荷可能になりました。CICS TS V5.1は運用のさらなる効率化と、迅速なサー

ビス提供にフォーカスしており、CICS を今まで以上に、より効率的に、より確実に、より便利に

利用できるようになっています。※ 1

CICS は前述のように、バージョンアップに伴い様々な機能強化、機能拡張を行ってきています。

これらにより、CICS はトランザクション・サーバーとしての新たな価値を創出してきました。CICS

TS V5.1 の登場により、ますますその価値が発展、向上していくことが期待されています。

本連載では CICS の持つ価値を整理することで、CICS の持つ魅力を再認識していただくことを

目的としています。今までのバージョンをお使いの方も、これから新バージョンへの移行をお考え

の方も、どなたもお読みいただける内容となっていますので、ぜひご一読ください。

※ 1. 発表レター「CICS Tおaうかacがぁぇう Seおぎeお fぇお げ/OS V5.1 の発表」(SWA12106-0)

   hががえ://くくく.ぁbm.cぇm/あえ/dぇmぁうぇ02/NeくAIS/aぁかeぐがお.うかf/BけLeががeおNぇ/SWA12106

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図 1:CICS バージョン履歴

Page 3: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

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① CICSがもたらす価値を探れ!【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS ① CICSがもたらす価値を探れ!

1 CICSがもたらす価値を探れ!

 後輩の苦悩

後輩 : CICS の価値かぁ...。

先輩 : おや後輩君。難しい顔をしてどうしたのかな?

後輩 : あ! マイスター先輩!

実はですね、新しい社内システムの構築があるのですが、トランザクション・サーバーの候

補として CICS があがっているんですよ。

先輩 : ほう、それで?

後輩 : そこで、CICS を採用することで得られる価値について整理しようと思っているのですがな

かなか考えがまとまらないんです・・・。

先輩 : うちは他のシステムでも CICS は使っているからCICS の基本的なところはわかっているよ

ね。どこまで整理できてるんだい?

後輩 : うーんとですね。CICSってこういうところがいいところだよなぁ、というのは出てきてるの

ですが、漠然としているというか、乱立しててあまり整理できていないというか・・・。

先輩 : なるほど。素材はあるみたいだね。

よし!

じゃあ一緒に CICS の価値を整理してみようか!

後輩 : ありがとうございます!!

 CICS の価値って何だ?

先輩 : じゃあ早速、CICS の価値を 1 つずつ考えていこうか。

後輩 : その価値が難しいわけで・・・。

先輩 : 価値を考えるのが難しければ、良い点を考えてみよう。結局のところそれが CICS の価値

に繋がるからね。

後輩 : なるほど。では・・・。

まずは高い可用性があるところですね。可用性の高さはトランザクション・マネージャーとし

て必須の項目ですから。そのためにリージョン構成だとか Sけかえleぐ 対応などのデザインに

関わるところから、リージョンの安定稼働のための細かな機能など、実に様々な機能がある

んですよね。

先輩 : これに関連して、大規模・大容量のトランザクション処理に対応できるというのも CICS の

利点の 1 つと言っていいね。COBOL や PL/I、アセンブラーなど処理コストの少ない言語

で大量のトランザクションを実行できるし、CICS のクローン化で処理容量もどんどん増やし

ていくことができるからね。 じゃあ次に、可用性以外での価値は何かな?

後輩 : そうですねぇ・・・管理機能が充実している、というのはどうでしょう。

CICSPleぐ SM(CPSM)による CICS の一括管理とか、CICS Eぐえlぇおeお という新しいイ

ンターフェースの提供とか。他にも DB 共用やキュー共用といったリソース共用が資源定義

で簡単に定義可能だったり、ロードモジュール格納ライブラリーの管理が資源定義でできる

ようになったり、便利になってますよね。

先輩 : うん、運用の効率アップはシステム管理における大きな課題の 1 つだから大事なポイントだ

ね。堅牢なシステムは運用管理もおろそかにしてはいけないけれど、それにワークロードが

割かれ過ぎるのも考え物だ。同じかあるいは今まで以上のクオリティーを、より少ないワー

クロードで実現できることは、システム管理におけるトータル・コストの削減に繋がるから、

見逃せない項目だよね。

CICS TS V5.1 では、アプリケーションの運用の方法も改善が加えられていて、クラウド・

コンピューティング的なアプリケーション管理が可能になるんだ。

後輩 : クラウドですか!?

先輩 : そうだよ。

CICS で稼働するアプリケーションをプログラム、トランザクションなどの関連資源をひとま

とめ(= バンドル)にして管理し、アプリケーションの導入や導入したアプリケーションの除

去をバンドル単位でできるようになるんだ。導入先のリージョンも役割ごとにリージョンのバ

ンドルを作って導入先として選択できたりするぞ。ある業務用のアプリケーションに必要な

資源を全てまとめて 1 つのバンドルとして業務とリンクして管理できるので、従来よりも管

理の効率化が期待できるんだ。

Page 4: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

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① CICSがもたらす価値を探れ!【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS ① CICSがもたらす価値を探れ!

後輩 : そんなことができるようになるんですか!?

それは絶対報告書に織り込まないと。

先輩 : さて、それじゃあ他の点にいってみようか。

後輩 : 次は、パフォーマンス向上のための改善もどんどんなされてきていますね。

まずはなんと言ってもオープン・トランザクション環境(OTE)によるスループットの向上が

あげられますよね。従来は QR TCB によるシリアライズされた処理だった CICS が、OTE

の Oえeう TCB を利用することによって複数 TCB による並行処理ができるようになった

ので、QR TCB 待ちの減少による待ち時間の減少や、TCB スイッチの回数減少による

CPU 削減が期待できるようになりました。あとは CPSM のラウティングが進化してより最

適化されたラウティングができるようになったり、ファイル処理におけるロックの改善による

スループットの向上も図られています。

先輩 : キャパシティーの観点で言うと、64-bぁが 化が継続的に行われてきていてキャパシティー

の増大に一役買っているね。最近ではチャネル & コンテナーや一時記憶域(TSQ)が

64-bぁが ストレージを使用するようになったし、CICS TS V5.1 ではさらに 64-bぁが 化が進ん

でいるぞ。

じゃあ次に、プログラミングの観点ではどうだろう?

