研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

48
研究・企業・生き方について 株式会社Preferred Infrastructure 岡野原 大輔 [email protected] 情報科学若手の会2011 招待講演 2011/09/17 @ 熱海 今回の発表内容は個人の意見であり、 会社の意見ではありません

Upload: preferred-infrastructure-preferred-networks

Post on 22-May-2015

10.454 views

Category:

Documents


1 download

TRANSCRIPT

Page 1: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

研究・企業・生き方について

株式会社Preferred Infrastructure

岡野原 大輔

[email protected]

情報科学若手の会2011 招待講演2011/09/17 @ 熱海

今回の発表内容は個人の意見であり、会社の意見ではありません

Page 2: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

はじめに

招待講演の話を頂いた時、どういうテーマにすればいいか悩んだ

幅広いバックグラウンド、年齢、スキル、興味分野を持った人に対

してどういう話をすればいいのか?

それならば参加者が聞きたい質問を集めて、それを回答するような

形にしよう

みなさんから頂いた質問(26問)、全てに回答するようにします

一つのテーマに沿った話ではなく、Q&Aのような形になりました

どれか一つの話でも参考になっていただければ幸いです

途中の質問を受け付けます

全部の後だと忘れちゃうので、テーマ終了毎にも受け付けます

Page 3: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

三つのテーマに沿って話します

研究

専門分野系(自然言語処理、機械学習、アルゴリズム等)

企業

会社の話 (株式会社Preferred Infrastructure)

研究とビジネスの話

生き方

個人・研究者・博士課程として

Page 4: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

自己紹介

名前:岡野原 大輔

福島県立磐城高校⇒東京大学理科一類⇒東京大学情報科学科

⇒情報理工学系研究科コンピュータ科学修士、博士 2010年3月卒

株式会社プリファードインフラストラクチャー 2006年3月創立

特別研究員として、研究開発チームのリーダーをしています

仕事の内容などは後で詳しく

twitter @hillbig

HP: DO++ 1992〜2004(今はもうパスワードも分からない)

http://research.preferred.jp/work に最近の業績

Page 5: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

経歴

福島県いわき市出身(東日本・東北復興を忚援しています!!)

小学生 ニフティサーブのフォーラムに入り浸る

データ圧縮やCG、探査機シミュレーションを作って楽しむ

中学生〜高校生

インターネットを楽しみつつ、部活動(陸上・ラグビー)に熱中

大学

未踏に落ちるが未踏ユースに拾ってもらう。

データ圧縮⇒自然言語処理⇒機械学習⇒データ構造

最終的に未踏ユース1本、未踏2本

大学4年〜修士2年、バイオベンチャーのバイトで、遺伝子設計のシ

ステムなどを作る

Page 6: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

経歴(続)

修士二年の時、友人達と株式会社プリファードインフラストラク

チャーを創業

学業と仕事の二足の草鞋生活が2010年まで続く

昼は研究室、夕方以降は会社

午前営業、昼学校、夕方営業、夜会社、深夜ファミレスで論文書き

会社業務も研究活動も日に日に忙しくなっていく

最後の頃は卒業式を忘れていて、私服で参加

2010年4月からフルタイム

研究開発チームリーダーとして、お客様と共同研究をしたり、製品

開発チームと一緒に作ったり

仕事は何でもやりました

Page 7: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

テーマ1. 研究

Page 8: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.1 NLP(自然言語処理)とは?

自然言語(人が書いたり、話したりする言語)をコンピュータで処

理する分野.言語が絡んでいたら何でも良い

基礎から忚用・理論からアプリまで幅は非常に広い

単語分割 構文解析 意味解析 辞書構築

文書分類 自動要約 情報抽出 著者推定

機械翻訳 音声認識 情報検索 質問忚答

基礎

忚用

Page 9: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.2 NLPの面白さは?

