合意形成手段としての議事録 2013 05-15

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合意形成手段としての議事録 株式会社 Aiming 最高技術責任者 / Chief Engineering Officer 小林 俊仁 @toshi_k 2013年5月15日 社内勉強会

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合意形成手段としての議事録

株式会社 Aiming最高技術責任者 / Chief Engineering Officer

小林 俊仁 @toshi_k2013年5月15日 社内勉強会

• 組織の一体性は所有権や命令ではなく情報によってもたらされる

• 意思決定が意思決定たるためには、次の4つのことを決めなければならない。 1) 実行の責任者 2) 日程 3) 影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人 4) 影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人組織で行われている意思決定のうちあまりに多くが、これらのことを決めていなかったために失敗している。

P. F. ドラッカー 「経営者の条件」 序章・成果を上げるには

先達の言葉

基本原則

• 会議の成果とは、「結論」と「ToDo」に関する合意である。

• これらが無かった会議は成果が無かったと言える。

会議の成果とは?

我々の問題とは

よくある問題(会議中)• 会議の目的や制限時間が明確になっていない• 議論の最中に、話のフォーカスが明確になっていない• メモを取っている人がおらず、議事録が共有されない• 参加者が自分用のメモを取っていて、議論への集中を欠いている

• 何が結論だったのか明確でない• 宿題として誰が何をいつまでにやるのかが明確でない

よくある問題(会議後)

• 議事録が共有されない、もしくは共有されるまでに時間がかかる

• 議論と議事録の内容に齟齬がある• 修正が不可能、もしくは修正コストが高い手段で共有されている

• ToDo が実行されない

理想状態

• 会議の目的が明確である(達成未達が判断可能である)• 話題のフォーカスが明確になりながら議論が進む• 齟齬のない議事録が即座に共有される• 齟齬が見つかっても、誰でも即座に修正ができる• 結論と ToDo が明確になっている

ワークショップ (1)

隣の人とペアになって、自己紹介をした後、以下について議論して下さい。 挙げたことは、後で思い出せる程度にメモしておいて下さい。

1. 今までの経験から、イケてなかった会議や話し合いを挙げてください

2. 会議の成果が「結論と ToDo に関する合意」であるならば、その会議はどういう点を欠いていましたか?

3. その合意を妨げる原因となったことは何でしょうか?

合意形成手段としての議事録とは

議事録と GL の役割

• 議事録は、合意形成のための強力なツールである

• 共同で議事録を完成させることを「会議」と定義する

• この概念についてより深く知りたい人は「議事録ドリブン」「エクストリーム・ミーティング (eXtreme Meeting)」等で検索を。http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0610/24/news008.htmlhttp://www.itmedia.co.jp/im/articles/0701/19/news110.html

• 議事ロガー (GL) は、合意形成をリードする人である

• メモを取る人、ではない。

議事録に必要な機能• 議事録の共有は、以下の条件を満たす何かを使うのがお勧め

1. 共有が超簡単で(例: URL を押せばすぐに見れる/編集できる)

2. 全員がいつでも簡単に更新できて

3. 最新であることが保障されており (できれば編集履歴が残り)

4. 後から検索ができる

• Wiki や Google Docs → 満たしているNAS に置かれた doc ファイル → 一部しか満たしていないメールでテキストを送付 → 全然満たしていない (でも共有されないよりはマシ)

ワークショップ (2)• あなたが普段行なっている議事録共有の方法を思い浮かべてください

• その方法が満たしている項目にチェックを入れてください

1. 共有が超簡単で(例: URL を押せばすぐに見れる/編集できる)

2. 全員がいつでも簡単に更新できて

3. 最新であることが保障されており (できれば編集履歴が残り)