後輩 : プログラミング関連の機能も充実していて、アプリケーションを作成しやすいですよね。

チャネル & コンテナーを使えば、COMMAREA では制約だった 32KB 以上のデータの受

け渡しもできるようになります。あとは言語だと、COBOL、PL/I、アセンブラーといった

基本的な言語以外に、C/C++ や Jaぎa だけでなく、今ならPHP や Gおぇぇぎけ などでもロ

ジックを書けちゃいますって言うとみんな驚くんですよ。

先輩 : 開発といえば、Raがぁぇうal Deぎelぇえeお fぇお Sけかがem げ(RDげ)を使うことで、簡単な構

文チェックをローカル PC 上で行うことができるようになるよ。ホスト上でいちいちコンパイ

ルする必要がなくなるから、ホストの CPU などの資源の節約にも繋がるんだ。

後輩 : 接続性では、CICS 外との接続手法がたくさん提供されているので、Web 環境をはじめと

した外の環境との親和性も高い、というのも価値のひとつに入れたいです。

先輩 : そうだね。

CICS Tおaうかacがぁぇう Gaがeくaけ(CTG)や MQ のようなコネクター製品を使った接続以外

にも、 CICS Web Sきええぇおが(CWS)や CICS Web サービスのように、CICS 単体で外

部と接続するための方法も数多く提供されているね。

さらに、CICS 外だけでなくCICS 間の接続方法としても使えるんだけど、IPIC という新し

い方法が提供された。IP アドレスベースの接続定義なので、CTG との接続でもIPIC を利

用できるようになったね。さらに、TS V5.1 では、CICS 上で JSP や Seおぎleが を動かす

ことまでできるようになって、ブラウザーとの接続性が更に向上するんだ。

後輩 : あとは、守りに入らずに、積極的に先進技術を取り込んできているというのは大きなア

ドバンテージじゃないですか? Web サービスやイベント処理をサポートしていますし、

Aがぇm フィードや動的スクリプティングなどいわゆる Web2.0 と呼ばれる技術のサポート

もあります。

先輩 : その先進技術のいくつかは海外のみならず国内のユーザーでも使われだしているそうだ。

国内の CICS ユーザーも先進技術に価値を見出して、各自の業務に活かそうとしているの

がうかがえるね。

 進化を続けるトランザクション・サーバー

先輩 : さて、これでだいたい出揃ったかな。

CICS は基本機能の強化・拡張と、新しい技術の取り込みの両方を継続してやってきている

ということがポイントだね。

後輩 : そうですね。どちらか片方だけでは、お客様にここまで受け入れられる製品にはならなかっ

たかもしれませんね。

先輩 : それじゃあ最後に今まで出た価値を整理してみようか。

● 高い可用性による止まりにくいシステム

● 大規模・大容量のトランザクション処理に対応可能

● 充実した管理機能による運用管理の効率化

● パフォーマンス向上によるスループットの向上、システム負荷の軽減、処理の最適化

● プログラミング関連機能の拡張による開発負荷の軽減、ビジネス・ロジックの作成の効率化

● 接続性の強化による、新しいチャネルのサポート

● 先進技術のサポートによる新しいビジネスの創出

こんなところかな。

後輩 : さすがマイスター先輩。

CICS の価値が非常にすっきりまとまっていますね。

これはまさに『至高のトランザクション・サーバー』ですね。

これで報告書もばっちりです!

先輩 : それじゃあ頑張ってな。

また何かあったら相談に乗るからいつでも声をかけてくれよ。

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【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

2最小限のリソースで最大限の

パフォーマンスを引き出す

 後輩の新たなる苦悩

後輩 : 困ったなぁ...。

先輩 : おや後輩君。難しい顔をしてどうしたのかな?

後輩 : あ! マイスター先輩!

実はですね、先日アドバイスいただいた報告書によって新しい社内システムで CICS が採

用されたんですよ。

先輩 : ほう、それはおめでとう。それなのにどうしてそんなに困っているんだい?

後輩 : ほら、我が社も最近、事業の海外展開を進めているでしょう。それで社員が増えてきて社

内システムの処理量が倍増してるんですよ。そうしたら、パフォーマンスが悪くなったみた

いで・・・。

先輩 : 海外展開が想定以上に順調に進んでいるみたいだからなぁ。これはまさに嬉しい悲鳴だね。

だがシステム・リソースを増強する予定はあるんだろう?

後輩 : 実は増強はまだ少し先の予定で、前倒しをお願いしているところなのですが、まずは今のリ

ソースでユーザーの要望に応えたく・・・。

先輩、以前 CICS の価値を教えてくれましたよね。その時、パフォーマンス向上に有効な

新機能があるって言ってましたよね。その機能を詳しく教えてくれませんか?

先輩 : なるほど、いい心掛けだ。じゃあ一緒に CICS のパフォーマンス向上を目指してみようか!

後輩 : ありがとうございます!!

 OTE で真のマルチタスク環境へ

先輩 : ところでパフォーマンスが悪いってどう悪いんだい?

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

後輩 : レスポンスが遅くなったとユーザーから苦情があったので調べてみたんですけど、ディスパッ

チ待ちになってるみたいです。それに CPU 使用量もずいぶん増えていますね。

先輩 : なるほど。そんな君には OTE がお勧めだね。

後輩君、いきなりだが CICS アプリケーションはどの TCB で実行されるか知ってるよね?

後輩 : もちろん、QR TCB ですよ。QR は Qきaかぁ-Reeうがおaうが、つまり疑似リエントラントですよ

ね。1 つの CICS は QR TCB を 1 つしか持てないので、CICS アプリケーションはマルチ

タスクに見えて実は内部的にはシリアライズされて動いてるんです。

先輩 : フッ、古いな後輩よ。今や時代は OTE だ。

後輩 : な、何ですってー!

・・・ところで先輩、OTEって何ですか?

先輩 : オープン・トランザクション環境(Oえeう Tおaうかacがぁぇう Eうぎぁおぇうmeうが)だ。

後輩君の言ったことはもちろん間違ってない。でも今は、QR TCB 以外にもアプリケーショ

ンを実行できる TCB がある。それが Oえeう TCB だ。特定の処理用にいくつかのタイプの

TCB があって、さらにそれぞれの TCB を複数持てるから処理を並行して実行できるんだ。

OTE というのは、この Oえeう TCB を使用できる環境のことだよ。

後輩 : うーん、よくわからない・・・。

先輩 : 社内システムは CICS と DB2、MQ のオンラインシステムだったね。じゃあ、L8 TCB と

いう単語を聞いたことがあるんじゃないか?

後輩 : L8 TCB、聞いたことあります。確か、SQL を処理するための TCB だと思ったんですが。

先輩 : 一部正解だが、それだけじゃない。

L8 TCB は DB2 だけじゃなく、MQ や DBCTL アクセスの処理でも使われるよう拡張され

てきている。それに、普通のビジネス・ロジックも実行できるんだ。

後輩 : 普通のビジネス・ロジック? CICS コマンドとか、プログラム・コードが全部 L8 TCB で

動くんですか? L8 TCBって複数もてるんですよね? それってつまり、CICS アプリケー

ションを並行稼働できるってことじゃないですか!

先輩 : そうだね。

Oえeう TCB でアプリケーションを実行できるということは、複数 TCB 上でタスクを同時に

実行できる、つまり、疑似的じゃなく本当に並行処理が可能になるんだ。

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【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS

後輩 : すごい! これでもうCICS は CPU を 1 個しか使えないなんてバカにされないぞ。じゃあ

CICS をクローン化して複数リージョン動かさなくてもいいんですね?

図 2:スレッド・セーフでスループット向上

先輩 : いや、クローン化は可用性向上の目的もあるからね。

しかし QR TCB 待ちによるレスポンス悪化の対策としてリージョン分割やクローン化をして

いたのも事実だ。だが今はそれに加えて、Oえeう TCBで複数タスクを実行できてスループッ

ト向上がスマートな時代なんだよ。

後輩 : それは期待できそうですね。

ところで先輩、一部 QR TCB で動いてる部分があるみたいですよ?