実用的:世の中の殆どの情報・知識が自然言語で表されている

「昨日のラグビーW杯で日本はNZに80点差で敗れた」

世の中の○○%のデータが構造化されていない自然言語データ

⇒自然言語を処理できれば、世の中の殆どの情報・知識を処理できる

研究的:人は言語を扱えるのに、どう実現しているか分からない

人がどのように言語情報を処理しているのか未だ殆ど不明

特に母語の学習は、学習速度の速さ、ルールを与えず正例だけを与

えているのに学習できるということろが謎

人は言語を無意識で扱っている.違うのは分かる.でもなぜ違うの

か説明できない.謎解きのような楽しみ(自然科学?)

Page 10: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.3 NLPの現在について

統計的自然言語処理が主流

大量の自然言語データを元に、様々な知識やルールを自動で獲得

(自然言語の)専門的知識が無くても作れるようになってきた.

例:文書分類 昔はルールを使って書いていたが、今は分類済の正

解データ、もしくはルールの種を元に分類ルールを自動獲得可能

研究的には統計的機械翻訳が多くなっている

主流学会であるACL, EMNLPでは機械翻訳の論文が多くを占める

研究に必要なリソース・ツールが揃い、問題・課題も豊富

日常生活で不可欠になっているNLP技術も多い

情報検索・音声認識・かな漢字変換

例: 文書レコメンドがasahi.comでは1ヶ月5億PV動いている

NLP技術の中には実用化が可能なものがゴロゴロ眠っている

Page 11: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.4 統計的機械翻訳は、いつ実現するのか?

機械翻訳はNLPの最古かつ最大の課題の一つ

尐しずつ前進してきた

特定言語間・特定ドメインで成功

英語⇔スペイン語などは移民が多い地区では 多用されている

特定ドメイン:医療、特許、法務、マニュアル、ニュース

翻訳元文書、翻訳先文書に制約がある形なら精度も担保できる

今後の普及にはビジネス的に成功することも必須

基本的に精度は投資額・研究投資コストと比例している

昔:日本語,ロシア語<->英語、今:中国語,アラビア語 <-> 英語

ビジネスで成功し、研究開発費が出せるようになれば変わる

翻訳を手助けする情報抽出・翻訳補助・自動校正なども重要に

Page 12: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.5 自然言語処理は今度どのようになっていくか

統計的機械翻訳の研究はまだしばらく続く

課題・手法はまだたくさん出そう。研究的にはレッドオーシャン?

ヒトの言語処理の仕組みが解き明かされるか?

人がどうしているかは分からないままかもだが、言語処理の仕組み

は自動獲得できそう

新しい自然言語リソースとそれを利用した研究も続く

ヒトが活動する限り言語リソースの量、種類は増えていく

自然言語処理の実用化を本気で進める企業は増えていく

手法をユーザーの課題を解決する製品に。

ユーザーの課題をどのように解決できるのかを本気で考える必要が

ある(これは研究というよりはビジネス側の責任・仕事)

文書分類・自動要約・著者推定・評判分析・音声認識などたくさん

Page 13: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.6 自然言語処理の将来の技術は?勝手に考えてみた今後の肝となる技術 情報・知識の名寄せ

複数の情報源(辞書・コーパス)を組み合わせて新しい情報を作る

(固有名詞の属性付け)、Google Squareで合体できたら嬉しい

単語や文の意味は分からないが、それらをマッチさせたり、融合さ

せたりすることは機械的にできそう

ヒトは大量のデータをまとめて処理するのは苦手.機械が活躍可能

文解析、構文解析の復権

今までは構文解析は、正直役立っていなかった印象が近年のIBM

Watsonの話のように、全て真面目にやったらうまくいく

更に高速・高精度・ロバストな解析システムが求められる

ツール・リソースを整理・管理する仕組みが必要

各グループが独自に開発するのではなく、業界全体の協力が必要

Page 14: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.7 知的エージェントについて

IBM Watsonはクイズ(質問忚答)において、「ドメインを絞る」

「良質なデータをたくさん使う」「理解はできないが、一致度は測

れる」ことによりクイズ世界チャンピオンに勝てることを示した

同様に、ドメインを絞ったり、人の実現方法と違う形で知的行為を

実現することで、人以上のことはできる可能性は高い

ヒトの言語の理解、知識の理解は平衡した課題

これまでは情報増やす+データの網羅性が鍵

単純な手法でも、より多くの単語・知識をカバーすればうまくいく.