4. 後から検索ができる

• チェックがついていない項目について、それによりどういう影響があるかを考えてください

会議のパターン

会議の前• 事前に以下を書いた議事録のページを作り、共有しておく。 議事録が半分完成している状態を作っておく。

• 会議のゴール(何が達成されたら終了か)  判断可能: 「~に関する課題リストを完成させる」  不可能: 「~の課題に関して議論する」

• 日時、制限時間、場所、参加者

• トピック

• 会議参加者は、議題や事前資料があれば追記しておく

• 定例会議の議事録は、どこか1箇所に全てが蓄積されている状態を作る

会議のはじめ

• 議事録を取る人を決める。その人を議事ロガー (GL) と呼ぶ。

• その人のマシンをモニターにつなぎ、「議事録の共同注視」を行いながら会議を進める

• モニターが複数枚必要な場合(デモをしながら議事録を取る等)は、可能ならモニターを2枚用意しておく。

• 会議のゴールと、制限時間についての共通認識を作る

議事録の共同注視

議事録に対する参加者の姿勢

• 会議終了時に、議事録が自然と完成していることを目指す。

• 会議の成果は「結論」と「ToDo」に関する合意である。 これを作れているか、参加者全員が意識する。

• 議論と議事録の内容に齟齬や漏れがある場合はその場で確認する。

• GL は議事録を取りながら議論に参加しているので置いていかれやすい。 なので他の参加者がサポートする。

• GL は、分からないことがあればその場で質問する。

合意形成に有効なこと

• 「全部出し切った?」とか聞く

• 名指しで聞く

• 分からないことを分からないと言う

• 分かっていない人を糾弾しない

• 1人が理解していないことは他にも理解していない人がいる可能性が高い。 従って、分からないこと表明した人はむしろ、参加者の合意形成に貢献している。

議事録の内容

• 議事録を wiki で共有する場合、 wiki format で議事録を取り、終了と同時に保存してしまうと良い。 (会議終了後、議事録共有までの時間を可能な限り 0 にする)

• ホワイトボード等に図を描いた場合は、それをスマートフォン等で写真に撮り、議事録に貼り付ける

• 行頭に 「結論:」「ToDo:」 などの文字を付け、 Ctrl-F で検索できるようにする

ToDo の書き方• ToDo 行は、その行だけ別の場所にコピペされたりすることも多い。 なのでなるべく1行で内容が分かるように書くと良い。

• その ToDo 行は、誰が何をいつまでにやるかは明確か? 終了条件は明確か? 行動を喚起するか? を意識すると良い。

• 動詞で終わるように書いた方が、終了条件が明確になり、行動が喚起されやすい。 「開発環境の構築」→「開発が始められるように環境を構築する」など。

• 会議後も議事録中の ToDo リストで簡易的な進捗管理をしたい場合、行頭に [] という記号を付け、以下のような凡例で進捗を共有するのがお勧め 未着手 : []、 進行中 : [>]、  完了 : [o]

ToDo の扱い

• ToDo はチームのものである。

• 「チームが対処すべきこと全て」と、誰が何をやっているかを見える化することは、メンバー同士がサポート可能な状況を作るために不可欠である。 逆に言えばそれが明らかになっていないチームは、サポート不可能な状況を作りだしてしまっていると言える。

• チームのタスク管理ツールがある場合はそれに登録しておくと良い。

• 定例会議の場合、前回の ToDo は次回の議事録に事前に貼ると良い。

会議のリズム• 会議の最後に、結論と ToDo を確認する。

• 会議のゴールを達成したら、直ちに閉会する。

• ゴールを達成できないまま制限時間を使いきってしまった場合、次の会議を設定するなど対応を決めて ToDo を出し、閉会する。

• 会議後、グループチャットの窓等に議事録へのリンクと ToDo のリストを貼る。

• 違う形での再確認を提示し、行動を喚起する。

• 良いリズムを生成できる

理想状態 (再掲)

• 会議の目的が明確である(達成未達が判断可能である)• 話題のフォーカスが明確になりながら議論が進む• 齟齬のない議事録が即座に共有される• 齟齬が見つかっても、誰でも即座に修正ができる• 結論と ToDo が明確になっている

ワークショップ (3)

• ワークショップ (1) で挙げた問題点について、改善案を書きだして下さい。

宿題

• ワークショップ (3) で書きだした改善案を、あなたが参加する会議の場で実際に提案してください。

• 問題意識の共有ができていないと感じる場合は、会議運用に関する振り返り(KPT 等)をやってみてください。

• このスライドに立ち戻りたい場合は以下を参照してください。http://www.slideshare.net/toshi_k/presentations

• これによりあなたが少しでも合意形成を促進できたなら、あなたは組織の一体性の向上に貢献したと言えます。