先輩 : いいところに気がついたね。実は、まだ全部の CICS コマンドが Oえeう TCB に対応してい

るわけではないんだ。未対応のコマンドは、CICS が自動的に Oえeう TCB からQR TCB

へ切り替えて実行するんだ。この TCB の切替を「TCB スイッチ」と言うんだ。

後輩 : へー。

先輩 : 実は TCB スイッチを減らす、ということもOTE を活用するもう一つのメリットなんだ。

後輩 : ?

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

図 3:スレッド・セーフで CPU コストを削減

先輩 : この図の左右を比較してどう思う?(図 3)

後輩 : 左側の非スレッド・セーフは、何回もTCB スイッチしていますね。

先輩 : そう。最初に言ったように、DB2 や MQ アクセスでは L8 TCB が使われている。だから、

非スレッド・セーフな CICS アプリケーションでは、DB2 や MQ にアクセスする度に TCB

スイッチが発生してしまってパフォーマンスが悪くなってしまうこともあるんだ。

後輩 : スレッド・セーフ? 複数スレッドで同時に実行しても問題ないアプリのことですよね?

非スレッド・セーフということは同時実行できない、つまりOえeう TCB では動かすのに適し

ていないアプリってことですね。

先輩 : そう。図で比較すれば一目瞭然だろう。

後輩 : えーと、非スレッド・セーフなアプリケーションは QR TCB で実行されるけど、SQL や

MQI は L8 TCB を使うから、これらのコマンドを発行する度に QR と L8 TCB でスイッチ

が発生してます。

でも、スレッド・セーフ化すれば L8 TCB でそのまま稼働できるから、スイッチを減らせるっ

てわけですね!

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

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【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS

先輩 : そのとおり。ちなみに、TCB スイッチは一回約 2000 命令(2K Iうかがおきcがぁぇうか)、つまり

一往復で 4K の CPU コストがかかる。だから、SQL を大量に発行するとか TCB スイッチ

が多いアプリケーションほど、スレッド・セーフ化による CPU 削減効果が期待できるんだ。

後輩 : なるほど。社内システムでは DB2 と MQ の両方にアクセスしてるんです。これはやってみ

る価値がありそうですね。

ところで、スレッド・セーフ化ってどうすればいいんでしょう?

先輩 : まずはアプリケーションの調査だ。スレッド・セーフ化の条件を満たしているか、つまり、

ロジックそのものがリエントラントになっているかどうかをね。

特に注意すべきは共用資源(CWA や GETMAIN SHARED)へのアクセスだ。アクセス・

ロジックをシリアライズしていないと、複数タスクからアクセスしたときに整合性を保てない

からね。

既にリエントラントなら、あとは CICS の PROGRAM 資源定義でスレッド・セーフを宣言す

ればいい。OTE のための環境設定として、SIT パラメーターや BPXPRMぐぐ の見直しも

必要になる。

後輩 : ふーん。アプリの条件さえ満たしていれば、設定は簡単そうですね。

まずは SQL を多数発行しているアプリケーションから調査してみます!

 64 ビットの世界へようこそ

後輩 : ところで先輩。実はメモリーも足りてないんです。

先輩 : CICS のストレージのことだね?

そんな君にはキャパシティー向上の秘策、64 ビット化をお勧めしよう。

後輩 : CICS で 64 ビットですか?

先輩 : そう。CICS は段階的に 64 ビット化を進めているんだ。

内部コードを 64 ビット化したり、コントロール・ブロックも64 ビット・ストレージに移動して

る。 それに、チャネル & コンテナーや一時記憶域(MAIN TS キュー)を 64 ビット・ストレー

ジに保持するようになったから、より大量のデータを扱えるようになったんだ。

後輩 : ほう。以前別のプロジェクトで一時記憶域を使ってたんですが、MAIN TS キューを使って

いたら EDSA でストレージ不足(SOS)になっちゃって、仕方なくAUX TS キューに変更

したんですよ。でもAUX だとデータセットへの I/O が発生してパフォーマンス悪くて・・・。

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

先輩 : CICS TS V4.2 以降なら64ビット化されてるから、MAIN TS キューをもっと活用してごらん。

後輩 : はい!

ところで、64ビット化といっても、まさかアプリケーションは64ビット対応してないですよね。

先輩 : CICS を甘く見てもらっては困るな、後輩君。

CICS TS V5.1 では、アプリケーションも64 ビット対応しているし、なんと 64 ビット用の

API まで提供されているんだぞ。

後輩 : おおー!

先輩 : アセンブラー限定だが。

後輩 : う・・・アセンブラー大好きですよ(汗)。どんな API が提供されるんですか?

先輩 : アプリケーションでストレージを確保したり解放したりする GETMAIN、FREEMAIN コマン

ドは知っているだろう? 新しく提供されるのは、64 ビット・ストレージを確保 / 解放でき

るコマンド、その名もGETMAIN64、FREEMAIN64 コマンドだ!

後輩 : わかりやすいですね。

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

図 4:64 ビット・エリアの活用

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【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS

先輩 : 他にもあるぞ。チャネル & コンテナーで 64 ビット・ストレージを使えるコマンド、GET64

CONTAINER、PUT64 CONTAINER コマンドだ。

後輩 : えーと、先輩。チャネル & コンテナーはすでに 64 ビット化されてるって言いましたよね?

先輩 : チャネル & コンテナーの 64 ビット化は 2 段階ある。

1 段階目はシステムとしての 64 ビット化で、CICS TS V3.2 以降では CICS がチャネル

& コンテナーのデータを 64 ビット・ストレージに保持するようになっている。

2 段階目がこのコマンドで、今度はアプリケーションの観点での 64 ビット化だ。

後輩 : ああ、なるほど。チャネル & コンテナー使用時にアプリケーション側のワーク・エリアとし

て 64 ビット・アドレスが使えるようになったということですね。

先輩 : そう。CICS TS V5.1 では 64ビット化でチャネル & コンテナーへのアクセス時のパフォー

マンスも改善されているぞ。

後輩 : CICS 提供のアセンブラーのサンプル・アプリケーションも 64 ビット化されてますね。これ

を参考にちょっと新規アプリを開発してみようかな。

先輩 : ちなみに、64 ビット化のメリットは 24 ビット/31 ビット・アプリケーションでも享受できる。

前にも言ったように CICS は徐々に内部コードの 64 ビット化を進めているから、CICS のド

メインやコントロール・ブロックが 64 ビット・ストレージに移動して、これまで使用していた

DSA や EDSA が解放されているんだ。

だから、従来の 24 ビット/31 ビット・アプリケーションで使えるスペースが増えているから、

より多くのトランザクションを実行できるようになっているよ。

 CPSM ラウティングの最適化でスループットも向上

先輩 : 後輩君。動的ラウティングに興味あるかい?

