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国際開発金融機関(MDBs:Multilateral Development Banks)は途上国の貧困削減や持続的な経済・社会的発展を、金融支援や技術支援、知的貢献を通じて総合的に支援する国際機関の総称です。

MDBs と言えば、一般的に全世界を支援対象とする世界銀行と各所轄地域を支援する 4つの地域開発金融機関を指します。各MDBには所轄地域の国に限らず、借入国である途上国とドナー(資金の提供者)である先進国の両方が幅広く加盟しています。

MDBs は、途上国の発展状況に応じ、市場金利に基づく(非譲許的)貸付から無償資金供与(グラント)まで様々な形態の資金を提供するとともに、途上国が直面する多様な開発課題に対する技術支援、知見の提供といった面からも途上国の発展を後押ししています。

MDBs を通じた途上国支援は、その専門性、中立性、広範なネットワークといったMDBs の長所を活用することにより、二国間援助を補完する国際協力の有効な手段として極めて重要な役割を果たしています。

日本はMDBs への出資を通じ、主要な株主として業務に参画するとともに、各MDBに設けた日本信託基金を通じた支援など、途上国の開発に貢献しています。

本パンフレットでは、MDBs の沿革や現在の業務、日本とMDBs の協力事例、そして実際にMDBs で働く日本人職員の声をご紹介します。皆様にMDBs 自体やMDBs を通じた日本の開発協力政策、MDBs で働くことに興味を持っていただければ幸いです。

2016 年 12 月

はじめに

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Page 3: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

01

02 MDBs と日本03 最近の協力事例04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

05 MDBs の概要と活動06 MDBs の域内加盟国分布図08 World Bank Group 世界銀行グループ12 Asian Development Bank

アジア開発銀行14 Inter-American Development Bank 米州開発銀行16 African Development Bank アフリカ開発銀行18 European bank for Reconstruction and Development 欧州復興開発銀行20  MDBs 基礎情報一覧表

21 MDBs で活躍する日本人職員22 MDBs で働く日本人職員の声24 YPP、JPO 採用者からのメッセージ26 MDBs 人事担当者からのメッセージ28 MDBs 採用関連情報一覧

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Page 4: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

02

MDBs と日本

日本はMDBs が有する途上国支援の長所を活かしつつ、責任ある国際社会の一員としてMDBs の活動に積極的に貢献しています。

①主要株主としての貢献日本はMDBs の主要株主として、MDBs が行う融資等の業務や組織運営等について積極的に参画し、これらMDBsの施策に日本の政府開発援助(ODA)政策、開発の理念を適切に反映させています。

②日本のODAとの協調・連携MDBs は豊富な経験や最先端の専門的知識を持った人材を数多く有するとともに、広範な情報網を活用し現地の支援ニーズを的確に把握することで効果的な援助を行える長所を有し、最近ではドナー協調が進むなか、政策対話・援助調整の役割も担っています。 日本は国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)や国際協力銀行(JBIC:Japan Bank for International Cooperation)がMDBsとの協調・連携を進め、MDBsの長所を日本の開発援助に活用することで、支援の効果を上げることが期待できます。

③信託基金を通じた貢献MDBs は、加盟国からの出資金を元手に、途上国政府が実施するインフラプロジェクト等に比較的大規模な融資を行う一方、加盟国や民間のドナーからの任意の資金貢献(拠出金)により、比較的小規模な技術支援や無償資金協力(グラント)等を行い、融資による支援を補完しています。日本も、世界銀行をはじめとする各MDBに設けた日本信託基金への資金拠出を通じ、MDBs 本体の融資にはなじまない小規模の貧困削減プロジェクトや、途上国政府や NGOなどの能力構築などを支援しています。

④知的支援日本の国際貢献のあり方として、途上国への知的協力等の一層の貢献が求められています。こうした要望に応えるべく、日本はMDBs による研究活動の支援を通じて、開発に対する日本・アジアの経験や考え方を世界に発信しています。例えば世界銀行が行う開発分野の学術研究において、世銀の担当部局と日本の研究者との連携を通じて日本の知見をインプットしており、そうした成果は世界開発報告 (World Development Report) として世界中で

共有されています。この他アジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)においては、日本からの支援を受けて東京に研究・研修施設であるアジア開発銀行研究所(ADBI)を設立しました。ADBI では研修プログラムの実施によって、ADB が有する開発の知識と経験を途上国に広めており、途上国の開発事業に携わる機関や組織の運営能力の向上に寄与しています。

⑤人的貢献日本人職員はMDBs の様々な分野で活動しています。例えば、世界銀行グループの、多数国間投資保証機関(MIGA)の長官として本田桂子氏、地球環境ファシリティ(GEF)の CEO として石井菜穂子氏、また、ADB については、その創設以来、日本人が総裁を務めており、現在は中尾武彦氏が総裁を務めています。

石井菜穂子氏本田桂子氏 中尾武彦氏

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03

防災分野における協力

2014 年 2 月、日本政府は世界銀行とともに途上国の防災への取組みを後押しする共同プログラムを開始し、同プログラムの中核を担う機関として世界銀行東京防災ハブを設立しました。東京防災ハブを通じて、日本との関係が密接なアジア諸国を中心に、日本の地震、津波、洪水対策等に関する知見・技術(例:ハザードマップの作成、早期警報システムの構築等)を活用した技術支援を実施するとともに、セミナーや国際会議等を開催することで日本の経験を途上国へ広く普及・共有しています。

国際保健分野における協力

2014 年のエボラ出血熱流行の教訓にも鑑み、大規模な公衆衛生危機に備えるためには、緊急時の危機対応の強化と危機予防・備えにも資する平時からのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進とを組み合わせた包括的な保健システムの強化が重要となります。世界銀行は、パンデミック発生時に保険メカニズムを活用しながら、迅速かつ効率的に資金を動員するためのイニシアティブであるパンデミック緊急ファシリティ(PEF)の設立を発表しました。日本は PEF に対する資金的貢献として、3年間で 5千万ドルの拠出を表明しています。

TICADVI でアフリカ開発銀行との共同支援を発表

2016 年 8 月、初のアフリカ開催となる第 6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において、日本政府とアフリカ開発銀行(AfDB)はアフリカの成長加速と貧困削減を目的として、今後 3年間で 30 億ドルの資金協力を行うことを共同の目標とすることを発表しました。この資金協力は、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA: Enhanced Private Sector Assistance for Africa)の第 3フェーズ(EPSA3)として実施されます。これによりアフリカにおいて民間セクター主導の経済成長を加速させ、貧困削減を進めるための資金が大幅に拡大されることになります。今回表明された EPSA3 は、運輸、エネルギー等の経済的インフラ及び保健、教育、栄養といった社会的インフラを重点分野としています。日本は JICA を通じた 3年で 15 億ドルを目標とした資金協力に加え、アフリカ諸国が二酸化炭素排出量を最少とする環境低負荷型の石炭利用技術であるクリーン・コール・テクノロジーにアクセスできるようにするため、3億ドルの特別枠を設け、AfDB との協調融資を行います。

最近の協力事例

麻生財務大臣とキム世界銀行総裁(PEF 署名式にて) 左から大塚財務副大臣、アデシナ AfDB 総裁、JICA 北岡理事長(TICAD VI にて)(写真提供:AfDB)

EPSA については、アフリカ開発銀行のページ(P17)もご覧ください。

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04

「質の高いインフラ投資」への取組み

新興国の経済発展等を背景とした世界の膨大なインフラ需要に対応することが、経済成長や人々の生活の

改善のために非常に重要になっている中、持続的かつ、成長の恩恵が社会の隅々まで行き渡るような包摂的

な成長を達成するためには、「量」だけでなく「質」にも着目した、使いやすく、長持ちし、そして、環境

に優しく災害の備えにもなるようなインフラ投資が必要となっています。

日本は、こうしたライフサイクルコスト、安全性、自然災害に対する強靭性、社会環境基準、ノウハウの

移転等に配慮した「質の高いインフラ投資」を推進するため、2015 年 5 月、安倍総理より質の高いインフ

ラパートナーシップを公表し、続けて同 11 月、同パートナーシップの更なる具体策を発表しました。こう

した取組みを通じて、従来以上の民間資金・ノウハウを動員し、各国・国際機関と協働しつつ、質・量とも

に十分なインフラ投資の実現を目指しています。

また各MDB においても、価格に見合った価値(Value for Money)や質の観点を考慮した調達制度が導

入、または導入が検討されており、日本としても各MDBに設けている日本信託基金を通じ、官民パートナー

シップ(PPP:Public-Private-Partnership)等の案件組成を促進するなど、「質の高いインフラ投資」の推進

にMDBs と連携して取組んでいます。

質の高いインフラ投資については、下記の財務省ホームページもご参照ください。http://www.mof.go.jp/international_policy/economic_assistance/pqi/index.html

質の高いインフラの事例(写真提供:JICA 等)

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05

次ページ以降では、各MDB の沿革や業務、直近の課題等についてご紹介いたします。また、日本と各MDBとの関わりの歴史や、各MDBが実際に行っているプロジェクト等も取り上げ、それぞれのMDBの特徴について理解を深めていただければ幸いです。

MDBs の概要と活動

06 MDBs の域内加盟国分布図08 World Bank Group 世界銀行グループ12 Asian Development Bank

アジア開発銀行14 Inter-American Development Bank 米州開発銀行16 African Development Bank アフリカ開発銀行18 European Bank for Reconstruction and Development 欧州復興開発銀行20  MDBs 基礎情報一覧表

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06

MDBs の域内加盟国分布図

African Development Bank

アフリカ開発銀行(アビジャン) → 16ページ

Asian Development Bank

アジア開発銀行(マニラ) → 12ページ

European Bank for Reconstruction and Development

欧州復興開発銀行(ロンドン) → 18ページ

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07

World Bank Group

世界銀行(ワシントンDC) → 08 ページ

Inter-American Development Bank

米州開発銀行(ワシントンDC) → 14 ページ

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08

世界銀行グループ(World Bank Group)約 190 カ国が加盟する “ワールド・バンク ”。日本は第 2位の出資国。

世界銀行グループはその名が示す通り世界中の地域から様々な国々が加盟し、 これらの地域の開発途上国に対し幅広い援助を行っていることから、まさに “世界の銀行 ”であるといえます。世界銀行グループは、途上国の異なる発展段階や多様な資金需要に応じるため、 ・ 国際復興開発銀行(IBRD:International Bank for Reconstruction and Development)、 ・ 国際開発協会(IDA:International Development Association)、 ・ 国際金融公社(IFC:International Financial Corporation)、 ・ 多数国間投資保証機関(MIGA:Multilateral Investment Guarantee Agency)等の目的の異なる複数の機関により構成されています。

■ 沿革世界銀行の歴史は、1944 年 7 月に開催されたブレトン・ウッズ(米国ニューハンプシャー州)会議に遡ります。この会議では第二次世界大戦後の世界経済の安定と発展について協議が行なわれ、国際通貨システムの安定を目的とする国際通貨基金(IMF)と戦争で疲弊した諸国の経済復興を目的とする IBRDの設立が合意されました(2つの機関を総称して、ブレトン・ウッズ機関と呼びます)。さらに 1956 年 7 月には、開発途上国で活動する民間企業に対する融資・出資を行う IFCが、1960 年には、より譲許性の高い資金を提供し開発途上国の経済発展を促進する観点から IDAが設立されました。また 1988 年 4 月に、開発途上国向け民間直接投資に係る非商業的危険(戦争・内乱、収用等)に対する保険・保証を行うMIGAが設立され、以後上記 3機関と合わせ、世界銀行グループとして開発援助の分野で一貫して主導的な役割を果たしています。

■ 主要な業務IBRDと IDAは、開発途上国の貧困削減に向けた努力を支援す

ることを目的とし、これらの国々における持続的成長や人々の生活水準の向上に資するプロジェクトやプログラムの実施に対して、主に融資による支援を行うとともに専門的見地から政策アドバイスを行っています。IBRD は途上国一般に対する準商業的

な融資を行っており、融資期間は最長で 35 年です。一方、IDAは超長期・低利の融資及び贈与等を行っており、 融資期間も最長 38 年(うち据置 6年)に渡ります。資金の調達については、IBRD では加盟国からの出資金をもとに国際資本市場から調達しますが、 IDA の活動は主として加盟国からの出資金で直接賄われています。IFCは、開発途上国で活動する民間企業に対する融資・出資を通じて、開発途上国における持続可能な民間部門投資を促進し、貧困削減と生活水準向上を支援することを主な目的としています。近年 IFC は「持続可能性の実現」を自らの優先課題とし、環境面、社会面に十分配慮したプロジェクトの組成に努めており、IFC の専門性を活用した経営指導、投資環境整備に関する助言といった技術支援活動を通じて、プロジェクト形成やプロジェクトの効果の拡大を図っています。MIGAの目的は通常の保険会社等では引き受けることの難しい非商業的危険に対する保険・保証を通じて、民間直接投資の促進を図ることです。MIGA の保証は、政府保証を必要としないこと、民間保証機関と異なり政治リスクを保証対象としていることが特徴です。MIGA は、各国の公的保険機関及び民間保険事業者との協調保険及び再保険に加え、途上国と民間投資家の投資紛争解決業務や、民間直接投資の拡大・促進を目的とした途上国政府や投資促進機関に対する技術支援も行っています。

IBRD 出資割合※

IBRD・IDA

英国 3.9% 3.9%

フランス3.9%3.9%

米国 16.7%米国 16.7%

日本 7.2%日本 7.2%

ドイツ4.2%4.2%

その他 59.5%その他 59.5% 中国 4.6%中国 4.6%

ドイツ10.4%10.4%

米国 20.5%米国 20.5%

日本 18.0%日本 18.0%

英国11.6%11.6%

その他 32.4%その他 32.4%

フランス 7.0%7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%米国 22.2%

英国4.7%4.7%

フランス4.7%4.7%

ドイツ5.0%5.0%

日本 6.3%日本 6.3%その他 57.0%その他 57.0%

米国 18.4%米国 18.4%

英国4.8%4.8%

フランス4.8%4.8%

その他 61.9%その他 61.9%

日本 5.1%日本 5.1%

ドイツ 5.0%ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC 出資割合※ MIGA 出資割合(2016 年 6月末現在)

