大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

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大大大大大大大大大大大大大 大大大大大大大大大大大大大 2004 2004 大大 大大 大大大大大 大大大大大 4 4 大大大大 大大大大 大大大大大大大大大大 大大大大大大大大大大

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大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回. 佐藤勝昭 ナノ未来科学研究拠点. 第3回に学んだこと. 局在電子系の常磁性:ランジェバンの常磁性 H/T 小さいとき→キュリー則:有効ボーア磁子数 n eff 量子論: neff={J(J+1)}1/2 遍歴電子系の常磁性:パウリの常磁性 縮退電子系では、磁化率は温度によらない 強磁性の起源:ワイス理論 分子場を考える ブリルアン関数、磁化の温度変化、キュリー温度 キュリーワイス則. - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

大学院物理システム工学専攻大学院物理システム工学専攻 20042004 年度年度固体材料物性第固体材料物性第 44 回回

佐藤勝昭佐藤勝昭ナノ未来科学研究拠点ナノ未来科学研究拠点

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第3回に学んだこと第3回に学んだこと局在電子系の常磁性:ランジェバンの常磁性局在電子系の常磁性:ランジェバンの常磁性 H/TH/T 小さいとき→キュリー則:有効ボーア磁子数小さいとき→キュリー則:有効ボーア磁子数 nnee

ffff

量子論:量子論: neff={J(J+1)}1/2neff={J(J+1)}1/2

遍歴電子系の常磁性:パウリの常磁性遍歴電子系の常磁性:パウリの常磁性 縮退電子系では、磁化率は温度によらない縮退電子系では、磁化率は温度によらない強磁性の起源:ワイス理論強磁性の起源:ワイス理論 分子場を考える分子場を考える ブリルアン関数、磁化の温度変化、キュリー温度ブリルアン関数、磁化の温度変化、キュリー温度 キュリーワイス則キュリーワイス則

Page 3: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

復習コーナー復習コーナーワイスの分子場理論ワイスの分子場理論1つの磁気モーメントを取り出し、その周り1つの磁気モーメントを取り出し、その周りにあるすべてのにあるすべての磁気モーメントから生じた有磁気モーメントから生じた有効磁界効磁界によって、考えている磁気モーメントによって、考えている磁気モーメントが常磁性的に分極するならばが常磁性的に分極するならば自己完結的自己完結的に強に強磁性が説明できる磁性が説明できるこれをこれを分子場理論分子場理論、有効磁界を分子磁界また、有効磁界を分子磁界またはは分子場分子場 (molecular field)(molecular field) と呼ぶ。と呼ぶ。

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復習コーナー(分子場理論) 復習コーナー(分子場理論) 分子場係数分子場係数

磁化磁化 MM をもつ磁性体に外部磁界をもつ磁性体に外部磁界 HH が加わっが加わったときのたときの有効磁界有効磁界はは HHeffeff==HH++AAMM と表される。と表される。AA をを分子場係数分子場係数と呼ぶ。と呼ぶ。分子場係数分子場係数 AA はは JJexex をを交換相互作用交換相互作用係数、係数、 zz をを配位数として配位数として AA=2=2zzJJexex//NN((ggBB))22 で与えられる。で与えられる。この磁界によって生じる常磁性磁化この磁界によって生じる常磁性磁化 MM は、 は、 MM==MM00BBJJ((ggBBHHeffeffJJ//kTkT)) という式で表される。という式で表される。 MM00==NgNgBBJJ はすべての磁気モーメントが整はすべての磁気モーメントが整

列したときに期待される磁化。列したときに期待される磁化。

Page 5: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

復習コーナー(分子場理論)復習コーナー(分子場理論)自発磁化が生じる条件自発磁化が生じる条件を求めるを求める

HH=0=0 のときのとき HHeffeff==AMAM自発磁化が生じるには 自発磁化が生じるには 

   MM//MM00==BBJJ((ggBBJHJHeffeff//kTkT)=)=BBJJ((ggBBJJAAMM//kTkT))

が成立しなければならない。 が成立しなければならない。 AA に分子場係数の式に分子場係数の式 AA=2=2zJzJexex//NN((ggBB))22 を代入してを代入してM/MM/M00== BBJJ(2(2zzJJexexggBBMJMJ// NN((ggBB))22kTkT))

ここでここで MM00==NgNgBBJJ を使って書き直すとを使って書き直すとM/MM/M00= B= BJJ((2((2zJzJexexJJ22/kT/kT)) M M//MM00)) を得る。を得る。