後輩 : 何ですか急に。CICSPleぐ SM(CPSM)を使って動的ラウティングしてますよ。

先輩 : 実はラウティング機能も進化しているんだよ。知りたい?

後輩 : はい、もちろんです。

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

先輩 : ずばり、ワークロード・バランシングの効率化だ。

複数 LPAR の CICSえleぐ 環境では、CMAS 間でそれぞれの管理下にある MAS(CICS)

のワークロード情報を交換しあって、最適なターゲットを選択していたんだ。

だが、この情報交換のインターバルが 15 秒間隔なので、情報が古いことがある。

後輩 : えー、じゃあ、古い情報を元にターゲットを決定しても、その時には状態が変わってる可能

性がありますよね。

先輩 : そう。結果として、ラウティングされるワークロードに 15 秒ごとにバラツキが出てしまって

いたんだよ。だが、情報遅延をなくすために、CF 上にターゲット・リージョンの情報を保

持する仕組みができたんだ。

後輩 : ほう。

図 5:CPSM ワークロード管理の改善

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

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【第7章】 CICS

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【第7章】 CICS② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

先輩 : 各リージョンはリージョン・ステータス・サーバー(RS サーバー)経由でアクセスするんだが、

CFDT(CF データ・テーブル)の仕組みを使っている。 ラウティング・リージョンが情報を

読みに行くインターバルもミリ秒単位で設定できるし、ターゲット・リージョンが情報を更新

する条件もパラメーターで設定できるぞ。

その効果は・・・これだ!(図 5)

後輩 : おお、タスク数のバラツキが解消されている!

先輩 : このグラフ、実は RS サーバー有りの方が 1/3 のリージョン数なんだが、横軸、つまり全

タスク完了までの時間も短くなっている。 ワークロード管理の改善が処理効率向上につな

がっていることをわかってもらえたかい?

後輩 : まさかこれほどとは・・・。

先輩 : 他にも拡張されているぞ。CICS 間の接続方式によってターゲット選択の重み付けがされて

いるんだが、重み付けをしない新しいラウティング・アルゴリズムが追加されたんだ。

それに、トランザクション・グループ単位でラウティング・アルゴリズムを動的に変更できる

ようになったんだ。従来は CICSリージョンの再起動が必要だったから、これはありがたい。

 バージョンアップでもパフォーマンス向上

後輩 : 先輩、僕、今まで誤解していました。

ソフトウェアはバージョンアップしたらパフォーマンスが悪くなるばかりだと・・・。

先輩 : 確かに、様々な機能拡張のためにバージョンアップで CPU コストが増加するのは一般的だ。

だが、それだけじゃない。パフォーマンス改善のための拡張もされているんだよ。

今日は紹介しきれなかったが、ファイル制御関連でもいくつか拡張されていて、リモート・ファ

イルへのアクセス処理が簡素化されてスループットが向上されているとか、ロックの単位が

CIからレコード単位に変更されてロック待ちが減ったとか、何と、CICS TS V4.1では前バー

ジョンよりCPU 使用率削減しているんだ。他にもまだまだ・・・

後輩 : あああ、ありがとうございます。

その話はまたいつか・・・

先輩 : それじゃあ最後に今日紹介したパフォーマンス向上テクを整理してみようか。

● OTE(オープントランザクション環境)で CPU コスト削減とスループット向上

● 64 ビット化でキャパシティー向上

● ワークロード管理の改善でラウティングの最適化による処理効率向上

こんなところかな。

後輩 : さすがマイスター先輩。

パフォーマンス向上にはいろいろなアプローチがあるんですね。

これでパフォーマンス問題もばっちり、トランザクション量増加もどんとこいです!

先輩 : それじゃぁ頑張ってな。

また何かあったら相談に乗るからいつでも声をかけてくれよ。

② 最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを引き出す

Page 10: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

141

【第7章】 CICS

142

【第7章】 CICS③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

3既存資産の有効活用

-新しい技術でもっとつながる!-

 日はまた昇る

先輩 : おはよう、後輩君。

後輩 : あ! マイスター先輩!おはようございます。

早速なのですが、ちょっと相談がありまして・・・。

先輩 : おや、どうしたんだい?

後輩 : 当社で作って使ってきた C-Sけかがem なんですが、このシステムを大々的に更改する話があっ

て、その検討をはじめてるんです。

先輩 : ほう、C-Sけかがem はアプリケーションの基盤としては CICS を中心としているシステムだっ

たね。

後輩 : はい、そうです。直近では他のシステムからも利用したいという要件があってその辺りから

検討しないといけないのですが、せっかく大幅な更改をするので、目の前の要件だけでなく

て、もう少し長期的な展望も含めてどう変えていけばいいのか考えられるといいなと。

先輩 : それはすばらしい。

後輩 : まずは他のシステムとどういう連携パターンがあるのか、将来的にアプリケーションの形態

としてはどういう可能性があるのかということを洗い出そうと思ってるんです。で、ちょうど

隣の部の同期が CICS に関する報告書をまとめていたのでそれを参考にして調査をしてる

んですが、たくさん拡張があるようで、どこから手をつけてよいのやら・・・。

先輩 : なるほど。この前は別プロジェクトでも CICS を採用することが決まったことだし、今日は

CICS の接続性、先進技術の取り込み、といったところを整理してみようか!

後輩 : お願いします!!

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

 Web 連携めSOA 連携

先輩 : さて、C-Sけかがem の CICS アプリケーションは、今どんな風に実行されているかな?

後輩 : お客様情報の登録、参照やマスターのメンテナンス等、基本的には 3270 エミュレーター

から実行していますね。営業さんが情報を入力 / 参照する際にブラウザから操作できるよう

に一部は Web 化されています。

先輩 : 3270 端末エミュレーターとしては PCOMM(Peおかぇうal Cぇmmきうぁcaがぁぇうか)を使ってい

るが、Web 化の部分は Web アプリケーションと CICS アプリケーションをどうやって連携

しているか分かるかい?

後輩 : はい、確か CICS Tおaうかacがぁぇう Gaがeくaけ(CTG)というコネクター製品を使って、WAS

上の Jaぎa EE アプリケーションからCICS アプリケーションを呼び出していたはずです。

先輩 : 他に連携している部分は何か無いかい?