IFC

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDAIDA 出資割合(2016 年 6月末現在)

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計93.8

億ユーロ

その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

IBRD

IBRD・IDA

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC MIGA

IFC

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDA

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計93.8

億ユーロ

※IBRD、IFC の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも完了した場合のもの※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある

その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

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Page 11: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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■ 課題世界銀行グループは「極度の貧困の撲滅」と「繁栄の共有」を二大目標として掲げ、2030 年までに絶対的貧困層を 3%以下にすることと、低所得者層にも裨益する経済成長の実現を目指しています。また、2015 年に国際社会が合意した「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」の達成に向け、世界銀行はグローバルな知見、革新的な資金メカニズムを開発する能力、様々なステークホルダーを動員する影響力といった比較優位を活用し、重要な役割を果たしていくことが期待されます。以下、世界銀行の二大目標実現に向けた取組みのうち、日本が特に重視している 3つの分野をご紹介します。1つ目はライフサイクルコスト、安全性、自然災害に対する強靭性、社会環境基準、人材育成とノウハウの移転等に配慮した「質の高いインフラ投資」の推進です。世界銀行はインフラ投資を質の面から評価することが必要との認識の下、ライフルサイクルコストを含め Value for Money の概念を取り入れた調達制度改革を実施する等、途上国において質の高いインフラ整備を普及させている主要な機関と言えます。加えて世界銀行は東京開発ラーニングセンター(TDLC)の活動を通し、日本の都市インフラ整備の知見や経験を途上国に発信する役割を果たしています。また、途上国の持続的な成長のためには民間の資金及び知見も動員するこ

とが重要であり、日本は世界銀行がインフラ整備の官民プラットフォームとして立ち上げたグローバル・インフラストラクチャー・ファシリティ(GIF)の活動を支援しています。2つ目は国際保健分野への支援です。2014 年のエボラ出血熱流行のような悲劇を二度と繰り返さないために健康危機に対応する体制強化と同時に、全ての人々が適切な保健医療サービスを必要な時に負担可能な費用で受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向けた平時からの保健システム強化に取り組む必要があります。また、パンデミック発生時に迅速かつ効率的に資金を動員できる仕組みが被害拡大を防ぐ上で重要であり、世界銀行は保険メカニズムを活用しながらこれを実現するパンデミック緊急ファシリティ(PEF: Pandemic Emergency Facility)の設立を発表しました。日本は、PEF に対し、3年間で5千万ドルの拠出を表明しています。3つ目は防災分野です。大規模な自然災害はそれまでの開発効果の成果を一瞬にして奪います。日本は東京防災ハブを通じて、日本の知見・技術を活用した技術支援を実施するとともに防災の主流化に貢献しています。このようなイニシアティブの一環として、日本は太平洋島嶼国の自然災害リスクを再保険市場に移転し災害直後の迅速な資金ニーズに対応するために世界銀行が主導して立ち上げた太平洋自然災害リスク保険にも貢献しています。

参考:世銀グループの資金の流れ

資本市場

途上国政府民間企業

途上国民間企業等

加盟国

IBRD IFCIDA MIGA

世界銀行グループ

贈与 融資 融資 投融資 保険・信用保証

返済 返済 返済

投融資

増資 資金調達

IBRD

IBRD・IDAIBRD・IDA 融資等新規承認状況(2016 世銀年度:承認ベース)【単位:億ドル】

地域別 部門別

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカラテンアメリカ・カリブ・カリブ82.282.2

アフリカ93.593.5

東アジア・大洋州75.075.0

欧州・中央アジア72.772.7

南アジア83.683.6 合 計合 計

459.0459.0億ドル

中東・中東・北アフリカ北アフリカ52.052.0 法務・司法・行政法務・司法・行政

86.186.1

保健・その他の保健・その他の社会サービス社会サービス57.057.0

エネルギー・鉱業72.072.0

運輸 63.7運輸 63.7

上下水道・治水52.552.5

金融30.930.9

教育30.630.6

産業・貿易産業・貿易41.641.6

情報・通信 2.5情報・通信 2.5

合 計合 計459.0459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

地域別 部門別

ラテンアメリカ・カリブ 26.9・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0アフリカ 14.0

南アジア14.314.3

中東・北アフリカ9.6

合 計合 計111.2111.2億ドル

グローバル 2.1グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1・大洋州 23.1

金融市場44.744.7

石油・ガス・鉱業 8.2・鉱業 8.2

消費者・消費者・社会サービス社会サービス10.510.5

インフラ18.118.1

アグリビジネスアグリビジネス・林業10.610.6

製造業 8.2製造業 8.2

ファンド 5.3ファンド 5.3

合 計合 計111.2111.2億ドル

IFC MIGA

IFC 融資等新規承認状況(2016 世銀年度:承認ベース )【単位:億ドル】

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDA

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計93.8

億ユーロ

※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある

その他 34.9%

農業・漁業 農業・漁業 ・林業 22.0・林業 22.0

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Page 12: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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世界銀行グループ(World Bank Group)

日本と世界銀行グループ

現在日本は世界銀行グループ各機関において第 2位の出資国であり、積極的な資金貢献を行っていますが、かつては世界銀行からの借入国でした。日本の世界銀行からの借入は 1953 年の関西電力多奈川火力発電所建設用借款が第 1号であり、その後黒四ダム、東海道新幹線等を含め、1966 年の東名高速道路(東京~静岡区間)建設用借款まで合計 31 件・8億 6,300 万ドルに上り、戦後日本経済発展の基礎となった重要な産業・インフラストラクチャーの整備に大きく貢献しました。また世界銀行による貸付は資金的な側面だけでなく、ソフト面でも日本の発展に大きな貢献を果たしています。例えば高速道路建設に対する貸付の中で、クロソイド・カーブ(滑らかな走行を可能とするカーブ)の技術を日本で最初に導入し日本の土木技術の発展に重要な足跡を残しました。これらの借款の返済は 1990年 7月に終了したところです。世界銀行の借入国から卒業した後も、日本は世界銀行に様々な方面で協力しています。世界銀行グループ各機関に出資するほか、世界銀行に設置された信託基金である開発政策・人材育成(PHRD)基金、日本社会開発基金(JSDF)に対しても資金を拠出し、世界銀行の活動の質的向上に非常に重要な役割を果たしています。

GEF は開発途上国の地球環境保全への取り組みを支援するための多国間資金メカニズムです。1991 年にパイロットフェーズとして開始され、1994 年に正式発足しました。日本は当初より参加しています。2012 年 8 月には、石井菜穂子氏が GEF のCEO( 統括管理責任者 ) に就任しました。現状 GEF の支援対象は5分野(①気候変動緩和、②生物多様性保全、③国際水域汚染防止、④土地劣化対策、⑤化学物質・廃棄物対策)であり、石井CEO のリーダーシップの下、GEF2020 という長期戦略を立ち上げ、環境問題の根本的な原因に対応した、革新的で分野横断的なプロジェクトやプログラムを官民協調の下に実施していくことを打ち出しています。GEF は例えば日本も含まれている生物多様性

世界銀行を通じた気候変動・地球環境保全への取り組み

ホットスポット(生物学的に最も豊かでありながら危機に瀕している地域)への対応や「水銀に関する水俣条約」への対応など、私たちと関連の深い環境問題にも支援を行っています。なお資金は世界銀行に設置された信託基金において管理されています。分野横断的なプロジェクトは、特に食糧安全保障、都市化、森林破壊に主眼をおいて試行的に進められています。サハラ砂漠以南のアフリカの食料安全保障のための持続可能性と強靱性の促進は、2050 年までに人口が倍増し食料需要が急速に増加することが見込まれるアフリカでは、エネルギー、水、土壌、食料への協調的取組みこそが持続可能な開発に不可欠である点を踏まえたものです。持続可能な都市開発は途上国を中心に今世紀半ばには新たに 20 億人以上が都市に住むことが予想される中、都市にプロジェクトやプログラムを集中させることで環境への投資効果の向上を図るための道筋を提示します。また森林保全に配慮した農産物一次産品供給チェーンは私たちの食料や商品に欠かせない大豆、牛肉、パームヤシの生産と引き換えに途上国の森林破壊が進む中、この主な原因に取り組むため、民間セクター(生産者)、消費者、他の関係者との連携を図るものです。これら 3つの試行事業に共通するのは、より広域で複雑な開発問題を対象に、官民両セクターから幅広い層の関係者の参画を得て地球環境問題に総合的に取り組むことです。GEF は 1991 年以来 165 カ国以上の国に対し 145 億ドルを供与、5分野で 4,000 件を超えるプロジェクトを支援してきました。GEF は環境分野における途上国支援のマルチのツールの草分け的存在であり、近年、地球規模の環境課題への関心が高まりつつあるなかで、今後もその役割に期待が寄せられています。

地球環境ファシリティ(GEF:Global Environment Facility)

ブルキナファソでの植樹の様子(写真提供:GEF)

1945 ブレトン・ウッズ体制の一環として、IMF と共に IBRD を設立  当初の目的は第二次世界大戦で荒廃した欧州の復興が中心

1952 日本の加盟:加盟当時の出資比率は 2.77%(第 9位)

1956 IFC 設立1960 IDA 設立

 この頃から、貧しい途上国に対する開発援助が業務の中心に。

1964 IMF 世銀総会を東京で開催

1971 世銀東京事務所開設

1974 IMF・世銀合同開発委員会設立

1978 「世界開発報告」創刊

1980 中国の加盟

1984 日本の IBRD への出資比率が加盟国中第 2位(5.19%)となる。

1988 MIGA 設立。寺沢芳男氏が初代長官に就任

1989 累積債務問題に関し、ブレイディー構想を支援

1991 地球環境ファシリティー(GEF)パイロットプログラム開始

1992 ロシア等旧ソ連諸国の加盟

1997 アジア通貨危機発生

2002 日本の世界銀行加盟 50周年

2010 IBRD 増資に合意

2012 IMF・世銀総会を東京で開催

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プロジェクト紹介

エボラ出血熱緊急対応プロジェクト

ギニア、リベリア、シエラレオネの西アフリカ諸国で流行したエボラ出血熱への対策として世界銀行は IDA 危機対応ウィンドウを活用したエボラ出血熱緊急対応プロジェクトを実施しています。このプロジェクトはエボラが流行した 3か国に対してエボラ出血熱のコントロールと基礎保健医療サービスの維持・強化およびエボラ出血熱の社会経済的影響の緩和に貢献することを目的とするものです。エボラ出血熱緊急対応プロジェクトは、前例のない規模で被害が拡大する事態の緊急性に鑑みて、資金支援を迅速化するための特例措置を行いました。プロジェクトはWHOやユニセフ等の国際機関と連携して行われ、各国政府が活用できる最大規模の支援として、すべての対策分野での活動を支援し、西アフリカのエボラ出血熱対策を加速する役割を果たしました。例えば 2014 年 9月のプロジェクト承認以来、感染防護服および感染予防機器を大量調達し、38,900 人のエボラ対策ワーカーや医療従事者に危険手当・補償金の支払いが行われたほか、766,170 人の隔離された家庭やエボラ出血熱の影響を受けた家庭の人々に食料や生活必需品が提供されました。本プロジェクトは緊急対応を目的とした活動に限らず、長期的な観点から大規模な感染症被害の再発防止に向けて公共保健システム強化を国レベル、地域レベルで進めるための活動を含んでいます。エボラ出血熱の感染がコントロールされた後、プロジェクトの活動は保健システムの強靭性強化にシフトし、感染予防機能を備えた保健医療施設へのアップグレードや保健医療人材の強化プログラムの実施、コミュニティワーカーに

よる感染予防と基礎的保健サービスの提供など、効果的な感染症対応・保健サービス提供システム確立のための支援が行われています。さらにエボラ出血熱感染拡大の経験から、世界銀行は保険メカニズムの活用により民間資金を動員しつつパンデミック発生時に迅速かつ効率的な資金動員を行うパンデミック緊急ファシリティ(PEF)の設立を発表しました。世界銀行は最貧国支援の基金である IDA や PEF を通じ、健康危機に対応するための体制強化と、平時からの保健システム強化を組み合わせた包括的な保健メカニズムの構築を支援しています。

IFC、MIGA によるミャンマー向け支援

2016 年 1 月、IFCによる初めてのミャンマー向け融資案件が 承認されました。これは、MIGAによる同国向けの初の保証供与と合わせた協調融資の案件となります。ミャンマーでは国民の多くは電力にアクセスできない状況であり、世界銀行グループは電力供給能力の拡大をミャンマー向け支援の重点分野の一つに掲げています。世界銀行はこれまで IDAによる発電所改修や電力開発に関連する政府の能力向上を目的とした支援を行ってきましたが、公的資金だけでは膨大な電力インフラニーズを満たすことができないため民間資金の投資を呼び込むことが課題となっています。そのような背景の中、ミャンマー政府が同国マンダレー地区で開発を進めている天然ガスによる電力生産プロジェクトに必要な資金調達を IFC がサポートします。IFC は最大で 75 百万ドルの融資を行い、MIGA は最大 260 百万ドルの政治リスク保証を行うこととなります。本プロジェクトにおいて IFC や MIGA は期間 20 年という融資