「量が質を変える」

より深い処理が必要ではるが、いつ実を結ぶかはまだ不明瞭.

Page 15: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.8 機械学習とは?

データを元にそこから知識やルールを獲得する手法・理論群

先程の自然言語処理は機械学習を利用している

覚えておくとよい大きな枠組み

教師有学習

入力データxと出力データyからなる訓練データ集合{(xi, yi)}を元に、

入力から出力への関数f(x)を学習する.分類、回帰など

教師無学習

入力データの集合{xi}から、背後にあるモデルを学習する、クラス

タリングなど

教師有はデータに目的が組み込まれているのに対し、教師無の場合

はモデルに目的が組み込まれている場合が多い

Page 16: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.9 機械学習は今後どのようになっていくか?

大規模データ解析は流行中

BigDataと呼ばれる1Tb〜1PB級の研究のほかに、殆どのユーザーが

出会うサイズの1MB〜1GB級の研究も進むだろう

ツールとデータは揃っていく

全く機械学習を知らないエンジニアがツールとデータを組み合わせ

てアプリケーションを作る時が来る

必要なデータを選択してアレンジしたり、データ作成・収集を専門

とするようなデータアキュレーターも流行るだろう

人の作業がシステム内部に介在するような研究も盛んに

ユーザーのフィードバックをどのように得るかが組み込まれる

各分野では特徴抽出の技術が更に進む

Page 17: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

ユーザーやアプリケーションが機械学習の結果をどのように扱って

いくかを考えないといけない

非決定的動作をする、巨大なブラックボックスの機械学習システム

天気予報が近い.中で何をやっているかは分からないが、結果が

「晴れのち曇り 降水確率30%」のようにでてくる

これまでのシステムは決定的、曖昧性が無いデータを扱ってきたが、

こうした機械学習の結果をどのように取り込めるだろう

ビジネス的には:開発・テスト・仕様書・運用はどう変えればいい

のだろうというのは気になる

Page 18: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.10 どういうデータがあれば、どういうことができるようになるか

正解さえあれば、入力から出力を何でも予測することはできる*1

遺伝子解析、金融、石油探査、人事評価、自動車走行

人をより深く分析することも可能 c.f. [linkedin KDD 2011]

性別・年齢・趣味・職業・年収・家族構成

知識を演繹することも可能ある程度可能

今後、人しかできないと思われている専門領域でも利用される

医療、法務、教育、コンサル、(政治?SFだが)

*1 入力と出力に関係があればという条件付き.

Page 19: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.11 データを作る方法はどのようなものが実現できるか

Amazon Mechanical Turks (クラウドソーシング)

依頼主が仕事を設定し、作業者達が入札し作業をする

玉石混淆のデータから質のよいデータを抽出する技術は急速に進む

ありとあらゆるものにセンサがつき名寄せされる

小売情報(POSデータ)、デバイス情報、ウェブページ上での行動

しかし、古い業種であるほど動きは遅くリスクは取りたがらない

これらには個人情報が無い場合や、カードなどの個人情報があって

も使えない場合が多い.倫理面、セキュリティ面のサポートが必要

データを専門に作り、販売する企業が出てきてもおかしくない

質のよいデータを大量に低コストで作れる会社があれば、それを利

用したい企業は多いはず (Windows Azure Dataなど)

Page 20: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.12 今のデータ処理のボトルネックはどこなのか.

データ変換コストは無視できないほど大きい

JSON -> 特徴ベクトルなど

スキーマ付のデータをparseする部分が処理時間の半分

単純な並列性がある場合が多いので、マシンを並べれば可能

(ちょっと違うが)開発コストが大きい

MapReduce、なんとかGraphなどフレームワーク・システムがたく

さん出てきているが、それらを使いこなせる人はごく一部

コードの自動生成、

構造付データ(JSONで良い)で並列に書き込み、読み込みができ

て、分散して保存されるものが欲しい

Page 21: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.13 これだけは知っとけアルゴリズムはあるか?