後輩 : えっと、データは VSAM と DB2/げ に保持していて・・・、あ、あとお客様情報の一部を

別のホストから引っ張ってくるために APPC での通信をしています。

先輩 : ふむ、そんなところか。

実は最近の CICS がサポートしている接続形態としては、主要なものでこんなにあるんだよ。

図 6:CICS コネクティビティー全体像

Page 11: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

143

【第7章】 CICS

144

【第7章】 CICS

後輩 : げげっ! なんだかすごくたくさんありますね。

先輩 : この図は CICS TS V4レベルでサポートされているものだが、現行で使っているのはこの

図で言うと一番上の CTG との連携と、一番下の APPC だな。

後輩 : へぇ、でも何でこんなに連携パターンがあるんですかねぇ。なんだか無駄にたくさんあるよ

うな・・・。統一してくれた方が分かりやすそうに思いますが。

先輩 : いやいや、様々な環境、要件に応じて柔軟に対応できるように、たくさんのオプションを提

供してくれているんだよ。

新規にアプリケーションを作るのであればある程度自由度はあると思うが、既存のものを連

携するとなると、異なる環境同士の連携になるからどうしてもそこのギャップを埋める必要が

ある。その場合、状況によってはホストに手を入れにくいから中間サーバーを立てて差分を

吸収したいとか、逆に間に余計なコンポーネントをいれずにできるだけシンプルにつなぎた

いとか・・・。あるいはシステム連携基盤としてはメッセージングのミドルウェアを使いたいとか、

Sぇckeが の独自プロトコルでつながないといけないとか・・・。

後輩 : なるほど。そういう時にいろいろなオプションがあると要件に合わせて最適なものを選べま

すもんね。でもさすがにこれだけあると、どういう時にどんな連携方法を選べばよいのか判

断が難しくないですかねぇ。

先輩 : いや、最初から全てを細かく比較する必要はないよ。再利用したいアプリケーション、環

境周り、要件を整理していけばある程度選択肢は絞られてくるからね。

後輩 : 具体的に連携方法に大きく影響する条件としてはどんなことがありますか?

先輩 : 例えば、再利用したいアプリケーションの形態だね。CICS アプリケーションというのは大

きく分けて 3270 アプリケーション /COMMAREA アプリケーションの 2 つがある。

図 7 のように、ビジネス・ロジックが COMMAREA アプリケーションとして分離されている

と、その部分だけ再利用がしやすいんだ。

後輩 : 現在 Web 化されているものは、CTG の ECI というインターフェースで COMMAREA ア

プリケーションを呼んでいますね。

先輩 : そうだね、この形態のアプリケーションであれば、画面遷移のハンドリングが無いから、プ

レゼンテーション・ロジックは Web アプリとして CICS の外で作って、必要な業務処理の

部分だけ再利用することができるんだね。さらには Web サービスとして公開して他のシス

テムと連携することも比較的容易にできるよ。

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

後輩 : うーん、なるほど。SOA の考え方を取り入れるという観点からも、ビジネス・ロジックをき

れいに分けてコンポーネント化を進めていくのがよさそうですね。

先輩 : 実績のあるアプリケーションは有効活用しない手はないからね。これから作るアプリケーショ

ンについてもそのようにコンポーネント化を意識して作っておくとその後再利用しやすくなる

だろうね。

後輩 : アプリケーションは現状分析をもう少し実施してから考えるとして、他にはどんな判断基準

がありますか?

先輩 : そうだな、ざっと挙げると

● アプリケーション開発支援ツール

● 追加コンポーネント有無

● ホストアプリケーションの追加 / 修正可否

● 接続プロトコル

● CICS との送受信データサイズの制約

● CICS 以外の運用・保守コスト

● 可用性・拡張性

● グローバル・トランザクション / セキュリティー要件

などというあたりかな。

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

図 7. CICS アプリケーション

Page 12: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

145

【第7章】 CICS

146

【第7章】 CICS③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

後輩 : うーん、これまた色々ありますね。

先輩 : まぁこれもケースによってどの辺りが必須 / 優先事項なのかというのがあるから、まずはそ

こから考えていけばいいと思うよ。

後輩 : ふーむ、なるほど。

連携方法についてはようやく全体像が見えてきたので、整理の目処が立ちそうです!

 先進技術その 1:CICS アプリケーション環境の進化

後輩 : ところでマイスター先輩、例の報告書を見ていたら、Web2.0 サポートとかっていうのがあっ

たんですが、これは CICS としては具体的にどういう機能を提供しているんでしょうか?

先輩 : ふむ、それでは最近の CICS の先進技術のサポート状況について見て行こうか。

ちなみに後輩君、CICS は Web サービスや Jaぎa のサポートが提供されているのは知って

いるよね?

後輩 : えっ!?  も、もちろんですよ ・・・。

先輩 : CICS アプリケーションを COBOL、C、C++、PL/I、アセンブラーだけでなく、Jaぎa

でも書けるようになっているし、さっきの連携の図にもあったように、既存のアプリを Web

サービスとして連携する機能が提供されたりしているんだね。この辺は SOA 環境への適用

に関連した拡張と言えるね。

後輩 : は、はい、そ、そうですね・・・。

先輩 : Web2.0 サポートというのは、同じようにアプリケーションの環境や連携に関する拡張がさ

れているものなんだ。大きくは 2 つある。1 つはダイナミック・スクリプティング。スクリプ

ト言語というのは知っているかい?

後輩 : 軽量なプログラミング言語として開発期間の短いアプリケーションなんかで使われている言

語ですよね。PHP、Peおl、Rきbけ とか・・・。

先輩 : そのスクリプト言語が CICS 上でも動くんだよ。サポートしているのは PHP と Gおぇぇぎけ。

後輩 : な、なんですと!

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

先輩 : もう1 つは Aがぇm サポート。CICS が管理している VSAM ファイルや TSQ のデータを、

Aがぇm フィードとして配信することができるんだ。作りこみによっては DB2 のデータも同様

に参照できるようになるんだよ。

後輩 : ええーっ! 本当ですか!? さっき連携方法の絵(図 6)で Dけうamぁc Scおぁえがぁうg とか

Aがぇmってあったけどよく分からなかったのでスルーしてましたが、そんなことまでできるよ

うになっているんですねー。

先輩 : そしてこれらのサービスは REST の API でアクセスされるんだ。

後輩 : Aがぇm とか REST でアクセスできるということは、標準的なプロトコルが使われるので、裏

で CICS の資産を使っているということはあまり意識せずに利用できるってことですよね。

うーん、これまで持っていた CICS のイメージが一新されました・・・。

先輩 : さっきも言ったように、こういう連携方法が拡張されていくことで、長年実績のある既存の

CICS アプリケーション資産を活用しやすくなっているんだよ。

後輩 : Web2.0 というと、マッシュアップや、いわゆる " シチュエーショナル・アプリケーション "(状

況依存型アプリケーション)という分野で使われると思いますが、そういう世界から CICS

の資源を利用しやすくなるということなんですね!うちのシステムもCICS アプリケーションが

メインですから、それをうまく組み合わせて利用できれば、新たな世界が拓けそうです!

先輩 : それだけじゃないんだ。最新の CICS TS V5.1 では、なんと、Seおぎleが、JSP が CICS

上で動くようになるんだ!

後輩 : おおおおお! それじゃあ、Web の画面を追加で作って既存の COBOL ロジックを呼ぶ、

みたいなことが、CICS だけで出来てしまうんですか!?

先輩 : その通り!