や保証を提供することにより、他の民間企業や金融機関の投資家からの投資資金を呼び込む触媒の役割を果たします。本件プロジェクトのための資金調達では IFC のほか、ADB や商業銀行団による融資があわせて行われます。また、国内の金融セクターが未だ発展途上であるミャンマーにおいて、IFC が融資を外貨建てで供与することによってプロジェクト実施に関わって発生する外

貨建て支払いの負担が緩和されます。IFC は民間企業に対する融資・出資を通じて資金調達面での貢献だけでなく、民間企業のコーポレートガバナンスや案件実施能力を向上させるための支援も行います。ミャンマーの電力開発プロジェクトでは、IFC が他の国や企業に対して共通に採用している環境社会配慮基準が案件の計画や電力プラントの建設に反映されることによって、現地の周辺住民の健康、安全、権利に配慮した開発が行われることが期待されます。

予防接種を行う看護師(Dominic Chavez/World Bank)

ミャンマーを訪問するキム総裁 (Aye Zaw Myo/World Bank)

IFC http://www.ifc.org/(英語)    http://www.ifc.org/japan(東京事務所、日本語)MIGA http://www.miga.org/(英語)

更に詳しい情報は下記ホームページをご参照ください。IBRD・IDA http://www.worldbank.org/(英語)

http://www.worldbank.org/ja/country/japan (東京事務所、日本語)

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アジア太平洋地域の貧困削減の取組みには、経済状況の把握や将来の見通しを考えることも不可欠です。ADB では毎年アジア開発展望(Asian Development Outlook)を策定し、アジア・太平洋地域の経済の現状と今後の見通しをその時々のトピックを交えながら情報発信しています。また ASEAN+3(ASEAN〔東南アジア諸国連合〕に加盟している、インドネシア、ブルネイ、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジアの 10 か国と日本、中国、韓国)との連携による債券市場育成支援など、地域的枠組みの推進に貢献しています。

■ 課題アジア・太平洋地域は低所得国を中心に今なお多くの深刻な開発問題に直面しており、ADB が限られた資金を有効に活用し地域の開発ニーズに応えていくことが重要です。そのためにはADB がアジア地域の来たる 10 年間における開発課題を検討した上で、新たな長期戦略を策定していく必要があります。こうした問題意識の下、現在 ADB において Strategy2030の議論が行われています。日本はこの長期戦略の策定に積極的に貢献していきます。

アジア開発銀行(ADB: Asian Development Bank)世界最大の貧困人口を抱えるアジア・太平洋地域において、貧困削減に正面から取り組む■ 沿革ADBは 1966 年の創設以来、アジア・太平洋地域を対象とする国際開発金融機関として、同地域の生活向上のための様々な支援を実施してきました。現在 ADB は世界最大の貧困人口を抱える同地域の貧困削減を図り、平等な経済成長を実現することを最重要課題として、この困難な問題に立ち向かっています。ADB の本部はマニラに置かれ、59 か国・地域出身の 1,000 名程度の専門職員とフィリピン出身者が大多数を占める 2,000 名程度の補助職員が働いています。ADB においては総務会が最高意思決定機関であり、総裁も総務会の選挙で選出されます。日常の業務の運営は 12名の理事(うち 8人が域内国を代表、4人が域外国を代表)からなる理事会に委任されています。総裁は理事会の議長かつ事務局の長であり、理事会の決定に基づいて銀行の業務を指揮実行します。

■ 主要な業務ADB の主な機能は(1)開発途上加盟国に対する融資等、(2)

開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術援助及び助言、(3)開発目的のための公的・民間支援の促進、(4)開発途上加盟国の開発政策の調整のための支援等です。ADB の財源には比較的所得の高い開発途上加盟国への支援に使われる通常資本財源(OCR)と、低所得国向けの支援に使われるアジア開発基金(ADF)があります。この他に加盟国からの拠出金と ADF からの配分金等からなる技術援助特別基金(TASF)等があり、技術援助に用いられています。ADB は 2008 年 4 月に 2020 年までを対象とする長期戦略である Strategy2020を策定し、この実施に必要となる財務基盤の充実を図るため、2009 年 4 月、OCR の資金規模を倍増する第 5次一般増資を決定しました。さらに地域の膨大な開発ニーズに応えるための融資能力の拡大策として、2015 年 4 月に OCR と ADFの2つの資本の統合を決定し、2017年1月に実施されます。また、2016 年 7 月には、2017 ~ 2020 年の 4 年間を対象とした ADF第 12 次増資を決定しました。 ブータンにおける橋梁建設(写真提供:ADB)

IBRD

IBRD・IDA

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB 出資割合※

ADB・ADFADB・ADF 融資状況(2015 年:承認ベース)【単位:億ドル】

国 別

米国 15.5%米国 15.5%

中国 6.5%中国 6.5%

インド6.3%6.3%

オーストラリア5.8%5.8%

その他 50.3%その他 50.3%

日本 15.6%日本 15.6%

部門別

中国 20.5中国 20.5

パキスタン17.717.7

インドネシア 13.8インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9 バングラディッシュ 11.9

その他 65.0その他 65.0

インド 25.7インド 25.7

合 計合 計154.5154.5億ドル

公共政策15.515.5

運輸・情報通信技術

27.927.9

上水道・上水道・都市インフラ都市インフラ18.118.1

エネルギー50.050.0

合 計合 計154.5154.5億ドル

※ ADB の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも完了した場合のもの※ 四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC MIGA

IFC

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0農業・天然資源 10.0

金融 22.9金融 22.9

保健・社会保障 3.2保健・社会保障 3.2教育 6.7教育 6.7

工業・貿易 0.2工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDA

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計93.8

億ユーロ

その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

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Page 15: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

13

日本と ADB

プロジェクト紹介

■ 設立時の貢献ADB の設立当時、日本はまだ戦後の復興期からようやく経済発展期にさしかかったところであり、外貨準備高は 20 億ドル、年間ODA総額は2億8千万ドル、国民 1人あたり GDP は 39 万円という状況にありました。しかしながらアジア地域全体の経済発展のために我が国が果たすべき役割に鑑み、資本金 10 億ドルの ADB の設立準備に中心的な役割を果たし全体の 1/5 にあたる2億ドルを負担したのです。ADB 設立は、日本にとって大規模な国際貢献の第1号であったとも言えましょう。

■ 人的貢献高い専門知識や語学力、グローバルスタンダードに見合う学歴や職務経験など、MDBsで働く職員には高度なqualifi cation(資格・素質)が求められます。そのような中で ADB においては多数の日本人職員が活躍しており、国籍別の職員比率では第 1位となっています。

■ 信託基金を通じた貢献日本は貧困削減のための活動を支援する貧困削減日本基金

(JFPR)等の信託基金を通じ、ADB とのより一層の協力を行って

います。2015 年 4 月のネパール震災被害に際しては、JFPR から1,500 万ドルの緊急無償支援を実施しました。

■ 年次総会の開催ADB 年次総会は、全加盟国(67 か国・地域)の財務大臣等が一堂に会する国際会議であり、アジア・太平洋地域の経済開発に関する意見交換や ADB の重要事項についての意思決定が行われます。設立総会(1966 年、東京都)、第 20 回総会(1987 年、大阪市)、第 30 回総会(1997 年、福岡市)、第 40 回総会(2007 年、京都市)と、日本はこれまで節目となる総会をホストしてきました。こうした中、2015 年の総会にて、50 回目の総会にあたる 2017 年総会を横浜市で行うことが正式に決定し、2016年の第 49回総会(ドイツ・フランクフルト)では、ドイツから次回開催国である日本に対する議長引継ぎが行われました。総会期間中は各種セミナーや行事が行われる予定であり、国内外の政府高官、経済界、学術関係者、報道関係者、国際機関、NGO等から 3,000 ~ 4,000 名程度の参加が見込まれています。

タイでは着実な経済成長に伴い電力需要が伸びていますが、総発電量の大半を天然ガスや石炭に依存しているため電源の多様化が急務となっています。そこでタイ政府は再生可能エネルギーの普及を促進し、その発電能力を大幅に引き上げることで、今後も見込まれる需要増に応える方針を明らかにしています。こうしたタイ政府の取り組みを支援するため、ADB は 2010年にタイ中部における太陽光発電所建設事業に融資を行いました(7千万ドル上限)。この事業は日本企業M社の 100%子会社、香港の民間電力会社及びタイの大手独立系発電事業会社の 3社からなる合弁会社が発電事業会社となり、タイの電力会社に全発電量を売電する事業です。また日本企業 S社及びイタリア系の会社 2社の 3社からなるコンソーシアムで建設契約を受注しました。太陽電池を採用した世界最大級 73MWのメガソーラー発電所をわずか 2年で建設するというもので、その技術、規模、スピードにおいて先駆的な事業として大きな注目を集めました。本事業では 2012 年 6 月に電力供給が開始され、周辺の小学校や農業施設に安定的な電力が供給されており、約 7万世帯がその恩恵を受けています。なお今後 10 年間この発電所を運用する

ことによって、毎年計 6万トン以上の CO2 削減に貢献する見込みです。本事業をきっかけとして、タイでは複数の太陽光発電事業が実施・計画されており、本事業の成功が太陽光発電の普及に果たした役割は大きいと言えます。ADB はタイだけでなく電力不足の問題を抱える他のアジア・太平洋地域の国々に対しても、この事業の経験を生かしつつさらに積極的な支援を行う予定です。

日本の大規模な国際貢献の第1号。日本は第1位の出資国。2017年5月に横浜で第50回年次総会を開催予定。

タイの太陽光発電所建設事業

太陽光パネル設置の様子 (写真提供:ADB)

1966 ADB 設立1974 アジア開発基金(ADF)設立1988 日本特別基金(JSF)を設立1996 東京に駐日代表事務所を設置1997 東京にアジア開発銀行研究所(ADBI)を設置2000 貧困削減日本基金(JFPR)を設立2007 京都で第 40回 ADB年次総会を開催2008 新長期戦略「Strategy 2020」を承認2009 OCR の第 5次一般増資に合意2015 OCR・ADF 統合に合意2017 横浜で第 50回 ADB年次総会を開催予定

更に詳しい情報は下記ホームページをご参照ください。http://www.adb.org/(英語)http://www.adb.org/ja/japan/main(駐日代表事務所、日本語)

議長引継ぎの様子:左からウム ADB 官房長、中尾 ADB 総裁、フフテル独政務次官、麻生財務大臣(写真提供:ADB)

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Page 16: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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米州開発銀行(IDB: Inter-American Development Bank)持続的成長に向けた域内諸国の経済・社会改革を支援

■ 沿革IDB は中南米・カリブ(LAC)加盟諸国の経済・社会発展に貢献することを目的として、1959 年に設立された国際開発金融機関です。日本は 1976 年に加盟。現在米州地域から 28 か国(26の LAC 加盟諸国と米国およびカナダ)に加え、アジア(日本、韓国、中国)を含む域外からの 20 か国が加盟し、48 か国で構成されています。IDB の活動を補完し LAC 加盟諸国の民間企業に対する投融資を通じて域内経済の発展に寄与することを目的に、1986 年に米州投資公社(IIC:Inter-American Investment Corporation)が設立されました。また 1993 年には民間投資を促進するため技術協力や零細・中小企業育成等を行う多数国間投資基金(MIF:Multilateral Investment Fund)が設立されました。IDB と IIC とMIF をあわせ米州開発銀行 (IDB) グループと呼びます。2016 年 1 月に IDB で民間大企業支援を行っていた部局を IICに統合し、IDB グループにおける民間部門支援は IIC に集約されました。

■ 主要な業務● 米州開発銀行(IDB)LAC 加盟諸国の政府等公的部門の開発プロジェクトやセクター改革等を対象として、準商業ベースの融資を行っています。2016 年末まで低所得国向け超長期・低利の融資は特別業務基金(FSO)を通じて行っていましたが、2017 年 1 月から FSO は通常資本(OC)と統合され、OCが低所得国向け融資も行っています。● 米州投資公社(IIC)加盟国からの出資及び借入金を原資として、民間企業への投融資やアドバイザリー・サービスを通じた技術・ノウハウを提供しています。また開発効果の高い民間プロジェクトを支援するとともに、民間金融機関との協調融資を通じ、民間資金の開発分野への動員にも取り組んでいます。

● 多数国間投資基金(MIF)LAC 加盟諸国における民間投資の促進を図る目的の下、加盟国からの拠出金により設置された基金で、技術協力やマイクロファイナンス金融機関等を通じた零細・中小企業向け投融資など、小規模で革新的な取り組みを実験的に行っています。

■ 課題LAC 地域は 1990 年代以降民主主義が広く定着し、経済面でも開放型市場経済体制への移行が急速に進展した結果、高い経済成長を達成してきました。その一方で LAC 諸国間や国内における貧困や貧富の格差の問題は今なお根強く残っています。IDB は設立以来、LAC 加盟諸国に対する融資や技術協力を通じ、経済発展の基礎となるインフラ整備や社会政策をはじめとした貧困削減への取組みを支援してきました。近年は、環境・気候変動分野や女性の地位向上への取組み、防災、域内経済統合に関するイニシアティブを重点的に推進するとともに、他地域との経済関係強化にも力を入れています。

IBRD

IBRD・IDA

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC MIGA

IFC

IDB 出資割合※

IDB 融資等状況(2015 年:承認ベース)【単位:億ドル】

国 別 部門別

パナマ 6.2パナマ 6.2エクアドル 6.7 エクアドル 6.7

メキシコ19.719.7

合 計合 計112.6112.6億ドル

ペルー 7.2ペルー 7.2

ウルグアイウルグアイ9.1

コロンビア 11.011.0

保健 9.2

教育 8.98.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.436.4

金融市場14.814.8

エネルギー 14.214.2合 計合 計

112.6112.6億ドル

米国 30.0%米国 30.0%

アルゼンチンアルゼンチン11.4%11.4%

ブラジル11.4%11.4%

メキシコメキシコ7.37.3

日本5.0%5.0%

※IDB の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも完了した場合のもの

※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDA

運輸 10.8運輸 10.8

アルゼンチンアルゼンチン8.18.1

その他 44.6その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計93.8

億ユーロ

その他 34.9%その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

栄養改善プログラムで家畜飼養を行う受益者(写真提供:IDB)