最近注目している方法でみなさんに役に立つかもしらない順番に

大規模データの近傍探索

knndecent, anchor graph hash, minhash, succinct NNG

ベイズ学習全般(基本的なツールとしてどこでも使われている)

オンライン学習、オンライン凸最適化、regret最小化、(今度

IBIS2011で招待講演をします)

簡潔データ構造(今ジャーナルで解説記事を書いています)

透過的データ圧縮(好きな場所から定数時間で復元可能)

Burrows Wheeler変換とその周辺の技術

最近のLZ parsing (LZEndなどと構築手法)、全文索引

Page 22: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

私からのメッセージ数学、統計などの基礎力が大事

手法やアルゴリズムはどんどん変わる.ずっと追い続けておくため

には基礎体力がなにより大事

学部時代に勉強しなくても、その後勉強すれば良い。必要に迫られ

て勉強した方がよい

その時、理解ができなくて身につかなかったとしても、後で同じ技

術に再度出会った時の理解は速い

ノンパラベイズは二度挫折したが、三度目で理解した

短期的な投資はジリ貧になる.長期的な投資は怠るな.

研究開発はマラソン.30年走り続けられる投資を

Page 23: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.14 研究について

他の人ができなくて(気づいていなくて)みんなに役立つものが良

い.みんなが知っていて流行っているものをやっても意味がない

レッドオーシャンよりブルーオーシャン

本に書いてあったら多くの人が知っていると思え

そこに書いてあることを改良する程度の研究はもうすでにやられて

いる.本書いた人達は遙か先を行っている

異分野からの技術導入をしない限り、正面から戦うのは難しい

研究としては終わっている可能性も高い

追いついて、抜かそうと思ったら数年は頑張れ

Page 24: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

勉強!勉強!勉強!

研究をするためにはまず既存の研究を知らなければいけない

新しいと思ったこと、いいなと思ったことはまずやられている

会社なら更に。

本や論文で書いてあるなら、まず読んで知っているのが必要条件.

本は、研究成果が濃縮されて体系化されており効率的に勉強できる

同じ分野、周辺分野の論文、成果も可能な限り調べる

調べることができる能力は最重要

ここまでやってはじめて次の一歩に出ることができる

勉強は継続しなければいけない.自分ができるところは全問題の一

部分だけであり、全てを理解することは一生ない.だから楽しい

自分は研究コミュニティの一部.巨人の肩に乗る.

自分の屌を超えていけ

Page 25: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

もっと妄想を!

妄想力はイマジネーションの原動力

5年後、10年後に世界がどうなっていて、その時の世界に必要な

技術を考えられているか?

妄想は現時点では「狂っている」と思えるぐらいがちょうど良い

それほど、これまでの世界は急激に変わってきた

それを達成するために今どの方向に向かえばいいかを考えれば良い

例:

データ総量は年60%増、10年後は今の100倍になる.その時、モバ

イルで1TB扱えるようになるが、その時に必要になる技術は?

音声認識、質問忚答は実用化に近づいた。10年後には、機械翻訳、

自動要約などの技術も何らかの形で実用化している.その時、産業

はどうなる?仕事、教育、娯楽、医療はどうなる?

Page 26: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

テーマ2. 企業

Page 27: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

話をする上での背景知識

株式会社プリファードインフラストラクチャー(PFI)は主に会社

向けに商売をしています(B2B)

Page 28: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.15 PFIにおけるNLPやデータ圧縮技術の適用先と、実際に適用した技術や手法

自然言語情報を扱っているお客さんは全部

メディア系

NHK, 朝日新聞、日経BP、商品検索サイトなど

業務系

社内文書は膨大な量があり、それらを整理する必要がある

マーケティング分析系

世の中でどういったものが話題になっているか

この商品、ニュース、人はどのように問われているか

研究開発業務(実はすごく多い)

殆どが非公開

どういう業種の人がどういう目的でやっているか全部秘密

Page 29: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.16 自然言語処理の利用現場について知りたい(1/3)

自然言語があるところならどこでも

検索エンジンとして

検索クエリ、テキストの正規化

クエリ拡張、補正、修正

マッチ文書のスコアの計算

単語境界、キーワード境界

今ブームになっているキーワードは何?