後輩 : いやぁ夢が膨らみますねぇ。ただ、まだうちの CICS のバージョンは V3.2 なのでその辺の

話は次のバージョンアップを待ってからですね。

先輩 : 今のバージョンでも使える拡張もあるぞ。さっき言ったように、ビジネス・ロジックを分離

しているような形態の場合、EXEC CICS LINK でサブ・プログラムを呼ぶことになるが、

この時、COMMAREA というデータ・エリアでプログラム間のデータ受け渡しを行うこと

になる。

Page 13: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

147

【第7章】 CICS

148

【第7章】 CICS

後輩 : それで、そのような形で呼べるプログラムを COMMAREA アプリケーションと呼んでいる

んですよね。

先輩 : そう、その COMMAREA なんだが、このサイズの上限は 32KB なんだ。

後輩 : それはずっと前からある制限ですよね。うーん、SOA やらWeb2.0 やら連携がしやすくなっ

ているとはいえ、一度に受け渡しできるデータのサイズが 32KB というのはちょっと心もと

ない気もしますね。XML 形式のデータを扱うような場合などではデータサイズも大きくなり

がちですしね。

先輩 : そこで、プログラム間でのデータ受け渡し方法として、COMMAREA に代わってチャネル

& コンテナーという方法が V3.1 から追加されたんだ。これを使えば、32KB のサイズの

上限というのは無くなるんだよ。コンテナーという" 名前+データ" のセットを複数まとめて

チャネルという単位にしてそれをプログラム間で受け渡すことになる。用途やデータの特性

毎にコンテナーを分けることができるので、プログラミングも分かりやすくなるんだ。名前

つきでサイズ上限無しの COMMAREA が複数まとめて受け渡しできるようなイメージかな。

この方法は CTG などの連携でも使えるんだよ。

後輩 : なるほど。じゃあ今後は COMMAREA アプリケーション、改め、チャネル & コンテナー・

アプリケーションとしてコンポーネント化をしておくと、柔軟性が高まりそうですね!

 先進技術その2:ディシジョン・マネージメントへの挑戦

先輩 : もう一つ、ちょっと違った観点での拡張について紹介しておこう。

後輩君は、" ディシジョン・マネージメント" というのは聞いたことあるかな?

後輩 : でしじょんまねじめんと???

先輩 : まぁ、簡単に言ってしまえばビジネス的な判断をきちんと管理してやりましょう、という感じ

かな。

後輩 : うーん、なんだか分かったような分からないような・・・。なんとなく経営層とか業務寄りの

考え方のような感じがしますが、IT インフラとは具体的にはどんな関連があるのでしょうか?

先輩 : ではもう少し具体的に話をしていこう。CICS の拡張に関連するのは、大きく2 つ、" ルー

ル " と " イベント" という考え方だ。

後輩 : るーる? いべんと?

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

先輩 : まず 1 つめの " ルール " について。お客様に提案するサービスを状況に合わせて変えよう

とする場合を考えてみよう。例えば、直近で大口の契約をしてくれたお客様には特別割引

を適用するとか、特定の地域にはキャンペーンを行うとか。そういう変更を行うには、アプ

リケーションを変更して、システムに反映する、ということが必要だけど、なかなか手間が

かかるよね。アプリを修正するとテストもちゃんとしないといけないし。

後輩 : でもそういう可変要素は普通はパラメーターとして外出しにして作ってるからアプリそのもの

の修正にはならないんじゃないですかね?

先輩 : もちろん、事前に予想できる可変要素は当然そうしてるよね。でも逆に言うとその範囲でし

か変更が簡単にはできないということなんだよ。ビジネス環境がどんどん複雑化していく中

で、全てを事前にパラメーター化しておくのは相当うまく設計しないといけないし、実際な

かなかそううまくはいかない。しかも単なる閾値の修正ということだけじゃなくて、判定ロジッ

クそのものを変更したいという場合には対応できないしね。

後輩 : うーん、なるほど。ある程度のロジックも含めて柔軟に変更できる仕組みがあるとうれしい

ですね。

先輩 : そこで、ビジネス上の意思決定に関係する処理で、柔軟に変更したいものを、" ビジネス・

ルール " として外出しにして管理しようというのが、" ルール " の考え方なんだよ。イメージ

としてはこんな感じかな(図 8)。

図 8:ビジネス・ルール管理

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

Page 14: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

149

【第7章】 CICS

150

【第7章】 CICS

後輩 : " ビジネス・ルール " として抽出されるのは具体的にどういうコードになるんでしょうか?

先輩 : ざっくり言うと、ぁf 文、caかe 文の組み合わせとそれに付随するロジックというところかな。

後輩 : ふーん、そういう条件判定に関連するロジックに特化した開発 / 実行 / 管理環境が提供さ

れるということなんですね。

先輩 : そうなんだ。例えば複雑な条件分岐も表やツリーのイメージで記述できるから、コーディング・

スキルが無くても開発 / 管理がしやすいんだよ。

後輩 : この考え方が CICS とどう関連してくるんでしょうか?

先輩 : これらのビジネス・ル ー ル 管 理 の 仕 組 みは、IBM ODM(Oえeおaがぁぇうal Decぁかぁぇう

Maうagemeうが)という製品で提供しているものなんだが、CICS アプリケーションから

ODM 上で管理されているビジネス・ルールを利用することができるんだ。さらに、ビジネス・

ルールの実行環境は WAS やスタンド・アローンの JVM 上で稼働するんだが、なんとそれ

を CICS 内で動かすということもできるんだよ!

後輩 : じゃあ、既存の CICS アプリケーションもうまくルールを抽出して ODM 上で管理するよう

にすれば、その部分の変更管理が柔軟に行えることになるんですね。

先輩 : そうだね。しかもこの考え方はプラットフォームや言語とは独立したものだから、バッチのプ

ログラム、CICS/IMS オンラインのプログラム、WAS プログラム等で共通のルールがあ

ればそれを一元管理することもできるんだよ。

後輩 : なるほど。

もう1 つの " イベント" というのはどういうものなんでしょうか?

先輩 : 例えば、お客様の取引実績や購入パターンをもとに Web やメールによるマーケティングを

実施する、とか、遠距離にある ATM から短時間に同一カードからのリクエストがあるよう

な場合に不正の可能性を考えて口座凍結などの措置をとるとか・・・。

現状で発生している様々な事象、状態の変化を " イベント" として認識し、様々なイベント

を時間軸と共に集約して関連付けることで、付加価値の高い新しいビジネス機会につなげ

たり、リスクの回避につなげたりすることができるんだよ。

後輩 : " イベント" というのは、そういうビジネス上の判断材料の素になる情報ということですね。

いつ、どこで、何が、どうなったか、みたいな。

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

先輩 : そう。そういう個々の事象の変化は至る所で絶えず生じているんだ。これを集約すれば、

それぞれの事象は一見意味が無いと思われるものでも、関連付けて考えることで有用な情

報となり得るものなんだよ。

今はビジネスをサポートする仕組みがほとんど IT 化されているから、それらの事象の変化

というのは、商品を購入する=購入処理のプログラムが動く、在庫が減る=データベースの

値が更新される、といった具合に、システム上の動作にマッピングできることが多いんだよ。

そういういろんなシステム上の挙動を、それが生じる度にメッセージとして通知する、それ

を集約して関連付ける、そして素早く次のアクションに繋げる、という流れが " イベント処

理 " の全体像なんだ。

図 9:イベント処理

後輩 : で、CICS はどこに出てくるんでしょうか?