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復習コーナー(分子場理論)復習コーナー(分子場理論) M/MM/M00= B= BJJ((2((2zJzJexexJJ22/kT/kT)) M M//MM00)) を解くを解く

y=M/My=M/M00 、、 xx=(2=(2zzJJexexJJ22/kT/kT)) M M//MM00 とすると、上の方程式をとすると、上の方程式を解くことは、解くことは、曲線曲線 yy==BBJJ((xx)) とと直線 直線 (2(2zzJJexexJJ22/kT/kT)) y y==xx を連を連立して解くことと同じである。立して解くことと同じである。

x=gBJH/kT

y=M

/M01.0

0.0 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

J=5/2 のブリルアン関数

(2zJexJ2/kT) y=x ; T が小さいとき解が存在する:自発磁化あり

(2zJexJ2/kT) y=x ; T が大きいとき解が存在しない:自発磁化なし

キュリー温度においては直線はブリルアン関数の接線

温度が上がると

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復習コーナー(分子場理論) 復習コーナー(分子場理論) 自発磁化の温度変化自発磁化の温度変化

さまざまなさまざまな JJ につについて、分子場理論いて、分子場理論で交点ので交点の M/MM/M00 ををTT に対してプロッに対してプロットすると磁化の温トすると磁化の温度変化を求めるこ度変化を求めることができる。ニッとができる。ニッケルの磁化温度曲ケルの磁化温度曲線は線は J=1/2J=1/2 でよくでよく説明される。説明される。 × は鉄、●はニッケル、○はコバルトの実

測値、実線は J としてスピン S=1/2,1,∞ をとったときの計算値

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復習コーナー(分子場理論) 復習コーナー(分子場理論) キュリーワイスの法則キュリーワイスの法則

キュリー温度キュリー温度 TcTc 以上では、磁気モーメントはバラバラ以上では、磁気モーメントはバラバラの方向を向き、常磁性になる。分子場理論によれば、この方向を向き、常磁性になる。分子場理論によれば、このときの磁化率は次式で与えられる。のときの磁化率は次式で与えられる。

この式をキュリーワイスの法則という。この式をキュリーワイスの法則という。CC はワイス定数、はワイス定数、 pp は常磁性キュリー温度というは常磁性キュリー温度という1/1/ をを TT に対してプロットするとに対してプロットすると 1/1/=(T- =(T- pp)/C)/C となとなり、横軸を横切る温度がり、横軸を横切る温度が pp である。である。

pT

C

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復習コーナー(分子場理論) 復習コーナー(分子場理論) キュリーワイスの法則を導くキュリーワイスの法則を導く

HHeffeff=H+AM=H+AM

M/HM/Heffeff=C/T=C/T    (M(M とと HHeffeff の間にキュリーの法の間にキュリーの法則が成立すると仮定する則が成立すると仮定する ))

M/(H+AM)=C/T→MT=C(H+AM)M/(H+AM)=C/T→MT=C(H+AM)従って、従って、 M(T-CA)=CHM(T-CA)=CH よりより=M/H=C/(T-CA)=M/H=C/(T-CA) となる。となる。 CA=CA=pp と置けばと置けばキュリーワイスの法則が導かれる。すなわちキュリーワイスの法則が導かれる。すなわち =C/(T- =C/(T- pp))

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今回学ぶこと:強磁性体の物理今回学ぶこと:強磁性体の物理交換相互作用交換相互作用 直接交換・間接交換・超交換・二重交換直接交換・間接交換・超交換・二重交換金属の強磁性:ストーナーモデル金属の強磁性:ストーナーモデル スピン偏極バンド構造スピン偏極バンド構造 多数スピンバンド・少数スピンバンド多数スピンバンド・少数スピンバンド強磁性体の技術磁化強磁性体の技術磁化 磁区とヒステリシス磁区とヒステリシス 磁気異方性磁気異方性

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交換相互作用交換相互作用 (exchange interaction)(exchange interaction)

交換相互作用という言葉はもともとは多電子原交換相互作用という言葉はもともとは多電子原子の中で働くクーロン相互作用の算出において、子の中で働くクーロン相互作用の算出において、電子同士を区別できないことから来るエネルギ電子同士を区別できないことから来るエネルギーの補正項のことで、原子内交換相互作用といーの補正項のことで、原子内交換相互作用といいます。います。 (intra-atomic exchange interaction)(intra-atomic exchange interaction)

この概念を原子間に拡張したのが、原子間交換この概念を原子間に拡張したのが、原子間交換相互作用相互作用 (inter-atomic exchange interaction)(inter-atomic exchange interaction) でですす

ウンチクコーナーイントラ (intra) とインター (inter): イントラは内部のといういみの接頭辞、インターは複数のものの間のという意味の接頭辞です。イントラネット、インターネットということばもここから来ています

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原子原子内内交換相互作用交換相互作用

原子内原子内交換相互作用は、交換相互作用は、本質的にクーロン相互作用本質的にクーロン相互作用です。2つの電子です。2つの電子 (( 波動関数を波動関数を11,,22とするとする )) の間の間に働くクーロン相互作用のエネルギーに働くクーロン相互作用のエネルギー HH は、は、HH = = KK1212 -- (1/2)(1/2) JJ1212(1+4(1+4ss11ss22) ) で表されます。で表されます。KK1212 は、次式で与えられるクーロン積分です。は、次式で与えられるクーロン積分です。