お客様は課題があるが、何をすればいいか分からない場合が殆ど

コンサルティングからが重要な仕事となる

お客様の仕事を把握し、それに合わせた最適な技術とソフトウェア

を組合せを提案する

自然言語処理のみならず広い範囲での知識と経験が必要

Page 30: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q. 16 自然言語処理の利用現場について知りたい(2/3)

系列ラベリング

固有表現抽出(人名、社名、イベント名、日付)

美味しそうな表現抽出

重要な段落を抽出する

文書分類

スパム分類

多くのサービス業者が、ユーザー投稿のコンテンツのチェックにた

くさんの人手とコストをかけている

キーワード抽出

形態素解析、Mecabと言ってればいい問題ではない!

Page 31: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q16. 自然言語処理の利用現場について知りたい(3/3)

社内文書を整理したい

PFIのような小さい会社でも、一日数十文書(議事録、提案書仕様

書、メール、契約、日報、など)は年間1万文書は作成されている

関連文書(論文とか)、お客様情報などを含めればもっと

何も探せない。誰に聞いたらいいかも分からない。

このお客様に製品のこの機能の利用事例を説明した資料を半年前

使った覚えがあるが、あれはどこに・・

文書分類、クラスタリング、優先度検索、情報抽出、何でも使える

はず。真に使える社内検索エンジンはまだ存在しない

注:「教師付分類を使えばよい」ではなく、その教師付データの作

り方、問題の定義、運用なども非常に重要なファクター

Page 32: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.17 今後PFIをどういう会社にしていきたいか?

PFIのテーマ:最適な技術を最短で世の中に届けたい

(短期的には)IT業務の形を変えていきたい

エンジニア自身が自立して自分で考えて仕事できるようにしたい

受託ではなく、我々も問題を一緒に考えて、お客様の想像を超える

ようなものを作ってそれを社会で共有したい

世の中を変えるようなソフトウェアを開発できる態勢を作りたい

自分で判断できる優秀なエンジニアを集め、それぞれが責任をもっ

て能動的に業務できるような組織づくりをしたい

数十年後には世界を変えるような新しい産業を作りたい

研究とビジネス(世の中)を近づけたい

そのための研究開発・開発・組織づくりをしたい

Page 33: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.18 PFIスタートアップ時のエピソード

エピソード1 : 金がない

オフィスは借りない.給料は製品が売れるまでは出さない

そうはいっても何をするにもお金はかかる.

⇒投資をうければよいか? これについては後ほど

エピソード2:売れない

誰に何をどうやって売ればいいか分からない。

価格が分からない.初見殺し.

⇒売るには、モノ以外にも人のつながりは非常に重要.

エピソード3:何も分からない

仕様書、発注書、納品書、検収書って何? 契約って何をするの?

法務・税務・営業は外出しできる.でも専門家に丸投げでよいの?

⇒自分で勉強したり、中途の人に教えてもらったり

Page 34: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.19 ベンチャー創立において大事なこと

何をしたいのかを本当によく考える

お客様の要望を満たすことだけが組織の唯一の意義(ドラッカー)

世の中を変えたい、問題を解決したいという強い動機付けが必要.

目標は常に再確認する.現状に照らし合わせてみる

既存組織に入ってもできることは多い.

本当に起業しか道はないのかをよく考える.

金儲けしたい、目立ちたい、なら他の道をお薦めする

起業はこれらの観点からいうと割に合わない。

良い仲間を集める

一人では会社はできない.優秀な人を集める

優秀な人を見分ける能力は優秀な人にしかないことが多い

目標を達成するために、手段はあらゆる方法を試す.続ける.