先輩 : CICS は図 9 で言うところのイベント・プロデューサーとしての位置づけになり得る機能を提

供しているんだ。CICS のプログラムが動いたとか、このファイルが更新されたとか、この

ユーザーの権限で実行された、などなど・・・、CICS 上で動くアプリケーションのいろん

な挙動を、それが生じたタイミングでリアルタイムにメッセージとして外部のイベント処理エ

ンジンに通知することができるんだ。

後輩 : でもそのためにはアプリケーションをだいぶ改修しないといけないんじゃないですか?

先輩 : いや、そんなことはないんだよ。CICS のイベント処理サポート機能では、特定のプログラ

ムが呼ばれるとか、特定のキーワードのデータのアップデートがあるとか、特定の API コマ

ンドが呼ばれるとか、そういう挙動をイベントとして捕捉しますよ、という定義を作っておけ

ば、その条件が発生する度に必要な情報をリアルタイムにメッセージとして通知してくれる

んだ。

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

Page 15: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

151

【第7章】 CICS

152

【第7章】 CICS

もちろんアプリケーションから明示的にイベントを発行させるコードを埋め込むこともできる

けどね。

後輩 : ふーん、なるほど。これまでは CICS のアプリケーション資産そのものを有効活用するとい

う観点の話が多かったのですが、イベント処理っていうのは、アプリケーションの活動状況

を情報として有効活用するっていうイメージですね。こういう活用方法もあるんですね。し

かもアプリ改修なしでできるっていうのは魅力的ですね!

 晩鐘の音を聞きながら

先輩 : 今日は CICS の新しい可能性に関する所を中心に話してきたが、どうだったかな?

後輩 : こんなにもいろんな拡張がされているということに驚きの連続でした。忘れないうちに今日

の話のイメージを図にまとめてみようっと。 ええと、こんな感じですかねー。

図 10:CICS 接続性と先進技術

③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!- ③ 既存資産の有効活用 -新しい技術でもっとつながる!-

先輩 : はい、よく出来ました。

後輩 : 今日聞いた話を踏まえて、うちのシステムでどの辺りが適用できそうか深堀りして調査を進

めたいと思います。

先輩 : それじゃあ頑張ってな。

また何かあったら相談に乗るからいつでも声をかけてくれよ。

後輩 : はい、ありがとうございました!

Page 16: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

153

【第7章】 CICS

154

【第7章】 CICS④ CICSの新しい運用管理

4 CICSの新しい運用管理

 煩雑から簡素へ

先輩 : おはよう。

後輩 : マイスター先輩、おはようございます!

早速で申し訳ないのですが、ちょっと相談がありまして、お時間よろしいですか?

先輩 : 何かな?

後輩 : うちの部署でメンテナンスをしている C-Sけかがem ですが、最近 CICS TS V4.2 にバージョ

ンアップしました。

先輩 : ふむふむ。

後輩 : ただですね、バージョンアップの際に気づいたんですが、実は CICSリージョンがたくさん

あって、資源定義の管理や起動・停止、障害発生時の問題判別等の CICS の管理が煩雑

になってきているんですよ。

また、今後もリージョンを増やす予定でして、よりいっそう煩雑になりそうで、どうしたもの

かと困ってるのです。

先輩 : ふむ。CICSリージョンがたくさんあって、CICS の運用管理が煩雑になってきたのなら

CPSM(CICSPleぐ Sけかがem Maうageお)で管理するというのはどうだい?

後輩 : CPSM ですか。。。すみません、CPSM については詳しいことはあまり知らないんですよ

ね。。。

先輩 : では、いい機会だからCPSM の説明を含めて、CICS の運用管理について考えていこうか?

後輩 : はい! お願いします。

④ CICSの新しい運用管理

 CPSM と CICS Exploおeお

先輩 : CPSM とは君が今抱えている悩みのように CICSリージョン数の増加に伴う運用面や管理

面での複雑さを解消してくれる強力なシステム管理ツールなんだ。

後輩 : なるほど。。でも、CPSM でどう解決されるのですか?

先輩 : CPSM で管理する場合、Sけかえleぐ 内の複数の CICS をひとまとめにして、単一システム・

イメージで参照・操作が可能になるんだ。

後輩 : ふむふむ!

先輩 : CPSM を利用すれば以下のようなことができるようになる。

● オペレーション

- CICS の資源とその状況の照会・変更

● モニタリング

- 事前に選択したパフォーマンス情報を照会

● リアルタイム分析

- 収集した CICS、CICS 資源の情報の状況を監視・評価

● ワークロード管理

- TOR からAOR への動的トランザクション・ラウティング

● BAS

- 関連 CICS へ資源の導入・定義

例えば、管理対象のリージョンに個別にログインしなくても、導入されているトランザクショ

ンを確認したり、ファイルの OPEN/CLOSE の状況を確認したりできるんだ。

後輩 : それは便利ですね。

そういえば、CPSMってブラウザーを使って複数リージョンの操作ができるという話を以前

聞いたことがあります。

先輩 : その通り。

Web ベースでアクセスできる Web ユーザー・インターフェース(WUI)と呼ばれるインター

フェースが提供されていて、ブラウザーさえあれば操作可能なんだ。

ただ、最近では CICS Eぐえlぇおeお というインターフェースも提供されるようになったんだ。

後輩 : CICS・・・えくすぷろーらー?

Page 17: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

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【第7章】 CICS

156

【第7章】 CICS

先輩 : CICS Eぐえlぇおeお というのは、Wぁうdぇくか/Lぁうきぐ 上で稼働する Eclぁえかe ベースの新しい

CICS 管理ツールだよ。

操作性の高さや表示情報、レイアウトの柔軟性など、Eclぁえかe のメリットはそのままで

CICS の操作を可能とするツールなんだ。

CICS Eぐえlぇおeお の画面イメージはこんな感じだ(図 11)。

図 11:CICS Eぐえlぇおeお 画面イメージ

後輩 : ふむふむ。

先輩 : しかも最近では、Eclぁえかe ベースのツールがメジャーになってきているのもあり、Eclぁえかe

に触れたことがあるならば、CICS Eぐえlぇおeお 自体を使うのが初めてでも比較的容易に

CICS Eぐえlぇおeお の操作に慣れる事ができるし、何よりこのツールは無料で提供されている

んだ!

後輩 : 確かに、以前勉強の為に Jaぎa アプリケーションを毎日 1 本作っていた時に Eclぁえかe を利

用していたので、Eclぁえかe には結構慣れましたね。同じ Eclぁえかe ベースのツールであれば

操作性とかは共通していると思うのですぐ使い方を覚えそうです。しかも無料というのもい

いですね。

先輩 : それに、WUI だと CPSM 環境が前提だったけど、CICS Eぐえlぇおeお だと CPSM 環境だ

けではなく、非 CPSM 環境の CICSリージョンの管理も可能な上に、資源の追加や削除、

インストールやステータス確認等、CEMT や CEDAトランザクションに相当する資源の操

作も可能なのだよ。

④ CICSの新しい運用管理

後輩 : おお! それってかなり便利ではないですか!?