JJ1212 は次式で与えられる交換積分で、電子が区別できないは次式で与えられる交換積分で、電子が区別できないことからくる項です。ことからくる項です。

K dr dr r re

rr r12 1 2 1 1 2 2

2

12

1 1 2 2

J dr dr r re

rr r12 1 2 1 1 2 2

2

12

1 2 2 1

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原子原子内内交換相互作用交換相互作用

HH = = KK1212 -- (1/2)(1/2) J J1212(1+4(1+4ss11ss22) )

の固有値は、の固有値は、 ==KK1212––JJ1212 (( ss11 とと ss22 が同符号のとき)が同符号のとき)= = KK1212           ( ( ss11 とと ss22 が異符号のとき)が異符号のとき)HH と平均のエネルギー(と平均のエネルギー( HH00==KK1212 -- JJ1212/2/2 )との差)との差 – – 22JJ1212ss11ss22 のことを原子のことを原子内内交換エネルギーという。 交換エネルギーという。

K12

K12-J12

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原子原子間間交換相互作用 交換相互作用

本来磁気秩序を考えるには物質系全体のスピンを考本来磁気秩序を考えるには物質系全体のスピンを考えねばならないのであるが、電子の軌道が原子に局えねばならないのであるが、電子の軌道が原子に局在しているとみなして電子のスピンを各原子在しているとみなして電子のスピンを各原子 ii の位置の位置に局在した全スピンに局在した全スピン SSii で代表させて,で代表させて,原子原子 11 の全スの全スピンピン SS11 と原子と原子 22 の全スピンの全スピン SS22 との間に原子間交換相との間に原子間交換相互作用互作用が働くと考えるのがハイゼンベルグ模型であが働くと考えるのがハイゼンベルグ模型である。このとき交換エネルギーる。このとき交換エネルギー HHexex は,原子内交換相は,原子内交換相互作用を一般化して見かけの交換積分互作用を一般化して見かけの交換積分 JJ1212 を用いてを用いて                     HHexex =-2 =-2JJ1212SS11SS22

で表される。で表される。 JJ が正であれば相互作用は強磁性的が正であれば相互作用は強磁性的、、負であれば反強磁性的負であれば反強磁性的である。 である。

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秩序磁性と秩序磁性と交換相互作用: 交換相互作用: ハイゼンベルグ模型 ハイゼンベルグ模型 HHexex =-2 =-2JJ1212SS11SS22

JJ が正であれば相互作用は強磁性的、負であればが正であれば相互作用は強磁性的、負であれば反強磁性的 反強磁性的 交換積分の起源 交換積分の起源 隣接原子のスピン間の直接交換(隣接原子のスピン間の直接交換( direct exchangedirect exchange ) ) 酸素などのアニオンのp電子軌道との混成を通して酸素などのアニオンのp電子軌道との混成を通して

スピン同士がそろえあう超交換(スピン同士がそろえあう超交換( superexchangesuperexchange ) ) 伝導電子との相互作用を通じてそろえあう間接交換伝導電子との相互作用を通じてそろえあう間接交換

(( indirect exchangeindirect exchange ) ) 電子の移動と磁性とが強く結びついている二重交換電子の移動と磁性とが強く結びついている二重交換

相互作用相互作用 (double exchange) (double exchange)

Page 16: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

局在電子磁性と遍歴電子局在電子磁性と遍歴電子 (( バンドバンド )) 磁磁性性

絶縁性磁性体絶縁性磁性体:: 3d3d 電子は電子相関により格子位置電子は電子相関により格子位置に局在→格子位置に原子の磁気モーメント→交換に局在→格子位置に原子の磁気モーメント→交換相互作用でそろえ合うと強磁性が発現相互作用でそろえ合うと強磁性が発現金属性磁性体金属性磁性体:: 3d3d 電子は混成して結晶全体に広が電子は混成して結晶全体に広がりバンドをつくる(遍歴電子という)りバンドをつくる(遍歴電子という) 多数スピンバンドと少数スピンバンドが交換分裂で相対多数スピンバンドと少数スピンバンドが交換分裂で相対

的にずれ→フェルミ面以下の電子数の差が磁気モーメン的にずれ→フェルミ面以下の電子数の差が磁気モーメントを作るトを作る

ハーフメタル磁性体:ハーフメタル磁性体:多数スピンは金属、小数ス多数スピンは金属、小数スピンは半導体→フェルミ面付近のエネルギーの電ピンは半導体→フェルミ面付近のエネルギーの電子は子は 100%100% スピン偏極スピン偏極