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Page 17: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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日本と IDB

プロジェクト紹介

アジアと中南米との架け橋を目指して

日本は 1976 年にアジア最初の加盟国として、人材、資金の両面から貢献してきました。人材面では、現在 17 名(2015 年 12月末現在)の日本人職員が IDB の各部局で活躍しています。資金面における貢献としては、OC及び IIC への出資に加え、FSO、MIF 等への拠出を行っています。2016 年 4 月のバハマ総会では、省エネ、再生可能エネルギー分野における IDB と JICA の協調融資の枠組みである CORE(Cofi nancing for Renewable Energy and Energy Effi ciency:コア)を、「質の高いインフラ投資」のグローバル展開に資するよう拡充しました。また、日本は同枠組みの下で融資案件の組成段階から IDB と JICA がより緊密に協働することを支援するため、IDB に設置している日本信託基金に「質の高いインフラ投資」支援のための枠を創設し、案件組成準備を

支援することとしました。IDB は世界各国の債券市場等を通じて中長期的な資金調達を行っていますが、日本の金融資本市場は重要な資金調達先となっています。1995 年 9 月には東京に駐日事務所(2007 年にアジア事務所

へ名称を変更)が開設され、日本、韓国、さらに 2009 年 1 月にIDB に正式加盟した中国を始めとするアジアと LAC 地域の交流をより緊密・活発なものとするため活動しています。また、2016 年 11 月には日本 -LAC ビジネス・フォーラムを東京で開催し、LAC 諸国とアジアにおける貿易・投資の拡大やビジネス・パートナーシップの強化に向けた相互理解の促進のために、両地域の官民で意見交換を行いました。

2016 年 6 月パナマ運河の拡張事業が完成し、開通式が執り行われました。パナマ運河は 1914 年に開通した太平洋と大西洋を結ぶ運河で、スエズ運河と並ぶ世界有数の運河であり、アメリカ土木学会の 20 世紀のミレニアムプロジェクトにも選出されています。2006 年にパナマ政府がこのパナマ運河拡張事業を検討した際に国民投票を実施したほどの大規模インフラ事業で、総事業費52.5 億ドル(5,300 億円以上)のうち、パナマ運河庁は 23 億ドルを金融機関からの融資で賄い、そのうち日本は JBIC(国際協力銀行)や民間銀行から8億ドル、IDBは4億ドル、世界銀行グループの IFC(国際金融公社)は 3億ドルの融資を行いました。この融資が決定した時期は折りしもリーマン・ショックと呼ばれる国際金融危機の嵐が吹き荒れる 2008 年後半で、それまで融資に積極的だった欧米の民間金融機関が一斉に辞退するなか、日本や国際金融機関はパナマの国を挙げた世界有数のインフラ事業を金融面から支えたのです。パナマ運河開通 100 周年である 2014 年の完成を目指して拡張事業は進められましたが、度重なる困難を乗り越え、2016 年に遂に開通式を迎えました。拡張されたパナマ運河ではこれまでよ

りも大型の船舶も通行できるようになり、東西の物流を更に活性化させることが期待されています。このパナマ運河拡張事業は金融危機という逆境の中でも、IDB と日本が協調融資という手段を通じ、物流の要衝を支援した世界に誇る事例のひとつです。

更に詳しい情報は下記ホームページをご参照ください。http://www.iadb.org/en/inter-american-development-bank,2837.html (英語)http://www.iadb.org/en/asia/idb-offi ce-in-asia,1226.html (アジア事務所、英語)

2016 年 11 月に訪日したモレノ総裁と麻生財務大臣

パナマ運河拡張工事の様子(写真提供:Courtesy of the Panama Canal Authority)

パナマ運河拡張事業

1959 IDB 設立設立当初は、加盟資格を米州機構構成国に限定していました。原加盟国(設立当初の加盟国)は、中南米の 19 か国と米国の計 20 か国

1976 日本、欧州等 9か国の域外国加盟

1986 IIC 設立

1991 第 32 回 IDB 年次総会・第 6回 IIC 年次総会を名古屋で開催

1993 MIF 設立

1995 IDB 駐日事務所(現アジア事務所)設立

2005 第 46 回 IDB 年次総会・第 20回 IIC 年次総会を沖縄で開催

2009 IDB 設立 50 周年記念セミナーを東京で開催

2016 日本 -LAC ビジネス・フォーラムを東京で開催

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Page 18: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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アフリカ開発銀行(AfDB: African Development Bank)持続的成長に向けた域内諸国の経済・社会改革を支援

■ 沿革AfDB は、アフリカ諸国の経済的開発及び社会的進歩に寄与するため、1964 年 9月に設立されました。1973 年 6月には、最貧国を重点的に支援するため、アフリカ開発基金(AfDF: African Development Fund)が設立されました。AfDB と AfDF をあわせアフリカ開発銀行グループと呼びます。アフリカ開発銀行グループは、未だ多くの困難を抱えるアフリカ諸国の開発ニーズに応えるため、アフリカを代表する地域密着型のMDBs としてアフリカ諸国のニーズを細やかに汲み取りつつ、自らの専門性を生かした業務を行っています。

■ 主要な業務●アフリカ開発銀行 (AfDB)AfDB は比較的所得の高い国に対して準商業ベースの融資を行っています。加盟国は 80 か国(域内国 54 か国、域外国 26 か国)で構成されています。●アフリカ開発基金 (AfDF)AfDF は所得の低い国に対して譲許的な条件による融資及びグラント(贈与)の供与を行っています。30 か国(域外国 27 か国、アンゴラ、エジプト、南アフリカ)及びアフリカ開発銀行が出資しています。

■ 課題アフリカ経済は、近年の世界経済の減速や一次産品価格の下落の中でも、世界経済の平均を上回る成長率を遂げました。こうした中、豊かな天然資源と人材に恵まれているアフリカの大きな潜在性が認識されています。しかしアフリカ大陸には今なお世界で最も貧困とされる国の 2/ 3 が集中し、人間開発指数は世界最低水準にあります。また一次産品価格の乱高下によるマクロ経済への悪影響、気候変動による旱魃や砂漠化、さらには紛争国や国内和平は成立したものの未だ国家のガバナンス機能が著しく低い脆弱国への対応など、課題が山積しています。

アフリカ開発銀行グループはアフリカ諸国の成長の質の改善のために「インクルーシブな成長」と「グリーン成長への移行」の2つの目標を柱とした長期戦略(2013‒2022 年)を策定し、戦略の実施にあたりアデシナ総裁主導でエネルギー、農業、工業化、地域統合及び生活の質の向上を 5つの重点分野とするハイ・ファイブと呼ばれるイニシアティブを立ち上げました。これらを通じ、「安定的かつ統合的な、繁栄する大陸」というアフリカのビジョンの実現に向けて取り組んでいるところです。またアフリカの低所得国を対象とする AfDF は、3年に 1度の増資を行って先進加盟国からの援助資金を募り譲許性の高い融資及び無償資金を供与することで、アフリカの低所得国の貧困を減らし、経済的発展及び社会的進歩を促しています。2016 年 12月に合意された AfDF 第 14 次増資(2017‒2019)では日本を含む多くのドナー国は厳しい財政状況に直面し援助資金の負担には限界がある中、最終的には事業規模で約 71 億ドルを達成し、脆弱国や紛争後国への支援や民間支援プロジェクトの推進に取り組んでいます。

ケニアにおける地熱発電プロジェクト(写真提供:AfDB 提供)

IBRD

IBRD・IDA

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRD

EBRD

イタリア8.6%日本

8.6%

ドイツ8.6%

英国8.6%

米国10.1%

その他 46.8%

フランス8.6%

ポーランド6.5

トルコ19.0

ウクライナ10.0

エジプト7.8

カザフスタン7.1

その他 43.4

エネルギー25.6

金融機関29.5

インフラ等17.6

合 計93.8

億ユーロ製造業等一般企業21.1

AfDB 出資割合※ AAfDF 出資割合※ 国 別 部門別

※AfDB の出資割合は、第 6次増資完了時点。※AfDF の出資割合は、第 13 次増資完了時点。※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある。

AfDB・AfDF 等融資等状況(2015 年:承認ベース) 【単位:億ドル】

ナイジェリア8.8%8.8% 米国

6.4%6.4%日本5.4%5.4%エジプト5.3%5.3%

南アフリカ南アフリカ4.9%4.9%

タンザニアタンザニア6.86.8

その他46.0 46.0

合 計合 計72.672.6億ドル

合 計合 計72.672.6億ドル

米国11.11.1%1%

運輸 22.0 22.0

エネルギー11.7 11.7

マルチセクターマルチセクター9.6 9.6

ドイツ10.1%10.1%

英国9.8%9.8%

カナダカナダ6.9%6.9%

イタリア6.3%6.3%

その他35.5%35.5%

日本10.4%10.4%

エジプト6.6 6.6 アンゴラ 5.3 5.3

チュニジア チュニジア 4.1 4.1

南アフリカ3.83.8

その他69.2%69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC MIGA

IFC

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%10.0%

IDA

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.98.9

社会セクター8.28.2

その他その他12.312.3

合 計93.8

億ユーロ

その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

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Page 19: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

17

日本と AfDB

■ 日本とアフリカ開発銀行グループ日本は 1983 年に他の域外国と共に AfDB に加盟して以来、域外加盟国中、米国に次ぐ第 2位の出資国として、AfDB の政策や活動に深く関与してきました。より緩やかな条件で貸付け等を行う AfDF に対しても 1973 年の設立以来、積極的に貢献してきました。また AfDB は主に市場等から調達した中長期的な資金をその融資等業務に充てていますが、日本の金融市場は AfDB の重要な資金調達先の一つとなっています。

■ アフリカにおける民間セクター支援アフリカ支援に当たり日本は、貧困削減のための経済成長、及びその原動力としての民間セクターの役割を重視し、2005 年にAfDB と JICA 円借款との協調融資枠組み、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA)を発表しました。これまで、EPSA1(2005-2011) において、10 億ドル相当の円借款を供与し、EPSA2(2012-2016) では、20 億ドルを目標とした円借款の供与を進めています。2016 年 8 月にナイロビで開催された第 6回アフリカ開発会議

(TICAD Ⅵ)では、EPSA3(2017-2019) を発表し、日本は今後もAfDB と緊密に連携し、アフリカの民間セクター開発の促進を後押ししていくことを表明しました(EPSA3 については、3ページもご覧ください)。

■ アジア代表事務所の設立2012 年 10 月、東京に AfDB 唯一の域外代表事務所となるアジア代表事務所が設立されました。アジア代表事務所は、世界の成長センターであるアジアとアフリカを結ぶ上で大きな役割を担うものです。アジアのドナー諸国(日本、韓国、中国、インド)とのパートナーシップや対話を促進すると共に、アフリカの開発やビジネスに熱意を持つ日本をはじめとしたアジアの企業のために仲介役を果たすことが期待されます。2016 年春には、アジア代表事務所内に、日本の企業向けに調達、コンサルタント、民間向け投資プロジェクト等に関する相談窓口を設置しました。

プロジェクト紹介

本プロジェクトは 2005 年 6 月にアフリカ開発銀行グループと日本政府が発表した EPSA に基づく JICA との協調融資案件であり、AfDB グループと JICA の事業連携プロジェクトの一つとして位置付けられています。東部アフリカ地域において国境を接し東アフリカ共同体(※)にも所属するケニア・タンザニアの両国は、同地域における経済統合の推進や経済活性化に向け、国境を跨ぐ回廊の整備・改良に取り組んでいます。特に 2005 年 1 月に東アフリカ共同体において関税同盟が発足したことを受け、域内輸送需要の更なる増加が見込まれるなど域内統合の流れは加速しています。両国の運輸セクターは経済活性化の原動力となる十分なポテンシャルを秘めていますが、依然として多くの課題を抱えています。例えばタンザニアの運輸セクターは貨物の 90%、旅客の 70%を道路輸送に依存していますが、国の道路舗装率は 10%にも達しません。ケニアにおいても道路輸送が主要な運輸インフラであるにもかかわらず、政府の資金難により道路の維持管理のための予算が確保されないといった問題を抱えています。また両国とも雨季には道路が冠水し走行が困難になるなど、円滑な物流が阻害される状況が多く見られます。自然資源の豊富な両国は国立公園を始めとする観光地へのアクセス改善により、観光客の増加に伴う地域経済の活性化が期待されており、そのようなアドバンテージを十分に活かす取り組みが求められています。このような課題に対応するため、AfDB は 2007 年 3月にアルー

シャ~ナマンガ~アティ川間道路改良事業を承認し、JICA と協力してエジプトのカイロから南アフリカのケープタウンを結ぶ国際幹線道路のうちタンザニア北部のアルーシャからケニアのアティ川(首都ナイロビと国際貿易港であるモンバサ港を結ぶ国道との合流点)までの区間の改良を主な活動内容とするプロジェクトに着手しました。道路工事の終了後、2014 年 12 月には国境の税関手続きの効率化を目的としたワンストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)も完成しました。現在、日本の支援により OSBPの運用化のための技術協力が進められており、この道路改良プロジェクトとの相乗効果により同区間の輸送能力の増強、それに伴う域内の経済統合の推進、ひいては経済の活性化などの開発効果が期待されます。

(※)2001 年、ケニア、タンザニア、ウガンダにより結成。   その後、2007 年に、ルワンダ、ブルンジが参加。

アルーシャ~ナマンガ~アティ川間道路改良事業(ケニア・タンザニア)