ちなみに、CTG(CICS Tおaうかacがぁぇう Gaがeくaけ)もいくつかあるのですが、それも一緒

に CICS Eぐえlぇおeお で管理できたりしませんかね??

先輩 : ん? できるよ?

後輩 : なんですと!!!?

先輩 : Eclぁえかe の特長として、Plきg-ぁう というものがあって、それをインストールして機能を拡張

する事が可能なんだ。

CTGもCICS Eぐえlぇおeお用にPlきg-ぁうを提供していて、それをCICS Eぐえlぇおeおにインストー

ルすることで、CICS Eぐえlぇおeお からCTG の起動・停止の操作や CTG の統計情報を表示

させることができるようになる。

後輩 : Plきg-ぁうって他にもあったりするんですか?

先輩 : もちろん。CTG だけでは無く、以下のようにその他のツール製品の Plきg-ぁう も提供してい

るよ。

● CICS に特化した Tぇぇll 製品

- CICS PA(Peおfぇおmaうce Aうalけげeお)

- CICS IA(Iうがeおdeえeうdeうcけ Aうalけげeお)

- CICS CM(Cぇうでgきおaがぁぇう Maうageお)

- CICS DA(Deえlぇけmeうが Aかかぁかがaうが)

- CTG (CICS Tおaうかacがぁぇう Gaがeくaけ)

- Tぁぎぇlぁ OMEGAMON XE fぇお CICS

● 汎用 Tぇぇl 製品

- げ/OS Pおぇblem Deがeおmぁうaがぁぇう Tぇぇlか

Aええlぁcaがぁぇう Peおfぇおmaうce Aうalけげeお(APA) fぇお げ/OS

Debきg Tぇぇl fぇお げ/OS

Faきlが Aうalけげeお fぇお げ/OS

● その他

- MQ Eぐえlぇおeお

尚、Plきg-ぁう を CICS Eぐえlぇおeお にインストールしたらこんな感じになるんだ。(図12)

④ CICSの新しい運用管理

Page 18: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

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【第7章】 CICS

158

【第7章】 CICS④ CICSの新しい運用管理

図 12-1:CICS Eぐえlぇおeお + Plきg-ぁう(CICS ツール)

図 12-2:CICS Eぐえlぇおeお +Plきg-ぁう(PD ツール)

後輩 : なるほど。確かに今後の CICS の管理を考えると、Eclぁえかe のほうがとっつき易いですし、

ツール毎に提供されるインターフェースを利用するよりは、CICS Eぐえlぇおeお の一画面で全

て表示できるうえに統一された操作感で操作できるというのは確かに魅力的です!

先輩 : そうだね。 参考までに、CICS Eぐえlぇおeお はここからダウンロード (US)できるよ。

hががえ://くくく.ぁbm.cぇm/かきええぇおが/dぇcぎぁeく.くかか?おか=1083&きぁd=かくg24033579

後輩 : ありがとうございます! 後でダウンロードしてみて、是非使ってみたいと思います!

④ CICSの新しい運用管理

 CICS クラウド

先輩 : ところで、後輩君。ここまでは、CICS Eぐえlぇおeお による CICS の管理について話してきた

が、最新の CICS TS V5.1 ではクラウドの概念を取り入れて、アプリケーションの設定や

管理がもっと簡単になってくるんだよ。

後輩 : CICS でクラウドですか? なんだかピンと来ないですが。。。

先輩 : 多くの CICS 環境では、業務別にリージョンが分かれていたり、TOR/AOR/FOR と機能

別のリージョンがあったり、それがクローン化されていたり、さらに並列 Sけかえleぐ 環境だと

複数の LPAR に跨っていたりして、複雑になりやすいよね。 その上でアプリケーションを

実行できるように定義をする際には、例えば

● どのリージョンに何の資源定義が必要か

● CSD がどのリージョンで共有されていてどの資源グループをどのリストに追加してインス

トールされるようにするか

● 定義の漏れや他のアプリケーションと競合していないか

などを考えながら設定していかないといけない。

後輩 : はい。僕も以前テスト環境でアプリのテストをしようとしたときに、定義のインストール先の

リージョンを間違えてしまって、なかなかアプリを動かせなかった経験があります。

先輩 : V5.1 ではその実行環境の複雑さを隠蔽するために、必要な資源を1つにまとめたアプリ

ケーションの定義と、より抽象化した実行環境をマッピングするんだ。あとは CICS がそ

の情報をもとに自動的に資源定義を必要なリージョンにインストールするので、ユーザーは

CICS の数がいっぱいあるとか CSD が複数あるとか考えなくてもいいんだ。

そのように1つのアプリケーションの塊としてインストールされると、アプリケーションのレベ

ルでの有効化・無効化ができて、それに合わせて関連資源も一緒にステータスが変わる。

アプリケーションのレベルで削除すれば関連資源も全部まとめて削除される。一つのアプリ

ケーションとして一元管理されてるんだ。

後輩 : それはアプリ開発者がテストするときにも便利そうですね。定義組み込みなどの準備に時間

を取られなくて済みそうだし、アプリケーションを削除したら関連する定義も全部消えてくれ

るなんて。

必要なときにアプリケーションに関連する定義がすぐに準備できて、不要になったらまとめ

て消せる・・・、確かにクラウドっぽいですね。

Page 19: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

159

【第7章】 CICS

160

【第7章】 CICS

先輩 : V5.1 ではまだアプリケーションに含められる定義の種類に制約があるので、どちらかという

と V5.1 新機能の Seおぎleが/JSP や、Jaぎa プログラムのほうが適用しやすいところはある

けど、将来に向けて拡張されていくエリアなので今後が楽しみだよね。

 運用管理の向上を目指して

先輩 : さて、今日は CPSM を含め、CICS Eぐえlぇおeお、CICS クラウド等、CICS の管理につい

て話してきたけどどうだったかな?

後輩 : そうですね。今日の話を受けて、CICS Eぐえlぇおeお を利用した運用管理を考えていきたい

と思いました!

おっと、もうお昼ですね。長々とすみませんでした。。

先輩 : いえいえ、後輩の育成も大切な業務だからね。

後輩 : おお!

僕にも後輩ができたらそう言えるぐらいに成長したいです!

ありがとうございました!

④ CICSの新しい運用管理 ④ CICSの新しい運用管理

Page 20: Zマイスターとの新たな価値探求 CICS

185

IBM、IBM ロ ゴ、ぁbm.cぇm、AIX、CICS、CICSPleぐ、DB2、IMS、IうfぇSえheおe、NeがVeぁく、えきおeScale、RAA、

RACF、Raがぁぇうal、Raがぁぇうal Team Cぇうceおが、SPSS、Sけかがem げ、Tぁぎぇlぁ、WebSえheおe、げ/OS およびzSecきおe は、

世界の多くの国で登録された Iうがeおうaがぁぇうal Bきかぁうeかか Machぁうeか Cぇおえぇおaがぁぇう の商標です。他の製品名および

サービス名等は、それぞれ IBM または各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、

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