Page 17: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

局在磁性モデル局在磁性モデル

常磁性 強磁性

反強磁性

H=-JS1S2

交換相互作用

J>0

J<0

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強磁性金属のバンド磁性強磁性金属のバンド磁性多数多数 (↑)(↑) スピンのバンドと少数スピンのバンドと少数(↓)(↓) スピンのバンドが電子間のスピンのバンドが電子間の直接交換相互作用のために分直接交換相互作用のために分裂し、熱平衡においてはフェ裂し、熱平衡においてはフェルミエネルギーをそろえるたルミエネルギーをそろえるため↓スピンバンドから↑スピめ↓スピンバンドから↑スピンバンドへと電子が移動し、ンバンドへと電子が移動し、両スピンバンドの占有数に差両スピンバンドの占有数に差が生じて強磁性が生じる。 が生じて強磁性が生じる。 磁気モーメント磁気モーメント MMは、は、 MM=(=( n n↑-↑- n n↓)↓)BB で表される。で表される。このため原子あたりの磁気モこのため原子あたりの磁気モーメントは非整数となる。 ーメントは非整数となる。

非磁性半導体との比較

Page 19: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

バンドと磁性バンドと磁性

通常金属

交換分裂

強磁性金属

Ef Ef Ef

ハーフメタル

Page 20: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

超交換相互作用 超交換相互作用 酸化物磁性体では、局在電子系の磁気モーメ酸化物磁性体では、局在電子系の磁気モーメントの間に働く相互作用は、遷移金属のントの間に働く相互作用は、遷移金属の 3d3d電子どうしの重なりで生じるのではなく、配電子どうしの重なりで生じるのではなく、配位子の位子の pp 電子が遷移金属イオンの電子が遷移金属イオンの 3d3d 軌道に軌道に仮想的に遷移した中間状態を介して相互作用仮想的に遷移した中間状態を介して相互作用する。これを、超交換相互作用と称する。主する。これを、超交換相互作用と称する。主として反強磁性的に働く。 として反強磁性的に働く。

酸素イオン

遷移金属イオン

Page 21: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

間接交換間接交換 (RKKY)(RKKY) 相互作用 相互作用 希土類金属の磁性は希土類金属の磁性は 4f4f 電子が担うが、伝導電子であ電子が担うが、伝導電子であるる 5d5d 電子が電子が 4f4f 電子と原子内交換相互作用することに電子と原子内交換相互作用することによってスピン偏極を受け、これが隣接の希土類原子よってスピン偏極を受け、これが隣接の希土類原子のの ff 電子と相互作用するという形の間接的な交換相互電子と相互作用するという形の間接的な交換相互作用を行っていると考えられている。 作用を行っていると考えられている。 これをこれを RKKY (Rudermann, Kittel, Kasuya, Yoshida)RKKY (Rudermann, Kittel, Kasuya, Yoshida)相互作用という。 相互作用という。 伝導電子を介した局在スピン間の磁気的相互作用は、伝導電子を介した局在スピン間の磁気的相互作用は、距離に対して余弦関数的に振動し、その周期は伝導距離に対して余弦関数的に振動し、その周期は伝導電子のフェルミ波数で決められる。 電子のフェルミ波数で決められる。

Page 22: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

二重交換相互作用 二重交換相互作用 LaMnO3LaMnO3 では、すべてのでは、すべての MnMn 原子は原子は 33 価なので 価なので egeg ババンドには1個の電子が存在し、この電子が隣接ンドには1個の電子が存在し、この電子が隣接 MnMn 原原子の子の egeg 軌道に移動しようとすると電子相関エネル軌道に移動しようとすると電子相関エネルギーギー UU だけのエネルギーが必要であるため電子移動だけのエネルギーが必要であるため電子移動は起きずモット絶縁体となっている。は起きずモット絶縁体となっている。LaLa をを SrSr で置き換えで置き換え 44 価の価の MnMn が生じると、が生じると、 MnMn4+4+ のの eegg 軌道は空であるから、他の軌道は空であるから、他の MnMn3+3+ から電子が移ることから電子が移ることができ金属的な導電性を生じる。ができ金属的な導電性を生じる。このとき隣接するこのとき隣接する MnMn 原子の磁気モーメントのなす角原子の磁気モーメントのなす角とすると、とすると、 eegg 電子の飛び移りの確率は電子の飛び移りの確率は cos(cos( /2)/2) にに比例する。比例する。 =0=0 (スピンが平行)のとき飛び移りが(スピンが平行)のとき飛び移りが最も起きやすく、運動エネルギーの分だけエネル最も起きやすく、運動エネルギーの分だけエネルギーが下がるので強磁性となる。 ギーが下がるので強磁性となる。

Page 23: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁気ヒステリシスの由来磁気ヒステリシスの由来磁気ヒステリシスについて磁気ヒステリシスについて反磁界と静磁エネルギー反磁界と静磁エネルギー磁気異方性磁気異方性磁区と磁壁;磁壁移動と磁化回転磁区と磁壁;磁壁移動と磁化回転保磁力保磁力