Page 35: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.20 ベンチャー創立において大事なこと(続)してはいけないこと

投資を簡単に受けてはいけない

株を渡すことは会社の血を渡すこと.

会社の目標を共有できる場合のみ、投資を受けるべき.

投資家は投資分を早く回収したいと考える人も多い(上場、売却)

それが自分達の目標達成と一致するのかを考える

人を簡単に雇ってはいけない

雇うのは簡単だが、辞めてもらうのは非常に大変

会社に合わない人が入った時、会社も人も両方不幸になる

仕事を簡単に受けてはいけない

自分達の会社とあっているか、どうかを考える。

契約は重い.途中でやめることはできない

仕事が会社の形を決める。その仕事をどうしたいのか?

Page 36: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.21 研究とその忚用を社会に還元する際の難しさ(1/3)

研究成果は、その研究を全く知らない他分野に売れることが多い

お米は、農家に売れるわけではなく、お米の作り方を全く知らない

人に売れる.トラクターや肥料の説明をしてもダメ.

自分の研究を理解してもらうには長い時間が必要

知ってもらうのは数年単位.自分の分野以外の人たちが話すように

なったら売れ始める(本屋に並ぶなど)

ようやく、コンサルティングとかが必要なのだなぁと分かりました。

Page 37: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.21 研究とその忚用を社会に還元する際の難しさ(2/3)

自分の研究をユーザーが理解してくれないのと同時に、自分がユー

ザーのことを知らないことが多い

例:自然言語処理はマーケティングをしている人が必要なはず

⇒マーケティングの人は、どの分野にどれくらいいて、普段どうい

うツールを使って解析、何を課題に思っているのだろう?実際にそ

の分野の人達に話を聞いたり、本を読んだりするのが重要

その分野を真剣に勉強しなければいけない。

Page 38: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.21 研究とその忚用を社会に還元する際の難しさ(3/3)

製品を考える時は、「製品至上主義」で考える必要がある

その時は研究とは全く別の軸で頭を切り替える必要

中途半端は一番良くない

研究の時は、新規性があるか、技術的な面白さはあるか、真理を捉

えているかをきちんと考える.

製品を作る・売る時は、お客様がどのように価値を見出してくれる

かを最優先に考える。どの技術を使うかはその後考える

枯れた技術の組み合わせでも、他の分野の技術の忚用でも良い

新しい技術の打率は本当に低い.しかし、一つ当たれば世の中が変

わるほどのインパクトがある。数打たなければいけない

自分では打てないかもしれない.ただそれが研究コミュニティ全体

で1本打てれば良いと考えるのも必要

Page 39: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.22 国内での活動状況と、海外での活動状況

これまでは国内のお客さんが多かった

商品を育てる時間が必要で、コミュニケーションが密にとれる国内

の方が優先度は高かった

オンプレミス型販売(社内サーバーにインストールして使ってもら

う)が多く、近い方がよい

今後は海外も考えていきたい

お客様がサービス展開で海外展開し、いつのまにか海外で使われて

いることも多い

海外に進出する障壁は日に日に下がっているので挑戦したい

Page 40: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

テーマ3. 生き方

Page 41: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.23 学生ではなくなってからの心境や仕事の変化について詳しく

責任感の変化

今までは何かあっても自分だけの範囲でなんとかなった

今までは失敗しても成功しても自分取り

自分だけみていてもなんとかなった.

自分の影響範囲が一気に広がっていく

自分の失敗が他人に迷惑を影響を与える可能性

– 例:自分のバグのせいで会社の同僚が対忚のため休日出勤をし、

大事な予定をキャンセルしなければならなくなった.

他の人を信用し、他の人から信用されないといけない

– 自分だけで責任を負うと潰れてしまう.お互いいざという時は助

けあってくれるという信頼関係を構築するのが大事

自分だけが成功しても意味は無い。チーム、会社がどうしたら目標

を達成するかを考える。

Page 42: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

とにかく時間が無い

全てのコストが急激に増加していく(ジェットコースター状態)

通勤時間の17分が重要なくらい。

例えば日中にtwitterを見たり、書いたりする暇は無くなった.