アフリカ諸国のオーナーシップを支援。

現地のワンストップ・ボーダー・ポスト ( 写真提供:AfDB)

更に詳しい情報は下記ホームページをご参照ください。http://www.afdb.org/en/(英語)

1964 AfDB 設立設立当初は、アフリカ人自身により地域の経済開発を担おうという趣旨から、加盟資格をアフリカの域内国に限定していました。

1966 AfDB 業務開始

1972 AfDF 設立協定の調印(日本は原参加国)1973 AfDF 設立

原参加メンバーは AfDB 及び域外国 13 か国

1973 AfDF 業務開始

1983 日本、他の域外国とともに AfDB に加盟

2012 東京にアジア代表事務所を設立

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Page 20: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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■ 沿革EBRD は、中東欧諸国における市場指向型経済への移行並びに民間及び企業家の自発的活動を支援するため、1991 年 3 月に設立され、同年 4月より業務を開始しました。現在の支援対象国は中東欧の旧社会主義国及び旧ソ連構成国を中心とする 36 か国で、市場経済化・民営化を進めるための民間部門に対する投融資及び技術支援等を中心に業務を行っています。EBRD では中東欧諸国の市場経済化の進展に伴い、市場指向型経済への移行が遅れている中央アジアやコーカサス地域等の初期段階移行国(ETC: Early Transition Countries(※ 1))に対する支援活動を中長期的に拡大していくこととしています。2006 年にモンゴルが、2008 年にトルコが支援対象に加わりました。また、2010 年末に中東・北アフリカ地域で発生した民主化運動(アラブの春)を受け、2012 年 8 月に支援対象地域を南・東地中海地域(SEMED:Southern and Eastern Mediterranean)へ拡大することを決定し(※ 2)、これまでにエジプト、チュニジア、モロッコ、ヨルダンが支援対象に加わっています。最近では、2014 年にキプロス、2015 年にギリシャが時限的な支援対象になっています。一方で、2004 年に EU へ加盟した支援対象国(チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア)については、市場経済化が進展したとして EBRD 支援からの早期の卒業が期待されています(チェコは2007 年 12 月に卒業済み)。

■ 業務●投融資業務EBRD の中心業務はプロジェクトファイナンスを中心とした商業ベースの投融資業務ですが、市場経済化の支援という使命に鑑み、投融資の実施にあたっては、(1)市場経済への移行促進の効果(Transition Impact)、(2)商業銀行では代替できない支援の実施(Additionality)、(3)健全な金融判断に基づく融資(Sound

欧州復興開発銀行(EBRD: European Bank for Reconstruction and Development)旧中央統制経済の市場経済への体制移行を目指す

(※1)キルギス、モンゴル、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、モルドバ

(※ 2)2012 年 8 月の決定は特別基金を通じた一時的な支援対象地域化であり、一般財源による正式な支援対象地域化は 2013 年 9月に決定。

Banking)の 3 原則を満たすことが求められています。また、EBRD の投融資は民間部門に対するものを中心に行うこととされており、投融資残高のうち民間部門に対する投融資は全体の約 8割程度となっています。●技術支援業務EBRD は投融資の他に各国から拠出された資金をベースに、市場経済への移行を支援するにあたって必要な投資環境に関係する法制度整備支援や、エネルギー効率化のための助言、中小零細企業への経営指導などの技術支援を行っています。

■ 課題2014 年初めからのロシア・ウクライナ情勢の不安定化を踏まえ、同年 7月 16 日の欧州理事会において「EU加盟国は、EBRD理事会において、ロシアにおける新たな取引への資金提供を停止するよう、それぞれの立場を調整する」ことが合意されました。こうした、情勢を受け、同月 23 日の EBRD 理事会において、当面の間、ロシアにおける新規出融資を承認しない方針が示されました。2016 年 2 月には、シリア危機に端を発する難民問題を受け、難民受入国の民間部門及びインフラプロジェクトに対し、9億ユーロ規模の支援を行うことが表明されました。

EBRD の支援により設備投資を行ったモンゴルの繊維工場 (写真提供:EBRD)

IBRD

IBRD・IDA

英国 3.9%

フランス3.9%

米国 16.7%

日本 7.2%

ドイツ4.2%

その他 59.5% 中国 4.6%

ドイツ10.4%

米国 20.5%

日本 18.0%

英国11.6%

その他 32.4%

フランス 7.0%

ラテンアメリカ・カリブ82.2

アフリカ93.5

東アジア・大洋州75.0

欧州・中央アジア72.7

南アジア83.6 合 計

459.0億ドル

中東・北アフリカ52.0 法務・司法・行政

86.1

保健・その他の社会サービス57.0

エネルギー・鉱業72.0

運輸 63.7

上下水道・治水52.5

金融30.9

教育30.6

産業・貿易41.6

情報・通信 2.5

合 計459.0億ドル

EBRDEBRD 出資割合(2015 年 12 月末現在)

国 別 部門別

EBRD融資等状況(2015 年:承認ベース)【単位:億ユーロ】

イタリアイタリア8.6%8.6%日本

8.6%8.6%

ドイツ8.6%8.6%

英国8.6%8.6%

米国10.1%10.1%

その他 46.8%その他 46.8%

フランスフランス8.6%8.6%

ポーランドポーランド6.56.5

トルコトルコ19.019.0

ウクライナ10.010.0

エジプトエジプト7.87.8

カザフスタンカザフスタン7.17.1

その他 43.4その他 43.4

※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある

エネルギーエネルギー25.625.6

金融機関29.529.5

インフラ等インフラ等17.617.6

合 計合 計93.893.8

億ユーロ億ユーロ製造業等一般企業21.121.1

AfDB AfDF

AfDB・AfDF

ナイジェリア8.8% 米国

6.4%日本5.4%エジプト5.3%

南アフリカ4.9%

タンザニア6.8

その他46.0

合 計72.6億ドル

合 計72.6億ドル

米国11.1%

運輸 22.0

エネルギー11.7

マルチセクター9.6

ドイツ10.1%

英国9.8%

カナダ6.9%

イタリア6.3%

その他35.5%

日本10.4%

エジプト6.6 アンゴラ 5.3

チュニジア 4.1

南アフリカ3.8

その他69.2%

ADB

ADB・ADF

米国 15.5%

中国 6.5%

インド6.3%

オーストラリア5.8%

その他 50.3%

日本 15.6%

中国 20.5

パキスタン17.7

インドネシア 13.8バングラディッシュ 11.9

その他 65.0

インド 25.7

合 計154.5億ドル

公共政策15.5

運輸・情報通信技術

27.9

上水道・都市インフラ18.1

エネルギー50.0

合 計154.5億ドル

米国 22.2%

英国4.7%

フランス4.7%

ドイツ5.0%

日本 6.3%その他 57.0%

米国 18.4%

英国4.8%

フランス4.8%

その他 61.9%

日本 5.1%

ドイツ 5.0%

ラテンアメリカ・カリブ 26.9

欧州中央アジア 21.3

サブサハラアフリカ 14.0

南アジア14.3

中東・北アフリカ9.6

合 計111.2億ドル

グローバル 2.1

東アジア・大洋州 23.1

金融市場44.7

石油・ガス・鉱業 8.2

消費者・社会サービス10.5

インフラ18.1

アグリビジネス・林業10.6

製造業 8.2

ファンド 5.3

合 計111.2億ドル

IFC MIGA

IFC

IDB

IDB

パナマ 6.2エクアドル 6.7

メキシコ19.7

合 計112.6億ドル

ペルー 7.2

ウルグアイ9.1

コロンビア 11.0

保健 9.2

教育 8.9

公共政策 9.1

水・衛生 9.4

その他36.4

金融市場14.8

エネルギー 14.2合 計

112.6億ドル

米国 30.0%

アルゼンチン11.4%

ブラジル11.4%

メキシコ7.3

日本5.0%

通信・情報技術 5.4

農業・天然資源 10.0

金融 22.9

保健・社会保障 3.2教育 6.7

工業・貿易 0.2

フランス10.0%

IDA

運輸 10.8

アルゼンチン8.1

その他 44.6

金融8.9

社会セクター8.2

その他12.3

合 計合 計93.893.8

億ユーロ億ユーロ

その他 34.9%

農業・漁業 ・林業 22.0

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日本と EBRD

プロジェクト紹介

日本は EBRD の原加盟国であり、米国に次ぎ英独仏伊と並ぶ出資国(約8.6%)として、EBRDの支援対象国の市場経済機能の向上、持続的な成長を支援しています。EBRD への出資に加え、日本は設立当初より日本・EBRD 協力基金(JECF: Japan-EBRD Cooperation Fund)を通じ EBRD の技術協力を支援しており、近年では、モンゴルの上下水道事業の不採算・非効率な管理手法の改善支援や、ウクライナの農業、エネルギー分野における融資プロジェクトの事前調査等に対する技術協力を実施してきました。この様な支援を通じ、EBRD の投融資業務の効果的な実施を促進しているほか、日本の高度な技術・知見の普及も図っています。

1991 EBRD 設立ソビエト連邦崩壊

2004 EU にチェコを含む 10 ヵ国が加盟

2006 モンゴルに業務範囲を拡大

2007 チェコが EBRDの支援から卒業

2010 アラブ諸国で民主化運動が発生

2013 地中海南東部に業務範囲を拡大

2014 ロシア・ウクライナ情勢が不安定化EBRD はロシア向け新規業務を停止

2015 難民問題が深刻化

2016 東京代表事務所設立

サルヒト風力発電事業(モンゴル)

2013 年サルヒト風力発電所(50MW)が発電事業を開始しました。本プロジェクトはモンゴル地元企業や EBRD、オランダ開発銀行(FMO)等が共同出資して設立した民間企業による発電事業ですが、モンゴル初の大型再生可能エネルギー事業であるのみならず、国営企業が依然支配的であるモンゴル電力セクターにおいて、同セクター初の民間発電事業者による市場参入案件となりました。EBRD は本プロジェクトを出資・融資の両面から支援しています。モンゴルのエネルギー供給は石油・石炭にほぼ全面的に依存しており、環境への配慮やエネルギー供給の多様化の観点から、再生可能エネルギー発電の推進は重要な政策課題です。サルヒト風力発電所では同国エネルギー需要の 5%相当の生産が期待されていますが、モンゴルの風力資源は大きな潜在力が見込まれており、今後も風力発電開発が進められることが大きく期待されています。本プロジェクトの組成に向けて、日本は日本・EBRD 協力基金

(JECF)を通じ、モンゴル政府の再生可能エネルギー分野における制度構築に関する技術協力に資金支援を実施しました。EBRDは民間セクターを中心に支援を行っていますが、市場規模がまだ小さい再生可能エネルギーの分野においては、民間企業の活動が促進されるような法制度・規制の整備や環境等への影響評価が不可欠です。このように EBRD では政府と民間の取組が両輪をなす

よう、民間企業に対するプロジェクト支援と政策対話や技術協力をあわせて実施することを、今後更に重視していく方針です。また、EBRD では再生可能エネルギー事業のように、エネルギーの効率性や持続可能性、気候変動に対する耐性を考慮したプロジェクトを重点戦略のひとつと位置づけています。日本政府としても、日本の援助や日本企業の取組とも組み合わせながら、EBRD のこうした取組を更に後押ししていくことを目指しています。

また、EBRD と日本企業の連携促進及び日本での EBRD に対する認知向上等を目的に、2016 年 3 月、受益国以外では欧州域外で初となる代表事務所が東京に開設されました。代表事務所では、大学院生、社会人を対象に EBRD の業務に対する理解を深めるための説明会等を実施しているほか、ビジネス開発担当者が在籍し、EBRD の支援対象地域への投融資に関心を持つ日本企業との関係構築、ビジネス機会の発掘に努めています。2016 年秋には、EBRD の技術協力関係者が来日し、日本企業・専門家を対象に、EBRD の技術協力プロジェクトへの参加促進を目的としたセミナーを行う等、代表事務所を通じ、EBRD と日本企業の連携強化に向けた活動が実施されています。

東京代表事務所開所式にて

サルヒト風力発電所にて(写真提供:EBRD)

更に詳しい情報は下記ホームページをご参照ください。http://www.ebrd.com/pages/homepage.shtml(英語)

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MDBs 基礎情報一覧表

機関名 発足年月 業務の概要 加盟国数 日本の加盟時期

資本金・拠出金総額(億ドル)

投融資残高(億ドル)

専門職員数(うち日本人) 総裁名

世界銀行グループ

国際復興開発銀行(IBRD) 1945.12 準商業ベースでの貸付・保証 189 1952.8 2,783.8

(授権資本) 1,696.64,519(137)

ジム・ヨン・キム(米国)

国際開発協会 (IDA) 1960.9 緩和された条件での融資・贈与 173 1960.12 2454.3

(出資総額) 1,367.4

国際金融公社 (IFC) 1956.7商業ベースでの融資・保証・投資(民間企業対象)

184 原加盟 25.8(授権資本) 373.6 1,310

(35)

多数国間投資保証機関 (MIGA) 1988.4 非商業リスクの保証(民

間対外直接投資を対象) 181 原加盟 20.2(授権資本)

141.9(保証残高)

79(1)

アジア開発銀行(ADB)

通常資本財源(OCR) 1966.8 準商業ベースでの貸付・

保証・投資

67

原加盟 1,470.5(授権資本) 619.4

1,095(154) 中尾武彦(日本)

アジア開発基金(ADF) 1974.6 緩和された条件での融

資 原加盟 316.0(割当額累計) 272.1

米州開発銀行グループ

米州開発銀行(IDB)

通常資本 (OC) 1959.12 準商業ベースでの貸付・保証48

1976.7 1709.4(授権資本) 787.5

1,758(17)

ルイス・A・モレノ(コロンビア)