Page 24: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

強磁性体の磁気ヒステリシス強磁性体の磁気ヒステリシス磁化が外部磁界に対しヒステリシスを示す。磁化が外部磁界に対しヒステリシスを示す。

O→B→C:O→B→C:初磁化曲線初磁化曲線C→D: C→D: 残留磁化残留磁化D→E: D→E: 保磁力保磁力C→D→E→F→G→C:C→D→E→F→G→C:ヒステリシスループヒステリシスループ

( 高梨:初等磁気工学講座テキスト )

Page 25: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁気ヒステリシスと応用磁気ヒステリシスと応用保磁力のちがいで用途が違う保磁力のちがいで用途が違うHHcc 小:軟質磁性体小:軟質磁性体 磁気ヘッド、変圧器鉄心、磁気シールド磁気ヘッド、変圧器鉄心、磁気シールドHHcc 中:半硬質磁性体中:半硬質磁性体 磁気記録媒体磁気記録媒体HHcc 大:硬質磁性体大:硬質磁性体 永久磁石永久磁石

Page 26: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

なぜ初磁化状態では磁化がないのか:なぜ初磁化状態では磁化がないのか:磁区磁区 (magnetic domain)(magnetic domain)

磁化が特定の方向を向くとすると、磁化が特定の方向を向くとすると、 NN 極から極から SS 極に極に向かって磁力線が生じます。この磁力線は考えてい向かって磁力線が生じます。この磁力線は考えている試料の外を通っているだけでなく、磁性体の内部る試料の外を通っているだけでなく、磁性体の内部も貫いています。この磁力線をも貫いています。この磁力線を反磁界反磁界といいます。といいます。反磁界の向きは、磁化の向きとは反対向きなので、反磁界の向きは、磁化の向きとは反対向きなので、磁化は回転する静磁力を受けて不安定となります。 磁化は回転する静磁力を受けて不安定となります。 磁化の方向が逆方向の縞状の磁化の方向が逆方向の縞状の磁区磁区と呼ばれる領域にと呼ばれる領域に分かれるならば、反磁界がうち消し合って静磁エネ分かれるならば、反磁界がうち消し合って静磁エネルギーが低下して安定するのです ルギーが低下して安定するのです

Page 27: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

反磁界反磁界 (demagnetization field)(demagnetization field)

磁性体表面の法線方向の磁化成磁性体表面の法線方向の磁化成分を分を MMn n とすると、表面にはとすると、表面には単位面積あたり単位面積あたり == M Mnn というという大きさの磁極大きさの磁極 (Wb/m(Wb/m22)) が生じる。が生じる。 磁極からはガウスの定理によっ磁極からはガウスの定理によって全部でて全部で /μ/μ00 の磁力線がわきの磁力線がわき出す。このうち出す。このうち反磁界係数反磁界係数 NNを使って定義されるを使って定義される磁力線磁力線 NMNMは内部に向かっており、残りはは内部に向かっており、残りは外側に向かっている。すなわち外側に向かっている。すなわち磁石の内部では、磁石の内部では、 MM の向きとの向きとは逆方向のは逆方向の反磁界反磁界が存在する。が存在する。外部では磁束線は磁力線に一致外部では磁束線は磁力線に一致する。する。

(b) 磁力線

M- +

(a) 磁化と磁極 反磁界

S N

S N

(c) 磁束線

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反磁界係数反磁界係数 NN : : ((近角近角強磁性体の物理より強磁性体の物理より))

NN のの x, y, zx, y, z 成分を成分を NNxx, , NNyy, , NNzz とすると、とすると、 HHddii=-=-NNiiMMii//00 ( (ii==x,y,zx,y,z))

と表され、と表され、 NNxx, , NNyy, , NNzz の間には、の間には、 NNxx+ + NNyy+ + NNzz==11 が成立する。が成立する。

球形:球形: NNxx= = NNyy= = NNzz==1/31/3

zz 方向に無限に長い円柱:方向に無限に長い円柱: NNxx= = NNyy= 1/2= 1/2 、、 NNzz==00

無限に広い薄膜の場合:無限に広い薄膜の場合: NNxx= = NNyy= 0= 0 、、 NNzz==11 となる。 となる。

実効磁界実効磁界 HHeffeff==HHexex--NM/NM/00

xy

z

z

x

y

z

x

y

Nz=1

Nx= 0Ny= 0

Nx= 1/2

Ny= 1/2Nx=1/3

Ny=1/3

Nz=1/3

Nz=0

Page 29: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

反磁界と静磁エネルギー反磁界と静磁エネルギー磁化磁化 MM が反磁界が反磁界 HdHd のもとにおかれるとのもとにおかれるとU=U=MMHdHd だけポテンシャルエネルギーが高くなる。だけポテンシャルエネルギーが高くなる。