書いても「○○の進捗はいかがですか」とメールが来る

自分に集まってくる情報を周りに流し続ける必要

自分がボトルネックになってしまうことが多くなってしまう

情報流入量は自分がさばける量をあっという間に越える

他人をよく見るようになった

他の人が何を考え、どのように行動しているかを見るように

人は考えている以上に感情的に動くことに今更気づく

仕事の種類は増えた

昔は興味が無かった分野も今は興味を持って勉強してます

実際にやってみないと面白さは分からない

Page 43: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.24 研究を行う上でのモチベーション維持、それを害する障害をどう対処したか?

モチベーションが上がるのは「感動」した時(のみ)

感動できる人、論文、仕事、研究に出会えた時.後は勝手に進む

研究室内、同じ研究分野内、国内でとどまらず、どんどん新しい分

野での出会いをするべき

本気になって集中して考える時間を確保する

研究室でも家でも、通学路(通勤路)でもどこでも良い

他の人のコメントは真摯に受け止めた上で自分で解釈する

厳しい意見や、自分とは違うと思う意見を受けるとモチベーション

が下がることも多いが、本当にやりたいことなら下がらないはず

一番良くないのは、誰にもコメントもらえないようになること

Page 44: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.25 ネルー値を1以上にしながら仕事と研究をこなす方法は?

定義:nネルー:n日以上寝てしまっても締切り等に影響がない状態

締切り直前に作業をするといいことはない

効率が悪い。間に合わない。精神的に良くない。眠い。辛い。

ノウハウ的な話

TODOを重要度と緊急度をそれぞれ7段階で表し、優先度をこれら

をかけたもの*2(最大98なので、大体100)とする

例:明日のプレゼンを作る:優先度6、緊急度7 ⇒ 84

優先度が高いものから先に片付ける

重要度も緊急度も低いものは、やらなくて消える可能性も高い

Page 45: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

ネルー値(続)

自分の中で強制的に前締切を設定する

例:誰かに論文をみてもらえるように約束する

例:社内レビューの時間を決める

作業時間を見積もって、それを当てはめてみる

が、基本うまくいかない。自分の場合大体3〜10倍だった

反復的な見直しは必要

アジャイル開発の方法論は、作業方法でも参考になる

本気になるとやる気がでて楽しい

やり始めると、やる気がでて本気になる(脳の本で読んだ)。

やる気が出てからやり始めるのではなく、まずやり始める

結構正しいことが多い。まず始める。

Page 46: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

ネルー値 本音

残念ながら、今も1ネルー状態です

Page 47: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

Q.26 日本の大学や企業、社会に対して思うところ、問題意識について

科学全般について

分野毎の蛸壺化が進んでいる

“隣の研究室が何をやっているかを、学生だけじゃなく先生も説明

できないし、興味がない”

共同研究を増やせないか?(サバティカルなどの制度面の改善)

複数の学位をとっている人は増えないか

組織レベルの話でなく、個人レベルでも混ぜないとまずい

情報量が増えるにつれ情報に依存しすぎているので、自分自身で

もっと吟味して欲しい

批判的に考える

信念を持つ

Page 48: 研究・企業・生き方について 情報科学若手の会2011

技術者自身が、「技術が生活を変えられる」ということを信じてい

ないことが多い

私も一時期そうだった

技術の差異なんて余り関係なくて、他の要因が重要なんでしょと

思ってしまう.政治、コスト、運など

実際はそうではない.技術は人の生活を本当に変えられる

車が、電話が、インターネットが無かったらどうだった?

「人の生活はもう変わらない」と百年前から言われているが変わっ

ている.(1980頃のビデオを見てみると生活は全然違う)

自分達の一歩は小さくとも、それらが合わされば大きく変わってい

くことができる