特別業務基金(FSO) 1959.12 緩和された条件での融資・保証 1976.7 102.4

(拠出総額) 45.0

多数国間投資基金 (MIF) 1993.1

無償資金供与及び緩和された条件での融資・投資

39 原加盟 17.2(拠出総額) 1.6

米州投資公社 (IIC) 1986.3商業ベースでの融資・保証・投資(民間企業対象)

45 原加盟 12.5(授権資本) 9.9 101

(1)

アフリカ開発銀行グループ

アフリカ開発銀行(AfDB) 1964.9 準商業ベースでの貸付・

保証・投資 80 1983.2 928.1(授権資本) 181.1

1,215(8)

アキンウミ・アデシナ(ナイジェリア)

アフリカ開発基金(AfDF) 1973.6 緩和された条件での融

27か国及びアフリカ開発銀行

原加盟 362.0(出資総額) 135.8

欧州復興開発銀行

欧州復興開発銀行(EBRD) 1991.3

商業ベースでの融資・保証・投資(民間企業中心)

65か国、EU及び欧州投資銀行

原加盟300

(授権資本)(億ユーロ)

415.7(億ユーロ )

1,602(15)

スーマ・チャクラバルティ(イギリス)

(参考)

国際通貨基金 (IMF) 1945.12

国際通貨制度の安定性の確保のためのサーベイランス(監視)、融資、技術支援等

189 1952.84,767.8

(出資総額)(億 SDR)

553.9(億 SDR)

2,231(56)

クリスティーヌ・ラガルド(フランス)

※日本人専門職員数はマネジメント(管理職)を含む数字※ ADBの職員数は ADBI を含む。

(2016 年 10 月現在、公表されている資料に基づく数字)

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21

MDBs で活躍する日本人職員

22 MDBs で働く日本人職員の声

24 YPP(Young Professional Program)、JPO(Junior Professional Offi cer)採用者からのメッセージ

26 MDBs 人事担当者からのメッセージ

28 MDBs 採用関連情報一覧

ここではMDBs で働く日本人職員や人事担当者からのメッセージをご紹介いたします。日本政府は、より多くの熱意ある日本人職員の採用をMDBs に強く働きかけており、各MDBもその声に応えるべく採用活動を行っています。例えば世界銀行等では、若手専門職員養成プログラムである YPP(Young Professional Program)や将来の正規職員となるために必要な知識・経験を積む機会を提供する JPO(Junior Professional Offi cer)等様々な採用窓口を設けています。ご紹介する、日本人職員や人事担当者からのメッセージを通じて、MDBs で働くことに興味・関心を持っていただければ幸いです。

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Page 24: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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MDBs で働く日本人職員の声

世界銀行南アジア地域総局長西尾 明彦

私は海外経済協力基金(当時)の東京本部で 5 年間働いたあと、1988 年に Young Professional Program(YPP)を通じ世界銀行に入行しました。インドネシアの農村開発、中国における後発地域への支援 , 低所得国のため資金調達などに従事した後、現在はインド、アフガニスタン、パキスタンといった 8カ国を担当する南アジア総局の戦略業務担当局長としてワシントンDC本部にて勤務しています。世界銀行グループは貧困削減や開発支援を目的とし、教育、都市開発、ダムや道路などの 1700 のプロジェクト(約 21 兆円)を 100 カ国以上に融資しています。プロジェクト内容だけでなく、世界銀行のスタッフの経験や専門性も多岐に渡り、世界各国から人が集まっています。このような環境で私にとって重要な財産となったのは、何人もの優秀で魅力的な上司に仕えたことです。たとえば私が IDA という低所得国向け資金の増資交渉を担

当していたときの上司は人生の修羅場をいろいろくぐってきたスケールの大きい人でした。若い頃白人でありながら南アフリカの反アパルトヘイト(人種差別政策)運動で活躍し、政治犯として投獄された後に国外追放されたのです。部下には厳しい人でしたが、私を本気で鍛えてくれました。彼について忘れられない経験は、失敗すると誰もが予想していた 40 近い援助国との債務削減交渉でのこと。会議前に事務局の我々が沈んだ顔をしていたら、彼はこういうときには笑え、そうすれば運も回ってくるぞ、とハッパをかけたのです。いざ会議が始まると議長である彼は参加国間に潜んでいた数々の共通意識を丹念に一つずつ洗い出し、一日が終わる頃にはまさかと思われていた合意が成立していたのでした。世界銀行のカルチャーは、我々はカラーブラインド(色盲)と言っていますが、要するに人間の肌の色は関係ないということです。肌の色で友人であるとかないとか、仕事ができるとかできないとか、判断する人はいません。むしろ一人の人間として何を提供できるのか、貧困撲滅という大きな目標に一個人として何を貢献できるのか、試される所です。実力を発揮した人には、どんどん重要で面白い仕事が任されます。是非多くの方々に世界銀行の業務内容を知っていただき、自分の能力を試し磨く職場として興味を持っていただけたらと期待しております。

アジア開発銀行 (ADB)東南アジア局次長小川 典子

アジア開発銀行(ADB)に入行してから、21 年目に入りました。現在は東南アジアの国々に支援を行う局の次長をしています。入行してからこれまでの間、戦略政策企画局の開発成果重視の業務管理(リザルツマネジメント)課長、副総裁(知識管理)顧問、太平洋諸国局、中央東アジア局、また広報部のスタッフなど、多様な業務に携わってきました。大学生のころからぼんやりと経済開発問題に興味がありましたが、この分野でのキャリアを目指そうと決心したのには 2つのきっかけがありました。一つは大学院在学中に経験した米州開発銀行でのインターンシップ。丁度、環境的 ・社会的に持続可能な開発を求める声が高まり始めた頃で、開発支援への関心が一層高まりました。もう一つはアメリカの投資銀行に勤務していた時に滞在していたメキシコでの経験。貧富の差を目の当たりにして衝撃を受け、途上国支援に携わろうという意志が強まりました。

ADB の魅力の一つにはスタッフ間のチームワークの強さがあります。一つ一つの事業は、経済学やエンジニアリングを始め、環境や社会開発、ジェンダー、法律、プロジェクト管理などの様々な専門家からなる チームが担当します。多種多様な専門性と様々な途上国経験と知識が重なり合って、より貢献度の高い事業が出来上がっていくのです。この過程には、20年経った今でも感動します。ADB のもう一つの魅力としては、改革精神の高さが挙げられます。アジアは世界の中でも最も急速に成長を遂げているダイナミックな地域です。当然、開発途上加盟国からの要求もより付加価値の高い洗練されたサービスへと移行しています。そういったアジアで貢献度の高い開発銀行であり続けるため、ADB は常に前向きに戦略を立て、業務と組織の改革に取り込んでいます。昨年は ADB の長期戦略『ストラテジー2020』の中間レビューを終え、これに基づく改革計画を立ち上げました。主な改革分野としては、事業の実効性を重視したプロジェクト実施管理能力の改善、各国駐在事務所への意思決定権限の委譲と組織強化、民間部門業務の強化などがあります。「貧困のないアジア太平洋地域」というビジョンの実現の為に、知識と情熱をもったスタッフがチームとなって活躍する ADB でのキャリアはとても手応えのあるものです。より多くの日本人の方が、私たちと一緒になって ADBで活躍して頂けることを願っています。

私は 2011 年終わりに米州開発銀行(IDB)に入行し、以来社会開発分野のプロジェクト業務に従事しています。IDB の社会開発局が取り組むテーマは、教育、保健、社会保障、労働市場、年金、ジェンダー、先住民など多岐にわたります。入行してから 3年間は南米パラグアイのカントリーオフィスで勤務し、こうした分野のプロジェクトマネジメントに携わっていました。その後ワシントン本部に移り、現在はラテンアメリカ・カリブ海諸国で実施されている社会開発プロジェクトのポートフォリオ管理、品質・リスク管理、新規プロジェクトの立案に関わっています。開発に興味を持った最初のきっかけは、中学時代に世界の貧困問題や経済格差を取り上げる授業を受けたことでした。その後大学で中南米の地域研究を専攻し、在学中に IDBでインターンを経験したこともあって、開発分野の仕事をしたいと思うようになりました。卒業後は日本の開発コンサルタント会社に就職し、IDB に入行するまで、主にラテンアメリカ諸国で政府開発援助(ODA)プロジェクトの計画立案、実施、評価

業務に従事していました。IDB で仕事をすることの魅力としては、地域密着型の国際機関だということ、チームワークの強さ、仕事のダイナミックさ、そしてオープンな文化が挙げられます。IDB はラテンアメリカ・カリブ海の 26 カ国にカントリーオフィスを構えていますが、カントリーオフィスにいると特に相手国との間に築かれた信頼関係や、その国に対する理解や情熱があるからこその対話や協議が行われていることを強く感じます。またプロジェクトを立ち上げ、実施する過程には、例えば教育プロジェクトであれば教育の専門家はもちろんですが、そのほかモニタリング・評価、環境、ジェンダー、ファイナンス、調達、法律など、さまざまな分野の専門家が参加し、一丸となって仕事をします。多種多様なバックグラウンドや専門性を持った人たちとチームを組み、カウンターパートと日々話し合いを重ねながら一歩ずつプロジェクトを進めていく過程は、地道ながらダイナミックで常に学びや刺激に富んだものです。さらに自分にはない専門知識を得たい時、ある国やプロジェクトの情報や経験を知りたい時などは、異なる部署の全く面識のない人にも気軽に相談できるというオープンな雰囲気も IDB の良いところだと感じています。ひとくくりにラテンアメリカ・カリブ海諸国と言っても国によって経済、社会、文化はさまざま、開発援助のニーズも多様でかつ徐々に変化しています。その分色々な専門性や経験を活かすチャンスに溢れていますので、ぜひより多くの方に IDB に興味を持って頂けたらと思います。

米州開発銀行 (IDB)社会開発局朝倉 麻耶

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アフリカ開発銀行 (AfDB)上級投資官 民間局インフラストラクチャー・ファイナンス& PPP 課木下 直茂

私は 2011 年末にアフリカ開発銀行に入行して以来、民間局のインフラ投資官(Investment Offi cer)としてアフリカ大陸のプロジェクト業務に従事しております。2014 年にアフリカ開発銀行の本部がチュニジアからコートジボワールに移転したことから、現在はコートジボワールの最大都市であるアビジャンにて勤務をしております。アフリカ開発銀行への就職は 2010 年末の東京リクルートミッションへの参加をきっかけとして実現しました。既に入行した時点で総合商社、外資系エネルギー会社、通信会社において 20 年近くのキャリアを経験しており、まさに人生の折り返し地点における挑戦でした。というのも、それまでもインフラの業務には携わっていたものの、国際機関や銀行業務の経験はなく、アフリカを訪問したこともほとんどなかったからです。それでも途上国支援の仕事に携わろうとした理由は、学生時代にメキシコに留学し、中南米における内戦や貧困の様子を垣間見たこと、さらに総合商社や通信会社において、アジア、中東、そして中南米における情報通信、交通、保健、電力のプロジェクトを経験し、インフラの開発を通じて途上国の発展に寄与したいという思いが強かったからです。私が手掛けているプロジェクトは電力、交通や水の分野で、関わって

いる国は南アフリカ、ケニア、ルワンダ、モロッコ、チャドなどです。投融資は民間の事業体に対するもので、その手法はプロジェクト・ファイナンスと呼ばれるものです。プロジェクト・ファイナンスではスポンサーやレンダー、さらには弁護士やアドバイザー他の多くのステークホルダーが世界中から集まり、それぞれ駆け引きが行われながらプロジェクトが組成されていきます。行内においては投資官がプロジェクト審査チームを取り纏め、承認プロセスを進めていきます。そこでは金融の専門性や技術的な知識、さらには事業の分析力や情報収集力が要求されますが、それ以上に求められるのがクライアントのニーズを察する営業力や行内外の関係者に対する交渉力、さらには様々な国や文化を背景とする人々と付き合う人間性であり、極めて泥臭い能力が求められます。入行した当初は電話会議における様々な英語のアクセントの聞き取りと大量の関連書類の読み取りに苦労しました。また銀行業務を経験していなかったため、同僚達に教えを請いながら仕事を進める必要がありました。毎日が苦労の連続で何度も壁にぶつかりましたが、3年を過ぎたころから、ようやく複数のプロジェクトをリードできるようになりました。それが出来たのは世界中から集まっている仲間に支えられたことと、アフリカ大陸の大らかさに助けられたからだと思います。今から振り返ると、生まれ育った日本で教えられた物事に対して誠実に向き合う姿勢が信頼を得るうえで重要な要素であったとも思っております。現在アフリカ開発銀行の日本人職員は 14 人です。アフリカは可能性に満ちた大陸であり、毎日が新たな発見の連続です。多くの日本人の皆さんが当行に応募し、共にアフリカの開発を目指すことを希望しております。

民間・国際機関勤務の総まとめとしての事後評価部私が大学の法学部を卒業しフランスの銀行の東京支店に入行したのはなんと雇用機会均等法以前の時代です。それから東京・パリ・ロンドンと引越す 15 年間、民間の金融機関で貿易金融、法人融資、仕組みファイナンス、プロジェクトファイナンスを経験する傍ら、米国でMBA、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で社会科学の修士をとりました。特にロンドンで PFI や PPP が本格化し始めた 90 年代前半に案件に取り組めたことは貴重な経験です。私が市中銀行の仕事に疑問を持ち始めたのも 90 年半ば、証券化という新スキームが現れ、急激に流行り始めた頃です。リスクの観念、経済パラダイムが変化しているのを実感し、マーケットを離れて公的金融機関に応募することにしました。マニラのアジア開発銀行(ADB)で中国や東南アジアの交通、通信インフラ造りの財務専門家として 5年間従事し、EBRD の事後評価部に採用されました。国際機関では古い事後評価機能ですが、その技術・方法論は日々発展しています。国際機関の株主である各国の納税者や市民が経済危機を経て「結果を出したと主張するならちゃんと見せろ」とソーシャルメディア等を通じ積極的に意思表示するようになったことも一因です。このよ

うな流れを受け、昨今公的機関では事後評価機能は珍しくなくなりました。事後評価部は民間にもある内部監査やコンプライアンスとは違い、銀行機能から独立して理事会の下に位置します。EBRD がその設立趣旨に則った仕事をしているか、案件や政策を実施した結果から判断しますが、「事後」というのが重要です。どの組織でも事前評価の手法は昔から発達していますが、事実と比べなければ所詮「夢物語作り」です。この夢物語度を測り、学ぶべきことを咀嚼し、組織の意思決定者や実行者にフィードバックするのが事後評価者で、各国民に対し説明責任を負う国際機関では不可欠な存在です。さて事後評価者に求められる要素は・・・イチロー選手のように打って、守って、走るオールラウンドプレイヤーであること。またGeneral specialist である以上に Special generalist であること。規準、指針と透明性の高い方法論をマスターし、偏見や先入観にとらわれない公平で客観的な人間性等々。これが理想ですが、現実は私自身が今でも悪戦苦闘しています。EBRD は大半の顧客が民間なので公的投融資という意識が薄い職員もいれば、設立趣旨である市場経済移行への貢献が低いと評価され怒って詰め寄ってくる人もいます。不成功だった案件のカギはガバナンスと透明性だったということも往々にしてあります。いろいろな意味で日本人には難しい仕事ではありますが、国際機関を目指している皆さんに、民間にはない機能があることを参考にして頂ければ幸いです。

欧州復興開発銀行 (EBRD)プリンシパル評価マネージャー・事後評価部桜井 洋美

あなたもMDBs で働いてみませんか?

