1

紫外領域(380nm)で高感度な ZnO結晶を活用した 高機能シンチレータ

大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 猿倉 信彦 助教 清水 俊彦

4

従来技術とその問題点

従来技術：Ce:YAGセラミックシンチレータ 問題点： 時間分解能 50nsと遅く、高速パルス分解が不能 空間分解能 グレインバウンダリーにより制限あり

6

水熱合成法炉

E. Ohshima, et.al. J. Crystal Growth 260 (2004) 166

水熱合成法(本技術)によるZnO作製 使いやすい大型ZnO作製に成功

高温高圧水を用い、 オートクレーブ内で温度差を与えその溶解度差を利用して結晶成長させる方法

福田結晶・ 東北大学との 共同成果

8

ビームの最小半径 水平方向：5.0 μm 垂直方向：4.7 μm

拡大光学系の空間分解能(3.5mm)を考慮すると ZnOイメージング素子の空間分解能は5.0mm程度 →X線CCD(分解能10mm程度)と比べても遜色ない！

空間分解能評価

16

ZnOのさらなる高機能化

高性能EUVシンチレータとしてのZnO結晶はサブpsからfsオーダーの発光寿命が必要。

→ 時間分解能の強化 現在結晶作製後に発光寿命を速くする手段は

報告されていない。 → カスタマイズ性の強化

17

ガンマ線照射による ZnOシンチレータの発光寿命の高速化

放射線照射により、ZnO結晶内部にカラーセンターを生じさせ、 そのクエンチング作用により発光寿命の高速化を実現する。 不純物ドープに比べ、均一性を確保し易い。 加えて、既に作製された結晶の改質が可能である。

さらなる高速化手法 : 放射線照射

大阪大学産業科学研究所のコバルト６０ガンマ線照射装置を用いて実験を行った。吸収線量にして最大50 kGy照射したZnOについて、Ti : Sapphireレーザー3次高調波とストリークユニットを用いた時間分解分光を実施し、発光寿命と吸収線量の相関を検討した。

大阪大学産業科学研究所附属 量子ビーム科学研究施設

コバルト60照射施設

18 18

本技術の強み 競合他社の撤退のため、

ZnOの3インチ結晶作製技術を有するのは 本技術のパートナーの福田結晶技術研究所のみである。 ZnOへの均一な金属ドープ技術に強みを持つ上、 新たな発光寿命高速化手法として放射線照射法を 確立しつつある。

想定される活用例

・EUV光源診断用シンチレータ ・X線自由電子レーザー同期用シンチレータ ・LED ・エンジン用圧力センサー ・PET用シンチレータ 多岐に渡る

19

実用化に向けた課題 • さらなるカスタム化 任意の発光強度・発光寿命を持つ ZnOを提供できるように • 市場の開拓 良い材料は作製できるようになった もっともっと使ってもらいたい

20

企業への期待 • デバイスで提供が可能 • コンポネーントとしての要望も対応可能 • 実際の用途に合わせた高性能化・

カスタム化のフィードバックを期待

21

本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 ：酸化亜鉛結晶の製造方法、酸化亜鉛結晶、

シンチレータ材料及びシンチレータ検出器 • 出願番号 ：特願2012-85458 • 出願人 ：株式会社福田結晶技術研究所 • 発明者 ：福田承生,吉田茂朋,猿倉信彦,清水俊彦,中里智治

• 発明の名称 ：酸化亜鉛結晶の製造方法、酸化亜鉛結晶、 シンチレータ材料及びシンチレータ検出器 • 出願番号 ：特願2015-088708 • 出願人 ：大阪大学、株式会社福田結晶技術研究所 • 発明者 ：福田承生、猿倉信彦、清水俊彦、山ノ井航平、

坪井瑞樹、南佑輝、エンピゾ メルヴィン ジョン フェルナンデス、有田廉、堀達広、福田一仁、 高畠正宏、森一公

22

産学連携の経歴

2006年4月～2010年3月 化学メーカーと共同研究 2008年5月～2015年4月 無機材料メーカーと共同研究 2008年8月～2011年3月 総合材料メーカーと共同研究 2008年8月～2009年3月 光学装置メーカーと共同研究 2009年8月～2010年3月 光学装置メーカーと共同研究 2009年10月～2010年9月 光学部品メーカーと共同研究 2010年3月～2011年2月 水晶デバイスメーカー、福田結晶技術研究所と共同研究

研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムA-STEP

JST関連

その他

「ピコ秒応答性高機能シンチレーターZnO結晶の大型結晶育成量産実用化技術の開発」 （株）福田結晶技術研究所と共同研究

研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムA-STEP

「真空紫外からX線領域における高機能シンチレータ－開発」 （株）福田結晶技術研究所と共同研究

2012年10月～2015年3月

2011年10月～2012年9月

23

お問い合わせ先

大阪大学 コーディネーター 鍵谷 圭 ＴＥＬ ０６－６８７９－４２０６ ＦＡＸ ０６－６８７９－４２０８ e-mail contact＠uic.osaka-u.ac.jp