一様な磁界一様な磁界 HH 中の磁気モーメント中の磁気モーメント MM に働くトルクに働くトルク TT はは T=-MH T=-MH sinsin

磁気モーメントのもつポテンシャル磁気モーメントのもつポテンシャル EE はは     UU==TdTd= -= - 00

MH MH sinsin dd=MH =MH ((1-1-coscos)) エネルギーの原点はどこにとってもよいのでエネルギーの原点はどこにとってもよいので ポテンシャルエネルギーはポテンシャルエネルギーは U=-MU=-M・・ HH と表される。と表される。 HH=-=-HHdd を代入すると反磁界によるポテンシャルの増加はを代入すると反磁界によるポテンシャルの増加はUU==MM・・ HHdd

Page 30: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

表面磁極の分割による静磁エネルギー表面磁極の分割による静磁エネルギーの減少の減少

結晶表面を結晶表面を xyxy面にとる面にとる表面で表面で z=0z=0 とするとする磁区の磁化方向は磁区の磁化方向は ±z±z

磁区の磁区の xx 方向の幅方向の幅 dd

磁極の表面密度磁極の表面密度 =Is =Is 2md<x<(2m+1)d2md<x<(2m+1)d

=-Is =-Is (2m+1)d<x<2(m+1)d(2m+1)d<x<2(m+1)d

磁気ポテンシャル磁気ポテンシャルをを LaLaplaceplace の方程式で求めるの方程式で求める

+ +- -

z

x

y

d

Page 31: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

境界条件境界条件((/ / zz))zz=-0=-0==/2/200

境界条件のもとにラプラス方程式を解くと境界条件のもとにラプラス方程式を解くと ==n n AAnn sin sin nn((//dd))xx・・ exp exp nn((//dd))zz

係数係数 AAnn は次式を満たすように決められるは次式を満たすように決められる((//dd) ) n n nAnAnn sin sin nn((//dd))x =I/2x =I/200; 2; 2mdmd<<xx<(2<(2mm+1)+1)dd

= - I/2 = - I/200; (2; (2mm+1)d<+1)d<xx<2(<2(mm+1)+1)dd

→→AAnn=2=2IIssdd//2200nn22

((x=x=0)0)=(2=(2IIssdd//2200) ) n n (1/(1/nn22)sin )sin nn((//dd))x x

単位表面積あたりの静磁エネルギー単位表面積あたりの静磁エネルギー ==(2(2IIss

22//2200) ) n n (1/(1/nn22))∫∫00dd sin sin nn((//dd))x x

= =(2(2IIss22dd//2200) ) n=odd n=odd (1/(1/nn33)=5.40)=5.40101044IIss

22dd

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磁気異方性磁気異方性磁性体は半導体と違って形状・寸法・結晶方位とか磁化の方位など磁性体は半導体と違って形状・寸法・結晶方位とか磁化の方位などによって物性が大きく変化する。によって物性が大きく変化する。1つの原因は上に述べた反磁界係数で、1つの原因は上に述べた反磁界係数で、形状磁気異方性形状磁気異方性と呼ばれまと呼ばれます。反磁界によるエネルギーの損を最小化することが原因です。す。反磁界によるエネルギーの損を最小化することが原因です。このほかの原因として重要なのがこのほかの原因として重要なのが結晶磁気異方性結晶磁気異方性です。結晶磁気異です。結晶磁気異方性というのは、磁界を結晶のどの方位に加えるかで磁化曲線が変方性というのは、磁界を結晶のどの方位に加えるかで磁化曲線が変化する性質です。 化する性質です。 電子軌道は結晶軸に結びついているので、磁気的性質と電子軌道と電子軌道は結晶軸に結びついているので、磁気的性質と電子軌道との結びつきの結びつき (( スピン軌道相互作用スピン軌道相互作用 )) を通じて、磁性が結晶軸と結びつを通じて、磁性が結晶軸と結びつくのです。半導体にも、詳しい測定をすると異方性を見ることがでくのです。半導体にも、詳しい測定をすると異方性を見ることができます。これに比べ一般に半導体の電子軌道は結晶全体に広がってきます。これに比べ一般に半導体の電子軌道は結晶全体に広がっているので、平均化されて結晶軸に依存する物性が見えにくいです。 いるので、平均化されて結晶軸に依存する物性が見えにくいです。

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結晶磁気異方性結晶磁気異方性磁化しやすさは、結晶の方位に依存する。磁化しやすさは、結晶の方位に依存する。鉄は立方晶であるが、鉄は立方晶であるが、 [100][100] が容易軸、が容易軸、 [111][111] は困難軸は困難軸

x

y

z

[111

]

[100]

容易軸

困難軸

[110]