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YPP(Young Professional Programe)、JPO(Junior Professional Offi cer)採用者からのメッセージ

金平 直人:1977 年富山県出身。2000 年慶応大学総合政策学部卒、2008 年ハーバード大学ケネディ行政大学院・MIT スローン経営大学院修了。大学在籍時モバイルインターネット分野で起業、卒業後マッキンゼー・アンド・カンパニーにて主に通信・電機・自動車業界の成長戦略策定に携わる。留学を機にUNDP マケドニア事務所およびコソボ ICO/EUSR(欧州連合特別代表部)にて民族融和と民間セクター開発に従事。非営利法人ソケット代表を務める傍ら2010年にYPとして世界銀行に入行、欧州地域・南アジア地域の産業競争力研究、中小企業振興、イノベーション政策を担当。現在は予算編成・業績評価・戦略企画総局にて戦略・財務に係る経営層の意思決定と施策実施を支援。

世界銀行ワシントンDCの世銀本部の正面入口に掲げられた「Our Dream is a World Free of Poverty」という言葉。世銀にとって、また世銀を株主として所有し活用する 189 ヶ国にとって、貧困のない世界はいつどのように「夢」から「現実」になるのでしょうか。経済成長の減速に加え気候変動や自然災害が貧困に影響を増し、安定国から紛争・脆弱国へ、農村部から都市部へと貧困の重心が移行するにつれ、求められる政策支援もマクロな構造調整や大規模インフラ中心の公共投資から社会保障などラストマイルの行政サービス、またジェンダー、貿易・食料安全保障から雇用・産業競争力まで範囲の拡大を続けています。中東から欧州への難民や感染症をはじめ、先進国による途上国支援という従来の枠組みを超えた課題も増加の一途を辿ります。他方、G20 やダボス会議のようなハイレベルフォーラム、アジアインフラ投資銀行など新興機関から民間主体や市民社会まで、地球規模課題を取り巻く政策対話・資金拠出・知識協業の幅と深みは増す一方で、個別の開発機関には自らの比較優位を活かし他と補完し合う選択的な関与の仕方、

すなわち戦略が益々求められています。世銀グループは世界中で、経済成長と貧困削減に関わるあらゆる部門で仕事をしています。担当する国や課題、相手先機関や当事者個々人の実情に応じて、私達が実務家として日々体験する困難や達成感、或いは未達成感は実に様々です。たかだか 1万人強の組織、借入国 120 ヶ国強の GDPの 0.2%に満たない融資規模の世銀が、これほど圧倒的に困難な課題解決を如何ほど左右しうるのか。誤解を恐れず私見を述べるなら「世銀で出来なければ世界で他の誰に出来るだろうか」との自負が、多くの世銀職員を突き動かす原動力に思えます。経営企画に携わりながら世銀の幹部や職員を深く知るにつれ、その能力と規律と情熱、また謙虚さや親身に後進を育てる姿勢に感銘を受けます。益々複雑化し緊急度を増す開発課題に応じるべく、財務基盤を確立し組織能力を強化する現在の取り組みは、おそらく過去数十年で最も抜本的なものです。2030 年に振り返って貧困のなくなった世界を共に祝う仲間が、日本からもより多く参画してくれることを願ってやみません。

近藤 沙千子:世界銀行、環境天然資源管理グローバル・プラクティス所属、天然資源管理専門家。東京大学農学部卒。政策研究大学院大学国際開発研究修士。大学院卒業後、現NTC インターナショナル株式会社のコンサルタント会社に所属し、国内の農村開発事業に約 2年、海外の農村開発事業に約 6年半従事。技術士農業部門。リベリア事務所にて、漁村コミュニティ開発支援する JPOのポストを見て応募。2011 年世界銀行入行。リベリア事務所に約 3年勤務した後、2015 年よりワシントンDC本部勤務。主に、西アフリカの水産資源や森林資源の持続的利用を目指したプロジェクトに従事。

JPO から世銀へ世界銀行は、2030 年までの貧困削減、発展途上国での所得拡大の促進という二つの目標に向かっています。短期的な一点の貧困削減に止まらず、中長期的な視点も持っての貧困削減、そして、対象地域も世界全体でのバランスを考えており、私が関わっている天然資源管理の分野は正に、この姿勢を象徴しています。西アフリカの漁業支援プロジェクトは、今ある漁業資源を如何に持続的に活用し続けていくか、目の前にある貧困削減を目指すのと同時に、次世代の貧困を防ぐべく未来へも資源を残し、一国一国では管理しきれない海境を越えて移動する回遊魚を地域で管理する事を考え、また同じく海境を越えて地域で操業する漁船も共同で管理しようと、西アフリカ地域が一体となって進めているプロジェクトです。私は 2011 年世界銀行にジュニア・プロフェッショナル・オフィサー

(JPO)として入行、約 3年間を西アフリカのリベリア事務所で過ごし、リベリアを拠点に、シエラレオネやガーナのプロジェクトを支援した後、2015 年より本部に移動しました。先の漁業支援プロジェクトも、フィー

ルド及び本部で支援しています。本部だけでなく、各国に事務所があり、プロジェクトの形成から実施そしてフォローアップまで現地にて密にサポートできる体制があるのも世銀の強みです。更に最近では、各分野にとらわれず、分野を越えた連携も図られています。漁業プロジェクトを例にとっても、漁業の法整備にあたってはガバナンス専門家の支援を仰ぎ、魚の燻製用木材として利用されるマングローブの持続管理に当たっては森林プロジェクトと合同で関係者会議を開催したり、道路プロジェクトと販路となる道路の整備を検討したり、電化プロジェクトと冷蔵冷凍施設への電力供給の可能性を模索したり、また漁獲物の販売促進のための民間セクターの呼び込みにあたっては世銀グループの国際金融公社(IFC)と可能性を模索しています。課題も多いですが、このように、時、場、思考、セクター、どれをとっても幅広くダイナミックなのが世界銀行の面白さであると実感しています。私はまだ数年しか経験していませんが、これからも、より多くの人々が世界銀行で勤務する機会を得、この面白さを一緒に感じられると嬉しいです。

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池本 紘之 : 戦略政策局・戦略・政策・機関関係課所属。高校時代に福祉と行政の関係に関心をもち、国際機関での就職を夢見て、英語で専門性を高めるため学士留学を決意。London School of Economics 社会政策・行政学部卒。Institute of Education 教育経済学修士。海外経済協力基金、国際協力銀行を経て、2002 年に YP として入行。南アジア局で、バングラデシュ、ブータン、ネパール、パキスタンの教育事業で実務経験を積み、2008 年からインドのマディヤプラデッシュ州、ウッタラーカンド州、ビハール州、西ベンガル州の上下水道、廃棄物処理事業への資金協力を担当。2013 年より現職。

アジア開発銀行(ADB)融資承諾までの道は険しく、同局の専門家達と多国籍チームを組み、事業実施機関との政策対話や事業計画の調査を経て、膨大な量の分析を手分して行い、環境社会配慮、気候変動、財務経済分析、調達、法規等を専門とする各部局との協議を踏まえた十数ページからなる調書を、通常約一年以内に作成します。また事業を精査する際、新しいアプローチや技術の導入の可能性を模索し、行内に蓄積された経験と知恵を活用して、より効果的で且つ効率的・持続可能な手段を提案し、ADB が資金協力することの付加価値を高めることが絶えず求められています。資金協力は ADB 業務の花形ですが、そこには一連の作業を敏速且つ効率的に行えるよう手続きを改善し、また急速に多様化する借入国のニーズに対応できる柔軟な融資手法や民間や他機関と協調しやすくする手段を考案し、必要な資金をより良い形でより速く届けるための仕組みを構築していくといった、絶え間ない努力が存在します。これらを担う戦略・政策局に 2013 年に異動し、12 年間の業務経験を ADB に還元すべく、融資手続きの効率化や、融資手法の改良等に取り組んでいます。

2014 年に発表された ADB の中期戦略「Strategy 2020」の中間見直しでは、アジア・太平洋地域における 2020 年までのインフラ投資への資金需要額は8兆ドル以上と試算されています。また2050年までには、域内人口の 2/3 以上が都市に移り住むと予想されるところ、都市における生活の質や生産性の包括的な向上を支援し、さらなる社会的調和のために極度の貧困の撲滅と脆弱性や格差の軽減を追求することが、業務の重点項目の一つとして挙げられています。2017 年にはアジア開発基金(ADF)の融資業務が通常資本財源(OCR)のバランス ・シートに統合され、年間承認額が 5割増しとなります。域内の莫大な資金需要、ニーズの多様化、敏速な対応への期待、更なる付加価値の創造と向上、そして業務の拡大。域内のさらなる経済発展の為に、こういった挑戦に色々な観点から向き合い、ADB をより良い、より速い、より強靱な組織へと進化させる仲間が日本からより多く参画してくれることを期待しています。

佐々木 啓介:米州開発銀行、インフラ・環境局水・衛生課所属。2014年に同課にヤング・プロフェッショナルとして入行。ラテン・アメリカ全域の上下水道や固形廃棄物関連の案件の財務・組織・制度面での持続性に係る分析や提言を担当。入行前は、国際協力銀行に勤務。財務省に出向し主に環境分野におけるMDBs のファンドオペレーション関連業務に従事したことをきっかけに、MDBs 業務への関心を高める。カルロス三世大学MBA、東京大学経済学部卒。

米州開発銀行(IDB)「安全な水とトイレを世界中に」は、2015 年に国連総会で採択された持続可能な開発目標の 1つです。これは世界には水や衛生施設を当たり前のものとして利用できている人とそうでない人とが存在するという格差(例えば、自宅で蛇口をひねれば水が利用できるのは世界の人口のたった 58%に過ぎません)をなくすことを意味しています。この格差には様々な影響があります。汚れた水や不衛生な環境は感染症を引き起こしますし、衛生的なトイレのない学校には子供も通いたくありません。他方、今後世界の水不足は、人口増加(食料増産の必要性)や気候変動の影響から深刻化すると言われており、その中で前述の格差を解消していく必要があります。この切実な問題を解決するための支援をしている水・衛生課 (Water and Sanitation Division) に、ヤング・プロフェッショナル(YP)として2014 年に配属されました。YP プログラムは期間 2年で、原則として 1年ずつ 2つのポストに就くこととなっており、短期間で配属先部署の役割を理解し成果を出すことが求められます。前職で積んだ経験を活かしつつ、主に財務・組織・制度面での持続性の向上に何が必要かという視点で水・衛生課の融資案件や技術協力案件等に関わっています。地理的には遠いラテン・アメリカですが、日系人の活躍などから親日的な国が多く存在します。初めての出張先となったパラグアイもその

うちの 1か国、日系人が約 7,000 人暮らし、東日本大震災の際には豆腐100万丁支援プロジェクトが立ち上げられました。そんな絆を感じつつ、人々の健康や環境の改善にもつながる下水整備プロジェクトに携わりました。まだ周りから吸収することが多いものの、同僚たちとディスカッションしながら、ラテン・アメリカ各国の課題解決を効果的に支援するアイデアを具体化し、実施するために努力しています。課題は尽きないことから、新しいことにチャレンジし創意工夫する余地には限りがありません。米州開発銀行グループ全体を俯瞰してみると、各国の多様な実情を反映し、インフラ、防災、気候変動、金融、IT、教育、ジェンダー、統計、治安、民間セクター支援など、ありとあらゆる分野で大小さまざまな案件が実施されています。一案件の実施にも、エンジニア、エコノミスト、環境スペシャリスト、調達スペシャリスト、弁護士など、多くの職員がチームリーダーの下で一丸となって働きます。更に、そうした案件の実施を支えているリスク管理、資金調達、人事、広報などの分野でもその道の専門家が働いています。どのような分野の専門性であれ、また年齢に拘わらず、課題先進国ともいわれる日本で磨いてきた力を発揮し活躍できる場が見つかるはずです。是非、その力をラテン・アメリカの人々のよりよい未来のために!