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円板磁性体の磁区構造円板磁性体の磁区構造全体が磁区に分かれることにより、全体が磁区に分かれることにより、全体の磁化がなくなっている。これ全体の磁化がなくなっている。これが初磁化状態である。が初磁化状態である。磁区の内部では磁化は任意の方向を磁区の内部では磁化は任意の方向をランダムに向いている訳ではない。ランダムに向いている訳ではない。磁化は、結晶の方位と無関係な方向磁化は、結晶の方位と無関係な方向を向くことはできない。磁性体にはを向くことはできない。磁性体には磁気異方性磁気異方性という性質があり、磁化という性質があり、磁化が特定の結晶軸方位が特定の結晶軸方位 (( たとえばたとえば FeFeではでは [001][001] 方向および等価な方向方向および等価な方向 ))を向く性質がある。を向く性質がある。[001][001]容易軸では図のように容易軸では図のように (001)(001)面内では面内では [100][010][-100][0-10][100][010][-100][0-10] の4の4つの方向を向くのでつの方向を向くので 9090 磁壁になる。磁壁になる。[111][111]容易軸では容易軸では

(a) (b)

( 近角:強磁性体の物理 )

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ヒステリシスと磁区ヒステリシスと磁区

残留磁化状態 逆磁区の発生と成長

磁気飽和

核発生

Page 36: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁区磁区の概念のの概念の歴史歴史磁区の考え:磁区の考え: WeissWeiss が提唱が提唱 P.Weiss: J. Phys. 6, 661 (1907)P.Weiss: J. Phys. 6, 661 (1907)

バルクハウゼンノイズ:バルクハウゼンノイズ: 巨視的磁化が多くの細かい不連続磁化から成立巨視的磁化が多くの細かい不連続磁化から成立 H. Barkhausen: Phys. Z. 20, 401 (1919)H. Barkhausen: Phys. Z. 20, 401 (1919)

Page 37: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

マイクロマグネティックスマイクロマグネティックスmicromagneticsmicromagnetics

自発磁化をもつ強磁性体が有限な形状をもつ自発磁化をもつ強磁性体が有限な形状をもつときに、その内部のスピン分布を第1原理かときに、その内部のスピン分布を第1原理から解く計算手法ら解く計算手法 [W.F.Brown, Jr.; J. Appl. Phy[W.F.Brown, Jr.; J. Appl. Phys. 11, 160 (1940), Phys. Rev. 58, 736 (1940) ]s. 11, 160 (1940), Phys. Rev. 58, 736 (1940) ]

安定なスピン分布は、静磁エネルギー安定なスピン分布は、静磁エネルギー UUmagmag 、、交換エネルギー交換エネルギー UUexex 、磁気異方性エネルギー、磁気異方性エネルギーUUaa 、磁気弾性エネルギー、磁気弾性エネルギー UUelel の総和の総和 UU==UUmagmag++

UUexex++UUaa++UUelel

を極小にすることによって与えられる。を極小にすることによって与えられる。

Page 38: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

マイクロマグネティクスによる磁区マイクロマグネティクスによる磁区構造構造

静磁エネルギーは下がるが交換エネルギーが増加

磁極が生じ静磁エネルギーが上がる

環流磁区 縞状磁区

磁区と磁区の境界に磁壁エネルギーを貯えている

Page 39: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁区の単位表面積あたりの静磁エネルギー磁区の単位表面積あたりの静磁エネルギー

磁壁のエネルギー磁壁のエネルギー

ε=εε=εmm+ε+εww をを極小にする。極小にする。

磁区の寸法磁区の寸法

sI

ld

31004.3

dIxdxd

ndn

dIs

d

n

sm

24

012

02

2

104.5sin1

d

lw

Page 40: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

180180゜磁壁と゜磁壁と 9090゜磁壁゜磁壁•180゚磁壁:その両側で磁化の向きが180゚変化している磁壁•90゚磁壁:その両側で磁化の向きが90゚変化している磁壁

Page 41: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 42: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 43: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

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磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 45: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 46: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 47: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 48: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 49: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 50: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 51: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 52: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 53: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁と磁壁移動磁壁と磁壁移動

Page 54: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

ブロッホ磁壁とネール磁壁ブロッホ磁壁とネール磁壁

薄膜では、ブロッホ磁壁は磁極が生じるのでネール磁壁が一般的

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磁化回転と保磁力磁化回転と保磁力非可逆回転磁化過程非可逆回転磁化過程EE=-=-KKuu cos2( cos2(00)+)+IIssHH cos cos釣り合いの条件および釣り合いの条件および非可逆回転に移る条件非可逆回転に移る条件EE//==0; 0; 22EE//22=0=0

これらより、圧力これらより、圧力 pp==IIssHHc/c/KKuu としてとしてsin2(sin2(00)=)=pp sin sin ; cos2(; cos2(00)=)=pp cos cos sin2sin200=(1/=(1/pp22)((4-)((4-pp22)/3))/3)3/23/2

00=0, =0, /2/2 のときのとき pp=2→=2→HHc=2c=2KKuu//IIss

00==/4/4 のときのとき p=1→p=1→HHc=c=KKuu//IIss

 

Is

H 0

Page 56: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁壁移動と保磁力磁壁移動と保磁力//ss==pp=2=2IIssHHcoscos 復元力が圧力と釣り合う復元力が圧力と釣り合うHHc=(c=(//ss))maxmax/2/2IIsscos cos 磁壁のエネルギー磁壁のエネルギー =2=2{{AA((KK11-(3/2)-(3/2)00cos2cos2((s/ls/l)})}1/21/2

/ /s=s=2200//ll

HHc= c= 00//IIsscos cos 普通の磁性体では普通の磁性体では =10=10-5-5, Is=1-2, Is=1-2[T], cos [T], cos ~~ 1, 1, 0=100=1099[N/m[N/m22]] を代入を代入してして Hc=3Hc=3101044[A/m][A/m]

Page 57: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

実験コーナー実験コーナー磁区観察法磁区観察法粉末図形法粉末図形法 (Bitter pattern)(Bitter pattern) 、電界研磨法、電界研磨法磁気カー効果顕微鏡磁気カー効果顕微鏡近接場磁気光学顕微鏡近接場磁気光学顕微鏡ローレンツ電子顕微鏡ローレンツ電子顕微鏡スピン偏極電子顕微鏡スピン偏極電子顕微鏡干渉電子顕微鏡干渉電子顕微鏡 (( 電子線ホログラフィー電子線ホログラフィー ))XX 線磁気光学顕微鏡線磁気光学顕微鏡磁気力顕微鏡(磁気力顕微鏡( MFM)MFM)スピン偏極走査型トンネル顕微鏡スピン偏極走査型トンネル顕微鏡 (SP-STM)(SP-STM)

Page 58: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

ビッターパターンビッターパターン

Page 59: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁気カー効果顕微鏡磁気カー効果顕微鏡

Page 60: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

ファラデー効果を用いたファラデー効果を用いた磁区のイメージング磁区のイメージング

検光子

偏光子

対物レンズ試料

穴あき電磁石

光源

CCDカメラ

ファラデー効果で観察した(Gd,Bi)3(Fe,Ga)5O12 の磁区NHK 技研 玉城氏のご厚意による

Page 61: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

CCDCCDカメラによる磁気光学イメージカメラによる磁気光学イメージングング

Page 62: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

磁性ガーネットの磁区の変化磁性ガーネットの磁区の変化

趙 (東工大 ) 、佐藤 (農工大 )

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コントロールユニット

(SPI 3700)

アルゴン

レーザ

信号発生器ロックインアンプ

コンピュータ

XYZ

スキャナ

バイモルフ

フィルタ

試料

フォトダイオード

光電子増倍管

半導体レーザ

光ファイバプローブ

検光子

補償子

PEM

ダイクロイックミラー

偏光子

プローブ先端部

近接場磁気光学顕微鏡近接場磁気光学顕微鏡

Page 64: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

近接場磁気光学顕微鏡による近接場磁気光学顕微鏡による Pt/Co MOPt/Co MO ディスクに記録されたディスクに記録された

0.20.2m m マークのトポ像と磁気光学像マークのトポ像と磁気光学像

磁気光学 像トポ像佐藤による

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電子線ホログラフ電子線ホログラフィィ

丹司(名大)によるCo単磁区粒子

N S

バリウムフェライト単磁区粒子

連鎖状 Fe微粒子

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XX 線磁気光学顕微鏡線磁気光学顕微鏡

 Fig. 1 Experimental determination of spin and

orbital moments in thin Fe-layers via the X-MCD effect6).

 Fig. 3 M-TXM image of a layered

Gd/Fe system prepared onto 325nm Polyimid substrate9,10)

 Fig. 4 Same multilayered Gd/Fe

system as Figure 3 prepared on 30nm Si3N4 membranes

Fischer(独 ) による

Page 67: 大学院物理システム工学専攻 2004 年度 固体材料物性第 4 回

Domain image of MO media observed Domain image of MO media observed using XMCD of Fe Lusing XMCD of Fe L33-edge-edge

SiN(70nm)/ TbFeCo(50nm)/SiN(20nm)/Al(30nm)/SiN(20nm) MO 媒体

  N. Takagi, H. Ishida, A. Yamaguchi, H. Noguchi, M. Kume, S. Tsunashima, M. Kumazawa, and P. Fischer: Digest Joint MORIS/APDSC2000, Nagoya, October 30-November 2, 2000, WeG-05, p.114.

綱島 (名大 ) らによる

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第5回第5回 (5/7)(5/7) の予告の予告光と磁気の現象論光と磁気の現象論磁気光学効果における電磁気学磁気光学効果における電磁気学 偏光とは偏光とは 磁気光学効果とはなにか磁気光学効果とはなにか 光と磁気の相互関係光と磁気の相互関係

磁気光学効果と光磁気効果磁気光学効果と光磁気効果 電磁波の伝搬電磁波の伝搬 誘電率テンソル誘電率テンソルプリントはダウンロードしてお持ちください。プリントはダウンロードしてお持ちください。