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MDBs 人事担当者からのメッセージ

世界銀行グループには 173 か国から集まっ

た 15,000 人以上のスタッフが勤務しており、

その専門範囲は、経済、公共政策、国際金融、

教育、エネルギー、交通、水、保健、社会科学、

環境、民間セクター開発、気候変動、ジェンダー、

雇用、脆弱国支援といった多くの分野横断的な

領域にわたっています。

このような人材の多様性は世界銀行グループ

が持つグローバル性を示しており、使命の実現

のための幅広い視点を生み出すことにつながっ

ています。スタッフの ”Diversity and Inclusion”

は世界銀行グループの優位性の核となる部分で

あり、持続可能な開発を促進するグローバル機

関として、クライアントニーズへのフォーカス、

対応力の強化、現場での成果の向上のために不

可欠なものです。

幅広いバックグラウンドや経験、価値観を持

つ世界銀行のスタッフは貴重な財産であり、私

たちはそのスタッフの貢献が評価される開放的

な職場環境づくりに努めています。そのために

世界中から有能な人材を採用し、多様性が尊重、

評価される環境を作り出しています。

有能で多様な若手・ミッドキャリアのスタッ

フには、幅広い専門的分野で働くことのできる

機会が用意されています。スタッフには高い学

術的バックグラウンドと開発問題についての広

範な理解、国際的な実務経験が求められます。

世界銀行グループは、修士号を保有し、かつ関

連分野での 5年間の実務経験を求めています。

ミッドキャリアのスタッフは、修士号と共に 8

年間の実務経験が必要とされます。このほかに

も、世界銀行グループは若手の人材に対して、

ヤング・プロフェッショナル・プログラム、ア

ナリストプログラム、インターンシップ等、多

くのユニークな制度を提供しています。

政策レベルでの開発問題への広範な理解や国

際的な実務経験は、極めて重要視されます。ま

た英語に加えてアラビア語、中国語、フランス

語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語といっ

た言語能力も必要とされることも少なくありま

せん。

世界銀行グループ本部はワシントンDCにあ

りますが、スタッフの 3分の 1 以上は全世界

120 か所以上の現地事務所で勤務しています。

私たちは、組織にとって大事な強みとして、多

様な人材を採用、活用することに重点を置いて

います。

世界銀行人事担当副総裁開発の最前線を担う世界銀行スタッフ

アジア開発銀行予算・人事・経営システム局長大矢 俊雄アジア開発銀行(ADB)の良いところは何で

しょう? ADB には世界 59 か国(うち 18 か国

がアジア太平洋以外の国)からスタッフが集っ

ています。みんなどのようなやり甲斐生き甲斐

を持って働いているのでしょうか?

我々は、「敷居の低い」・何でもすぐに相談で

きる・ファミリードクターのような存在を目指

しています。いつも身近にいてあげられれば、

悲しみの顔が笑顔に変わるのも見ることが出来

るのです。

ファミリードクターとしては貧困に苦しむ人

を減らすために治した方が良い所を見つけた

ら、すぐに治療を始めないといけません。いろ

いろな専門家が必要です。世の中は変わってい

ます。少しのお金で大きな効果があるのなら、

IT や新エネルギー、地震に強い鉄道等の新しい

分野についても ADB 自身が専門性を高めてい

く必要があります。

「あなたにしか出来ないことはあります

か?」イエスと答えられる人を集めれば、我々

はアジアの隅々まで笑顔に変えられる。「I can

make a diff erence, for Asia」と胸を張って言え

る人を求めています。もし今、貴方がそれを

持っていなければ、今から磨けば良いのです。

Nothing is too late.

日本は ADB の最大拠出国です。140 人以上

の日本人職員は皆、匠(たくみ)の気概と技を

持って仕事をしています。日本人が日本以外の

人のために我が身を尽くす。技を磨く、素晴ら

しいことだと思いませんか?

昨今の経済・金融危機や気候変動などグローバルな課題への対応が求められるなか、MDBs の果たす役割はますます重要となっています。我が国は、より多くの熱意ある日本人職員の採用を各MDBに強く働きかけており、各MDBもリクルート・ミッションの我が国への派遣等、その声に応えているところです。MDBs では専門分野での経験・実績のある即戦力の人材が求められていますが、その他にも、若手専門職員養成プログラムであるヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)や、将来の正規職員となるために必要な知識・経験を積む機会を提供するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)等、様々な採用プログラムが設けられています。

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米州開発銀行人事局長Claudia Bock-Valotta米州開発銀行(IDB)は中南米カリブ地域に

おける持続可能な開発を使命とする開発金融機

関です。1959 年に設立され、地域開発金融機

関では最も古い歴史を有しています。融資、保

証、技術協力、政府との対話といったツールを

用いて、開発途上各国のあるいは地域全体の経

済・社会開発の促進に貢献しています。IDB は

今後も、(1)貧困削減及び格差是正、(2) 気候

変動及び再生可能エネルギー対応という 2つ

の大きな課題の達成に取り組む予定です。

IDB が開発途上各国のパートナーとして使命

を実現するためには組織の貴重な資産である人

材が重要な役割を果たします。ワシントン本部、

中南米カリブ地域の 26 地域事務所、東京、マ

ドリッド事務所で毎年約 150 人を採用してい

ます。募集はホームページ (URL: http://www.

iadb.org/en/careers/careers-at-the-idb,1165.

html ) に随時掲載されます。現在は人材の多様

化、特にジェンダーバランス・管理職への女性

の登用を進めています。

新規職員は各種研修プログラムに参加しま

す。また多様な分野における経験を積ませるこ

とで様々なキャリア開発支援の機会を提供しま

す。

IDB は高い専門性とともに、固定観念にとら

われない柔軟な考え方、何より開発途上国支援

への熱い想いを持つ人材を求めています。皆様

のご応募をお待ちしています。

アフリカ開発銀行人事局長David SSEGAWA1964 年に設立されたアフリカ開発銀行

(AfDB)は、アフリカにおける持続可能な経済

成長及び貧困削減を実現することを使命として

います。最近 AfDB はアフリカの成長の質の改

善のために、インクルーシブな成長とグリーン

成長への移行の二つの目標を柱とした長期戦略

(2013-2022 年)を策定し、その実施にあたり

エネルギー、農業、工業化、地域統合及び生活

の質の向上という 5つの重点分野(ハイ・ファ

イブ)を定めて活動しています。AfDB が直面

する課題に対応するため、日本を含む全世界か

らの支援を必要としています。

加盟 80 カ国の結束を基盤とした文化および

国籍の多様性が AfDB の強みです。そのため日

本のように職員数が少ない国籍からの採用を進

めています。またジェンダーバランスに鑑み、

女性の応募もお待ちしています。

AfDB は各部局で必要とされる専門的能力の

他、多文化環境への適応力があり、アフリカ開

発に意欲的な人物を求めています。AfDB が現

在取り組んでいる重点セクターは日本人が高い

能力を持つと評判の分野であり、皆さんがこれ

らのセクターで活躍していただくことを期待し

ています。

正規職員に加えて、32 歳以下の人材を対象

にしたヤング・プロフェッショナル・プログラ

ム(YPP)や 30 歳以下の修士課程在籍者を対

象としたインターンシップも実施しています。

AfDB は福利厚生も手厚く、フレックスタイ

ムを採用しており、人やイノベーションに焦点

を当てたフレキシブルな職場環境を提供してい

ます。アフリカ開発に熱意のある方々は是非ご

応募下さい。また、リクルートミッションも実

施していますし、2012 年 10 月に開所した東

京事務所でも、詳しい情報を入手できます。

欧州復興開発銀行人事局総局長Adrian Cojocaru- 違いをもたらす投資 -

欧州復興開発銀行(EBRD)は 20 年以上にわた

り市場での資金調達が困難なプロジェクトを支

援してきています。EBRD は 65 か国、欧州連

合(EU)及び欧州投資銀行(EIB)によって構

成され、中央アジアや地中海南部及び東部地域

の国々を含む欧州 30 か国以上を対象に支援を

行っています。EBRD の活動は民間及び公的セ

クターの両方にわたり、また国家などを株主と

する点において民間商業銀行に比べリスクに対

する耐性が高いという強みを持っています。

たとえばチェルノブイリ原子炉の長期にわたる

安全性確保やアラブの春を受けての民主主義経

済への移行促進など、様々な課題をもつプロ

ジェクトへの取組みをはじめ、EBRD における

職務経験は他では経験できないかけがえのない

ものとなるはずです。あなたが下す決断や調達

した資金により支援対象国全体への支援が行わ

れ、そこに暮らす数多くの人々の生活が変わる

こともあります。時には我々の支援対象先の中

でも最も辺境な地における小規模ビジネスを可

能とするかもしれません。

あなたが銀行家であれ、エコノミストや弁護

士、IT 専門家であれ、EBRDはあらゆる場で様々

な挑戦しがいのある機会を幅広く提供します。

EBRD は支援対象地域において、その能力を最

大限発揮する真の国際機関となるため、特に日

本人の皆様のご応募を大歓迎しております。

最新の募集状況やメーリングリストへのご登録

は、以下のウェブサイトを御覧ください。

www.ebrdjobs.com

We invest in changing lives.

MDBs 総裁・副総裁 写真提供 ADB

※ 所属・役職は執筆時のもの。

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Page 30: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

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MDBs 採用関連情報一覧

  主な採用職種 応募資格 応募期間 備考関連ホームページ

(採用についての詳細情報)

世界銀行グループ

YPP

・採用時32歳以下・関係分野の修士号または博士号・3年以上の実務経験・高度な英語力

(例:2016年)6月15日~7月27日

・勤務期間は2年間・プログラム終了後、幹部候補生として採用の可能性

採用関連ページhttp://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/careersリクルートミッション実績(2016年3月)http://www.worldbank.org/ja/news/feature/2015/11/19/recruitment-mission-2016

JPO

・採用時32歳以下 (30歳以下を優先)・関係分野の修士号・2年以上の実務経験・英語で職遂行可能

(例:2016年)1月20日~3月24日

・勤務期間は2年間(契約更新可能)

ミッドキャリア

・関係分野の修士号または博士号・5~8年以上の実務経験・英語で職務遂行可能

(例:2016年)1月20日~3月24日

・勤務期間は2~4年間(契約更新可能)

アジア開発銀行

YPP

・採用時33歳以下・関係分野の修士号保有者を優先・3年以上の実務経験

(例:2015年)・選考期間は1月~3月・応募者は事前にオンライン登録

・勤務期間は3年間・プログラム終了後、正規職員(幹部候補生)として採用の可能性

採用関連ページhttp://www.adb.org/site/careers/main

米州開発銀行

YPP

・採用時32歳以下・英語、スペイン語が堪能・関係分野の修士号・2年以上の実務経験 

(例:2015年)・応募受付は6月17日~7月31日・10月、候補者に対する面接・翌2016年1月、契約開始※応募期間は年によって変わる可能性あり

・勤務期間は2年間 ・プログラム終了後、正規職員(幹部候補生)として採用の可能性

採用関連ページhttp://www.iadb.org/en/careers/career-opportunities,1821.html

アフリカ開発銀行

YPP

・採用時32歳以下・関係分野の修士号・3年以上の実務経験・英語・フランス語の優れた能力

(例:2014年)・9月中旬~10月初旬応募受付・書類審査、インタビュー・合格者には翌2015年3月に通知

・勤務期間は3年間・プログラム終了後、正規職員(幹部候補生)として採用の可能性

採用関連ページhttp://www.afdb.org/en/careers/current-vacancies/

欧州復興開発銀行

IPP(International Professionals Programme)

・ビジネス関連分野での修士又は同等の職業経験1~3年の実務経験

(例:2015年)・第2四半期に応募受付

・23ヶ月の任期付きで雇用。18ヶ月間はロンドン本部、5ヶ月間は支援対象国の地域事務所で勤務・2011年から導入

採用関連ページhttp://www.ebrd.com/careers-at-the-ebrd.htmlリクルートミッション実績(2016年10月)http://www.mof.go.jp/international_policy/mdbs/ebrd/ebrd_recruit.htm

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Page 31: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み

国際開発金融機関の仕事に興味がある方、また、個別の国際開発金融機関についてご質問がある方等は、それぞれ下記までお問い合わせください。

国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA) 世界銀行東京事務所 http://www.worldbank.org/japan/jp/(日本語) 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 10 階 TEL(03)3597-6650

国際金融公社(IFC) 国際金融公社東京事務所 http://www.ifc.org/japan(日本語) 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 10 階 TEL(03)3597-6657

多数国間投資保証機関(MIGA) 多数国間投資保証機関東京事務所 http://go.worldbank.org/ENDHV5WHH0(日本語)〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 10 階 TEL(03)3597-9100

アジア開発銀行(ADB) アジア開発銀行駐日代表事務所 http://www.adb.org/ja/japan/main(日本語) 〒 100-6008 東京都千代田区霞ヶ関3-2-5 霞ヶ関ビルディング8階 TEL(03)3504-3160

米州開発銀行(IDB) 米州開発銀行アジア事務所 http://www.iadb.org/en/asia/idb-offi ce-in-asia,1226.html (英語) 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 16 階 TEL(03)3591-0461

アフリカ開発銀行(AfDB) アフリカ開発銀行アジア代表事務所 http://www.afdb-org.jp/(日本語)〒 100-0011 東京都千代田区内幸町 1-1-7 NBF 日比谷ビル 701 TEL(03)4589-8721

欧州復興開発銀行(EBRD) 欧州復興開発銀行東京代表事務所〒 100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 郵船ビルディング7階 TEL(03) 5218-5001

国際通貨基金(IMF) 国際通貨基金アジア太平洋地域事務所 http://www.imf.org/external/oap/jpn/indexj.htm (日本語) 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル 21 階 TEL(03)3597-6700

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Page 32: はじめに2016年12月 はじめに MDBsパンフレット.indd 01 2016/12/13 17:22:47 01 02 MDBsと日本 03 最近の協力事例 04 「質の高いインフラ投資」への取り組み